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日本工業規格

JIS

 B

3700-

1-1996

(ISO 10303-1 :

 1994)

産業オートメーションシステム

及びその統合−

製品データの表現及び交換−

第 1 部:概要及び基本原理

Industrial automation systems and integration

Product data representation and exchange

Part 1 : Overview and fundamental principles

日本工業規格としてのまえがき 

こ の 規 格 は , 1994 年 第 1 版 と し て 発 行 さ れ た ISO 10303-1 (Industrial automation systems and

integration-Product data representation and exchange

−Part 1 : Overview and fundamental principles)  を基に,技術

的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で下線(点線)を施してある

“参考”は,原国際規格にない事項である。

0.

序文  製品の設計,製造,使用,保守及び廃棄の間に得られた製品に関する情報は,その製品のライ

フサイクルの間,種々の目的で利用される。このために,異なる組織に導入されているものも含め,多く

の計算機システムが使用される。このように製品情報を種々の形で利用できるようにするため,組織は,

計算機が解釈可能な共通の形式によって製品情報を表現できることを必要としている。この形式は,異な

る計算機システム間で情報を交換する際でも完全性と一貫性とを保つ必要がある。

この規格群は,計算機が解釈可能な製品データの表現及び交換を規定する。この規格群は,製品のライ

フサイクルの間,特定のシステムに依存せずに製品データを記述できる機構を提供することを目的とする。

この記述の特質は,中立のファイル交換だけでなく,製品データベースの実装及び共有,並びに保管の基

盤としても適する。

この規格群は一連の規格からなり,

それぞれの規格は部として個別に制定する。この規格群の各規格は,

記述法,統合リソース,アプリケーションプロトコル,抽象試験スイート,実装法又は適合性試験のいず

れかの組に属する。

この規格は,この規格群の概要を示し,それぞれの組の機能及びそれらの組の間の関係を規定する。

参考  この規格は,製品データの表現及び交換を規定する一連の規格群の中で,この規格群の概要及

び基本原理を規定する規格である。この製品データの表現,及び交換を規定する規格群の全体

を総称するときには“規格群”と呼び,例えば,記述法を規定する一組の規格を呼ぶときには

“組”又は“組の規格”と呼び,個々の規格を呼ぶときには単に“規格”と呼ぶ。


2

B 3700-1-1996 (ISO 10303-1 : 1994)

1.

適用範囲  この規格は,製品データの表現及び交換を規定する規格群の概要を規定する。

この規格群は,製品情報の表現,並びに製品データの交換を可能とするために必要な機構及び定義を規

定する。この交換は,製品の設計,製造,使用,保守及び最終的な廃棄を含め,製品のライフサイクルの

すべてに関係する異なる計算機システム間及び環境間で行われる。

この規格群の適用範囲は,次のとおりとする。

−  構成部品及び組立品を含めた製品情報の表現

−  蓄積,転送,アクセス及び保管を含めた製品データの交換

この規格は,製品情報の表現及び交換についてこの規格群で使用する基本原理を規定する。更に,この

規格は,この規格群のそれぞれの組の特徴及びそれらの組の間の関係を規定する。

この規格の適用範囲は,次のとおりとする。

−  この規格群の概要

−  この規格群の構成

−  この規格群で使用する用語の定義

− EXPRESS データ仕様記述言語及び製品情報モデルの図式表示も含め,この規格群で使用するデー

タ仕様の記述法の概要

−  統合リソースの概要

−  アプリケーションの適用範囲,コンテキスト及び情報要件を定義するために使用するアプリケーシ

ョンプロトコルの概要,及びアプリケーション情報の表現の概要

−  実装がこの規格群に適合しているかどうかを評価するための適合性試験の方法論及び枠組みの概要

−  適合性試験の基礎として使用する抽象試験スイートの概要

−  この規格群で使用できる実装法の概要

この規格群の他の規格の適用範囲は,それぞれの規格で定義する。

2.

