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B 7739:2020  

(1) 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 測定機器························································································································· 4 

5 振り子形衝撃試験機 ·········································································································· 4 

5.1 振り子形衝撃試験機の概要 ······························································································ 4 

5.2 振り子形衝撃試験機の種類 ······························································································ 4 

5.3 振り子形衝撃試験機の構成要素 ························································································ 4 

6 振り子形衝撃試験機の検証及び検査手順 ··············································································· 5 

6.1 試験機の設計及び製造業者による検証················································································ 5 

6.2 試験機設置時及び定期的な検証(表4参照) ······································································· 6 

6.3 シャルピー衝撃試験機 ···································································································· 9 

6.4 アイゾット衝撃試験機 ··································································································· 10 

6.5 引張衝撃試験機(JIS K 7160参照) ·················································································· 11 

6.6 エネルギーの指示計 ······································································································ 11 

6.7 摩擦損失 ····················································································································· 12 

7 検証周期························································································································ 14 

8 検証報告························································································································ 15 

附属書A(規定)シャルピー衝撃試験機の仕様 ········································································· 16 

附属書B(規定)アイゾット衝撃試験機の仕様 ·········································································· 18 

附属書C(規定)引張衝撃試験機の仕様 ·················································································· 20 

附属書D(参考)機枠と振り子質量との質量比 ········································································· 23 

附属書E(参考)打撃後の振り子の減速··················································································· 26 

附属書F(参考)シャルピー衝撃試験機検証用ゲージプレート ····················································· 28 

附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 31 

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(2) 

まえがき 

この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人

日本試験機工業会(JTM)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業

規格を改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本産業

規格である。これによって,JIS B 7739:2011は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

日本産業規格          JIS 

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非金属材料用振り子形衝撃試験機− 

試験機の検証方法 

Pendulum-type impact-testing machines for non-metallic materials- 

Verification of testing machines 

序文 

この規格は,2015年に第2版として発行されたISO 13802を基とし,対応する部分の技術的内容を変更

して作成した日本産業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,JIS K 7111-1及びJIS K 7111-2に規定されたシャルピー衝撃試験,JIS K 7110に規定され

たアイゾット衝撃試験及びJIS K 7160に規定された引張衝撃試験に使用する振り子形衝撃試験機の検証方

法について規定する。計装化した衝撃試験機の検証は,計装機器の幾何学的特性及び物理的特性が非計装

の機器と同一である場合に限り,適用する。計装機器の力及び動作の確認は,この規格では取り扱わない。 

この規格は,箇条5に規定された幾何学的特性及び物理的特性をもつ異なる容量及び設計の振り子形衝

撃試験機にも適用できる。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 13802:2015,Plastics−Verification of pendulum impact-testing machines−Charpy, Izod and 

tensile impact-testing(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 7110 プラスチック−アイゾット衝撃強さの試験方法 

注記 対応国際規格:ISO 180:2000,Plastics−Determination of Izod impact strength 

JIS K 7111-1 プラスチック−シャルピー衝撃特性の求め方−第1部:非計装化衝撃試験 

注記 対応国際規格:ISO 179-1:2010,Plastics−Determination of Charpy impact properties−Part 1: 

Non-instrumented impact test 

JIS K 7111-2 プラスチック−シャルピー衝撃特性の求め方−第2部:計装化衝撃試験 

注記 対応国際規格:ISO 179-2:1997,Plastics−Determination of Charpy impact properties−Part 2: 

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Instrumented impact test 

JIS K 7160 プラスチック−引張衝撃強さの試験方法 

注記 対応国際規格:ISO 8256:1990,Plastics−Determination of tensile-impact strength 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

3.1 

検証(verification) 

校正済みの参照標準又は参照標準片を用いて,試験機の校正が要求事項を満たしていることを確認する

行為。 

3.2 

校正(calibration) 

指定された条件下で,測定機器又は測定系の示す値と,適切な基準に対応する値又は基準によって実現

された値との関係を確立する一連の行為。 

3.3 

振り子の周期,TP(period of swing of the pendulum) 

振り子の運動平面で自由つり下げ位置に対して5°以下の角度で振動する振り子1往復の時間(s)。 

3.4 

打撃中心(centre of percussion) 

運動平面内で振り子に対し垂直に打撃したとき,振り子の回転軸に反力が生じない位置。 

3.5 

振り子長さ,LP(pendulum length) 

振り子の回転軸から打撃中心(3.4参照)までの距離で,実際の振り子と同じ周期TP(3.3参照)をもち,

振り子の質量が理論的に集中したとみなされる点までの長さ(m)(図1参照)。 

3.6 

重心長さ,LM(gravity length) 

振り子の回転軸と振り子の重心との間の距離(m)。 

3.7 

回転長さ,LG(gyration length) 

振り子の回転軸から,振り子の質量mPが一点に集中したとして,振り子と同じ慣性モーメントになる点

までの距離(m)。 

3.8 

打撃点長さ,LI(impact length) 

振り子の回転軸から,試験片に接する振り子の刃縁中心の打撃点までの距離(m)。 

3.9 

持上げ角度,α0(starting angle) 

振り子の回転運動の開始位置から鉛直位置までの角度(°)。 

注記 一般に,振り子の回転の最下点で試験片を打撃する(打撃位置角度αI=0°)。この場合,持上

げ角度は,振り子の落下の角度でもある[3.22及び図1 b)参照]。 

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3.10 

衝撃速度,vI(impact velocity) 

打撃瞬間時における振り子の速度(m/s)。 

3.11 

位置エネルギー,E(potential energy) 

振り子を持上げ角度に持ち上げることで蓄えられるエネルギー(J)。 

3.12 

衝撃エネルギー,W(impact energy) 

試験片の変形,破断及び飛散に必要なエネルギー(J)。 

3.13 

機枠(frame) 

振り子の軸受,支持台及び/又はつかみ具,測定機器,並びに振り子の支持機構と解放機構とをもつ試

験機の構造体。機枠の質量は,mFで表される(kg)。 

3.14 

基部(base) 

機枠を構成する一部で,載せ台の水平面より下に位置する部分。 

3.15 

受け台(anvil) 

試験機を構成する一部で,試験片を衝撃刃及び載せ台に対して適切な位置に配置し,衝撃時の試験片を

支持する部分。 

3.16 

載せ台(test specimen supports) 

試験機を構成する一部で,試験片を振り子の打撃中心,衝撃刃及び受け台に対して適切な位置に配置す

る部分。 

3.17 

衝撃刃(striker) 

試験片に接して衝撃力を加える振り子の一部。 

3.18 

機枠の振動周期,TF(period of oscillation of the frame) 

機枠の水平方向における自由減衰振動の周期(s)(附属書D参照)。 

3.19 

振り子の最大質量,mP,max(mass of the heaviest pendulum used) 

使用する最も重い振り子の質量(kg)。 

3.20 

アイゾット衝撃用及びシャルピー衝撃用棒状ゲージ(Izod/Charpy impact reference specimen) 

長さ80 mm±0.05 mm,長方形断面の高さ4 mm±0.02 mm,幅10 mm±0.02 mmのステンレス鋼などで

作製した検査用参照試験片ゲージ(以下,棒状ゲージという。)。 

3.21 

引張衝撃用棒状ゲージ(tensile impact reference specimen) 

長さ80 mm±0.05 mm,長方形断面の高さ4 mm±0.02 mm,幅10 mm±0.02 mmのステンレス鋼などで

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作製した検査用参照試験片ゲージ。 

3.22 

打撃位置角度,αI(impact angle) 

最下点から試験片を打撃する位置までの振り子の角度(°)。 

3.23 

振り上がり角度,αR(angle of rise) 

振り子の回転運動において,鉛直下から上昇する振り子が落下に反転する位置までの角度(°)。 

3.24 

吸収エネルギー,Wi(absorbed energy) 

