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B 2710-2:2008

(1)

目  次

ページ

1  適用範囲

1

2  引用規格

1

3  用語及び定義

1

4  記号及び定義

1

5  設計の基本概念

2

5.1  設計の原理

2

5.2  設計方法の種類

2

5.3  設計の手順

2

5.4  留意事項

2

6  マルチリーフスプリングの設計

3

6.1  展開法による設計

3

6.2  板端法による設計

5

7  テーパリーフスプリングの設計

6

7.1  設計の原理

6

7.2  テーパリーフのモデル及び計算式

7

8  非対称ばねの設計

9

8.1  設計の原理

9

8.2  ばね定数及び応力

10

9  トレーリングリーフの設計

10

10  設計における考慮事項

11

10.1  中央部締付けによる無効長さ

11

10.2  たわみに伴うスパン変化

12

10.3  ワインドアップ

13

10.4  板間摩擦及び動ばね定数

13

10.5  フレッティング

14

附属書 A(参考)重ね板ばねの疲労設計資料

15

附属書 B(参考)設計計算例

20

附属書 C(規定)設計に用いる係数の線図

23

 


 
B 2710-2:2008

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人日本ばね工業会(JSMA)及び財団法

人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標

準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

これによって,JIS B 2710:2000 は廃止され,その一部を分割して制定したこの規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。

JIS B 2710 の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS

B

2710-1  第 1 部:用語

JIS

B

2710-2  第 2 部:設計方法

JIS

B

2710-3  第 3 部:試験方法

JIS

B

2710-4  第 4 部:製品仕様


日本工業規格

JIS

 B

2710-2

:2008

重ね板ばね−第 2 部:設計方法

Leaf springs−Part 2: Design method

1

適用範囲

この規格は,自動車,鉄道車両,産業機械などに使用する重ね板ばねの設計方法について規定する。

なお,この規格でいう重ね板ばねには,ばね板が一枚だけの場合も含む。

2

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS B 2710-1  重ね板ばね−第 1 部:用語

JIS B 2710-3  重ね板ばね−第 3 部:試験方法

JIS B 2710-4  重ね板ばね−第 4 部:製品仕様

3

用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 2710-1 による。

4

記号及び定義

この規格で用いる主な記号及び定義は,

表 による。

表 1−記号及び定義

記号

定義

単位

2P

ばねに対する作用力 N

δ

 

たわみ mm

ばね定数,k=2P/

δ

 N/mm

ワインドアップトルク

N

⋅mm

θ

 

ワインドアップによる回転角 rad

k

T

 

回転ばね定数,k

T

T/

θ

N

⋅mm/rad

σ

R

 

ワインドアップによる一番リーフの応力 N/mm

2

リーフの半長 mm

リーフの幅 mm

リーフの厚さ mm

リーフの断面二次モーメント mm

4

リーフの断面係数 mm

3

σ

 

リーフの応力 N/mm

2

リーフの総数,又は親板を表す添え字

n' 

