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B 7735

:2010

(1)

目  次

ページ

序文 

1

1  適用範囲

1

2  引用規格

1

3  用語及び定義 

2

4  製造方法,形状及び寸法 

2

4.1  製造方法 

2

4.2  形状及び寸法 

2

5  校正用試験機 

2

5.1  一般

2

5.2  試験力

2

5.3  圧子

2

5.4  測定装置 

3

5.5  試験機の防振 

3

6  硬さ決定の手順 

3

7  基準片の硬さの均一性 

4

8  表示

4

9  基準片の硬さ値の有効性 

5

附属書 A(参考)硬さ基準片の硬さ平均値の不確かさ 

6

附属書 JA(参考)基準片の推奨基準

9

附属書 JB(参考)JIS と対応国際規格との対比表 

13


B 7735

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(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,日本試験機工業会

(JTM)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの

申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS B 7735:1997 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。


日本工業規格

JIS

 B

7735

:2010

ビッカース硬さ試験−基準片の校正

Vickers hardness test-Calibration of reference blocks

序文 

この規格は,2005 年に第 3 版として発行された ISO 6507-3 を基に,技術的内容を変更して作成した日

本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,

附属書 JB に示す。

適用範囲 

この規格は,JIS B 7725 に規定したビッカース硬さ試験機の間接検証,試験機の日常の精度管理などに

用いる硬さ基準片(以下,基準片という。

)の校正方法について規定する。国際規格では適用範囲をくぼみ

の対角線長さが 20 μm 以上としているのに対し,この規格ではくぼみの対角線長さの下限を規定していな

い。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 6507-3:2005,Metallic materials−Vickers hardness test−Part 3: Calibration of reference blocks

(MOD)

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“修正している”

ことを示す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS B 0601  製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメ

ータ

注記  対応国際規格:ISO 4287:1997,Geometrical Product Specifications (GPS)−Surface texture: Profile

method−Terms, definitions and surface texture parameters(IDT)

JIS B 0621  幾何偏差の定義及び表示 
JIS B 7725  ビッカース硬さ試験−試験機の検証及び校正

注記  対応国際規格:ISO 6507-2:2005,Metallic materials−Vickers hardness test−Part 2: Verification

and calibration of testing machines(MOD)

JIS Z 8103  計測用語


2

B 7735

:2010

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 8103 による。

製造方法,形状及び寸法 

4.1 

製造方法 

基準片の製造方法は,次による。

a)  基準片の材料は,硬さの均一性を保たせることを考慮して選定する。

b)  基準片は,所定の硬さを得るために必要な熱処理を行い,硬さが均一で,くぼみの 2 方向の対角線長

さが等しく,かつ,経時変化が生じないよう考慮した製造方法とする。

c)  基準片の使用面の仕上げを行う場合,加工による硬さ変化ができるだけ生じないよう考慮した製造方

法とする。また,基準片は,残留磁気による硬さの誤差を生じないようにする。

4.2 

形状及び寸法 

基準片の形状及び寸法は,

表 による。

表面粗さは,JIS B 0601 によって,平行度及び平面度は,JIS B 0621 による。

表 1−基準片の形状及び寸法 

厚さ 5

mm 以上

19.61 N 以上の試験力で用いるものは, 
厚さ 10 mm 以上が望ましい。

平面度(使用面) 5

μm 以下

平行度(裏面に対する)

10 μm/50 mm 以下

表面粗さ

使用面 0.05

μmRa

裏面 0.8

μmRa

基準片の使用面は,一平面だけとする。また,直径 25 mm 以上のものの場合は周縁から 3 mm 以上,直

径 50 mm 以上のものの場合は周縁から 4 mm 以上隔てた内側を使用範囲とする。

校正用試験機 

5.1 

一般 

基準片の硬さの決定及び基準くぼみの対角線長さの基準値の決定に用いる試験機は,JIS B 7725 の規定

に適合し,更に,5.25.4 の性能を満足するものでなければならない。また,その性能は 12 か月以内の間

隔で確認する。

注記  基準くぼみは,JA.4 による。

5.2 

試験力 

試験力の各測定値の呼び試験力に対する許容差は,1.961 N 以上の試験力では±0.1 %,1.961 N 未満の試

験力では±0.5 %とする。

5.3 

圧子 

圧子は,次による。

a)  対角面は,136±0.1°とする。

b)  角すい(錐)面の平面度は,0.3 μm 以下とする。

c)  角すい(錐)面の割出し角度は,90±0.2°とする。


3

B 7735

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d)  先端のりょう(稜)線の長さは,表 による。

表 2−先端のりょう線長さの許容値 

試験力の範囲

N

許容値

μm

F≧49.03 1.0

1.961≦F<49.03 0.5

0.098 07≦F<1.961 0.25

a)

a)

