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B 7081:2017  

(1) 

目 次 

ページ 

1 適用範囲 1 

2 引用規格 1 

3 用語,定義及び記号 1 

3.1 用語及び定義  1 

3.2 記号  2 

4 原理 2 

5 分光光度計を使用した測定  3 

5.1 概要  3 

5.2 分光光度計  3 

5.3 測定環境  4 

6 測定方法 4 

6.1 試料の条件  4 

6.2 試料の準備  4 

7 測定手順 5 

7.1 装置の性能確認  5 

7.2 入射光強度の測定  5 

7.3 試料の設置  5 

7.4 試料全透過光強度の測定  5 

7.5 装置内散乱光強度の測定  5 

7.6 試料前方散乱光強度及び装置内散乱光強度の測定  5 

7.7 λiにおける前方散乱率の計算方法  6 

7.8 波長平均前方散乱率の計算方法  6 

8 試験報告 6 

附属書A(規定)装置内散乱光及び試料散乱の測定及び計算方法  8 

附属書B(規定)分光光度計の性能確認  10 

 

 


 

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(2) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本光学工業協会(JOIA)及び一般財団法

人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工

業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

 


 

 

日本工業規格          JIS 

 

B 7081:2017 

 

光学及びフォトニクス−光学部品による散乱光の 

分光測定方法 

Optics and photonics-Spectroscopic measurement methods for  

integrated scattering by plane optical elements 

 

適用範囲 

この規格は,積分球を備えた分光光度計を用いて光学表面における可視光領域を含む紫外線から近赤外

線領域の前方散乱光の分光測定方法について規定する。 

 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用

規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 7100 プラスチック−状態調節及び試験のための標準雰囲気 

 

用語,定義及び記号 

3.1 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

3.1.1 

散乱光(scattered radiation) 

直進する光路から偏向して入射する放射の一部分。 

3.1.2 

前方散乱(forward scattering) 

前方半空間に光学部品によって散乱した入射した光の一部分で,法線方向に対して規定した角度の円す

い(錐)に含まれる成分。 

注記 前方半空間は,光学部品を透過した光束を含むことで定め,光学部品の裏面を含む平面で制限

を受ける。 

3.1.3 

標準拡散反射材(diffuse reflectance standard) 

既知の全反射率をもった拡散反射物体。 

注記 一般的に用いられる標準拡散反射材は,硫酸バリウム又はポリテトラフルオロエチレン(表2

参照)で作る。これらの素材によって新しく準備された反射片の全反射率は,表2で示される

波長範囲で98 %よりも大きい。 

3.1.4 

迷光(stray radiation) 


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モノクロメータで分散され取り出された光の中で,目的とする波長の光以外の光。 

3.1.5 

(積分球の内部の)装置内散乱[remaining scattering (inside the integrating sphere)] 

試料を介さない状態で,分光光度計からの入射光を,積分球の出口開口から逃したとき,積分球内部に

残存して検知される散乱光成分。 

3.2 

記号 

この規格で用いる記号を,表1に示す。 

 

表1−記号 

記号 

定義 

λi 

i番目の波長 

Sfor(λi) 

i番目の波長における前方散乱率 

for

波長平均前方散乱率 

I1(λi) 

入射光強度 

I2(λi) 

全透過光強度 

I3(λi) 

装置内散乱光強度 

I4(λi) 

試料前方散乱光強度及び装置内散乱光強度 

τ2(λi) 

試料全透過率 

τ2(λi)=I2(λi)/I1(λi) 

τ3(λi) 

装置内散乱率 

τ3(λi)=I3(λi)/I1(λi) 

τ4(λi) 

試料前方散乱率及び装置内散乱率 

τ4(λi)=I4(λi)/I1(λi) 

 

原理 

測定の基本的な原理(図1参照)は,箇条3で定義した前方散乱の積分である。この目的のため,内部

表面に拡散反射コーティングした積分球を使用し,次によって散乱光を求める。 

− 入口開口は積分球の中に試験光を入射する。 

− 出口開口は積分球から試験光を出射する。 

− 試料は,入口開口の前に取り付ける。 

− 散乱光を積分球によって積分し,積分球に取り付けた検出器によって検出する。 


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入射光 

積分球 

入口開口 

出口開口 

試料ホルダ 

検出器 

最小散乱検出角 

バッフル 

注記 図にリファレンスポートは記載していない。 

 