引用規格  この規格で引用する規格を,次に示す。これらの規格がこの規格の本体中で引用された場

合には,この規格の規定の一部とみなす。この規格の制定時点では,次の規格が最新規格であるが,改正

されることもあるので,この規格を使う当事者は,最新版を適用できるかどうかを検討するのが望ましい。

ISO 10303-31 : 1994

  Industrial automation systems and integration−Product data representation and

exchange

−Part 31 : Conformance testing methodology and framework : General concepts

ISO/IEC 8824-1 : 1995

  Information technology−Abstruct Syntax Notation One (ASN.1) : Specification of

basic notation

参考  この規格で参照されている規格を,次に示す。

ISO 10303-11

:1994  Industrial automation systems and integration−Product data representation

and exchange

−Part 11 : Description methods : The EXPRESS language reference manual

ISO 10303-21

:1994  Industrial automation systems and integration−Product data representation

and exchange

−Part 21 : Implementation methods : Clear text encoding of the exchange

structure

ISO 10303-41

:1994  Industrial automation systems and integration−data representation and

exchange

−41 : Integrated generic resources : Fundamentals of product description and


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B 3700-1-1996 (ISO 10303-1 : 1994)

support

ISO 10303-42

:1994  Industrial automation systems and integration−Product data representation

and exchange

− Part 42 : Integrated generic resources : Geometric and topological

representation

ISO 10303-43

:1994  Industrial automation systems and integration−Product data representation

and exchange

−43 : Integrated generic resources : Representation structures

ISO 10303-44

:1994  Industrial automation systems and integration−Product data representation

and exchange

−Part 44 : Integrated generic resources : Product structure configuration

ISO 10303-46

:1994  Industrial automation systems and integration−Product data representation

andexchange

−Part 46 : Integrated generic resources : Visual presentation

ISO 10303-101

:1994  Industrial automation systems and integration−Product data representation

and exchange

−Part 101 : Integrated application resources : Draughting

3.

用語の定義及び略語

3.1

ISO 10303-31

で定義された用語  この規格では,ISO 10303-31 で定義された次の用語を使用する。

−  抽象試験項目  (abstract test case)

−  抽象試験法 (abstract test method)

−  適合性試験 (conformance testing)

−  試験目的 (test purpose)

−  判定 (verdict)

−  判定基準 (verdict criteria)

3.2

この規格で定義する用語  この規格群で使用する用語を,次に定義する。

3.2.1

抽象試験スイート  (abstract test suite)    この規格群の一部の規格であって,アプリケーションプロ

トコルの実装に対して適合性試験を行うのに必要な抽象試験項目の集合を含むもの。

3.2.2

アプリケーション  (application)    製品データを生成又は使用する一つ以上の処理の集まり。

3.2.3

アプリケーション活動モデル,AAM  (application activity model)    アプリケーションをその処理及

び情報の流れによって記述するモデル。

3.2.4

アプリケーションコンテキスト  (application context)   特定のアプリケーションで製品データを使

用できるようにするために統合リソースを翻案する環境。

3.2.5

アプリケーション翻案モデル,AIM  (application interpreted model)    アプリケーションプロトコル

において,アプリケーション参照モデルの情報要件及び制約を満たすために必要な統合リソースを使用す

る情報モデル。

3.2.6

アプリケーションオブジェクト  (application object)    アプリケーション参照モデルの原子要素。そ

の原子要素は,

アプリケーションの固有な概念を定義し,

オブジェクトのデータ要素を定める属性を含む。

3.2.7

アプリケーションプロトコル,AP (application protocol)    この規格群の一部の規格であって,特定

のアプリケーションの適用範囲と情報要件とを満たすアプリケーション翻案モデルを規定するもの。

備考  この定義は,開放型システム間相互接続 (OSI) の規格の定義と異なる。しかし,この規格群は,

OSI

通信と直接組み合わせて使用することを意図していないので,混乱は生じない。

3.2.8

アプリケーション参照モデル,ARM (application reference model)    特定のアプリケーションコンテ

キストの情報要件及び制約を記述する情報モデル。


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B 3700-1-1996 (ISO 10303-1 : 1994)

