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日本工業規格

JIS

 B

7528

-1979

水銀充満圧力式指示温度計

Mercury Filled Thermometers

1.

適用範囲  この規格,ブルドン管と感温筒とを導管で連結したものの中に水銀を充満した圧力系部と,

指示部とからなる単針同心の丸形圧力式指示温度計(以下,温度計という。

)のうち,温度範囲−30〜500℃

に使用されるものについて規定する。

引用規格:11 ページに示す。

2.

用語の意味  この規格で用いる主な用語の意味は,次による。

(1)

圧力系部  測定しようとする温度を可視的な変位に転換する一連の装置で,ブルドン管及び感温筒か

らなり,この系内に水銀を充満してあるもの。

(2)

指示部  ブルドン管の変位を,温度指示として読み取れるようにした装置。

(3)

導管  感温筒とブルドン管とを連結する金属製の細管。

(4)

ブルドン管  感温筒に導管を通じてつながれている金属製の円弧状,うず巻状などの偏平管であって,

封入された感温部の水銀の温度による体積変化によって変位を生じさせるもの。

(5)

変換機構  ブルドン管の変位を,ピニオン・セクタ歯車その他の機構により指針の動きに変換するも

の。

(6)

接続部  感温部を測定しようとする場所に取り付けて固定する部分。

(7)

感温部  被測温物にそう(挿)入する部分。

(8)

感温筒  感温部の一部であり水銀を封入した金属製の筒で,被測温物の中にそう(挿)入され,温度

を感知するもの。

(9)

浸線  試験において,温そうの液中に保つべき位置を示すために感温部に表示した印。

印のないものは,接続部下端。

3.

主要部の名称  温度計の主要部の名称は,図 による。

この

図は単に名称を示すためのものであって,形状の基準を示すものではない。


2

B 7528-

197

9

図 1  主要部の名称


3

B 7528-1979

4.

種類及び表示記号  温度計の指示部ケースの形状,指示部の大きさ,感温部及び接続部の形状による

種類及び表示記号は,

表 1,表 及び表 による。

表 1  指示部ケースの形状による種類

形状

表示記号

  縁なし形(

1

) A

丸縁形 B

埋込み形 D

足付形 E

(

1

)

直結形のみ

表 2  指示部の大きさ(目壁板の外径で表す)による種類

指示部の大きさ (mm)

表示記号

 75

 75

100 100

150 150

表 3  感温部及び接続部の形状による種類

形状

表示記号

直管形 Z

感温部

可とう(撓)形 Y

ユニオン形 U

スライド形 S

接続部

投入形 X


4

B 7528-1979

5.

目盛範囲による種類  温度計の目盛範囲及び目量は,表 による。

表中 1 目盛及び数字記入位置は一例を示す。

表 4  目盛範囲による種類

大きさ (mm)

目盛範囲

(

℃)

目盛及び数字記入位置

75 100 150

−30〜50

0

〜50

  0

〜100

  0

〜120

  0

〜150

  0

〜200

  0

〜250

  0

〜300

  0

〜400

  0

〜500

6.

性能

6.1

示度誤差の許容値  7.1 の規定によって試験したとき,示度誤差の許容値は,表 による。

表 5  示度誤差の許容値(

2

)

大きさ (mm)

温度範囲  (℃)

75 100

150

−30〜 50

±2%

±2%

±2%,目量 1℃は±1%

      0

〜 50

±2%

±2%

±2%

      0

〜100

±2%

±2%

±2%,目量 1℃は±1%

      0

〜120

±2%

±2%

±1.5%

      0

〜150

±2%

±2%

±2%,目量 2℃は±1%

      0

〜200

±2%

±2%

±2%

      0

〜250

±2%

±2%

±2%

      0

〜300

±2%

±2%

±2%

      0

〜400

±2%

±2%

±2%

      0

〜500

±2%

±2%

±2%

(

2

)

示度誤差の許容値は,目盛スパンに対する百分率で表す。


5

B 7528-1979

6.2

周囲温度変化による示度変化の許容値  7.2 の規定によって試験したとき,示度変化の許容値は,表

5

に示す値の絶対値以内でなければならない。

6.3

耐温性  7.3 の規定によって試験したとき,示度誤差の許容値は,表 に示す値以内でなければなら

ない。

6.4

応答性  7.4 の規定によって試験したとき,時定数は 8 秒以内でなければならない。

6.5

耐振性  7.5 の規定によって試験したとき,示度誤差は,表 に示す値以内であり,かつ内部機構に

異常があってはならない。

6.6

取付姿勢による示度変化の許容値  7.6 の規定によって試験したとき,示度変化の許容値は,表 

示す値以内でなければならない。

7.