衝撃エネルギー目盛の校正時において,その目盛が示す衝撃エネルギーの算出された値(J)。 

測定機器 

試験機の構成要素の幾何学的特性及び物理的特性がこの規格の要求事項に適合していることを検証する

ためには,直定規,ノギス,三角定規,水準器,力計,ロードセル又ははかり,及び時間測定装置を用い

る。 

これらの測定機器は,表4に示す規定値の範囲内で,試験機の構成要素を測定するために十分な精度を

もっていなければならない。 

振り子形衝撃試験機 

5.1 

振り子形衝撃試験機の概要 

振り子形衝撃試験機の衝撃エネルギーWは,振り子の位置エネルギーEと試験片打撃後の振り子に残存

するエネルギーとの差に等しいとして算出する。 

低容量の振り子を用いる場合,試験片の吸収エネルギーに対して振り子の回転軸受の摩擦損失及び空気

抵抗損失が相対的に大きいため,補正を必要とする場合がある(表2及び6.7参照)。 

試験機の幾何学的特性及び物理的特性の検証を行うに当たり,幾何学的特性の検証は,組立後に実施す

ることが難しいため,組立前にこの規格に準じて検証を行う。製造業者は,必要に応じて参考図面を提供

する。 

これらの検証方法は,試験機の設置時,修理時,移動時又は定期点検時に使用する。 

5.2 

振り子形衝撃試験機の種類 

この規格では,3種類の試験機を対象としている。附属書Aに,シャルピー衝撃試験用に構成する機器

の構造及び仕様の詳細を示す。図A.1に,代表的なシャルピー衝撃試験機の例を示す。検証しなければな

らない規定値を,表A.1に示す。試験条件は,JIS K 7111-1による。 

附属書Bに,アイゾット衝撃試験用に構成する機器の構造及び仕様の詳細を示す。図B.1に,代表的な

アイゾット衝撃試験機の例を示す。検証しなければならない規定値を,表B.1に示す。試験条件は,JIS K 

7110による。 

附属書Cに,引張衝撃試験用に構成する機器の構造及び仕様の詳細を示す。図C.1及び図C.2に,代表的

な引張衝撃試験機の例を示す。検証しなければならない規定値を,表C.1に示す。試験条件は,JIS K 7160

による。 

5.3 

振り子形衝撃試験機の構成要素 

振り子形衝撃試験機は,次の要素から成る。 

background image

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a) 機枠 試験機の基礎部分であり,次から構成される振り子を支える構造体。 

1) 振り子回転軸の軸受け 

2) 振り子の保持機構及び解放機構 

3) 基部 

b) 振り子 

1) 振り子の腕 

2) 衝撃刃 シャルピー衝撃試験及びアイゾット衝撃試験では衝撃刃縁,引張衝撃試験では衝撃面又は

つかみ具を備えたもの(JIS K 7160のA法及びB法を参照)。 

3) 増しおもり 振り子の位置エネルギー容量を増加する場合に使用するもの。 

注記 この規格の要求事項を満たす利用可能な振り子構造は,複数存在する。 

c) その他の試験ジグ 

1) シャルピー衝撃試験用の載せ台及び受け台(JIS K 7111-1参照) シャルピー衝撃試験用の受け台

及び載せ台は,振り子の運動平面の両側に一つずつ配置する。受け台は,載せ台に対して直角,か

つ,振り子の運動平面に直交するように取り付ける。基本的に,試験片は載せ台上に設置し,試験

片にかかる衝撃の反作用を受け台で吸収する。 

2) アイゾット衝撃試験用の固定台(JIS K 7110参照) 

3) 引張衝撃試験用のつかみ具又は停止装置(JIS K 7160のA法及びB法を参照) 

4) 引張衝撃試験用クロスヘッド(JIS K 7160のA法及びB法を参照) 

d) 吸収エネルギー表示装置(スケール目盛盤,電子読取装置など) 

振り子形衝撃試験機の検証及び検査手順 

6.1 

試験機の設計及び製造業者による検証 

試験機の設計及び製造には,その性能に影響する重要な幾つかの必要条件があり,a)〜d)を含めて,製

造業者が製造時に表1に適合していることを検証する。 

a) 打撃中心 

b) 回転軸 

c) 振り子の運動平面 

d) 機枠の質量 機枠の質量と使用する最も重い振り子の質量との比mF/mP,maxが40を下回る場合,機枠

は,高い剛性の基礎台にねじなどで固定する。機枠と振り子との質量比の詳細を記載した製造業者の

証明書が備わっていない場合は,試験機は基礎台にねじ止めし,シムを用いて水平出しする。 

表1−製造時に検証する試験機の仕様 

構成要素(パラメータ) 

単位 

規定値 

打撃中心 

打撃点から打撃中心までの距離は,打撃点長さ
の±1 

振り子の回転軸a) 

− 

基準面に対する平行度 2/1 000 

回転軸に対する振り子の運動平面 

° 

90±0.1 

機枠の質量 

kg 

最も重い振り子の質量の40倍以上,又は重く安
定した基礎台にねじで固定 

注a) 各試験機の基準面の位置は,試験機ごとに異なる。 

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6.2 

試験機設置時及び定期的な検証(表4参照) 

6.2.1 

設置 

振り子形衝撃試験機は,振動のない場所に置かれた頑丈な基礎台又はテーブル上に設置する。試験機が

レベル調整ねじを装備している場合は,機枠を所定の位置に保持し,据付けの剛性を維持するために,水

平出しの後にレベル調整ねじを固定する。衝撃試験の実施中に,据え付けた機枠に目視できる変位が生じ

てはならない。試験機を利用可能な最大エネルギー容量の振り子で構成し,振り子を解放したとき,基部

に置いた水準器の気泡の動きを観察する。気泡の移動が観察された場合は,試験機をより安定する方法で

据え付ける。 

6.2.2 

基準面の水平度 

振り子の回転方向,及び回転方向に垂直な方向で,基準面の2/1 000以内に試験機を設置する。 

6.2.3 

振り子の軸受の軸方向の遊び 

振り子の回転軸と軸受との軸方向の遊びは,0.25 mmを超えないものとする。 

6.2.4 

振り子の軸受の半径方向の遊び 

振り子の回転軸と軸受の半径方向との遊びは,振り子の回転軸に直角な2方向から交互に2 N±0.2 Nの

力を負荷した状態で測定する。半径方向の総遊びは,0.05 mmを超えないものとする。 

6.2.5 

振り子の保持及び解放機構 

持上げ角度から振り子を解放する機構は,目視で検査する。適切に機能する解放機構は,エネルギー損

失をもたらす初期衝撃,初動の遅延又は横振動がなく,振り子を解放できる構造とする。 

6.2.6 

自由つり下げ位置 

振り子を自由につり下げたとき,振り子の衝撃刃縁は,受け台に押し当てた棒状ゲージと接触する位置

から2.5 mm以内とする。 

6.2.7 

棒状ゲージと衝撃刃縁との接触 

シャルピー衝撃試験機及びアイゾット衝撃試験機の場合,衝撃刃縁は,棒状ゲージの全幅に接触しなけ

ればならない。 

この検証方法の一つは,次による。 

− 棒状ゲージを密着するように薄紙で包み(接着テープなどを使用),載せ台に設置する。 

− 同様に,カーボン紙を衝撃刃縁にカーボン面が外側を向くように密着させて包む(衝撃刃側にはカー

ボン面を向けない。)。カーボン紙の代わりに光明丹を用いて行ってもよい。 

− 自由つり下げ位置の振り子を数度程度持ち上げ,振り子を解放して衝撃刃を棒状ゲージに打撃接触さ

せる。その際,棒状ゲージに二度打ちしないようにする。 

棒状ゲージを覆った紙の上にカーボン紙によって付けられた痕跡は,紙幅を完全に横断している必要が

ある。この検査は,衝撃刃縁と棒状ゲージとの接触角の検査と並行して実施してもよい。 

6.2.8 

位置エネルギー,E 

シャルピー衝撃用,アイゾット衝撃用及び引張衝撃用の各試験機で通常用いる振り子の位置エネルギー

の公称値を,表2に示す。位置エネルギーの誤差は,表2に示す位置エネルギーの公称値の1 %以内とす

る。位置エネルギーは,次の手順によって測定する。 

a) はかり又は力計を用いて,回転軸から任意の長さLH(m)で振り子を支える。回転軸から振り子の重

心までの軸線を水平にする[図1 a)参照]。 

b) 長さLH及びLHにおける鉛直方向の力FH(N)を,±1.0 %の精度で測定する。 

c) 回転軸に関する振り子の水平位置におけるモーメントMH(N・m)は,式(1)によって算出する。 

background image

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H

H

H

M

FL

=

 ·············································································· (1) 

d) 持上げ角度α0を,位置エネルギーEの1/400に相当する精度で測定する[図1 b)参照]。さらに,適用

できる場合には,持上げ角度α0の測定精度を,±0.25°とする。例えば,140°,150°及び160°の

持上げ角度α0に必要な精度は,それぞれ0.39°,0.54°及び0.81°になる。 

e) 位置エネルギーEは,式(2)によって算出する。 

(

)

