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B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

(1)

目  次

ページ

序文

1

1  適用範囲

1

2  引用規格

1

3  用語及び定義

2

4  一般事項

16

4.1  測定単位

16

4.2  JIS B 6191 の参照

16

4.3  推奨する測定器

16

4.4  環境

16

4.5  試験すべき回転軸

16

4.6  回転軸の暖機運転

16

5  誤差運動試験方法

17

5.1  一般

17

5.2  試験条件及び仕様

17

5.3  構造運動,主軸停止

17

5.4  主軸試験−回転感度方向

17

5.5  主軸試験−固定感度方向

22

附属書 A(参考)回転軸の特性に関する共通概念

26

附属書 B(参考)基準球真円度誤差の消去

44

附属書 C(参考)回転軸のコンプライアンス特性の用語及び定義

47

附属書 D(参考)主軸の回転に関係する温度ドリフトの用語及び定義

48

附属書 E(参考)静的誤差運動試験

49

附属書 F(参考)回転軸の試験における測定の不確かさの推定

50

附属書 G(参考)索引(50 音順)

54

参考文献

56


 
B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人日本工作機械工業会 (JMTBA) 及び

財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日

本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。

JIS B 6190 の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS

B

6190-2  第 2 部:数値制御による位置決め精度試験

JIS

B

6190-4  第 4 部:数値制御による円運動精度試験

JIS

B

6190-7  第 7 部:回転軸の幾何精度試験


日本工業規格

JIS

 B

6190-7

:2008

(ISO 230-7

:2006

)

工作機械試験方法通則−

第 7 部:回転軸の幾何精度試験

Test code for machine tools−Part 7: Geometric accuracy of axes of rotation

序文

この規格は,2006 年に第 1 版として発行された ISO 230-7 を基に,技術的内容及び対応国際規格の構成

を変更することなく作成した日本工業規格である。

1

適用範囲

この規格は,工作機械で用いる回転軸の幾何精度試験方法について規定する。工作機械の主軸,旋回主

軸頭及び傾斜回転テーブルは,すべて回転軸をもっている。これらの軸はすべて,複数の誤差が原因とな

って空間内で意図しない運動を発生させる。

次の主軸の特性は,この規格の適用範囲である。

−  回転軸の誤差運動

−  速度に起因する軸移動

なお,熱が原因で発生する軸移動,環境温度変動が原因で発生する軸移動のような主軸の特性について

は,JIS B 6193 による。また,次の主軸の特性は,この規格の適用範囲から除く。

−  角度位置決め精度(JIS B 6191 及び JIS B 6190-2 を参照)

−  表面及び部品の振れ(JIS B 6191 を参照)

−  工具保持具インタフェースの仕様

−  振動測定(ISO/TR 230-8 を参照)

−  騒音測定(JIS B 6195 を参照)

−  回転速度範囲及び精度(JIS B 6336-6 及び JIS B 6331-6 を参照)

−  釣合い測定又は方法(ISO 1940-1 及び ISO 6103 を参照)

−  アイドル運転損失(パワー損失)

−  温度ドリフト(JIS B 6193 を参照)

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 230-7:2006,Test code for machine tools−Geometric accuracy of axes of rotation (IDT)

なお,対応の程度を表す記号 (IDT) は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,一致していることを示

す。

2

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。

これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。



B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

JIS B 6191  工作機械−静的精度試験方法及び工作精度試験方法通則

注記  対応国際規格:ISO 230-1:1996,Test code for machine tools−Part 1: Geometric accuracy of

machines operating under no-load or finishing conditions (MOD)

JIS B 6193  工作機械−熱変形試験方法通則

注記  対応国際規格:ISO 230-3:2001,Test code for machine tools−Part 3: Determination of thermal

effects (IDT)

JIS B 6310  産業オートメーションシステム−機械及び装置の制御−座標系及び運動の記号

注記  対応国際規格:ISO 841:2001,Industrial automation systems and integration−Numerical control of

machines−Coordinate system and motion nomenclature (IDT)

3

用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。

注記  この規格に規定する用語及び定義は,回転軸に関する用語の理解を容易にするために次の順序

で規定する。五十音順に並べた索引は,

附属書 に示す。

3.1

一般用語

3.1.1

主軸ユニット  (spindle unit)

回転軸を提供する装置。

注記  回転テーブル,傾斜テーブル,回転センタなどの要素は,この定義に含む。

3.1.2

主軸,ロータ  (spindle, rotor)

主軸ユニットの回転要素。

3.1.3

主軸ハウジング,ステータ  (spindle housing, stator)

主軸ユニットのうちの静止した要素。

3.1.4

軸受  (bearing)

主軸を支持し,主軸(ロータ)と主軸ハウジングとの間で回転を容易にするための主軸ユニットの要素。

3.1.5

回転軸  (axis of rotation)

その周りに回転が起きる線分[

図 1 a)参照]。

注記  一般に,回転中,この線分は,図 1 a)及び図 1 b)に示すように,軸受及び軸受座面,構造運動

又は軸移動における不精確さによって,

(軸及び半径方向に)平行移動し,基準座標系内で傾く。


3

B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

1

主軸(ロータ)

2

回転軸の誤差運動

3

軸平均線

4

回転軸

5

主軸ハウジング(ステータ)

a)  基準座標軸,軸平均線及び回転軸の誤差運動 

EXC X 方向の半径方向運動 
EYC Y 方向の半径方向運動 
EZC  軸方向運動 
EAC X 軸周りの傾斜運動 
EBC Y 軸周りの傾斜運動 
ECC  角度位置決め誤差

XOC C 軸の X 方向の位置 
YOC C 軸の Y 方向の位置 
AOC C 軸と Y 軸との直角度 
BOC C 軸と X 軸との直角度

b)  回転軸の誤差運動 

c)  軸平均線の位置誤差(軸移動) 

a)

  基準座標軸

図 1−基準座標軸,回転軸,軸平均線及び回転軸の誤差運動

3.1.6

基準座標軸  (reference coordinate axes)

指定した対象物に対して固定された互いに垂直な X 軸,Y 軸及び Z 軸[

図 1 a)参照]。



B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

注記  指定した対象物は,固定又は回転する。

3.1.7

正の向き  (positive direction)

JIS B 6310 に従って,工作物の寸法が増加する向きを運動の正の向きとする。

3.1.8

完全主軸  (perfect spindle)

軸平均線に対して回転軸に誤差運動をもたない主軸。

3.1.9

完全工作物  (perfect workpiece)

中心線の周りに完全な回転面をもつ剛体。

3.1.10

軸平均線  (axis average line)

基準座標系に対して配置した,回転軸の平均位置を表す直線。

注記 1  軸平均線は,負荷,温度又は速度変化に対応して回転軸の位置変化を記述するのに有用な用

語である。

注記 2  軸平均線は,軸方向に離れた二つの位置で測定したデータの最小二乗法中心を計算すること

によって,決定するのが望ましい(3.4 参照)

注記 3  JIS B 6310 は,“機械の Z 軸は,機械の主軸に平行に取る。”と定義している。これは,機械

の Z 軸が主軸の軸平均線に平行であることを意味する。しかし,軸平均線の定義を,他の軸

及び回転軸にも適用するので,一般にすべての回転軸が機械の Z 軸に平行であるというわけ

ではない。工作機械の主軸と関連している場合だけに,軸平均線は,機械の Z 軸に平行に取

るのが望ましい。

3.1.11

軸移動  (axis shift)

状態変化による軸平均線の,工具と工作物との間の準静的な変位[

図 1 c)参照]。

注記  軸移動は,温度ドリフト,負荷変化及び速度変化による影響を含んでいる。

3.1.12

変位計  (displacement sensor)

二つの指定した対象物間の変位を検出する変換器。

例  静電容量形変位計,電気マイクロメータ,渦電流形変位計,レーザ干渉計及びダイヤルゲージが

ある。

3.1.13

構造ループ  (structural loop)

2 個の指定した対象物の間の相対位置を維持する要素の集合。

注記  指定した対象物の代表的な組合せは,切削工具と工作物との組合せである。構造ループには,

主軸,軸受,軸受ハウジング,主軸台,案内面,本体構造及び工具・工作物保持具が含まれる。

3.1.14

感度方向  (sensitive direction)

加工又は測定の瞬時位置を通る完全工作物表面に垂直な方向(

図 参照)。

注記  固定感度方向については,工具と工作物との間の相対変位の測定の結果は,工作物の仕上げ表


5

B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

面の形状誤差に対応する。

3.1.15

非感度方向  (non-sensitive direction)

感度方向に直角なすべての方向。

3.1.16

固定感度方向  (fixed sensitive direction)

主軸とともに回転する工作物に対して,固定した加工又は測定の方向。

3.1.17

回転感度方向  (rotating sensitive direction)

固定した工作物に対して,主軸とともに回転する加工又は測定の方向。

注記  旋盤は,固定感度方向をもっており,ジグ中ぐり盤は,回転感度方向をもっている。

3.1.18

振れ  (runout)

運動する表面に対して変位計によって検出された全変位,又は固定された表面に対して動いた全変位。

注記 1  与えられた断面における構成要素の振れについては,JIS B 6191 の 5.611.4 参照。

注記 2  用語“TIR”(total indicator reading)と“FIM”(full indicator movement)とは,振れと同等である。

3.1.19

静止点の振れ  (stationary point runout)

変位計と測定面とが一緒に回転し,変位計に対する横方向の運動を無視できる場合に,回転している面

上の点について検出する変位計によって測定された全変位(

図 参照)。

3.1.20

直角度  (squareness, perpendicularity)

90°からの角度偏差が与えられた値を超えない二つの面,二つの直線,又は直線と面との角度関係[JIS 

B 6191 を参照]。

注記  複数の極座標曲線の中心が,軸方向の動き及び端面の動きの極座標曲線,又は半径の異なる二

つの端面の動きの極座標曲線のいずれかの場合で,完全に一致すれば,平面は,回転軸に“直

角”である。運動の直角度は,工作機械については,平面(支持又は案内面)

,直線(軸又は二

つの平面の交差線)又は他の運動部品上の機能点の軌跡に関係する機械の運動部品上の機能点

の軌跡上の連続点を参照する(JIS B 6191 の 5.5 参照)



B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

1

主軸

2

完全工作物

3

軸平均線

4

変位計

5

誤差運動

6

感度方向

7

軸方向位置

8

半径方向位置

9

感度方向角度

a)  誤差運動の総合 

b)  軸方向誤差運動 

c)  端面誤差運動 

d)  半径方向誤差運動 

e)  傾斜誤差運動 

図 2−一般的な誤差運動並びに固定感度方向における軸方向,端面,半径方向及び傾斜誤差運動


7

B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

(同軸度の半径方向測定及び平行度の端面測定)

図 3−静止点の振れを使用している応用例

3.1.21

遊び  (play)

構造ループ内の要素間のすき(隙)間に限定した変位分だけ発生する,剛性がゼロの状態。

3.1.22

ヒステリシス  (hysteresis)

力(又は,モーメント)を連続的に負荷し,その後,反対方向に除荷したことによって生じる二つの物

体間の変位(又は角度)

注記  ヒステリシスは,駆動機構のすき間,案内面のすき間,機械的な変形,摩擦,及び緩んだ結合

部のような機構によって起こる。

3.1.22.1

セットアップヒステリシス  (setup hysteresis)

通常,緩い機械的な結合が原因で発生する,試験のセットアップにおける様々な部品のヒステリシス。

3.1.22.2

機械ヒステリシス  (machine hysteresis)

特定の負荷を受けるときに発生する機械構造のヒステリシス。

3.2

誤差運動  (error motion)

(回転軸)工具と工作物との間の感度方向における故意ではない相対変位。

注記  誤差運動は,図 2 a)に示す位置及び方向として定義され,温度,負荷又は回転速度の変化と関

連付けた軸移動による運動を含まない。

3.2.1

回転軸誤差運動  (axis of rotation error motion)

主軸の回転角度に関する関数として,軸平均線に対する回転軸の位置及び向きにおける変化。



B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

注記  この誤差運動は,回転軸と一致する中心線をもった完全な円筒テストバー又は球の表面の運動

として測定してよい。

3.2.2

構造誤差運動  (structural error motion)

内部又は外部からの加振による誤差運動。構造ループの剛性,質量及び減衰の影響を受ける(3.6 参照)

3.2.3

軸受誤差運動  (bearing error motion)

不完全な軸受による誤差運動。

注記  附属書 参照。

3.2.4

全誤差運動  (total error motion)

主軸及び構造の誤差運動の同期並びに非同期成分からなる記録されたすべての誤差運動。

3.2.5

静的誤差運動  (static error motion)

誤差運動が,任意の回転位置で静止した主軸の誤差運動の特別な場合。

注記  この用語は,どのような動的な影響をも排除した誤差運動を測定するために用いる。

3.2.6

同期誤差運動  (synchronous error motion)

回転周波数の整数倍数で起こる全誤差運動の成分。

注記  何回も回転させて平均化した全誤差運動極座標曲線の輪郭である。

3.2.7

基本誤差運動  (fundamental error motion)

主軸の回転周波数で起こる全誤差運動の成分。

3.2.8

剰余同期誤差運動  (residual synchronous error motion)

基本回転周波数以外の周波数の整数倍で起こる同期誤差運動の成分。

3.2.9

非同期誤差運動  (asynchronous error motion)

回転周波数の整数倍以外の周波数で発生する全誤差運動の成分。

注記 1  非同期誤差運動は,全誤差運動の,同期誤差運動からの偏差である。

注記 2  非同期誤差運動は,次の誤差運動の要素を含む。

a)  周期的でない成分。

b)  主軸の回転周波数及びその整数倍以外の周波数で発生する周期的成分。

c)  主軸回転周波数の分数調波(subharmonics)である周波数での周期的成分。

3.2.10

半径方向誤差運動  (radial error motion)

指定した軸方向の位置における軸平均線と直角な方向の誤差運動[

図 2 d)参照]。

注記 1  この誤差運動は,回転軸と一致している中心線をもった,完全な円筒テストバー又は球の表

面の半径方向の運動として測定してもよい。

注記 2  用語“半径振れ”は,一般に認められている意味をもっているが,心合せによる誤差及び工


9

B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

作物の真円度の狂いを含んでおり,半径方向誤差運動と同じではない。

3.2.11

純粋半径誤差運動  (pure radial error motion)

回転軸が,軸平均線に平行で,かつ,感度方向において軸平均線と垂直に運動する誤差運動。

注記  純粋半径誤差運動とは,傾斜誤差運動のない理想的な半径誤差運動のことである。それを測定

しようとしないのが望ましい。

3.2.12

傾斜誤差運動  (tilt error motion)

