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B 2704-1

:2009

(1) 

目  次

ページ

1  適用範囲

1

2  引用規格

1

3  用語及び定義

1

4  材料

1

5  設計計算

2

5.1  一般

2

5.2  記号

3

5.3  ばねの設計に用いる基本式

3

5.4  ばねを設計するときに考慮すべき事項

5

6  ばね特性

8

6.1  圧縮ばね

8

6.2  引張ばね

9

7  設計応力

9

7.1  一般

9

7.2  静荷重(力)を受けるばね

9

7.3  繰返し荷重(力)を受けるばね

10


B 2704-1

:2009

(2) 

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人日本ばね工業会(JSMA)及び財団法

人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標

準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。これによって,JIS B 2704:2000 は

廃止され,その一部を分割して制定したこの規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。

JIS B 2704 の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS

B

2704-1  第 1 部:圧縮及び引張コイルばね基本計算方法

JIS

B

2704-2  第 2 部:圧縮コイルばねの仕様の表し方

JIS

B

2704-3  第 3 部:引張コイルばねの仕様の表し方


   

日本工業規格

JIS

 B

2704-1

:2009

コイルばね−

第 1 部:圧縮及び引張コイルばね基本計算方法

Coil springs

−Part 1: Basic calculation methods on

helical compression and extension springs

1

適用範囲

この規格は,一般に使用する圧縮及び引張コイルばねのうち,円形断面の金属材料を用いた円筒形のコ

イルばね(以下,ばねという。

)の基本計算方法について規定する。

2

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS B 0103  ばね用語

JIS B 2711  ショットピーニング

JIS G 3521  硬鋼線

JIS G 3522  ピアノ線

JIS G 3560  ばね用オイルテンパー線

JIS G 3561  弁ばね用オイルテンパー線

JIS G 4314  ばね用ステンレス鋼線

JIS G 4801  ばね鋼鋼材

JIS H 3260  銅及び銅合金の線

JIS H 3270  ベリリウム銅,りん青銅及び洋白の棒並びに線

3

用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 0103 による。

4

材料

ばねに用いる材料は,

表 による。表 以外の材料については,受渡当事者間の協定による。


2

B 2704-1

:2009

   

表 1−ばね材料

用途(参考)

種類

規格番号

記号

汎用

導電

非磁

耐熱

耐食

耐疲労

注記

ばね鋼鋼材

JIS G 4801 

SUP 6

SUP 7

SUP 9

SUP 9A

SUP 10

SUP 11A

SUP 12

SUP 13

  熱間

成形ば

硬鋼線

JIS G 3521 

SW-B

SW-C

ピアノ線

JIS G 3522 

SWP

SWO

SWOSC-B

ばね用オイルテ

ンパー線

JIS G 3560 

SWOSM

W -

SWOCV-V  

弁ばね用オイル
テンパー線

JIS G 3561 

SWOSC-V  

SUS

302   

SUS

304   

SUS 304N1

SUS

316   

ばね用ステンレ
ス鋼線

JIS G 4314 

SUS

631J1  

C

2600

W  

C 2700 W

黄銅線

JIS H 3260 

C

2800

W  

C

7521

W  

C 7541 W

洋白線

C

7701

W  

C

5102

W     

C 5191 W

りん青銅線

C

5212

W     

ベリリウム銅線

JIS H 3270 

C 1720 W

冷間

成形

5

設計計算

5.1

一般

ばねの設計では,ばねのたわみ又は高さと荷重(力)との関係を表すばね特性の要求が初めにあり,そ

のばね特性を満足させるように材料の直径,コイル内外径,巻数,自由高さ,自由長さなどのばねの寸法,

形状,材料などを決めることが多い。しかし,コイル内外径,巻数,自由高さ,自由長さなどのばねの寸

法及び形状は,ばねの組付けスペース,相手部品形状などによって制約を受ける場合がある。また,ばね

の用途によっては,耐疲労性,耐食性などの特別な要求を伴うこともある。

設計の手順としては,ばね特性の要求に対して材料の直径,コイル内外径及び巻数の概略値を設定して

ばね特性の計算を行い,寸法及び形状に対する制約,その他特別な要求を満足するように設定した概略値

を相互の関連性を考慮して見直し,最終的なばねの寸法,形状,材料などの諸元を決めるのがよい。


3

B 2704-1

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5.2

記号

ばねの設計計算に用いる記号は,

表 による。

表 2−記号

記号

記号の意味

単位

材料の直径 mm

d

max

の許容差の最大値をとった直径 mm

D

i

コイル内径 mm

D

o

コイル外径 mm

コイル平均径

2

/

)