図1−前方散乱光測定装置の概略図 

 

分光光度計を使用した測定 

5.1 

概要 

積分球を備えた分光光度計は,世界的に光学分野で用いられており,取扱いが容易かつ低コストで,分

光特性の測定が可能である。この規格では散乱光の測定のために分光光度計を使用する。 

測定サンプルは曲率半径10 m以上の光学表面をもつ光学部品とし,測定に影響の出ない程度のサイズ

とする。 

最小散乱検出角は5°〜20°の間とし,これは積分球の直径270 mm〜60 mmに対応する。 

分光光度計は附属書Bによって性能を確認して,性能を満たしたものを用いる。 

5.2 

分光光度計 

5.2.1 

一般 

散乱光を定義するために使う分光光度計は,光源,光学系,積分球,検出器などの機器で構成する。こ

れらの機器は,次の性能を満たすものとする。 

− 測定波長範囲は350 nm〜850 nmを含む。 

− 波長分解能は5 nm以下で迷光は0.000 10 %以下。 

− 装置内散乱光は0.2 %以下。 

5.2.2 

光源 

光源は350 nm〜850 nmの波長範囲をもつハロゲンランプとする。 

5.2.3 

光学系 

分光光度計の光学系は,光源光の経時変化の影響を低減するダブルビーム方式とする。 

5.2.4 

積分球 

試料による散乱光の検出のために,積分球を使う。 

入射光の積分球への入射角度は,0°とする。 

積分球は,入射光の入口開口及び出口開口となる開口を備える。 


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内部表面は,完全拡散面特性をもつ高い拡散反射材で形成しなければならない。 

拡散反射材に適する物質及び対応する波長範囲は,表2によるのがよい。 

 

表2−積分球の内壁に望ましい拡散反射材 

物質 

波長範囲 nm 

硫酸バリウム(Barium sulfate) 

350〜1 430 

ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene) 

200〜2 500 

 

積分球の出口開口の開口度は出口開口面積及び積分球内面の面積との比で計算し,0.03以下とする。ま

た,最小散乱検出角(図1参照)は5°〜20°とする。 

なお,積分球内面の面積には積分球の内部直径から算出する球の面積を用いる。積分球の内部直径は60 

mm以上とする。 

出口開口解放時の目的以外の光を抑制するために,積分球を通って出口開口から抜けた光が装置内部の

壁面などで反射して再び積分球内へ戻らないように光トラップを設置してもよい。 

また,試料測定時に生じる散乱光のうち,積分球の内壁を経由せずに直接検出器へ入射する光をブロッ

クするためのバッフルを設置してもよい(図1参照)。 

散乱光の値を比較するためには,積分球の仕様を同等にして測定を行う。 

5.2.5 

検出器 

検出器は,光源に対して十分な感度,直線性及びダイナミックレンジをもつものとする。 

通常,光電子増倍管を用いることが多い。 

5.3 

測定環境 

測定環境の温度範囲及び相対湿度は,次による。 

− 温度範囲は20 ℃〜35 ℃とする。 

− 相対湿度は60 %以下とする。ただし,結露があってはならない。 

 

測定方法 

6.1 

試料の条件 

試料は平行な2面によって構成されており,少なくとも10 m以上の曲率半径の表面をもつ光学部品と

する。試料サイズは,厚みが10 mmまで又は試料を介した直線透過光が屈折によって出口開口以外の積分

球内壁に照射されない厚みとし,光軸に対して垂直方向が光束のサイズより十分大きく,入口開口前面の

試料ホルダに設置できるサイズとする。 

6.2 

試料の準備 

製造業者による指示に従って,試料の保管,クリーニング及び準備を行う。 

製造業者による指示がない場合,試料は60 %以下の相対湿度の環境で保管し,準備し,試験する。 

必要に応じて,試料をJIS K 7100に従って,試験前の40時間以上,温度21 ℃〜25 ℃,相対湿度40 %

〜60 %の条件の下で保管する。 

試料は開こん(梱)と準備との間,常にクリーンルーム状況の下で保管するのが望ましい。 

手による取扱いは,試料の非光学面だけとする。 

汚染物質が試料の上で観察された,又は開こん(梱)する以前の取扱い環境が不明で試料が汚染されて

いる可能性がある場合,試料の表面を文書化した手順によってクリーニングする。 

汚染物質が除去できないときは,その状況を試験前に写真又は電子的手段によって記録する。 


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測定手順 

7.1 

装置の性能確認 

附属書Bの方法によって装置の性能確認を行う。 

7.2 

入射光強度の測定 

試料を設置しない状態で入口開口を開き,標準拡散反射材を積分球の出口開口に置き,測定波長範囲に

おける入射光強度[I1(λi)]を測定する(図2及び表3を参照)。 

 