軸平均線に対するある角度方向の誤差運動[

図 2 e)参照]。

注記 1  この運動は,軸の平均線に沿ったある距離だけ離れた二つの断面における半径方向の誤差運

動を同時測定することによって評価できる。

注記 2  英語表記の“coning”,“wobble”,“swash”,“tumbling”及び“towering”誤差は,傾斜誤差運

動を表す用語としては不適切である。

注記 3  “角運動”よりもむしろ“傾斜誤差運動”という用語を選んだ理由は,その軸の周りの回転

又は回転テーブルのような装置の角度位置決め誤差との混乱を避けるためである。

3.2.13

軸方向誤差運動  (axial error motion)

軸平均線と同軸の誤差運動[

図 2 b)参照]。

注記 1  この運動は,軸平均線に平行な軸方向において,回転軸と一致した中心線をもつ,完全な円

筒テストバー又は完全な球状のテスト球の面の運動として測定してもよい。

注記 2  軸方向の滑り(axial slip),先端のカミング(end-camming),往復運動(pistoning)及び漂動

(drunkenness)は,軸方向の誤差運動の用語として好ましくない。

3.2.14

端面誤差運動  (face error motion)

指定された半径方向位置での,軸平均線に平行な誤差運動[

図 2 c)を参照]。

注記  端面誤差運動は,軸方向誤差運動と傾斜誤差運動との組合せである。

“面振れ”は,

“半径振れ”

と類似した用語として受け入れられているが,端面誤差運動とは同じではない。

3.2.15

誤差運動測定  (error motion measurement)

機械,測定器及び試験条件に関するすべての適切な情報を含む誤差運動の測定記録。

3.3

誤差運動極座標表示  (error motion polar plot)

主軸の回転角度と変位との関係を描いて作成した回転軸の誤差運動の極座標による表示(

図 参照)。


10 
B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

a)  全誤差運動 

b)  同期誤差運動 

c)  非同期誤差運動 

d)  内側誤差運動 

e)  外側誤差運動 

図 4−誤差運動及びその成分の極座標表示の例

3.3.1

全誤差運動極座標表示  (total error motion polar plot)

記録されたままのすべての誤差運動の極座標表示。


11

B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

3.3.2

同期誤差運動極座標表示  (synchronous error motion polar plot)

回転周波数の整数倍の周波数をもつ誤差運動要素の極座標表示。

注記  全誤差運動極座標曲線を平均することによって同期誤差運動極座標曲線を求めることができ

る。

3.3.3

非同期誤差運動極座標表示  (asynchronous error motion polar plot)

回転周波数の整数倍でない周波数で起こる全誤差運動の極座標表示。

3.3.4

基本誤差運動極座標表示  (fundamental error motion polar plot)

指定された閉曲線の中心周りに,極座標表示した同期誤差運動の曲線の最適合円。

3.3.5

軸方向誤差運動極座標表示  (axial error motion polar plot)

基本,剰余同期及び非同期の軸方向誤差運動を含む軸方向誤差運動の極座標表示。

3.3.6

剰余同期誤差運動極座標表示  (residual synchronous error motion polar plot)

基本周波数以外の周波数で起こる同期誤差運動の極座標表示。

注記  同期誤差運動の基本成分と剰余成分との区分は,軸方向及び端面誤差運動に適用できるだけで

ある。半径及び傾斜方向においては,基本誤差運動は存在しない。基本周波数で発生する測定

値は,回転軸の特性ではない。

3.3.7

内側誤差運動極座標表示  (inner error motion polar plot)

全誤差運動極座標曲線の内側の境界の輪郭の極座標表示。

3.3.8

外側誤差運動極座標表示  (outer error motion polar plot)

全誤差運動極座標曲線の外側の境界の輪郭の極座標表示。

3.4

誤差運動中心  (error motion centre)

誤差運動極座標曲線の評価のために定義した中心(

図 参照)。


12 
B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

a

誤差運動極座標曲線

b LSC 中心に対する誤差運動の値

図 5−誤差運動極座標曲線,PC(極座標)中心及び LSC(最小二乗円)中心

並びに LSC 中心に対する誤差運動の値

注記  表 は,誤差運動の値を評価するための望ましい中心について示す。その中心が指定されてい

なければ,望ましい中心は,仮定する。

表 1−誤差運動の種類による望ましい中心

運動の種類

望ましい中心

半径方向誤差運動 LSC 中心

傾斜誤差運動 LSC 中心

軸方向誤差運動 PC 中心

端面誤差運動 PC 中心

3.4.1

極座標中心,PC 中心  (polar chart centre, PC centre)

極座標の中心。

3.4.2

極プロフィール中心  (polar profile centre)

数学的又は図解的な方法によって極プロフィールから導いた中心。

3.4.3

最小二乗円中心,LSC 中心  (least squares circle centre, LSC centre)

十分な数の等しく区切られ,その中心から誤差運動極座標曲線まで測定された半径偏差の二乗の和を最

小にする円の中心。

3.4.4

最小半径分離中心,MRS 中心  (minimum radial separation centre, MRS centre)

二つの同心円の間に誤差運動極座標曲線を含んで要求された半径差を最小にする中心。

3.4.5

最大内接円中心,MIC 中心  (maximum inscribed circle centre, MIC centre)

誤差運動極座標曲線の中で内接できる最大円の中心。


13

B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

3.4.6

最小外接円中心,MCC 中心  (minimum circumscribed circle centre, MCC centre)

誤差運動極座標曲線を含む最小円の中心。

注記 1  極プロフィール中心は,同期誤差運動極座標曲線を使用することで求められる。

注記 2  極座標中心が,選ばれた極プロフィール中心と一致しているときは,工作物は心出し誤差ゼ

ロで中心に位置する。

3.5

誤差運動の値  (error motion value)

指定された回転回数に対する誤差運動成分の評価値。

注記  多くの場合,誤差運動の値は,対応する誤差運動極曲線を包含する,二つの同心円の半径の差

に等しい。また,得られたこの値は,これらの二つの円の共通する中心位置に依存する。3.5.1

3.5.7 に規定する定義は,現象及び計算を理解するときの助けとするために,極座標曲線の用

語を用いて示す。数学的な解析は,値を極座標表示しないで計算できる。

3.5.1

全誤差運動の値  (total error motion value)

全誤差運動の極座標曲線を包含するに十分な指定された誤差運動中心からの二つの同心円の半径の差。

注記  四つの全誤差運動,すなわち,全半径誤差運動,全傾斜誤差運動,全軸方向誤差運動及び全端

面誤差運動の値が,定義されている。

3.5.2

同期誤差運動の値  (synchronous error motion value)

同期誤差運動の極座標曲線を包含するに十分な指定された誤差運動中心からの二つ同心円の半径の差

図 参照)。

3.5.3

非同期誤差運動の値  (asynchronous error motion value)

指定された極座標曲線の中心を通る半径線に平行に測定された非同期な誤差運動極座標曲線の最大幅

図 参照)。

注記  非同期誤差運動の値は,“雲状帯”(cloud band)の最大半径の幅として円周方向の任意の角度位

置における全誤差運動の極座標曲線から見付けることができる。それは,同心円を使わない唯

一の測定である。なぜなら,完全な円周の周りでの半径変化でなく,特定の角度での半径変化

を含むためである。厳密にいえば,非同期誤差運動の値は,一見して正しく見えることとは逆

に,最良適合中心よりもむしろ極座標図(PC)から半径に沿って測定するのが望ましい(

図 

照)


14 
B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

1

非同期誤差運動の値

2

同期誤差運動の値

3

同期誤差運動の極座標表示

図 6−誤差運動の極座標曲線,非同期誤差運動及び同期誤差運動の値

3.5.4

基本軸方向誤差運動の値  (fundamental axial error motion value)

同期誤差運動極座標曲線の指定された極プロフィール中心と PC 中心との間の距離の 2 倍。

注記 1  それは,回転周波数成分の振幅で代替できる。

注記 2  半径方向においては,基本半径方向誤差運動の値はない。回転周波数で起こる運動は,心が

ずれた測定ジグによって引き起こされるものであって,回転軸の特性ではない。

3.5.5

剰余同期誤差運動の値  (residual synchronous error motion value)

剰余同期誤差運動の極座標曲線を包含するに十分な指定された誤差運動中心からの二つの同心円の半径

の差。

3.5.6

内側誤差運動の値  (inner error motion value)

内側誤差運動の極座標曲線を包含するに十分な指定された誤差運動中心からの二つの同心円の半径の差。

3.5.7

外側誤差運動の値  (outer error motion value)

外側誤差運動の極座標曲線を包含するに十分な指定された誤差運動中心からの二つの同心円の半径の差。

3.6

構造誤差運動  (structural error motion)


15

B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

3.2.2 による。

注記  構造誤差運動は,測定に影響を及ぼす主軸の回転に対した応答がある場合がある。

3.6.1

主軸回転による構造誤差運動  (structural error motion with rotating spindle)

主軸が回転しているときに測定された,構造ループの一つの要素が他の要素との間で起こす相対的な運

動。

注記  幾つかの機械では,主軸駆動方式は大きなたわみを構造に伝える場合がある。

3.6.2

主軸非回転中の構造誤差運動  (structural error motion with non-rotating spindle)

主軸が回転していないときに測定された,構造ループの一つの要素が他の要素との間で起こす相対的な

運動。

注記  多くの場合には,外部振動源,すなわち,冷却油剤ポンプ若しくは油圧ポンプ,又は床の振動

によって引き起こされる加振に対して構造運動源を隔離することが重要である。

3.6.3

構造誤差運動表示  (structural error motion plot)

時間を横軸にとって記録した変位曲線。構造誤差運動を記録する最も一般的な方法。

注記  しかし,主軸回転に同期する構造誤差運動を解明するために極座標曲線が必要である。

3.6.4

構造誤差運動の値  (structural error motion value)

決められた時間にわたって,指定された運転条件で測定された変位の範囲(最大−最小)

3.7

速度変化によって発生する軸移動

3.7.1

半径方向移動  (radial shift)

軸平均線に垂直な方向の軸移動。

3.7.2

傾斜移動  (tilt shift)

軸平均線に対する,ある角度方向の軸移動。

3.7.3

軸方向移動  (axial shift)

軸平均線に平行な方向の軸移動。

3.7.4

端面移動  (face shift)

指定された半径位置で測定された,回転軸の軸方向移動と傾斜移動との組合せ。

3.7.5

速度誘起形軸移動表示  (speed-induced axis shift plot )

回転速度が変化したときに起こる回転軸の移動の直交座標表示。

3.7.6

速度誘起形軸移動の値  (speed-induced axis shift value)

様々な指定された速度における一つの変位計(又は,傾斜及び端面測定用の変位計の組合せ)の最大変


16 
B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

位と最小変位との差。

4

一般事項

4.1

測定単位

この規格では,すべての長さ寸法はミリメートルで表し,すべての長さの偏差(誤差運動)は,マイク

ロメートルで表す。さらに,すべての角度寸法は,度で表し,すべての角度偏差(誤差運動)は,マイク

ロラジアン又は秒で表す。

4.2

JIS B 6191 の参照

この規格の適用に当たっては,特に,試験前の機械の据付け,運動部品の暖機及び測定器の推奨精度に

ついて JIS B 6191 を参照するのが望ましい。

4.3

推奨する測定器

この規格で推奨する測定器について例示する。同じ量を測定でき,同等以上の精度をもつ他の測定器を

用いてもよい。

a)  適切な範囲,分解能,熱的安定性,精度及び帯域幅をもつ試験用ジグの金属組織学上の変動に鈍感な

非接触変位(近接)測定システム。必要な帯域幅は,1 回転当たりの起伏の数(これは,分析するの

が望ましい。

)及び主軸の速度範囲による。ほとんどのマシニングセンタに関しては,帯域幅 10 kHz

は,6 000 min

1

以下の回転速度で許容できる。より速い主軸速度に対しては,速度に比例してより高

い帯域幅が必要になる。

b)  その後に行う解析のために,変位データを収集し,格納するためのコンピュータを使ったシステムの

ようなデータ収集装置。

c)  機種別の性能検査規格に規定されている設計又は受渡当事者間の協定に基づいた設計によるテストバ

ー(JIS B 6191 の A.3 参照)

d)  変位計を取り付けるための取付具。

測定器の長期間にわたる精度は,

例えば,変換器のドリフト試験によって確かめられなければならない。

試験を始める前には,測定器は熱的に安定していなければならない。

4.4

環境

機械だけではなく,測定器も関係する場合には,試験前に温度が安定した状態になるまで十分に長い時

間試験環境下に(望ましくは,夜通し)置かなければならない。これらは,風,及び日光,暖房器具など

の外部熱放射から保護しなければならない。

4.5

試験すべき回転軸

回転軸は,完全に組み立てられ,そして完全な操作ができるものでなければならない。回転軸の試験は,

無負荷状態で行わなければならない。

注記  これは,主軸ユニットの形式検査ではない。異なった機械で同じ主軸ユニットの試験をした場

合は,据付け,熱影響及び振動状態によって異なる結果を発生させ得る。

4.6

回転軸の暖機運転

試験に先立って,製造業者の指定した手順による暖機運転及び/又は受渡当事者間で協定した適切な手

順で暖機運転を行う。

ほかに条件が指定されていなければ,予備的な運動は,旋回主軸頭,及び傾斜回転テーブルに対して測

定器を取り付けるために必要な運動だけに制限する。主軸は,最低 10 分間,最高速度の半分の速度で暖機

運転をした後に,試験しなければならない。


17

B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

5

誤差運動試験方法

5.1

一般

感度方向における誤差運動は,加工したときにそれぞれの工作物に形状誤差及び仕上げ面誤差を発生さ

せる。このために,この誤差運動は,工作機械の性能を特徴付けてしまうために最も重要である。感度方

向に垂直な誤差運動は,非感度方向であるので評価しない。しかし,幾つかの場合(非常に小さい部品の

旋削のような場合)においては,重要な二次オーダ効果がある場合がある。

5.2

試験条件及び仕様

実施する各測定に対して,次の条件を記述するのが望ましい。

a)  測定を行う半径方向,軸方向又は端面位置。

b)  使用するすべての測定基準,目標物及び取付具。

c)  測定装置の位置。

d)  試験中の装置に接続する直進又は回転位置決めステージの位置。

e)  感度方向の向き。例えば,軸方向,半径方向,又は適切な中間的な角度。

f)  測定結果の表示。例えば,誤差運動の値,極座標曲線,時間ベース及び周波数ベースの曲線。

g)  主軸の回転速度(静的誤差運動については,ゼロ)。

h)  持続時間(秒),又は軸の回転回数。

i)

適切な暖機又は慣らし運転の手順。

j)  測定器の周波数応答。ヘルツ(Hz)又は回転速度で与えられる。電子フィルタのロールオフ特性も含

む。デジタル測定器の場合には,変位分解能及びサンプリングレート。

k)  構造ループ。主軸ハウジングに対する変位計の位置及び向き,主軸の軸と基準座標軸とが配置されて

いるところについては指定された対象物,及びこれらの対象物を接続する要素を含む。

l)