全長板の数

縦弾性係数,E=206×10

3

 N/mm

2



B 2710-2:2008

5

設計の基本概念

5.1

設計の原理

重ね板ばねの設計においては,ばね定数及び強度耐久性を重視する。例えば,マルチリーフスプリング

の各リーフは,力学的には中央固定で両端自由の片持ちはりと同等と考えることができる。一般の重ね板

ばねは,形状及び寸法の異なる複数のリーフを束ねた構造体であるが,全体に作用する力とたわみとの関

係が一義的に決まる限り,

個別のリーフに作用する力とたわみとの関係を解析することができる。

ただし,

たわみによるスパンの変化は,通常,無視する。すなわち,ばね全体のたわみを与えると,それから個々

のリーフのたわみが決定でき,個別のリーフが及ぼす力の総和としてばね全体の力が定まり,ばね定数を

決定することができる。また,各リーフに作用する力に応じて,リーフ内の応力分布を求め,強度耐久性

を検討することができる。

5.2

設計方法の種類

重ね板ばねの設計方法の種類は,

表 による。

表 2−設計方法の種類

ばねの種類

設計方法

摘要

箇条

展開法

隣接リーフが全面で接触して力を伝達すると仮定し,
各リーフを同一平面に展開した広幅の一枚板とみなし

て設計計算を行う。

6.1 

マルチリーフスプリング

板端法

隣接リーフがリーフの端部だけで接触して力を伝達す
ると仮定して設計計算を行う。

6.2 

直線テーパ法

テーパ部の板厚を直線状に漸減させて設計する。

7.2.1 

テーパリーフスプリング

放物線テーパ法

テーパ部の応力分布がより均一となるように板厚を放
物線状に漸減させて設計する。

7.2.2 

注記  非対称ばねの設計方法は,ばねの片側ずつ上記のいずれかの方法を用い,その手順は箇条 による。

5.3

設計の手順

重ね板ばねの設計においては,ばねを組み込む装置及び機器の要求に合わせ,あらかじめばねの諸元を

設定することが必要である。ここでいう諸元には,通常,ばねの種類,スパン,リーフの形状,幅,厚さ,

枚数などを含む。その上で,これら諸元に基づき算定したばね定数及びリーフの応力が要求に対し適切な

範囲にあるかどうかを評価する。結果が十分でなければ,ばねの種類及び諸元に戻って見直しを行う。す

なわち,重ね板ばねの設計には,要求仕様に対する提案,評価及び見直しという,繰返し過程を含む。

属書 に代表的なばね材料に用いる常用応力と最大応力との関係,S-特性及び時間強度線図を示す。ま

た,

附属書 に設計計算例を示す。

なお,形状寸法の詳細,処理方法及び部品を含めた製品仕様については,JIS B 2710-4 による。また,

設計した製品を検証するための試験方法は,JIS B 2710-3 による。

5.4

留意事項

重ね板ばねは,ばね力を利用して振動吸収及び緩衝の役に立てるばかりでなく,それ自体が構造部材と

して他の部材の位置決め及び連結機能を担うことができる。重ね板ばねの特性は,このほかに板間摩擦に

よるエネルギー吸収の効果,ワインドアップトルクの作用による付加的な応力及び変形の発生,フレッテ

ィング腐食による耐久性低下などの問題があり,特に自動車用ばねでは,腐食疲労の問題も重視する。設

計においてはこれらを考慮した対策も十分に行うことが必要である。


3

B 2710-2:2008

6

マルチリーフスプリングの設計

6.1

展開法による設計

6.1.1

展開法の原理

展開法では,中心穴から等距離にある点の各リーフの曲率がすべて等しいと仮定し,隣接する各リーフ

が互いに全面で接触して力を伝達すると考える。その場合,マルチリーフスプリングは同一平面上に展開

した一枚の幅広のばね板と力学的に等価になる。

展開法は,

ばね定数及び応力の計算が比較的簡単なため,

ばねの概略設計及び疲労耐久性評価に用いることが多い。全長板が 2 枚以上あるばねの場合には,通常,

展開法で計算する。

なお,展開法には,台形状モデルを用いる場合及び階段状モデルを用いる場合がある。

6.1.2

適用対象

展開法によるマルチリーフスプリングの解析は,

図 に示す対称ばねに適用する。ここでは基本的なマ

ルチリーフスプリングについて規定するが,親子重ね板ばね及びまくらばねについてもこの考え方を適用

してよい。

図 1−対称ばねのモデル

6.1.3

台形モデルによる方法

6.1.3.1

台形モデル

各リーフの厚さがすべて等しい場合には,リーフの開先形状及び長さの違いによるステップの違いを無

視して,

図 の台形モデルで近似する。

図 2−台形モデル

台形の形状に基づく係数 K

T

  を,式(1)のように表す。K

T

  は,図 C.1 から読み取ってもよい。

(

)

ú

û

ù

ê

ë

é

÷

ø

ö

ç

è

æ

η

η

η

η

e

K

log

2

3

2

2

1

1

3

2

3

T

 (1)



B 2710-2:2008

ここに,

η

:  リーフの総数に対する全長板の数の比率で,

η

n′/とする。

6.1.3.2

ばね定数及び応力

ばね定数 は,式(2)によって求める。

3

T

6

1

n

l

nEI

K

k

 (2)

