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B 7076:2020 (ISO 17328:2014) 

(1) 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 測定方法························································································································· 2 

4.1 全般 ···························································································································· 2 

4.2 測定原理 ······················································································································ 2 

4.3 測定装置及び測定手順 ···································································································· 4 

4.4 測定波長 ······················································································································ 4 

5 試料······························································································································· 4 

5.1 試料プリズムの形状及び寸法 ··························································································· 4 

5.2 面精度 ························································································································· 5 

6 試験報告書 ······················································································································ 5 

附属書A(参考)測定装置 ····································································································· 6 

附属書B(参考)誤差解析 ···································································································· 13 

B 7076:2020 (ISO 17328:2014) 

(2) 

まえがき 

この規格は,産業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本光学硝子工業会(JOGMA)

及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を制定すべきとの申出

があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本産業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

日本産業規格          JIS 

B 7076:2020 

(ISO 17328:2014) 

光学及びフォトニクス−光学材料及び構成物− 

赤外光学材料の屈折率の測定方法 

Optics and photonics-Optical materials and components- 

Test method for refractive index of infrared optical materials 

序文 

この規格は,2014年に第1版として発行されたISO 17328を基に,技術的内容及び構成を変更すること

なく作成した日本産業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。 

適用範囲 

この規格は,波長0.78 μm〜25 μmの赤外線領域で使用する赤外光学材料の空気に対する相対屈折率の測

定方法を規定する。 

この規格には,複屈折材料の屈折率の測定方法及び複素屈折率の測定方法は含まない。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 17328:2014,Optics and photonics−Optical materials and components−Test method for refractive 

index of infrared optical materials(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ

とを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用

規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 7075 光学及びフォトニクス−光学材料及び構成物−波長が0.78 μmから25 μmまでの赤外線の

範囲で使用する光学材料の特性 

注記 対応国際規格:ISO 11382:2010,Optics and photonics−Optical materials and components−

Characterization of optical materials used in the infrared spectral range from 0.78 μm to 25 μm 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

3.1 

屈折率,絶対屈折率(refractive index, absolute refractive index) 

指定波長における真空中の電磁波の速度と,材料中の電磁波の速度との比。 

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3.2 

相対屈折率(relative refractive index) 

指定波長における材料の(絶対)屈折率と,材料に接触する物質の(絶対)屈折率との比。 

3.3 

最小偏角(angle of minimum deviation) 

試料プリズム内に入射する光線と試料プリズムから射出する光線とがなす最小角度。試料プリズム内の

光線と試料プリズムの入射面及び出射面とのなす角度が等角度になる。 

注記 “偏角”については,JIS Z 8120の01.01.38(偏角)では,次のとおり定義されている。 

光学系における入射光線と射出光線とがなす角度。 

“最小偏角”については,JIS Z 8120の01.01.39(最小偏角)では,次のとおり定義されてい

る。 

a) 分散プリズムなどの偏角が最小になる場合の偏角。 

測定方法 

4.1 

全般 

この規格では,屈折率を測定するための最小偏角法の技術を記載する。 

屈折率の測定には,最小偏角法を適用する。 

4.2 

測定原理 

図1に示すように,単色光ビームが試料プリズムによって最小偏角で屈折するとき,単色光ビームの波

長における空気に対する試料プリズムの相対屈折率は,式(1)で表される。 

(

)

[

]

( )2/

sin

2/

sin

rel

α

δ

α+

=

n

····································································· (1) 

ここに, 

nrel: 試料プリズムの空気に対する相対屈折率 

α: 試料プリズムの頂角 

δ: 試料プリズムで屈折した単色光の最小偏角 

background image

B 7076:2020 (ISO 17328:2014) 

 1 単色光源光学系 

2 試料プリズム 
3 試料台(回転ステージ) 
4 目盛盤(ゴニオメータ) 
5 検出器光学系 

δ 最小偏角 
α プリズムの頂角 

図1−最小偏角法の略図 

単色光ビームは,試料プリズムの切断面に平行でなければならない(図2参照)。 

 1 りょう(稜)a) 

2 切断面b) 