測定を行った日時。

m)  試験に使用したすべての測定器の種類及び校正条件。

n)  室温のような,測定に影響を及ぼすかもしれないその他の運転条件。

5.3

構造運動,主軸停止

5.3.1

一般

これらの試験は,主軸と工作物との間での相対運動を測定するように考案されている。

この相対運動は,

機械自体及び環境によって引き起こされる。

5.3.2

試験方法

測定装置は,JIS B 6193 の 5.2 に規定する ETVE 試験と同じである。

まず,機械及び附属装置の電源を入れた状態で,機械の駆動はオフにし,すなわち,非常停止状態で構

造運動を測定する。

次に,機械の電源及び油圧装置のような附属装置の電源を入れ,機械の駆動をオンにし,すなわち,機

械をフィードホールドモードにして構造運動を測定する。

5.3.3

結果の分析

構造運動値は,

(例えば,1 秒などのように)比較的短い期間にわたって観察した最大(peak to valley)

変位である。

5.4

主軸試験−回転感度方向

5.4.1

一般

これらの試験は,回転感度方向の加工,例えば,中ぐり,フライス削り,穴あけ及び輪郭研削に適用で


18 
B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

きる。

5.4.2

半径方向誤差運動

5.4.2.1

測定装置

図 は,測定装置を示す。この装置では,精密な基準球又は円筒のような測定ジグを機械の主軸に取り

付ける。複数の変位計は,直交させて機械のテーブルに取り付ける。基準球は,偏心を最小にするために

回転軸の中心線上で心合せする。主軸の角度位置は,主軸に取り付けたロータリエンコーダのような角度

測定器を用いて測定する。

主軸の角度位置は,ロータリエンコーダを用いる代わりに,球をわずかに偏心させて取り付けることに

よって求めることもできる。この偏心は,変位計の出力に重ねて 90 度位相のずれた正弦波信号を 1 回転ご

とに生成する。その結果,角度位置は,極座標表示に必要な正弦波信号を使って計算できる。この場合の

測定装置を,

図 に示す。

5.4.2.2

試験方法

半径方向誤差運動測定は,三つの主軸速度

1)

で実施しなければならない。

a)  主軸を最高速度の 10  %(又は,最低速度のいずれか高い方)で回転させて,主軸の角度位置の関数

として二つの変位計の読みを記録する。

b)  主軸を最高速度の 50  %で回転させ,主軸の角度位置の関数として二つの変位計の読みを記録する。

c)  主軸を最高速度の 100  %で回転させ,主軸の角度位置の関数として二つの変位計の読みを記録する。

1)

  機械の使用者が,全速度範囲にわたって主軸速度をゆっくり変えていく間に,誤差表示シス

テムの出力を観察することを推奨する。速度を変えていくと,構造誤差運動のために発生す

る異常な誤差運動を観察できる場合がある。そのような速度があるときは,これらの速度は

避けて加工することが望ましい。

1

基準球

2

テーブル

3

主軸

4

角度位置測定装置

5

変位計

図 7−回転感度方向をもった主軸に取り付けた角度位置測定装置と心合せした基準球とを用いた

半径方向誤差運動の測定方法(Vanherck/Peters の方法)


19

B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

1

ワッブル板

2

垂直方向変位計

3

水平方向変位計

4

工具方向への基準球のオフセット

図 8−回転感度方向をもった主軸に偏心して取り付けた基準球を用いた半径方向運動の測定方法

Tlusty

の方法)

5.4.2.3

データ解析

半径方向誤差運動は,互いに直角に配置された二つの変位計によって測定された静止基準に関して,主

軸の角度位置の関数として主軸(ロータ)の半径方向変位を記録することによって求められ,更に,次の

式に従って誤差運動極座標曲線を計算し,表示することによって求められる。

r(

θ

)  =  r

0

  +

X(

θ

)cos

θ

  +

Y(

θ

)sin

θ

ここに,

θ

主軸の回転の角度

r(

θ

): 角度位置

θ

  での半径方向誤差運動

X(

θ

): X 軸方向の変位計の出力

Y(

θ

): Y 軸方向の変位計の出力

r

0

変位計とテストバーとのアライメントによって設定された

半径の値

各速度での主軸誤差運動の極座標表示は,十分な回転回数

2)

について行う。一つの主軸速度に対する代

表的な曲線を,

図 4 a)に示す。この規格の目的のために,二つの誤差運動の値が誤差運動表示から計算さ

れる。非同期誤差運動の値は,極座標曲線(平均の前)が

図 4 c)及び図 に示すように極座標中心を通る

半径線に沿って測定した全誤差運動極座標曲線の最大の幅になる。次に,同期誤差運動極座標曲線は,総

回転回数に対する全誤差運動極座標曲線の結果を平均することによって計算する。代表的な同期誤差運動

極座標曲線は,

図 4 b)の太い線として表示する。同期半径方向誤差運動の値は,同期誤差運動極座標曲線

を含む十分な LSC 中心で心合せされた二つの同心円の半径の差である。半径方向誤差運動の値は,測定が

行われる軸方向の位置とともに指定されなければならない。

2)

  主軸については,最小値は 20 回転である。回転テーブルについては,少なくとも時計回り及び

反時計回りにそれぞれ 4 回転,旋回主軸頭及び傾斜回転テーブルについては,少なくとも時計

回り及び反時計回りにそれぞれ 2 回転させる。

5.4.3

傾斜誤差運動

5.4.3.1

測定装置

傾斜誤差運動の測定では,

図 に示すように,空間的に離れた 2 点での半径方向誤差運動の同時測定が

必要となる。2 個の球をある距離だけ離して取り付けたテストバー又は円筒テストバーを主軸に取り付け,

主軸の回転軸に合わせる。主軸の前側軸受内径に対応する,二つの球と変位計との最小距離の推奨値を,


20 
B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

表 に示す。

二つの傾斜誤差運動の測定方法について説明する。方法 1 は,2 個の変位計を用いる方法,方法 2 は,

傾斜を測定するために 4 個の変位計を用いる方法である。

表 2−傾斜誤差運動の測定に用いる二つの球と変位計との間の推奨最小距離

単位  mm

主軸の前側軸受内径

変位計間の最小距離

を超え

以下

 10

25

10 18

32

18 30

40

30 50

50

50 80

63

80 120

80

120 180

100

180 250

125

250

150

A  変位計(1∼5) 
B  角度位置測定装置 
C  主軸 
D  テストバー 
E  変位計取付具 
F  テーブル

図 9−主軸誤差運動の回転感度方向の測定に用いる 変位計測定システム

5.4.3.2

試験方法−方法 1

1 個の基準球又はテストバー及び変位計を,5.4.2.1 に従って取り付け,三つの主軸速度

3)

で半径方向誤

差運動の測定を行う。

a)  主軸を最高速度の 10  %(又は,最低速度のいずれか高い方)で回転させ,主軸の角度位置の関数と

して二つの変位計の読みを記録する。


21

B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

b)  主軸を最高速度の 50  %で回転させ,主軸の角度位置の関数として二つの変位計の読みを記録する。

c)  主軸を最高速度の 100  %で回転させ,主軸の角度位置の関数として二つの変位計の読みを記録する。

次に,基準球又は円筒テストバー及び変位計は,前の位置からの少なくとも推奨された軸方向距離(

参照)だけ離れた位置で再取付けし,最高速度の 10  %(又は,最低速度のいずれか高い方),50  %及び

100  %の速度で 2 回目の測定を行う。

3)

  機械の使用者が,全速度範囲にわたって主軸速度をゆっくり変えていく間に,誤差表示システ

ムの出力を観察することを推奨する。速度を変えていくと,構造誤差運動のために発生する異

常な誤差運動を観察できる場合がある。そのような速度があるときは,これらの速度は避けて

加工することが望ましい。

5.4.3.3

データ解析−方法 1

二つの軸方向の位置でそれぞれの主軸速度に対応する同期半径方向誤差運動及び非同期半径方向運動を,

5.4.2.3 に従って求める。同期半径方向誤差運動の測定値の差を二つの変位計間の距離(表 参照)で除し

た値を,同期傾斜運動誤差と定義する。非同期半径方向誤差運動の測定値の差をその距離で除した値を,

非同期傾斜運動誤差と定義する。これらの単位は,いずれもラジアンである。

5.4.3.4

試験方法−方法 2

測定ジグ及び変位計を,5.4.3.1 に従って取り付け,三つの主軸速度

4)

で測定を実施する。

a)  主軸を最高速度の 10  %(又は,最低速度のいずれか高い方)で回転させ,主軸の角度位置の関数と

して二つの変位計の読みを記録する。

b)  主軸を最高速度の 50  %で回転させ,主軸の角度位置の関数として二つの変位計の読みを記録する。

c)  主軸を最高速度の 100  %で回転させ,主軸の角度位置の関数として二つの変位計の読みを記録する。

4)

  機械の使用者が,全速度範囲にわたって主軸速度をゆっくり変えていく間に,誤差表示シス

テムの出力を観察することを推奨する。速度を変えていくと,構造誤差運動のために発生す

る異常な誤差運動を観察できる場合がある。そのような速度があるときは,これらの速度は

避けて加工することが望ましい。

5.4.3.5

データ解析−方法 2

二つの軸方向の位置でそれぞれの主軸速度に対応する同期半径方向誤差運動及び非同期半径方向誤差運

動は,5.4.2.3 に従って求める。変位計 1 と 4 との出力差及び変位計 2 と 5 との出力差は,5.4.2.3 の式に与

えた半径方向誤差方程式の

X と

Y として使用され,r

0

は,ゼロに合わせてセットされる(変位計 No.3

は,必要ないことに注意する。

図 参照)。同期傾斜運動は,測定装置における変位計間の距離で同期誤

差を除すことによって得られる。極座標表示は,5.4.2.3 に示すように行われ,解析される。非同期誤差運

動は,測定装置で変位計間の距離で非同期誤差を除して得られる。いずれも,単位はラジアンである。

5.4.4

軸方向誤差運動

5.4.4.1

測定装置

図 10 は,軸方向誤差運動の測定装置を示す。この装置では,基準球は機械の主軸に取り付ける。変位計

は,基準球に向けて軸方向に平行に機械のテーブルに取り付ける。基準球は,偏心を最小にするために回

転軸上で心合せする。主軸の角度位置は,主軸に取り付けたロータリエンコーダのような角度測定装置を

用いて測定する。


22 
B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

1

基準球

2

テーブル

3

主軸

4

角度位置測定器

5

変位計

図 10−回転感度方向に対する軸方向誤差運動測定装置

5.4.4.2

試験方法

図 10 に示すように変位計は,軸方向に向けて取り付ける。

主軸を最高速度

5)

の 10  %(又は,最小速度のうちで,高い方)

,50  %及び 100  %で回転させ,主軸の

角度位置の関数として二つの変位計の読みを記録する。

5)

  機械の使用者が,全速度範囲にわたって主軸速度をゆっくり変えていく間に,誤差表示システ

ムの出力を観察することを推奨する。速度を変えていくと,構造誤差運動のために発生する異

常な誤差運動を観察できる場合がある。そのような速度があるときは,これらの速度は避けて

加工することが望ましい。

5.4.4.3

データ解析

軸方向誤差運動に対する誤差運動極座標曲線の解析は,また,基本誤差運動(偏心)が解析的に除去で

きない場合を除いて,半径方向誤差運動の解析と概念的には同じである。軸方向誤差運動は,誤差運動と

主軸の角度との関係を直交座標上に表示してもよい。非同期軸方向誤差運動は,主軸の十分な回転回数

6)

にわたる変位の最大範囲になければならない。同期軸方向誤差運動は,最小二乗中心に関して定義された

同期誤差運動の値の範囲になければならない。

6)

  主軸については,最小値は 20 回転である。回転テーブルについては,少なくとも時計回り及び

反時計回りにそれぞれ 4 回転,旋回主軸頭及び傾斜回転テーブルについては,少なくとも時計

回り及び反時計回りにそれぞれ 2 回転させる。

5.5

主軸試験−固定感度方向

5.5.1

一般

この試験は,固定感度方向をもった機械加工,例えば,旋削及び円筒研削に適用できる。

5.5.2

測定装置

図 11 は,工作主軸の固定感度方向について主軸誤差運動の測定に適した幾つかの測定装置を図示したも

のである。

(この試験では,

主軸角度の関数として誤差運動の極座標曲線をコンピュータ又はオシロスコー


23

B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

プに生成できるようにするために,主軸の角度位置に比例した信号を発生できると仮定している。

。基準

球又は他の適当な測定ジグを機械の主軸に取り付け,変位計を刃物台又は刃物台に取り付けた固定具に取

り付ける。その球又はジグは,偏心を最小にするように心出しするのが望ましい。偏心を基本軸方向誤差

運動と間違えやすいので注意を要する。

5.5.3

半径方向誤差運動

5.5.3.1

試験方法

半径方向誤差運動は,

図 11 に示すように変位計を半径方向に向けて取り付けて測定しなければならない。

半径方向誤差運動の測定は,主軸を,10 分間,最高回転速度の半分の速度で暖機した後に 3 種類の主軸

速度

7)

で行う。この試験のために選んだ主軸速度は,最高速度の 10  %(又は,最低速度のいずれか高い

方)

,50  %及び 100  %で回転させなければならない。各速度で,主軸誤差運動の極座標表示は,十分な回

数回転

8)

させて行わなければならない。

7)

  機械の使用者が,全速度範囲にわたって主軸速度をゆっくり変えていく間に,誤差表示システ

ムの出力を観察することを推奨する。速度を変えていくと,構造誤差運動のために発生する異

常な誤差運動を観察できる場合がある。そのような速度があるときは,これらの速度は避けて

加工することが望ましい。

8)

  球軸受及びころ軸受主軸に関しては,数百以下のできるだけ高い回転回数で適切に誤差運動を

評価することを推奨する。

5.5.3.2

データ解析

各速度で,主軸誤差運動の極座標表示は,十分な回数回転

9)

させて行わなければならない。単一主軸速

度に対する代表的な極座標表示を,

図 4 a)に示した。この曲線は,固定感度方向及び回転感度方向に対し

て同じに見えるが,そうではなく,異なった量の測定値を示す。この規格の目的のために,二つの誤差運

動の値だけが誤差運動曲線から求められる。非同期誤差運動の値は,

図 に示したように,極座標中心を

通る半径に沿って平行に測定した(平均する前の)全誤差運動極座標曲線の最大幅でなければならない。

次に,同期誤差運動極座標曲線は,全回転回数に対する全誤差運動極座標曲線を平均することによって

計算しなければならない。典型的な同期誤差運動の極座標曲線は,

図 4 b)の黒い太線及び図 の黒い細線

で表示されている。同期半径方向誤差運動の値は,ちょうど同期誤差運動極座標曲線を含むことができる

くらい十分である LSC 中心で心合せした二つの同心円の半径の差である。半径方向誤差運動の値は,測定

を行った軸方向の位置と一緒に指定しなければならない。

9)