ここに,  n:  リーフの総数

l

n

:  ハーフスパン

は,リーフの断面二次モーメントで,長方形断面リーフの場合は,式(3)による。

3

12

1

bt

I

 (3)

ここに,  b:  リーフの幅

t:  リーフの厚さ

各リーフの長さ中央における応力は等しく,式(4)による。長方形断面の場合 Z=2I/である。

P

nZ

l

n

σ

 (4)

ここに,  Z:  断面係数

6.1.4

階段モデルによる方法

6.1.4.1

階段モデル

リーフごとに厚さが異なる場合には,開先形状によらず,

図 3

の階段モデルで近似する。

階段モデルを用いるときの係数 K

S

を,式(5)のように表す。

(

)

ú

ú

ú

ú

ú

û

ù

ê

ê

ê

ê

ê

ë

é

÷

÷

ø

ö

ç

ç

è

æ

×

÷

÷

ø

ö

ç

ç

è

æ

å

å

å

å

n

n

i

n

i

j

j

n

i

j

j

i

i

n

i

i

n

I

I

I

I

I

K

1

1

3

1

S

1

1

λ

 (5)

ここに,

λ

i

短い方から

i

番目のリーフの相対長さ,

λ

i

l

i

 / l

n

I

i

は,同じく

i

番目リーフの断面二次モーメントで,長方形断面リーフの場合,式

(6)

による。

3

12

1

i

i

i

t

b

I

 (6)

図 3

階段モデル


5

B 2710-2:2008

6.1.4.2

  ばね定数及び応力

ばね定数

k

は,式

(7)

による。

3

S

6

1

n

n

l

EI

K

k

 (7)

各リーフのスパン中央における応力

σ

i

は,式

(8)

による。

P

I

l

t

n

j

j

n

i

i

å

1

2

σ

 (8)

6.2

板端法による設計

6.2.1

板端法の原理

板端法では,隣接するリーフ間での力の伝達が,リーフの先端だけで行われると仮定する。したがって,

各リーフの厚さ,開先形状及びステップがどのような寸法であっても適用できる。

板端法によるばね定数は,一般に実測値とよく一致するほか,各リーフ内の応力分布が容易に計算でき

るため,ばねの詳細設計に用いることが多い。

6.2.2

適用対象

板端法によるマルチリーフスプリングの解析は,対称ばねについて適用する(

図 1

参照)

。ここでは基本

的なマルチリーフスプリングについて規定するが,親子重ね板ばね及びまくらばねについてもこの考え方

を適用してよい。

6.2.3

板端形状係数

リーフの開先形状は,

図 4

のモデルによって近似する。まず,短い方から 番目のリーフの開先につい

て,板端形状係数 K

i

を式(9)のように表す。K

i

は,

図 C.2

から読み取ってもよい。

(

)

(

)

(

)

1

2

3

3

log

3

2

3

2

i

i

i

i

i

i

e

i

i

i

i

K

β

ξ

β

ξ

β

ξ

β

ξ

β

 (9)

ただし,リーフ端の相対幅を

β

i

b

i

´/b

i

,相対厚さを

ξ

i

t

i

´/t

i

とする(

図 5

参照)

図 4

開先のモデル

ここで係数

η

i

を,式(10)のように定義する。

1

1

i

i

i

i

C

B

α

η

 (10)

式中,

α

i

1

は,

i

1

番目のリーフ端での作用力と,

i

番目のリーフ端での作用力の比で,式

(11)

及び

(12)

による。

1

1

1

1

i

i

i

i

D

ϕ

α

(11)



B 2710-2:2008

1

1

1

i

i

i

D

η

ϕ

 (12)

ここに,

1

1

1

2

3

i

i

i

A

µ

µ

(

)

i

i

i

K

B

3

1

1

1

µ

2

1

1

1

2

3

i

i

i

C

µ

µ

i

i

i

I

I

1

1

ϕ

また,

µ は力の入力位置で,µ

 i

−1

l

i

1

/l

i

である。

以上の計算において,A

i

−1

B

i

C

i

−1

ϕ

 i

−1

µ

 i

−1

は,ばね諸元に応じて決まるので,初めに求めておくと

よい。その場合は A

0

C

0

ϕ

 0

=0 とする。

その上で,まず式(10)によって i=1 として

η

  1

を求め,これを式(12)に代入して D

1

を求めれば,式(11)