3.2.9

アプリケーションリソース  (application resource)    統合リソースであって,その内容が一群のアプ

リケーションコンテキストと関係するもの。

3.2.10

組立品  (assembly)    特定のアプリケーションコンテキストの観点から,構成部品又は他の組立品

の集合に分解できる製品。

3.2.11

構成部品  (component)    特定のアプリケーションコンテキストの観点から,分解の対象とならな

い製品。

3.2.12

適合性クラス  (conformance class)    アプリケーションプロトコルの部分集合であって,適合性を主

張する対象となり得るもの。

3.2.13

適合性要件  (conformance requirement)    適合実装がもたなければならない性質を正確に明文化し

た定義。

3.2.14

データ  (data)    人間又は計算機が通信したり,解釈したり,又は処理したりするのに適するよう

に,情報を形式的に表現したもの。

3.2.15

データ交換  (data exchange)    データの蓄積,アクセス,転送及び保管。

3.2.16

データ仕様記述言語  (data specification language)    計算機による通信,解釈又は処理に適するよう

に,データ及びデータ間の関係を定義するための規則の集合。

3.2.17

交換構造 (exchange structure)    データの蓄積,アクセス,転送及び保管のために使用される形式

であって,計算機が解釈可能なもの。

3.2.18

総称リソース  (generic resource)    内容がコンテキストに依存しない統合リソース。

3.2.19

実 装 法   (implementation method)    こ の規 格 群 の 一 部 の規 格 で あ っ て, デ ー タ 仕様 記 述 言語

EXPRESS

ISO 10303-11 参照)で記述された製品データを交換するために,計算機システムで使用される

技術を規定するもの。

3.2.20

情報  (information)    事実,概念又は知識。

3.2.21

情報モデル  (information model)    指定された要件を満たすための情報の有限集合の形式的モデル。

3.2.22

統合リソース  (integrated resource)    この規格群の一部の規格であって,製品データの基礎として

使用される一群のリソース構成要素を定義するもの。

3.2.23

翻案  (interpretation)    アプリケーションプロトコルの要件を満たすために,統合リソースのリソー

ス構成要素を適応させる処理。この処理には,属性に対する制限の追加,制約の追加,リソース構成要素

とアプリケーション構成要素との間の関係の追加,又はこれらのすべてを含んでいてもよい。

3.2.24  PICS

様式  (PICS proforma)    標準化された質問形式の文書であって,この文書に特定の実装の事

項を記入すると,プロトコル実装適合性宣言となる。

3.2.25

表示  (presentation)    製品データの可視化した表現。

3.2.26

製品  (product)    自然の又は人工的な過程によって生成された事物。

3.2.27

製品データ (product data)    製品に関する情報の形式的な表現であって,人間又は計算機による通

信,解釈又は処理に適したもの。

3.2.28

製品情報  (product information)    製品に関する事実,概念又は知識。

3.2.29

製品情報モデル (product information model)    製品に関する事実,概念及び知識の抽象的記述を与

える情報モデル。

3.2.30

プロトコル実装適合性宣言,PICS  (protocol implementation conformance statement)    所定の規格に

対応する実装が備えている能力及び任意機能の宣言。この宣言は,PICS 様式に記入することによって行う。


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B 3700-1-1996 (ISO 10303-1 : 1994)

3.2.31

リソース構成要素 (resource construct)   EXPRESS 言語のエンティティ,型,関数,規則及び引用

の集まりであって,全体として製品データのある側面を正しく記述し定義するもの。

3.2.32

構造  (structure)    複合した事物の互いに関連する部分の集合及びそれらの部分間の関係。

3.2.33

機能単位  (unit of functionality)    アプリケーションオブジェクト及びオブジェクト間の関係の集

まりであって,アプリケーションコンテキストの一つ以上の概念を定義し,その中のどの要素を除去して

も,その概念が不完全又はあいまいになるようなもの。

3.3

略語  この規格群では,次の略語を使用する。

AAM

:アプリケーション活動モデル (application activity model)

AIM

:アプリケーション翻案モデル (application interpreted model)

AP

:アプリケーションプロトコル (application protocol)

ARM

:アプリケーション参照モデル (application reference model)

PICS

:プロトコル実装適合性宣言  (protocol implementation conformance statement)

4.

