サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

B 2405: 2003  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本産業

機械工業会(JSIM)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきと

の申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS B 2405:1993は改正され,この規格に置き換えられる。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。主務大臣及び日本工業標準調査会は,

このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案登

録出願にかかわる確認について,責任はもたない。 

JIS B 2405には,次に示す附属書がある。 

附属書1(参考)製品の呼び方 

附属書2(参考)メカニカルシールの潤滑及び冷却方法 

B 2405: 2003  

  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 1 

3. 定義 ······························································································································ 1 

4. 性能 ······························································································································ 3 

5. 構造,寸法及び取付機器の精度 ·························································································· 4 

5.1 基本構造 ······················································································································ 4 

5.2 軸封部の主要寸法及びメカニカルシールの呼び寸法 ······························································ 6 

5.3 取付機器の精度 ············································································································ 11 

6. 性能試験 ······················································································································· 13 

6.1 一般 ··························································································································· 13 

6.2 試験装置 ····················································································································· 13 

6.3 測定項目及び測定方法 ··································································································· 13 

7. 表示 ····························································································································· 14 

附属書1(参考)製品の呼び方 ······························································································· 15 

附属書2(参考)メカニカルシールの潤滑及び冷却方法 ······························································ 24 

background image

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

B 2405:2003 

メカニカルシール通則 

Mechanical seals−General requirements 

1. 適用範囲 この規格は,一般に使用するメカニカルシールの性能,構造,寸法,取付機器の精度,性

能試験及び表示に関する事項について規定する。 

備考 製品の呼び方を附属書1(参考)に示す。また,補助装置を附属書2(参考)に示す。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 0651 製品の幾何特性仕様 (GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−触針式表面粗さ測定機の特性 

JIS B 7430 オプチカルフラット 

JIS K 2213 タービン油 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,表1による(図1〜図4参照)。 

なお,参考として慣用語及び対応英語を示す。 

表 1 用語の定義 

用語 

定義 

参考 

慣用語 

対応英語 

シール 

流体の漏れを制限すること。 

密封 

sealing 

シール端面 

メイティングリングとシールリング(又はその働きをす
る部品)とが互いに密接して擦れ合う面。 

密封端面 
しゅう(摺)動面 

sealing face; 
rubbing face 

メイティング
リング 

シール端面をもつ環で,シール端面が摩耗しても軸方向
に動かないもの。 

インサート, 
シートリング, 
フローティングシート 

mating ring 

シールリング 

シール端面をもつ環で,シール端面の摩耗に従い,ばね
などによって軸方向に動くことができるもの。 

従動リング 

seal ring 

固定環 

シール端面をもつ環で,軸とともに回転しないもの。 

固定リング 

stationary ring 

回転環 

シール端面をもつ環で,軸とともに回転するもの。 

回転リング 

rotating ring 

二次シール 

固定環とケーシング若しくはメカニカルシールカバー
(シールカバー,カバープレート)との間のシール又は
回転環と軸若しくは軸スリーブとの間のシール。 
固定側二次シールと回転側二次シールとに分けられる。 

固定側二次シールの場
合 
 緩衝リング, 
 固定環パッキン 
回転側二次シールの場
合 
 軸パッキン 

secondary seal 

background image

B 2405:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表 1 用語の定義(続き) 

用語 

定義 

参考 

慣用語 

対応英語 

シール流体 

機器が取り扱う流体で,漏れを制限したい流体。通常は,
高圧側の流体を示す。 

密封流体 

sealed fluid 

エクスターナ 
ル流体 

シングルシールでの外部注入流体又はダブルシール・タ
ンデムシールでの中間流体。 

密封流体 

external 
sealing fluid 

クエンチ流体 

シール端面の大気側に注入又は注入排出する流体。 

― 

quenching fluid 

フラッシング 

スタフィングボックス部分にシール流体を注入(セル
フ),排出(リバース)若しくは注入排出(スルー)す
ること,又はエクスターナル流体を注入すること。 

― 

flushing 

冷却 

メイティングリング外周の冷却,フラッシングライン中
の熱交換器による冷却,及び取付機器内のジャケットに
よる冷却のこと。 

クーリング 

cooling 

クエンチ 

シール端面の大気側にクエンチ流体を注入,又は注入排
出すること。 

― 

quenching  

装着長さ 

メカニカルシールを装着した状態における軸方向の長
さ(図1〜4参照)。 

― 

setting length 

バランス比 

シール端面の軸方向の投影面積(A1)とシールリングに
対して軸方向の移動力として働くシール流体圧力を受
ける軸方向の投影面積(A2)との比[附属書1付図4
参照]。 

バランス値 

balance ratio; 
balance factor 

バランス形 

バランス比が1以下で,シール流体圧力によるシール端
面への負荷を低減させる形式。 

― 

balanced 
mechanical 
seal 

アンバランス 
形 

バランス比が1を超えて,シール流体圧力によるシール
端面への負荷を低減させることができない形式。 

― 

unbalanced 
mechanical 
seal 

シングル形 

メカニカルシールを1個用いる方式で,シール端面が一
つであり,最も一般的に使われている形式。 

― 

single 
mechanical 
seal 

ダブル形 

メカニカルシールを2個用いる方式で,シール端面が二
つあり,各々のメカニカルシールが反対方向を向いて,
背面合わせと正面合わせとがある。一般に2個のメカニ
カルシールの中間には,エクスターナル流体を注入する
形式。 

