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B 2709-2

:2009

(1) 

目  次

ページ

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

1

3

  用語及び定義

1

4

  ばねの材料及び材料の直径

1

5

  ばねの形状

1

6

  ばね特性の許容差及び寸法の許容差

3

6.1

  許容差の等級

3

6.2

  ばね特性の許容差

3

6.3

  寸法の許容差

3

7

  表面状態

5

8

  硬さ

5

9

  試験

5

9.1

  ばね特性

5

9.2

  寸法

5

9.3

  表面状態

5

9.4

  硬さ

6

10

  仕様の表し方

6

10.1

  ばねの製図

6

10.2

  仕様書に記載する事項

6

10.3

  仕様書の記載

6


B 2709-2

:2009

(2) 

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人日本ばね工業会(JSMA)及び財団法

人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標

準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。これによって,JIS B 2709:2000 は

廃止され,その一部を分割して制定したこの規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。

JIS B 2709

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS B 2709-1

  第 1 部:基本計算方法

JIS B 2709-2

  第 2 部:仕様の表し方


   

日本工業規格

JIS

 B

2709-2

:2009

ねじりコイルばね−

第 2 部:仕様の表し方

Helical torsion springs

−Part 2: Expression of the specification

1

適用範囲

この規格は,JIS B 2709-1 に基づくねじりコイルばね(以下,ばねという。

)の材料,形状,ばね特性,

寸法などの仕様の表し方について規定する。

2

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS B 0004

  ばね製図

JIS B 0103

  ばね用語

JIS B 2709-1

  ねじりコイルばね−第 1 部:基本計算方法

JIS G 0558

  鋼の脱炭層深さ測定方法

JIS Z 2243

  ブリネル硬さ試験−試験方法

JIS Z 2320-1

  非破壊試験−磁粉探傷試験−第 1 部:一般通則

JIS Z 2320-2

  非破壊試験−磁粉探傷試験−第 2 部:検出媒体

JIS Z 2320-3

  非破壊試験−磁粉探傷試験−第 3 部:装置

3

用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 0103 による。

4

ばねの材料及び材料の直径

ばねの材料及び材料の直径は,JIS B 2709-1 の箇条 4(材料)に規定するものを使用する。

5

ばねの形状

ばねのフック及びフック端部の形状は,基本形状及びダブルトーション形状に区分し,その例を,

図 1

図 に示す。


2

B 2709-2

:2009

   

a)

  ショートフック 

b)

  ヒンジ 

c)

  直線起こし 

図 1−基本形状(腕の長さの短い場合)

a)

  ストレート 

b)

  段曲げ 

c)

  段曲げ 

d)

  フック 

図 2−基本形状(腕の長さの長い場合)

図 3−ダブルトーション形状


3

B 2709-2

:2009

6

ばね特性の許容差及び寸法の許容差

6.1

許容差の等級

ばね特性の許容差及び寸法の許容差の等級は,1 級〜3 級の 3 等級とする。この等級は,各項目ごとに使

用上の条件によって独立に選定する。

6.2

ばね特性の許容差

ばね特性は,指定ねじれ角のときのモーメントとし,使用者が指定する。

指定ねじれ角のときのモーメントの許容差は,冷間成形ばねの場合は,指定する許容差の等級に応じて

表 から係数 β

1

の値と,許容差を指定するばねの巻数に応じて

表 から自由角度のばらつき β

2

の値とを選

択し,次の式によって計算する。ただし,熱間成形ばねの場合のばね特性の許容差は,受渡当事者間の協

定による。

ΔM=±(φ

0

×β

1

β

2

)k

Td

ここに,  ΔM

指定ねじれ角のときのモーメントの許容差(N・mm)

φ

0

計画ねじれ角(°)

β

1

たわみに対するねじりモーメントのばらつきの大きさを表す
係数(

表 による。)

β

2

腕の自由角度のばらつき(°)

表 による。)

k

Td

ばね定数(N・mm/

°)