注a) ここでのりょう(稜)は,図に示すように試料プリズムの入射面と出射面との交線である。 

b) ここでの切断面は,図に示すようにりょう(稜)に直交する平面である。 

図2−りょう(稜)及び試料プリズムの切断面 

B 7076:2020 (ISO 17328:2014) 

4.3 

測定装置及び測定手順 

測定装置には,次のものを装備しなければならない。 

a) 指定波長の単色光平行ビームを,試料プリズムに照射する手段。 

b) 単色光平行ビームの,試料プリズム入射面に対する角度を変化させる手段。 

c) 試料プリズムで屈折した単色光ビームの方向を決定する手段。 

d) 最小偏角δを示す手段。 

e) 試料プリズムの温度を測定する手段。 

最小偏角の測定装置の例を,附属書Aに示す。測定手順も,附属書Aに記載する。加えて,偏角誤差の

絶対値の求め方を,附属書Bに記載する。 

注記 測定装置の構成は,図A.1参照。 

4.4 

測定波長 

対象となる波長範囲内の任意の波長において屈折率の計算ができるよう,データを分散式へ曲線回帰さ

せるために,測定波長は対象波長範囲を適切にサンプリングするものでなければならない。 

試料 

5.1 

試料プリズムの形状及び寸法 

試料プリズムは,測定する材料で作られたくさび形のプリズムでなければならない。入射面及び出射面

を研磨する。 

試料プリズムの形状の例を,図3に示す。相対屈折率nrelの材料についての最適な頂角(頂角の許容誤

差が最大となるような)は,式(2)による。 

=

rel

1

arctan

2

n

α

······································································· (2) 

低屈折率材料の場合は,この関係は望ましくない大きな頂角をもたらす可能性がある。このため,この

関係は参考とする。 

background image

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 1 りょう(稜)a) 

2 面取り 

α プリズムの頂角 

注a) ここでのりょう(稜)は,図に示すように試料プリズムの入射面と出射面との交線である。 

図3−試料プリズムの形状 

5.2 

面精度 

干渉計を用いて試料プリズムの入射面及び出射面の面精度を測定する。測定したパワー成分は,測定デ

ータから減算してはならない。表面の平面度誤差は,試料プリズム面の有効開口全体にわたって150 nm 

P-V以下でなければならない。 

試験報告書 

試験報告書には,次の事項を記載しなければならない。 

a) JIS B 7075の5.6(名称の表記方法)に従った試料名 

b) 日付,場所及び測定者名 

c) 周囲の空気の温度,湿度及び気圧 

d) 試料プリズムの頂角 

e) 試料プリズムの温度 

f) 

入射面及び出射面の面精度 

g) 測定波長及び波長幅(半値全幅) 

h) 最小偏角の角度 

i) 

空気に対する相対屈折率 

c),d),e),g),h) 及びi) の値は,不確かさの値を記載する。 

background image

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附属書A 

(参考) 
測定装置 

A.1 全般 

相対屈折率の測定装置及び測定手順の例を記載する。 

測定室では,測定時の空気の温度,気圧,湿度及び試料プリズムの温度を規定値に保つ。 

A.2 測定装置 

装置は,図A.1のような部品で構成する。図A.1は,モノクロメータを用いる構成である。モノクロメ

ータを他の波長選択ユニットに置き換えてもよい。 

 1 光源 

10 試料プリズム 

2 リレー光学系 

11 試料台(回転ステージ) 

3 スリット 

12 目盛盤(ゴニオメータ) 

4 平面ミラー 

13 回転アーム 

5 凹面ミラー 

14 集光ユニット 

6 回折格子 

15 集光ミラー 

7 モノクロメータ 

16 検出器ユニット 

8 コリメートユニット 
9 コリメートミラー 

注記 矢印は,試料台(回転ステージ)及び回転アームの回転を示す。 

図A.1−構成の概要 

A.2.1 光源 

光源は,測定波長を含む光を放射する。 

A.2.2 波長選択ユニット 

波長選択ユニットは,コリメートユニットの焦点に位置するスリット又はピンホールから出射する所定

の波長の光を選択する。 

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回折格子モノクロメータは,光源から測定波長の単色光ビームを選択するための機構である。 