― 

double 
mechanical 
seal 

タンデム形 

メカニカルシールを2個用いる方式で,シール端面が二
つあり,各々のメカニカルシールが同じ方向を向いてい
る。一般に高圧用又はシール流体回収用として用いられ
る。高圧用の場合には,高圧側シールと低圧側シールと
でシール流体の圧力を二分し,1個当たりの圧力負荷を
低減する形式。シール流体回収用の場合には,機内側シ
ールから漏れたシール流体を機内側シールと大気側シ
ールとの中間より回収する形式。 

― 

tandem 
mechanical 
seal 

インサイド形 

シール端面の外周から内周方向へ向かって漏れようと
する流体をシールする形式。 

内流形 

inside 
mechanical 
seal 

アウトサイド 
形 

シール端面の内周から外周方向へ向かって漏れようと
する流体をシールする形式。 

外流形 

outside 
mechanical 
seal 

background image

B 2405:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表 1 用語の定義(続き) 

用語 

定義 

参考 

慣用語 

対応英語 

回転形 

ばねなどを内蔵するシールリングが軸と共に回転する
形式。 

― 

rotating mechanical 
seal 

静止形 

ばねなどを内蔵するシールリングが回転しない形式。 

― 

stationary 
mechanical 
seal 

カートリッジ
式メカニカル
シール 

装着前に組み立てられ,寸法がセットされた完全一体
式ユニット(メカニカルシール,メカニカルシールカ
バー,スリーブ及びシートを含む) 

カートリッジシー
ル 

cartridge 
mechanical 
seal 

軸封部 

軸とスタフィングボックスによって構成され,流体で
満たされる空間で,メカニカルシールはその中で回転
する。 

― 

seal cavity 

ボックス内圧
力 

スタフィングボックス内の圧力。 

箱内圧力 
シール室内圧力 

stuffing box 
pressure 

スタフィング
ボックス 

ポンプケーシングと一体,若しくは分割された一つの
構成要素で,メカニカルシールを収納する。 

シールチャンバ 
シールボックス 

seal chamber 
stuffing box 

メカニカルシ
ールカバー 

メカニカルシール静止側部分を保持し,それをスタフ
ィングボックスへ接続するプレート。 

シールカバー 
シールグランドプ
レート 
エンドプレート 
カバープレート 

mechanical seal 
cover 
seal gland plate 
cover plate 

グランド面 

メカニカルシールカバーが接続される機器側の合わせ
面。 

ボックス端面 

gland face 

備考 形式を表す用語を組み合わせてメカニカルシールを呼ぶ場合には,“形”を省略する。 

例1. アンバランス回転メカニカルシール 

 2. バランス静止メカニカルシール 

4. 性能 メカニカルシールの性能は,漏れ量,摩耗量,トルクなどによって評価する。 

メカニカルシールは機械要素であり,各種の機械に用いられるため,その性能に影響を及ぼす因子も多

岐にわたる。例えば,取扱流体の条件(流体の種類,圧力,温度,粘度,固形物の有無など。),取付機器

の条件(機械の種類,機器精度,メカニカルシールの呼び内径の大小,回転速度,発停の頻度,使用頻度な

ど。),取扱条件(潤滑方式,冷却方式,装着長さの適否など。)などの条件によってメカニカルシールの性

能は大きく変化する。 

メカニカルシールの性能は,次の評価項目で表す。評価項目の値は,受渡当事者間で協定することがで

きる。 

a) 漏れ量 メカニカルシールの漏れ量は,メカニカルシールのシール端面及び二次シール部分から漏れ

る1時間当たりのシール流体又はエクスターナル流体の量で表す。 

b) 摩耗量 メカニカルシールの摩耗量は,一定時間運転後のシール端面摩耗減量を軸方向の長さで表し,

1年間(8 760時間)当たりに換算して表す。 

c) トルク メカニカルシールのトルクは,これを始動する場合の始動トルク及び運転中の運転トルクで

表す。 

 なお,メカニカルシールのトルクは,シール端面の材料・シール端面の幅・バランス比・ばね荷重だけ

background image

B 2405:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ではなく,取扱流体の条件,運転条件(例えば,始動時・運転時)などによっても変化するので注意す

ること。 

5. 構造,寸法及び取付機器の精度  

5.1 

基本構造 メカニカルシールの基本構造は,シール端面の摩耗に従い,ばねなどによって軸方向に

動くことができるシールリング及び動かないメイティングリングからなり,軸にほぼ垂直な相対的に回転

するシール端面において流体の漏れを制限する働きをするものとする。 

アンバランス回転メカニカルシール,バランス回転メカニカルシール,バランス静止メカニカルシール

及びカートリッジ式メカニカルシールの構造の例を図1〜図4に示す。 

備考 図1〜図4は,メカニカルシールの構造例を示すもので,構造そのものを規定するものではな

い。 

図 1 アンバランス回転メカニカルシール(例) 

スタフィングボックス 

background image

B 2405:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図 2 バランス回転メカニカルシール(例) 

図 3 バランス静止メカニカルシール(例) 

スタフィングボックス 

スタフィングボックス 

background image

B 2405:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図 4 カートリッジ式メカニカルシール(例) 