H

I

0

cos

cos

EM

α

α

=

 ······························································· (2) 

ここに, 

E: 振り子の位置エネルギー(J) 

MH: 振り子の水平位置におけるモーメント(N・m)[式(1)参

照] 

α0: 持上げ角度(°) 

αI: 打撃位置角度(°) 

注記1 振り子形衝撃試験機では,一般に,打撃位置角度αIは,振り子の自由つり下げ位置で角度

0°とするので,cos αI=1となる。 

注記2 試験機から振り子を外し,モーメントMHを求める場合がある。 

表2−シャルピー衝撃試験機,アイゾット衝撃試験機及び引張衝撃試験機の基本特性 

位置エネルギー E 

試験の種類 

衝撃速度 vI 

m/s 

空振り時における 

摩擦損失の最大許容値 

Eに対する比 % 

0.5 

シャルピー 

2.9(±10 %) 

1.0 

シャルピー 

2.0 

シャルピー及び引張 

4.0 

シャルピー及び引張 

0.5 

5.0 

シャルピー 

0.5 

7.5 

シャルピー及び引張 

3.8(±10 %) 

0.5 

15 

シャルピー及び引張 

25 

シャルピー及び引張 

0.5 

50 

シャルピー及び引張 

1.0 

アイゾット 

3.5(±10 %) 

2.75 

アイゾット 

5.5 

アイゾット 

0.5 

11 

アイゾット 

0.5 

22 

アイゾット 

0.5 

6.2.9 

振り子長さ,LP 

振り子長さLPは,製造業者が製造時に検証する。通常の条件下では,振り子の長さの変化は発生しない

が,修理又は交換時には,校正手順の一部として検証を行う。振り子の長さは,利用可能な個々の振り子

ごとに検証を行う。 

振り子長さは,指定された精度内で決定する(表3参照)。 

振り子長さは,振り子の周期(往復の時間)TPの測定によって検証する。振り子を5°以下となる高さ

から離したときの周期を求める。最小往復回数nに要した時間から1往復に要した時間に平均化する。こ

の操作を4回繰り返し,4回の1往復に要した時間の平均値をTPとする。 

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表3−TPの測定に必要な最小往復回数の例 

LP 

TP 

時間の測定精度 

最小往復回数 

0.225 

0.95 

0.1 

50 

0.01 

10 

0.390 

1.25 

0.1 

50 

0.01 

10 

振り子長さは,振り子の周期TPから式(3)によって算出する。 

2

P

P

2

T

L=g

 ················································································· (3) 

ここに, 

g: 重力加速度(m/s2) 

TP: 振り子の周期(s) 

6.2.10 

打撃点長さ,LΙ 

打撃点長さLI(3.8参照)は,振り子の周期TPから求める振り子長さLPに対して±l %とする[式(3)及

び図l a)参照]。 

6.2.11 

打撃時における振り子の速度,vI 

シャルピー衝撃試験機,アイゾット衝撃試験機及び引張衝撃試験機の衝撃速度vIを,それぞれ表2に示

す。 

衝撃速度は,式(4)によって算出する。 

(

)

I

I

I

0

2

cos

cos

v

L

α

α

=

g

 ··························································· (4) 

ここに, 

vI: 衝撃速度(m/s) 

g: 重力加速度(m/s2) 

LΙ: 打撃点長さ(m) 

α0: 持上げ角度(°) 

αI: 打撃位置角度(°) 

注記 打撃後の振り子の減速については,附属書Eに示す。 

background image

B 7739:2020  

a) 振り子の水平位置におけるモーメントの計算に必要な測定項目 

b) スケール目盛の校正及び位置エネルギーの計算に必要な測定項目 

  

1 回転軸 

2 鉛直方向の力,FH 

3 打撃中心 

4 振り上がり角度,αR 
5 持上げ角度,α0 

6 回転軸からの任意の長さ,LH 

図1−位置エネルギーの検証に必要な測定項目 

6.3 

シャルピー衝撃試験機 

シャルピー衝撃試験機の点検及び検証は,次による(図A.1及び表A.1参照)。 

a) 受け台と振り子構成部品との位置関係 受け台と衝撃刃との間隔,及び受け台の間を通過する振り子

の構成部品の隣接部との間隔は,破断した試験片の跳ね返りによって振り子に干渉することなく,振

り子が試験機から自由に離脱できる十分な距離とする。試験片を受け台に配置するための位置決め装

置及びジグ(例えば,エンドストッパなど)は,試験中の試験片の移動を妨げてはならない。 

b) シャルピーの衝撃刃と試験片との接触 

c) 衝撃刃の接触線と棒状ゲージの水平軸との角度 

d) 衝撃刃の先端角度,θ1 

10 

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e) 衝撃刃縁の半径,R1 

f) 

載せ台の平行度(向き),p1 

g) 受け台の曲率半径,R2 

h) 受け台の逃げ角,θ2 

i) 

受け台のすくい角,θ3 

j) 

載せ台と受け台との角度,θ4 

k) 受け台間の距離 

注記 受け台間の距離は,試験片の種類によって異なる。 

l) 