性能試験

7.1

示度試験  温度計の示度試験は,次による。

(1)

試験条件

(a)

周囲条件は,JIS Z 8703(試験場所の標準状態)の標準温度状態 4 級 (20±15℃),標準湿度状態 3

級 (65%±20%)  のうちの任意の 1 点とし,ふく(輻)射熱及び直射日光の当たらない場所とする。

(b)

試験の際,感温部と指示部との取り付け高さの差は,1m 以内で行う。

(c)

感温部は,浸線まで液中に入れて行う。

(d)

温度計の示度試験は,原則として基準温度計と比較して行う。

(e)

試験に用いる温度そうのそう内はよくかくはん(攪拌)され,温度分布は±0.1℃とする。

(2)

試験

(a)

温度範囲の最低値,最高値及び最低値と最高値の間の任意の 2 箇所の目盛においてその温度計の示

度が安定した後,示度を読み取る。

同時に基準温度計を読み取り,この差を誤差とする。

なお,試験は昇温及び降温過程において行う。

(b)

温度計は,あらかじめ基準温度計が示す温度で許容差内に指針を合わせた後,試験を行う。

7.2

周囲温度変化の試験  周囲温度 20℃のとき,感温部を 30 分間任意の一定温度に保持し,その状態で

導管と指示部に±15℃の温度変化を 30 分間与え,20℃のときとの示度の変化を読む。

7.3

耐温性試験  温度範囲の最高値に通算 24 時間保った後,7.1 を行う。

7.4

応答性試験  感温部を適当な温度に 5 分間保った後,直ちに温度差が,目盛スパンの 50%以上得ら

れる温度そうに投入したとき,指示が試険温度差の 63.2%に達するまでの時間を測定する。

7.5

耐振性試験  振動試験装置に指示部を図 のように目盛面が重力加速度の方向に平行になるように

し,かつ,目盛の中央部が上部になるようにして取り付け,1 500 回/分で約±0.3mm の上下単弦振動を通

算 24 時間加えた後,7.1 を行い,内部機構を確かめる。

図 2


6

B 7528-1979

7.6

取付姿勢の試験  取付姿勢の表示のないものは,指示部を左右に各々10 度傾けたとき,及び前後に

各々90 度傾けたときの示度の変化を読む。

8.

外観及び構造  温度計の外観及び構造は,次による。

(1)

温度計の塗装及びめっきは,強固であって,耐食性が強く,たやすく色あせ,脱落,さびなどを生じ

ないこと。

(2)

目盛,記号,浸線及びその他の表示は,明確であって,変色しにくく,かつ,消えないこと。

(3)

目盛板を覆う透明板には,読み取りに差し障りのあるきず,あわ及び脈理がないこと。

(4)

指針の先端と目盛板とのすきま及び指針の形状は,視差の原因とならない大きさであること。

(5)

目盛円弧の中心と指針の回転中心との間には,読み取りに差し障りのあるような偏心がないこと。

(6)

温度計は,指針を調整できる指針調整機構(

3

)

をもっていてもよい。ただし,外部から容易に調整でき

るものであってはならない。

(7)

温度計は,周囲温度の影響に対する補正装置をもっていてもよい。

(8)

指針の動きは,昇温により時計回りとする。目盛の全範囲に対する指針の振れ角度は,300±30°とす

る。

(9)

負の温度目盛の場合,目盛及び数字は色,負の符号  (−)  等で明らかに 0℃以上の温度目盛部と区分す

る。

(

3

)

指針を感温筒の温度に関係なく調整するための装置。

9.

形状及び寸法  温度計の形状及び寸法は,次のとおりとする。ただし,寸法に関係のない箇所の形状

は一例を示す。

(1)

指示部の主要寸法  指示部の主要寸法は,図 3,図 4,図 5,図 6,表 及び図 による。

図 3  縁なし形

図 4  埋込み形

図 5  丸縁形

図 6  足付形(指示部の大きさ 100


7

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表 6

単位 mm

大きさ

D

D

1

D

2

D

3

E

F

d

 75

 (85)

(105) 82

以下

 (94)

− 4.5

100 (110)

(136) 110

以下

(123)

(50) (115)  5.5

150 (166)

(200) 158

以下

(181)