5.2 

軸封部の主要寸法及びメカニカルシールの呼び寸法  

5.2.1 

一般用途仕様のメカニカルシール  

5.2.1.1 

軸封部の主要寸法 軸封部の主要寸法は,表2による。 

なお,表2の寸法記号は,次のとおりとする(図5〜図7参照)。 

d1: アンバランスメカニカルシールを装着する場合の軸,若しくはスリーブの直径又はバラン

スメカニカルシールを装着する場合の軸,若しくはスリーブの細径を示す。 

d2: バランスメカニカルシールを装着する場合の軸,又はスリーブの太径を示す。 

d3: アンバランスメカニカルシールを装着する場合のスタフィングボックスの内径を示す。 

d4: バランスメカニカルシールを装着する場合のスタフィングボックスの内径を示す。 

b : (d3−d1)/2又は(d4−d2)/2の寸法を示す。 

5.2.1.2 

メカニカルシールの呼び寸法 メカニカルシール呼び寸法は,呼び内径及び呼び外径で示す。 

呼び内径は,これを装着する軸又はスリーブの直径d1の値で表し,呼び外径は,スタフィングボックス

の内径d3又はd4の値で表す(図5〜図7参照)。 

background image

B 2405:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図 5 スリーブ付き又はスリーブなしのアンバランスメカニカルシール 

図 6 スリーブ付きのバランスメカニカルシール 

図 7 短いスリーブ付き又はスリーブなしのバランスメカニカルシール 

5.2.1.3 

寸法の優先順位 表2のb寸法は,小さい方を優先して適用し,d3及びd4を最小値とする。 

表 2 寸法 

単位 mm 

d1 

(h7) 

d2 

(h7) 

10 

12.5 

14.5 

16 

20 

25 

31.5 

d3 

d4 

d3 

d4 

d3 

d4 

d3 

d4 

d3 

d4 

d3 

d4 

d3 

d4 

d3 

d4 

d3 

d4 

16 

20 

20 

24 

17 

21 

21 

25 

10 

18 

22 

22 

26 

11 

19 

23 

23 

27 

background image

B 2405:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表 2 寸法(続き) 

単位 mm 

d1 

(h7) 

d2 

(h7) 

10 

12.5 

14.5 

16 

20 

25 

31.5 

d3 

d4 

d3 

d4 

d3 

d4 

d3 

d4 

d3 

d4 

d3 

d4 

d3 

d4 

d3 

d4 

d3 

d4 

  8 

 12 

20 

24 

24 

28 

  9 

 13 

21 

25 

25 

29 

 10 

 14 

22 

26 

25 

30 

 12 

 16 

24 

28 

28 

32 

 14 

 18 

26 

30 

30 

34 

 15 

 19 

27 

31 

31 

35 

 16 

 20 

28 

32 

32 

36 

 18 

 22 

34 

38 

38 

42 

 20 

 24 

36 

40 

40 

44 

 22 

 26 

38 

42 

42 

46 

 24 

 28 

40 

44 

44 

48 

 25 

 30 

41 

46 

45 

50 

 28 

 33 

44 

49 

48 

53 

 30 

 35 

46 

51 

50 

55 

 32 

 38 

48 

52 

58 

63 

 33 

 38 

49 

53 

58 

63 

 35 

 40 

51 

55 

60 

65 

 38 

 43 

58 

63 

63 

68 

 40 

 45 

60 

65 

65 

70 

 43 

 48 

63 

68 

68 

73 

 45 

 50 

65 

70 

70 

75 

 48 

 53 

68 

73 

73 

78 

 50 

 55 

70 

75 

75 

80 

 53 

 58 

73 

78 

83 

87 

 55 

 60 

75 

80 

85 

89 

 58 

 63 

83 

88 

87 

92 

 60 

 65 

85 

90 

89 

94 

 63 

 68 

88 

93 

92 

97 

 65 

 70 

90 

95 

94 

99 

 68 

 73 

93 

98 

97 102 

 70 

 75 

95 

100 99 104 

 75 

 80 

104 109 107 112 115 120 

 80 

 85 

109 114 112 117 120 125 

 85 

 90 

114 119 117 122 125 130 

 90 

 95 

119 124 122 127 130 135 

 95 

100 

124 129 127 132 135 140 

100 

105 

129 134 132 137 140 145 

105 

110 

137 142 145 150 155 160 

110 

115 

142 147 150 155 160 165 

115 

120 

147 152 155 160 165 170 

120 

125 

152 157 160 165 170 175 

125 

130 

157 162 165 170 175 180 

background image

B 2405:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表 2 寸法(続き) 

単位 mm 

d1 

(h7) 

d2 

(h7) 