(

o

i

D

D

D

mm

N

t

総巻数

N

a

有効巻数

H

f

自由高さ又は長さ mm

コイル外側面の傾き mm

H

s

密着高さ mm

ピッチ mm

P

i

初張力 N

ばね指数

d

D

c

/

横弾性係数 N/mm

2

ばねにかかる荷重(力) N

P

max

ばねにかかる最大試験荷重(力) N

δ 

ばねのたわみ mm

ばね定数 N/mm

τ

0

せん断応力(ねじり応力) N/mm

2

τ 

せん断修正応力(ねじり修正応力) N/mm

2

τ

i

初応力 N/mm

2

κ 

応力修正係数

振動数 Hz

ばねに蓄えられるエネルギー J

材料の単位体積当たり質量 kg/mm

3

ばねの運動部分の質量 kg

g

重力の標準加速度

a)

 mm/s

2

注記 1

N/mm

2

=1 MPa

a)

計量法では,重力の標準加速度を 9 806.65 mm/s

2

としている。

5.3

ばねの設計に用いる基本式

5.3.1

圧縮ばね及び初張力がない引張ばねの場合

圧縮ばね及び初張力がない引張ばねの設計に用いる基本式は,次による。

a)  ばねのたわみ δ は,式

(1)

による。

4

3

a

8

Gd

P

D

N

=

δ

 (1)

b)  ばね定数 は,式

(2)

による。

3

a

4

8

D

N

Gd

P

k

=

=

δ

 (2)

c)  せん断応力(ねじり応力)τ

0

は,式

(3)

又は式

(4)

による。


4

B 2704-1

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3

0

8

d

DP

π

τ

=

 (3)

2

a

0

D

N

Gd

π

δ

τ

=

 (4)

d)  せん断修正応力(ねじり修正応力)τ は,応力修正係数を κ として式

(5)

による。

τκτ

0

 (5)

e)  材料の直径 は,式

(6)

による。

3

3

0

8

8

πτ

κ

πτ

DP

DP

d

=

=

 (6)

f)  有効巻数 N

a

は,式

(7)

による。

k

D

Gd

P

D

Gd

N

3

4

3

4

a

8

8

δ

 (7)

g)  ばねに蓄えられるエネルギーは,式

(8)

による。

2

2

2

δ

δ

k

P

U

=

=

 (8)

5.3.2

初張力がある引張ばねの場合(ただし,PP

i

初張力がある引張ばねの設計に用いる基本式は,次による。

a)  ばねのたわみ δ は,式

(1')

による。

(

)

4

i

3

a

8

Gd

P

P

D

N

=

δ

(1')

b)  ばね定数 は,式

(2')

による。

3

a

4

i

8

D

N

Gd

P

P

k

=

=

δ

(2')

c)  せん断応力(ねじり応力)τ

0

は,式

(3)

又は式

(4')

による。

3

0

8

d

DP

π

τ

=

 (3)

i

2

a

0

τ

π

δ

τ

+

=

D

N

Gd

(4')

d)  せん断修正応力(ねじり修正応力)τ は,応力修正係数を κ として式

(5)

による。

τκτ

0

 (5)

e)  材料の直径 は,式

(6)

による。

3

3

0

8

8

πτ

κ

πτ

DP

DP

d

=

=

 (6)

f)  有効巻数 N

a

は,式

(7')

による。

(

)

k

D

Gd

P

P

D

Gd

N

3

4

i

3

4

a

8

8

=

=

δ

(7')

g)  ばねに蓄えられるエネルギーは,式

(8')

による。

(

)

2

i

δ

P

P

U

+

=

(8')


5

B 2704-1

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5.4

ばねを設計するときに考慮すべき事項

5.4.1

横弾性係数

ばねの設計に用いる横弾性係数

(G)

は,材料によって適切な値を用いなければならない。

主な材料の横弾性係数

(G)

は,

表 による。

表 3−横弾性係数

(

G

)

