B 4128 : 1998
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。今回の制定は,国際規格との整合化を図るため,ISO 6261 : 1995, Boring bars (tool holders
with cylindrical shank) for indexable inserts
−Designation を基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。通商産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
日本工業規格
JIS
B
4128
: 1998
スローアウェイチップ用ホルダ−
丸シャンクの
呼び記号の付け方
Boring bars (tool holders with cylindrical shank) for
indexable inserts
−Designation
序文 この規格は,1995 年に第 2 版として発行された ISO 6261, Boring bars (tool holders with cylindrical
shank) for indexable inserts
−Designation を基に作成した日本工業規格であり,対応国際規格と対応する部分
については,技術的内容を変更することなく作成しているが,対応国際規格には規定されていない項目を
追加している。主な追加点は,構造記号の W(ウェッジロック式)である。
1.
適用範囲 この規格は,スローアウェイ(刃先交換)チップ(以下,チップという。)を保持する,円
形断面のシャンクをもつスローアウェイチップ用ホルダ(以下,ホルダという。
)の呼び記号の付け方につ
いて規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO 6261 : 1995
Boring bars (tool holders with cylindrical shank) for indexable inserts−Designation
2.
引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発効年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構
成するものであって,その後の改正版・追補は適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その最
新版(追補を含む。
)を適用する。
JIS B 0107-1991
バイト用語
JIS B 0170-1993
切削工具用語(基本)
JIS B 4120
スローアウェイチップの呼び記号の付け方
備考 ISO 1832 : 1991 Indexable inserts for cutting tools−Designation が,この規格と同等である。
JIS B 4129
スローアウェイチップ用ホルダ−丸シャンクの形状・寸法
備考 ISO 5609 : 1995 Boring bars for indexable inserts−Dimensions が,この規格と同等である。
3.
定義 この規格で用いる用語の定義は,JIS B 0107 及び JIS B 0170 による。
4.
呼び記号の構成要素及び配列順序 呼び記号の構成要素及び配列順序は,表 1 による。
2
B 4128 : 1998
表 1 呼び記号の構成要素及び配列順序
配列順序
構成要素
定義
1
a)
シャンクの様式記号
シャンクの材質及び構造を表す文字記号
2
b)
シャンクの直径記号
シャンクの直径を表す数字記号
3
c)
ホルダの全長記号
ホルダの全長を表す文字記号
−(ダッシュ)
4
d)
構造記号
チップのクランプ方法を表す文字記号
5
e)
チップの形状記号
チップの形状を表す文字記号
6
f)
切れ刃の形状記号
ホルダに取り付けた状態での切れ刃の角度を表す文字記号
7
g)
チップの逃げ角記号
チップ自身の逃げ角の大きさを表す文字記号
8
h)
勝手記号
ホルダの勝手を表す文字記号
9
i)
チップの切れ刃長さ記号
チップの切れ刃の長さを表す数字記号
備考 構成要素を追加して表示する必要がある場合は,i)の記号に続けて任意の文字を追加し
て,付加的な構成要素の表示をしてもよい。
適用例 a)
b)
c)
d)
e)
f)
g)
h)
i)
S
25
R
−C T
F
P R 16
F
32
S
−M S
K
N
R 12
5.
記号 記号は,次による。
5.1
シャンクの様式記号 シャンクの様式記号は,表 2 による。
表 2 シャンクの様式記号
記号
様式
S
鋼シャンク
A
鋼シャンク,切削油剤供給穴付き
B
鋼シャンク,防振装置付き
D
鋼シャンク,防振装置及び切削油剤供給穴付き
C
超硬シャンク(頭部鋼製を含む)
E
超硬シャンク(頭部鋼製を含む)
,切削油剤供給穴付き
F
超硬シャンク(頭部鋼製を含む)
,防振装置付き
G
超硬シャンク(頭部鋼製を含む)
,防振装置及び切削油剤供給穴付き
H
タングステン合金(ヘビーメタル)シャンク
J
タングステン合金(ヘビーメタル)シャンク,切削油剤供給穴付き
5.2
シャンクの直径記号 シャンクの直径は,mm 単位で表示する。
シャンクの直径寸法が数字 1 けたの場合は,0(ゼロ)を前に付けて 2 けたで表示する。
例 シャンク直径 25mm
表示記号 25
シャンク直径 8mm
表示記号 08
備考 シャンク直径は,JIS B 4129 による。
5.3
ホルダの全長記号 ホルダの全長記号は,JIS B 4129 に従い,表 3 による。
3
B 4128 : 1998
表 3 ホルダの全長記号
単位 mm
記号
全長 l
1
F 80
G 90
H 100
J 110
K 125
L 140
M 150
N 160
P 170
Q 180
R 200
S 250
T 300
U 350
V 400
W 450
X
特殊寸法
Y 500
5.4
構造記号 構造記号は,表 4 による。
表 4 構造記号
記号
チップのクランプ方法
C
クランプオン式:チップの上面を押さえ金でクランプする方法。
M
クランプオン式及びピンロック式の面拘束二重クランプ方法。
P
ピンロック式二面拘束形:穴付きチップを,ピンで二つの側壁に押し付けてクランプする方法。
S
ねじ止め式:穴付きチップを,ねじによってクランプする方法。
W
ウェッジロック式:穴付きチップを,ウェッジでピンに押し付けてクランプする方法。
参考 記号 W のウェッジロック式は,ISO 6261 では規定していない。
5.5
チップの形状記号 チップの形状記号は,JIS B 4120 に従い,表 5 による。
4
B 4128 : 1998
表 5 チップの形状記号
記号
形状
種類
H
正六角形
O
正八角形
P
正五角形
S
正方形
T
正三角形
正多角形
C
ひし形 刃先角 80°
(
1
)
D
ひし形 刃先角 55°
(
1
)
E
ひし形 刃先角 75°
(
1
)
M
ひし形 刃先角 86°
(
1
)
V
ひし形 刃先角 35°
(
1
)
W
六角形 刃先角 80°
(
1
)
等辺
ひし形及び不等角形
L
長方形
長方形
A
平行四辺形 刃先角 85°
(
1
)
B
平行四辺形 刃先角 82°
(
1
)
K
平行四辺形 刃先角 55°
(
1
)
不等辺
平行四辺形
R
円形
円形
注(1) 刃先角は,小さい方の角度をいう。
5.6
切れ刃の形状記号 切れ刃の形状記号は,表 6 による。
表 6 切れ刃の形状記号
記号
切れ刃の形状
備考
F
切込み角 90°,オフセット付き
K
切込み角 75°,オフセット付き
L
切込み角 95°,2 方向切削可,オフセット付き
P
切込み角 117.5°,オフセット付き
Q
切込み角 107.5°,オフセット付き
S
切込み角 45°,2 方向切削可,オフセット付き
U
切込み角 93°,オフセット付き
W
切込み角 60°,オフセット付き
Y
切込み角 85°,オフセット付き
5
B 4128 : 1998
備考1. 円形チップ(形状記号 R)を使用するときは,切れ刃記号 S を用いる。
2.