 0.25

μm 以下が望ましい。

e)  圧子の四角すい中心軸は,ホルダの座面に対して 90±0.3°とする。

5.4 

測定装置 

測定装置の最小読取り能力及び測定長さの許容差は,

表 による。また,測定領域の 5 区画以上につい

て対物ミクロメータを測定して検証しなければならない。

表 3−最小読取り能力及び測定長さの許容差 

測定長さ  d

最小読取り能力

測定長さの許容差

d≦40 μm 0.1

μm 以下 0.2

μm

40 μm<d≦200 μm 0.002

5

以下 0.005

d

d>200 μm 0.002

5

以下 1.0

μm 又は 0.01 d

5.5 

試験機の防振 

微小硬さ試験機(試験力が 9.807 N 以下の試験機)の場合には,試験機に加わる振動加速度は,50 mm/s

2

以下とする。

硬さ決定の手順 

硬さ決定の手順は,次による。

a)  試験温度は,23±5  ℃とし,試験中の温度変化は,1  ℃以下とすることが望ましい。

b)  試験力は衝撃及び振動を伴うことなく,かつ,負荷機構の慣性による誤差が無視できる程度の速度で

増加して規定の大きさにする。

c)  負荷開始から試験力に到達するまでの時間及び圧子の接近速度は,表 による。

表 4−負荷所要時間及び圧子の接近速度 

試験力の範囲

N

負荷所要時間

s

圧子の接近速度

mm/s

F<1.961

≦10 0.05∼0.2

1.961≦F<49.03

≦10 0.05∼0.2

F≧49.03 6∼8 0.05∼1

圧子の接近速度は,表の範囲が望ましい。

d)  試験力の保持時間は,10∼15 s とする。

e)  硬さの測定は,使用面を代表する 5 点で行う。


4

B 7735

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注記  6 点以上の測定を行った場合は,測定点数を明示することが望ましい。

f)  くぼみ測定の安定性及び偏りについては,定期的に管理を行う。

基準片の硬さの均一性 

基準片の硬さの均一性は,次による。

a)  均一性は,使用面を代表する 5 点の硬さ測定値のばらつきの範囲から,次の式によって求める。

100

1

5

×

=

H

H

H

R

ここに,

R: 均一性(%)

: 硬さの測定値の平均値(HV)で,次の式によって求める。

5

5

4

3

2

1

H

H

H

H

H

H

+

+

+

+

=

ここに,

  H

1

H

2

,……,

H

5

5

点の硬さ測定値(

HV

H

1

H

2

<……<

H

5

b)

均一性の許容値は,

表 及び表 による。

表 5−基準片の硬さ均一性の許容値(くぼみの対角線長さ≧20 μm 

単位  %

硬さ記号

基準片の硬さ

HV0.01 から HV0.1 まで

HV0.2 から HV5 まで HV5 から HV100 まで

≦225HV 6

4

>225HV

8 又は 1 μm

a)

4 2

a)

 150HV 以下は,硬さの 16 %又はくぼみの対角線長さで 1 μm のいずれか大きい値。

表 6−基準片の硬さの均一性の許容値(くぼみの対角線長さ<20 μm 

単位  %

硬さ記号

HV0.01 から HV0.02 まで HV0.02 から HV0.05 まで

HV0.05 から HV0.1 まで

HV0.1 から HV100 まで

18 16 13 12

基準片の硬さは,900HV 以下とする。

表示 

基準片に関する表示は,次による。

a)

表示は,次の事項を基準片の使用面の使用範囲以外及び裏面以外の部分に行う。

なお,基準片側面のすべての記号は,試験面を上向きにしたときに正立するように表示する。

1)

製造業者名又はその略号

2)

基準片の製造番号

3)

使用面の使用範囲以外には試験面を特定するマーク又は基準片の厚さ

4)

硬さの平均値,硬さ記号及び均一性

5)

校正機関名又はその略号

6)

校正年若しくはその略号又は西暦年の下

2

けたの数字

b)

基準片に添付する成績票には,次の事項を記載する。


5

B 7735

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1)

