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B 2710-1:2020  

(1) 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義··················································································································· 1 

B 2710-1:2020  

(2) 

まえがき 

この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人

日本ばね工業会(JSMA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規

格を改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本産業規

格である。これによって,JIS B 2710-1:2008は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS B 2710の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS B 2710-1 第1部:用語 

JIS B 2710-2 第2部:設計方法 

JIS B 2710-3 第3部:試験方法 

JIS B 2710-4 第4部:製品仕様 

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日本産業規格          JIS 

B 2710-1:2020 

重ね板ばね−第1部:用語 

Leaf springs-Part 1: Vocabulary 

適用範囲 

この規格は,主に自動車,鉄道車両,産業機械に使用する重ね板ばねの製品仕様,設計方法及び試験方

法に関する主な用語について規定する。一般的なばねに関する用語は,JIS B 0103に規定されている。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用

規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 0103 ばね用語 

用語及び定義 

この規格で規定する用語及び定義は,次による。 

なお,参考のために慣用語,対応英語及びばね記号を示す。 

注記 用語の番号は,JIS B 0103で4桁の数字を用いて1桁目が“1”から“7”まで体系的に定めら

れており,その番号との重複を避けるため,この規格では1桁目を“8”としている。 

番号 

用語 

定義 

参考 

慣用語 

対応英語 

記号 

8001 

リーフ 

重ね板ばねを構成するばね板。通常,長い方から順
に,1番リーフ,2番リーフなどと呼ぶ。 
注記 1番リーフは親板ともいう。この場合に,2

番リーフ以降を子板という。 

leaf 

8002 

リーフの引張

側 

リーフが所定の作用力を受けたとき,引張応力が働
く面。 

テンション面 tension side 

8003 

リーフの圧縮

側 

リーフが所定の作用力を受けたとき,圧縮応力が働
く面。 

コンプレッシ
ョン面 

compression side 

8004 

中心穴 

重ね板ばねにおいて,各リーフの中央部分に設けた
締結用の穴。穴は必ずしも幾何学的中心になくても
よい。また,穴ではなく,各リーフのずれ止めのた
めに突起又はくぼみを設ける場合もあるが,特に誤
解を招くことがない限り,これらも総称して中心穴
と呼ぶことがある。 

センタ穴 

centre hole 

8005 

固定側スパン スパンのうち,固定側の力の支持中心から中心穴ま

での距離(図1参照)。 

fixed half span 

lA 

8006 

固定側ストレ

ートスパン 

1番リーフがまっすぐに伸びた状態における固定側
の力の支持中心から中心穴までの距離(図1参照)。 

fixed half straight 

span 

lST,A 

background image

B 2710-1:2020  

a) 重ね板ばねの場合 

b) トレーリングリーフの場合 

 2F :ばね力 

FA :固定側ばね力 
FB :シャックル(空気ばね又はスライド)側ばね力 

図1−固定側スパンの例 

番号 

用語 

定義 

参考 

慣用語 

対応英語 

記号 

8007 

常用力 

通常の使用において,重ね板ばねに常時作用する
力。 

nominal working 

force 

8008 

常用曲げ応力 通常の使用において,重ね板ばねに常時作用する曲

げ方向の応力。 

nominal working 

bending stress 

8009 

最大作用力 

重ね板ばねの使用時に作用し得る最大の力。 

maximum 

working force 

8010 

最大作用曲げ

応力 

通常の使用において,重ね板ばねに作用し得る最大
の曲げ方向の応力。 

maximum 

working 
bending stress 

8011 

指定力 

重ね板ばねの,主として反り又は高さを規定するた
めに指定する力。 

specified force 

8012 

開先 

リーフの端部。 
注記 形状によって平開先,三角開先,テーパ開先,

三角テーパ開先などがある。 

leaf end 

力の支持中心 

(空気ばね側) 

中心穴の位置 

FB 

2F 

力の支持中心 

(固定側) 

FA

固定側スパン 

水平面 

固定側ストレートスパン 

力の支持中心 

(シャックル側)

中心穴の位置 

FB 

2F 

力の支持中心 

(固定側) 

