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B 1758

:2013

(1)

目  次

ページ

1

  適用範囲  

1

2

  引用規格  

1

3

  用語及び定義  

1

4

  検査の条件  

2

4.1

  環境条件  

2

4.2

  検査用基準器  

2

4.3

  検査用基準器の設置  

2

4.4

  測定子  

2

4.5

  操作条件  

2

5

  検査 

2

5.1

  歯形測定  

2

5.2

  歯すじ測定  

3

5.3

  ピッチ測定  

3

5.4

  検査結果の求め方  

3

6

  歯車測定機の仕様との適合  

3

7

  適用事例  

4

7.1

  受入検査  

4

7.2

  定期検査  

4

7.3

  中間点検  

4

附属書 A(参考)適合判定における不確かさの扱い  

6

附属書 B(参考)歯車測定機の中間点検 

10

参考文献  

11


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:2013

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人日本歯車工業会(JGMA)及び独立

行政法人産業技術総合研究所(AIST)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出が

あり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。


日本工業規格

JIS

 B

1758

:2013

歯車測定機の受入検査

Acceptance tests for gear measuring instruments

適用範囲 

この規格は,歯車測定機の性能が,測定機の製造業者(以下,製造業者という。

)の仕様に適合するかど

うかを,検査用基準器を用いて検証するための受入検査について規定する。この規格で規定する受入検査

は,歯車測定機の歯形測定,歯すじ測定及びピッチ測定に適用する。

この規格は,歯面測定における歯車測定機の性能を定期的に検証するための定期検査にも使用できる。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。

は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS B 0102:1999

  歯車用語−幾何学的定義

JIS B 1757-1

  歯車測定機の評価方法−第 1 部:歯車形の基準器を用いる方法 

JIS B 1757-2

  歯車測定機の評価方法−第 2 部:球基準器又は円筒基準器を用いた歯形測定 

JIS B 1757-3

  歯車測定機の評価方法−第 3 部:平面基準器を用いた歯すじ測定

JIS B 1757-4

  歯車測定機の評価方法−第 4 部:球基準器を用いたピッチ測定 

JIS Z 8103

  計測用語

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 0102:1999 及び JIS Z 8103 によるほか,次による。

3.1 

検査用基準器 

歯車測定機の受入検査などに用いる歯面測定精度を評価するための基準となるもの。

注記  検査用基準器には,次のようなものがある。詳細は,JIS B 1757-1 参照。

a)

歯車形の基準器

b)

インボリュート基準器

c)

歯すじ基準器

d)

ピッチ基準器

e)

球基準器

f)

円筒基準器

g)

平面基準器

3.2 

測定誤差 


2

B 1758

:2013

検査用基準器を歯車測定機で測定したときの,測定値と検査用基準器の校正値との差。

注記  測定誤差の測定は,全歯形誤差,全歯すじ誤差,単一ピッチ誤差及び累積ピッチ誤差の四つの

項目について行い,対応する各測定誤差を全歯形測定誤差,全歯すじ測定誤差,単一ピッチ測

定誤差及び累積ピッチ測定誤差という。

3.3 

最大許容誤差 

歯車測定機における測定誤差の許容できる限界値。

注記  最大許容誤差は,測定項目によって,次の四つの表現で記述される。各最大許容誤差は,

μm

単位で表示する。

a)

最大許容全歯形測定誤差 MPE(F

α

)

b)

最大許容全歯すじ測定誤差 MPE(F

β

)

c)

最大許容単一ピッチ測定誤差 MPE(f

pt

)

d)

最大許容累積ピッチ測定誤差 MPE(F

p

)