光源からの光ビームは,入口スリット又は入口ピンホールを介して回折格子モノクロメータに入射し,

選択波長の単色光ビームが出口スリット又は出口ピンホールを通過する。 

回折格子モノクロメータの光学系は,広いスペクトル範囲で回折格子モノクロメータを動作させる反射

光学部品で構成する。校正光ビームは,波長が正確に分かっている単色輝線である。校正光ビームは,回

折格子モノクロメータの波長カウンタの校正に適用する。 

光源からの光ビーム及び校正光ビームは,回折格子モノクロメータの入口スリット及び出口スリット上

の同じ位置を透過する。 

波長選択ユニットとして,バンドパスフィルタを用いることもできる。 

注記1 バンドパスフィルタによっては,中心波長が温度によってシフトする。 

注記2 回折格子モノクロメータから出射される光ビームの波長は,スリットの長手方向1) に沿って

変化する。 

注1) 分光器波長分散方向に直交する方向。 

A.2.3 コリメートユニット 

コリメートユニットは,波長選択ユニットの出口スリット又は出口ピンホールからの単色光ビームを平

行ビームにするユニットである。光学系の色収差が引き起こす誤差を避けるために反射光学系を用いる。 

A.2.4 目盛盤(ゴニオメータ) 

目盛盤(ゴニオメータ)は,試料台(回転ステージ)及び回転アームで構成する。これは,回転アーム

の回転角度を読み取る機能をもつ。試料台(回転ステージ)で,試料プリズムの入射面をコリメートユニ

ットからの単色光ビームが照明する位置に試料プリズムを保持し,試料プリズムを回転させる。回転アー

ムで,集光ユニット及び検出器ユニットを回転させる。 

試料台(回転ステージ)の回転軸及び回転アームの回転軸は,試料プリズムの入射面及び出射面によっ

て規定するりょう(稜)と平行である。試料プリズムのホルダには,傾き調整機構を設ける。 

試料プリズムの切断面は,単色光ビームと平行に維持する。 

切断面は,試料プリズムのりょう(稜)に垂直な平面とする。 

注記1 最小偏角の測定角度は,単色光ビームと切断面との間の角度に応じて変化する。 

注記2 一度確立された最小偏角の状態を維持するための試料プリズム回転角度の変化と回転アーム

角度の変化との関係は,1:2の固定比である。 

A.2.5 集光ユニット 

集光ユニットは,目盛盤(ゴニオメータ)の回転アーム上に置かれ,試料プリズムによって屈折した単

色光ビームを集光し,波長選択ユニットの出口スリット又は出口ピンホールの像を形成する。 

A.2.6 検出器 

A.2.6.1 全般 

検出器ユニットは,回転アーム上の集光ユニットと一体である。 

A.2.6.2 光検出器 

図A.2に示すように,スリット又はピンホールを集光ユニットの焦点面に置き,スリット又はピンホー

ルを通る単色光ビームを光検出器で検出する。必要であれば,スリット又はピンホールと光検出器との間

にリレー光学系を入れて,単色光ビームを光検出器に集光させる。その他の多くの有効な構成又は更に望

ましい構成も利用可能である。 

注記 ここでの光検出器は,受光素子に区画がなく1入力に対して1出力が対応する単素子型である。 

background image

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  1 光源 

11 試料プリズム 

 2 チョッパ 

12 試料台(回転ステージ) 

 3 リレー光学系 

13 目盛盤(ゴニオメータ) 

 4 スリット 

14 回転アーム 

 5 平面ミラー 

15 集光ユニット 

 6 凹面ミラー 

16 集光ミラー 

 7 回折格子 

17 検出器ユニット 

 8 モノクロメータ 

18 光検出器(単素子) 

 9 コリメートユニット 

19 ロックインアンプ 

10 コリメートミラー 

20 コントロールユニット 

注記1 矢印は,試料台(回転ステージ)及び回転アームの回転を示す。 
注記2 高い信号対雑音比を得るために,チョッパ及びロックインアンプを用いている。点滅光源を用いる場合もあ

