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B 1519

:2009 (ISO 76:2006)

(1)

目  次

ページ

序文

1

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

1

3

  用語及び定義

2

4

  量記号

3

5

  ラジアル玉軸受

4

5.1

  基本静ラジアル定格荷重

4

5.2

  静等価ラジアル荷重

6

6

  スラスト玉軸受

6

6.1

  基本静アキシアル定格荷重

6

6.2

  静等価アキシアル荷重

7

7

  ラジアルころ軸受

7

7.1

  基本静ラジアル定格荷重

7

7.2

  静等価ラジアル荷重

7

8

  スラストころ軸受

8

8.1

  基本静アキシアル定格荷重

8

8.2

  静等価アキシアル荷重

9

9

  静安全係数

9

9.1

  一般

9

9.2

  玉軸受

9

9.3

  ころ軸受

10

附属書 A(参考)アンギュラ玉軸受の基本静定格荷重の不連続性

11

 


B 1519

:2009 (ISO 76:2006)

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人日本ベア

リング工業会(JBIA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標

準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS B 1519:1989 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。


日本工業規格

JIS

 B

1519

:2009

(ISO 76

:2006

)

転がり軸受−静定格荷重

Rolling bearings

−Static load ratings

序文

この規格は,2006 年に第 3 版として発行された ISO 76 を基に,技術的内容及び対応国際規格の構成を

変更することなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施している参考事項は,対応国際規格にはない事項である。

1

適用範囲

この規格は,転がり軸受の基本静定格荷重及び静等価荷重の計算方法について規定する。

−  この規格は,JIS B 1511 に規定している軸受関連の規格によって設計され,JIS G 4805 若しくは ISO 

683-17

に規定されている鋼材又はこれと同等の品質を得られる合金鋼を最適な硬度に焼入れし,製造

した軸受に適用する。

−  この規格は,転動体と軌道との接触面に切欠きなどの不連続部が存在するような場合及び特殊な表面

処理又はコーティングをしている場合には適用できない。

−  この規格を適用する複列ラジアル軸受及び複式スラスト軸受は,対称形の軸受とする。

−  この規格は,

ミスアライメントなどによって軸受内部の負荷分布が正常でない場合には適用できない。

−  この規格は,転動体が直接,軸の外周面又はハウジングの内面を転がる構造の場合には,それらの軌

道が軸受の軌道と同等でなければ適用できない。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 76:2006

,Rolling bearings−Static load ratings (IDT)

なお,対応の程度を表す記号(IDT)は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,一致していることを示す。

2

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。

は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS B 0104

  転がり軸受用語

注記  対応国際規格:ISO 5593:1997,Rolling bearings−Vocabulary (MOD)

JIS B 0124

  転がり軸受−量記号

注記  対応国際規格:ISO 15241:2001,Rolling bearings−Symbols for quantities (MOD)

JIS B 1511

  転がり軸受総則

JIS G 4805

  高炭素クロム軸受鋼鋼材

ISO 683-17

,Heat-treated steels, alloy steels and free-cutting steels−Part 17:Ball and roller bearing steels

ISO/TR 10657:1991

,Explanatory notes on ISO 76


2

B 1519

:2009 (ISO 76:2006)

3

用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 0104 によるほか,次による。

3.1

静荷重  (static load)

軌道輪又は軌道盤が相対的に回転していない軸受にかかる荷重。

3.2

基本静ラジアル定格荷重  (basic static radial load rating)

最大荷重を受けている転動体と軌道との接触部中央における,次に示す計算接触応力に対応する静ラジ

アル荷重。

−  自動調心玉軸受          :4.6 GPa

−  その他のラジアル玉軸受  :4.2 GPa

−  ラジアルころ軸受        :4.0 GPa

注記 1  単列アンギュラ玉軸受及び単列円すいころ軸受の場合には,この基本静ラジアル定格荷重は,

両軌道輪の間に相対的に純ラジアル変位を生じさせる荷重のラジアル分力をいう。

注記 2  静荷重によるこれらの接触応力で発生する転動体と軌道との総永久変形量は,転動体の直径

の約 0.000 1 倍である。

3.3

基本静アキシアル定格荷重  (basic static axial load rating)

最大荷重を受けている転動体と軌道との接触部中央における,次に示す計算接触応力に対応する静中心

アキシアル荷重。

−  スラスト玉軸受    :4.2 GPa

−  スラストころ軸受  :4.0 GPa

注記  静荷重によるこれらの接触応力で発生する転動体と軌道との総永久変形量は,転動体の直径の

約 0.000 1 倍である。

3.4

静等価ラジアル荷重  (static equivalent radial load)

