B 4127 : 1998
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。
今回の制定は,国際規格との整合化を図るため,ISO 5611 : 1995,Cartridges, type A, for indexable inserts
−Dimensions を基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。通商産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS B 4127
には,次に示す附属書がある。
附属書(参考) カートリッジの材料,硬さ及び試験方法
日本工業規格
JIS
B
4127
: 1998
スローアウェイチップ用カートリッジ
−A タイプの形状・寸法
Cartridges, type A, for indexable inserts
−Dimensions
序文 この規格は,1995 年に第 3 版として発行された ISO 5611, Cartridges, type A, for indexable inserts−
Dimensions
を基に,技術的内容を変更する(軽微な技術上の差異を除く。)ことなく作成した日本工業規
格である。
1.
適用範囲 この規格は,スローアウェイ(刃先交換)チップ(以下,チップという。)を保持するスロ
ーアウェイチップ用カートリッジ(以下,カートリッジという。
)について規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO 5611 : 1995, Cartridges, type A, for indexable inserts
−Dimensions
2.
引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発効年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構
成するものであって,その後の改正版・追補は適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その最
新版(追補を含む)を適用する。
JIS B 0107-1991
バイト用語
JIS B 0170-1993
切削工具用語(基本)
JIS B 4120
スローアウェイチップの呼び記号の付け方
備考 ISO 1832 : 1991, Indexable inserts for cutting tools−Designation が,この規格と同等である。
JIS B 4121
スローアウェイチップ
備考 ISO 883 : 1985, Indexable hardmetal (carbide) inserts with rounded corners without fixing hole−
Dimensions
ISO 3364 : 1997, Indexable hardmetal (carbide) inserts with rounded corners, with
cylindrical fixing hole
−Dimensions ISO 6987-1 : 1983, Indexable hardmetal (carbide) inserts
with rounded corners, with partly cylindrical fixing hole
−Part 1 : Dimensions of inserts with
7
° normal clearance ISO 6987-2 : 1990, Indexable inserts for cutting tools−Hardmetal
(carbide) inserts with rounded corners, with partly cylindrical fixing hole
−Part 2 : Dimensions
of inserts with 11
° normal clearance ISO 9361-1 : 1991, Indexable inserts for cutting tools−
Ceramic inserts with rounded corners
−Part 1 : Dimensions of inserts without fixing hole 及び
ISO 9361-2 : 1991, Indexable inserts forcutting tools
−Ceramic inserts with rounded corners−
Part 2 : Dimensions of inserts with cylindrical fixing hole
が,この規格と同等である。
JIS B 4125
スローアウェイチップ用ホルダー角シャンク及びカートリッジの呼び記号の付け方
2
B 4127 : 1998
備考 ISO 5608 : 1995, Turning and copying tool holders and cartridges for indexable inserts−Designation
が,この規格に対応している。
3.
定義 この規格で用いる用語の定義は,JIS B 0107 及び JIS B 0170 によるほか,次による(図 1 参照)。
a)
全長 l
1
基準点 K からシャンク末端までの距離
b)
背面 基準面(底面)に垂直でクイルなどの保持面に接するシャンクの面
c)
刃先距離 f 背面から基準点 K までの距離
d)
刃先高さ h
1
基準面(底面)から基準点 K までの高さ
e)
最小加工径 D
min
加工可能な最小の直径
f)
基準点 K 全長 l
1
と刃先距離 f,刃先高さ h
1
を定義するために,基準コーナ半径 r
ε
をもつ切れ刃コー
ナ近傍の基準点
g)
基準コーナ半径 r
ε
全長 l
1
と刃先距離 f,刃先高さ h
1
の定義に使われるマスターチップ(
1
)
の基準コー
ナ半径
注(
1
)
マスターチップとは,ホルダに取り付ける JIS B 4121に規定するチップと同一形状で,精度は
JIS B 4120
の4.3の精度記号の H 級による。
図 1 定義・記号
4.
形状・寸法
4.1
刃先の高さ h
1
,
シャンクの幅 b・高さ h 及び取付部の各寸法 刃先の高さ h
1
,シャンクの幅 b・高さ
h
及び取付部の各寸法は,
図 2,表 1 による。
3
B 4127 : 1998
図 2
表 1 刃先の高さ h
1
,シャンクの幅 b・高さ h 及び取付部の各寸法
単位 mm
h
1
h
b
e
1
l
2
t
d
締付けねじ
±0.08
(最大) (最大)
±0.13
6 8.5
6
12 4.5
3.5
4
0
5
.