検査の条件 

4.1 

環境条件 

測定に影響を与える設置場所の温度,湿度,振動などの環境条件の許容限界は,製造業者が指定する。

使用者は,許容限界内において,自由に環境条件を選ぶことができる。

4.2 

検査用基準器 

使用者は,検査用基準器の種類,形状,寸法及び角度を,受渡当事者間の協定によって許容限界内で自

由に選ぶことができる。測定に影響を及ぼす検査用基準器の形状,寸法及び角度は,トレーサブルに校正

していなければならない。

4.3 

検査用基準器の設置 

検査用基準器の設置方法は,JIS B 1757-1JIS B 1757-4 による。設置誤差は,歯車測定機の仕様との適

合判定に重要な影響を及ぼすため,最小に抑えることが望ましい。

4.4 

測定子 

測定子の先端形状及び寸法の許容限界に関しては,製造業者が指定し,使用者は,その許容限界内にお

いて,自由に測定子を選ぶことができる。

4.5 

操作条件 

箇条 の検査を実施する場合は,

製造業者の操作手順書に従い,

歯車測定機を操作しなければならない。

検査用基準器及び測定子先端は,測定パラメータ設定の前に,測定又は検査結果に影響を及ぼす可能性の

ある付着物などを残さないように洗浄しなければならない。

検査 

5.1 

歯形測定 

5.1.1 

検査用基準器の選択 

検査用基準器は,歯車測定機の最大測定範囲に応じて,次による。

a)

歯車測定機の最大測定範囲φ250 mm を超える場合は,次の 3 種類の基準円直径の歯車形の基準器,

インボリュート基準器,球基準器又は円筒基準器を用いる。

−  小径:φ60 mm 以下


3

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−  中径:φ60 mm を超えφ200 mm 以下

−  大径:φ200 mm を超え

b)

測定機の最大測定範囲φ250 mm 以下の場合は,次の 2 種類の基準円直径の歯車形の基準器,インボ

リュート基準器,球基準器又は円筒基準器を用いる。

−  小径:φ60 mm 以下

−  大径:φ60 mm を超え

5.1.2 

検査方法 

検査方法は,歯車測定機の主軸の位相を 90°ずつ変えながら,基準器の左右歯面をそれぞれ 1 回ずつ測

定する。

測定は,製造業者が指定する手順に従うが,特に指定がなければ,歯車形の基準器又はインボリュート

基準器については JIS B 1757-1 に規定する手順に従い,球基準器又は円筒基準器については JIS B 1757-2

に規定する手順に従う。

5.2 

歯すじ測定 

5.2.1 

検査用基準器の選択 

検査用基準器は,歯車測定機の測定範囲内で,任意の基準円直径及び歯幅 60 mm 以上の 0°,±15°,

±30°の 5 種類のねじれ角をもつ歯車形の基準器,歯すじ基準器又は平面基準器を用いる。

5.2.2 

検査方法 

検査方法は,歯車測定機の主軸の位相を 90°ずつ変えながら,基準器の左右いずれかの歯面をそれぞれ

1 回ずつ測定する。

測定は,製造業者が指定する手順に従うが,特に指定がなければ,歯車形の基準器又は歯すじ基準器に

ついては JIS B 1757-1 に規定する手順に従い,

平面基準器については JIS B 1757-3 に規定する手順に従う。

5.3 

ピッチ測定 

5.3.1 

検査用基準器の選択 

検査用基準器は,歯車測定機の測定範囲内で,任意の基準円直径及び任意の歯幅をもつ歯数 20 枚以上の

歯車形の基準器,ピッチ基準器又は球基準器を用いる。

5.3.2 

検査方法 

検査方法は,検査用基準器を左右の歯面それぞれ 1 回ずつ測定する。

測定は,製造業者が指定する手順に従うが,特に指定がなければ,歯車形の基準器又はピッチ基準器に

ついては JIS B 1757-1 に規定する手順に従い,球基準器については JIS B 1757-4 に規定する手順に従う。

5.4 

検査結果の求め方 

検査結果を求める場合には,歯面測定における歯車測定機の測定誤差を計算する。測定誤差は,検査用

基準器を歯車測定機で測定したときの,測定値と検査用基準器の校正値との差である。

基準器に,歯形勾配誤差及び歯すじ傾斜誤差の校正値がある場合は,校正値が示す傾きをもった基準線

で,測定線図を挟むことによって,校正値の傾きを考慮した全歯形測定誤差及び全歯すじ測定誤差を用い

てもよい。

製造業者が指定した環境条件を満たした場合は,測定誤差の計算結果の値に対して温度補正及び他の補

正を手動で行ってはならない。

歯車測定機の仕様との適合 

歯面測定における歯車測定機の性能は,次の四つの条件が満たされた場合に適合すると判定する。


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−  測定不確かさを考慮に入れて,全歯形測定誤差は,製造業者が指定する最大許容誤差 MPE(F

