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B 7080-1

:2015 (ISO 9211-1:2010)

(1)

目  次

ページ

序文  

1

1  適用範囲  

1

2  基本的用語の定義  

1

2.1  光学コーティング  

1

2.2  コーティング面の光学的性質  

2

2.3  測色パラメータ  

3

2.4  偏光  

3

2.5  位相関係  

4

3  機能別コーティングに関する用語の定義  

4

4  一般的なコーティング欠陥に関する用語の定義  

5

4.1  点状欠陥  

5

4.2  線状欠陥  

6

4.3  面状欠陥  

6

4.4  体積欠陥  

6

5  その他の用語  

7

附属書 A(参考)典型的な光学コーティング欠陥の顕微鏡写真  

8


B 7080-1

:2015 (ISO 9211-1:2010)

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般社団法人日本光学硝子工業会(JOGMA)

及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出

があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

JIS B 7080 の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS B 7080-1  第 1 部:用語 
JIS B 7080-2  第 2 部:分光光学特性

JIS B 7080-3  第 3 部:環境耐久性試験方法 
JIS B 7080-4  第 4 部:特定試験方法


日本工業規格

JIS

 B

7080-1

:2015

(ISO 9211-1

:2010

)

光学及びフォトニクス−光学コーティング−

第 1 部:用語

Optics and photonics-Optical coatings-Part 1: Definitions

序文 

この規格は,2010 年に第 2 版として発行された ISO 9211-1 を基に,技術的内容及び構成を変更すること

なく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。

適用範囲 

JIS B 7080 の規格群は,光学コーティングによる光学部品及び光学基板(眼鏡レンズを除く。)(以下,

部品及び基板という。

)の表面処理の性質を明らかにし,仕様書のための標準書式について規定している。

必要に応じて,一般的特性,試験方法及び測定方法を示すが,製造工程を限定するものではない。

この規格は,光学コーティング関係の用語及び定義について規定する。用語は,基本的用語の定義(箇

条 2

,機能別コーティングに関する用語の定義(箇条 3

,一般的なコーティング欠陥に関する用語の定義

(箇条 4)及びその他の用語(箇条 5)に分類する。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 9211-1:2010,Optics and photonics−Optical coatings−Part 1: Definitions(IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“一致している”こ

とを示す。

基本的用語の定義 

この規格で用いる基本的用語の定義は,次による。

2.1 

光学コーティング 

2.1.1

部品及び基板の表面処理(surface treatment of components and substrates)

部品及び基板に施す表面処理。

部品及び基板の表面が本来もっている光学的,物理的又は化学的な特性を変えるために行う。

注記  基板は,幾何学的に完全な形状で,光学的に均質とみなす。実際には,基板とコーティングと

を組み合わせたもの(結合部品)を一つの実体として,実験によって性質を明らかにし,測定

を行う。

2.1.2

入射媒質(incident medium)

電磁放射がコーティングに入ってくる側の媒質。


2

B 7080-1

:2015 (ISO 9211-1:2010)

2.1.3

出射媒質(emergent medium)

電磁放射がコーティングから出て行く側の媒質。

注記  機械的支持の働きをするほかに,物理的にコーティングを保持している基板は,入射媒質及び

/又は出射媒質として扱うことができる。

2.2 

コーティング面の光学的性質 

2.2.1 

一般 

分光測光値は,コーティング面の光学的特性を表す。これらの値は,電磁波が輸送する放射エネルギー

(放射量又は視感量)と関係があり,また波長(

注記 参照),入射角,偏光状態,及び散乱のような拡

散による入射放射の空間的再配分(方向)の関数として変化する。

注記 1  機能的な波長依存性は,通常,符号の一部として括弧に波長(λ)を書くことによって示す。

注記 2  波長(λ)は,波数(σ)又は光子のエネルギー()で置き換えてもよい。ここに,はプ

ランク定数,ν は周波数である。推奨単位は,波長に対してはナノメートル(nm)又はマイ

クロメートル(μm)

,波数に対しては cm の逆数(cm

1

,及び光子のエネルギーに対しては

電子ボルト(eV)である。

2.2.2

分光透過率,τ(λ)(spectral transmittance)

透過放射束(又は光束)の分光強度と入射放射束の分光強度との比。

JIS Z 8000-7 の定義 7-22.3 参照。

注記  分光透過率は,公式 τ(λ)=10

D(λ)