10 

12.5 

14.5 

16 

20 

25 

31.5 

d3 

d4 

d3 

d4 

d3 

d4 

d3 

d4 

d3 

d4 

d3 

d4 

d3 

d4 

d3 

d4 

d3 

d4 

130 

140 

162 172 170 180 180 190 

135 

145 

167 177 175 185 185 195 

140 

150 

172 182 180 190 190 200 

150 

160 

182 192 190 200 200 210 

160 

170 

192 202 200 210 210 220 

170 

180 

210 220 220 230 233 243 

180 

190 

220 230 230 240 243 253 

190 

200 

230 240 240 250 253 263 

200 

240 

250 

263 

備考1. h7公差はバランスメカニカルシールの場合のd1には適用しない。 

2. 多くの固形物を含んだり,シール端面の過度の温度上昇となる過酷な使用条件では,メカニカル

シール外径とスタフィングボックス内径との最小半径すき間を3 mmとすることが望ましい。 

参考 太字で示す寸法は,ISO 3069:2000,ISO3069-S (Table 1)の寸法系列を示す。 

5.2.2 

カートリッジ式を含むヘビー仕様のメカニカルシール  

5.2.2.1 

軸封部の主要寸法 軸封部の主要寸法は,表3による。 

参考 表3の寸法は,ISO 3069:2000,ISO3069-H (Table 2) の寸法系列と同一である。 

なお,表3の寸法記号は,次のとおりとする(図8〜10参照)。 

d5: 軸径を示す。 

d6: スタフィングボックスの内径を示す。 

d7: グランド面に設けられたスタッドボルトの中心間距離(PCD)を示す。 

d8: スタッドのねじサイズとピッチを示す。 

d9: スタフィングボックスのメカニカルシールカバーとのはめあい部外径寸法を示す。 

L1: スタフィングボックス奥の端面から最も近い障害物までの距離を示す。 

L2: グランド面から最も近い障害物までの距離を示す。 

background image

10 

B 2405:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図10 オプションの外側はめ込み 

表 3 寸法 

単位 mm 

最大 d5 

(h6) 

d6 

(H7) 

d7 

d8 

d9 

(H7/f7) 

最小L1 

最小L2 

 20 

 70 

105 

M12X1.75 

 85 

150 

100 

 30 

 80 

115 

M12X1.75 

 95 

155 

100 

 40 

 90 

125 

M12X1.75 

105 

160 

100 

 50 

100 

140 

M16X2.0 

115 

165 

110 

 60 

120 

160 

M16X2.0 

135 

170 

110 

 70 

130 

170 

M16X2.0 

145 

175 

110 

 80 

140 

180 

M16X2.0 

155 

180 

110 

 90 

160 

205 

M20X2.5 

175 

185 

120 

100 

170 

215 

M20X2.5 

185 

190 

120 

110 

180 

225 

M20X2.5 

195 

195 

120 

備考1. メカニカルシールカバーは穴d6のはめあい部に取り付けられる。 

2. オプションの外側はめ込みは,図10に示す。( )内の数値は参考。 

5.2.2.2 

メカニカルシールの呼び寸法 メカニカルシールの呼び寸法は,呼び内径及び呼び外径で示す。 

呼び内径は,これを装着する軸径d5の値で表し,呼び外径は,スタフィングボックスの内径d6で表す

(図8)。 

図8 軸封部

図9 グランド面とスタッド

background image

11 

B 2405:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.3 

取付機器の精度 メカニカルシールを取り付ける機器の精度は,軸振れ,軸とグランド面との直角

度,軸とスタフィングボックス内径との同心度,軸の軸方向の動き,軸封部の寸法許容差及び表面粗さで

表し,メカニカルシールの性能を満足するために必要とするこれらの値は,受渡当事者間の協定による。 

a) 軸の円周振れ(軸振れ) 停止中におけるスタフィングボックスを基準にした軸振れは,図11に示す

ようにグランド面に固定したダイヤルゲージを,軸のグランド面にできるだけ近い部分に当てて測定

し,軸を1回転させたときのダイヤルゲージの読みの最大値と最小値との差を軸振れとする。 

図11 軸の円周振れ(軸振れ)の測定 

b) 軸とグランド面との直角度 停止中における軸とグランド面との直角度は,図12に示すように軸に固

定したダイヤルゲージを,メカニカルシールカバーが固定されるグランド面のできるだけ内径の面の

近くに当てて測定し,軸を1回転させたときのダイヤルゲージの読みの最大値と最小値との差を直角

度とする。 

図12 軸とグランド面との直角度の測定 

c)) 軸とスタフィングボックス内径との同心度 停止中における軸とスタフィングボックス内径(同心加

工したものは外径でもよい。)との同心度は,図13に示すように軸に固定したダイヤルゲージを,ス

タフィングボックス内径(同心加工したものは外径でもよい。)のできるだけ端面に近いメカニカルシ

ールカバーとのはめ合い部に当てて測定し,軸を1回転させたときのダイヤルゲージの読みの最大値

と最小値との差を同心度とする。 

スタフィングボックス 

スタフィングボックス 

background image

12 

B 2405:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図13 軸とスタフィングボックス内径との同心度の測定 