α

)以下で

ある。

−  測定不確かさを考慮に入れて,全歯すじ測定誤差は,製造業者が指定する最大許容誤差 MPE(F

β

)以下

である。

−  測定不確かさを考慮に入れて,単一ピッチ測定誤差は,製造業者が指定する最大許容単一ピッチ誤差

MPE(f

pt

)以下である。

−  測定不確かさを考慮に入れて,累積ピッチ測定誤差は,製造業者が指定する最大許容累積ピッチ誤差

MPE(F

p

)以下である。

注記  測定不確かさを考慮した仕様適合判定の方法例は,附属書 を参照。

測定機の最大測定範囲φ250 mm 以上の場合は,次の 48 のデータセットのうち,最大許容誤差を超える

データセットが最大三つまで許容される。その場合,対象となったデータセットの測定を 3 回繰り返し行

い,その結果が全て各最大許容誤差を超えなければ,歯車測定機の性能は検証されたことになる。

−  歯形測定  24 のデータセット:左右 2 歯面,検査用基準器 3 種類,主軸 4 位相

−  歯すじ測定  20 のデータセット:左右ねじれ及びねじれ角 5 種類,主軸 4 位相

−  ピッチ測定  4 のデータセット:左右 2 歯面,累積及び単一ピッチ

測定機の最大測定範囲φ250 mm 未満の場合は,次の 40 のデータセットのうち,最大許容誤差を超える

データセットが最大二つまで許容される。その場合,対象となったデータセットの測定を 3 回繰り返し行

い,その結果が全て各最大許容誤差を超えなければ,歯車測定機の性能は検証されたことになる。

−  歯形測定  16 のデータセット:左右 2 歯面,検査用基準器 2 種類,主軸 4 位相

−  歯すじ測定  20 のデータセット:左右ねじれ及びねじれ角 5 種類,主軸 4 位相

−  ピッチ測定  4 のデータセット:左右 2 歯面,累積及び単一ピッチ

適用事例 

7.1 

受入検査 

購入契約,保守契約,修理契約,仕様変更契約などの,製造業者と使用者との契約状況において,この

規格で規定する受入検査は,製造業者と使用者との協定によって,歯車測定機が,4 種類の最大許容誤差

MPE(F

α

),MPE(F

β

),MPE(f

pt

)及び MPE(F

p

)の仕様と適合するかどうかを判定する受入検査として使用でき

る。

製造業者は,MPE(F

α

),MPE(F

β

),MPE(f

pt

)及び MPE(F

p

)に適用できる詳細な制限を明記でき,製造業者

がそのような制限を指定しなかった場合には,MPE(F

α

),MPE(F

β

),MPE(f

pt

)及び MPE(F

p

)は,歯車測定機

の測定範囲内で,任意の測定位置に適用する。

7.2 

定期検査 

組織内の品質保証システムにおいて,この規格で規定する性能検査は,歯車測定機が,使用者によって

指定される 4 種類の最大許容誤差 MPE(F

α

),MPE(F

β

),MPE(f

pt

)及び MPE(F

p

)の仕様と適合するかどうかを

判定するための定期検査として使用してもよい。

7.3 

中間点検 

組織内の品質保証システムにおいて,4 種類の最大許容誤差 MPE(F

α

),MPE(F

β

),MPE(f

pt

)及び MPE(F

p

)