この規格群の概要

4.1

目的  この規格群は,製品のライフサイクルの間,計算機が解釈可能な製品データのあいまいさの

ない表現及び交換のための形式を規定することを目的とする。この形式は,いかなる特定の計算機システ

ムにも依存しない。この形式は,複数のアプリケーション間及びシステム間でも,一貫性のある実装を可

能にする。この規格群は,製品データの蓄積,アクセス,転送及び保管のために異なる実装法を使うこと

を許している。これらの実装は,適合性試験を受けることができる。

4.2

基本原理  この規格群は,製品情報の表現の技法とデータ交換に使用する実装法とを分離している。

この表現の技法は,

製品情報に対して,

多くのアプリケーションに共通なただ一つの表現を与えている。

この共通な表現は,特定のアプリケーションの要求に合うように調整できる。アプリケーションプロトコ

ルは,一つ以上のアプリケーションに対する製品情報の表現を規定する。

この規格群は,アプリケーションプロトコルで定義された製品データの交換を可能にする実装法を規定

する。

この規格群は,製品情報の表現を定めるのに使用する形式的なデータ仕様記述言語 EXPRESS を定義す

る。形式言語の使用によって,あいまいさのない一貫した表現が得られ,実装の開発が容易になる。

この規格群は,実装の適合性試験のための方法及び枠組みを与える。

4.2.1

統合リソース  製品情報の表現の仕様は,統合リソースの集合で定められる。それぞれの統合リソ

ースは,リソース構成要素と呼ぶ EXPRESS で書かれた製品データ記述の集合からなる。一つの集合は,

それを定義するために,複数の他の集合に依存してもよい。アプリケーションが異なっても,類似の情報

は,単一のリソース構成要素で表現される。

統合リソースは,総称リソース及びアプリケーションリソースと呼ぶ二つのグループに区分される。総

称リソースは,アプリケーションに依存せず,互いに引用できる。アプリケーションリソースは,類似の

アプリケーションのグループで使用するために,総称リソースを引用したり,拡張したりできる。アプリ

ケーションリソースは,他のアプリケーションリソースを引用しない。

4.2.2

アプリケーションに対する支援  統合リソースは,製品情報の総称情報モデルを定義する。これら

の統合リソースは,アプリケーション独自の制約,関係及び属性を追加しない限り,アプリケーションの

情報要件を十分には満たせない。

この規格群はアプリケーションプロトコルを定義するが,そこでは特定のアプリケーションの製品情報


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B 3700-1-1996 (ISO 10303-1 : 1994)