FA

ストレートスパン 

固定側スパン 

スパン 

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B 2710-1:2020  

番号 

用語 

定義 

参考 

慣用語 

対応英語 

記号 

8013 

ワインドアッ

プ 

両端を支持し,車軸に締結した重ね板ばねの中央部
に走行方向に直角な水平軸の周りに生じるねじり
モーメント(ワインドアップモーメントという。)
が作用したときに発生する現象。 
注記 この現象は,例えば,重ね板ばねを自動車な

どに使用したとき,自動車の加速時及び制動
時に起こる(図2参照)。 

wind-up 

注記 この図は,制動時トルクが作用した状態を示す。 

図2−ワインドアップの説明図 

番号 

用語 

定義 

参考 

慣用語 

対応英語 

記号 

8014 

指定反り 

重ね板ばねの,指定力によって規定された反り。 

指定キャンバ design camber 

Cd 

8015 

指定高さ 

重ね板ばねの,指定力によって規定された高さ。 

design height 

Hd 

8016 

ばね板端部の

幅 

目玉部又はスライディング部の板幅。 

spring end width 

bA 

8017 

組立幅 

各リーフを組み立てた際のUボルトによって拘束
するリーフ全体の幅。 

assembled spring 

width 

8018 

直線テーパ法 他部品との取付部分を除き,長手方向のほぼ全体に

わたってテーパを施し,中央部の応力分布がほぼ均
一となるようにテーパ部の板厚を直線状に漸減さ
せて設計する方法。 

linear taper 

method 

8019 

放物線テーパ

法 

直線テーパ法に対して,テーパ部の応力分布がより
均一となるように板厚を放物線状に漸減させて設
計する方法。 

parabolic taper 

method 

8020 

アイソクラン

プ 

ゴムなどの干渉材を介して,重ね板ばねと車軸とを
Uボルトで締結する方法。振動及び音を分離させる
効果がある。 

isolated clamp 

8021 

リジッドクラ

ンプ 

重ね板ばねと車軸とをUボルトで直接締結する方
法。 

rigid clamp 

8022 

ばねつり穴 

鉄道車両用の担いばねの両端にあけただ円穴。二段
リンクを用いて車体に取り付ける際に用いる。 

hole for hanging 

spring 

8023 

Uボルト 

重ね板ばねを車軸に取り付ける際に用いるU字形
をしたボルト。 

U-bolt 

8024 

リンク 

機械構造を構成し,互いに相対運動可能な個々の剛
体要素。重ね板ばねと車体側のブラケットとをつな
ぐ部品。 

link 

制動時トルク 

加速時トルク 

車の前方 

車軸 

重ね板ばね 

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B 2710-1:2020  

番号 

用語 

定義 

参考 

慣用語 

対応英語 

記号 

8025 

二段リンク 

ばねに力を負荷した際のそりの変化を逃がすため
に用いるリンク。上部ばねつりリンクと下部ばねつ
りリンクとの二段から成る。主に,鉄道車両用の重
ね板ばねに使用し,上部ばねつりリンクは重ね板ば
ねの目玉,下部ばねつりリンクは車体側のブラケッ
トに締結する。 

two stage link 

8026 

ばねつりリン

ク 

一端を重ね板ばねの端に,他端を車体枠又はブラケ
ットに結合して車両のばね上部に掛かる作用力を
ばねに伝えるリンク。主に,鉄道車両に使用する。 

link for hanging 

spring 

8027 

シャックル 

重ね板ばねの目玉に取り付け,ばねの変形に追従し
てばね上部に掛かる作用力を受ける金具。リンクの
一種で,主に,自動車用の重ね板ばねに使用する。 

shackle 

8028 

ブラケット 

リンクを取り付けるために,車両又は車体側に装着
する部品。 

bracket 

8029 

ばね受け 

目玉のない重ね板ばねを安定させて支える金属部
品。重ね板ばねがこの部品でスライドすることによ
って,スパン変化を逃がしている。鋳物,板金,板
金にゴムを接着させたものなどがある。 

spring holder