る。 

図A.2−光検出器を用いる構成 

A.2.6.3 イメージセンサ 

図A.3に示すように,イメージセンサ表面には波長選択ユニット2) の出口スリット又は出口ピンホール

の像を形成する。その他の多くの有効な構成又は更に望ましい構成も利用可能である。エリアセンサを一

般的に用いる。ラインセンサを用いる場合もある。 

注記 イメージセンサが冷却タイプの場合,コールドアパーチャ又はコールドストップは,センサデ

ュワ内に設定される。その場合,波長選択ユニットの出口スリットの像をイメージセンサ表面

上に投影するために,集光ユニットと光検出器との間にリレー光学系が必要となる。 

注2) 図A.3における7(モノクロメータ)を指す。 

background image

B 7076:2020 (ISO 17328:2014) 

  1 光源 

11 試料台(回転ステージ) 

 2 リレー光学系 

12 目盛盤(ゴニオメータ) 

 3 スリット 

13 回転アーム 

 4 平面ミラー 

14 集光ユニット 

 5 凹面ミラー 

15 集光ミラー 

 6 回折格子 

16 検出器ユニット 

 7 モノクロメータ 

17 コールドアパーチャ 

 8 コリメートユニット 

18 イメージセンサ 

 9 コリメートミラー 

19 冷却イメージセンサ 

10 試料プリズム 

20 コントロールユニット 

注記 矢印は,試料台(回転ステージ)及び回転アームの回転を示す。 

図A.3−イメージセンサを用いた構成 

A.3 測定手順 

A.3.1 初期位置 

図A.4に示すように,試料プリズムを用いずに回転アームの角度を調整することによって,波長選択ユ

ニットの出口スリット又は出口ピンホールの像を,光検出器(単素子)のスリット又はイメージセンサの

基準画素の上に設定する。この角度を,光学系の初期位置とする。測定は,初期位置が波長及び温度にわ

たる測定過程全般で安定していること,又は初期位置のいかなる変動も検出し補償することを確実にする

ために実施することが望ましい。 

background image

10 

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  1 スリット 

 2 コリメートユニット 
 3 コリメートミラー 
 4 平面ミラー 
 5 試料台(回転ステージ) 
 6 目盛盤(ゴニオメータ) 
 7 回転アーム 
 8 集光ユニット 
 9 集光ミラー 
10 検出器ユニット 
 

図A.4−光学系の初期位置 

A.3.2 最小偏角 

回転アームの初期位置を設定した後,試料プリズムを試料台(回転ステージ)にセットする。その後,

これを最小偏角の条件を確立するために回転させる。波長,試料プリズム温度及び空気の温度に依存する

最小偏角δは,試料プリズムで屈折した単色光ビームを検出するように配置させた回転アームの角度と,

それが熱平衡に達するのに必要な測定前の待機時間を経た時点での初期位置における回転アームの角度と

の差異である。図A.5を参照。 

光検出器(単素子)の場合,試料台(回転ステージ)の各ステップで測定した偏角の角度は放物線状の

曲線に当てはめて,最小偏角の角度を決定する。 

background image

11 

B 7076:2020 (ISO 17328:2014) 

  1 スリット 

 2 コリメートユニット 
 3 コリメートミラー 
 4 平面ミラー 
 5 試料プリズム 
 6 試料台(回転ステージ) 
 7 目盛盤(ゴニオメータ) 
 8 回転アーム 
 9 集光ユニット 
10 集光ミラー 
11 検出器ユニット 
 δ 最小偏角 

注記 矢印は,試料台(回転ステージ)及び回転アームの回転を示す。 

図A.5−最小偏角測定時の光学系の位置 

図A.6は,最小偏角の角度を確立する別の方法を示している。この方法では,試料プリズムの二つの位

置について,最小偏角の条件が確立する。すなわち,二つの位置とは,平行ビームが第1の研磨面を通し

て試料プリズムに入射する第1の位置及びもう一方の第2の研磨面から入射する第2の位置である。最小

偏角δは,二つの最小偏角位置間の回転アームの全角度偏位の半分である。 

background image

12 

B 7076:2020 (ISO 17328:2014) 