単位  N/mm

2

材料

の値

ばね鋼鋼材 
硬鋼線

ピアノ線 
オイルテンパー線

7.85

×10

4

SUS302

SUS304

SUS304N1

SUS316

6.85

×10

4

ばね用ステンレス鋼線

SUS631J1 7.35

×10

4

黄銅線

洋白線

3.90

×10

4

りん青銅線 4.20×10

4

ベリリウム銅線 4.40×10

4

5.4.2

有効巻数

ばねの設計に用いる有効巻数は,次による。また,有効巻数は,

3

未満ではばね特性が不安定になるの

で,

3

以上とする。

a

)

圧縮ばねの場合  圧縮ばねの有効巻数は,式

(9)

による。

N

a

N

t

(X

1

X

2

)  (9)

ここに,

X

1

X

2

コイル両端部のそれぞれの座巻数

1

)

コイル先端だけが,次の自由コイルに接している場合

X

1

X

2

1

              したがって,

N

a

N

t

2

2

)

コイル先端が,次のコイルに接しなくて,座巻部の長さ

3/4

巻きの場合

X

1

X

2

0.75

              したがって,

N

a

N

t

1.5

b

)

引張ばねの場合  引張ばねの有効巻数は,次による。ただし,フック部を除く。

N

a

N

t

5.4.3

応力修正係数

ばね指数

c

の値に対する応力修正係数は,式

(10)

又は

図 による。

c

c

c

615

.

0

4

4

1

4

=

κ

 (10)

ばね指数 の値に対する応力修正係数は,式

(10)

以外に,式

(10')

などがあるが,式

(10)

以外の式

1)

を用い

る場合は,受渡当事者間の協定による。


6

B 2704-1

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75

.

0

5

.

0

+

=

c

c

κ

(10')

1)

応力修正係数の式としては,A.M.Wahl の式,M.Bergstrasser の式,Sopwith の式などが用いられ

ており,他にも幾つかの式が知られているが,この規格では,最も広く使用されている式

(10)

(Wahl の式)を採用している。

図 1

応力修正係数

κ)

5.4.4

密着高さ

ばねの密着高さは,一般に略算式

(11)

による。ただし,圧縮ばねの密着高さは,参考とする。

H

s

=(N

t

−1)d+(t

1

t

2

) (11)

ここに,

(t

1

t

2

)

コイル両端部のそれぞれの厚さの和

なお,両端部が研削又はテーパ加工を行った圧縮ばねで,特に密着高さの指定を必要とするときは,式

(12)

で求めた値を密着高さの最大値として指定するが,ばねの形状によっては,この値より大きくなるこ

とがあるので注意する。

H

s

N

t

×d

max

 (12)

5.4.5

引張ばねの初張力

密着巻の冷間成形引張コイルばねには,初張力 P

i

が生じる。この場合の初張力は,式

(13)

による。

i

3

i

8

τ

π

D

d

P

=

 (13)

なお,ピアノ線,硬鋼線などの鋼線で密着巻に成形し,低温焼なましを行っていない場合の初応力 τ

i

は,

図 2

の斜線の範囲内とする。ただし,鋼線以外の材料を使用する場合及び低温焼なましの実施によっては,

図 2

の斜線の範囲内から読み取った初応力の値を,次によって修正する。

a

)

ステンレス鋼線の場合は,鋼線の初応力の 15

%減とする。

b

)

りん青銅線,黄銅線,洋白線などの場合は,鋼線の初応力の 50

%減とする。

c

)

成形後に低温焼なましを実施する場合は,上記で求めた値に対し,ピアノ線,硬鋼線などの鋼線で 20

∼35

%減,ステンレス鋼線で 15∼25

%減とする。


7

B 2704-1

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図 2

初応力

τ

i

鋼線で成形された低温焼なまし前の値

低温焼なまし前の初応力の値を

図 2

より読み取る代わりに,経験式

(14)

によってもよい。

c

G

100

i

=

τ

 (14)

なお,経験式

(14)

を用いて初張力を算出する計算例を,次に示す。

例 1

ピアノ線及び硬鋼線の場合

G=7.85×10

4

 (N/mm

2

)

初応力

75

.

0

100

i

×

=

c

G

τ

(0.75 は,低温焼なまし実施による 25

%減)

初張力

i

3

i

8

τ

τ

D

d

P

=

75

.