  主軸については,最小値は 20 回転である。回転テーブルについては,少なくとも時計回り及び

反時計回りにそれぞれ 4 回転,旋回主軸頭及び傾斜回転テーブルについては,少なくとも時計

回り及び反時計回りにそれぞれ 2 回転させる。


24 
B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

a) 

1

クロススライド

2

軸方向変位計

3

半径方向変位計 2

4

半径方向変位計 1

b) 

図 11−主軸の固定感度方向誤差運動の測定装置

5.5.4

軸方向誤差運動

5.5.4.1

試験方法

軸方向誤差運動は,

図 11 に示すように,軸方向に変位計を置いて測定しなければならない。軸方向誤差

運動が,5.4.4.1 に従って軸方向誤差運動の回転感度方向について指定された同じ方法で,かつ,同じ主軸

速度で測定しなければならない。

5.5.4.2

データ解析

基本誤差運動(偏心)を解析的に取り除けない場合を除いて,軸方向誤差運動に対する誤差運動極座標

曲線の解析も半径方向誤差運動の解析と同じである。軸方向誤差運動は,主軸の角度位置と誤差運動とを

直交座標表示してもよい。非同期軸方向運動は,主軸の十分な回数回転

8)

させて,変位の最大範囲になる。

同期軸方向誤差運動は,最小二乗中心に対して定義した同期誤差運動の値の範囲になる。

5.5.5

傾斜誤差運動

5.5.5.1

測定装置

固定感度方向における傾斜誤差運動の測定は,

図 11 に示すように半径方向の変位計 1 と変位計 2 とを用

いて空間的に離れた 2 点で半径方向誤差運動の測定を行う。ある距離(

表 参照)だけ離れた二つの球を

備えた試験用ジグ又は円筒テストバーは,主軸に取り付けてもよく,偏心を最小にするために主軸の回転

軸に精密に心合せをしてもよい。

傾斜誤差運動の測定方法には,二つの方法がある。方法 1 は,1 個の変位計を使用する方法であり,方

法 2 は,傾斜を測定するために 2 個の変位計を使用する方法である。

5.5.5.2

試験方法−方法 1


25

B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

基準球又はテストバー及び変位計を 5.5.2 に従って取り付け,

三つの主軸速度で半径方向誤差運動の測定

を実施する。

a)  最高速度の 10  %の速度(又は,最低速度のいずれか高い方)で十分な回数回転

10)

させて,主軸の角

度位置の関数として変位計の読みを記録する。

b)  最高速度の 50  %の速度で主軸を回転させ,主軸の角度位置の関数として変位計の読みを記録する。

c)  最高速度の 100  %の速度で主軸を回転させ,主軸の角度位置の関数として変位計の読みを記録する。

次に,基準球又は円筒テストバー及び変位計は,前の位置からの 50 mm∼100 mm 離れた位置に再び取

付けし,これらの測定を行う。

10)

  機械の使用者が,全速度範囲にわたって主軸速度をゆっくり変えていく間に,誤差表示システ

ムの出力を観察することを推奨する。速度を変えていくと,構造誤差運動のために発生する異

常な誤差運動を観察できる場合がある。そのような速度があるときは,これらの速度は避けて

加工することが望ましい。

5.5.5.3

データ解析−方法 1

2 か所の軸方向の位置で各主軸速度に対応する同期半径方向誤差運動及び非同期半径方向誤差運動は,

5.5.3.2 に従って求める。二つの変位計間の距離で除した半径方向誤差運動測定値の差を同期傾斜運動誤差

と定義する。その距離で除した非同期半径方向誤差運動測定値の差を,非同期傾斜運動誤差と定義する。

単位は,ラジアンである。

5.5.5.4

試験方法−方法 2

次の解析は,2 個の変位計が,距離 L

d

離れて,基準球の赤道上又は円筒テストバーに平行に取り付けら

れていると仮定して行う。2 個の変位計がそれらの感度(出力電圧/変位)が同じになるように調整され,

何らかの主軸運動誤差解析システムに入力する前にそれらの出力が互いから差し引かれるか,又はソフト

ウェアでそれらの感度が校正され,減算が行われる。

主軸は,5.5.4.2 に規定したように,選んだ三つの主軸速度で十分な回数回転

11)

させて,二つの読みの差

(変位計 1 及び変位計 2)を極座標上に表示する。

11)

  機械の使用者が,全速度範囲にわたって主軸速度をゆっくり変えていく間に,誤差表示システ

ムの出力を観察することを推奨する。速度を変えていくと,構造誤差運動のために発生する異

常な誤差運動を観察できる場合がある。そのような速度があるときは,これらの速度は避けて

加工することが望ましい。

5.5.5.5

データ解析−方法 2

非同期傾斜誤差運動の値は,極座標中心を通る半径線に平行に測定され,二つの変位計間の距離 L

d

で除

した 2 個の変位計の読みの差から得られた全誤差運動極座標曲線の非同期成分である。すなわち,

d

1

2

)]

(

)

(

[

)

(

L

r

r

θ

θ

θ

β

=

ここに,

β

(

θ

)

傾斜運動(ラジアン)

r

2

(

θ

)

変位計

2

での半径方向運動

r

1

(

θ

)

変位計

1

での半径方向運動

L

d

2

個の変位計の中心間の距離

θ

主軸(極座標上での角度)の角度位置

同期傾斜誤差運動は,二つの位置に対応させて,

2

個の変位計の間の距離で二つの同期誤差運動の値の

差を除すことによって得られる。


26 
B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

附属書 A

参考)

回転軸の特性に関する共通概念

A.1

序文

この附属書では,工作機械の回転軸の特性の指定及び測定に関する共通概念について記述する。この附

属書は,回転軸に関する参考文献

[9]

を基礎にして作成している。

この附属書は,理解を容易にするために例として旋盤主軸を用いるが,この附属書において記述してい

る共通概念は,工作機械又は測定機の部品,例えば,回転テーブル,トラニオン軸受,回転センタなどす

べての回転軸に適用できる。

A.2

完全回転軸

A.2.1

一般

完全回転軸に適合する要件について考えることから始める。完全回転軸とは,

“空間において固定された

線の周りを回転する工作物の軸”のように表現してもよいかもしれないが,この表現では不十分であり,

幾つかの点に留意する必要がある。

A.2.2

相対運動

海上で横揺れしている船上に固定されている旋盤を想定すると,この旋盤の主軸の回転軸は,工作物の

精度に影響を及ぼすことなく“空間”で明らかに大きく動いている。重要なことは工作物と工具との相対

運動である。この相対運動は,工作物と工具との相対的な位置を維持するために必要な構成要素のつなが

りを表す構造ループと関係している(旋盤の場合の構造ループは,チャック−主軸−主軸軸受−主軸台−

ベッド−案内−刃物台になる。

A.2.3

感度方向

旋盤で面削りをする場合を想定する。主軸軸受が不完全なために切削点で工作物が工具に対して軸方向

にわずかに動くと仮定すると,一回転ごとの誤差が工作物に刻まれる。この場合に軸方向の動きは感度方

向にあるという。これとは逆に面に接する方向の小さな動きは,切削誤差を生じさせない。したがって,

この動きは非感度方向にあるという。幾つかの例を,

図 A.1 に示す。一般に感度方向は,加工点を通り,

創成される回転面の法線に平行である。感度方向に垂直な方向が非感度方向である。

A.2.4

回転感度方向

中ぐり盤は,旋盤とは逆に工作物を固定し工具を回転させる機械である。切削点を通る線に常に平行に

なる感度方向は工具とともに回転する(

図 A.2 参照)。A.11 及び A.12 に示すが,機械のベッドを基準とし

て,回転軸の感度方向が固定であるか,又は回転であるかによって異なった測定方法を適用する。

A.2.5

変位計及び工具

上記の例は,すべて工具を基準として記述している。用語“工具”とは,幅広く,研削砥石のようなも

のまで含むと解釈する。さらに,上記のすべての記述は,切削工具に取り換えて変位計を付ければ測定機

にも同様に適用できる。

上記の議論に基づけば,工作機械又は測定機の完全回転軸の要件についてより詳細に記述することがで

きる。

完全回転軸は,感度方向において工具に対して動かない線の周りに工作物を回転させることができる軸


27

B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

(又は,固定工作物及び回転工具の場合についても同様)である。

図 A.1−面削り,外丸削り及び面取りにおける

感度方向 

図 A.2−ジグ中ぐりしている二つの瞬間における

回転感度方向 

厳密にいえば,この表現は,

図 A.3 に示す円筒のような曲面を扱う場合には,非感度方向の運動であっ

ても何らかの誤差を生じさせるので,その方向における相対運動を制限していないところに問題がある。

しかし,非感度方向の回転軸の誤差運動を測定しなければ,測定の労力をかなり減らすことができる。次

の式は,この誤差を推定するときに役に立つ。

E

N

 

非感度方向における動き

E

s

 

  E

N

による感度方向の誤差

工作物半径

とすると,次の式が成り立つ。

R

E

E

2

)

(

2

N

S

=

R

よりも

E

N

が小さい場合)

(A.1)

例えば,

E

N

0.02 mm

及び

R

10 mm

とすると,

µm

0.02

mm

10

.

2

10

2

)

02

.

0

(

5

2

S

=

=

×

=

E

非感度方向において 20

µm の誤差運動が発生すると,その円の接線方向の動きによる誤差は 0.02 µm (20

nm)と 1/1 000 の大きさになる。すなわち,二次オーダの誤差である。したがって,感度方向における動き

と非感度方向の動きとがほとんど同じであると仮定した場合は,非感度方向における動きを無視するのは

妥当なことである。


28 
B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

非感度方向

図 A.3−曲面に対する非感度方向の相対運動による二次オーダの誤差

A.3

  不完全回転軸−誤差運動

実際の回転軸に対して,用語“誤差運動”は,工具と工作物との間の感度方向における相対変位を説明

するために用いる。誤差運動の物理的要因として,軸受の非真円成分による軸受誤差運動,並びに内部又

は外部加振源と関係している構造ループの質量,ばね及び減衰による構造誤差運動の二つの要因を考える

ことができる。A.7.5 に記述しているように,円グラフに同期させてデータを記録することはこの点で有益

ではあるが,誤差運動試験データをこれらの二つの要因に分離できない場合もある。

A.4

  構造誤差運動

構造ループと相対運動との関係を強調するために,用語“振動”よりも“構造誤差運動”がよく用いら

れる。旋盤の刃物台に加速度計を取り付けて,例えば,その出力を 2 回積分して構造誤差運動を求める方

法は,加速度計が絶対運動を検出するので不正確になる。剛体構造ループについては,そのループは同じ

大きさの振動を受けるが,構造誤差運動は無視できるほどに小さくなる。

構造ループは,回転軸を機能的に利用しているマイクロメータの C 形フレームとアンビルとの関係のよ

うに,相対運動だけが重要になる。転がり軸受による構造誤差運動を含めるために,駆動歯車又はモータ

からの構造誤差運動を除き,刃物台ではなくて主軸の共振を含めることは,任意でもあるが,非現実的で

もある。この規格に採用している方法は,あらゆる要因による構造誤差運動を含むことであるが,使用者

の目的に最も適切な構造ループの選択は使用者に任される。したがって,この規格は,定盤上の“単独”

ユニットとして,又は完成機に組み込まれた部品として行う主軸試験に適用できる。誤差運動測定又は仕

様に関係する構造ループについては,あいまいなところがないのがよい。

A.5

  温度ドリフト

工具と工作物との間に相対運動が起こる要因として構造ループ内の温度分布変化がある。熱膨張又は熱

収縮によって感度方向に生じる相対運動は,温度ドリフトと呼ばれる。温度ドリフトは,誤差運動よりも

応答時間が遅いので誤差運動とは分けて扱うことができる。温度ドリフトについては,JIS B 6193 を参照。


29

B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

A.6

  誤差運動の幾何学

A.6.1

  一般

ここでは,工作物は剛体として扱え,かつ,回転すると仮定し,幾つかの基本誤差運動の測定から予測

される誤差運動が工作物の形状・寸法に与える幾何学的関係について述べる。

図 A.4 に示すように,二つの線分の相対運動に関連して工具と工作物との相対運動を扱うのは便利であ

る。その線分の一つである回転軸は,工作物に埋め込まれ工作物とともに動き,もう一つの線分は,回転

軸の平均位置において工具に対して固定された軸平均線と呼ばれる。完全回転軸においてはこの二つの線

分は一致する。

一般に工作物は,

図 A.5 にそれぞれ示すように,時刻 における 3 直進運動と 3 回転運動とからなる 6

自由度をもっている。これらの 6 自由度のうちで軸平均線周りの回転運動 C は,回転軸として意図した機

能である。残りの 5 自由度のどれかが,感度方向並びに加工点の軸方向及び半径方向位置に依存する誤差

運動に大きく影響することになる。

図 A.1 に示す旋盤作業については,感度方向は常に案内面に平行な平

面にある。

注記  例えば,Y 軸運動を使って旋削工具を接近させる場合は,感度方向は YZ 面内にあることにな

る。

工作物が回転する工作機械及び測定機の試験は,ほとんどすべての場合に感度方向が一平面に制限され

ることを示す。これを便宜上 X'Z'面と呼ぶと,運動 EYC(t)及び EAC(t)は,常に非感度方向にあり,無視す

ることができる。言い換えれば,関係ある誤差運動だけが,X'Z'投影平面に現れる運動 EXC(t),EZC(t)及

び EBC(t)になる。A.6.2A.6.4 に示す用語を用いる

1)

1)

  図 A.5 に示す旋盤の座標系は,JIS B 6310 による。JIS B 6310 によると“構成要素の運動の正

の方向は,工作物の寸法が増える向きである[

図 A.5 b)参照]。工具の運動を表す場合には,機

械の概略図面では,ダッシュなしの文字を用いる。工作物の運動を表す場合には,ダッシュ付

きの文字を使用し,この運動の正の方向は,対応するダッシュなしの文字の運動とは逆である。

JIS B 6310 は,X',Y'及び Z'周りの回転運動を A',B'及び C'で表す。しかし,この規格では,

読みやすくするためにダッシュを付けないで表す。

A.6.2

  純粋半径方向誤差運動  (pure radial error motion)

図 A.5 a)に示すように,軸平均線と平行を保ちながら,感度方向において軸平均線に直角に運動する回

転軸の誤差運動 EXC(t)。

A.6.3

  軸方向誤差運動  (axial error motion)

図 A.5 a)に示すように,軸平均線と同軸を保ちながら軸平均線に対して軸方向に運動する回転軸の誤差

運動 EZC(t)。

A.6.4

  傾斜方向誤差運動  (tilt error motion)