に関する指定された要求事項を歯車測定機が満たすことを確認するために,簡便な中間検査を定期的にし


5

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てもよい。

中間点検では,測定の種類を減らしてもよい。

なお,中間点検の詳細は,

附属書 を参照。


6

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附属書 A

(参考)

適合判定における不確かさの扱い

A.1 

測定不確かさの算出 

この規格で扱う四つの測定誤差のうち,単一ピッチ測定誤差は,各歯の測定値のうちで絶対値が最大値

のものとして定義し,他の三つの測定誤差(全歯形測定誤差,全歯すじ測定誤差及び累積ピッチ測定誤差)

は,いずれも,測定結果の最大値と最小値との幅で定義される量であり,符号をもたない。このような符

号なしの量は,符号付きの量と違い,値どうしの単純な足し算,引き算などができない。また,歯形及び

歯すじは,測定位置とそこでの測定値とを表したグラフから一つの数値を導出したものであり,同じ値で

あってもその値を与える測定位置は,ほとんどの場合異なっている。これらのことは,例え測定機が校正

されていて,かつ,校正値が与えられていても,その測定機を使って得られた測定結果を補正する(具体

的には測定結果から校正値を引き算する。

)ことはできないことを意味している。

このことを念頭に置きつつ,この附属書では,校正ではなく,測定機が最大許容測定誤差を満たしてい

るかどうかの適合判定を行うということを主眼に,その場合に用いられる不確かさの考え方についての一

例を示す。ここで示す不確かさの考え方は,あくまでも一例であり,他の考え方もあり得る。ただし,そ

の場合でも,ISO/IEC Guide 98-3(以下,GUM という。

)に従うことが望ましい。

検査用基準器を用いて歯車測定機の測定性能を検査する場合の検査結果の不確かさ要因は,大きく二つ

に分けられる。一つが使用した検査用基準器に起因する不確かさであり,もう一つが検査という行為に起

因する不確かさである。四つの測定誤差全てについて,次のように記号を定める。

    測定誤差:E

    最大許容測定誤差:MPE(E)

    検査用基準器の校正値:C

    検査用基準器の校正値の不確かさ:u

C

    測定値:M

    測定作業に起因する不確かさ:u

M

    検査結果の不確かさ:u

ここでの不確かさは,全て GUM で定義された標準不確かさである。また GUM の考え方によると,測

定誤差は定義できないが,ここでは測定値から校正値を引いたものを測定誤差と呼ぶ。

A.2 

単一ピッチ測定誤差及び累積ピッチ測定誤差の検査結果の不確かさの算出 

単一ピッチ測定誤差及び累積ピッチ測定誤差は,符号なしではあるが一次元長さの量であり,通常の符

号ありの長さ測定の結果と同じように扱っても大きな問題はないと考えられる。したがって,検査結果 E

は,式(A.1)による。

C

M

E

=

(A.1)

また,検査結果の不確かさ に含まれるものは,検査用基準器の校正値の不確かさ u

C

及び測定作業に起

因する不確かさ u

M

だけであり,式(A.2)による。

2

M

2

C

u

u

u

+

=

  (A.2)


7

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適合判定においては,を考慮に入れて,と MPE(E)との大小関係を比較する。考慮の仕方については,

A.5

に示す。

A.3 

歯形測定誤差及び歯すじ測定誤差の検査結果の不確かさの算出 

A.3.1 

一般 

歯形測定誤差及び歯すじ測定誤差は,測定位置及びそこでの測定値を表したグラフ(以下,プロファイ

ルという。

)から得られる最大値と最小値との幅として定義する。

ここで,検査用基準器の校正証明書にこれらの校正値だけが記載されている場合と,プロファイルも記

載されている場合とがある。これら二つの場合について,それぞれの考え方を次に示す。

A.3.2 

校正証明書にプロファイルが記載されている場合 

測定値のプロファイルから校正値のプロファイルを引いたものが,測定誤差のプロファイルである。校

正値のプロファイルを一次又は低次の多項式に近似したものを,測定値のプロファイルから引くことも行

われる。一次の場合とは,校正値のプロファイルの傾き,すなわち歯形勾配誤差又は歯すじ傾斜誤差を引

くことを意味する。測定誤差のプロファイルの最大値と最小値との幅が,測定誤差 である。

この場合の検査結果の不確かさ は,式(A.2)と同様に,式(A.3)による。

2

M

2

C

u

u

u

+

=

  (A.3)