から

α

1

が求まる。これを再び式(10)に入れると,

η

  2

を得る。次に同じように繰り返すと,最後に

η

  n

を得

る。

6.2.4

ばね定数及び応力

ばね定数 は,式(13)による。

3

6

1

n

n

n

l

EI

k

η

 (13)

番目のリーフにおいて,中央部の応力

σ

io

は式(14)に,i

1 番目リーフとの接触点の応力

σ

ic

は式(15)によ

る。

(

)

×

1

1

1

1

1

o

1

n

j

i

j

i

i

i

Z

Pl

α

µ

α

σ

 (14)

(

)

×

1

1

1

1

c

1

n

j

i

j

i

i

Z

Pl

α

µ

σ

 (15)

7

テーパリーフスプリングの設計

7.1

設計の原理

テーパリーフスプリングは,ばね中心側から長手方向へ先端部にかけて板厚が漸減するテーパ形状をも

つリーフを重ねて構成したばねである。

図 5

テーパリーフスプリングの例

図 5

に示すような対称ばねにおいて,

ばね全体のたわみ変化と,

各リーフのたわみ変化とが等しいから,


7

B 2710-2:2008

各リーフはそのばね定数に応じた力を分担する。したがって,全体のばね定数は個々のリーフのばね定数

の総和に等しい。すなわち,設計は個別のリーフについて行えばよい。

注記

  テーパリーフスプリングは,マルチリーフスプリングに比べリーフの長さ方向応力分布を均等

化しやすいため,軽量化に有利である。

7.2

テーパリーフのモデル及び計算式

リーフの幅 が一定で,リーフの厚さ が t

1

t

2

まで漸減する対称形のテーパリーフについて,そのハー

フスパン分をモデル化して

図 6

に示す。

注記  x:中心穴からの距離(mm)

図 6

テーパリーフのモデル

7.2.1

テーパ部の板厚が直線状に変化する場合のばね定数及び応力

図 6

で示すテーパ部の板厚が直線状に変化する場合のリーフの応力分布を模式的に表すと,

図 7

のよう

になる。

図 7

テーパ部の板厚が直線状に変化する場合の応力分布図

ばね定数は,式(16)による。

(

)

(

)

J

l

EI

k

3

2

3

3

1

3

1

1

1

1

6

λ

η

λ

×

 (16)

ここに,

ïþ

ï

ý

ü

ïî

ï

í

ì

÷÷ø

ö

ççè

æ

÷÷ø

ö

ççè

æ

÷÷ø

ö

ççè

æ

×

÷÷ø

ö

ççè

æ

÷÷ø

ö

ççè

æ

2

2

1

2

2

1

1

2

2

1

3

1

2

3

1

1

1

2

1

1

1

1

2

1

3

η

λ

λ

ηλ

λ

η

η

λ

λ

ηλ

λ

η

η

η

λ

λ

η

n

l

J



B 2710-2:2008

12

3

1

bt

I

2

1

t

t

η

l

l

1

1

λ

l

l

2

2

λ

応力は,式(17)及び(18)による。

Z

Pl

(0)

σ

6

2

1

bt

Z

 (17)

(

) (

)

2

1

2

1

1

1

1

1

)

(

þ

ý

ü

î

í

ì

×

÷÷ø

ö

ççè

æ

λ

λ

λ

µ

η

µ

σ

Z

Pl

x

 (18)

ここに,

σ(0): 中心穴位置の応力

σ(x): テーパ部の座標 における応力

l

x

µ

7.2.2

テーパ部の板厚が放物線状に変化する場合のばね定数及び応力

図 6

に示すテーパ部の板厚が放物線状に変化する場合のリーフの応力分布を模式的に表すと,

図 8

に示

すようにテーパ部の応力がほぼ均一な分布となる。

図 8

テーパ部の板厚が放物線状に変化する場合の応力分布図

ばね定数は,式(19)による。

3

1

6

Kl

EI

k

 (19)