試験片の切欠き位置 試験片の切欠きの中心位置は,試験片の位置決め装置又はジグを使い,受け台

間の中心から±0.5 mmとする。 

注記 受け台間の距離及び衝撃刃縁の位置合わせ(アライメント)を検査するためのゲージプレー

トを,附属書Fに示す。 

6.4 

アイゾット衝撃試験機 

アイゾット衝撃試験機の点検及び検証は,次による(図B.1及び表B.1参照)。 

a) 衝撃刃の接触線 

b) アイゾット衝撃試験機に用いる振り子の衝撃刃縁 

1) 半径,R1 衝撃刃縁は,円筒面をもち,その軸線は水平で,振り子の運動平面に対して垂直とする。 

2) 棒状ゲージの長軸に対する角度,θ1 衝撃刃縁は,棒状ゲージと接触するとき,棒状ゲージの両側

よりも突き出た状態であり,棒状ゲージの振り分け中心に位置するものとする。 

3) 平行度,p1 衝撃刃縁は,棒状ゲージの表面全幅にわたり平行とする。 

c) 固定台 アイゾット衝撃試験機(図B.1参照)において,試験片を保持する固定台(可動部及び固定

部)は,次による。 

1) 固定面の水平方向及び垂直方向での平行度,p3 棒状ゲージを固定台に保持した状態のとき,固定

台の可動部及び固定部の向き合う面は,水平及び垂直の両方向で平行とする。 

2) 固定台上面の基準面に対する水平度,p2 

3) 固定台の固定部及び可動部の面と固定台上面との角度,θ2 定規と手持ち式の照明とを用いて,摩

耗の有無についても確認することが望ましい。直定規と固定部との間を光が通過する場合は,固定

部が摩耗しており交換が必要である。 

4) 固定部の半径,R2 試験片の曲げが起こる固定台の固定部の上面の縁の丸み寸法を確認する。 

5) 固定部上面と衝撃刃縁との距離,D1 

d) 試験片と衝撃刃との位置 固定台に設置された試験片が機枠にしっかりと保持されている場合,次の

要件に適合するものとする。 

1) 固定台の固定部の上面は,試験機の基準面に対して3/1 000以内で平行でなければならない。 

2) 試験片の長軸は,固定部の上面に対して±0.5°で垂直でなければならない。 

3) 試験片の切欠きは,振り子の運動平面に対して垂直であり,かつ,切欠きの対称面は,固定部の上

面と±0.1 mmで一致しなければならない。 

4) 衝撃刃縁は,試験片に対して十分な長さをもち,衝撃刃縁を試験片に接触させた状態で,試験片の

長軸に対し±2°で垂直,試験片面に対して0.025 mm(0.36°)以内で平行とする。 

e) 固定面 所定の位置に試験片を締め付けた状態での固定面と可動面とは,4/1 000以内で水平及び垂直

でなければならない。 

11 

B 7739:2020  

6.5 

引張衝撃試験機(JIS K 7160参照) 

引張衝撃試験機の点検及び検証は,次による(図C.1,図C.2及び表C.1参照)。 

a) 引張衝撃試験に用いるつかみ具 

1) A法 つかみ具の打撃面は,同一平面とする。また,つかみ具は,振り子の回転軸に対して平行と

する。引張衝撃用棒状ゲージを使用する場合,クロスヘッドと衝撃刃との接触面の中心は,振り子

の運動平面に対して2°以内で平行でなければならない(表C.1及び図C.1参照)。 

2) B法 つかみ具に取り付けた引張衝撃用棒状ゲージは,振り子の運動平面に対して0.5 mm以内で対

称であり,かつ,その縦軸が振り子の運動平面に対して4/1 000以内で平行とする(表C.1及び図

C.2参照)。 

引張衝撃用棒状ゲージを把持するクロスヘッドの接触面は,全て同一平面上にあり,振り子の回

転軸に対して5/1 000以内で平行とする。 

b) 引張衝撃用のつかみ具 1形〜4形の試験片[JIS K 7160の表2(試験片の形状,寸法及びつかみ具間

の距離)及び図3(試験片の形状,寸法)参照]用つかみ具のつかみ面は,衝撃時に滑らないように

しなければならない。これは,機枠又は振り子に取り付けたつかみ具に適用する。同様に,クロスヘ

ッドのつかみ具に対しても適用する。つかみ具は,試験片に試験結果に影響するような変形が生じな

いように設計しなければならない。 

つかみ具は,やすりのような刻み目があってもよく,刻み目の寸法は,試験片材料の硬さ及び靱性

並びに試験片の厚さに合ったものを経験的に選べばよい。つかみ具の上側端部には丸みを付ける。 

5形試験片(JIS K 7160の表2及び図3参照)の場合には,埋込みだけで試験片を把持するので,

異なる高さをもつつかみ具が必要である。試験のために選択するつかみ具の高さは,試験片の厚さよ

り大きいものとするが,その厚さの120 %以下とする。 

c) アライメント 振り子の運動平面に対して,±0.5 mm以内に試験片をつかみ具に固定する。 

d) クロスヘッドの質量 使用する振り子のエネルギーに応じて,クロスヘッドは異なる質量のものを使

用しなければならない。クロスヘッドの質量は,JIS K 7160の表1(振り子式衝撃試験機の特性)に

示す規定値に適合しなければならない。 

6.6 

エネルギーの指示計 

6.6.1 

スケール目盛の種類 

試験機には,振り上がり角度αR[図1 b)参照]又は衝撃エネルギーW(吸収エネルギーWi)のいずれか

の目盛を付けてもよい。式(5)は,この両者の関係を示す。 

(

)

H

R

0

cos

cos

W M

α

α

=

 ····························································· (5) 

ここに, 

W: 衝撃エネルギー(J) 

MH: 振り子の水平位置におけるモーメント(N・m) 

α0: 持上げ角度(°) 

αR: 振り上がり角度(°) 

注記 スケール目盛には,吸収エネルギーのジュール及び角度の目盛の両方を付けると便利である。 

6.6.2 

アナログ表示装置の検証−スケール目盛及び指針の検査 

スケール目盛の単位は,振り上がり角度αR又は吸収エネルギーWiとする。 

スケール上の目盛線の幅は,均一であり,指針の幅は目盛の幅とほぼ一致するものとする。指針は,値

の読取りに視差が影響しないものとする。 

スケール目盛の分解能rは,指針の幅と隣接する二つの目盛マーク間の中心距離(目盛間隔)との比で

12 

B 7739:2020  

得られるが,推奨する比率は,1:4,1:5又は1:10であり,目盛幅の10分の1で推定をするには,2.5 mm

以上の間隔を必要とする。 

スケール目盛の間隔は,公称吸収エネルギーの1 %以下とし,0.25 %より小さい増分でエネルギー推定

を行ってもよい。 

6.6.3 

吸収エネルギー(Wi)表記のスケール目盛の誤差測定 

位置エネルギー公称値の約10 %,約20 %,約30 %,約50 %及び約80 %に対応する吸収エネルギーの

スケール目盛を,振り子の振り上がり角度によって検証する方法は,次による。 

a) 使用する持上げ角度から,試験片なしで,振り子を空振りさせる。この衝撃エネルギーが発生しない

ときの指針が示す値WS,1を読み取り,記録する。記録した値は,振り子の位置エネルギーEの±2.5 %

を超えてはならない。 

b) 空振り時に指針が示した値WS,1に振り子を支持して,このときの振り子の振り上がり角度αR,1を測定

する。 

c) 検査する吸収エネルギー目盛位置(位置エネルギー公称値の約10 %,約20 %,約30 %,約50 %及び

約80 %に対応)に振り子を支持して,それぞれの角度αR,iを測定する。 

d) それぞれの吸収エネルギーWiは,式(6)によって算出する。 

(

)

i

H

R,i

R,1

cos

cos

W

M

α

α

=

 ··························································· (6) 

注記 LI及びFH(6.2.8参照),並びにαR,1及びαR,iが規定された精度をもつ場合,Wiの測定精度は

各レンジの約0.3 %となる。 

e) さらに,a)〜c)の手順を2回繰り返す。 

f) 

3回の測定による平均値を算出する。個々の値とそれらの平均値との差は,指示値に相当するエネル

ギーの1 %又は校正レンジの1 %のいずれか大きい方の値を超えてはならない。 

6.6.4 

デジタル表示装置の検証 

スケール目盛の単位は,角度又はエネルギーとする。 

デジタル指示器の分解能は,表示の最小有効桁の数値が1増分を超えて変動しない場合は,最小有効桁

の1増分を分解能とする。読取値が最小有効桁の数値以上に変動をする場合,分解能は変動範囲の半分に

等しくなる。 

分解能は,吸収エネルギーの公称値の0.25 %より小さいものとする。 

デジタル表示値が振り子の位置エネルギーに対応していることを確認する。 

6.7 

摩擦損失 

6.7.1 

損失の種類 

エネルギーは,指針(装備している場合)の摩擦,電子式角度変位変換器による摩擦,空気抵抗による

摩擦及び/又は振り子の軸受の摩擦によって損失する。 

6.7.2 

指針の摩擦損失の求め方 

試験機に指針を備えている場合は,指針の摩擦による損失Wf,Pは,次のa)〜e)の手順によって求める。 

a) 試験片なしで,試験機を通常どおりに作動させ,最初のWf,1を読み取る。 

b) 指針は,そのままの状態で最初の位置から振り子を再度解放し,2回目のWf,2を読み取る。 

c) さらに,a)及びb)の手順を2回繰り返す。 

d) 3回の測定におけるWf,1とWf,2との平均値を算出する。 

e) 振り子の1回の運動時における指針の摩擦損失Wf,Pは,式(7)を用いてWf,1の平均値Wfa,1からWf,2の平

background image

13 

B 7739:2020  

均値Wfa,2を減じることによって算出する。 

f,P

fa,1

fa,2

W

W

W

=

 ········································································ (7) 