A.3.3 

校正証明書にプロファイルが記載されていない場合 

A.3.3.1 

一般 

この場合,プロファイルは未知であり,また,これらの測定誤差は符号なしの量である。したがって,

同じ校正値であっても全く違うプロファイルをもっている可能性もあり,場合によってはプロファイルの

傾き(歯形勾配誤差又は歯すじ傾斜誤差)の正負が逆になっていることもあり得る。

A.3.3.2 

校正値が校正の不確かさより十分に大きいとき 

同じ校正値であっても全く違うプロファイルをもっている可能性は完全には排除できないが,この場合

は,校正値のプロファイル(校正証明書には記載されていないが)の周りに校正の不確かさの大きさの幅

をもった帯の中に,真のプロファイル(知ることはできない)が入っている可能性は統計的に十分に高い

と考えられる。したがって,この場合も,A.2 に示した単一ピッチ測定誤差及び累積ピッチ測定誤差と同

様に考えることができ,検査結果 は,式(A.4)による。

C

M

E

=

(A.4)

また,検査結果の不確かさ は,式(A.5)による。

2

M

2

C

u

u

u

+

=

  (A.5)

A.3.3.3 

校正値が校正の不確かさに比べて十分に大きいとはいえないとき 

校正値は示されていても,その数値があまり意味をなさない可能性がある。極端な場合,校正値の方が

その不確かさより小さいことも起こり得る。

この場合でも,A.3.3.2 と同じ扱いをすることも一つの考え方であり,許容される。

しかし,実際には全く違うプロファイルが得られているにもかかわらず,単に数値だけが一致している

ということが起こり得る。その危険性を回避する考え方の一つを次に示す。

この場合,校正値と校正の不確かさの大きさとが同程度であるため,それらの関係が曖昧かつ相対的な

ものになるため,いずれも不確かさの要因として扱い,それらを合成する。この考え方は伝統的な測定誤


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差の取扱いとは相いれないものであるが,GUM の E.3.5 において“系統効果から生じる不確かさと偶然効

果から生ずる不確かさとの区別はできない”ため“成分を”偶然“又は”系統“に区分けする必要はない”