 

 

注記 図にリファレンスポートは記載していない(以下の図3〜図5も同様)。 

 

図2−入射光強度の測定 

 

7.3 

試料の設置 

試料を,積分球の入口開口に設置する。 

7.4 

試料全透過光強度の測定 

試料の設置後,積分球の出口開口に標準拡散反射材を設置した状態で,入口開口を開き,全透過光強度

I2(λi)を測定する(図3及び表3を参照)。試料全透過率[τ2(λi)]は式(1)による。 

i

i

i

λ

I

λ

I

λ

τ

1

2

2

 (1) 

 

 

図3−試料全透過光強度の測定 

 

7.5 

装置内散乱光強度の測定 

標準拡散反射材を取り外し,入口開口及び出口開口を開放し,積分球内の装置内散乱光強度[I3(λi)]を

測定する(図4及び表3を参照)。装置内散乱率[τ3(λi)]は式(2)による。 

i

i

i

λ

I

λ

I

λ

τ

1

3

3

  (2) 

 

 

図4−装置内散乱光強度の測定 

 

7.6 

試料前方散乱光強度及び装置内散乱光強度の測定 

入口開口に試料を設置して,出口開口を開放し,試料前方散乱光強度及び装置内散乱光強度[I4(λi)]を


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測定する。(図5及び表3を参照)。試料前方散乱率及び装置内散乱率[τ4(λi)]は式(3)による。 

i

i

i

λ

I

λ

I

λ

τ

1

4

4

 (3) 

 

 

図5−試料前方散乱光強度及び装置内散乱光強度の測定 

 

表3−測定時の試料及び開口の状態 

 

試料/入口開口 

出口開口 

I1(λi) 

無/開放 

標準拡散反射材 

I2(λi) 

有/開放 

標準拡散反射材 

I3(λi) 

無/開放 

開放 

I4(λi) 

有/開放 

開放 

 

7.7 

λiにおける前方散乱率の計算方法 

λiにおける前方散乱率[Sfor(λi)]は350 nm〜850 nmの波長範囲において,式(4)による。 

データ間隔は5 nm以下とし,1 nmが望ましい。 

なお,式(4)の導入については,ISO 13696:2002,Optics and optical instruments−Test methods for radiation 

scattered by optical componentsを参考にした。 

i

i

i

i

i

λ

τ

λ

τ

λ

τ

λ

τ

λ

S

3

3

2

4

for

1

  (4) 

ここに, 

τ2(λi): 試料全透過率 

 

τ3(λi): 装置内散乱率 

 

τ4(λi): 試料前方散乱率及び装置内散乱率 

7.8 

波長平均前方散乱率の計算方法 

波長平均前方散乱率の計算は,式(5)を用い,試料の透過帯域について計算する。計算の詳細については

附属書Aに示す。 

n

λ

S

S

n

i

i

for

for

  (5) 

ここに, Sfor(λi): i番目の波長における前方散乱率 
 

λi: i番目の波長 

 

n: 計算に用いた測定点の数 

 

試験報告 

試験報告には,次の情報を含まなければならない。 

a) 試験所に関係する情報 

1) 試験所の組織名及び住所 

2) 試験の日付 

3) 測定者の名前 

4) 試験の基礎として使用した規格 


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b) 試料についての情報 

1) 試料の製造業者名,部品のIDコード及び製造年月日 

2) 基板及び薄膜の情報(例えば,材質,直径及び厚さなど) 

3) 試料の保管及びクリーニングに対する製造業者の仕様 

4) 通常の使用に対する製造業者の仕様(例えば,分光特性,波長,偏光,入射角,使用目的など) 

c) 試験に関する情報 

1) 分光光度計(製造業者名,型式及び性能確認結果) 

2) 積分球のパラメータ(直径,開口度,最小散乱検出角,内壁のコーティング物質及び標準拡散反射

材) 

3) 検出システムのパラメータ(波長領域,光源及び検出器) 