によって光学濃度 Dλ)と関連付けることができる。

2.2.3

分光反射率,ρ(λ)(spectral reflectance)

反射放射束(又は光束)の分光強度と入射放射束の分光強度との比。

JIS Z 8000-7 の定義 7-22.2 参照。

2.2.4

分光吸収率,α(λ)(spectral absorptance)

吸収放射束(又は光束)の分光強度と入射放射束の分光強度との比。

JIS Z 8000-7 の定義 7-22.1 参照。

2.2.5

分光散乱(spectral scattering)

放射束が表面又は媒質によって多方向に偏向又は散乱するときの放射束の空間分布変化。ただし,放射

を構成する単色光成分は周波数変化を伴わない。

注記 1  2.2.12.2.4 で定義される量は,次のように表す。

1=τ(λ)+ρ(λ)+α(λ)

ここに,  τ(λ)=τ

r

(λ)+τ

d

(λ)

ρ(λ)=ρ

r

(λ)+ρ

d

(λ)

τ

r

(λ): 直進透過率(鏡面)

ρ

r

(λ): 正反射率(鏡面)

τ

d

(λ): 拡散透過率

ρ

d

(λ): 拡散反射率

注記 2  必要な場合,これらの値を次のように波長範囲 λ

1

λ

2

の平均値として表してもよい。


3

B 7080-1

:2015 (ISO 9211-1:2010)

(

)

m

λ

τ

λ

λ

λ

λ

τ

λ

λ

λ

τ

λ

λ

τ

m

i

i

m

i

i

λ

λ

=

=

=

=

1

1

2

1

1

2

2

1

ave

)

(

Δ

)

(

)

(

2

1

ここに,  Δλ=(λ

2

λ

1

)/m

m: データ数

2.2.6

屈折率,n(λ)(refractive index)

真空中の電磁放射の伝搬速度と媒質中の電磁放射の伝搬速度との比。

2.2.7

入射角(angle of incidence)

面法線と入射光線のなす角度。

2.2.8

入射面(plane of incidence)

面法線と入射光線を含む平面。

2.3 

測色パラメータ 

視覚応用のための表面処理の特性は,測色パラメータを用いて表すことができる。これらの値は,使用

した基準参照光源及び被処理面の光学的特性に依存する。

2.4 

偏光 

2.4.1 

一般 

コーティングを入射角 0 度以外で使うとき,コーティングの特性は入射放射の偏光状態に依存し,また

出射放射の偏光状態に影響する。したがって,入射面に関する電場ベクトルの方位を指示することが必要

である。

2.4.2

直線偏光(linearly polarized radiation)

電場ベクトルの方位が常に一定な偏光。

注記 1  電場ベクトルが入射面に垂直な直線偏光を s 偏光と呼ぶ。

注記 2  電場ベクトルが入射面に平行な直線偏光を p 偏光と呼ぶ。

2.4.3

だ(楕)円偏光(elliptically polarized radiation)

伝搬方向に垂直な平面上への電場ベクトルの射影が精円を描く偏光。

2.4.4

円偏光(circularly polarized radiation)

伝搬方向に垂直な平面上への電場ベクトルの射影が円を描く偏光。

2.4.5

ランダム偏光(randomly polarized radiation)

直線偏光の電場ベクトルの方位が,時間とともにランダムに変化する偏光。

2.4.6

非偏光(unpolarized radiation)

放射を,種々の位相差をもつ任意の一対の直交電場ベクトルに分解した際,二つの直交ベクトルの平均

の大きさが相等しく,その間の位相差が全くランダムに変化する放射。


4

B 7080-1

:2015 (ISO 9211-1:2010)

2.5 

位相関係 

2.5.1

位相変化,dΦ(λ)(phase change)

電磁波の位相[Φ(λ)]と参照波の位相[Φ

0

(λ)]間の位相角度差[dΦ(λ)=Φ(λ)−Φ

0

(λ)]。

電場ベクトル(E)は,次の式で表す。

=

)

(

π

2

cos

λ

Φ

λ

vt

A

E

ここに,

E

電場ベクトル

A

振幅ベクトル

v

媒質中の伝搬速度

t

時間

λ

媒質中の波長

Φ(λ)

