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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

B 7757-1995 

強制循環式空気加熱老化試験機 

Forced air circulation oven type 

thermal accerelated aging testers 

1. 適用範囲 この規格は,高分子系材料の加熱空気による耐熱老化性を評価するために用いる,試験槽

の容積が0.6m3以下の強制循環式空気加熱老化試験機(以下,試験機という。)について規定する。 

備考1. 試験機は,試験槽,温度調節装置,循環装置,空気置換装置,試験片取付装置,回転装置な

どで構成する。 

2. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS C 1602 熱電対 

JIS C 1802 工業用電子式自動平衡形記録計 

JIS G 4305 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯 

JIS T 8202 携帯用熱式風速計 

JIS Z 8103 計測用語 

JIS Z 8704 温度測定方法‐電気的方法 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 8103によるほか,次による。 

(1) 試験槽 試験片取付装置を収納し,試験片の加熱を行うための内槽部分。 

(2) 全加熱空間容積 加熱空気が満たされる,試験槽及び循環装置を含む空間容積。 

(3) 空気置換率 全加熱空間容積に対する1時間当たりの空気置換回数。 

(4) 温度分布 試験槽内9か所における最高温度と最低温度との差。 

(5) 周囲温度 試験機の空気導入口とほぼ同じ高さで水平方向に約2m離れ,他の物体からも1m以上離

れた点における温度。 

(6) 平均風速 試験槽内9か所又は18か所における風速の平均値。 

(7) 標準試料 時定数を測定する試料。 

(8) 時定数 標準試料の温度上昇時間。 

3. 試験機の種類 試験機の種類は,空気置換率の設定範囲によって,表1の3種類とする。 

また,各種類に対応する平均風速又は時定数を表1に示す。 

表1 試験機の種類 

種類 空気置換率N(回/時間) 平均風速 (m/s) 時定数 (s)  

I形 

3 ≦N≦ 10 

0.5±0.1 

‐ 

II形 

5 ≦N≦ 20 

‐ 

660以下 

III形 

100 ≦N≦ 200 

‐ 

660以下 

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B 7757-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4. 性能 

4.1 

空気置換率の設定範囲 空気置換率の設定範囲は,試験機の種類に応じて表1のとおりとする。 

4.2 

温度設定可能範囲 温度設定可能範囲は(周囲温度+20℃)から最大300℃とする。 

備考 300℃を超えるものについてもこの規格に準じる。 

4.3 

温度調節精度 温度調節精度は,設定温度±1℃以内でなければならない。 

温度指示は,温度指示計又は温度調節計の指示計で示し,その指示精度は,JIS Z 8704の10.7(測定方

法の等級)に規定するB級相当のものとする。 

備考 温度指示は,温度分布の範囲に入っていなければならない。 

4.4 

温度分布 試験槽内の温度分布は,温度設定範囲に応じて表2のとおりとする。 

表2 温度分布 

温度設定範囲T (℃) 

温度分布 (℃)  