− (7)

備考1.  表6で括弧を付けた寸法は,参考寸法を示す。

2.  D

2

は,基準寸法とし,指定寸法に対する許容差は±1mm とする。

図 7  足付形(指示部の大きさ 150

備考  外径は参考寸法を示す。

(2)

接続部の形状及び寸法  接続部の形状及び寸法は,図 8,図 及び表 による。

図 8  ユニオン形

図 9  スライド形


8

B 7528-1979

表 7

A

S

l

x

K

PF

3

/

4

  17 20 3 36

PF

1

/

2

  15 18 3 32

PT

3

/

4

 17

20

PT

1

/

2

 15

18

備考  A 部のねじ PF は,JIS B 0202(管用平行ねじ)

の B 級により,ねじ PT は JIS B 0203(管用テ
ーパねじ)による。

(3)

感温部の形状及び寸法  感温部の形状及び寸法は,図 10 及び表 による。

図 10  感温部の形状及び寸法

表 8  感温筒の直径  (d)  及び感温部の長さ  (l)

単位 mm

寸法

項目

基準寸法

許容差

感温筒の直径  (d) 10,12,13,14

±2%

感温部の長さ  (l) 500 以下

指定寸法に対して±2mm


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10.

材料  温度計の主要部の材料は,表 又はこれらと同等以上のものとする。

表 9  主要部の材料

部品名

材料

ケース

JIS H 5202

(アルミニウム合金鋳物)

JIS H 5101(黄銅鋳物)

JIS H 5111

(青銅鋳物)

JIS G 5501(ねずみ鋳鉄品)

カバー

JIS G 3141

(冷間圧延鋼板及び鋼帯)

JIS H 3100

(銅及び銅合金の板及び条)に規定する C2600,C2680,C2720 及び C2801

JIS H 4000

(アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条)

透明板

JIS R 3201

(普通板ガラス)

JIS K 6717(メタクリル樹脂成形材料)

JIS K 6718

(一般用メタクリル樹脂板)

パッキン

JIS K 6380

(工業用ゴムパッキン材料)

指針

JIS H 4000

JIS H 3110

(りん青銅及び洋白の板及び条)

JIS G 3141

JIS H 3100

に規定する C2600,C2680,C2720 及び C2801

目盛板

JIS H 3100

に規定する C2600,C2680,C2720 及び C2801

JIS H 4000

JIS K 6717

JIS G 3302

(亜鉛鉄板)

プルドン管

JIS G 3445

(機械構造用炭素鋼鋼管)

ピニオン

JIS H 3250

(銅及び銅合金棒)に規定する C4622, C4641

JIS H 3270

(ベリリウム銅,りん青銅及び洋白の棒及び線)に規定する C7521,C7541,C7701,

C5101

,C5191 及び C5212

セクタ歯車軸

JIS H 3250

に規定する C4622,C4641

JIS H 3270

に規定する C7521,C7541,C7701,C5101,C5191 及び C5212

セクタ歯車

JIS H 3100

に規定する C2600,C2680,C2720 及び C2801

JIS H 3110

に規定する C5101,C5191 及び C5212

指示部

ひげぜんまい

JIS H 3270

に規定する C5101,C5212 及び C5191

JIS H 3110

に規定する C5101,C5191 及び C5212

導管

JIS G 3461

(ボイラ・熱交換器用炭素鋼鋼管)

JIS G 3463

(ボイラ・熱交換器用ステンレス鋼鋼管)又はこれに外被を施したもの

ユニオン部

JIS G 4303

(ステンレス鋼棒)

JIS H 3250

に規定する C4622,C4641,C3601,C3602,C3603 及び C3604

感温部

(感温筒)

JIS G 4303

JIS G 4304(熱間圧延ステンレス鋼板)

JIS G 3463

JIS G 3461

11.

検査

11.1

形式検査  形式検査は,表 10 による。

表 10  形式検査

項目

方法

判定基準

外観及び構造

目視

第  8.

項による

形状及び寸法

目視

第  9.

項による

目盛(目盛範囲,目量及び数字記入位置)

目視

 8.

項による

性能

第 7.

 6.

項による

材料

書類

第 10.

項による

11.2

受渡検査  受渡検査は,表 10 のうち,注文者が特別に指定をしない限り,次の項目について行うも

のとする。


10

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(a)

外観及び構造

(b)

形状による寸法

(c)

目盛

(d)

性能(第 6.1

項,第 6.3 項のみ)

12.