とされている。

GUM の 6.3.1 によると,系統効果に対する補正は行うことが原則であると規定されているが,例外も許

容されている。例外として想定される状況としては,校正証明書にプロファイルが載っていない場合,プ

ロファイルが載っていても図だけであり測定点ごとの値を読み取るのが困難な場合,測定値と校正値との

プロファイルが全く違っていて,かつ,校正値とその不確かさが同程度のときであって引き算することの

意味が明確でない場合,などが挙げられる。

例外が許容される場合の不確かさの取扱いについて示した GUM の F.2.4.5 では,

不確かさの要因として,

平均補正の分散,補正の実際の決定による平均分散,及び補正以外の全ての不確かさの要因によって生じ

る平均分散の三つを考慮している。ここでは,プロファイルを補正するのは困難であるが,傾きだけは補

正可能であるとし,したがって,プロファイルの平均値はゼロであると仮定する。この場合,GUM の考

え方を適用すると,考慮すべき不確かさの要因はプロファイルの分散,プロファイルの不確かさ(すなわ

ち u

C

,及びその他の要因による不確かさ(これは,すなわち測定作業に起因する不確かさであり u

M

)と

なる。

プロファイルの分散はプロファイルの形状から計算するが,計算が困難であったりプロファイルが未知

であったりする場合は,分布を仮定することによって推定する。ここでは,校正値 を定数 で除したも

ので表す。プロファイルが正規分布をしており がその 95 %信頼区間に相当すると考えると,n=4 とな

る。プロファイルが低次の三角関数形状をしていると考えるとその分布は U 分布となるので,n=2√2 と

なる。ここで,更に は,プロファイルの最大値と最小値との差であるので,不確かさとして扱う場合は

それらを合成するため√2 で除すという考え方もある。以上をまとめると,2 ≤ ≤ 4 の範囲にあると考えら

れ,実際に使用する は,歯車の形状に関する知識及び測定の経験に基づき決定する。

したがって,検査結果の不確かさ は,式(A.6)による。

2

M

2

C

2

u

u

n

C

u

+

+

=

  (A.6)

A.4 

測定作業に起因する不確かさ 

測定という作業に起因する不確かさ[検査の不確かさ(test uncertainty)]に含まれる要因には様々なも

のがある。例えば,検査用基準器の設置姿勢による変形,クランプによる変形,温度による影響などであ

る。

不確かさの算出は,GUM に従って行い,不確かさの要因を列挙する段階においてはできる限り詳細に

吟味することが望ましい。しかしながら,それらの要因から計算される合成標準不確かさに実質的に大き

く影響を与える要因は,場合によって 2,3 個であることが多い。この事実を考慮に入れ,不確かさの算出

に過度の労力を割くことは避けることが望ましい。

A.5 

適合判定における不確かさの取扱い 

仕様との適合判定においては,JIS B 0641-1 に従い,検査結果にその不確かさを考慮して,最大許容誤

差と比較する。ここで“考慮する”とは,具体的には,検査結果に不確かさを加えた数値を検査結果とし

て扱うことを意味する。これは,言い換えると,合否判定基準が不確かさの分だけ小さくなることを意味

する。


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不確かさが最大許容誤差に比べて十分に小さくない場合,ほとんどの検査結果が不適合となり,極端な

場合として,不確かさが最大許容誤差より大きい場合は,全ての検査結果が不適合となる。このようなこ

とが起こらないよう,製造業者は不確かさを十分に考慮し,余裕をもった最大許容誤差を設定することが

望ましい。

ここで不確かさの値として,合成標準不確かさを何倍(包含係数)したものを採用するかが製造業者と

使用者との間で問題となる。包含係数を大きくすると,製造業者にとって非常に厳しい適合判定基準とな

る。すなわち,本来適合と判定されることが望ましい装置が,不適合と判定される可能性が高くなる。逆

に包含係数を小さくすると,製造業者にとっては緩い適合判定基準となるが,使用者の側から見ると,本

来不適合である装置が適合と判定されるおそれが生じる。

このように,適合判定における包含係数の設定は,製造業者と使用者との利害に絡むことであり,両者

の合意によって決めるものである。包含係数

k

としてある値,例えば,

k

=2 を設定することはよく行われ

るが,不確かさを考慮しない(すなわち

k

=0)という選択肢も,あり得る。


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B 1758

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附属書 B

(参考)

歯車測定機の中間点検

定期検査の間にも,歯車測定機を日常的に点検することが望ましい。中間点検の間隔は,環境条件及び

要求する測定性能によって決めることが望ましい。

歯車測定機の性能に影響を及ぼすようなことがあった後は,直ちに歯車測定機の中間検査を行うことが

望ましい。

歯車測定機の使用用途によって,次の検査用基準器,又はその他適切な検査用基準器を選択することが

望ましい。

−  歯車形の基準器

−  インボリュート基準器

−  歯すじ基準器

−  ピッチ基準器

−  球基準器

−  円筒基準器

−  平面基準器

検査用基準器は,歯車測定機で測定する典型的な歯車に似た基準円直径及びモジュールであることが望

ましい。


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参考文献

[1]  JIS B 0641-1  製品の幾何特性仕様(GPS)−製品及び測定装置の測定による検査−第 1 部:仕様に

対する合否判定基準

[2]  ISO/IEC Guide 98-3,Uncertainty of measurement−Part 3: Guide to the expression of uncertainty in

measurement (GUM:1995)