図 A.5 a)に示すように,軸方向及び純粋半径方向誤差運動の起こる平面内で軸平均線に対して傾斜方向

に運動する回転軸の誤差運動 EBC(t)。


30 
B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

1

構造ループ

AB  軸平均線 
CD  時刻 における回転軸

図 A.4−回転軸の例(AB は工具に対して固定されており,CD は工作物に埋め込まれている)


31

B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

a)  時刻 における軸平均線と回転軸との間の一般的な相対運動及び 基本自由度 

b)  JIS B 6310 の基準座標系 

図 A.5−旋盤における回転軸誤差運動の呼び方


32 
B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

A.6.5

  半径方向誤差運動  (radial error motion)

一般に,傾斜方向誤差運動と純粋半径方向誤差運動とは,同時に起こり,任意の軸の位置でのその合計

が半径方向誤差運動になる。軸上の一つ位置での半径方向誤差運動 EX

0

C(t)と傾斜方向誤差運動 EBC(t)と

が分かれば,

図 A.6 a)に示すように任意の軸方向位置での半径方向誤差運動 EXC(t)を求めることができる。

EXC(t)=EX

0

C (t)+L×EBC (t)  [EXC(t)≪とする。](A.2)

ここに,は 2 軸間の距離である。半径方向誤差運動は軸の位置とともに変化するので,半径方向誤差

運動測定の軸の位置は指定する必要がある。

A.6.6

  端面運動  (face motion)

もう一つの特別な用語は,端面運動で,これは

図 A.6 b)に示すように軸平均線から距離 離れた位置に

おける軸方向誤差運動である。端面運動 F(t)は,軸方向及び傾斜方向誤差運動から次の式で表す。

F(t)=EZC(t)−R×EBC(t)  [F(t)≪とする。](A.3)

端面運動は半径位置とともに変化するので,端面運動測定の半径は指定する必要がある。

a)  軸方向位置とともに変化する半径方向誤差運動 

b)  半径位置とともに変化する端面運動 

図 A.6−半径方向誤差運動及び端面運動の幾何学

A.6.7

  誤差運動−一般的な場合

最も一般的な誤差運動は,

図 A.7 に示した球面について,軸平均線に対する感度方向のなす角度

θ

の関

数として与えられる。誤差運動は,軸方向及び半径方向の位置に依存し,その位置は

θ

 で指定する。半径

方向,軸方向及び傾斜方向の誤差運動から感度方向の誤差運動軸 e(t)は,次の式で表す。

e(t)  = EXC(t)sin

θ

  +  F(t) cos

θ

    = EX

0

C (t)sin

θ

  + EZC(t) cos

θ

  + EBC(t)(L sin

θ

 −R cos

θ

 )(A.4)


33

B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

a

)

  感度方向

図 A.7−誤差運動の一般的な場合

式(A.2)∼(A.4)から,一般的な場合又は特別な場合の誤差運動は,既知の軸方向の位置で軸方向誤差運動

EZC(t),傾斜方向誤差運動 EBC(t)及び半径方向誤差運動 EX

0

C (t)から求めることができる。

図 A.8 は,必要な誤差運動の測定に用いることができる 2 種類の測定方法を示す。どちらの場合も,半

径方向及び軸方向誤差運動は,非接触変位計を用いて直接測定できる。

図 A.8 a)では,傾斜方向運動は,

端面運動から式(A.3)を用いて求められる。

EBC(t)  = (1/R)[EZC(t)−F(t)](A.5)

図 A.8 b)では,二つ目の半径方向誤差運動の測定は,式(A.2)から傾斜方向誤差運動の計算に使える。

EBC(t)  = (1/L)[EX

2

C(t)−EX

1

C(t)](A.6)

純粋半径方向誤差運動 EXC(t)は,上のどの式にも現れないことに注意する。概念として誤差運動の理解

に役に立つが,それは回転軸の挙動を決定するときに測定しなければならない要素ではない。

a)  半径,端面及び軸方向運動の測定方法 

b)  二つの半径方向及び一つの軸方向運動の測定方法

a

)

  軸方向

b

)

  傾斜方向

c

)

  半径方向

図 A.8−固定感度方向における半径方向,軸方向及び傾斜方向運動の測定方法


34 
B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

A.7

  誤差運動の極座標表示

A.7.1

  一般

回転軸の誤差運動測定値の表示に役立つ形は,軸の回転角度 C(t)に対する誤差運動の極座標表示である

図 A.5 a)参照]。この方法の利点を,次に示す。

a

)  工作機械の可能性のある真円度及び表面仕上げの予測

b

)  軸受誤差運動及び構造誤差運動の診断

c

)  基準球の心出しに要求される精度の軽減

d

)  誤差運動の値の評価

A.7.2

  典型例−半径方向誤差運動極座標表示

固定感度方向に対する誤差運動極座標表示の典型的な例について,説明のために半径方向誤差運動を用

いる。

図 A.9 a)は,基準球(真球であって,かつ,完全に回転軸と同軸であるとする。)及び感度方向

2)

合わせて取り付けた変位計の配置を示す。

図 A.9 b)は,変位計に対して X'-Y'平面における回転軸の仮想経

路の拡大図を示す。この仮想経路は,回転角の値を添えて表示しているが,繰返し性のある 8 の字パター

ンになっている。

図 A.9 c)は,8 の字パターンを,回転角を横軸に,変位計で測定した半径方向誤差運動を

縦軸にとって直交座標表示した図である。この例では,正の範囲で運動しているのが分かる(正負の表示

は,JIS B 6310 による。

図 A.9 d)は,図 A.9 c)と同じデータを半径方向誤差運動極座標表示の形にしたも

のである。したがって,8 の字パターンは,長軸が傾いただ(楕)円の半径方向誤差運動極座標表示にな

る。もちろん,半径方向誤差運動を変えることなく非感度方向に他の運動が発生しているので,だ円を描

くのに 8 の字パターンが必要というわけではない。

2)

  旋盤について,主軸の正回転は,

θ

  の負の向きであることに注意する必要がある。

A.7.3

  平均半径運動及び工作物真円度

図 A.9 a)の変位計を理想切削工具(たわみ,摩耗などがなく,位置と正確に一致して切削できる工具)

と置き換えると,8 の字パターンの運動によって工作物は非円形になる。感度方向にある軸の運動だけが

工作物の半径に影響するので,正の半径方向誤差運動(刃物台からの)は工作物直径を大きくし,負の半

径方向誤差運動は直径を小さくする。工作物を取り外して真円度測定器に載せて測定すると,真円度曲線

図 A.10 に示すように図 A.9 d)の曲線と同じになる。すなわち,二つの図の真円度は同じになる。したが

って,回転軸の半径方向誤差運動極座標表示した線図は,理想切削状態で仕上げることができる最良の工

作物真円度を与えることになる。理想的でない切削(構成刃先,工具摩耗,工具のたわみなど)

,送りマー

ク,チャッキングによる変形,熱変形,残留応力解放などのような他の要因があると,この真円度を実現

することはできない。

工作物を切削後に外すことなくそのままチャックした状態で,変位計を刃物台上に取り付けて測定する

と,理想的な切削が行われ,半径方向誤差運動に繰返し性がある場合には,工作物表面の半径方向の振れ

はゼロになる。半径方向誤差運動と工作物真円度誤差とは,大きさが等しいが符号が異なるために打ち消

される。これは,半径方向誤差運動と半径方向振れとの測定値の違いを表す例である(A.10 を参照)

この例は,回転軸の誤差運動が 1 回転ごとに繰返し性があると仮定した中で理想化している。

図 A.11 a)

は,より典型的な誤差運動の例を示す(この誤差運動は,繰返し性がない)

図 A.11a)は,全誤差運動極座

標表示である。

図 A.11 b)は,記録した回転回数について各角度位置での半径方向誤差運動を平均化するこ

とによって

図 A.11 a)から求めた同期誤差運動極座標表示である。図 A.11 c)は,非同期誤差運動極座標表示

で,全誤差運動極座標表示と同期誤差運動極座標表示との差である。

同期誤差運動極座標表示は,

(半径方向運動に対する真円度のような)形状誤差を表しているということ


35

B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

ができる。これは,一回転ごとの全誤差運動極座標表示の形が同期誤差運動極座標表示の形に似ていると

いうことと同じである。

a)  心押し台側からみた半径方向運動測定 

b)  X'-Y'平面内における回転軸の経路の拡大図 

a

)

  回転角

c)  半径方向誤差運動直交座標表示

[図 b)の回転角度成分を X'成分として表示] 

d)  半径方向誤差運動極座標表示

[図 c)の極座標表示]

図 A.9−半径方向測定及び表示の例

a)  半径方向誤差運動極座標表示 

b)  工作物の真円度曲線 

図 A.10−図 A.9 に対応した工作物の真円度と半径方向誤差運動との関係

1

基準球

2

変位計

3

刃物台

4 X,Z 基準軸


36 
B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

a)  全誤差運動 

b)  同期誤差運動 

c)  非同期誤差運動 

d)  内側誤差運動 

e)  外側誤差運動 

図 A.11−全,同期,非同期,内側及び外側誤差運動の極座標表示

A.7.4

  非同期誤差運動及び表面粗さ

非同期誤差運動極座標表示は,理想的な切削条件下で得られる表面粗さの予測に用いることができる。

通常,表面粗さは回転方向にできる送りマークに対して直角な方向(すなわち,円筒の軸に平行であるか,


37

B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

又は,端面では放射状)に測定する。この測定は,全誤差運動極座標表示の一つの角度位置で軌跡を連続

的に求めていることになる。非同期誤差運動がゼロであれば,唯一の不規則性は,

図 A.12 a)(“理論上の

仕上げ”と呼ばれる。

)に示されるように工具刃先半径に関連している筋状のマークに現れる。工具刃先半

径 r

ε

と一回転当たりの送り とから求めた理論上の仕上げの凹凸の高さ R

t

は,次の式による。

ε

r

s

R

8

2

t

=

  (が r

ε

と比べて小さい場合)(A.7)

R

t

の値は,簡単にかなり小さくすることができる。例えば,s  = 0.02 mm/rev 及び r

ε

=5 mm のとき,R

t 

= 0.01 µm になる。

しかし,非同期運動が存在すると,連続的に回転させたとき

図 A.12 b)に示すように表面の凹凸の高さは

変動する。表面粗さのカットオフ幅(通常 0.8 mm)が,1 回転当たりの送り量よりも数倍大きい場合には,

非同期運動の大きさと式(A.7)による R

t

との和が,理想的な切削状態の下におけるその機械の潜在的な凹凸

の高さを表す。このことは,非鉄金属材料を鋭い刃先をもつダイヤモンドバイトで切削したときに得られ

るが,ほとんどの切削状態では,バイトにできる構成刃先によって表面粗さの値は大きくなる。幾つかの

状況では,例えば,平先バイトによる外丸削り,円筒といし車による研削又はどの工具でも送り速度がゼ

ロになるドウェルのように,工具が何回転も工作物上の同じ点と接触を繰り返すような場合には,工具に

対する工作物の最大の変位位置まで材料が除去されるといえる。したがって,

図 A.9 の符号の定義を用い

て)

図 A.11 e)に示すように全誤差運動極座標表示の内側の境界の輪郭を表す内側誤差運動極座標表示曲線

から潜在的な部品の真円度を予測することができる。円筒穴の加工については,外側誤差運動極座標表示

が同様の意味をもつ[

図 A.11 d)を参照]。そのような予測の信頼性は,理想的でない切削条件と同様に,

その表示の類似性によっても制限される。

a

)

非同期運動がゼロのときの理想的な切削に対す
る理論上の仕上げ。 

a)  非同期運動がゼロのときの理想的な切削に対する

理論上の仕上げ 

b)  理想的な切削による最大高さ粗さに及ぼす非同期

運動の影響 

図 A.12−非同期運動と表面粗さとの関係

A.7.5

  軸受及び構造誤差運動

極座標表示は,機械の性能を予測するときに役に立つことに加えて,観察された誤差運動の物理的な要

因を診断するときにも用いることができる。そのような関係においては,完全に繰り返す同期誤差運動の

輪郭に重ねられた非同期誤差運動として全誤差運動をみるのは有益である。繰り返して現れる輪郭は,軸

の回転周波数又は整数倍の周波数だけに関係していることを数学的に示すことができる。したがって,軸

受及び駆動システムは,同期誤差運動の要因になる可能性がある。流体軸受(動圧,静圧及び空気)は,

特に繰返し性の高いパターンを示す。

用語,

“非同期誤差運動”は,その物理的要因が統計的な意味でランダムであることを求めているのでは

く,総誤差運動極座標表示について単に言及しているだけである。事実,非同期誤差運動は,軸の回転周


38 
B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

波数の整数倍でない周波数で運転されるモータ又はポンプのようなランダムでない要因によって発生する

ことがよくある。周波数による表現は,オーバラップした軌跡を避けるために,1 回転分又は数回転分の

極座標表示によって容易に求めることができる。横軸に時間を取った記録も周波数を求めるのに役に立つ

が,同期及び非同期誤差運動成分の区別が複雑になる。

このような考察は,同期誤差運動が軸受誤差運動と同一で,非同期及び構造誤差運動と似ていることを

示唆している。しかし,これは短絡的である。非同期誤差運動は,空気軸受においては低レベルの空気ハ

ンマによる不安定性,又は転がり軸受においては球,ころ,若しくは転送面の不完全さによって起こる。

球軸受又はころ軸受は,時々一つのパターンを示し,このパターンはどの回転でも繰り返す。これは,軸

の回転速度のおよそ半分で公転(移動)する転動体と関係している

3)

。滑り軸受は,半分の速度のホワー

ル(whirl)と呼ばれる動圧効果による同様の挙動を示すことがある。この場合では,1 回転ごとの偏差は,

軸受誤差運動によって起こされた非同期誤差運動を表す。誤差運動の可能性のある発生源の特定は,スイ

ッチを入れたり切ったりするか,又は速度を変えたときの変化に注意するのが有効な方法である。別の方

法として軸の回転速度を変えることである。軸の速度がゼロのとき,“雲バンド(cloud band)”の厚さは,

軸受及び駆動システム以外の要因による非同期誤差運動を表す。また,軸を静止させて角度位置を少しず

つ変えて測定した静的誤差運動極座標表示から軸のゼロ速度における同期誤差運動極座標表示を求めるこ

とができる。この測定角度の間隔を密にしないであけてしまうと,平均誤差運動極座標表示の高周波成分

(1 回転当たりの周期に関する)にフィルタがかかってしまうことに注意を要する。同期誤差運動極座標

表示に存在している高周波成分の可能性は,同期誤差運動の一部が取り除かれるかもしれないので,非同

期誤差運動を排除するためにローパスフィルタの使用は避ける。

この附属書では,回転軸の評価において誤差運動の発生源を特に指定していない。例えば,機械が高い

レベルの建物振動の影響を受ける場合には,通常は,機械がそのような環境に影響されているかもしれな

い。しかし,誤差運動の発生源として建物振動を含むことを意図している場合には,機械をそのような環

境で用いることを意図して,特別な設計機能を付けて購入されたものと考える。

3)