4) 試験環境 

5) 試料に対する光線の入射方向 

d) 結果に関する情報 

1) 試料前方散乱率,及び/又は平均前方散乱率 

2) 平均前方散乱率の場合は,計算に用いた波長(λi),又は波長範囲 

3) 結果に影響を与えるような場合はその詳細 

 


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附属書A 

(規定) 

装置内散乱光及び試料散乱の測定及び計算方法 

 

A.1 透過率及び散乱率の測定 

図A.1に薄膜試料の典型的な透過スペクトル及び散乱スペクトルを示す。また,典型的なτ4(λi),τ3(λi)及

びτ2(λi)×τ3(λi)の散乱スペクトルを,図A.2に示す。 

 

 

図A.1−薄膜試料の典型的な透過スペクトル及び散乱スペクトル 

 

 

図A.2−典型的なτ4(λi),τ3(λi)及びτ2(λi)×τ3(λi)の散乱スペクトル 

 

A.2 散乱スペクトルの補正計算方法 

薄膜フィルタ試料の散乱成分を計算するには,全散乱成分から装置散乱成分を取り除く必要がある。薄


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膜フィルタ試料の散乱成分を計算するには,式(A.1)を用いる。 

i

i

i

i

i

λ

τ

λ

τ

λ

τ

λ

τ

λ

S

3

3

2

4

for

1

  (A.1) 

ここに, τ2(λi): 試料全透過率 
 

τ3(λi): 装置内散乱率 

 

τ4(λi): 試料前方散乱率及び装置内散乱率 

図A.2の試料前方散乱率及び装置内散乱率から補正計算を行った結果を,図A.3に示す。 

 

 

図A.3−薄膜フィルタ試料の補正後の散乱スペクトル 

 

A.3 試料の波長平均前方散乱率の計算方法 

波長平均前方散乱率の計算には,式(A.2)を用いる。 

n

λ

S

S

n

i

i

for

for

  (A.2) 

ここに, Sfor(λi): i番目の波長における前方散乱率 
 

λi: i番目の波長 

 

n: 計算に用いた測定点の数 

この波長平均前方散乱率は,試料の透過帯全域で計算する。透過帯域は,少なくとも透過率が0.001 %

以上[OD(Optical Density)5以下]とする。 

 


10 

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附属書B 

(規定) 

分光光度計の性能確認 

 

B.1 

概要 

散乱スペクトルの測定では,測定前に測光の直線性(B.2)及びダイナミックレンジ(B.3)の装置性能

を確認するのがよい。 

 

B.2 

直線性試験 

複数濃度の濁度標準液を標準試料として用いる。標準試料の散乱光強度を測定し,複数の濁度標準液の

濁度に対する試料前方散乱率の測定結果をプロットする。最小自乗法によって,一次関数直線の相関係数

を求め,相関係数が0.995以上であることを確認する。 

a) 市販の濁度標準液を純水で希釈し,異なる濃度の濁度標準液を調製し,この試験の標準試料とする。

濁度0.1から5までの濁度範囲で少なくとも5点以上を準備する。 

b) 光路長10 mmの石英セルを純水で満たす。石英セルは積分球に密着させて設置し,セルによる散乱を

含む装置内散乱率[τ3(λi)]を測定する。次に,石英セルを濁度標準液で満たして,それぞれの散乱光

を測定する。測定精度を上げるため,石英セルはきず及び汚れによる散乱の影響が極力少ないものを

一つ選んで使用する。また,石英セルの位置再現性(積分球の入口開口への設置)を確実にする。 

c) 濁度標準液の散乱光強度は,350 nm〜850 nmの波長範囲においては,式(5)を用いて得る。濁度に対す

る散乱光強度のプロットを作成する。 

 

B.3 

測光のダイナミックレンジ試験 

積分球を設置した分光光度計はOD(A.3参照)5以上のダイナミックレンジをもつことを確認する。こ

の試験では,OD 1,2又は4などのNDフィルタを単体又は組み合わせたものを測定する。測定された吸

収スペクトル及びこれらのフィルタセットの計算結果を比較することによって,この評価装置が測定波長

帯域においてOD 5以上のダイナミックレンジであることを確認する。この試験は出口開口を閉じて実施

する。 

注記 B.2及びB.3に規定した評価を完了し,散乱測定に適することを確認しても,装置間で測定誤

差が生じる場合がある。そのような場合には,ヘーズ標準試料を用いて装置間機差を確認する

のがよい。