図中の矢印は,送り方向を示す。
3.
図は原則として右勝手を示す。
5.7
チップの逃げ角記号 チップの逃げ角記号は,JIS B 4120 に従い,表 7 による。
表 7 チップの逃げ角記号
記号
逃げ角
α
n
A 3
°
B 5
°
C 7
°
D 15
°
E 20
°
F 25
°
G 30
°
N 0
°
P 11
°
備考 逃げ角は,主切れ刃に対する逃げ角とする。
5.8
勝手記号 勝手記号は,表 8 による。
表 8 勝手記号
記号
勝手
R
右勝手
L
左勝手
5.9
チップの切れ刃長さ記号 チップの切れ刃長さ記号は,JIS B 4120 に従い,表 9 による。
表 9 チップの切れ刃長さ記号
種類
記号
等辺チップ
チップの切れ刃の長さ(一辺の長さ)を,mm 単位で表示する。
小数点以下は,切り捨てる。
例 内接円の大きさ 9.525mm の正三角形チップの場合
切れ刃の長さ:16.5mm
表示記号 :16
不等辺チップ
チップの主切れ刃の長さ又は長い方の切れ刃の長さを,mm 単位で表示する。
小数点以下は,切り捨てる。
例 主切れ刃の長さ:19.05mm
表示記号 :19
円形チップ
チップの直径の大きさを,mm 単位で表示する。
少数点以下は,切り捨てる。
例 チップの直径:15.875mm
表示記号:15
備考 切れ刃長さの数字が 1 けたの場合は,0(ゼロ)を前に付けて 2 けたで表示する。
例 切れ刃の長さ :9.525mm
表示記号:09
6
B 4128 : 1998
原案作成委員会 構成表
a)
整合化推進本委員会
氏名
所属
(委員長)
竹 山 秀 彦
神奈川工科大学
村 田 良 司
東京理科大学
佐 藤 素
技術士
藤 野 達 夫
通商産業省機械情報産業局
本 間 清
工業技術院標準部
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会技術部
手 取 正 輝
いすゞ自動車株式会社
菅 谷 伸 夫
トヨタ自動車株式会社
伊 藤 祐 一
株式会社池貝
加 藤 晃
オークマ株式会社
岡 安 英 雄
社団法人日本工作機械工業会
久 岡 政 美
三菱電機株式会社
安 武 昭 彦
社団法人日本工作機器工業会
羽 山 隆 貫
日本工具工業会
有 本 浩
住友電気工業株式会社粉末合金事業部
藤 本 勝 廣
ダイジェット工業株式会社技術部
矢 野 幸 平
日立ツール株式会社技術本部
佐 伯 幸 洋
三菱マテリアル株式会社加工事業本部
絹 川 達 治
日本特殊陶業株式会社機械工具事業部
吉 田 裕 三
東芝タンガロイ株式会社技術本部
御 園 一 郎
超硬工具協会
前 田 淳
住友電気工業株式会社粉末合金事業部
福 田 雅 秀
冨士ダイス株式会社技術部
日 高 正
京セラ株式会社機械工具事業部
宇和川 成 人
マコトロイ工業株式会社
沖 野 捷 男
東京タングステン株式会社粉末製品事業部
(事務局)
関 口 紳一郎
超硬工具協会
b)
整合化推進分科会
氏名
所属
有 本 浩
住友電気工業株式会社粉末合金事業部
藤 本 勝 廣
ダイジェット工業株式会社技術部
福 田 雅 秀
冨士ダイス株式会社技術部
矢 野 幸 平
日立ツール株式会社技術本部
日 高 正
京セラ株式会社機械工具事業部
宇和川 成 人
マコトロイ工業株式会社
佐 伯 幸 洋
三菱マテリアル株式会社加工事業本部
絹 川 達 治
日本特殊陶業株式会社機械工具事業部
吉 田 裕 三
東芝タンガロイ株式会社技術本部
前 田 淳
住友電気工業株式会社粉末合金事業部
沖 野 捷 男
東京タングステン株式会社粉末製品事業部
御 園 一 郎
超硬工具協会
(事務局)
関 口 紳一郎
超硬工具協会