d)) 軸の軸方向の動き 停止中における軸受すき間などによる軸の軸方向の動きは,図14に示すように軸

に固定したダイヤルゲージを,グランド面に当てて測定し,軸を動かした時のダイヤルゲージの読み

の最大値と最小値との差を軸方向の動きとする。 

図14 軸の軸方向の動きの測定 

e)) 軸封部の寸法許容差及び表面粗さ メカニカルシールを取り付ける機器の寸法許容差を指示するメイ

ティングリングの装着部 (C) 及びシールリングを装着する軸部 (d1),並びにそれらの表面粗さを指

示する箇所(P,Q及びR)の一例を図15に示す。 

図15 軸封部の寸法許容差及び表面粗さの測定 

スタフィングボックス 

スタフィングボックス 

スタフィングボックス 

C

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

13 

B 2405:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6. 性能試験  

6.1 

一般 漏れ量,摩耗量及びトルクはメカニカルシールの性能として重要なため,その試験は,次に

示す項目を測定できるような条件の下で行う。一般に性能測定は回転状態で行うが,静止状態だけで行う

場合には,受渡当事者間の協定による。 

a) 条件項目  

1) 試験装置の精度 

2) 回転速度 

3) シール流体の性状 

4) シール流体の圧力 

5) シール流体の入口・出口の温度 

6) シール流体の流量 

7) 運転時間(発停頻度を含む。) 

b) 測定項目  

1) 漏れ量 

2) 摩耗量 

3) シール端面の表面粗さ 

4) シール端面の平面度 

5) トルク 

6) シール端面の温度 

6.2 

試験装置 試験装置の精度,試験用シール流体及びシール流体温度の調整は,次による。 

a) 試験装置の精度 試験装置の精度は,5.3に示す取付機器の精度に準じた項目を設定する。ただし,軸

の軸方向の動きは,装置に使用されている軸受のすき間の量だけとなるが,このすき間分を強制的に

動かさなくてよい。軸を強制的に動かす必要がある場合には,受渡当事者間の協定による。 

b) 試験用シール流体 性能試験に用いるシール流体は,水又はJIS K 2213に規定する2種に相当する添

加タービン油とする。 

なお,これらのシール流体ではメカニカルシールの性能を評価できないと判断される場合には,受

渡当事者間の協定によって試験用シール流体を定める。この場合,試験用シール流体の性状を十分に

把握し,安全性などを確認のうえ用いる。 

c) シール流体温度の調整 試験用シール流体を循環させる場合には,別に設けた加熱器又は冷却器をも

つ加圧循環装置でシール流体を加熱又は冷却できるため,温度の調整は比較的容易である。しかし,

試験用シール流体を封入する場合には,スタフィングボックス外周を加熱又は冷却することによって,

シール流体温度を間接的に調整するため,所定の温度に設定することが困難な場合が多い。したがっ

て,試験用シール流体を封入する場合には,シール流体温度の許容差を大きめに設定してもよい。 

6.3 

測定項目及び測定方法 測定項目及び測定方法は,次による。 

a) 漏れ量 1時間以上の連続運転中にメカニカルシールのシール端面及び二次シール部分から漏れた試

験用シール流体の量を測定し,1時間当たりに換算して表す。 

なお,ガス状の漏れを含めたすべての漏れ量を測定する必要がある特殊な条件の場合の測定は,受

渡当事者間の協定による。 

b) 摩耗量 100時間以上の連続運転後のシール端面の軸方向摩耗減量を測定し,1年間(8 760時間)当

たりに換算して表す。 

14 

B 2405:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

なお,シール端面の幅が狭い方の凸形面の摩耗量は,試験前後に測定した凸部高さの差で表す。シ

ール端面の幅が広い方の面の摩耗量は,凹部の摩耗深さ又はシール端面の表面粗さで表してもよい。 

c) シール端面の表面粗さ 100時間以上の連続運転後のシール端面の表面粗さは,JIS B 0651に規定す

る粗さ計を用いてシール端面の半径方向に測定する。 

d) シール端面の平面度 連続運転後のシール端面の平面度の測定が必要な場合には,受渡当事者間の協

定によって,シール端面の外観状態・表面粗さで表すなどの方法で測定するのがよい。 

備考 シール端面の平面度は,運転前にはJIS B 7430に規定するオプチカルフラットを用いて測定で

きるが,運転後は擦れ合いによる面荒れがあるため,オプチカルフラットで正確に測定するこ

とが困難な場合が多い。 

e) トルク メカニカルシールのトルクは,これを始動する場合の始動トルク及び運転中の運転トルクで

表す。運転トルクは,十分ななじみ運転時間を経過した後,トルクが安定した状態において,連続運

転中のトルクを測定する。始動トルクは,一般に運転トルクの数倍になることがあるため,始動トル

クが重要な機器では,受渡当事者間の協定によって始動初期又は放置後のトルクを測定する。 

トルクの測定は,軸駆動用電動機の消費電力を適切な方法で換算するか又は試験装置の軸に適切な

トルク計測器を取り付ける方法を用いて行う。 

なお,固定環にトルク計測器を直接取り付けるような特殊な条件の場合のトルク測定は,受渡当事

者間の協定による。 

f) 

シール端面の温度 シール端面の温度の測定には,温度測定用の熱電対を固定環にあけた小穴に埋め

込む方法,固定環のシール端面の内径部に貼り付ける方法などがあるが,熱電対の取付位置によって

測定値にばらつきが生じる場合が多い。このため,シール端面の温度の測定が必要な場合には,受渡

当事者間の協定による。 

7. 表示 メカニカルシールの包装には,次の事項を表示する。 

a) 附属書1(参考) 製品の呼び方の識別(8〜15けた目)を表示する。 

例 バランス形,呼び内径d1=43 mm,呼び外径d4=73 mm,時計方向回転の場合の表示。 

 B043073R 

b) 製造業者名又はその略号 

備考 a)及びb)の表示方法によらない場合には,受渡当事者間で協定してもよい。 

15 

B 2405:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書1(参考)製品の呼び方 

この附属書は,メカニカルシールの呼び方について記述するものであり,規格の一部ではない。 

1. 製品の呼び方 メカニカルシールの呼び方は特に定めないが,一例として次の呼び方がある。 

17 

24 

33 

38(けた) 