要件を満たすために,統合リソースが翻案される。この翻案は,適切なリソース構成要素を選び,適切な

制約,関係及び属性を指定することによって,それらのリソース構成要素の意味を精細化して行う。この

翻案の結果は,アプリケーション翻案モデルとなる。アプリケーション翻案モデルは,アプリケーション

プロトコルの一部として文書化される。

リソース構成要素を異なるアプリケーションで同じ情報要件を表現するために使う場合,そのリソース

構成要素に同じ翻案を使わなければならない。アプリケーションの適用範囲及び情報要件は,そのアプリ

ケーションの用語を使って規定する。アプリケーションプロトコルは,アプリケーションの情報要件を満

たすのに統合リソースの翻案がどのように使用されるかを写像によって示す。

4.2.3

実装法  この規格群の各実装法は,EXPRESS 言語をその実装法で使われる形式言語に写像するこ

とによって規定する。この写像は,アプリケーションプロトコルに依存しない。この写像は,形式的記法

で表記される。この規格群では,少なくとも三つの実装法を規定する。

4.2.4

実装  アプリケーションプロトコルは,この規格群で規定する実装法の集合のうちから,一つ以上

の適用可能な実装法を規定してよい。実装は,アプリケーションプロトコルで規定された一つ以上の実装

法をアプリケーション翻案モデルに適用しなければならない。

4.2.5

適合性試験  アプリケーションプロトコルに対する実装の適合性は,そのアプリケーションプロト

コルの適合性要件によって規定する。

アプリケーションプロトコルのそれぞれに対して,抽象試験スイートに定められた試験の集合を定義す

る。これらの試験を抽象試験法と結び付けた場合には,これらの試験を実装の適合性の評価に使ってもよ

い。適合性評価の全体的な枠組みは,ISO 10303-31 に規定する。

各実装法に対する抽象試験法は,この規格群で適合性試験を規定する組の一つの規格で,規定する。

特定の実装の適合性試験は,プロトコル実装適合性宣言中で実装が主張している適合性クラスに対して

規定されている要件について行う。試験は,実装が主張する適合性クラスに基づいて,抽象試験スイート

から選ぶ。試験結果は,適合性評価の基礎を与える。

試験結果の再現性,比較可能性及び審査可能性の基盤を与えるため,この規格群は,適合性試験を実施

するための抽象試験スイートを含み,試験法を定義する。

この規格群に適合性試験の手続を規定するのは,

試験結果が広く受け入れられるようにすることを意図している。

4.3

情報オブジェクトの登録  開放型情報システムでスキーマ及び他の情報オブジェクトをあいまいさ

なく識別するために,この規格は,ISO/IEC 8824-1 で定義された登録技法を採用する。この技法では,オ

ブジェクトを,ISO を根とする木構造に割り当てて識別する。木構造の各節点は,節点下の葉の指標に対

応する整数の列で識別される。下位の節点を更に指定できる機関を識別する節点は,登録機関と呼ぶ。こ

の技法では,ISO 加盟国及び他に認められた機関(私企業も含む。

)が登録を遂行できるようになっている。

規格中のオブジェクトを識別するために,規格を作成している専門委員会 (technical committee) 又は分科

会 (subcommittee) は,自動的に登録機関として認められる。したがって,この規格群の原国際規格 ISO 

10303

は,次のオブジェクト識別子で識別される。

{

  1  0  10303  }

ここで,先頭の 1 は ISO を示し,次の 0 はオブジェクトを規格として識別し,その次の番号は規格番号

を示す。さらに,ISO/IEC 8824-1 は,これらの番号の代わりに付ける識別子も定義している。すなわち,

“ISO”は値 1 をもち,

“standard”は値 0 をもつ。複数の部からなる規格群の各規格は,規格番号の後に部

を示す番号を付ける。この規格の原国際規格である ISO 10303 の第 1 部は,次のオブジェクト識別子で識

別される。


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B 3700-1-1996 (ISO 10303-1 : 1994)

{

  iso  standard  10303  part (1)  }

ここでは,部番号が明示的に示されているが,表記法では,意味を表すためにこの値に言葉を関連付け

ることもできる。この種の値についての表記法は,ISO/IEC 8824-1 の箇条番号 28.に定義されており,あ

らかじめ決められた割当ては同国際規格の

附属書 に規定されている。

開放型情報システム内で情報オブジェクトをあいまいさなく識別することを目的として,この規格群で

は,次の記法を使う。

−  部番号に続く値は,版番号とする。用法としては,初版の版番号の値は,1 とする。値 0 は,使っ

た場合には,国際規格案  (Draft International Standard)  を指すために留保する。

−  版番号に続く値は,この規格で定義する情報オブジェクトの型を識別するのに使う。値 1 は,識別

されたオブジェクトがスキーマであることを示す。

−  オブジェクトの型に続く値は,整数とし,識別されたオブジェクトの型のインスタンスを示す。

−  ISO/IEC 8824-1 の構文上の要件を満たすために,この値を定義するときには,スキーマ名中の下線

のオカレンスは,それぞれハイフンで置き換える。

例  ISO 10303-41 では,複数個のスキーマが定義されている。application_context_schema(アプリケー

ションコンテキストスキーマ)は,次の値で識別できる。

{

  iso  standard  10303  part (41)  object (1)  application-context-schema (1)  }

更に,product_definition_schema は,次の値で識別できる。

{

  iso  standard  10303  part (41)  object (1)  product-definition-schema (2)  }

5.

規格群の構成  この規格群は六つの組からなり,それぞれの組はこの規格群の中で独自の機能をもつ。

それぞれの組は,一つ以上の部からなる。これらの組及びその番号体系を,次に示す。

−  記述法

第 11 部∼第 19 部

−  統合リソース:

・  総称リソース

第 41 部∼第 99 部

・  アプリケーションリソース

第 101 部∼第 199 部

−  アプリケーションプロトコル

第 201 部∼第 1199 部

−  適合性試験の方法及び枠組み

第 31 部∼第 39 部

−  抽象試験スイート

第 1201 部∼第 2199 部(関連するアプリケーションプロトコル

の第 201 部∼第 1199 部に対応)

−  実装法

第 21 部∼第 29 部

6.