6.7.3 

空気抵抗及び振り子の軸受摩擦による損失の求め方 

空気抵抗及び振り子の軸受摩擦による損失は,次の手順によって求める。 

a) 試験機に指針を備えている場合には,6.7.2に示す手順に従って試験機を作動させ,Wf,2を読み取る。

振り子は,自由振動を続けるようにする。Wf,2の測定後,前方向の振れが10回目に入るときに,指針

をスケール目盛に沿って2,3目盛戻して位置決めをし,Wf,3を読み取り,記録する。 

b) さらに,a)の手順を2回繰り返す。 

c) 3回の測定におけるWf,2及びWf,3の平均値Wfa,2及びWfa,3をそれぞれ算出する。 

d) 振り子の1回の運動における空気抵抗及び振り子の軸受摩擦によるエネルギー損失Wf,ABは,式(8)に

よって算出する。 

fa,3

fa,2

f,AB

20

W

W

W

=

 ······································································ (8) 

注記 振り子の運動を測定するために,電子式角度変位変換器も多く採用されているが,これらの

変換器には,無摩擦の光電子式変換器,又は摩擦損失がWf,ABの中に含まれるものがある。 

6.7.4 

摩擦による全損失エネルギーの計算 

摩擦による全損失エネルギーWfは,式(9)によって算出する。 

(

)

R

f

f,AB

f,AB

f,P

0

1

2

2

W

W

W

W

α

α

=

+

+

 ··················································· (9) 

6.7.5 

摩擦による最大許容損失 

振り子の1回の運動における全摩擦損失は,表2に示す許容値を超えてはならない。例えば,位置エネ

ルギーが4 J以下の振り子の場合,式(9)から算出した全損失エネルギーWfが位置エネルギーEの0.5 %を超

えるときには,測定した衝撃エネルギーからWfを減じる必要がある(表4参照)。 

表4−設置された試験機の定期的検証が必要な一般的な特性 

特性(試験機の構成要素) 

記号 

単位 

規定値 

振り子形衝撃試験機 共通 

据付け 

− 

− 

振動がないこと 

振り子回転方向での基準面の水平度 

− 

− 

2/1 000以内で水平 

振り子回転面に垂直な方向での基準面の水平度 

− 

− 

2/1 000以内で水平 

回転軸の軸方向隙間 

− 

mm 

0.25 

回転軸の半径方向隙間 

− 

mm 

0.05 

振り子の解放 

− 

− 

エネルギー損失がないこと 

自由つり下げ位置−追加重すい(錘)がない場合 

− 

mm 

±5.0 

自由つり下げ位置−最大追加重すい(錘)の場合 

− 

mm 

±5.0 

衝撃刃縁と試験片との接触(シャルピー及びアイゾット) 

− 

− 

全面で接触 

位置エネルギー 

公称値の±1 % 

振り子長さ 

LP 

0.225,0.390 

打撃点長さ 

LI 

振り子長さの±1 % 

衝撃速度 

vI 

m/s 

表2参照 

background image

14 

B 7739:2020  

表4−設置された試験機の定期的検証が必要な一般的な特性(続き) 

特性(試験機の構成要素) 

記号 

単位 

規定値 

持上げ角度 

α0 

° 

− 

振り上がり角度 

αR 

° 

− 

シャルピー衝撃試験機 

機枠及び振り子の位置関係 

衝撃受け台と衝撃刃との位置関係 

S1 

mm 

±0.5で一致 

振り子の衝撃刃縁 

衝撃刃の先端角度 

θ1 

° 

30±1 

衝撃刃縁の半径 

R1 

mm 

2.0±0.5 

載せ台 

試験片の長軸と基準面との平行度(向き)(存在する場合) 

p1 

− 

4/1 000以内で平行 

受け台の曲率半径 

R2 

mm 

1±0.1 

受け台の逃げ角 

θ2 

° 

10±1 

受け台のすくい角 

θ3 

° 

5±1 

載せ台と受け台との角度 

θ4 

° 

90±0.1 

受け台間の距離 

− 

mm 

JIS K 7111-1の表1参照 

衝撃刃と試験片との接触 

− 

− 

完全に接触 

衝撃刃の接触線と試験片の水平軸との垂直度 

− 

° 

±2 

アイゾット衝撃試験機 

機枠及び振り子の位置関係 

固定台の上面に対する衝撃刃縁の距離 

− 

mm 

22±0.2 

衝撃刃縁 

半径 

R1 

mm 

0.8±0.2 

幅 

− 

− 

中心位置 

棒状ゲージの長軸に対する角度 

θ1 

° 

90±2.0 

棒状ゲージの表面についての平行度(全幅にわたる) 

p1 

− 

0.025 

棒状ゲージとの接触 

− 

− 

完全に接触 

試験片固定台 

水平方向及び垂直方向での平行度 

p3 

mm 

0.05 

固定台上面の基準面との平行度 

p2 

− 

3/1 000 

固定部及び可動部と固定台上面間との角度 

θ2 

° 

90±0.5 

曲げが生じる固定部上端の半径 

R2 

mm 

0.2±0.1 

引張衝撃試験機 

振り子 

クロスヘッド打撃面と衝撃面との平行度 

p1 

− 

4/1 000 

衝撃面と運動平面との直角度 

p2 

° 

90±1 

運動平面に対する試験片つかみ具面の対称性 

S1 

mm 

±0.5 

試験片の位置 

運動平面に対する対称性 

S2 

mm 

±0.5 

運動平面に対する角度 

p3 

° 

±2.0 

クロスヘッド 

クロスヘッドの質量 

− 

JIS K 7160の表1参照 

検証周期 

検証の周期は,仕様及び使用頻度に応じて決定する。試験機を別の場所に移動した場合,大規模な修理

若しくは調整が必要となった場合又は結果の正確性に疑問が生じた場合は,試験機の検証を実施する。良

15 

B 7739:2020  

好な状態で使用している試験機は,2年周期で総合的に検証することが望ましい。さらに,総合的な検証

の間の1年ごとに試験機各部の部分的な検証をすることが望ましい。 

部分的な検証として,振り子(6.3適合),振り子の軸受の軸方向及び半径方向の遊び(6.2.3及び6.2.4

適合),摩擦損失(6.7準拠)並びに衝撃刃[6.4のa)〜c),6.5のa)及びb)適合]の状態を確認することが

望ましい。 

製造時及び最初の据付時,並びに修理,移動などの後に,製造業者又はメンテナンス業者が検証する特

性の表記については,表4を参照する。 

検証報告 

全ての検証の終了後,報告書を発行する。報告書に記載する事項は,次による。 

a) 検証機関の名称及び住所 

b) 使用者の名称及び住所 

c) 次の関連項目を含む試験機の識別 

1) 製造業者名 

2) 種類又は形式 

3) 製造番号 

4) 試験の種類 

5) 各振り子の位置エネルギーの公称値 

d) 試験機の検証場所 

e) 検証日 

f) 

規格番号 

g) 修理及び調整を行った詳細事項 

h) 摩擦損失Wf,1,Wf,2及びWf,3の平均値(6.7参照) 

i) 

検証及び検査の結果 

j) 

報告書の日付 

k) 報告書番号 

l) 

次回検証推奨期日 

m) 総合的検証又は部分的検証の別 

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16 

B 7739:2020  

附属書A 

(規定) 

シャルピー衝撃試験機の仕様 

シャルピー衝撃試験機固有の特性は,表A.1及び図A.1による。 

表A.1−シャルピー衝撃試験機の特性 

名称(試験機の構成要素) 