この規格に適合している情報

2)

基準片を特定する情報

3)

校正年月日

4)

硬さの平均値及び均一性

注記

平均値については,不確かさを表示することが望ましい。

なお,基準値の信頼限界を,

表 JA.4 に示す。

5)

基準くぼみの対角線長さ測定結果の平均値とその位置を示すことが望ましい。

基準片の硬さ値の有効性 

基準片の硬さ値は,校正時の試験力による値だけが有効である。また,校正の有効期間は,

5

年以内が

望ましい。ただし,アルミニウム合金及び銅合金を材料とする基準片については,校正の有効期限が

2

3

年に減ぜられる場合がある。


6

B 7735

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附属書 A

(参考)

硬さ基準片の硬さ平均値の不確かさ

硬さ試験の不確かさは,試験にかかわる諸条件が複雑に関与するため,また参照値の確立の困難な条件

から正確に見積もることは難しい。ここでは,硬さ試験の不確かさに関与する校正用試験機の直接検証,

間接検証の項目を想定し,計算事例を示す。

A.1  硬さ値校正用試験機の直接検証 
A.1.1  
試験力の校正 

JIS B 7725 の附属書 参照。

A.1.2  くぼみ計測装置の校正 

JIS B 7725 の附属書 参照。

A.1.3  圧子の検証 

JIS B 7725 の附属書 参照。

A.1.4  試験動作(負荷条件)の検証 

JIS B 7725 の附属書 参照。

A.2  硬さ値校正用試験機の間接検証 

注記

この附属書では,

CRM

(認証標準物質)

”は,

“硬さ基準片”を同義であるとする。

硬さ値校正用試験機の総合的な性能は,

1

次標準硬さ基準片を用いた間接検証によって検査される。そ

の際には,繰返し性及び実際の硬さ値からの硬さ値校正用試験機の偏差が決定される。

一方,間接検証の結果を利用して,硬さ値校正用試験機の不確かさは,式

(A.1)

によって求める。

ms

2

D

-

CRM

2

1

-

CRM

2

P

-

CRM

2

CM

u

u

u

u

u

x

+

+

+

=

(A.1)

ここに,

u

CRM-P

1

次標準硬さ基準片の校正証明書の k

1

の場合から求めた

校正の標準不確かさ

u

xCRM-1

硬さ値校正用試験機の繰返し性に起因する標準不確かさ

u

CRM-D

ドリフトに起因する最終校正以降の

1

次標準硬さ基準片の

硬さ値の不確かさ

u

ms

硬さ値校正用試験機の分解能に起因する不確かさ

計算例 

1

次標準硬さ基準片

 400.1

HV 30

1

次標準硬さ基準片の測定不確かさ(k

1

u

CRM-P

=±

2.5 HV

1

次標準硬さ基準片の経時変動

u

CRM-D

0

硬さ試験機の分解能

δ

ms

0.1 μm


7

B 7735

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表 A.1−間接検証の測定結果 

No.

くぼみ対角線長さ  d

mm

硬さ値  H

HV

1 0.373

4(最大値)

399.0(最小値)

2 0.3

0

399.9

3 0.372

5(最小値)

400.9(最大値)

4 0.3

8

400.3

5 0.3

9

400.3

平均値 0.3

92

400.1

標準偏差  s

x

CRM-1

 0.0

33 0.70

測定の標準不確かさ  u

x

CRM-1

 0.0

17

0.36

36

.

0

1

-

CRM

1

-

CRM

=

×

=

n

s

t

u

x

x

(A.2)

n

5

の場合,

t

1.14

1)

1)

正規分布における±

σ

の外側累積確率

0.317

に対応する自由度

4

のときのスチューデントの

t

値。

表 A.2−測定の不確かさの明細表 

X

i

 

推定値

x

i

標準不確かさ

u(x

i

)

確率分布

感度係数

c

i

不確かさの寄与

u

i

(H)

u

CRM-P

400.1 HV 30

2.5 HV

正規分布 1.0  2.5

HV

u

xCRM-1

0 HV

0.36 HV

正規分布 1.0 0.36

HV

u

ms

 0

HV

0.1

μm=

0.000 1 mm

方形又は長方形

分布

2 145.8

a)

 0.21

HV

u

CRM-D

0 HV

0 HV

三角分布 1.0  0

HV

合成不確かさ u

CM

2.53 HV

a)