位相

電磁波による空間内の一点における電場(

E

0

)は,次の式で与えられる周期関数によって記述すること

ができる。

=

)

(

π

2

cos

0

0

λ

Φ

λ

vt

A

E

2.5.2

位相遅延,リターデーション,ΔΦ(λ)

phase retardation

電場ベクトルの

p

成分と

s

成分の間の位相変化の差。

ΔΦ(λ)

dΦ

p

(λ)

dΦ

s

(λ)

機能別コーティングに関する用語の定義 

コーティングの機能を表す用語は,コーティングすることによって変化する表面の主要な性質によって

定義する。

表 に定義するような主機能を実現しようとするコーティングは,一つ以上の副機能を含むことがある。

主機能に関連する副機能は,相対的に重要である。


5

B 7080-1

:2015 (ISO 9211-1:2010)

表 1−コーティングの機能に関する用語 

機能

略号

定義

適用例

反射(reflecting) RE

特定の波長範囲にわたって,光学表面の反射率を

増加させる機能

レーザミラー

反射防止(antireflecting) AR 特定の波長範囲にわたって,光学表面の反射率を

減少させる機能。通常,コーティングによって透

過率を増加させる。

反射防止膜レンズ

ビームスプリット(beam 
splitting)

BS

特定の波長範囲にわたって,入射放射束を一方は

透過,他方は反射の二つの放射束に分割する機

能。各放射束のエネルギー分布は,本質的に波長
選択性がなく,入射エネルギー分布を再現する。

ニュートラルビームスプ

リッタ 
 
パーシャルリフレクタ

減衰(attenuating) AT

特定の波長範囲にわたって,透過率を減少させる

機能

ニュートラルデンシティ

フィルタ

フィルタ(filtering) 
a)  バンドパス 
b)  バンド阻止

FI

FI-BP

FI-BR

波長選択的に透過率を変化させる機能

レーザ線スペクトル選択

フィルタ

ラマンノッチフィルタ

波 長 選 択 又 は 波 長 結 合
(selecting or combining) 
a)  ロングパス(long pass) 
b)  ショ ー トパ ス (short

pass)

SC

SC-LP 
SC-SP

入射放射束を,二つ又はそれ以上の放射束に分割
する機能。各放射束は限定されたスペクトル領域

に広がり,反射か透過のいずれかで伝搬する。そ

の逆の光路は,異なるスペクトル領域の放射束を
結合する。

ダイクロイックミラー 
ビームコンバイナ

コールドミラー

近赤外カットフィルタ

偏光(polarizing) PO

光の特定の波長範囲にわたって,出射電磁放射の
偏光状態を制御する機能

偏光子 
非偏光ビームスプリッタ

位相変化(phase changing)

 PC 特定の波長範囲にわたって,入射電磁放射に対す

る出射電磁放射の位相変化,及び/又は s ベクト

ルと p ベクトルとの間の位相差を制御する機能

位相遅延コーティング

吸収(absorbing) AB

特定の波長範囲にわたって,入射放射束から指定

した値を吸収する機能

光トラップ

紫外線吸収素子

付加機能 
(supplementary)

SU

非光学特性を与える機能。非光学特性は,しばし
ば光学機能と結びつく。

電気伝導 
化学的又は機械的保護

一般的なコーティング欠陥に関する用語の定義 

注記

検査方法は,JIS B 7080-4 及び ISO 14997 に規定されている。コーティングの欠陥の例を,

属書 に示す。

4.1 

点状欠陥 

4.1.1

ピンホール(

pinhole

薄膜内の非常に小さな穴(

図 A.1 参照)。

4.1.2

突沸(

spatter

蒸着コーティングにおいて,蒸着材の小さな塊が熱いるつぼから基板表面に飛び込み,そこに付着した

ときに生じる欠陥(

図 A.2 参照)。

4.1.3

パーティクル(

particle

薄膜上又は薄膜中にある非常に小さな蒸着材片(

図 A.3 参照)。


6

B 7080-1

:2015 (ISO 9211-1:2010)