□□□□□□−□□□□□□□□−□□□□□□ / □□□□□□□□−□□□□□□ 

分類 

識別 

材料 

識別 

材料 

ダブル形低圧側用追加コード 

1〜2けた 

: 一般的な配置は,附属書1付図1及び附属書1付図2に示す。 

Sl=シングルインサイド回転形 

S2=シングルアウトサイド回転形 

S3=シングル・インサイド・静止形 

Dl=背面合せダブル形 

D2=タンデム形 

D3=正面合せダブル形 

3〜4けた 

: 一般的な補助シールの手法は,附属書1付図3に示す。 

Ql=スロットルブッシュ又は補助シールなし 

Q2=スロットルブッシュ付き 

Q3=補助シールグランドパッキン付き 

QF=補助シールフローティングブッシュ付き 

QS=補助シールオイルシール付き 

5〜6けた 

: 附属書1付表1に示す補助装置及び手法のコード番号 

7けた 

: −(ハイフン) 

8けた 

: 一般的な配置は,附属書1付図4に示す。 

U=アンバランス形 

B=バランス形 

9〜11けた : 本体の図5〜図7に示す呼び内径(軸又はスリーブの外径)

1dを表示する。本体の図8に

示す呼び内径(軸径)d5には適用しない。 

12〜14けた : 本体の図5〜図7に示す呼び外径(スタフィングボックスの内径)

3d又は

dで,本体の表

2に示す寸法のうちメカニカルシールが装着できる最も小さい方の寸法を表示する。ただし,

本体の表2の太字の寸法を用いる場合には,省略してもよい。 

15けた 

: R=時計方向回転(低圧側から見て) 

L=逆時計方向回転(低圧側から見て) 

D=両方向回転……シングルばね 

M=両方向回転……マルチばね 

B=両方向回転……ベローズ 

16 

B 2405:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

16けた 

:−(ハイフン) 

17〜22けた : 附属書1付表2に示す材料表示 

23けた 

: /(スラッシュ) 

24〜31けた : ダブル形の場合の低圧側シールの識別表示で8〜15けたと同じ内容とする。 

  この場合,8〜15けたは高圧側シールを表示する。 

32けた 

: −(ハイフン) 

33〜38けた : ダブル形の場合の低圧側シールの材料表示で17〜22けたと同じ内容とする。 

  この場合,17〜22けたは高圧側シールを表示する。 

1.1 

シングルメカニカルシールの場合(1)  

内部の配置が“Sl” 

メカニカルシールカバーの設計がスロットルブッシュなしの“Q1” 

配管なしで内部フラッシングの配管の手法“01” 

バランス形“B” 

呼び内径

1d=43 mm,呼び外径 4d=73 mm“043073” 

時計方向回転の設計特性“R”のメカニカルシールにおいて,材料の組合せが次の場合, 

(シールリング側) 

シール端面 : タングステンカーバイド 

→U 

二次シール : PTFE 

→T 

ばね 

 : Cr−Ni−Mo鋼 

→G 

他の部品  : Cr−Ni−Mo鋼 

→G 

(メイティングリング側) 

シール端面 : 金属含浸カーボン 

→A 

二次シール : PTFE 

→T 

製品の呼び方は,S1Q101−B043073R−UTGGATとする。 

1.2 

シングルメカニカルシールの場合(2)  

内部の配置が“Sl” 

メカニカルシールカバーの設計がスロットルブッシュ付きの“Q2” 

機器の高圧部からオリフイスを通ってシールに再循環する配管の手法“02” 

アンバランス形“U” 

呼び内径

1d=43 mm,呼び外径 3d=63 mm“043” 

時計方向回転の設計特性“R”のメカニカルシールにおいて,材料の組合せが次の場合, 

(シールリング側) 

シール端面 : シリコンカーバイド 

→Q 

二次シール : ふっ素ゴム 

→V 

ばね 

 : Cr−Ni−Mo鋼 

→G 

他の部品  : Cr−Ni−Mo鋼 

→G 

(メイティングリング側) 

シール端面 : 樹脂含浸カーボン 

→B 

二次シール : PTFE 

→T 

製品の呼び方は,S1Q202−U043R−QVGGBTとする。 

1.3 

ダブルメカニカルシールの場合 ダブルメカニカルシールの場合 

背面合せダブル形の配置“Dl” 

メカニカルシールカバーの設計がスロットルブッシュ付きの“Q2” 

圧力容器付き遮断方式“11” 

background image

17 

B 2405:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

両側ともアンバランス形“U” 

呼び内径

1d=43 mm,呼び外径 3d=63 mm“043” 

マルチばね・両方向回転の設計特性“M”のダブル形において,材料の組合せが次の場合, 

高圧側(シールリング側) 

シール端面 : アルミナセラミックス →V 

二次シール : ふっ素ゴム 

→V 

ばね 

 : Cr−Ni−Mo鋼 

→G 

他の部品  : Cr−Ni−Mo鋼 

→G 

高圧側(メイティングリング側) シール端面 : 樹脂含浸カーボン 

→B 

二次シール : PTFE 

→T 

低圧側(シールリング側) 