0

255

2

4

×

=

D

Gd

2

4

231

D

d

=

例 2

ステンレス鋼線の場合

G=6.85×10

4

 (N/mm

2

)

初応力

8

.

0

100

i

×

=

c

G

τ

(0.8 は,低温焼なまし実施による 20

%減)

初張力

i

3

i

8

τ

τ

D

d

P

=

8

.

0

255

2

4

×

=

D

Gd

2

4

215

D

d

=


8

B 2704-1

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5.4.6

サージング

サージングを避けるために,ばねの固有振動数は,ばねに作用する加振源のすべての振動と共振するの

を避けるように選ばなければならない。

なお,ばねの固有振動数は,式

(15)

による。

m

G

NaD

d

a

M

k

a

f

2

3

36

.

22

10

π

 (15)

ここに,

2

i

a

=

両端自由又は固定の場合

4

1

2

=

i

a

: 一端固定で他端自由の場合

i

=1,2,3  …

鋼の

G

=7.85×10

4

 (N/mm

2

)

m

=7.85×10

6

 (kg/mm

3

)

とし,ばね両端が自由又は固定とした場合,ばねの

1

次の固有振動数は,式

(16)

による。

2

5

1

10

56

.

3

NaD

d

f

×

 (16)

5.4.7

設計計算でのその他考慮すべき事項

ばねの設計計算では,次の事項についても考慮しなければならない。

a)  ばね指数  ばね指数が小さくなると局部応力が過大となり,また,ばね指数が大きい場合及び小さい

場合は加工性が問題となる。したがって,ばね指数は,熱間で成形する場合には 4∼15,冷間で成形

する場合には 4∼22 の範囲とする。

b)  縦横比  圧縮ばねの縦横比(自由高さとコイル平均径との比)が大きくなると比較的低い荷重(力)

でばねが座屈を起こす。座屈が起こる限界は,ばねの支持方法によって異なるが,設計上で座屈が避

けられない寸法にばねがなった場合は,ばねの内側又は外側に案内を入れて使用する。ただし,案内

の方法(寸法,形状,材質など)は,ばねと案内のすき間での摩擦の影響などに注意を要する。また,

縦横比が小さいと有効巻数が少なくなり,有効コイルの増減の影響によってばね特性及び応力値が計

算と合致しなくなり,実用上で問題となる。したがって,圧縮ばねの縦横比は,座屈を考慮して 4 以

下とし,更に有効巻数の確保のために 0.8 以上の範囲とする。

c)  ピッチ  たわみ及びせん断応力を計算する基本式は,ピッチ角度が小さいときに荷重(力)

P

によっ

て材料がねじりモーメントを受けたとして導いたものである。ピッチが 0.5

D

を超えると,一般的に,

荷重(力)の増加に伴いコイル径が変化するため,基本式から求めたたわみ及びせん断応力の修正が

必要となるので,0.5

D

以下とする。

なお,一般にピッチの推定は,略算式

(17)

による。

d

N

H

H

p

+

a

s

f

 (17)

6

ばね特性

6.1

圧縮ばね

圧縮ばねのばね特性は,ばねのたわみ又は高さと荷重(力)との関係を表すもので,熱間成形圧縮コイ

ルばねの場合は,次の

a)

又は

b)

を,冷間成形圧縮コイルばねの場合は,

b)

を指定する。

なお,ばね定数を指定する必要がある場合は,

c)

による。

a)  指定荷重

のときの高さ

  指定荷重(力)のときの高さは,そのときのたわみが全たわみ

2)

20


9

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80

%になるように定める。ただし,指定荷重(力)は,最大試験荷重(力)の

80

%以下とする。

なお,最大試験荷重(力)については,

7.2.1

による。

2)

全たわみとは,自由高さから密着高さまでの計画たわみをいう。

b)  指定高さのときの荷重

)  指定高さのときの荷重(力)は,そのときのたわみが全たわみの

20

80

%になるように定める。ただし,指定高さのときの荷重(力)は,最大試験荷重(力)の

80

%以

下とする。

c)  ばね定数

  ばね定数は,全たわみの

30

70

%にある二つの荷重(力)点における荷重(力)の差及

びたわみの差によって定める。ただし,二つの荷重(力)点はいずれも最大試験荷重(力)の

80

以下とする。

6.2

引張ばね

引張ばねのばね特性は,ばねのたわみ又は長さと荷重(力)との関係を表すもので,熱間成形引張コイ

ルばねの場合は,次の

a)