図A.1中の記号 

単位 

規定値 

機枠及び振り子位置 

衝撃刃縁に対する受け台の位置 

S1 

mm 

±0.5 

振り子の衝撃刃縁 

衝撃刃の先端角度 

θ1 

° 

30±1 

衝撃刃縁の半径 

R1 

mm 

2.0±0.5 

試験片受け台及び載せ台 

試験片の長軸と基準面との平行度(向き) 

p1 

− 

4/1 000以内で平行 

受け台の曲率半径 

R2 

mm 

1±0.1 

受け台の逃げ角 

θ2 

° 

10±1 

受け台のすくい角 

θ3 

° 

5±1 

載せ台と受け台との角度 

θ4 

° 

90±0.1 

受け台間の距離 

− 

mm 

JIS K 7111-1の表1参照 

衝撃刃と試験片との接触 

− 

− 

完全に接触 

衝撃刃の接触線と試験片の水平軸との垂直度 

− 

° 

±2 

background image

17 

B 7739:2020  

 1 スケール目盛盤 

2 機枠 
3 回転軸 
4 振り子の軸受け 
5 指針 
6 振り子の腕 

7 衝撃刃 
8 衝撃刃縁 
9 載せ台 
10 受け台 
11 基部(基礎部分) 
12 衝撃刃の幅 

13 打撃中心 
14 棒状ゲージ 
15 衝撃刃と棒状ゲージとの接触線 
16 棒状ゲージの軸 
17 基準面 
18 基礎台 

図A.1−シャルピー衝撃試験機の例(規定値は,表A.1参照) 

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18 

B 7739:2020  

附属書B 

(規定) 

アイゾット衝撃試験機の仕様 

アイゾット衝撃試験機固有の特性は,表B.1及び図B.1による。 

表B.1−アイゾット衝撃試験機の特性 

名称(試験機の構成要素) 

図B.1中の記号 

単位 

規定値 

衝撃刃縁 

半径 

R1 

mm 

0.8±0.2 

棒状ゲージの長軸に対する角度 

θ1 

° 

90±2.0 

棒状ゲージの表面についての平行度(全幅にわたる) 

p1 

mm 

0.025 

機枠及び振り子位置 

固定台上面の基準面との平行度 

p2 

− 

3/1 000 

固定部と固定台上面との角度 

θ 2 

° 

90±0.5 

固定部の上面に対する衝撃刃縁の距離 

D1 

mm 

22±0.2 

固定台面 

水平方向及び垂直方向での平行度 

p3 

mm 

0.05 

曲げが生じる固定部上端の半径 

R2 

mm 

0.2±0.1 

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19 

B 7739:2020  

  

1 振り子の軸受け 

2 スケール目盛盤 

3 機枠 

4 試験片 

5 固定台の固定部及び可動部 

6 回転軸 

7 指針 

8 振り子の腕 

衝撃刃 

10 衝撃刃縁 
11  基部(基礎部分) 
12 衝撃方向 
13 固定台上面 
14 固定台の固定部 
15 固定台の可動部 
16 基礎台 

図B.1−アイゾット衝撃試験機の例(規定値は,表B.1参照) 

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20 

B 7739:2020  

附属書C 
(規定) 

引張衝撃試験機の仕様 

引張衝撃試験機固有の特性は,表C.1,図C.1及び図C.2による。 

注記 試験片の位置に依存する振り子形衝撃試験機の場合,その特性は正確な長方形である引張衝撃

用棒状ゲージを用いることで測定できる。射出成形された試験片は成形時の抜き勾配があるた

め,測定に適さない。 

表C.1−引張衝撃試験機の特性 

名称(試験機の構成要素) 

図C.1及び図C.2中の記号 

単位 

規定値 

振り子 

クロスヘッド打撃面と衝撃刃との平行度 

p1 

− 

4/1 000 

クロスヘッド打撃面と回転軸との角度 

p2 

° 

90±1 

運動平面に対する試験片つかみ具面の対称性 

S1 

mm 

±0.5 

試験片の位置 

運動平面に対する対称性 

S2 

mm 

±0.5 

運動平面に対する角度 

p3 

° 

±2.0 

クロスヘッド 

クロスヘッドの質量 

− 

JIS K 7160の表1参照 

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21 

B 7739:2020  

1 機枠 
2 振り子の腕 
3 衝撃刃 
4 試験片 
5 クロスヘッド載せ台 
6 クロスヘッド 

7 試験片の運動平面に対する位置,p3 
8 振り子の打撃面 
9 クロスヘッド打撃面と衝撃刃との平行度,p1 
10 クロスヘッド打撃面と回転軸との角度,p2 
11 回転軸 
12 つかみ具 

13 

振り子の運動平面 

14 

打撃方向 

15 

クロスヘッド打撃面 

16 

基礎台 

図C.1−JIS K 7160のA法で用いる引張衝撃試験機での試験片つかみ具と振り子との関係図 

(規定値は,表C.1参照) 

background image

22 

B 7739:2020  

対称性,S1及びS2 

打撃方向 

振り子ヘッド 

試験片 

アンビル 

振り子の回転軸 

クロスヘッド打撃面と衝撃刃との平行度,p1 

クロスヘッド打撃面と回転軸との角度,p2 

クロスヘッド 

10 振り子の運動平面 

11 クロスヘッド打撃面 
12 受け台面 
13 クロスヘッドと分離した振り子ヘッド 
14 クロスヘッド保持ピン 
15 破断した試験片 
16 硬化処理された打撃パッド 
  (恒久的な変形の防止が必要な場合に用いる。) 
17 保持ピンの外れたクロスヘッド及び試験片つかみ具 
18 振り子ヘッド 
19 基部(基礎部分) 

図C.2−JIS K 7160のB法で用いる引張衝撃試験機の試験片破断後の試験片つかみ具と振り子との関係図

(規定値は,表C.1参照) 

23 

B 7739:2020  

附属書D 
(参考) 

機枠と振り子質量との質量比 

D.1 衝撃エネルギーWと機枠に吸収されるエネルギーWFとの関係式 

衝撃時に機枠へ吸収されるエネルギーWFは,弾性的に取り付けられた機枠が衝撃時に自由に動けると仮

定することで推定できる。衝撃の時間は,機枠の振動周期TFと比較して短い。 

破断した試験片の運動量を無視した場合,運動量保存の法則は,式(D.1)のようになる。 

(

)

FF

P

I

A

mv

mvv

=

 ··································································· (D.1) 

ここに, 

mF: 機枠の質量(kg) 

mP: 振り子の質量(kg) 

vF: 打撃後機枠の最大速度(m/s) 

vI: 衝撃速度(m/s) 

vA: 打撃後の振り子の速度(m/s) 

式(D.1)を二乗し,位置エネルギー, 

2

PI

2

mv

E=

及び,機枠に吸収されるエネルギー, 

2

FF

F

2

mv

W=

を代入し,式(D.2)を得る。 

2

A

I

F

P

F

1vv

m

E

m

W

=

 ···································································· (D.2) 

エネルギー保存の原理から,式(D.3)が与えられる。 

2

PA

F

2

mv

E

WW

=

+

+

 ··································································· (D.3) 

これを再整理すると,式(D.4)を得る。 

A

F

I

1

v

WW

v

E

+

=

 ···································································· (D.4) 

ここに, 

W: 衝撃エネルギー 

D.2 機枠と振り子との質量比 

式(D.4)を式(D.2)に代入することで得られる機枠と振り子との質量比は,試験片の相対衝撃エネルギー

W/E及び機枠に吸収される相対エネルギー吸収WF/Eの関係式で表される。 

2

F

F

P

F

1

1

×

m

WW

E

m

E

W

+

=

 ······················································ (D.5) 