ここに,

12

3

1

1

bt

(

)

(

)

{

}

(

)

η

λ

ζ

λ

3

2

2

3

1

3

1

1

1

2

1

1

1

K

l

l

1

1

λ

l

l

2

2

λ

1

1

2

1

l

l

l

l

ζ

2

1

t

t

η

ただし,板厚は中心穴からの距離 l

1

l

2

の位置まで放物線状に変化し,中心穴から任意の距離

x

での板

厚は,式(20)による。

1

1

l

l

x

l

t

t

 (20)

また,l

2

は,式(21)による。


9

B 2710-2:2008

(

)

2

1

2

1

2

÷÷ø

ö

ççè

æ

t

t

l

l

l

l

 (21)

応力は,式(22)∼(24)による。

1

0

l

x

の範囲では

( )

x

l

bt

P

2

1

6

σ

 (22)

2

1

l

x

l

の範囲では

(

)

2

2

2

6

l

l

bt

P

σ

 (23)

l

x

l

2

の範囲では

( )

x

l

bt

P

2

2

6

σ

 (24)

7.2.3

テーパリーフを重ね合わせた場合のばね定数及び応力

ばね全体のたわみ変化が,個々のリーフのたわみ変化と等しいばねにおいては,全体のばね定数は各リ

ーフのばね定数の総和となり,

図 5

に示すような 3 枚重ねのテーパリーフスプリングの場合,

ばね定数は,

式(25)による。

3

2

1

k

k

k

k

 (25)

ここに,

k

1

:  1 番リーフのばね定数

k

2

:  2 番リーフのばね定数

k

3

:  3 番リーフのばね定数

各リーフの応力は,式(26)∼(28)のように各リーフの分担力を割り出すことによって求められる。

P

k

k

P

1

1

 (26)

P

k

k

P

2

2

 (27)

P

k

k

P

3

3

 (28)

ここに,  P

1

:  1 番リーフの分担力

P

2

:  2 番リーフの分担力

P

3

:  3 番リーフの分担力

8

非対称ばねの設計

8.1

設計の原理

非対称ばねは,

図 9

のようにモデル化できる。この場合,力 2の作用点 において,ばねは自由に回

転可能と仮定する。設計においては,これをスパン 2l

A

の対称ばねの半分と,スパン 2l

B

の対称ばねの半分

を加え合わせたものと考え,箇条

6

又は箇条

7

の設計方法を適用する。


10 
B 2710-2:2008

図 9

非対称ばねのモデル

図 9

のモデルにおいて,作用力の大きさに関し,式(29)の関係がある。

ï

ï

þ

ïï

ý

ü

P

P

P

P

λ

λ

λ

1

2

1

2

B

A

 (29)

ここに,

λ:  非対称長さ比で,

B

A

l

l

λ

とする。

8.2

ばね定数及び応力

ばね定数 は,式(30)による。

)

(

)

1

)(

1

(

)

1

(

A

2

2

B

k

k

k

κλ

κ

λ

κ

 (30)

ここに,

κ:  A 側,B 側のばね定数の比で,

B

A

k

k

κ

とする。

特に,各リーフで A 側及び B 側の長さの比が等しい場合には,式(31)による。また,

図 C.3

から数値を

読み取って求めてもよい。

)

(

1

)

(1

)

(1

B

A

3

A

k

k

k

k

λ

λ

λ

λ

λ

 (31)

式(30)及び(31)に用いるばね定数 k

A

及び k

B

は,台形モデルの展開法においては式(2),階段モデルの展開

法においては式(7),板端法においては式(13),並びにテーパリーフについては式(16)又は式(19)を,それぞ

れ適用して求める。

各リーフの応力は,式(29)による作用力を用い,台形モデルの展開法においては式(4),階段モデルの展

開法においては式(8),板端法においては式(14)及び(15),テーパリーフについては式(17),(18)又は式(22)