  感度係数は,式(A.3)による。

(

)

d

H

d

HV

c

i

2

=

=

 (A.3)

この計算例では,H=400.1 HV 及び d=0.372 92 mm を用いた。

A.3  硬さ基準片の校正の不確かさ 

硬さ基準片の校正の不確かさは,式

(A.4)

によって求められる。

2

-

CRM

2

CM

2

CRM

x

u

u

u

+

=

(A.4)

ここに,

u

CRM

硬さ基準片の校正の不確かさ

u

xCRM-2

硬さ基準片の硬さ分布の不均一性に起因する標準不確かさ

u

CM

硬さ値校正用試験機の不確かさ[式

(A.1)

を参照]


8

B 7735

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計算例 

表 A.3−硬さ基準片の不均一性の推定 

No.

くぼみ対角線長さ  d

mm

硬さ値  H

HV

1 0.373

6(最大値)

398.6(最小値)

2 0.3

1

399.6

3 0.372

3(最小値)

401.4(最大値)

4 0.3

5

400.9

5 0.3

1

399.6

平均値 0.3

92

400.0

標準偏差  s

xCRM-2

 0.0

52 1.12

硬さ基準片の不均一性に起因する標準不確かさ

n

s

t

u

x

x

2

-

CRM

2

-

CRM

×

=

(A.5)

                    ここに,

n

5

のとき

t

1.14

である。したがって,

HV

57

.

0

2

-

CRM

=

x

u

表 A.4−硬さ基準片の校正の不確かさ 

硬さ基準片の

硬さ値

H

CRM

HV

硬さ基準片の

不均一性

u

xCRM-2

HV

硬さ値校正用試
験機の不確かさ

u

CM

HV

硬さ基準片の

校正の不確かさ

U

CRM

HV

400.0 0.57 2.53 5.20

                    ここに,

2

2

-

CRM

CM

2

CRM

2

x

u

u

U

+

=

(A.6)


9

B 7735

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附属書 JA

(参考)

基準片の推奨基準

JA.1 

硬さ基準片の材料 

4.1 a)

を考慮すると,硬さ基準片の材料は,

表 JA.1 によることが望ましい。

表 JA.1−基準片の材料及び硬さ 

材質

材料

硬さ HV

JIS G 4401 の SK85 
JIS G 4404 の SKS3

JIS G 4805 の SUJ2

200∼900

ベリリウム銅

JIS H 3130 の C1720P 200∼400

黄銅

JIS H 3100 の C2600P 100

JIS H 3100 の C1020P 40

JA.2 

くぼみの測定 

JA.2.1 

一般 

基準片の硬さ測定及び校正用試験機の管理を行う場合のくぼみ測定の精度は,JA.4 に示す方法で作られ

る基準くぼみを使って管理し,JA.2.2 及び JA.2.3 を満足することが望ましい。

注記

JA.2.1JA.2.3 に示すくぼみ測定の精度管理は,測定者及びくぼみ測定装置に適用する。

JA.2.2  くぼみ測定の安定性 

くぼみ測定の安定性は,基準くぼみ又は定くぼみ

1)

の測定を繰り返し及び反復して行ったときの平均値

の管理限界で表し,

表 JA.2 を満足することが望ましい。

1)

硬さ基準片などに付けられた対角線の長さの比較測定のために特定されているくぼみをいう。

表 JA.2−くぼみ測定値の平均値の管理限界 

対物レンズの

倍率

管理限界 L

d

(信頼率 95 %)

ばらつき

(標準偏差 σ

M

40

±0.4 μm 0.2

μm

20

±0.6 μm 0.3

μm

10

±1.0 μm 0.5

μm

管理限界は,次の式によって求める。

( )

1

2

2

2

M

d

±

=

±

k

d

d

L

j

σ

ここに,

L

d

くぼみ測定の平均値の管理限界

j

: 次の式によって求めた値

n

d

d

i

j

=

i

1

2

,……,n

ここに,

n: 繰返し回数で,n

3


10

B 7735

:2010

d

i

個々のくぼみ測定値

d

次の式によって求めた値

k

d

d

j

=

j

1

2

,……,

k

ここに,

k

反復回数

測定の反復は,硬さ測定の作業日ごとに行い,

k

25

30

となった後管理限界を計算する。

なお,初めに管理限界を求めるとき,又は新たにくぼみ測定の安定性を求める必要がある場合は,数日

おきに

5

回測定の反復を行って得たデータから,平均値のばらつきの標準偏差を求め,その

2

倍の値を管

理限界とする。

JA.2.3 

偏りの補正 

測定者(又はくぼみの自動測定装置)による測定値の偏りは,基準くぼみの測定を行って求め,次の手

順によって補正を行う。

a)