     T≦100 

2以内 

  100<T≦200 

4以内 

  200<T≦300 

6以内 

4.5 

平均風速 平均風速は,試験機の種類のI形において,表1のとおりとする。 

4.6 

時定数 時定数は,試験機の種類のII形及びIII形において,それぞれ表1のとおりとする。 

5. 構造及び材料 

5.1 

試験槽 試験槽は,5.2に規定された,加熱空気の循環を妨げない網棚又は回転する試験片取付枠を

内部に備え,断熱材による試験槽の保温及び試験槽内と外気との遮断ができる構造とする。 

また,試験槽扉は,試験槽内の空気と外気とを有効にシールし,かつ,十分な圧力を保てるようにガス

ケットなどを用いたものであること。試験槽及び試験槽扉の材質は,JIS G 4305に規定するSUS 430又は

これと同等以上の耐熱性及び耐食性をもつもの若しくは耐熱及び耐食処理を施したものとする。 

なお,のぞき窓を設ける場合は,耐熱板ガラス層の密封が十分に保てるようにガスケットなどによって

遮断する。 

5.2 

試験片取付装置 試験片取付装置は,網棚又は毎分5〜10回転の1軸回転枠とする。試験片取付装

置の材料は5.1に準じるものとする。 

試験片取付枠の形状の例を図1に示す。 

図1 1軸回転枠の例 

B 7757-1995  

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5.3 

温度調節装置 温度調節装置は,試験槽内の温度を電気加熱制御によって調節するもので,補助装

置として温度分布及び空気の流れを調節するため,通風ダンパを設けるか,又はこれと同等の機能をもつ

ものを備えていなければならない。 

また,試験槽の扉の開閉によって降下した温度を,設定温度に回復させるために十分な制御機能を備え

ていなければならない。 

5.4 

循環装置 循環装置は,送風機などによって試験槽内へ加熱空気を送り込み,均一な温度及び風速

を供給できなければならない。 

5.5 

空気置換装置 空気置換装置は,試験機外の空気を導入して,試験槽を通過後,排出させる構造で

なければならない。 

備考 空気導入口及び排出口は,試験機の同一面上にあってはならない。 

6. 安全装置 安全装置は,少なくとも次の機能を備えていなければならない。 

(1) 試験片及び試験機の過熱防止用非自己復帰形安全装置(1) 

(2) 露出回転部分に対する保護カバー 

(3) 過電流保護及び漏電保護装置 

注(1) この安全装置は,5.3の装置と兼用してはならない。 

7. 検査 試験機の検査は,附属書に規定された方法に従って行い,次による。ただし,受渡当事者間の

協議によって検査項目の一部を省略することができる。 

(1) 空気置換率の設定範囲 空気置換率の設定範囲は,最小値及び最大値が表1の範囲で設定できること。 

(2) 温度設定可能範囲 温度設定可能範囲は,温度設定が(周囲温度+20℃)及び300℃の設定が可能で

あること。 

(3) 温度調節精度 温度調節精度は,設定温度300℃において測定し,±1℃を超えないこと。 

また,温度指示が温度分布の範囲であること。 

(4) 温度分布 温度分布は,附属書の3.(温度分布の測定)によって測定し,表2の範囲であること。 

なお,温度分布の測定の間,温度指示は設定最高温度と設定最低温度との間になければならない。 

(5) 平均風速 平均風速は,附属書の4.(風速の測定)によって測定し,表1の範囲であること。 

(6) 時定数 時定数は,附属書の5.(時定数の測定)によって測定し,表1の範囲であること。 

8. 検査報告書 検査報告書には,少なくとも次の項目を含まなければならない。 

(1) 適用規格 

(2) 製造業者名又は略号 

(3) 試験機の種類,型式,製造年月及び製造番号 

(4) 検査場所 

(5) 検査年月日 

9. 表示 表示は,試験機の見やすい箇所に次の事項を明記した銘板を固着して行う。 

(1) 試験機の種類 

(2) 使用最高温度 

(3) 試験槽の寸法及び全加熱空間容積 

B 7757-1995  

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(4) 製造業者名又は略号 

(5) 製造年月又は略号 

(6) 製造番号 

(7) 検査結果 

10. 取扱い上の注意 取扱い上の注意は,次による。 

(1) 試験機は,平らで環境変化の少ない所に設置すること。 

(2) 試験機からの排出空気が,直接試験機の空気導入口から再度取り込まれないこと。 

(3) 性能保持のために,定期的に附属書に基づいて確認すること。 

関連規格 JIS K 6257 加硫ゴムの老化試験方法 

JIS K 7212 熱可塑性プラスチックの熱老化性試験方法(オーブン法)通則 

IEC 216 Guide for the determination of thermal endurance properties of electrical insulating materials 

IEC 811 Common test methods for insulating and sheathing materials of electric cables 

ASTM E 145 Standard Specification for Gravity−Convection and Forced−Ventilation Ovens 

ASTM E 2436 Standard Specification for Forced−Convection Labolatory Ovens for Electrical 