記述法  一貫性を確保し,あいまいさを除くため,統合リソース及びアプリケーションプロトコルの

中の製品データは,形式的なデータ仕様記述言語を使って記述する必要がある。この言語は,人間の理解

を容易にするために人間が読め,かつ,アプリケーションソフトウェア及び支援ツールの生成を容易にす

るため計算機が解釈可能になることを意図している。

6.1

EXPRESS

言語  EXPRESS は,ISO 10303-11 で規定された形式的なデータ仕様記述言語であり,統

合リソース及びアプリケーションプロトコルの双方の製品データを規定として記述する機構を提供する。

EXPRESS

は,製品データに適用可能なデータ及び制約を記述できるようにする。EXPRESS では,デー

タ要素,制約,関係,規則及び関数を使ってリソース構成要素を定義できる。この言語は,リソース構成

要素を分類したり,構造化したりできるようにする。リソース構成要素は,アプリケーションプロトコル


8

B 3700-1-1996 (ISO 10303-1 : 1994)

中で翻案してよい。EXPRESS の翻案機能は,属性に対する制限の追加,制約の追加,リソース構成要素

とアプリケーション構成要素との間の関係の追加,又はこれらのすべてを許すことによって,アプリケー

ションプロトコルの開発を容易にする機構となる。

6.2

モデルの図式表示  規定のデータ定義を図示するためのモデルの図式表示は,すべて参考とする。

この規格群で,図式表示を用いるモデルは,次の 4 種類とする。

−  統合リソースにおけるリソース構成要素

−  アプリケーション活動モデル

−  アプリケーション参照モデル

−  アプリケーション翻案モデル

図式表示は,それぞれの部に現れる定義の理解を助けるために示す。この規格群で使用する図式表示に

は,次のようなものがある。

− EXPRESS-G

ISO 10303-11

附属書 に定義される EXPRESS の図式表現

− IDEFO

アプリケーションプロトコル中のアプリケーション活動モデルに使用する活

動モデル化記法(

附属書 の 2.参照)

− IDEF1X

IDEF1X

情報モデル化法(

附属書 の 3.参照)で使用する図式表現

− NIAM

NIAM

情報モデル化法(

附属書 の 4.参照)で使用する図式表現

7.

統合リソース  統合リソースは,製品データの表現の基礎として使用するリソース構成要素を与える。

統合リソースは,アプリケーションの情報要件を満たすために翻案される。

統合リソースは,この規格群中の情報の各要素に対して一意な表現を与える。リソース構成要素の意味

は,文章で定義する。

統合リソースは,一つ以上のリソース構成要素からなる論理的に関連する集合に分けられる。総称リソ

ースは,コンテキストに依存しない。アプリケーションリソースは,アプリケーションの指定された範囲

に適用可能とする。

統合リソースの 2 種類の例を,次に示す。

総称リソース 

−  製品の記述及び支援の基本要素  (ISO 10303-41)

−  幾何表現及び位相表現  (ISO 10303-42)

−  表現構造  (ISO 10303-43)

−  製品構成  (ISO 10303-44)

−  可視表示  (ISO 10303-46)

アプリケーションリソース 

−  製図  (ISO 10303-101)

総称リソースの構成要素は,重複を避けるために,相互に依存してよい。アプリケーションリソースの

構成要素は,総称リソース構成要素を引用してよい。

8.

アプリケーションプロトコル


9

B 3700-1-1996 (ISO 10303-1 : 1994)

8.1

アプリケーション要件の定義  アプリケーションプロトコル (AP) は,アプリケーションの適用範

囲,コンテキスト及び情報要件の定義を含む。この定義では,適用範囲,コンテキスト及び情報要件を明

確にするために,アプリケーションから除外される機能,処理又は情報を指定してよい。この適用範囲の

記述は,アプリケーションの処理,情報の流れ及び機能要件を記述するアプリケーション活動モデル

(AAM)