∼(24)を,それぞれ適用して求める。

9

トレーリングリーフの設計

タイプ 1 及びタイプ 2 のトレーリングリーフの設計原理は,非対称テーパリーフスプリングと同等であ

る。したがって,まず各リーフの固定側ハーフスパン及び空気ばね側ハーフスパンについて,それぞれ式

(16)又は式(19)によって個別のばね定数を求め,次いで非対称ばねとして,式(30)による全体のばね定数を

求めればよい。ただし,空気ばね側ハーフスパンのばね定数は,リーフを剛体とみなして省略することも

できる。


11

B 2710-2:2008

10

設計における考慮事項

10.1

中央部締付けによる無効長さ

重ね板ばねは,中央部を U ボルトなどで締め付けたり,胴締めによって固定したりするため,スパンの

一部にばね作用をしない無効部分が含まれることがある。設計における無効長さは,

表 3

による。

図 10

12

は,中央部締付けの例である。

表 3

締付けによる無効長さ

締付け方法

無効長さ

説明図

U ボルトのリジッドクランプ 0.4

U∼0.8 U

図 10 

アイソクランプ 0

図 11 

胴締め 0.6

B

図 12 

注記

  無効長さが大きくなると,ばね定数は大きくなる。例えば,無効長さが 0.6のリジッドクラン

プでは,ばね定数は

k

U

l

l

k

3

U

6

.

0

2

2

÷÷ø

ö

ççè

æ

となる。

図 10

自動車用ばねの ボルトによるリジッドクランプの例

図 11

自動車用ばねのアイソクランプの例

図 12

鉄道車両用ばねの胴締めの例


12 
B 2710-2:2008

胴締めのあるマルチリーフスプリングの応力は,式(32)又は(33)による。は胴締めの長さ(mm)である。

a

)  l/n < 80(mm)の場合

(

)

)

(N/mm

3

.

0

5.5

2

2

P

nbt

B

l

σ

 (32)

b

)  l/n

≥ 80(mm)の場合

(

)

2

2

N/mm

5.3

P

nbt

l

σ

 (33)

10.2

たわみに伴うスパン変化

重ね板ばねは,たわみによってスパンが変化し,取付け機構への影響があるため,その関係特性を知る

ことが必要である。

図 13

に示すマルチリーフスプリングのモデルでは,ハーフスパン と反り の関係

は,式(34)による。は,

図 C.4

から数値を読み取り,求めてもよい。

(

)(

)

úû

ù

êë

é

2

3

5

2

1

S

e

C

e

C

S

l

 (34)

ここに,

e:  目玉の半径(mm)

S:  ハーフストレートスパン(mm)

図 13

たわみによるスパンの変化

反りの変化に伴うスパンの変化を逃がすために,目玉にシャックル又は二段リンクを取り付ける方法,

目玉を付けずにばね受けで支持する方法など,何らかの対策を施すものとする(

図 14

参照)

図 14

スパン変化の逃がし方の例


13

B 2710-2:2008

10.3

ワインドアップ

ワインドアップトルク が作用すると,ばねは

図 15

のように回転変形する。

図 15

ワインドアップトルク 及び中心部の回転角

θ 

この場合の回転ばね定数 k

T

は式(35)による。k

T

は,

図 C.5

から数値を読み取り,求めてもよい。

(

)

(

)(

)

2

2

2

T

1

1

1

4

kl

k

λ

κ

κλ

 (35)

ここに,

B

A

l

l

λ

B

A

k

k

κ

k

A

k

B

及び k: l

A

側,l

B

側,及び全体のばね定数

特に,l

A

側と l

B

側との全リーフの長さの比が一定である場合には,k

T

は式(36)による。

(

)

(

)

2

3

2

T

1

1

4

kl

k

λ

λ

λ

 (36)

短い方から 番目のリーフに作用する応力は,長さ l

A

又は l

B

の間で一定で,式(37)による。

λ

σ

1

2

1

R

T

I

t

n

j

j

i

i

×

å

 (37)