Insulation 

UL 746B STANDARD FOR POLYMETRIC MATERIALS−LONGTERM PROPERTY 

EVALUATIONS 

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附属書 試験機の性能測定方法 

1. 適用範囲 この附属書は,試験機の性能測定方法について規定する。 

2. 空気置換率の測定 

2.1 

一般 空気置換率の測定は,2.2(消費電力量法)又は2.3(流量計法)で行う。 

2.2 

消費量力量法 消費電力量法は,空気の出入口を閉じて所定の温度に保持するのに必要な電力量と

空気の出入口を開いた場合に同じ温度に保持するのに必要な電力量との差を測定することによって,置換

された空気量を算出する。測定は,次による。 

(1) 全加熱空間容積の空気を,外部から遮断するため,空気導入口及び排気口を閉じ,扉,特に送風機軸

のすきま(1)及びその他のすきまを粘着テープ,又は他の適切な方法で密封する。 

注(1) 送風機軸のすきまを密封する場合は,密封によって回転速度が影響されてはならない。回転軸

部だけ密封できない場合には,送風用伝動機全体を覆って密封する必要がある。 

(2) 試験機に通じる電力線に,最小目盛が3.6kJ (1W・h) 又はそれ以下の積算電力計を消費電力量の測定の

ために接続する。 

(3) 試験槽内の温度を周囲温度より80±2℃高い温度に加熱し,この温度に試験槽全体が安定した後(約3

時間後),少なくとも30分間,消費電力量を測定する。 

(4) 次に,密封材を取り除き,必要な換気が得られるところまで空気導入口及び排気口を開け,(3)と同じ

ようにして消費電力量を測定する。試験機の周囲温度は,各消費電力量の測定中に,平均2℃以上変

動してはならない。 

(5) 試験機の空気置換率は,次の式によって算出する。 

(

)

ΔT

V

P

P

N

×

=

ρ

2

1

4

10

97

.9

ここに, 

N: 空気置換率 

P1: 換気のない状態における1時間当たりの平均消費電力量 (J/h) 

P2: 換気中における1時間当たりの平均消費電力量 (J/h)  

V: 全加熱空間容積 (m3)  

ρ: 測定中の周囲温度での空気密度 (kg/m3)  

∆T: 試験槽内の温度と周囲温度との差 (℃)  

2.3 

流量計法 流量計法は,送風機を始動し,流量調節弁を調整して試験機の全加熱空間容積に送入す

る空気流量を流量計で測定することによって置換量を求める。測定は,次による。 

(1) 試験機は,空気導入口に流量計を設け,送風機から送入した空気が試験槽を通過後排気口からだけ放

出される構造とする。 

(2) 全加熱空間容積の密閉の確認 

(a) 空気導入口だけでなく,排気口にも流量計を取り付ける。 

備考 浮き子式流量計の場合,空気導入口側は背圧などの補正をして使用する。 

(b) 試験槽の温度が上がらないように,温度調節器などを調整し試験機を運転する。 

(c) 空気置換率を設定範囲の適宜な値に調整する。 

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(d) 空気導入口の流量計の指示値に対し,排気口の流量計の指示値が95%以上であることを確認する。 

(3) 試験機の空気置換率は,次の式によって算出する。 

N=3 600q×x/V 

ここに, 

N: 空気置換率 

q: 全加熱空間容積への送入空気流量 (m3/s)  

V: 全加熱空間容積 (m3)  