  1 スリット 

 2 コリメートユニット 
 3 コリメートミラー 
 4 平面ミラー 
 5 試料プリズム 
 6 試料台(回転ステージ) 
 7 目盛盤(ゴニオメータ) 
 8 回転アーム 
 9 集光ユニット 
10 集光ミラー 
11 検出器ユニット 
 δ 最小偏角 
 

図A.6−最小偏角のもう一つの測定方法 

13 

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附属書B 

(参考) 
誤差解析 

試料プリズムの空気に対する相対屈折率の偏差の絶対値Δnrelは,式(B.1)で評価する。 

(

)

[

]

(

)

(

)

[

]

(

)2

/

sin

2

2

/

cos

2

/

cos

2

/

cos

rel

rel

α

δ

δ

α

α

α

δ

α

Δ

Δ

n

Δn

+

+

+

 ············· (B.1) 

偏角誤差の絶対値Δδは,式(B.2)で与える。 

1

g

h

δ

δ

δ

δ

Δ

Δ

Δ

Δ

+

+

 ·························································· (B.2) 

ここに, 

α: 試料プリズムの頂角 

Δα: 試料プリズムの頂角の測定誤差の角度 

δ: 最小偏角 

Δδh: 人による誤差の角度 

Δδg: 目盛盤(ゴニオメータ)からの角度読出しの不確実性に

よる角度誤差 

Δδ1: 入射光線の入射角の誤差が誘起する屈折角誤差 

nrel: 試料プリズムの空気に対する相対屈折率 

注記 対応国際規格の式(B.1)では変数“n”と表記されているところを,より正確な表記“nrel”に置

き換えた。また,対応国際規格にこの変数の説明がされていないため,その記載を加えた。 

|nrel| は温度に依存する。温度に不確かさΔTがある場合,|(dnrel/dT)ΔT| を|Δnrel| の式に加える。ここで,

dnrel/dTは相対屈折率の温度係数であり,ΔTは試料プリズムの測定温度の不確かさである。 

図2に示すように,切断面は,試料プリズムの入射面及び出射面に対してそれぞれ垂直である。理想的

な入射光線r0は,切断面上の最小偏角の透過光線である。図B.1に示すように,入射角度誤差をもつ入射

光線rは,切断面に対して入射角度誤差Δεをもって試料プリズムに入射し,出射する。切断面上へのrの

射影はr'である。また,図B.2に示すように,試料プリズムに入射する前は,r0とr'とは一致している。 

図B.2に示すように,r0とr'との間の屈折角誤差をΔδ1とするとき,Δδ1の絶対値は近似的に式(B.3)で表

される。 

(

)

(

)

[

]

2

2

rel

2

rel

1

2

/

tan

1

ε

δ

α

δ

Δ

n

n

Δ

+

=

 ················································· (B.3) 

ここに, 

nrel: 試料プリズムの空気に対する相対屈折率 

α: 試料プリズムの頂角 

δ: 最小偏角 

Δε: 入射光線の角度誤差 

注記 r'の屈折角は,r0の屈折角よりも大きい。 

background image

14 

B 7076:2020 (ISO 17328:2014) 

 1 

切断面 

r0 理想的な入射光線 

角度誤差のある入射光線 

Δε 入射光線の誤差角度 

図B.1−入射角度誤差 

 r0 理想的な入射光線 

r' 

切断面上でのrの射影 

Δδ1 r0とr'との間の屈折角誤差 

注記 図は切断面上への投影である。 

図B.2−切断面上の屈折角誤差 

15 

B 7076:2020 (ISO 17328:2014) 

 
 

参考文献 JIS Z 8000-7:2014 量及び単位−第7部:光 

IEC 60050-845,International Electrotechnical Vocabulary−Part 845: Lighting 

JIS Z 8120:2001 光学用語 

JIS B 7071-1:2015 光学ガラスの屈折率測定方法−第1部:最小偏角法