ワインドアップトルクは,通常の作用力に重畳して作用し,トルクの向きによってリーフの応力が増減

するので,ばねの耐久性評価においては注意しなければならない。

10.4

  板間摩擦及び動ばね定数

重ね板ばねは,

リーフ間の摩擦のため,

図 16 に示すように,力−たわみ関係が加力時と減力時で異なり,

ヒステリシス特性を示す。

図 16−板間摩擦によるヒステリシス


14 
B 2710-2:2008

その結果,動ばね定数は静的なばね定数より高めとなり,無視できない影響を及ぼすことがある。一方

では,板間摩擦による制振効果を期待することも多い。したがって,設計では板間摩擦の程度を考慮する

必要がある。

板間摩擦を減少するためには,リーフ数を少なくする,板端に摩擦係数の低いスペーサなどを挟むなど

の方策があり,板間摩擦を増加するためには,リーフ数を多くする,リーフを締め付けるなどの方策があ

る。

板間摩擦による動ばね定数の変化は,ばねのたわみが小さい範囲で特に大きく,そのためばねを含む振

動系の共振周波数が変化して,他の防振対策などの効果を損ねることがあるので注意が必要である。

なお,潤滑による板間摩擦の低減策は,効果の持続性があまり期待できない。

10.5

  フレッティング

重ね板ばねの中央締付部は,フレッティングによる摩耗を生じやすいので,リーフ間に樹脂又は軟鋼の

センタスペーサを挟むなど,対策を工夫することが望ましい。

フレッティングを起こす箇所の作用応力が高いと,疲労破壊を起こしやすい。例えば,U ボルトによる

締付部では,ボルトの締付け境界部から折損することがある。


15

B 2710-2:2008

附属書 A

参考)

重ね板ばねの疲労設計資料

序文

この附属書は,本体の規定を補足するものであって,規定の一部ではない。

重ね板ばねの強度耐久性は,実際の使用環境における種々の作用応力の大きさ及びその変動条件の影響

を強く受ける。しかしそれら応力条件の詳細は,個別のばねによって大きく異なり,一定の基準を示すこ

とは困難である。この附属書は,過去の経験に基づく応力条件の実態を示す重ね板ばねの疲労設計資料に

ついて記載するものである。

なお,この附属書に示すデータは,トラック,バスなどに用いる線形特性ばねの設計において,国内の

製造業者が考慮している応力条件の調査結果をまとめたもので,2000 年当時のものである。ばねには,シ

ョットピーニング施工ばね,ストレスピーニング施工ばね,モディファイドオースフォーミングなどの高

強度ばねを含んでいる。

A.1

  常用応力と最大作用応力との関係

ばねの常用応力と最大作用応力との関係について,

図 A.1A.3 に例を示す。疲労設計においては,常用

応力を平均応力

σ

m

,最大作用応力を最大応力

σ

max

と考えると,応力振幅

σ

a

は,式(1)のようになる。

a

)

m

max

2

σ

σ

の場合:

m

max

a

σ

σ

σ

 (1)

このとき,最小最大応力比 は,式(2)のようである。

1

2

max

m

σ

σ

R

 (2)

b

)

m

max

2

σ

σ

の場合は,R=0 と考えて,

2

max

a

σ

σ =

 (3)

図 A.1−ショットピーニング施工ばねにおける常用応力と最大作用応力との関係


16 
B 2710-2:2008

図 A.2−ストレスピーニング施工ばねにおける常用応力と最大作用応力との関係

図 A.3−高強度ばねにおける常用応力と最大作用応力との関係

A.2

  S-N 特性

平均応力を基準値

σ

m0

にとったときのばねの S-N 特性の例を,

図 A.4A.6 に示す。

ここで,実際のデータは種々の異なる平均応力

σ

m

の下での応力振幅

σ

a

なので,真破断力

σ

T

を用いて

σ

m0

に対する応力振幅

σ

a0

に換算している。計算に用いた

σ

m0

及び

σ

T

の値は,各図中に示した。換算の方法

は,式(4)の式による。

a

m

T

m0

T

0

a

σ

σ

σ

σ

σ

σ

 (4)