0
+
M3.5
8 11 8
17 6 4.5
4.5 M4
10 15 11 20 8 5 7
M6
12 20 16 20 8 6 7
M6
16 25 20 25 8 0 9
M8
20 30 20 30 10 0 9
M8
25 35 25 30 10 0 11
M10
4.2
基準点 K 基準点 K は,次のように定義する。
a)
切込み角
κ
≦90°の場合 コーナ半径に接する P
f
面と P
s
面,及びすくい面 A
γ
との交点(
図 3,図 4 参
照)
。
b)
切込み角
κ
>90
°の場合 コーナ半径に接する P
f
面と P
p
面,及びすくい面 A
γ
との交点(
図 5,図 6 参
照)
。
参考 ISO 5611 では,切込み角の記号
κ
を
κ
γ
と表示している。
備考 図中(図 3〜6)の矢印は,送り方向を示す。
4
B 4127 : 1998
図 3
図 4
図 5
図 6
4.3
基準コーナ半径 全長 l
1
と刃先距離 f,刃先高さ h
1
の定義に使われるマスターチップの基準コーナ半
径 r
ε
は,
表 2 のようにチップの基準内接円直径によって決める。
表 2 基準コーナ半径 r
ε
単位 mm
チップの基準内接円直径 4.76 5.56 6.35 7.94 9.525
12.7
15.875
19.05
コーナ半径 r
ε
(呼び値)(
2
) 0.4
0.8
1.2
注(
2
)
コーナ半径 r
ε
は呼び値を示しているが,実際はインチ系の値から変換した
γ=0.397mm, 0.794mm,
1.191mm
を基準とする。
5
B 4127 : 1998
4.4
切れ刃形状別の寸法 切れ刃形状別の寸法は表 3.1〜3.3 による。
表 3.1 切れ刃形状別の寸法
単位 mm
h
1
±0.08 6
8
10
12
16
20
25
l
1
25
32
50
55
63
70
100
08
.
0
0
−
f
8 10
14
20 25 25
32
切れ刃の形状
D
min
20
25
40
50
60
70
100
l
− 09
11
11/16
16/22
22
27
F
l 04/05(
5
) 06
−
−
−
−
−
l
− 09
11
11/16
16/22
22
27
G
l 04/05(
5
) 06
−
−
−
−
−
l
− 09
11
11/16
16/22
22
27
J
l 04/05(
5
)
−
−
−
−
−
−
6
B 4127 : 1998
単位 mm
h
1
±0.08 6
8
10
12
16
20
25
l
1
25
32
50
55
63
70
100
08
.
0
0
−
f
8 10
14
20 25 25
32
切れ刃の形状
D
min
20
25
40
50
60
70
100
l
−
−
09
09/12 12/15 15 19
K
l 04/05(
5
) 06
−
−
−
−
−
L
l 04/05(
5
) 06 09
09/12 12 12/16
19
l
−
−
09
09/12 12/15 15 19
R
l 04/05(
5
) 06
−
−
−
−
−
7
B 4127 : 1998
単位 mm
h
1
±0.08 6
8
10
12
16
20
25
l
1
25
32
50
55
63
70
100
08
.
0
0
−
f
8 10
14
20 25 25
32
切れ刃の形状
D
min
20
25
40
50
60
70
100
l
− 09
11
11/16
16/22
22
27
U
l 04/05(
5
)
−
−
−
−
−
−
l
−
−
09
09/12 12/15 15 19
Y
l 04/05(
5
) 06
−
−
−
−
−
注(
3
) a
寸法は,
表4による。
(
4
) l
はカートリッジに取り付けるチップの切れ刃長さ記号で,JIS B 4120 の 4.5 の切れ刃長さによる。
(
5
) 04
は CP..04T1..,05 は CP..0502..のチップを使用する。
備考1. 図は,右勝手を示す。
2.