又は

b)

を,冷間成形引張コイルばねの場合は,

b)

を指定する。

なお,ばね定数を指定する必要がある場合は,

c)

による。

a)  指定荷重

のときの長さ

  指定荷重(力)のときの長さは,そのときのたわみが最大試験荷重(力)

のときのたわみの

20

80

%になるように定める。

なお,最大試験荷重(力)については,

7.2.2

による。

b)  指定長さのときの荷重

)  指定長さのときの荷重(力)は,そのときのたわみが最大試験荷重(力)

のときのたわみの

20

80

%になるように定める。

c)  ばね定数

  ばね定数は,最大試験荷重(力)のときのたわみの

30

70

%にある二つの荷重(力)点

における荷重(力)の差及びたわみの差によって定める。

7

設計応力

7.1

一般

設計応力とは,ばねの使用状態によってばねに生じる計算上のせん断応力で,材料の全周に一様な値の

せん断応力が生じる場合は,式(

3

)を用いて計算する。ただし,実際のばねでは,コイル部の湾曲の影響

によって,コイル内側の材料表面の応力が外側の材料表面の応力より大きくなる。この現象及び直接せん

断力の影響を考慮したものが応力修正係数で,式(

3

)に応力修正係数を乗じたものが,せん断修正応力の

式(

5

)である。静的な荷重(力)を取り扱う場合は,平均的な応力を問題にしなければならないので,式

3

)を用いる。また,繰返し荷重(力)による疲労を問題にする場合は,最大応力値が重要であるので,

式(

5

)によるせん断修正応力を用いる。

引張ばねのフック部の応力は,フック形状又はコイル本体からフックに立ち上がる部分での応力集中な

どの影響で,コイル部の応力より大きくなる。したがって,フックの立ち上がる部分の曲げ半径は,材料

の直径 より大きくして応力集中を避ける設計が必要である。

引張ばねのフック部の応力は,形状によって解析が複雑となり,一般式として規定することが難しいた

め,この規格では,引張ばねのコイル部の許容せん断応力を圧縮ばねの

80

%としフック部の応力が高くな

ることを考慮している。

7.2

静荷重

を受けるばね

静荷重(力)を受けるばねとは,ばねの使用状態で荷重(力)変動のほとんどないもので,繰返し荷重

(力)があっても,ばねの使用期間を通じて約

1 000

回以下のものを指す。

静荷重(力)を受けるばねの設計応力は,ばね使用のときの温度,へたりに対する要求レベルなどを考


10

B 2704-1

:2009

   

慮して許容せん断応力に対して適切な値を選ばなければならない。

7.2.1

圧縮ばね

圧縮ばねの許容せん断応力は,

図 3

による。ばねの密着応力は,許容せん断応力を超えないことが望ま

しく,最大試験荷重(力)のときの応力は,許容せん断応力とする。また,ばねの使用上の最大応力は,

許容せん断応力の

80

%以下とする。ただし,

図 3

に記載していない材料及び許容せん断応力を使用する

場合は,受渡当事者間の協定による。

7.2.2

引張ばね

引張ばねの許容せん断応力は,冷間成形ばねは圧縮ばねの

80

%,熱間成形ばねは圧縮ばねの

67

%以下

とする。ばねの最大試験荷重(力)のときの応力は,許容せん断応力とする。また,ばねの使用上の最大

応力は,それぞれの最大試験荷重(力)の応力の

80

%以下とする。ただし,

図 3

に記載していない材料

及び許容せん断応力を使用する場合は,受渡当事者間の協定による。

図 3

圧縮ばねの許容せん断応力

7.3

繰返し荷重

を受けるばね

繰返し荷重(力)を受けるばねのせん断応力は,式

(5)