  軸受の転動体と関係する繰返しパターンの正確な回転数 は,軸受の内径 R

i

,転動体中心半径

R

b

によって決まる。すなわち,x=2R

b

/R

i

A.7.6

  基本及び剰余誤差運動

用語,

“基本誤差運動”は,誤差運動極座標表示の 1 回転に一度の正弦波成分を表現するのに用いる。こ

の成分がなくなると,基準球は完全に心出しされ,回転軸の基本半径方向誤差運動が存在しないことにな

る。

同様に,基本傾斜方向誤差運動は存在していない。これは,不完全な回転軸に取り付けられた完全な円

筒を想像すれば理解できる。円筒がその両端で心出し誤差がないように取付け調整されていると,1 回転

に一度の傾斜方向運動は現れない。

“コーニング(coning)(円すい形)

“ワッブル(wobble)(みそすり)

”及

び“スワッシュ(swash)(飛び跳ね)

”のような身近な用語が 1 回転に一度の成分を示すため,それらは,

傾斜方向運動には不適切な呼び方である。

基本軸方向誤差運動は,

心出し誤差のような基準球の取付け誤差によって生じるものではない。

それは,

1 回転に一度の軸平均線に平行な方向の滑り運動によるもので,例えば,スラスト軸受の部品の直角度の

狂いによって生じる。

式(A.3)をみると,基本端面運動が存在し,基本軸方向誤差運動に等しいことを示している。これは,完

全回転軸に取り付けられた完全に平らな円盤を想像することによって理解できる。取付け誤差は,1 回転

に一度の正弦波の端面運動(半径に正比例して増加する)になるが,円盤が回転軸と完全に直角であれば,


39

B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

その端面運動は発生しない。そこで,円盤が回転軸と完全に直角であるとし,完全回転軸から基本軸方向

誤差運動の生じている軸まで変化するとすれば,同じ基本誤差運動がすべての半径で起こることになる。

したがって,基本端面運動がすべての半径で同じであれば,完全に平らな円盤は,不完全回転軸と直角で

ある。回転軸に直角でない円盤を取り付けることによって基本端面運動を打ち消すことは可能であるが,

この打消しは一つの半径で可能なだけである。この打消しに必要な直径の狂いは,半径が小さければ小さ

いほど大きくなり,半径ゼロでは不可能な状況になる。

基本端面運動が存在すると,端面の加工結果及び測定結果において面白い結果が現れる。基本軸方向誤

差運動を除いて完全な軸上で部品の面削りを行うと,仕上げた端面は,多数の細い面削りされたリングか

ら作られたように見える。しかも,それぞれのリングは,回転軸との直角度にわずかに狂いがあり,かつ,

その狂いの大きさが半径の減少とともに大きくなってしまう。

この部品の端面全体をみると平面ではない。

しかし,

その部品を軸方向変位の検出のできるセンサの付いた真円度測定器に載せて平面度測定を行うと,

部品の中心と同心の円経路上をセンサでなぞるようにして測定したとき,部品を傾ければ平面度の狂いを

検出されないようにすることができる。そのような部品は,円経路上では平面であるといえる。しかし,

それが端面全体の領域でみると平面ではなくなるので,円経路上での平面度の測定はよく理解されないと

誤解される可能性がある。

剰余誤差運動は,同期誤差運動と基本誤差運動との差を表す用語である。剰余誤差運動の結果は,同期

半径方向運動の結果と似ている。例えば,加工中の剰余端面運動は,同期半径方向誤差運動が真円度の誤

差につながるのと同様に,円経路上で測定した平面度の狂いになる。軸平均線からの任意の感度方向角度

φにおける一般的な誤差運動の場合に,基本誤差運動は,基本軸方向運動の cosφ倍に比例する[式(A.4)

を参照]

。したがって,45°テーパは端面基本誤差運動の 70.7  %が関係していることになる。

A.8

  不釣合いの影響

回転部品の不釣合いは,回転感度方向に最大振幅が主軸速度の 2 乗に比例して変化する振幅を伴い,1

回転に一度の正弦波状の力を発生させる。完全回転軸に対する不釣合いの結果は,ある速度では完全に丸

い部品を加工できるが,それとは異なる速度では心出し誤差が現れることを示す。一つの円筒部品の 2 か

所を別々の速度で加工すると,その 2 か所の円筒断面の中心線は同軸にならない。回転体に関する回転軸

の軸移動が半径方向成分と同様に傾斜方向に関係したとき,これら二つの円筒の中心線は平行にはならな

い。また,傾斜方向における軸移動は,機械の案内面に対する回転軸の平行度又は直角度を変えるので,

円筒はテーパ状に加工され,端面は円すい状に加工される。

この議論は,最初に心出ししてあった基準球が不釣合いによって円形の軌道を通ると仮定している。構

造ループが非線形及び/又は非対称ばね定数をもっている場合には,不釣合いは,円筒部の真円度及び端

面の平面度の狂いにつながる高次の調和運動を起こすかもしれない。

回転要素の釣合いを調整することは,

他の理由と同程度に重要である。

旋削による表面仕上げを行う場合に,その表面仕上げは不釣合いと全く関係しない。鏡面仕上げを実現

するために滑らかで,静かで,そして振動のない機械が必要とされているように,このことを信じられな

いと思っている人がいる。それは,事実,円筒研削盤の場合には絶対的に根本的なことであるからである。

それではそれがなぜ旋盤に必要でないかを理解するには,同期及び非同期振動の差を考える必要がある。

不釣合いは,次のような同期運動を引き起こす。すなわち,旋削における同期運動は,工具と回転軸との

相対位置が 1 回転ごとに同じであるので仕上げに影響しないわけである。多数の不釣合いをもった完全な

旋盤であれば,理論上の仕上げが達成される[

図 A.12 a)参照]。


40 
B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

非同期誤差運動は,主軸回転周波数の整数倍以外の周波数で生じる主軸に対する工具の運動である。そ

れは,1 回転ごとの回転軸に対する工具の位置に影響し,その結果,表面仕上げに影響する[

図 A.12 b)参

照]

。円筒研削盤による表面仕上げは,不釣合いの影響を受ける。それは,といし軸と工作主軸との回転速

度が違っていて,

といし軸の同期誤差運動が工作主軸に対する非同期誤差運動に自動的になるからである。

A.9

  試験基準の誤差

これまで,幾何学的に完全な基準球又は同等の基準が誤差運動測定に用いられていると仮定してきた。

一つの基準に幾何学的な誤差があると,誤った誤差運動測定を行うことになることは明白なことであり,

常にその基準が無視し得る程度の誤差しかないと仮定できるわけではない。それは,高精度の回転軸でも

0.02

µm 程度の誤差運動をもっていることから明らかである。附属書 では,回転軸の同期誤差運動成分

から基準の誤差を分離する方法について説明する。

A.10

  誤差運動及び振れ又は TIR

誤差運動の測定は,幾つかの点において振れ又は TIR(読みの最大差)の測定と異なっていることに注

意したほうがよい。過去,回転軸の精度評価に振れ試験が広く採用されてきた。したがって,振れ試験と

の違いを理解しておくことは重要である。

振れは,

“運動する表面に対して変位計によって検出された全変

位,又は固定された表面に対して動いた全変位”と定義される。この定義では,半径方向振れの測定は,

変位計が感応する表面の真円度誤差及び心出し誤差の両方を含むことになる。したがって,半径方向振れ

は,これら真円度誤差及び心出し誤差の両方がゼロの場合にだけ半径方向誤差運動と同じになる。既に述

べたように,これらをゼロにすることはどちらも容易ではない。心出し誤差は,誤差運動より振れを大き

くすることは避けられないが,真円度誤差は,誤差運動より振れを大きくしたり,小さくしたりすること

は可能である。変位計に感応する表面が,軸受を入れる場所で加工されれば,A.7.3 で議論したように,後

者のような状況が起こる。同様の議論は,端面運動と端面振れとの関係にも適用できる。後者の測定は,

直角度の狂い及び円板の平面度誤差の両方を含んでいる(A.7.6 参照)

A.11

  回転感度方向の測定

A.2.4 で述べたように,感度方向は,工作物が機械フレームで支持されていて,工具が回転軸で支持され

ている場合に,機械フレームに対して回転する。中ぐり盤は,回転感度方向をもっている機械の例である。

一般に,回転軸の誤差運動に関する概念は,固定感度方向に関するものと同様に,回転感度方向につい

ても適用できる。ここでは,その誤差運動の測定及びその極座標表示について述べる。

軸方向誤差運動は,感度方向が固定であるか又は回転するかに関係しない運動である。したがって,軸

方向運動は固定した変位計によって軸平均線に平行に行う検出が最も簡単に行える。

回転テーブル及びトラニオンのような低速回転軸の場合には,記録紙の角度位置を機械的又は電気的に

回転軸に同期させられる極座標レコーダを用いることによって,固定及び回転の両感度方向の場合を扱う

ことができる。回転感度方向については,基準球は機械フレームで支え,変位計は回転軸で支える。軸を

1 回転又は数回転分について測定する場合は,通常,回転軸の周りにセンサのケーブルを巻き付けておく

ことができる。連続回転について測定する場合は,スリップリング又はそれと同等のものが必要である。

高速回転軸については,極座標表示が軸の回転速度より何けたも高い周波数を含むかもしれないので,

極座標レコーダの周波数特性では通常は不十分である。カメラアタッチメントの付いたオシロスコープは

より適切な測定器であるが,極座標表示よりもむしろ通常の XY 表示を採用しているので,基礎円を発生


41

B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

させて誤差運動が基礎円からの半径偏差として現れるようにするための手段が必要になる。

オシロスコープの使用は,Tlusty(参考文献[10])が説明した方法であるが,回転感度方向をもつ半径方

向誤差運動を測定する場合に最も簡単である。

図 A.13 は,基準球に対して半径方向に検出する水平及び垂

直変位計を示す説明図である。変位計からの信号は増幅されてオシロスコープのそれぞれの水平及び垂直

軸に入れられる。ワッブル板を使用して,基準球を軸平均線に対して偏心させることができる。完全回転

軸については,軸が回転したときの結果は完全な円になる。不完全回転軸については,基準球の偏心方向

の半径方向誤差運動は,オシロスコープ表示の形を変えてしまう。基準球の偏心に直角な方向の運動は,

基礎円の接線方向にオシロスコープの光軸を動かすので,その形状にほとんど影響を与えない。したがっ

て,この配置は,回転感度方向に平行な半径方向誤差運動の測定になる。この感度方向は,軸平均線から

偏心させた基準球の幾何学的中心までの線に平行である。一つの角度方向だけに工具又は検出器を軸上に

取り付けることができれば,基準球は,その方向に偏心していなければならない。その向きが任意であれ

ば,軸は,多くの異なる方向で偏心した球を使って試験するのが望ましい。

1

ワッブル板

2

垂直方向変位計

3

水平方向変位計

4

工具方向にオフセットした基準球

図 A.13−回転感度方向をもった半径方向運動の試験方法(Tlusty の方法)

A.12

  固定感度方向測定

固定感度方向で,オシロスコープを半径方向誤差運動測定に用いると,基礎円を発生させるための方法

が別途必要になる。

図 A.14 は,Bryan ら(参考文献[11])が説明した方法である。互いに直下な方向に 0.1

mm 偏心している 2 個の円形カムを用いることで,比較的低い倍率の変位計で検出でき,正弦波信号と余

弦波信号とを発生させ,基礎円を発生させることができる。また,90°離れた変位計を備えた単一のカム

を用いてもよい。半径方向誤差運動は,軸平均線上で(できるだけ密接に近づけて)心出しされた基準球

に対して感応する高倍率の変位計によって検出する。正弦波及び余弦波の信号を半径方向誤差運動の信号

に載せて,オシロスコープの二つの軸に入力する。固定半径方向誤差運動変位計からの信号を用いて基礎

円を変調することによって,回転軸の角度位置に対する半径方向誤差運動極座標表示ができる。Peters ら

(参考文献[12])は,偏心カム及び低倍率の変位計を,回転軸に物理的に取り付けられる小さな市販の角

度測定装置に置き換えた。特に大変に厳しい状況を除いて,角度測定器の附属品の回転軸に及ぼす影響を

無視できる場合に,この方法の利点は,価格が安く,高精度な基礎円を得ることが難しくなく,測定装置

が簡単なことである。


42 
B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

A.13

  固定感度方向のための 変位計システムの使用に関する考察

Bryan(図 A.14)の示した測定方法は特別な装置を必要とするので,固定感度方向をもつ半径方向誤差

運動を測定するために Tlusty(

図 A.13)の示した 2 変位計システムと取り換えることを考えることは当然

のことである。この取替えを行うと,半径方向誤差運動極座標表示は,A.7.3 で議論したように部品の潜在

的な真円度の狂いを表さなくなる。

θ

  =0°が固定感度方向であれば,極座標表示には

θ

  =  0°と

θ

  

180°の近傍においてだけこの方向の半径方向誤差運動が現れる。さらに,

θ

  =  0°では回転軸に与えら

れた運動が極座標表示の山として現れ,

θ

  = 180°で起こる同様の運動は,符号に反転が起こって谷とし

て現れる。

θ

  = 90°と

θ

  = 270°とではこの運動は極座標表示に現れない。

1

ワッブル板

2

円生成カム

3

球基準

4

変位計

5

乗算器

図 A.14−固定感度方向をもつ半径方向誤差運動の試験方法(Bryan の方法)

このような考察にもかかわらず,極座標表示の詳細が異なっていても,固定及び回転感度方向について

は,半径方向誤差運動の値はほぼ同じであると直観的には見える。この見方は,関係のある要素が非同期

半径方向誤差運動であれば,合理的である。しかし,同期半径方向誤差運動について Donaldson(参考文

献[13])が反対の結果を与える場合を正確に示した。その結果によると,固定感度方向で測定するとき,

だ円パターンを示す軸は,回転感度方向で測定するとき半径方向誤差運動をもたない。その場合は,次の

運動に対して現れる。

θ

A

θ

2

cos

)

(

X

=

(A.8)

θ

A

θ

2

sin

)

(

Y

=

(A.9)

ここに,座標系は

図 A.9 a)のものである。X 軸に平行な固定感度方向で,半径方向誤差運動極座標表示

は,次の関係が成り立つ。

θ

θ

2

cos

)

(

0

A

r

r

=

(A10)

ここに,r

0

が基礎円の半径である。式(A.10)は,

θ

  =  0°及び

θ

  = 180°で値 r

0

を,

θ

  = 90°及び

θ

 