表 1−たわみに対するねじりモーメントのばらつきの大きさを表す係数(

β

1

の値

等級

1

2

3

β

1

 0.03 0.05 0.08

表 2−腕の自由角度のばらつき(

β

2

の値

巻数

3

を超え 10 以下

10

を超え 20 以下

20

を超え 30 以下

β

2

 10

° 15° 20°

6.3

寸法の許容差

寸法の許容差は,冷間成形ばねの場合は,次による。ただし,熱間成形ばねの場合の寸法の許容差は,

受渡当事者間の協定による。

a)

腕の自由角度  ばね特性の指定がない場合の腕の自由角度の許容差は,巻数によって表 による。

なお,ばね特性の指定がある場合は,

表 の腕の自由角度の許容差は参考値とする。

表 3−冷間成形ばねの腕の自由角度の許容差

単位  °

等級

巻数

1

2

3

3

以下

± 8

±10

±15

3

を超え 10 以下

±10

±15

±20

10

を超え 20 以下

±15

±20

±30

20

を超え 30 以下

±20

±30

±40

b)

コイル直径  コイル直径の許容差は,ばね指数によって表 による。

なお,許容差は,

表 に示す各欄の両条件のうち,絶対値の大きい方の値とする。


4

B 2709-2

:2009

   

表 4−冷間成形ばねのコイル直径の許容差

単位  mm

等級

ばね指数

1

2

3

  4

以上

8

以下

±1.0

%,最小±0.15

±1.5

%,最小±0.2

±2.5

%,最小±0.4

  8

を超え 15 以下

±1.5

%,最小±0.2

±2.0

%,最小±0.3

±3.0

%,最小±0.5

 15

を超え 22 以下

±2.0

%,最小±0.3

±3.0

%,最小±0.5

±4.0

%,最小±0.7

許容差は,必要がある場合には片側にとることができる。この場合には,表中の許容差

の範囲を片側にとり, ±1.5  %を

3
0

などのように示す。

c)

コイル部の長さ  コイル部の長さの許容差は,ばね指数によって表 による。ただし,密着巻きのも

のには適用しない。

なお,許容差は

表 に示す各欄の両条件のうち,絶対値の大きい方の値とする。

表 5−冷間成形ばねのコイル部の長さの許容差

単位  mm

等級

ばね指数

1

2

3

  4

以上

8

以下

±1.5

%,最小±0.3

±3.0

%,最小±0.6

±5.0

%,最小±1.0

  8

を超え 15 以下

±2.0

%,最小±0.4

±4.0

%,最小±0.8

±7.0

%,最小±1.4

 15

を超え 22 以下

±3.0

%,最小±0.6

±6.0

%,最小±1.2

±9.0

%,最小±1.8

d)

腕部の長さ  腕部の長さ(図 の 及び l

1

)の許容差は,材料の直径によって

表 による。

なお,許容差は

表 に示す各欄の両条件のうち,絶対値の大きい方の値とする。

図 4−腕部の長さ 及び l

1


5

B 2709-2

:2009

表 6−腕部の長さ 及び l

1

の許容差

単位  mm

等級

材料の直径

1

2

3

 0.1

以上 0.5 以下

±2.0

%,最小±0.3

±3.0

%,最小±0.5

±4.0

%,最小±1.0

 0.5

を超え 1 以下

±2.0

%,最小±0.5

±3.0

%,最小±0.7

±4.0

%,最小±1.5

  1

を超え

2

以下

±2.0

%,最小±0.7

±3.0

%,最小±1.0

±4.0

%,最小±2.0

  2

を超え

4

以下

±2.0

%,最小±1.0

±3.0

%,最小±1.5

±4.0

%,最小±3.0

4

を超えるもの

±2.0

%,最小±1.5

±3.0

%,最小±2.0

±4.0

%,最小±4.0

e)