による。設計応力は,ばね使用のときの下限応力

と上限応力との関係,繰返し回数,線の表面状態,使用環境,ばね製造方法など疲れ強さに及ぼす諸因子

を考慮してばねの寿命を推定し,適切な値を選ばなければならない。

適用例

ばねの寿命を推定する方法の一例を,次に示す。

d


11

B 2704-1

:2009

ピアノ線,弁ばね用オイルテンパー線など耐疲労性の優れた線を用いた圧縮ばねでショット

ピーニングを施さない場合には,

図 4

の疲れ強さ線図を用いて,通常の雰囲気における繰返し

荷重(力)を受けるばねの寿命を推定することができる。

通常,設計の当初において,P

1

P

2

が分かっていることが多いので,

図 4

に の斜線を併記

した。

なお,は,最大使用のときの荷重(力)P

2

に対する取付のときの荷重(力)P

1

の比,又は

最大使用のときの応力

2

τ に対する取付のときの応力

1

τ の比であり,式

(18)

による。

2

1

2

1

P

P

R

=

=

τ

τ

 (18)

ただし,式

(18)

では,

τ

1

τ

2

は,サージングなどの付加応力がない場合で,この影響があると

きは,付加応力を考慮した

τ

1

τ

2

によって線図を用いる必要がある。

なお,

図 4

中の上限応力係数

0.45

の太い横線は,ばねのへたりの許容度によって上下に移動

するもので,わずかなへたりを許容する場合は,係数

τ

2

/σ

B

τ

2

図 3

に示す許容せん断応力ま

でとって,太い横線を上方に移動してもよい。ここに,

σ

B

は材料の引張強さを示す。また,

4

の左端の下限応力係数

0

の縦軸上の係数を材料の引張強さに乗じた値は,片振り疲労強度と

なる。

なお,この引張強さに対する片振り疲労強度の係数は,

JIS B 2711

によるショットピーニン

グなどによって有効な圧縮残留応力があるときは,

20

%程度上昇させて

表 4

のようにしても

よい。ただし,

図 3

以外の材料及び

表 4

の係数を使用する場合は,受渡当事者間の協定による。

表 4

上限応力係数の例

繰返し回数

片振り疲労強度

10

7

σ

B

×

0.36

10

6

σ

B

×

0.40

10

5

σ

B

×

0.42

10

4

σ

B

×

0.50


12

B 2704-1

:2009

   

図 4

疲れ強さ線図の例

図 4

の使用例

材料:

SWP-B

D

1.0 (mm)

D

10.0 (mm)

N

a

8

N

t

10

H

f

32 (mm)

このばねの使用範囲が

H

1

24 (mm)

P

1

9.8 (N)

から

H

2

12 (mm)

P

2

24.5 (N)

で毎分

800

回の正弦波状の繰返し荷重(力)を受ける場合の寿命回数を推定する。

(

)

2

3

3

2

N/mm

717

1

10

5

24

8

15

1

8

=

×

×

×

×

=

×

=

π

π

κ

τ

.

.

d

PD

上限応力係数は,


13

B 2704-1

:2009

317

.

0

260

2

717

B

2

=

=

σ

τ

この場合の

σ

B

の値は,材料の引張強さの規格値の最小値とする。

なお,主な材料の引張強さの規格値の最小値は,

表 5

及び

表 6

による。

4

.

0

5

.

24

8

.

9

2

1

=

=

=

P

P

R

以上の結果によって,

図 4

に示す×印の点を得る。この点は,図から明らかなように 10

7

回以上の寿命

と推定することができる。

表 5

材料の引張強さ規格値の最小値

単位  N/mm

2

材料

材料の

直径

d

 

(mm)