シール端面 : 酸化クロムコーティング→W 

二次シール : ふっ素ゴム 

→V 

ばね 

 : Cr−Ni−Mo鋼 

→G 

他の部品  : Cr−Ni−Mo鋼 

→G 

低圧側(メイティングリング側) シール端面 : 樹脂含浸カーボン 

→B 

二次シール : ふっ素ゴム 

→V 

製品の呼び方は,D1Q211−U043M−VVGGBT/U043M−WVGGBVとする。 

2. シングルメカニカルシールの配置 シングルメカニカルシールの配置は,附属書1付図1のによる。 

 なお,このシールは,次のようにすることができる。 

a) 通常はアンバランス形(附属書1付図1のように)又はバランス形。 

b) シール端面への循環又は注入が,あり又はなし。 

c) スロートブッシュが,あり又はなし。 

備考 図の左側は,高圧側流体を示す。 

附属書1付図 1 シングルメカニカルシールの配置 

S1:シングルインサイド回転形 

S2:シングルアウトサイド回転形 

S3:シングルインサイド静止形 

background image

18 

B 2405:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3. ダブルメカニカルシール (附属書1付図2の左側は,高圧側流体を示す。) 

いずれか一方又は両方のシールは,アンバランス形(附属書1付図2のように)又はバランス形にして

よい。 

備考 図の左側は,高圧側流体を示す。 

附属書1付図 2 ダブルメカニカルシールの配置 

4. 補助シールの手法 補助シールの手法は,附属書1付図3よる。 

 D1:背面合せダブル形 

D2:タンデム形 

 Q1:スロットルブッシュ及び補助 

  シールなし 

 Q2:スロットルブッシュ付き 

 Q3:補助シールグランドパッキン付き 

クエンチは選択による

クエンチは選択による

クエンチは選択による

D3:正面合わタブル形 

同一配置はメインティングリング
が回転する場合でも可能である。 

background image

19 

B 2405:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

クエンチは選択による

  

備考1.メカニカルシールの低圧流体側のメカニカルシールカバーには,附属書1付図3に示すよう

な補助シールを用いる。Q1,Q2, Q3及び QFではクエンチの有無は選択によるが,QSでは

クエンチは必ず実施する。 

2.図の左側は,高圧側流体を示す。 

附属書1付図 3 補助シールの手法(続き) 

5. アンバランスメカニカルシール及びバランスメカニカルシール アンバランスメカニカルシール及び

バランスメカニカルシールは,附属書1付図4による。 

備考1.A1 : シール端面の軸方向の投影面積 

A2 : シールリングに対して軸方向の移動力として働くシール流体圧力を受ける軸方 

向の投影面積 

 : バランス比 

2.図の右側は,高圧側流体を示す。 

附属書1付図 4 アンバランスメカニカルシール及びバランスメカニカルシール 

U:アンバランスメカニカルシール 

B:バランスメカニカルシール 

1

2

A

A>

1

2A

A≦

 QS:補助シールオイルシール付き 

 QF:補助シールフローティングブッシュ付

き 

A2 
A1 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

background image

20 

B 2405:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書1付表 1 シール用配管の手法 

メカニカルシールのフラッッシング,クーリング,クエンチのための配管の手法は,次に示すコードで

呼ぶ。 

基本配置 

用途 

配管コード 

配置図 

記事 

シングル
メカニカ
ルシール 

ダブルメカ
ニカルシー
ル 

クエンチ 

00 

配管なし,フラッシン
グなしのもの。 

○ 

01 

配管なし,内部フラッ
シングのもの。 

○ 

02 

機器の高圧部からスタ
フィングボックスにフ
ラッシングするもの。 

○ 

03 

機器の高圧部からスタ
フィングボックスにフ
ラッシングし,機器の
低圧部に戻すもの。 

○ 

○ 

04 

機器の高圧部からサイ
クロンを経て,スタフ
ィングボックスにフラ
ッシングし,汚れ流体
は機器の低圧部に戻す
もの。 

○ 

05 

機器の高圧部からサイ
クロンを経て,スタフ
ィングボックスにフラ
ッシングし,汚れ流体
は排出するもの。 

○ 

06 

パーシャルインペラ*
を用いたフラッシング
で,熱交換器を経てス
タフィングボックスに
戻すもの。 
注* 回転環に付設し

た補助インペラ 

○ 

background image

21 

B 2405:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書1付表 1 シール用配管の手法(続き) 

基本配置 

用途 

配管コード 

配置図 

記事 

シングル
メカニカ
ルシール 

ダブルメ
カニカル
シール 

クエンチ 

07 

フラッシングをスタフ
ィングボックスから機
器の低圧部へ戻すも
の。 

○ 

08 

外部圧力源からエクス
ターナル流体をスタフ
ィングボックスに流入
し,フラッシング又は
クエンチするもの。 

○ 

○ 

○ 

09 

外部圧力源からエクス
ターナル流体をスタフ
ィングボックスに流入
し,フラッシング又は
クエンチを行い,外部
へ排出するもの。 

○ 

○ 

○ 

10 

エクスターナル流体又
はクエンチ流体をヘッ
ドタンクから供給し,
熱サイホン又はパーシ
ャルインペラで循環す
るもの。 

○ 

○ 

11 

エクスターナル流体又
は 
クエンチ流体を圧力タ
ンクから供給し,熱サ
イホン又はパーシャル
インペラで循環するも
の。 

○ 

○ 

background image

22 

B 2405:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書1付表 1 シール用配管の手法(続き) 