コーナ半径 r
ε
が
表 2 の規定以外の場合,全長 l
1
及び刃先距離 f は基準点 K から T 点(切刃の交点)まで
の距離である x 値と y 値を用いて補正する(
図 3〜6 参照)
。
この場合,全長 l
1
及び刃先距離 f は,
表 1 のコーナ半径に対応する x と y 及び実際のコーナ半径に対
応する x と y との差から得られる。
3.
図中(シャンク部)の矢印は,カートリッジの送り方向を示す。
8
B 4127 : 1998
表 3.2 切れ刃形状別の寸法
単位 mm
h
1
±0.08 6
8
10
12
16
20
25
l
1
21
28
44
47
53
60
87
08
.
0
0
−
f
8 10
14
20 25 25
32
切れ刃の形状
D
min
20
25
40
50
60
70
100
l
−
−
09
09/12 12/25 15 19
l
− 09
11
11/16
16/22
22
27
S
l 04/05(
5
) 06
−
−
−
−
−
l
− 09
11
11/16
16/22
22
27
W
l 04/05(
5
) 06
−
−
−
−
−
備考1. 図は右勝手を示す。
2.
コーナ半径 r
ε
が
表 2 の規定以外の場合,全長 l
1
及び刃先距離 f は基準点 K から T 点(切刃の交点)まで
の距離である x 値と y 値を用いて補正する(
図 3〜6 参照)
。
この場合,全長 l
1
及び刃先距離 f は,
表 1 のコーナ半径に対応する x と y 及び実際のコーナ半径に対
応する x と y との差から得られる。
3.
図中(シャンク部)の矢印は,カートリッジの送り方向を示す。
9
B 4127 : 1998
表 3.3 切れ刃形状別の寸法
単位 mm
h
1
±0.08 6
8
10
12
16
20
25
l
1
25
32
50
55
63
70
100
08
.
0
0
−
f
5.5 6
9 13 15 15
20
切れ刃の形状
D
min
20
25
40
50
60
70
100
l
− 09
11
11/16
16/22
25
27
T
l 04/05(
5
) 06
−
−
−
−
−
備考1. 図は右勝手を示す。
2.
コーナ半径 r
ε
が
表 2 の規定以外の場合,全長 l
1
及び刃先距離 f は,基準点 K から T 点(切刃の交点)ま
での距離である x 値と y 値を用いて補正する(
図 3〜6 参照)。
この場合,全長 l
1
及び刃先距離 f は
表 1 のコーナ半径に対応する x と y 及び実際のコーナ半径に対応
する x と y との差から得られる。
3.
図中(シャンク部)の矢印は,カートリッジの送り方向を示す。
4.5
a
寸法 a 寸法は,表 4 による。
表 4 a 寸法
単位 mm
切れ刃の形状 K, R
S
T,
W
Y
チップ形状記号
h
1
S C T
S C T C S C
6
− 1.1(
6
)
−
− 3.1(
6
)
− 2.2(
6
)
− 0.4(
6
)
− 1.3(
7
)
−
− 3.7(
7
)
− 2.6(
7
)
− 0.4(
7
)
8 1.6
− 6.1
− 4.3
4.3
3.0 0.6
−
10 2.2
− 7.0
6.1
− 5.0
− 0.8 −
12 2.2
− 7.0
6.1
− 5.0
− 0.8 −
3.1
− 10.2
8.3
− 7.2
− 1.0 −
16 3.1
− 10.2
8.3
− 7.2
− 1.0 −
3.8
− 14.1
10.2
− 10.0
− 1.3 −
20 3.8
− 14.1
10.2
− 10.0
− 1.3 −
25 4.6
− 17.2
12.5
− 12.2
− 1.6 −
注(
6
)
チップは,CP..04T1..を使用する。
(
7
)
チップは,CP..0502..を使用する。
5.
製品の呼び方 カートリッジの呼び方は,規格番号又は規格の名称及び呼び記号(
8
)
による。
例 JIS B 4127 PTFNR12CA−16
スローアウェイチップ用カートリッジ−A タイプ PTFNR12CA−16
注(
8
)
呼び記号は,JIS B 4125に従い,シャンクの幅記号を表す配列順序7の記号を CA とする。なお,
10
B 4127 : 1998
表3.1〜3.3のカートリッジについては,全長を表す文字記号の代わりにダッシュ(−)を用いて
もよい。
11
B 4127 : 1998
附属書(参考) カートリッジの材料,硬さ及び試験方法
序文 この附属書(参考)は,カートリッジの材料,硬さ及び試験方法について記述するものであり,規
定の一部ではない。
1.