基準くぼみの対角線長さの基準値は,JA.4 の方法によって定める。

b)

偏りは,基準くぼみの測定値から対角線長さの基準値を差し引いて求める。

c)

補正値は,次の式によって求める。

=

2

2

1

δ

σ

δ

C

ここに,

C

くぼみ測定の偏り補正値

δ

くぼみ測定の偏り

σ

くぼみ測定のばらつきの標準偏差

ただし,

δ

σ

の場合は,

C

0

とする。

JA.3 

硬さ測定の安定性 

硬さ測定の安定性は,管理限界で表し,

表 JA.3 に示す値以内に管理することが望ましい。

表 JA.3−硬さ測定値の平均値の管理限界(信頼率 95 % 

単位  %

硬さの範囲 HV

硬さ記号

100∼200 700∼800

HV0.01

±5

±10

HV0.05

±5

±7

HV0.1

±5

±5

HV0.2

±5

±4

HV1

±2.5

±2.0

HV10

±0.8

±0.8

HV30

±0.5

HV50

±0.5

HV100

±0.5

硬さ測定の安定性の管理は,

表 JA.3 のいずれかの硬さ記号(試験力)及び硬さの段階で行う。

管理限界は,

3

点測定の平均値に対する値とし,次の式によって求める。


11

B 7735

:2010

(

)

1

2

2

H

±

=

k

H

H

H

L

j

ここに,

L

H

硬さ測定の平均値の管理限界

j

H

次の式によって求めた値

n

H

H

i

j

=

i

1

2

,……,

n

ここに,

n

繰返し回数で,

n

3

H

i

個々の硬さ測定値

H

次の式によって求めた値

k

H

H

j

=

j

1

2

,……,

k

ここに,

k

反復回数

JA.4 

基準くぼみ 

a)

基準くぼみは,対角線長さの基準値が決定しているくぼみである。

b)

対角線長さの基準値は,次の方法によって決定する。

1)

必要とする試験力の範囲及び硬さ段階ごとに,硬さの均一性がよい基準片に,

5

段階以上の一連の

試験力で反復してくぼみを作成し,その対角線長さを測定する。

2)

1)

の一群のくぼみ測定を用い,次の式によって偏りの最小二乗推定値を求める。

γ

α

δ

i

j

ij

i

F

d

d

=

=

ここに,

F

i

試験力(

N

i

1

2

,……)

d

i

試験力

F

i

によるくぼみの対角線長さ(

μm

d

ij

試験力

F

i

によるくぼみの対角線長さの測定者(又はくぼみの

自動測定装置)

j

j

1

2

,……)による測定値(

μm

δ

j

測定者(又はくぼみの自動測定装置)

j

の偏り(

μm

α

実験によって決まる定数

γ

実験によって決まる指数

3)

1)

のくぼみの測定値に,2)

で求めた偏りを補正することによって,対角線長さの基準値が決定し,

基準くぼみとなる。

c)

実用の基準くぼみは,b)

において決定された基準くぼみとの比較測定によって校正する。

d)

実用の基準くぼみは,供給可能な校正機関などから供給される。対角線長さの基準値の信頼限界は,

信頼率

95 %

で次のようになる。

10

15

倍の対物レンズを用いる場合  ±

0.6 μm

20

倍以上の対物レンズを用いる場合  ±

0.4 μm

JA.5 

基準値の信頼限界 

硬さ基準片に表示する硬さの平均値の不確かさの目安の値は,

表 JA.4 による。


12

B 7735

:2010

表 JA.4−硬さの平均値の不確かさ(信頼率 95 %,測定点数 n5 

単位  %

硬さ

硬さ記号

100HV 以下 200HV

500HV

800HV

HV0.01

12.0 16.5 21.0 24.0

HV0.05

7.0 7.5 9.5 11.0

HV0.1

5.0 5.5 7.0 8.0

HV0.2

4.0 4.0 5.0 5.5

HV0.5

2.5 2.5 3.0 3.5

HV1 2.0 2.0 2.5 2.5 
HV10

1.0 1.0 1.0 1.0

HV30

− 1.0 1.0

HV50

− 1.0

HV100

− 1.0

参考文献

JIS G 4401  炭素工具鋼鋼材

JIS G 4404  合金工具鋼鋼材

JIS G 4805  高炭素クロム軸受鋼鋼材

JIS H 3100  銅及び銅合金の板並びに条

JIS H 3130  ばね用のベリリウム銅,チタン銅,りん青銅,ニッケル−すず銅及び洋白の板並

びに条


附属書 JB

(参考)