説明記号 

基本配置 

用途 

配管コード

配置図 

記事 

シングル
メカニカ
ルシール 

ダブルメ
カニカル
シール 

クエンチ 

12 

エクスターナル流体
を圧力タンクから供
給し,熱サイホン又は
パーシャルインペラ
で循環するもの;タン
クは機器の高圧部か
ら圧力上昇装置(例え
ば,ダイアフラム付き
タンクを経て圧力を
かけるもの)。 

○ 

13 

エクスターナル流体
又はクエンチ流体を
ヘッドタンクから供
給するもの。 

○ 

○ 

サイクロン 

汚れ流体ラインに手動制御弁を

設けたサイクロン 

熱交換器 

タンク 

ダイアフラム付タンク 

流体注入式補給装置

を設けたタンク 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

background image

23 

B 2405:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書1付表 2 材料表示 

17けた 

21けた 

18けた 

22けた 

19けた 

20けた 

シールリングの
シール端面の材
料 

メイティングリ
ングのシール端
面の材料 

シールリング側
の二次シールの
材料 

メイティングリ
ング側の二次シ
ールの材料 

ばね又はベロー
ズの材料 

その他の材料
(カバープレー
トとスリーブを
除く。) 

合成カーボン 

A=金属含浸カーボン 
B=樹脂含浸カーボン 
C=その他のカーボン 

 
金属 

D=炭素鋼 
E=Cr鋼 
F=Cr-Ni鋼 
G=Cr-Ni-Mo鋼 
H=オーステナイト合金鋼 

(表面硬化) 

M=Niベースの合金 
N=青銅 
P=鋳鉄 
R=合金鋳鉄 
S=Cr鋳鉄 
T=その他の材料 

 
カーバイド 

U =タングステンカーバイド 
U1=Coバインダ 
U2=Niバインダ 
U3=Ni-Cr-Moバインダ 

Q =シリコンカーバイド 

Q1= SiC 
Q2= SiC-Si 
Q3= SiC-C-Si 
Q4= C-SiC 

J =その他のカーバイド 

 
金属酸化物 

V=アルミナセラミックス 
W=酸化クロムコーティング 
X=その他の金属酸化物 

 
合成物 

Y=PTFE 
Z=その他の合成物 

弾性体 

P=ニトリルゴム 
N=クロロプレン 
B=ブチルゴム 
E=EPゴム 
S=シリコンゴム 
V=ふっ素ゴム 
M=PTFEで被覆したもの 
K=パーフロロエラストマ 
X=その他の弾性体 

 
非弾性体 

T=PTFE 
A=含浸された石綿 
G=カーボンはく(箔) 
Y=その他の非弾性体 

 
特殊な場合 

U=二次シール用各種材料 

ベローズの材料(19けた) 

A=金属 
B=ゴム又はPTFE 

 
ばねの材料(19けた)及びその他の
材料(20けた) 

D=炭素鋼 
E=Cr鋼 
F=Cr-Ni鋼 
G=Cr-Ni-Mo鋼 
M=Niベースの合金 
T=その他の材料 

24 

B 2405:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書2(参考)メカニカルシールの潤滑及び冷却方法 

この附属書は,メカニカルシールの潤滑及び冷却方法について記述するものであり,規格の一部ではな

い。 
 

1. 潤滑及び冷却方法 メカニカルシールを良好な状態に保つために必要な潤滑及び冷却方法として,次

に示す方法がある(附属書2図1参照)。 

a) フラッシング メカニカルシールの潤滑を行い,かつ温度を適正な範囲に保持し,不純物がスタフィ

ングボックスにたまるのを防止するもので,次の方式がある。 

1) セルフ方式 高圧部分からスタフィングボックスにシール流体を注入する方式。 

2) リバース方式 スタフィングボックスから,より低圧部分へシール流体を排出する方式。 

3) スルー方式 高圧部分からスタフィングボックスにシール流体を注入し,更にスタフィングボック

スから低圧部分へシール流体を排出する方式。 

4) エクスターナル方式 外部の圧力源からエクスターナル流体をスタフィングボックスに注入する方

式。 

b) 冷却 高温流体をシールする場合,メイティングリング外周の冷却,フラッシングライン中の熱交換

器による冷却及び取付機器内のジャケットによる冷却によって,メカニカルシールの温度を適正な範

囲に保持する。 

c) クエンチ メイティングリングの低圧側にクエンチ流体を注入又は注入排出することによって,メカ

ニカルシールの温度を適正な範囲に保持し,揮発性シール流体,結晶物の出しやすいシール流体,有

害なシール流体などを取り扱う場合に,漏れた流体を洗い流す。 

background image

25 

B 2405:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書2図 1 メカニカルシールの潤滑及び冷却方法 

関連規格 ISO 3069 : 2000 End-suction centrifugal pumps−Dimensions of cavities for mechanical seals and for 

soft packing 

26 

B 2405:2003  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。