腕部の曲げ角度  腕部の曲げ角度(図 の α)の許容差は,表 による。

図 5−腕部の曲げ角度

α

表 7−腕部の曲げ角度

α

の許容差

単位  °

等級

1

2

3

α

の許容差

±5

±10

±15

7

表面状態

ばねには,使用上有害なきず,腐食及びその他の欠点があってはならない。

8

硬さ

熱間成形ばねの焼戻し後の硬さは,ブリネル硬さ 388HBW(くぼみの直径 3.10 mm)〜461HBW(くぼ

みの直径 2.85 mm)とする。ただし,これ以外の硬さが必要な場合は,受渡当事者間の協定による。

なお,冷間成形ばねの硬さは,箇条 10 の仕様の表し方には規定しない。

9

試験

9.1

ばね特性

ばね特性の試験は,指定ねじれ角のときのモーメントを測定する。また,指定ねじれ角のときのモーメ

ントは,ばねの自由状態から徐々にモーメントを負荷していき,指定ねじれ角に達したときのモーメント

を測定する。測定に当たっては,案内棒の直径,端末の腕の保持方法及びモーメント負荷位置を仕様書に

記載されている項目によって選定し,それに合ったジグを用いて測定する。

9.2

寸法

腕の自由角度,コイル直径,コイル部の長さなどの寸法の試験は,直接測定(2 点測定)

,限界ゲージ及

びその他の方法によって行う。

9.3

表面状態

表面状態の試験は,目視によって行う。

なお,熱間成形ばねで使用者から要求があった場合は,JIS Z 2320-1JIS Z 2320-3 に規定する磁粉探傷


6

B 2709-2

:2009

   

試験,及び JIS G 0558 に規定する脱炭層深さ測定を行う。

9.4

硬さ

硬さの試験は,JIS Z 2243 に規定するブリネル硬さ試験を行う。

なお,硬さ試験は,ばねの使用上有害とならない位置で行う。

10

仕様の表し方

10.1

ばねの製図

図 のばねの図は,JIS B 0004 による。

10.2

仕様書に記載する事項

仕様書に記載する事項は,使用上の条件に応じて必要な項目を次から選ぶ。

なお,各項目ごとに必要に応じて許容差を等級又は数値で指定する。

a)

ばねの形状(

図 1〜図 の例を参考にしてコイル長さ,腕部の長さ,腕部の角度などばねの形状を図

で指定する。

−  コイル平均径

−  コイル内径又は外径

−  巻数

−  巻方向(右巻の場合は,省略してもよい。

b)

材料及び材料の直径

c)

自由角度

d)

ばね特性(指定ねじれ角及び指定ねじれ角のときのモーメントを指定する。

e)

案内棒の直径(案内棒の直径,端末の腕の保持方法,モーメント負荷位置など,ばね特性の測定方法

を指定する。

f)

硬さ(ただし,熱間成形の場合だけ指定する。

前記 a)〜f)

の項目以外に,表面処理,ばねの用途又は使用条件などの記載が必要な場合は,受渡当事者

間の協定によって記載する。

10.3

仕様書の記載

仕様書の記載例を,

図 に示す。


7

B 2709-2

:2009

単位  mm

要目表

項目

例 1  自由角度に許容差を

付けた場合

例 2  指定ねじれ角のとき

のモーメントを等級
で指定した場合

材料 SUS304-WPB

SUS304-WPB

材料の直径(mm) 1

1

コイル平均径(mm) 9

9

コイル外径又は内径(mm)

内径 8±0.2

内径 8±0.2

巻数 4.16

4.16

巻方向

自由角度 

θ

(°) 120±15

(120)

指定ねじれ角φ

i

(°)

− 70

指定ねじれ角のときのモーメント(N・mm)

− 92.8

2

指定

(参考)計画ねじれ角φ

d

(°)

(76)

案内棒の直径(mm)

− 6.8

使用最大モーメントのときの応力(N/mm

2

− 944

表面処理

用途又は使用条件

常温・静荷重(力)

屋外・常温

図 6−仕様書の記載例(冷間成形ねじりコイルばね)