= 270°で値 r

0

をもつだ円を表す。いずれの極プロフィール中心に基づく半径方向誤差運動の値も 2A

である。感度方向が角度 θ とともに回転すれば,半径方向運動は,次の式によって与えられる。

θ

θ

θ

θ

r

θ

r

sin

)

(

Y

cos

)

(

X

)

(

0

+

+

=

(A.11)


43

B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

ab=

X(

θ

)cos

θ

ad=

Y(

θ

)sin

θ

=a'd'

af=ab+a'd'=

X(

θ

)cos

θ

Y(

θ

)sin

θ

a

)

  感度方向

図 A.15−回転感度方向のベクトル図

図 A.15 は,式(A.11)を導くために,回転感度方向に平行な成分

X(

θ

)及び

Y(

θ

)を示す。式(A.8)及び式(A.9)

を式(A.11)と合成するために,三角関数の定理を用いる。

[

]

)

cos(

)

cos(

2

1

cos

cos

β

α

β

α

β

α

+

+

=

(A.12)

[

]

)

cos(

)

cos(

2

1

sin

sin

β

α

β

α

β

α

+

=

(A.13)

その結果,

[

] [

]

θ

θ

θ

θ

θ

θ

cos

3

cos

cos

2

3

cos

cos

2

)

(

0

0

A

r

A

A

r

r

+

=

+

+

+

=

(A.14)

(A.14)

は,原点から距離

A

だけオフセットした円の方程式である。したがって,二つの変位計で測定

すると,軸は,完全な軸になる。

上記の考察に関して二つのコメントを追加することができる。まず,オフセットした円を,極座標(

PC

中心からの同心円を用いて評価すると,固定感度方向で値

2A

が得られる。しかし,基礎円は,

図 A.13 

測定方法を用いて極プロフィールを独立して発生させることができないので,

PC

中心位置を合わせるため

に最初に電子的ゼロにする方法がない。第二に,その見方は,上記の例が実際に起こりそうになく,

“数学

的に奇異である”と取られるかもしれない。この点で,半径方向誤差運動極座標表示が一般的にだ円パタ

ーンを示すこと,及び

x

方向及び

y

方向における総合パターンは,式

(A.8)

及び式

(A.9)

に与えられるような

成分を含むという程度で,これらの成分は測定された半径方向誤差運動の値に寄与しないことに注意を要

する。


44 
B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

附属書 B

参考)

基準球真円度誤差の消去

B.1

序文

半径方向誤差運動の測定は,変位計が直接検出対象とする基準球又は基準円盤の真円度誤差に影響され

る。この附属書は,

Donaldson

の論文(参考文献

[13]

)に基づいて回転軸の半径方向誤差運動から基準円盤

の真円度誤差を消去する方法について示す。

基準円盤の真円度は,

P(C)

(部品について)で表し,基準円盤の半径方向誤差運動は

S(C)

(回転軸につ

いて)で表す。

1

変位計

2

基準円盤

3

回転軸

4

ハウジング

5

反転した基準円盤

a)  T

1

 (C)[式(B.1)参照] 

b)  T

2P

(C)[式(B.2)参照]及び

T

2S

(C)[式(B.4)参照] 

図 B.1−測定用の基準円盤及び変位計の配置図

B.2

曲線加算平均法

B.2.1

一般

回転軸には非同期な半径方向誤差運動がないものと仮定する。非同期誤差運動の扱い方については,B.4

に示す。消去する方法は,二つの方法,すなわち,基準円盤の真円度誤差を求める方法

P

と半径方向誤差

運動を求める方法

S

とがある。

B.2.2

方法 P

方法

P

は,まずは初期の極座標表示を記録することから始める。基礎円からの偏差を

T

1

(C)

とする。

B.1 a

)

は,基準円盤及び変位計の配置図を示す。この図に示すように,測定装置は,変位計,回転軸及びそ

のハウジングから構成されている。初期位置は,基準円盤上に×印を付けた位置を

C

  0

°とする。記録

した

T

1

(C)

の値は,基準円盤の真円度曲線

P(C)

と半径方向誤差運動

S(C)

との和になる。

T

1

(C)

P(C)

S(C)(B.1)

極座標表示した曲線の山と谷とが基準円盤の山と谷とに対応するように,真円度測定に慣用的に用いて

いる符号を用いる。方法

P

の第

2

ステップは,回転軸とハウジングとに付けた印が

C

  0

°で一致してい


45

B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

図 B.1 b

)

の配置を利用して,第

2

の極座標曲線

T

2P

(C)

を得ることである。しかし,ここでは基準円盤と

変位計位置とが逆になるだけである(回転軸の周りに基準円盤を

180

°回転させる)

T

1

(C)

と同じ符号を用

いる。

図 B.1 a

)

図 B.1 b

)

とは,変位計と基準円盤との相対的な位置を変えずに基準円盤の真円度を同じ

方法で記録したものである。しかし,半径方向運動は,

図 B.1 b

)

にあるように符号を逆にして記録したも

のである。それは,

図 B.1 a

)

に示す変位計に対する回転軸の運動が

図 B.1 b

)

に示す変位計から遠ざかる方

向の動きになるためである。式として表すと,

T

2P

(C)

P(C)

S(C) (B.2)

(B.1)

と式

(B.2)

とを加えて,

P(C)

を求めると,

2

)

(

)

(

)

(

P

2

1

C

T

C

T

C

P

+

=

(B.3)

(B.3)

は,基準円盤の真円度曲線

P(C)

が第

1

と第

2

の曲線との平均であることを示している。

T

1

(C)

T

2P

(C)

とを同じ極座標上に記録すると,

図 B.2 a

)

に示すように最初の二つの極座標曲線の中間に

3

番目の曲

線を描くことによって,

P(C)

を求めることができる。

B.2.3

方法 S

方法

S

は,方法

P

のように第

1

の曲線

T

1

(C)

を記録することから始める。符号の使い方を逆にしなけれ

ばならない点を除いて,方法

S

の第

2

ステップも方法

P

の第

2

ステップと同じである。第

2

の極座標曲線

T

2S

(C)

とすると,次の式で表される。

T

2S

(C)

=−

T

2P

(C)

=−

P(C)

S(C) (B.4)

(B.1)

と式

(B.4)

とを加えて,

S(C)

を求めると,

2

)

(

)

(

)

(

S

2

1

C

T

C

T

C

S

+

=

(B.5)

(B.5)

は,

T

1

(C)

T

2S

(C)

との中間に描かれた第

3

の曲線が半径方向運動の極座標曲線

S(C)

になることを

示す。

上の二つの方法をまとめると,次のようになる。

方法

記録 2 の反転値

平均

基準円盤,変位計

基準円盤,真円度

基準円盤,変位計,符号

半径方向運動

基準円盤又は変位計が回転軸とともに回転したか否かについては述べていない。したがって,上の方法

は,固定又は回転感度方向のどちらにも同等に有効である。

B.3

曲線差分法

場合によっては,極座標表示

T

2P

(C)

及び

T

2S

(C)

のうちの一つだけを求めるのが妥当かもしれない。

P(C)

S(C)

のどちらかを平均することによって求められれば,もう一方は,式

(B.1)

に示すように

T

1

(C)

から既

知の曲線との差分を取ることによって求めることができる。図を使って,元の図から移された十分な数の

半径差を新しい基礎円に対して表示することによって新しい極座標表示する必要がある。

図 B.3 a

)

及び

B.3 b

)

は,それぞれ

図 B.2 a

)

及び

図 B.2 b

)

の曲線を使用してこの手順を説明している。より難しくて,誤差

を生じやすいので,曲線加算平均法を使用できる場合には,曲線差分法の使用は推奨できない。


46 
B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

a)  基準円盤の真円度 P(C) 

b)  半径方向誤差運動 S(C) 

図 B.2−曲線加算平均法による誤差消去

a

)

  基礎円

図 B.3−図 B.2 のデータを用いた曲線差分法による誤差分離

B.4

実際的な考察

正確な結果を得るときに幾つかの実際的な考察が必要になる。上述の式における重要な仮定は,

P(C)

S(C)

との両方が

1

回目及び

2

回目の測定の間でそれ自身を繰り返すということである。基準の真円度曲線

の繰返し性に関して,これは,その部品周りの変位計によって追跡され二つの軌道の軸移動又は傾斜なし

に基準円盤及び変位計の両方を

180

°逆に回すような詳細への注意にかかわる。軌道配置に対する感度は,

軌道が最初の装置においてわずかな量,移動されるので,

T

1

(C)

の繰返し性を試験することによって,試験

することができる。

非同期半径方向誤差運動があると,

S(C)

は同期半径方向運動極座標表示として解釈されなければならな

い。その結果,精度は二つの測定装置における繰返し平均半径方向誤差運動を得られるかどうかに依存し

ている。第一の装置において

T

1

(C)

の連続的な記録によって試験することができる。

1

回転の繰返し性は,

特に転がり軸受を使っているとき,同じ出発点まで軸を回転して戻すことによって改良される。

主軸の回転角度位置に関して一連の誤差運動の読みを同期させると,基準球真円度誤差の除去は大いに

簡単になる。主軸後端にロータリエンコーダを付けることによって,同期を達成できる。そのようにして

データを同期させて取得し,

1

回転中の一連の誤差運動の読みは,常に同じ角度位置から始まる。単に数

回転分のデータを平均するだけで,非同期誤差運動を除去できる。数値的に基本周期成分を取り除くこと

によって,極座標表示の中心を合わせることができる。信号に基本周期成分を追加することによって,基

準円を作成することができる。二つの信号の和又は差は,容易に計算できる。


47

B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

附属書 C 

参考)

回転軸のコンプライアンス特性の用語及び定義

C.1

コンプライアンス 

(

compliance

)

構造ループ内の

2

点間の単位力当たりの変位。力の作用位置及び向き,並びに変位の測定位置及び向き

は規定される。

C.2

剛性 

(

stiffness

)

コンプライアンスの逆数。

C.3

半径方向コンプライアンス 

(

radial compliance

)

力及び変位の方向が

Z

基準軸に垂直なときのコンプライアンス。

C.4

傾斜方向コンプライアンス 

(

tilt compliance

)

Z

基準軸を含む平面内におけるモーメント及び傾き変位に適用できるコンプライアンス。

C.5

軸方向コンプライアンス 

(

axial compliance

)

力及び変位の方向が軸平均線と同軸であるときのコンプライアンス。

C.6

端面コンプライアンス 

(

face compliance

)

力及び変位の方向が

Z

基準軸と同軸,かつ,平行であり,指定した半径位置で適用できるコンプライア

ンス。

C.7

コンプライアンス表示 

(

compliance plot

)

力と変位との関係を表す直交座標表示。

C.8

コンプライアンス値 

(

compliance value

)

指定された変位又は力に対するコンプライアンス表示のこう配。


48 
B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

附属書 D 

参考)

主軸の回転に関係する温度ドリフトの用語及び定義

D.1

半径方向温度ドリフト 

(

radial thermal drift

)

軸の移動が,

Z

基準軸に垂直に測定されるときのドリフト。

D.2

傾斜温度ドリフト 

(

tilt thermal drift

)

軸の移動が,

Z

基準軸に対して傾斜するときのドリフト。

D.3

軸方向温度ドリフト 

(

axial thermal drift

)

軸の移動が,

Z

基準軸と同軸又は平行であるときのドリフト。

D.4

端面温度ドリフト 

(

face thermal drift

)

指定した半径方向位置で測定された軸の軸方向移動及び傾斜移動の組合せに適用するドリフト。

D.5

温度ドリフト表示 

(

thermal drift plot

)

温度ドリフトの時間に対する記録。

D.6

温度ドリフトの値 

(

thermal drift value

)

指定された一つ(又は複数)の速度で測定された温度変化の,指定された時間にわたる最大値と最小値

との差。

注記

温度ドリフトの値については,JIS B 6193 による。


49

B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

附属書 E

参考)

静的誤差運動試験

E.1

一般

静的誤差運動試験を行う目的は,主軸駆動システムの動的な影響によって引き起こされる主軸誤差運動

から主軸軸受誤差を分離することである。主軸軸受によって引き起こされる誤差を分離することは重要で

ある。それらは,主軸駆動システムによって引き起こされる問題の原因であると考えられる場合がよくあ

る。

E.2

試験方法

E.2.1

測定装置は,5.4 及びに 5.5 に規定したものと同様である。

E.2.2

主軸駆動は,ニュートラル位置に置く。主軸がベルト駆動の場合には,ベルトの張力を外すのが望

ましい。できれば,主軸はすべての外力から解放する。

E.2.3

主軸は,

1

回転当たり最小

8

点の位置で止めて測定する。主軸は,少なくとも手で

2

回転させる。

E.2.4

手の力をすべて解放して,各点で読みを取り,平均する。各点での読みを平均することによって,

停止した主軸の構造運動の影響を除去できる。

E.3

データ解析

データは,5.4 及び 5.5 に規定した方法を使って,半径方向,傾斜方向及び軸方向の誤差運動を分析する。


50 
B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

附属書 F

参考)

回転軸の試験における測定の不確かさの推定

F.1

測定の不確かさの推定

測定の不確かさの推定は,ISO/TR 230-9 に規定する手順及び式に従って行う。測定の不確かさ

U

は,包

含係数を

k

2

について計算する。

測定の不確かさは,長さ測定値(すなわち,半径及び軸方向運動)については,マイクロメートル(

µm

及び角度測定値(すなわち,傾斜方向運動)については,マイクロメートル

/

メートル(

µm/m

)で表すの

が望ましい。

半径及び軸方向誤差運動の測定の不確かさは,異なるかもしれない。また,測定の不確かさは,周波数

範囲が違っても,すなわち,主軸速度範囲が違っても異なるかもしれない。

F.2

測定の不確かさに及ぼす要因

F.2.1

一般

通常,回転軸の試験における測定の不確かさに及ぼす主な要因は,測定器及び環境変動誤差

(E

VE

)

である。

次の仮定をする。

測定器は,測定器の製造業者又は供給者のガイドラインに従って正しく使用する。

すべての必要な心出し及び調整手順は,正しく実行する。

適用できる場合には,どんな長さ測定器でも,触ることのできる表面に直角に並べる。

測定器は,静的及び動的に強固に,かつ,少しのバックラッシもなく取り付ける。

測定器を保持する機械の部品は,剛体として振る舞う。

測定器は,試験報告書に記載されている位置から最大

10 mm

の偏りで工作機械上に定置する。

測定器は,その製造業者又は供給者の記述した許容周波数範囲内で用いる。

ソフトウェア評価の不確かさは,測定器の測定の不確かさに含まれる。

これらの仮定が満たされない場合には,測定の不確かさに新たな要因を追加することを考えなければな

らない。

F.2.2

測定器による不確かさ,U

DEVICE

校正された測定器を用いることを推奨する。校正証明書で,長さ測定値については

µm

で,角度測定値

については

µm/m

で,不確かさが記述されている場合には,式

(F.1)