応力の計算は展開法又は板端法によって,マルチリーフスプリングでは中心穴位置,テーパリーフスプ

リングでは応力が最大となる位置について求めている。


17

B 2710-2:2008

図 A.4−ショットピーニング施工ばねの S-特性

図 A.5−ストレスピーニング施工ばねの S-特性

図 A.6−高強度ばねの S-特性

A.3

  時間強度線図

ばねの設計に用いる時間強度線図の例を,

図 A.7A.9 に示す。

時間強度線図は,A.2 に示した基準 S-N 特性から求めた。そのとき,時間強度のばらつきは寿命によら


18 
B 2710-2:2008

ず一定とし,かつ,正規分布に従うと仮定した。

図 A.7−ショットピーニング施工ばねの時間強度線図

図 A.8−ストレスピーニング施工ばねの時間強度線図


19

B 2710-2:2008

図 A.9−高強度ばねの時間強度線図


20 
B 2710-2:2008

附属書 B

参考)

設計計算例

序文

この附属書は,設計計算例を記載するものであって,規定の一部ではない。

B.1

  マルチリーフスプリングの設計計算例

マルチリーフスプリングの設計計算は,次による。

a

)  計算式  本体の計算式(9)∼(15)を使用。

b

)  ばね諸元  ばね諸元を,表 B.1 に示す。

表 B.1−板端法による計算例のばね諸元

単位  mm

リーフ No.

1 2 3 4 5

リーフ半長

500 425 345 260 160

板幅

70 70 70 70 70

板厚

7 7 7 7 7

テーパ長さ

0  80  85 100 100

先端板幅

70 56 56 56 56

先端板厚 7

4.2

4.2

3.6

3.6

c

)  計算結果  ばね定数の計算結果は,k=70.14 N/mm となる。

また,作用力 2 P=5 884 N での応力分布図を,

図 B.1 に示す。

図 B.1−板端法によるマルチリーフスプリングの応力分布図

B.2

  テーパリーフスプリング

B.2.1

  直線状テーパを施したリーフの設計計算例

直線状テーパを施したリーフの設計計算は,次による。


21

B 2710-2:2008

a

)  計算式  本体の計算式(16)∼(18)を使用。

b

)  ばね諸元  板幅 70 mm,スパン 1 250 mm 及びリーフ枚数 3 枚とする。テーパ形状を,図 B.2 に示す。

単位  mm

図 B.2−直線テーパを施したリーフ板厚形状

c

)  計算結果  ばね定数の計算結果は,k=225 N/mm となる。

作用力 2 P=17 652 N での応力分布図を,

図 B.3 に示す。

図 B.3−直線テーパを施したリーフの応力分布図

B.2.2

  放物線状テーパを施したリーフの設計計算例

放物線状テーパを施したリーフの設計計算は,次による。

a

)  計算式  本体の計算式(19)∼(24)を使用。

b

)  ばね諸元  幅 70 mm,スパン 1 250 mm 及びリーフ枚数 3 枚とする。テーパ形状を,図 B.4 に示す。


22 
B 2710-2:2008

単位  mm

図 B.4−放物線状テーパを施したリーフ板厚形状

c

)  計算結果  ばね定数の計算結果は,k=230 N/mm となる。

作用力 2 P=17 652 N での応力分布図を,

図 B.5 に示す。

図 B.5−放物線状テーパを施したリーフの応力分布図


23

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附属書 C 

規定)

設計に用いる係数の線図

序文

この附属書は,設計に用いる係数の線図であり,規定の一部である。

C.1

  展開法の台形モデルによる展開ばねの形状係数

展開法の台形モデルによる展開ばねの形状係数を,

図 C.1 に示す。

図 C.1−台形モデルの形状係数(6.1.3.1 参照)


24 
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C.2

  板端法における板端形状係数

板端法における板端形状係数を,

図 C.2 に示す。

図 C.2−板端形状係数(6.2.3 参照)


25

B 2710-2:2008

C.3

  非対称ばねのばね定数

両側のリーフ長さ分布が比例関係にある場合のばね定数は,

図 C.3 による。

図 C.3

λ

との関係線図(8.2 参照)


26 
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C.4

  たわみに伴うスパン変化

たわみに伴うスパン変化は,

図 C.4 による。

図 C.4−反り とハーフスパン との関係(10.2 参照)


27

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C.5

  回転ばね定数

回転ばね定数は,

図 C.5 による。

図 C.5−回転ばね定数 k

T

λ

との関係(10.3 参照)