4.1.4

ダスト(

fine dust

薄膜上又は薄膜中にある複数(多くの場合,かなりの数を指す。

)の物質の小さな破片(

図 A.4 参照)。

4.1.5

ぶつ(

nodule

表面にある小さな(通常はコーティングの)こぶ状の欠陥(

図 A.5 参照)。

4.2 

線状欠陥 

4.2.1

スクラッチ(

scratch

鋭利な,又は粗い表面の器具でつけられたように見える表面のきず又は引っかききず(

図 A.6 参照)。

注記

引っかききずは,さまざまな偶発的な原因によって,光学表面上にさまざまな程度で発生する。

4.2.2

ヘアライン(

hairline scratch

非常に細く滑らかな引っかききずで,通常は直線的(

図 A.7 参照)。

注記

ヘアラインは,その特異性及びその直線性によって特徴付けられる。他のスクラッチは,カー

ブしている,複数の又は隣接するスクラッチと接触せずに接近している。

4.2.3

クラック(

crack

コーティング層の割れ目(

図 A.8 参照)。

4.2.4

マイクロクラック(

crazing

コーティング層の小さな割れ目(多くの場合,熱応力による。

図 A.9 参照)。

4.3 

面状欠陥 

4.3.1

しみ(

stain

表面の不規則な局部的変色。化学作用によって生じた変化に起因する(

図 A.10 参照)。

4.3.2

擦りきず(

abrasion

硬い表面で擦られたことによる表面の損傷(

図 A.11 参照)。

4.3.3

拭き残り(

lint mark

光学表面上の布又は紙の繊維の残存物(

図 A.12 参照)。

4.3.4

膜抜け(

void

指定のコーティングをした表面領域内で,コーティングされていない局所部分(

図 A.13 参照)。

4.4 

体積欠陥 

4.4.1

膜剝がれ(

peeling

基板周辺から部分的に剝離したコーティングの領域(

図 A.14 参照)。


7

B 7080-1

:2015 (ISO 9211-1:2010)

4.4.2

部分膜剝がれ(

flaking

基板周辺以外の領域から部分的に剝離したコーティングの領域(

図 A.15 参照)。

4.4.3

膨れ(

blister, bubble

コーティングの下部か内部にある含有物。薄膜をもち上げようとする(

図 A.16 参照)。

その他の用語 

5.1

有効部(

clear aperture

仕様に適合する表面の領域。

5.2

リム(

rim

有効部外の領域。

5.3

サンプル(

witness sample

コーティングされた実際の部品及び基板の代わりに用いる標本。分光試験及び環境試験に用いる。

注記

サンプルの採り方についての詳細(例えば,材料,表面状態,寸法,バッチ番号,コーティン

グ室内での位置など)は,受渡当事者間の協定による。


8

B 7080-1

:2015 (ISO 9211-1:2010)

附属書 A

(参考)

典型的な光学コーティング欠陥の顕微鏡写真

典型的な光学コーティング欠陥の顕微鏡写真を

図 A.1∼図 A.16 に示す。

図 A.1−ピンホール 


9

B 7080-1

:2015 (ISO 9211-1:2010)

図 A.2−突沸 

 

図 A.3−パーティクル 


10

B 7080-1

:2015 (ISO 9211-1:2010)

図 A.4−ダスト 

図 A.5−ぶつ 


11

B 7080-1

:2015 (ISO 9211-1:2010)

図 A.6−スクラッチ 

図 A.7−ヘアライン 


12

B 7080-1

:2015 (ISO 9211-1:2010)

図 A.8−クラック 

図 A.9−マイクロクラック 


13

B 7080-1

:2015 (ISO 9211-1:2010)

図 A.10−しみ 

図 A.11−擦りきず 


14

B 7080-1

:2015 (ISO 9211-1:2010)

図 A.12−拭き残り 

 

図 A.13−膜抜け 


15

B 7080-1

:2015 (ISO 9211-1:2010)

図 A.14−膜剝がれ 

図 A.15−部分膜剝がれ 


16

B 7080-1

:2015 (ISO 9211-1:2010)

図 A.16−膨れ 

参考文献

[1]

JIS Z 8000-7  量及び単位−第

7

部:光

注記

対応国際規格:ISO 80000-7

Quantities and units

Part 7: Light

IDT

[2]

JIS B 7080-4  光学及びフォトニクス−光学コーティング−第

4

部:特定試験方法

[3]

ISO 6286

Molecular absorption spectrometry

Vocabulary

General

Apparatus

[4]

ISO 14997

Optics and photonics

Test methods for surface imperfections of optical elements