を適用する。

U

DEVICE

U

CALBRATION

(F.1)

ここに,

U

DEVICE

長さ測定値については

µm

で,角度測定値については

µm/m

で表された測定器の不確かさ。

U

CALBRATION

: 包含係数

k

2

で,長さ測定値について

µm

,かつ,角度

測定値について

µm/m

で表された校正証明書に従った

校正の不確かさ。

校正証明書が利用可能でなく,製造業者が,長さ測定値については

µm

で,角度測定値については

µm/m

で測定値の誤差範囲を記述している場合には,式

(F.2)

を用いる。一般に,測定器の分解能の影響は,無視

でき,ISO/TR 230-9

:2005

の式

(C.3)

に従って確かめることができる。


51

B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

U

DEVICE

0.6R

DEVICE

(F.2)

ここに,

U

DEVICE

包含係数

k

2

で,長さ測定値については

µm

で,角度測

定値については

µm/m

で表された測定器の不確かさ。

R

DEVICE

長さ測定値については

µm

で,角度測定値については

µm/m

で表された測定器の製造業者が与えた誤差範囲。

測定器が異なった部品から構成されている場合には,少なくとも次の要因は,その測定器の測定の不確

かさの推定に用いるのが望ましい。

機械的基準の真円度及び表面仕上げ。

関係する場合には,試験中の主軸上の基準の心出し。

直線変位計の測定の不確かさ。

直線変位計の分解能。

傾斜方向運動測定の不確かさを評価するために半径方向測定間又は端面測定点間の距離。

機械的基準の表面への直線変位計の心出し。

読み取られた測定値の評価(平均値,中心の決定などのパラメタ)

F.2.1 に示した他のすべての仮定を,満足するのが望ましい。測定器の測定の不確かさの推定は,ISO/TR 

230-9

:2005

の式

(1)

(7)

を用いることができ,包含係数

k

2

を用いるのが望ましい。この推定は,試験し

ている軸の速度範囲が違えば,異なるかもしれない。

F.2.3

環境変動誤差(E

VE

又は温度ドリフト)による不確かさ,U

EVE

ほとんどの測定中に観測される温度変化及び振動は,工作機械と測定器とに影響を及ぼすかもしれない。

これらの影響及び特にどんなドリフトも最小限に保たなければならない。

その影響は,単純な試験,すなわち,ドリフト試験で確かめることができる。

この規格に従った測定を始める前に,試験中に回転軸は停止させる。回転軸の測定に必要な大体の時間

の間,測定器の読みを記録する。読取りの範囲

(E

VE

)

は,ISO/TR 230-9 の式

(C.9)

に基づいた式

(F.3)

に従って,

対応する不確かさを推定するために用いる,残っている環境変動誤差である。

U

EVE

0.6E

VE

(F.3)

ここに,

  U

EVE

包含係数

k

2

で,長さ測定値については

µm

で,角度測定値

については

µm/m

で表された環境変動による測定器の不確か

さ。

E

VE

長さ測定値については

µm

で,角度測定値については

µm/m

表されたドリフト試験からの範囲。

F.3

誤差運動曲線及び誤差運動値の不確かさの推定

F.3.1

一般

非同期誤差運動,内側誤差運動及び外側誤差運動[

図 4 b

)

及び

図 4 c

)

参照]は,一回の測定値の最大値

又は最小値に基づき,同期誤差運動[

図 4 a

)

参照]は,数回の誤差運動曲線の平均値に基づいている。

誤差運動の値については,

図 に示すように誤差運動表示の二つの極端な値が用いられる。

次の仮定をする。

誤差運動中心の評価は,正しく行われる。

正しい誤差運動中心は,誤差運動値の評価に用いられる。

測定の不確かさの主な要因は,測定器及び環境変動誤差である。


52 
B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

環境変動誤差は,異なった表示及び異なった角度に対して相関がない。

表示は,試験中の軸の

360

°回転について利用できる。

これらの仮定が満たされる場合には,誤差運動曲線及び誤差運動値の不確かさを推定するために

ISO/TR 230-9

:2005

の式

(1)

,式

(3)

及び式

(A.7)

を適用することができる。

F.3.2

全誤差運動表示,非同期誤差運動極座標表示,内側誤差運動極座標表示,外側誤差運動極座標表示

の不確かさの推定,U

(single plot)

同期誤差運動曲線以外のすべての表示は,幾つかの単一の表示の最大に基づいている。したがって,二

つの主な要因の不確かさは,相関関係にないと仮定されるが,ISO/TR 230-9

:2005

の式

(1)

に従って推定す

る。

U

(single plot)

2

VE

2

DEVICE

E

U

U

+

(F.4)

ここに,

  U

(single plot)

包含係数

k

2

で,長さ測定値については

µm

で,角度測

定値については

µm/m

で表された全誤差運動表示,非同

期誤差運動極座標表示,内側誤差運動極座標表示,外側

誤差運動極座標表示の不確かさ。

U

DEVICE

長さ測定値については

µm

で,角度測定値については

µm/m

で表された測定器による不確かさ。

U

EVE

長さ測定値については

µm

で,角度測定値については

µm/m

で表された環境変動による測定の不確かさ。

F.3.3

同期誤差運動表示の不確かさの推定,U

(synchronous plot)

同期誤差運動表示については,幾つかの曲線が平均曲線の計算に使用される。したがって,環境変動誤

差の影響は,ISO/TR 230-9

:2005

の式

(A.7)

及び式

(1)

に従って抑えることができ,これは,式

(F.5)

で表す。

U

(synchronous plot)

n

U

U

E

2

VE

DEVICE

+

(F.5)

ここに,

U

(synchronous plot)

包含係数

k

2

で,長さ測定値については

µm

で,角

度測定値については

µm/m

で表された同期誤差運動

表示の不確かさ。

U

DEVICE

長さ測定値については

µm

で,角度測定値について

µm/m

で表された測定器の不確かさ。

U

EVE

長さ測定値については

µm

で,角度測定値について

µm/m

で表された環境変動による測定の不確か

さ。

n

同期誤差運動極座標表示を計算するための極座標

表示の数。

注記

同期誤差運動極座標表示を計算するために多くの表示を必要とする場合は,表示のために取ら

れる測定時間と少なくとも同等の時間継続するドリフト試験とから環境変動誤差を取るのが望

ましい。

F.3.4

全誤差運動の値,非同期誤差運動の値,内側誤差運動の値,外側誤差運動の値の不確かさの推定,

U

(single plot value)

誤差運動の値は,極座標表示の半径方向の最大偏差と最小偏差との差に基づいている。一般に,最大値


53

B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

と最小値とは,回転軸の異なった角度に現れるので,不確かさの要因は,相関がないとみなされる。ISO/TR 

230-9

:2005

の式

(1)

を使って,これは,式

(F.6)

で表す。

U

(single plot value)

=1.4 U

(single plot)

(F.6)

ここに,

U

(single plot value)

包含係数

k

2

で,長さ測定値については

µm

で,角

度測定値については

µm/m

で表された全誤差運動の

値,非同期誤差運動の値,内側誤差運動の値,外側

誤差運動の値の不確かさ。

U

(single plot)

全誤差運動表示,非同期誤差運動極座標表示,内側

誤差運動極座標表示,外側誤差運動極座標表示の不

確かさ。

F.3.5

同期誤差運動の値の不確かさ,U

(synchronous plot value)

同期誤差運動の値は,同期極座標表示の半径方向の最大偏差と最小偏差との差に基づいている。

一般に,

最大値と最小値とは,回転軸の異なった角度に現れるので,不確かさの要因は,相関がないとみなされる。

ISO/TR 230-9

:2005

の式

(1)

を使って,これは,式

(F.7)

で表す。

U

(synchronous plot value)

=1.4U

(synchronous plot)

(F.7)

ここに,

U

(synchronous plot value)

包含係数

k

2

で,長さ測定値については

µm

で,

角度測定値については

µm/m

で表された同期誤

差運動の値の不確かさ。

U

(synchronous plot)

同期誤差運動表示の不確かさ。


54 
B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

附属書 G 

参考)

索引(50 音順)

用語

対応英語

箇条

遊び play

3.1.21 

内側誤差運動極座標表示

inner error motion polar plot

3.3.7 

内側誤差運動の値

inner error motion value

3.5.6 

回転感度方向

rotating sensitive direction

3.1.17 

回転軸

axis of rotation

3.1.5 

回転軸誤差運動

axis of rotation error motion

3.2.1 

完全工作物 perfect

workpiece

3.1.9 

完全主軸 perfec spindle

3.1.8 

感度方向 sensitive direction

3.1.14 

機械ヒステリシス machine

hysteresis

3.1.22.2 

基準座標軸 reference

coordinate axes

3.1.6 

基本誤差運動 fundamental

error motion

3.2.7 

基本誤差運動極座標表示

fundamental error motion polar plot

3.3.4 

基本軸方向誤差運動の値

fundamental axial error motion value

3.5.4 

極座標中心,PC 中心

polar chart centre, PC centre

3.4.1 

極プロフィール中心

polar profile centre

3.4.2 

傾斜移動 tilt

shift 3.7.2 

傾斜誤差運動

tilt error motion

3.2.12 

構造誤差運動

structural error motion

3.2.2 

構造誤差運動の値

structural error motion value

3.6.4 

構造誤差運動表示

structural error motion plot

3.6.3 

構造ループ structural loop

3.1.13 

誤差運動測定

error motion measurement

3.2.15 

固定感度方向

fixed sensitive direction

3.1.16 

最小外接円中心,MCC 中心

minimum circumscribed circle centre, MCC centre

3.4.6 

最小二乗円中心,LSC 中心

least squares circle centre, LSC centre

3.4.3 

最小半径分離中心,MRS 中心

minimum radial separation centre, MRS centre

3.4.4 

最大内接円中心,MIC 中心

maximum inscribed circle centre, MIC centre

3.4.5 

軸移動 ax shift

3.1.11 

軸受 bearing

3.1.4 

軸受誤差運動

bearing error motion

3.2.3 

軸平均線

axis average line

3.1.10 

軸方向移動 axia shift 3.7.3 

軸方向誤差運動 axial

e

motion

3.2.13 

軸方向誤差運動極座標表示

axial error motion polar plot

3.3.5 

主軸,ロータ spindle, rotor 3.1.2 

主軸回転による構造誤差運動

structural error motion with rotating spindle

3.6.1 

主軸ハウジング,ステータ spindle

housing,

stator

3.1.3 

主軸非回転中の構造誤差運動

structural error motion with non-rotating spindle

3.6.2 

主軸ユニット spindle unit  3.1.1 

純粋半径誤差運動

pure radial error motion

3.2.11 

剰余同期誤差運動

residual synchronous error motion

3.2.8 


55

B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

用語

対応英語

箇条

剰余同期誤差運動極座標表示

residual synchronous error motion polar plot

3.3.6 

剰余同期誤差運動の値

residual synchronous error motion value

3.5.5 

静止点の振れ

stationary point runout

3.1.19 

静的誤差運動 static

erro motion

3.2.5 

正の向き positive direction

3.1.7 

セットアップヒステリシス setup

hysteresis

3.1.22.1 

全誤差運動

total error motion

3.2.4 

全誤差運動極座標表示

total error motion polar plot

3.3.1 

全誤差運動の値

total error motion value

3.5.1 

速度誘起形軸移動の値

speed induced axis shift value

3.7.6 

速度誘起形軸移動表示

speed-induced axis shift plot

3.7.5 

外側誤差運動極座標表示

outer error motion polar plot

3.3.8 

外側誤差運動の値

outer error motion value

3.5.7 

端面移動 fa

shift

3.7.4 

端面誤差運動 face

erro motion

3.2.14 

直角度 squareness,

perpendicularity

3.1.20 

同期誤差運動

synchronous error motion

3.2.6 

同期誤差運動極座標表示

synchronous error motion polar plot

3.3.2 

同期誤差運動の値

synchronous error motion value

3.5.2 

半径方向移動 radia shift  3.7.1 

半径方向誤差運動

radial error motion

3.2.10 

非感度方向 non-sensitive direction

3.1.15 

ヒステリシス hysteresis

3.1.22 

非同期誤差運動

asynchronous error motion

3.2.9 

非同期誤差運動極座標表示

asynchronous error motion polar plot

3.3.3 

非同期誤差運動の値

asynchronous error motion value

3.5.3 

振れ runout

3.1.18 

変位計 displaceme

sensor

3.1.12 


56 
B 6190-7:2008 (ISO 230-7:2006)

参考文献

[1]

JIS B 6190-2  工作機械試験方法通則−第

2

部:数値制御による位置決め精度試験

注記

対応国際規格:ISO 230-2

:2006

Test code for machine tools

Part 2: Determination of accuracy

and repeatability of positioning numerically controlled axes (IDT)

[2]

JIS B 6195  工作機械−騒音放射試験方法通則

注記

対応国際規格:ISO 230-5

:2000

Test code for machine tools

Part 5: Determination of the noise

emission (IDT)

[3]

JIS B 6331-6  数値制御旋盤及びターニングセンタ−検査条件−第

6

部:工作精度検査

注記

対応国際規格:ISO 13041-6

:2005

Test conditions for numerically controlled turning machines

and turning centres

Part 6: Accuracy of a finished test piece (IDT)

[4]

JIS B 6336-6  マシニングセンタ−検査条件−第

6

部:送り速度,主軸速度及び補間運動の精度

注記

対応国際規格:ISO 10791-6

:1998

Test conditions for machining centres

Part 6: Accuracy of

feeds, speeds and interpolations (IDT)

[5]

ISO/DTR 230-8

Test code for machine tools

Part 8: Determination of vibration levels

[6]

ISO/TR 230-9

:2005

Test code for machine tools

Part 9: Estimation of measurement uncertainty for

machine tool tests according to series ISO 230, basic equations

[7]

ISO 1940-1

:2003

Mechanical vibration

Balance quality requirements for rotors in a constant (rigid) state

Part 1: Specification and verification of balance tolerances

[8]

ISO 6103

:2005

Bonded abrasive products

Permissible unbalances of grinding wheels as delivered

Static

testing

[9]

Unification Document Me: Axes of Rotation, Annals of the CIRP, 2/1976.

[10]  J. Tlusty, “System and Methods of Testing Machine Tools”, Microtechnic, vol. 13, p.162, 1959.

[11]  J. Bryan, R. Clouser & E. Holland, “Spindle Accuracy”, American Machinist, Spec. Rpt. No.612, Dec.4,

1967.

[12]  J. Peters and P. Vanherck, “An Axis of Rotation Analyser”, Proceedings of the 14th International MTDR

Conference, Manchester 1973.

[13]  R. Donaldson, A Simple Method for Separating Spindle Error from Test Ball Roundness Error, CIRP Annals,

vol. 21/1, p.125, 1972.