でより明確になる。この活動モデルは,その AP の

附属書(参考)に示す。

アプリケーションコンテキストに対する情報要件及び制約は,

そのアプリケーションの用語を使用して,

機能単位とアプリケーションオブジェクトとの集合によって定義する。この定義は,アプリケーション参

照モデル (ARM) から導出される。ARM は,形式的な情報モデルであり,その AP の

附属書(参考)に示

す。

8.2

情報表現  アプリケーションの情報要件を表現するためのリソース構成要素は,アプリケーション

翻案モデル (AIM) で EXPRESS 言語を使用して規定する。AIM は,統合リソースで規定されたリソース構

成要素で組み立てる。リソース構成要素は,AP で定義されたコンテキスト及び適用範囲の中でアプリケ

ーション要件を満たすように翻案される。

情報要件を AIM に写像する機能が備えられている。この写像は,アプリケーションの情報要件を表現す

るために,統合リソースから翻案されたリソース構成要素の AIM 中での使用方法を定める。

8.3

実装法  AP は,実装法に依存しない。しかし,AP は,実装法に固有な情報を規定の一部である附

属書に含めてもよい。AP は,交換構造の実装法で AP のエンティティ名の符号化に使用する短縮名の一覧

表を含む。

8.4

適合性要件  アプリケーションプロトコルは,実装が AP の要件を備えていると主張する場合に満た

さなければならない適合性要件を含む。適合性要件は,AP で定義された機能を反映したものであり,こ

の規格群の記述法,実装法又はアプリケーションプロトコルを規定する組の規格で規定してよい。

9.

適合性試験の方法及び枠組み

9.1

適合性試験の目的  この規格群で適合性試験の方法論及び枠組みを規定する組は,この規格群のア

プリケーションプロトコルを実装していると主張する製品について,適合性試験を行う過程での一般的な

方法論及び要件を定める。適合性試験の方法論及び枠組みの目的は,次の事項を確実にすることにある。

−  再現性      いつ試験しても試験結果が常に一貫していること。

−  比較可能性  どこで試験しても試験結果が常に一貫していること。

−  監査可能性  試験手続が正しく行われたことが,記録の検討によって試験後に確認できること。

ISO 10303-31

は,この規格群における実装の適合性試験の枠組みを与え,一般的な概念を与える。

9.2

適合性試験の手続  アプリケーションプロトコルの適合性試験は,選択された実装法用の抽象試験

法を抽象試験スイート中の試験項目に適用することによって実行できる。適合性試験の手続は,試験対象

に依存しない。

一つの実装が複数のアプリケーションプロトコルを組み合わせている場合,適合性試験は,それぞれの

アプリケーションプロトコルに対して個別に行う。

この規格群は,

試験機関及び適合性試験を受けるために実装を提出する依頼者の役割及び責任を定める。

9.3

抽象試験法  この規格群は,それぞれの実装法に対して,抽象試験法を規定する。抽象試験法は,

特定の実装法を採用している実装を試験する方法を,次の事項に依存せずに記述する。

−  特定の実装

−  試験ツール及び手続


10

B 3700-1-1996 (ISO 10303-1 : 1994)

−  試験対象の特定のアプリケーションプロトコル

10.

抽象試験スイート  抽象試験スイートは,適合性要件を満たすために,アプリケーションプロトコル

の抽象試験項目の集合からなる。各抽象試験項目は,一つ以上の適合性要件の一部を評価するために必要

な動作について,実装に依存しない仕様を与える。それぞれのアプリケーションプロトコルの規格は,対

応する抽象試験スイートを引用規格として含んでいる。

それぞれの適合性要件は,一つ以上の試験目的を満たすよう設計された一つ以上の抽象試験項目に対応

する。各抽象試験項目について,実装がその抽象試験項目に関して適合しているかどうかを試験機関が評

価できるように,適合性要件から判定基準が生成される。抽象試験項目に基づいて適合性試験を行った場

合,結果として,実装が一つ以上の適合性要件を満たしているかどうかが判定できる。

11.