機枠に吸収されるエネルギーは,Eの0.5 %を超えてはならない。図D.1に示された質量比mF/mPは,そ

れぞれWF/E=0.005及び0.01の場合,すなわち,機枠によるエネルギー吸収がEの0.5 %及び1 %の場合

background image

24 

B 7739:2020  

のものである(表D.1参照)。 

図D.1−振り子質量と機枠質量の比mF/mPと試験片の相対吸収エネルギーW/Eとの関係 

表D.1−振り子の最大位置エネルギーをEmaxとし,相対吸収エネルギーWF/Eを 

0.5 %としたときの,相対衝撃エネルギーWmax/EmaxとmF/mP,maxとの関係 

Wmax/Emax(%) 

40 

50 

60 

70 

80 

mF/mP,max 

10 

18 

28 

42 

62 

質量比mF/mP,maxの推奨値は40であり,これは最大の振り子質量での位置エネルギーの70 %までの衝撃

エネルギー測定に適しており,例えば,Emax=50 JであればWmax=35 Jとなる。 

D.3 機枠の剛性 

空振り時の共振による振り子から機枠へのエネルギー伝達を避けるため,機枠の振動周期TFは,次の不

等式(D.6)を満たすものとする。 

F

P/7

T

T

 ·············································································· (D.6) 

ここに, 

TF: 機枠の振動周期(s) 

TP: 振り子の周期(s) 

一般的な振り子の周期TPは,0.9 sから1.3 sまでの範囲である。したがって,機枠の振動周期TFを0.13 

s未満又は0.19 s未満になるように,機枠は十分強固に設置する。 

機枠の剛性SFは,式(D.7)を満足しなければならない。 

25 

B 7739:2020  

2

F

F

2

F

4πm

S

T

············································································ (D.7) 

ここに, 

mF: 機枠の質量(kg) 

ここで,質量比として,mF/mP, max=40を採用し,式(D.6)を用いて整理すると,式(D.7)から式(D.8)を得る。 

P,max

4

F

2

P

7.7×10×m

S

T

 ································································· (D.8) 

ここに, 

SF: 機枠の剛性(N/m) 

mP, max: 振り子の最大質量(kg) 

TP: 振り子の周期(s) 

機枠の剛性SFは,例えば,機枠の打撃方向に働く既知の水平力FF(SF=FF/s)によって生じる変位sか

ら求めてもよい。機枠の振動周期TFは,打撃方向に働く力積によって生じる共振振動から推測するか,又

は適切な記録装置を用いて測定してもよい。 

26 

B 7739:2020  

附属書E 

(参考) 

打撃後の振り子の減速 

E.1 

打撃後の振り子の減速 

打撃直後の振り子の速度vAは,式(D.4)でWFを省略することによって,式(E.1)で表される。 

A

I1W

v

v

E

=

 ········································································ (E.1) 

ここに, 

vΙ: 衝撃速度(m/s) 

W: 衝撃エネルギー(J) 

E: 振り子の位置エネルギー(J) 

図E.1は,異なる振り子形シャルピー衝撃試験,衝撃エネルギー,切欠きなし衝撃強さ及び切欠き付き

衝撃強さに対する打撃後の振り子速度の関係を示す(試験条件は,JIS K 7111-1に規定された試験条件の

呼び方のJIS K 7111-1/1eU及びJIS K 7111-1/1eAを参照)。 

図中の実線は,特定の振り子について,吸収可能な位置エネルギーEの10 %〜80 %を与えることができ

る打撃後の速度を表している(引張衝撃試験の場合,必要なEの範囲は20 %〜80 %であるが,詳細は,

JIS K 7160を参照)。ただし,10 %〜80 %のエネルギー範囲内においては,可能な限り最大の位置エネル

ギーをもつ振り子を用いるものとする。このため,シャルピー衝撃試験で生じる速度の範囲は大幅に狭く,

実質的には,試験片の打撃による減速は,衝撃速度の5 %〜10 %に制限される(図E.1中の太線)。 

この条件を適用することで,位置エネルギーが異なる振り子を用いても,衝撃試験はほぼ同じ速度で行

われることが保証される。 

background image

27 

B 7739:2020  

図E.1−シャルピー衝撃試験機での打撃後の振り子速度と衝撃エネルギー, 

切欠きなし試験片衝撃強さ及び切欠き付き試験片衝撃強さとの関係 

background image

28 

B 7739:2020  

附属書F 

(参考) 

シャルピー衝撃試験機検証用ゲージプレート 

図F.1〜図F.3は,シャルピー衝撃試験機の振り子の検証に用いるゲージプレートの形状及び寸法並びに

使用法を示したものである。 

公差については,JIS B 7722を参照する。 

材料は,耐腐食性材料又はステンレス鋼(例えば,SUS316,SUS304,SUS410)である。 

単位 mm 

図F.1−ゲージプレートの形状・寸法 

background image

29 

B 7739:2020  

a) ゲージプレートが回転軸に対し傾いていないことを示す図 

b) 衝撃刃がゲージプレートエッジに非対称に接触していることを示す図 

  

1 振り子の回転軸 

2 試験片 

3 ゲージプレート 

4 振り子の運動面が試験片の縦軸に対して垂直 

5 振り子の運動面が試験片の縦軸に対して垂直でない 

図F.2−ゲージプレートの使用例:振り子の運動面が試験片の縦軸に対して 

垂直でない場合(図の右側) 

background image

30 

B 7739:2020  

a) 衝撃刃がゲージプレートエッジに非対称に接触していることを示す図 

b) 衝撃刃がゲージプレートの底部まで達していないことを示す図 

  

1 振り子の回転軸 

2 試験片 

3 ゲージプレート 

4 衝撃刃の対称面が振り子運動平面と一致 

5 衝撃刃の対称面が振り子運動平面と不一致 

図F.3−ゲージプレートの使用例:衝撃刃の対称面が振り子の運動平面にない場合(図の右側) 

参考文献  

JIS B 7722 金属材料のシャルピー衝撃試験−試験機の検証 

background image

31 

B 7739:2020  

附属書JA 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS B 7739:2020 非金属材料用振り子形衝撃試験機−試験機の検証方法 

ISO 13802:2015,Plastics−Verification of pendulum impact-testing machines−Charpy, 
Izod and tensile impact-testing 

(I)JISの規定 

(II) 
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

規格名称 

非金属材料用振り
子形衝撃試験機 

プラスチック用振り子
形衝撃試験機 

変更 

適用範囲をプラスチック以外の使
用実態に合わせた。 

プラスチック材料以外の材料使用
者の実態に合わせただけで,技術
的差異の発生はなし。 

適用範囲 

Scope 

変更 

内容的に振り子形試験機の原理の
解説が含まれていて,JISの適用範
囲の説明にそぐわないため削除し
た。 

5.1に,削除した文意を振り子形衝
撃試験機の概要として記載したの
で,技術的差異はなし。 

3.20 アイゾット衝
撃用及びシャルピ
ー衝撃用棒状ゲー
ジ 

3.20 

Izod/Charpyimpact 
reference specimen 

変更 

reference specimenは和文的には参
照試験片となるが,内容にステンレ
ス鋼などで作製したゲージとある
こと,非金属の試験機の試験片と矛
盾することからアイゾット衝撃用
及びシャルピー衝撃用棒状ゲージ
とした。また,多目的試験片の寸法
形状に合わせ高さ4 mm×幅10 mm
に変更した。 

技術的差異はなし。 

3.21 引張衝撃用棒
状ゲージ 

3.22 

tensile impact reference 
specimen 

変更 

reference specimenは和文的には参
照試験片となるが,内容にステンレ
ス鋼などで作製したゲージとある
こと,及び非金属の試験機の試験片
と矛盾することから引張衝撃用棒
状ゲージとした。 

技術的差異はなし。 

5

B

 7

7

3

9

2

0

2

0

background image

32 

B 7739:2020  

(I)JISの規定 

(II) 
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

3(続き) 