SW-B SW-C  SWP

-A

SWP

-B

SWP

-V

SWO

-A

SWO

-B

SW

OSC

-B

SW

OSM

-A

SW

OSM

-B

SW

OSM

-C

SWO

-V

SW

OCV

-V

SW

OSC

-V

0.08

2 450

2 790

2 890

3 190

0.09

2 400

2 750

2 840

3 140

0.10

2 350

2 700

2 790

3 090

0.12

2 300

2 650

2 750

3 040

0.14

2 260

2 600

2 700

2 990

0.16

2 210

2 550

2 650

2 940

0.18

2 210

2 500

2 600

2 890

0.20

2 210

2 500

2 600

2 840

0.23

2 160

2 450

2 550

2 790

0.26

2 110

2 400

2 500

2 750

0.29

2 060

2 350

2 450

2 700

0.32

2 010

2 300

2 400

2 650

0.35

2 010

2 300

2 400

2 650

0.40

1 960

2 260

2 350

2 600

0.45

1 910

2 210

2 300

2 550

0.50

1 910

2 210

2 300

2 550

− 2

010

0.55

1 860

2 160

2 260

2 500

0.60

1 810

2 110

2 210

2 450

− 2

010

0.65

1 810

2 110

2 210

2 450

0.70

1 770

2 060

2 160

2 400

− 2

010

0.80

1 770

2 010

2 110

2 350

− 2

010

0.90

1 770

2 010

2 110

2 300

− 2

010

1.00

1 720

1 960

2 060

2 260

2 010

− 1

960

− 2

010

1.20

1 670

1 910

2 010

2 210

1 960

− 1

960

− 2

010

1.40

1 620

1 860

1 960

2 160

1 910

− 1

960

− 1

960

1.60

1 570

1 810

1 910

2 110

1 860

− 1

960

− 1

960

1.80

1 520

1 770

1 860

2 060

1 810

− 1

960

− 1

960

2.00

1 470

1 720

1 810

2 010

1 770

1 570

1 720

1 910

1 620

1 570

1 910

2.30

1 420

1 670

1 770

1 960

1 720

1 570

1 720

1 910

1 620

1 570

1 910

2.60

1 420

1 670

1 770

1 960

1 720

1 570

1 720

1 910

1 620

1 570

1 910

2.90

1 370

1 620

1 720

1 910

1 720

1 520

1 670

1 910

1 620

1 570

1 910

3.20

1 370

1 570

1 670

1 860

1 670

1 470

1 620

1 860

1 570

1 570

1 860

3.50

1 370

1 570

1 670

1 810

1 670

1 470

1 620

1 860

1 570

1 570

1 860


14

B 2704-1

:2009

   

表 5

材料の引張強さ規格値の最小値

続き

単位  N/mm

2

材料

材料の

直径

d

 

(mm)

SW-B SW-C  SWP

-A

SWP

-B

SWP

-V

SWO

-A

SWO

-B

SW

OSC

-B

SW

OSM

-A

SW

OSM

-B

SW

OSM

-C

SWO

-V

SW

OCV

-V

SW

OSC

-V

4.00

1 370

1 570

1 670

1 810

1 670

1 420

1 570

1 810

1 470

1 570

1 670  1 570

1 520

1 810

4.50

1 320

1 520

1 620

1 770

1 620

1 370

1 520

1 810

1 470

1 570

1 670  1 520

1 520

1 810

5.00

1 320

1 520

1 620

1 770

1 620

1 370

1 520

1 760

1 470

1 570

1 670  1 520

1 470

1 760

5.50

1 270

1 470

1 570

1 710

1 570

1 320

1 470

1 760

1 470

1 570

1 670  1 470

1 470

1 760

6.00

1 230

1 420

1 520

1 670

1 520

1 320

1 470

1 710

1 470

1 570

1 670  1 470

1 470

1 710

6.50

1 230

1 420

1 520

1 670

1 320

1 470

1 710

1 470

1 570

1 670

1 420

1 710

7.00

1 180

1 370

1 470

1 620

1 230

1 370

1 660

1 420

1 520

1 620

1 420

1 660

7.50

1 230

1 370

1 660

1 420

1 520

1 620

1 370

1 660

8.00

1 180

1 370

1 470

1 230

1 370

1 660

1 420

1 520

1 620

1 370

1 660

8.50

1 230

1 370

1 660

1 420

1 520

1 620

− 1

370

9.00

1 130

1 320

1 420

1 230

1 370

1 660

1 420

1 520

1 620

− 1

370

9.50

1 180

1 320

1 660

1 370

1 470

1 570

− 1

370

10.0

1 130

1 320

1 420

1 180

1 320

1 660

1 370

1 470

1 570

− 1

370

10.5

1 180

1 320

1 660

1 370

1 470

1 570

11.0

1 080

1 270

1 180

1 320

1 660

1 370

1 470

1 570

11.5

1 180

1 320

1 660

1 370

1 470

1 570

12.0

1 080

1 270

1 180

1 320

1 610

1 370

1 470

1 570

13.0

1 030

1 230

1 610

1 370

1 470

14.0

1 610

1 370

1 470

15.0

− 1

610

注記  この表は,それぞれの材料の日本工業規格(表 参照)で規定している引張強さの最小値によるものである。


15

B 2704-1

:2009

表 6

材料の引張強さ規格値の最小値

単位  N/mm

2

材料

材料の

直径

d

(mm)