x: 流量計の温度補正係数 

(4) 流量計の最小目盛は,I形及びII形については毎分0.001m3,III形については毎分0.01m3以下とし,

指示精度はフルスケールの±2%以内とする。 

(5) 流量計の目盛付き温度と試験槽の周囲温度とが異なる場合は,各流量計の仕様に基づいて流量の補正

を行う。 

3. 温度分布の測定 

3.1 

温度分布測定装置 多点形熱電対式温度記録形は,JIS C 1802の階級0.5級相当品を使用する。熱電

対は,JIS C 1602の階級0.4級以上で,素線径が0.65mm以下のものを使用する。 

3.2 

測定位置 測定位置は,附属書付図1に示す,試験槽の各壁から内側に70mm離れた平面で構成さ

れる空間立方体の頂点の8か所及び試験槽の中心の合計9か所の点で行う。 

3.3 

操作方法 操作は,次による。 

(1) 試験片取付枠を取り外し,4.2の測定位置に熱電対を固定できるように設計した熱電対取付枠をその場

所に設置する。 

(2) 熱電対を試験槽の温度計挿入孔から挿入し,熱電対取付枠に固定する。各熱電対のリード線は,熱損

失を小さくするため,少なくともその300mmが試験槽内にあるようにする。 

(3) 試験槽の温度を設定温度に昇温させ,その温度が十分に安定してから測定を開始する。9か所の温度

を24時間(2)測定し,最高温度と最低温度の差を求める。 

注(2) 24時間中の周囲温度及び電源電圧の変動は,それぞれ10℃及び±5%以内でなければならない。 

4. 風速の測定 

4.1 

風速測定装置 風速測定装置は,JIS T 8202の携帯用熱式風速計を使用する。 

4.2 

測定位置 測定位置は,試験片取付枠を取り外し,附属書付図2に示す,懸垂した試験片の中心部

の高さで水平面上の9か所とする。ただし,試験片取付枠が2段の場合は,18か所とする。 

4.3 

測定温度 風速を測定するときの温度は,常温 (5〜35℃) とする。 

4.4 

操作方法 操作は,次による。 

(1) 試験槽の扉を開き,開口部に風速計挿入孔をあけた厚さ2mm以上の透明板[開口部と同じ大きさの

PVC(ポリ塩化ビニル)板,PMMA(ポリメチルメタアクリレート)板など]を取り付ける。 

(2) 透明板の風速計挿入孔は,附属書付図1の正面図及び側断面図に示す試験槽の左右壁面から70mm離

れた位置2か所及び中央の3か所で,高さは懸垂した試験片の中心部の高さとする。したがって,挿

入孔の数は試験片取付枠が1段の場合は3か所,2段の場合は6か所となる。 

(3) 測定は,風速計を透明板に直角に挿入し,受感部を附属書付図1の正面図及び側断面図に示す位置ま

で移送し,挿入孔とのすきまをなくした後,行う。受感部は指向性があるので,その柄を回しながら

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最高の風速値を読み取る。 

(4) 測定値は,試験片取付枠が1段の場合は9か所,2段の場合は18か所の値の平均値とする。 

5. 時定数の測定 

5.1 

標準試料 標準試料は,示差熱電対の片方の接合部が高温はんだではんだ付けされた直径10mm,長

さ55mmの黄銅製シリンダからなり,附属書付図3に示すように用いる。 

5.2 

測定位置 測定位置は,試験槽の対角線上の中心位置とする。 

5.3 

操作方法 操作は,次によって行う。 

(1) 試験槽を200℃に加熱し,その温度で少なくとも1時間保持する。 

また,標準試料は,周囲温度で1時間放置する。 

(2) 試験槽の扉を90°開き,試験槽の対角線上の中心に標準試料を垂直に手早くつるす。つり下げは線径

が0.25mm以下の耐熱線を使用し,もう一方の使用していない熱電対の接合部が標準試料から80mm

離れていることを確認する。 

(3) 扉を開いてから60±1秒間放置し,続いて閉じた後,最大示差温度が確認されるまで10秒間隔で示差

温度を記録する。続いて示差温度が最大値の10%以下に下降するまで30秒ごとに読み取り,その値

を時間軸に対して打点する。 

また,記録計の場合は前述の時間の間,記録する。 

(4) 最大示差温度の101をT10として示し,前述の打点又は記録紙から,示差温度がT10に達する時間(秒)

を時定数とする。 

附属書付図1 温度分布の測定位置 

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附属書付図2 風速の測定位置 

附属書付図3 時定数の測定方法 

備考 温度指示計又は記録計に冷接点補償機能がある場合,ジュアー瓶は不要。 

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JIS B 7757 原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長)    

 金 子   剛 

財団法人日本電気用品試験所 

 池 谷 浩之輔 

通商産業省機械情報産業局 

 山 村 修 蔵 

工業技術院標準部 

 渡 辺   寧 

物質工学工業研究所 

 鈴 木   勇 

東京都立工業技術センター 

 我 妻   誠 

日本電信電話株式会社 

 秋 葉 光 雄 

財団法人化学品検査協会 

 新 鍋 秀 文 

財団法人高分子素材センター 

 門 谷 建 蔵 

日立化成工業株式会社(電気絶縁材料工業会) 

 三 橋 健 八 

横浜ゴム株式会社(社団法人日本ゴム協会) 

 長谷部 守 邦 

社団法人日本電線工業会 

 柴 原 直 紀 

大日本インキ化学工業株式会社(日本プラスチック工業連盟)

 山 田   晃 

株式会社上島製作所 

 芦 分 九明一 

佐竹化学機械工業株式会社 

 沖 野 孝 之 

株式会社島津製作所 

 有 井 敏 力 

スガ試験機株式会社 

 金 森 郁 夫 

タバイエスペック株式会社 

 二 村 長 成 

株式会社東洋精機製作所 

(事務局) 

 菅 野 久 勝 

日本試験機工業会