製品の呼び方  温度計の呼び方は,規格番号,指示部の形状,大きさ,示度誤差の許容値,目盛の範

囲,導管の長さ(単位は m で,記号 L の次に数値を記入する)

,接続部の形状・寸法,感温部の形状・寸

法による。

例: 指示部の形状

丸縁形

指示部の大きさ 100mm

示度誤差の許容値

±2%

目盛の範囲

0

〜100℃

導管の長さ 3m

接続部の形状・寸法

ユニオン形,PT

3

/

4

感温部の形状・寸法

直管形,d=13mm,l=150mm

JIS B 7528 B

×

φ

100

×2%×0〜100×L3×U×PT

3

/

4

×Z13×l150

13.

表示  温度計の目盛板には,次の事項を表示する。

(1)

必ず表示しなければならない事項は,次のとおりとする。

(a)

温度計又は THERMOMETER の文字

(b)

温度の単位℃の文字

(c)

製造業者名又はその略号

(d)

製造番号

(e)

示度誤差の許容値

例:6.1 の許容値に対応した

(2)

必要のあるときに表示する事項は,次のとおりとする。

(a)

指示部の取付姿勢

(b)

指示部と感温部の取付位置

引用規格: 

JIS B 0202

  管用平行ねじ

JIS B 0203

  管用テーパねじ

JIS G 3141

  冷間圧延鋼板及び鋼帯

JIS G 3302

  亜鉛鉄板

JIS G 3445

  機械構造用炭素鋼鋼管

JIS G 3461

  ボイラ・熱交換器用炭素鋼鋼管

JIS G 3463

  ボイラ・熱交換器用ステンレス鋼鋼管

JIS G 4303

  ステンレス鋼棒

JIS G 4304

  熱間圧延ステンレス鋼板

JIS G 5501

  ねずみ鋳鉄品

JIS H 3100

  銅及び銅合金の板及び条


11

B 7528-1979

JIS H 3110

  りん青銅及び洋白の板及び条

JIS H 3250

  銅及び銅合金棒

JIS H 3270

  ベリリウム銅,りん青銅及び洋白の棒及び線

JIS H 4000

  アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条

JIS H 5101

  黄銅鋳物

JIS H 5111

  青銅鋳物

JIS H 5202

  アルミニウム合金鋳物

JIS K 6380

  工業用ゴムパッキン材料

JIS K 6717

  メタクリル樹脂成形材料

JIS K 6718

  一般用メタクリル樹脂板

JIS R 3201

  普通板ガラス

JIS Z 8703

  試験場所の標準状態

関連規格:計量法(通商産業省)

水銀充満圧力式指示温度計 JIS 改正原案作成委員会

委員構成

氏名

勤務先及び役職名

委員長

川  田  裕  郎

工業技術院計量研究所第 4 部長

副委員長

川  口  廣  美

工業技術院標準部機械規格課精密機械班長

(前任)

村  里  利  明

工業技術院標準部機械規格課精密機械班長

(現任)

中立委員

天  野  重  昭

工業技術院計量研究所温度計研究室主任研

究員

小  杉      茂

通商産業省機械情報産業局計量課生産技術

班長

使用者委員

大  島  英  雄

興亜石油株式会社工務部第 3 課課長補佐

大  橋  和  夫

住友化学工業株式会社姉ヶ崎工場工務部工

務課長

楠  畑  克  彦

株式会社荏原電産羽田事務所設計課長

高  橋      凱

社団法人日本計量士会検査課長

内  藤  英  治

石川島播磨重工業株式会社生産技術室次長

昇      和  美

社団法人計量管理協会事務局長

森  下  芳  男

日立造船株式会社造機基本設計部計装制御

主任

鑓  溝  一  夫

株式会社新潟鉄工所エンヂニヤリング事業

本部計装グループ

生産者委員

入  江  良  衛

石川計器工業有限会社代表取締役

佐藤  三千太郎

株式会社佐藤計量器製作所代表取締役

杉  浦  義  治

株式会社竹田計器製作所技術課長

諏  訪  徳  治

日本金属製温度計工業組合主事

浜  田  忠  良

兵田計器工業株式会社技術課長

藤  井  定  美

株式会社長野計器製作所開発技術課長

松  田  良  一

有限会社岡谷計器製作所代表取締役

宮  坂  鶴  郎

株式会社東京計量器本社代表取締役

吉  川  鹿  雄

日新計器株式会社代表取締役