SUS 302-WPA

SUS 304-WPA

SUS 304N1-WPA

SUS 316-WPA

SUS 302-WPB

SUS 304-WPB

SUS 304N1-

WPB

SUS

631J1-

WPC

a)

C 2600

W-H

C 2700

W-H

C 2800

W-H

C 2600

W-EH

C 2700

W-EH

C 7701

W-H

C 7521

W-H

C 5191

W-H

C 1720

W-3/4H

b)

0.08 1

650

2 150

0.09 1

650

2 150

0.10

1 650

2 150

2 200

0.12

1 650

2 150

2 200

0.14

1 650

2 150

2 200

0.16

1 650

2 150

2 200

0.18

1 650

2 150

2 200

0.20

1 650

2 150

2 200

0.23

1 600

2 050

2 180

0.26

1 600

2 050

2 180

0.29

1 600

2 050

2 180

0.32

1 600

2 050

2 180

0.35

1 600

2 050

2 180

0.40

1 600

2 050

2 180

0.45

1 600

1 950

2 100

0.50

1

600

1 950

2

100 685 785 765 665 835  1

300

0.55

1

600

1 950

2

100 685 785 765 665 835  1

300

0.60

1

600

1 950

2

100 685 785 765 665 835  1

300

0.65

1

530

1 850

2

050 685 785 765 665 835  1

300

0.70

1

530

1 850

2

050 685 785 765 665 835  1

300

0.80

1

530

1 850

2

050 685 785 765 665 835  1

300

0.90

1

530

1 850

2

050 685 785 765 665 835  1

300

1.00

1

530

1 850

2

050 685 785 765 665 835  1

300

1.20

1

450

1 750

1

950 685 785 765 665 835  1

300

1.40

1

450

1 750

1

950 685 785 765 665 835  1

300

1.60

1

400

1 650

1

850 685 785 765 665 835  1

300

1.80

1

400

1 650

1

850 685 785 765 665 835  1

300

2.00

1

400

1 650

1

850 685 785 765 665 835  1

300

2.30

1

320

1 550

1

750 685 785 765 665 835  1

300

2.50

−  685 785 765 665 835  1

300

2.60

1 320

1 550

1 750

− 765 665 835 1

300

2.80

−  685 785 765 665 835  1

300

2.90

1 230

1 450

1 650

3.00

−  685 785 765 665 835  1

300

3.20

1

230

1 450

1

650 685 785 765 665 835  1

300

3.50

1

230

1 450

1

650 685 785 765 665 835  1

300

3.80

− 685 785 −

4.00

1

230

1 450

1

650 685 785 765 665 835  1

300

4.20

− 685 785 −


16

B 2704-1

:2009

   

表 6

材料の引張強さ規格値の最小値

続き

単位  N/mm

2

材料

材料の

直径

d

(mm)

SUS 302-WPA

SUS 304-WPA

SUS 304N1-WPA

SUS 316-WPA

SUS 302-WPB

SUS 304-WPB

SUS 304N1-

WPB

SUS

631J1-

WPC

a)

C 2600

W-H

C 2700

W-H

C 2800

W-H

C 2600

W-EH

C 2700

W-EH

C 7701

W-H

C 7521

W-H

C 5191

W-H

C 1720

W-3/4H

b)

4.30

− 685 785 −

4.50

1 100

1 350

1 550

685

785

765

665

835

1 300

5.00

1 100

1 350

1 550

685

785

765

665

835

1 300

5.50

1 100

1 350

1 550

685

785

5.80

− 685 785 −

6.00

1 100

1 350

1 550

685

785

6.50 1

000

1 270

− 685 785 −

6.80

− 685 785 −

7.00 1

000

1 270

− 685 785 −

8.00 1

000

1 270

− 685 785 −

9.00

−  1 130

− 685 785 −

10.0

− 980

− 685 785 −

12.0

− 880

注記  この表は,それぞれの材料の日本工業規格(表 参照)で規定している引張強さの最小値によるものである。

a)

 SUS

631J1-WPC

の値は,析出硬化熱処理を施したものの値である。

b)

 C

1720

W-3/4H

の値は,時効硬化処理を施したものの値である。