3.22 打撃位置角度 

− 

追加 

式(4)による衝撃速度の計算に必要
な打撃位置角度を定義した。 

規格理解のための用語解説の追加
で,技術的差異なし。 

3.23 振り上がり角
度 

− 

追加 

式(5)による衝撃エネルギーの計算
に必要な振り上がり角度を定義し
た。 

規格理解のための用語解説の追加
で,技術的差異はなし。 

3.24 吸収エネルギ
ー 

− 

追加 

式(6)により計算される吸収エネル
ギーを定義した。 

規格理解のための用語解説の追加
で,技術的差異はなし。 

5.1 

振り子形衝撃試験
機の概要 

− 

追加 

箇条1の適用範囲で削除した振り
子形衝撃試験機の原理的な内容を
試験機の概要として新規項目とし
て追加記載した。これにより,以下
の項番がずれる。 

国際規格の適用範囲に記載されて
いた内容をこの細分箇条に転記し
ただけで,技術的差異はなし。 

6.1 

打撃中心(表1) 

6.1 

Centre of percussion 
(Table 1) 

変更 

国際規格では打撃点から打撃中心
までの距離を,振り子長さLPに関
係せず,±2.5 mmと規定している
が,関連数値である6.2.10の打撃点
長さが±l %であり,旧規格も±l %
であり,打撃中心の精度は,±l %
に変更した。 

増しおもりを用いる振り子に対し
ても製作上妥当な規定値であり,
試験精度への影響は少ないと判断
した。 

6.2.6 

自由つり下げ位置 

6.2.6 

JISとほぼ同じ 

変更 

国際規格は誤差を6.35 mm以内と
規定しているが,金属衝撃試験機の
規格JIS B 7722の精度に合わせ, 
2.5 mm以内と精度を上げる方向に
変更した。 

試験機の精度を上げる方向で維持
される。 

6.2.7 

棒状ゲージと衝撃
刃縁との接触 

6.2.7 

Contact 

between 

specimen and striking 
edge 

追加 

国際規格は,カーボン紙を使用して
の検証が記載されているが,日本に
おいては,カーボン紙ではなく多く
は光明丹を使用して同様の検証が
実施されていることから追記した。 

精度などの技術的差異はなし。 

5

B

 7

7

3

9

2

0

2

0

background image

33 

B 7739:2020  

(I)JISの規定 

(II) 
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

6.2.9 

振り子長さ,LP 

6.2.9 

Pendulum length, LP 

削除 

国際規格は,国際標準重力加速度 
9.81 m/s2を使用しているが,この規

格では試験機設置場所の重力加速
度を用いることとしたため,定数化
した式は削除した。 

技術的差異はなし。 

6.6.3 

吸収エネルギーWi
スケール目盛の検
査 

6.6.3 

Error in the indicated 
absorbed energy, Wi, on 
analogue 

indicating 

systems 

削除 

国際規格にあるd)の項目は,前項目
c)の内容と重複していると判断し
たため削除した。 

技術的差異はなし。 

6.7.5表4 

アイゾット衝撃試
験機の試験片固定
台の水平方向及び
垂直方向での平行
度 

Table 4 

Parallelism in horizontal 
and vertical direction 

変更 

国際規格の表中には±0.5 mmと記
載されているが,本文中の規定値±
0.05 mmが妥当と判断して修正し
た。 

本文を正として,記載間違いを修
正しただけのため,技術的差異は
なし。 

6.7.5表4 

引張衝撃試験機の
試験片の位置の運
動平面に対する角
度 

Table 4 

Angle relative to plane of 
swing 

変更 

クロスヘッドの中心線と運動平面
との許容値0.2°と同程度の公差適
用が妥当かつ現実的であると判断
して,±2.0°とした。 

試験機の構造寸法許容値から,妥
当かつ現実的な変更であり,試験
結果への影響は微小である。 

附属書A 

シャルピー衝撃試
験の仕様 

Annex A 

Design requirements for 
Charpy machines 

削除 

仕様表前の前文に,表2の位置エネ
ルギーの公称値の10 %超えて異な
ってはならないと記載されている
が,本文中には1 %以内と規定して
おり矛盾しているため文全体を削
除した。 

本文を正とした場合,記載間違い
を削除しただけのため,技術的差
異はなし。 

表A.1 

衝撃刃縁に対する
受け台の位置 

Table 
A.1 

Position 

of 

supports, 

relative to striking edge 

変更 

対応国際規格は,±10 mmとしてい
るが,受け台の振り分け中心(試験
片の中央)に対して誤差として大き
すぎることから,旧規格が採用して
る±0.5 mmに変更した。 

試験片への衝撃位置に関わる寸法
で,対応国際規格の値は,試験結
果への影響が懸念されるほど誤記
に近い数値と思われる。変更値は
旧規格でも採用している妥当かつ
現実的な変更である。 

5

B

 7

7

3

9

2

0

2

0

background image

34 

B 7739:2020  

(I)JISの規定 

(II) 
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

図A.1 

基礎台 

Figure 
A.1 

追加 

本文中に安定した基礎台に試験機
を固定する内容の記載があるが,図
中に表現されていないため,図示記
号18として追加した。 

技術的差異はなし。 

表B.1 
 

棒状ゲージの表面
についての平行度 

Table 
B.1  

Parallelism with face of 
reference specimen (over 
full width) 

変更 

旧規格及び国際規格の両方の表4
で,棒状ゲージの平行度を0.025 
mmと規定しているにもかかわら
ず,表B.1だけが当該規定値を0.05 
mmとしている。これは誤記と判断
し,0.025 mmに変更した。 

表4の記載を正とした場合,記載
間違いの修正だけのため,技術的
差異はなし。 

図B.1 

基礎台 

Figure 
B.1 

追加 

文中に安定した基礎台に試験機を
固定する内容の記載があるが,図中
に表現されていないため,図示記号
16として追加した。 

技術的差異はなし。 

表C.1 

試験片の位置 

Table 
C.1 

Test specimen position 
Angle relative to plane of 
swing 

変更 

国際規格では運動平面とのずれを
0.2°と規定しているが,他の特性
値クロスヘッドの中心線と運動平
面の許容値±2.0°と同程度の公差
適用が現実的であると判断して変
更した。 
 

クロスヘッドが2°の誤差を許容
しているのに,そのクロスヘッド
に取り付ける試験片の取付誤差が
0.2°では,試験運用上確認が取れ
ない厳しい数値であり検証が困難
であるため,また,0.2°と2°の
差が試験結果に与える影響が,他
の影響因子の精度と比較しても小
さいと判断して変更した。 

図C.1 

基礎台 

Figure 
C.1 

追加 

文中に安定した基礎台に試験機を
固定する内容の記載があるが,図中
に表現されていないため,図示記号
16として追加した。 

技術的差異はなし。 

附属書D 

式(D.4)及び式(D.5) 

Annex D 

Ratio of frame mass to 
pendulum mass 

変更 

式(D.4)及び式(D.5)は,式(D.3)を変
形すると,記載している式と合わな
いため修正した。 

式の変換ミスの修正のため, 
技術的差異はなし。 

5

B

 7

7

3

9

2

0

2

0

background image

35 

B 7739:2020  

(I)JISの規定 

(II) 
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

附属書F 

図F.1−ゲージプレ
ートの形状・寸法 

Annex F 

Figure F.1−Shape and 
dimensions of the gauge 
plate 

変更 

国際規格ではゲージプレートの図
の幅の主寸法が40 mmとなってお
り,金属シャルピーのゲージをその
まま引用記載したと思われる。しか
し,この規格の主材料のプラスチッ
ク規格は,受け台間距離が60 mm
であるため,そのままでは使用でき
ず,この附属書は,参考情報だが,
製作及び作業において誤解を招く
可能性があることから,旧規格の図
E.1を踏襲して記載した。 

旧規格と同じジグが引き継がれる
ため分かりやすいことと,使用者
側による必要部分の寸法置換えな
どによる手間と,ミスがなくなる
ことから,有用と判断して変更し
た。分かりやすく変更しただけで,
技術的差異はなし。 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 13802:2015,MOD 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

− MOD ··············· 国際規格を修正している。 

5

B

 7

7

3

9

2

0

2

0