JIS

と対応国際規格との対比表

JIS B 7735

:2010  ビッカース硬さ試験−基準片の校正

ISO 6507-3

:2005  Metallic materials−Vickers hardness test−Part 3: Calibration of

reference blocks 

(I)JIS の規定

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容

箇条番号 
及び題名

内容

(II) 
国際

規格
番号

箇条 
番号

内容

箇条ごと 
の評価

技術的差異の内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

1  適用範囲

1

JIS にほぼ同じ。

変更

JIS では,くぼみの対角線長さ
の下限を規定しない。

国内の利用状況に照らし,下限を
規定しないこととした。

3  用語及び
定義

追加

4.2  形 状及
び寸法

表 1

3.2 
3.4 
 
 
3.5

... thickness not less than 5 mm, 
... surface shall not exceed 0.005 
mm, ... shall not exceed 0.010 mm 
in 50 mm. 
...  R

a

 shall not exceed 0,000 05

mm for ... shall be 0,80 mm.

追加

差異はない。

見やすいように表にまとめた。

基 準 片 の 使 用 面 の
範囲を規定

 3

追加

使用条件をより明確にする。

旧 JIS 内容を継承。

5.1  一般

注記

4

追加 JA.4(基準くぼみ)

JIS には計算方法が示されている。

5.2  試験力

1.961 N 以 上 は ±
0.1 %,1.961 N 未満
は±0.5 %

4.4

... to within ± 0.1 % for nomal and 
low-force hardness, and to within 
± 0.5 % for microhardness.

変更

使用条件をより明確にする。
差異はほとんどない。

旧 JIS 内容を継承。

d)の表 2 の注

a)

  4.5

c)

Table 1

追加

ISO 規格及び旧 JIS にはない。 現状を踏まえて,望ましいとした。

5.3  圧子

e)

4.5  −

追加

ISO 規格にはない。

座面と中心軸は 90°でなければ
ならない。

13

B 773

5


2

010


 (I)JIS の規定

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容

箇条番号

及び題名

内容

(II) 
国際
規格

番号

箇条

番号

内容

箇条ごと

の評価

技術的差異の内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

5.4  測 定装

表 3 中の点線の下線

 4.6

Table 2

0,000 1 mm

変更

くぼみの大きさによっては,1 
μm 以上でも,0.01 以内であ
ればよい。

旧 JIS を継承し,又は 0.01  以内

を追記した。

c)  表 4


Table 3

0.05∼1 mm/s

追加

旧 JIS では,試験力が 9.807 N

以下の場合は,接近速度は 15
∼200 μm/s とした。

くぼみの対角線長さが 20 μm 以下

の試験条件を考慮して,旧 JIS 
容を継承。

d)  10∼15 s

5

shall be 13 s to 15 s

変更

保持時間範囲が JIS の方が 3 s
長い。

技術的には影響がないと判断し,
旧 JIS 内容を継承。

e)の注記

6

追加

6 点以上測定する場合を考慮
している。

旧 JIS 内容を継承。

6  硬さ決定
の手順

f)

6  −

追加

定期的な測定を継続する。

旧 JIS 内容を継承。

a)

7

7.1 ... measured diagonals, ...

変更

対 角 線 長 さ で は な く , 硬 さ
(HV)値で計算した。

技術的には影響がないと判断し,
旧 JIS 内容を継承。

7  基準片の
硬さの均一

b)の表 6

7

7.2  Table 4

追加

くぼみの大きさが<20  μm の
場合も示す。

旧 JIS 内容を継承。

b)の 4)の注記

8.3

d)

記述なし

追加

不確かさの記述

旧 JIS 内容を継承。

8  表示

b)の 5)

8.3 e)

Information about the ... measured 
diagonal length.

変更

旧 JIS にはない。

基準くぼみの供給が確立されてい
ない。

JIS と国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 6507-3:2005,MOD

注記 1  箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

−  追加国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。

−  変更国際規格の規定内容を変更している。

注記 2  JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

−  MOD 国際規格を修正している。 

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2

010