実装法

11.1

目的  この規格群は,種々の実装法を規定する。実装法は,この規格群で定義されたアプリケーシ

ョンプロトコルの特定の使用方法を与える。交換構造の実装法は,ISO 10303-21 に規定されている。交換

構造は,アプリケーションプロトコル中の製品データの記述を,クリアテキスト符号化又は 2 進符号化を

使用して,読み書きする機能を提供する。

11.2

形式言語の使用  実装法は,形式言語を使って定義し,計算機に基づく方法で実装を開発できるよ

うにする。

11.3  EXPRESS

から実装法への写像  EXPRESS は,この規格群における,製品情報のすべての仕様の基

盤を与える。この規格群で定義する各実装法は,EXPRESS の構文からその実装法で使用する言語への写

像規則を規定する。実装に現れるような各リソース構成要素の構造及び構文は,この写像規則を適用して

導出される。特定の実装法に適用する規則は,写像しようとしている EXPRESS 定義の形式に依存しても

よい。EXPRESS で定義されたスキーマは,どれでも実装法に写像できる。

11.4

交換構造の実装  クリアテキスト符号化を使用した交換構造のための構文規則及び写像規則は,ISO 

10303-21

による。交換構造は,ファイル交換を行えるように実装してもよい。交換構造の実装法の構文に

使用する言語は,ヴィルト構文記法(

附属書 の 5.参照)に基づいている。EXPRESS からこの言語への

写像を定義する。


11

B 3700-1-1996 (ISO 10303-1 : 1994)

附属書 A(規定)  情報オブジェクトの登録 

開放型システムで情報オブジェクトをあいまいさなく識別するために,次のオブジェクト識別子をこの

規格自身に割り当てる。この値の意味は,ISO/IEC 8824-1 の定義に従っており,この規格に示す。

{

  iso  standard  10303  part (1)  version (1)  }


12

B 3700-1-1996 (ISO 10303-1 : 1994)

附属書 B(参考)  参考文献

1.

“Guidelines for the Development and Approval of STEP Application Protocols, Version 1.1”, ISO/TC 184/SC

4/WG 4 N66, January 1993.

2.

“ IDEFO (ICAM Definition Language 0)”, Federal Information Processing Standards Publication 183,

Integration Definition for Function Modeling (IDEFO), FIPS PUB 183, National Institute of Standards and

Technology, December 1993.

3.

“IDEF1X (ICAM Definition Language 1 Extended)”, Federal Information Processing Standards Publication

184, Integration Definition for Information Modeling (IDEF1X), FIPS PUB 184, National Institute of Standards and

Technology, December 1993

4.

NIJSSEN, G. M. and HALPIN, T. A.,

“Conceptual Schema and Relational Database Design : A Fact Oriented

Approach”, Prentice Hall, New York, 1989

5. 

WIRTH, N. ;

“ What can we do about unnecessary diversity of notation for syntactic definition?”,

Communications of the Association for Computing Machinery, Volume 20, Number 11, November 1977


13

B 3700-1-1996 (ISO 10303-1 : 1994)

産業オートメーションシステム及びその統合−製品データの表現及び交換 JIS 原案作成委員会

本委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

鈴  木  宏  正

東京大学

河  野  秀  樹

通商産業省機械情報産業局

山  村  修  蔵

工業技術院標準部

加  山  英  男

財団法人日本規格協会

上  石  幸  拓

株式会社リコー

宇田川  佳  久

三菱電機株式会社

遠  藤  修  司

三菱重工業株式会社

小  林  一  也

富山県立大学

坂  本  英  三

株式会社日立製作所

坂  本  千  秋

株式会社小松製作所

篠  原  克  也

日本電気株式会社

白  髭  昌  男

石川島播磨重工業株式会社

中  塚  久  世

株式会社マイクロ・シー・エー・デー

平  岡  弘  之

中央大学

藤      和  宏

日産自動車株式会社

森      宗  正

日本ユニシス株式会社

(事務局)

橋  田  忠  明

社団法人日本コンピュータ・グラフィックス協会

JIS B 3700-1

原案作成分科会  構成表

氏名

所属

(主査)

鈴  木  宏  正

東京大学

井  越  昌  紀

東京都立大学

石  川  義  明

石川島播磨重工業株式会社

岸  浪  建  史

北海道大学

小  島  俊  雄

工業技術院機械技術研究所

篠  原  克  也

日本電気株式会社

杉  村  延  広

大阪府立大学

徳  永  英  二

TOK

中  塚  久  世

株式会社マイクロ・シー・エー・デー

橋  本  健  一

新日鉄情報通信システム株式会社

平  岡  弘  之

中央大学

参考  この規格の原案作成に関する事務は,平成 7 年 7 月 1 日付けで,財団法人日本情報処理開発協

会に引き継がれた。