材料 カートリッジの材料は,JIS G 4105(クロムモリブデン鋼鋼材)の SCM435〜445 又は JIS G 4401
(炭素工具鋼鋼材)の SK5〜7 が一般的に用いられる。
2.
硬さ カートリッジの硬さは,35HRC 以上が望ましい。
3.
試験方法
3.1
形状・寸法 カートリッジの形状及び寸法は,附属書表 1 に示す方法で測定できる。ただし,測定
方法及び測定器具は,一般的な例を示す。
附属書表 1 形状及び寸法の測定方法
番号
項目
測定方法
測定方法図
測定器具
1
シャンクの幅 b
ノギスで測定する。
JIS B 7507
に規定する
ノギス
2
シャンクの高さ h
3
刃先の高さ h
1
マスターチ ップを カート
リッジに取 り付け 精密定
盤上に置き,ハイトゲージ
又は測定顕 微鏡で 測定す
る。
JIS B 7513
に規定する 1
級の精密定盤
JIS B 7517
に規定する
ハイトゲージ
JIS B 7153
に規定する
測定顕微鏡
4
刃先距離 f
マスタチッ プをカ ートリ
ッジに取り 付け精 密定盤
上に置き,ハイトゲージ,
又は測定顕 微鏡で 測定す
る。
JIS B 7513
に規定する 1
級の精密定盤
JIS B 7517
に規定する
ハイトゲージ
JIS B 7153
に規定する
測定顕微鏡
5
切込み角
κ
マスターチ ップを カート
リッジに取 り付け 精密定
盤上に置き,ベベルプロト
ラクタで測定する。
JIS B 7513
に規定する 1
級の精密定盤
ベベルプロトラクタ
12
B 4127 : 1998
原案作成委員会 構成表
a)
整合化推進本委員会
氏名
所属
(委員長)
竹 山 秀 彦
神奈川工科大学
村 田 良 司
東京理科大学
佐 藤 素
技術士
藤 野 達 夫
通商産業省機械情報産業局
本 間 清
工業技術院標準部
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会技術部
手 取 正 輝
いすゞ自動車株式会社
菅 谷 伸 夫
トヨタ自動車株式会社
伊 藤 祐 一
株式会社池貝
加 藤 晃
オークマ株式会社
岡 安 英 雄
社団法人日本工作機械工業会
久 岡 政 美
三菱電機株式会社
安 武 昭 彦
社団法人日本工作機器工業会
羽 山 隆 貫
日本工具工業会
有 本 浩
住友電気工業株式会社粉末合金事業部
藤 本 勝 廣
ダイジェット工業株式会社技術部
矢 野 幸 平
日立ツール株式会社技術本部
佐 伯 幸 洋
三菱マテリアル株式会社加工事業本部
絹 川 達 治
日本特殊陶業株式会社機械工具事業部
吉 田 裕 三
東芝タンガロイ株式会社技術本部
御 園 一 郎
超硬工具協会
前 田 淳
住友電気工業株式会社粉末合金事業部
福 田 雅 秀
冨士ダイス株式会社技術部
日 高 正
京セラ株式会社機械工具事業部
宇和川 成 人
マコトロイ工業株式会社
沖 野 捷 男
東京タングステン株式会社粉末製品事業部
(事務局)
関 口 紳一郎
超硬工具協会
b)
整合化推進分科会
氏名
所属
有 本 浩
住友電気工業株式会社粉末合金事業部
藤 本 勝 廣
ダイジェット工業株式会社技術部
福 田 雅 秀
冨士ダイス株式会社技術部
矢 野 幸 平
日立ツール株式会社技術本部
日 高 正
京セラ株式会社機械工具事業部
宇和川 成 人
マコトロイ工業株式会社
佐 伯 幸 洋
三菱マテリアル株式会社加工事業本部
絹 川 達 治
日本特殊陶業株式会社機械工具事業部
吉 田 裕 三
東芝タンガロイ株式会社技術本部
前 田 淳
住友電気工業株式会社粉末合金事業部
沖 野 捷 男
東京タングステン株式会社粉末製品事業部
御 園 一 郎
超硬工具協会
(事務局)
関 口 紳一郎
超硬工具協会