実際の荷重条件の下で生じる接触応力と同じ接触応力を,最大荷重を受けている転動体と軌道との接触

部中央に生じさせる静ラジアル荷重。

3.5

静等価アキシアル荷重  (static equivalent axial load)

実際の荷重条件の下で生じる接触応力と同じ接触応力を,最大荷重を受けている転動体と軌道との接触

部中央に生じさせる静中心アキシアル荷重。

3.6

静安全係数  (static safety factor)

転動体と軌道との接触部に生じる永久変形に対し,安全に使用できる限度を表す基本静定格荷重と静等

価荷重との比。

3.7

ころ直径  (roller diameter)

定格荷重の計算に適用する理論上の直径。対称ころでは,ころの長さ方向の中央を通るラジアル平面内

にある。


3

B 1519

:2009 (ISO 76:2006)

注記 1  円すいころでは,ころの大端及び小端の理論上の角(かど)の直径の算術平均値である。

注記 2  非対称凸面ころでは,無負荷時のころとつばのない軌道との接触点での直径の近似値である。

3.8

ころ有効長さ  (effective roller length)

定格荷重の計算に適用する,ころと内輪軌道又はころと外輪軌道との接触長さのうち短い方の理論上の

最大接触長さ。

注記  通常,ころ長さからころの面取寸法を減じた寸法,又は軌道の幅から研削逃げ寸法を減じた寸

法のうち,小さいほうの寸法である。

3.9

呼び接触角  (nominal contact angle)

軸受中心軸に垂直な平面(ラジアル平面)と,軌道輪又は軌道盤から転動体に伝わる合力の呼び作用線

とのなす角度。

注記  非対称ころの場合には,呼び接触角はつばがない軌道(通常は外輪)との接触で決まる。

3.10

玉セットのピッチ径  (pitch diameter of ball set)

軸受内の 1 列の玉の中心を含む円の直径。

3.11

ころセットのピッチ径  (pitch diameter of roller set)

軸受内の 1 列のころの中央で,ころ中心軸と交わる円の直径。

4

量記号

この規格で用いる主な量記号は,JIS B 0124 によるほか,次による。

C

0a

:基本静アキシアル定格荷重 (N)

C

0r

:基本静ラジアル定格荷重 (N)

D

pw

:玉セット又はころセットのピッチ径 (mm)

D

w

:玉の呼び直径 (mm)

D

we

:定格荷重の計算に用いるころ直径 (mm)

F

a

:アキシアル荷重(実際の軸受荷重のアキシアル分力)(N)

F

r

:ラジアル荷重(実際の軸受荷重のラジアル分力)(N)

f

0

:基本静定格荷重の計算に用いる係数

i

:転動体の列数

L

we

:定格荷重の計算に適用するころ有効長さ (mm)

P

0a

:静等価アキシアル荷重 (N)

P

0r

:静等価ラジアル荷重 (N)

S

0

:静安全係数

X

0

:静ラジアル荷重係数

Y

0

:静アキシアル荷重係数

:単列軸受では転動体の個数,1 列の転動体の個数が同じ多列軸受では 1 列当たりの転動体の個数

α 

:呼び接触角 ( º)


4

B 1519

:2009 (ISO 76:2006)

5

ラジアル玉軸受

5.1

基本静ラジアル定格荷重

5.1.1

単列軸受の基本静ラジアル定格荷重

ラジアル玉軸受の基本静ラジアル定格荷重(C

0r

)は,式(1)によって求める。

C

0r

f

0

iZD

w

2

cosα (1)

ただし,式(1)の係数 f

0

の値は,

表 による。

式(1)は,深溝玉軸受及びアンギュラ玉軸受では,内輪の溝半径が 0.52D

w

の値を超えず,かつ,外輪の

溝半径が 0.53D

w

の値を超えない場合に適用し,自動調心玉軸受では,内輪の溝半径が 0.53D

w

の値を超え

ない場合に適用する。

基本静ラジアル定格荷重は,小さな溝半径を使用することによって必ずしも増加するものではないが,

上記に示した値よりも大きな溝半径を用いると減少する。この場合は,これに対応する小さな係数 f

0

の値

を用いなければならない。この係数 f

0

は,ISO/TR 10657:1991 の式(3-18)による。

5.1.2

組合せ軸受の基本静ラジアル定格荷重

5.1.2.1

2

個の単列ラジアル玉軸受をユニットとして使用する場合

2 個の同様な単列ラジアル玉軸受が同一軸に並べて取り付けられ,ユニット(一対取付け)として機能

する場合は,基本静ラジアル定格荷重は,1 個の単列軸受の基本静ラジアル定格荷重の 2 倍とする。

5.1.2.2

単列アンギュラ玉軸受の背面配列又は正面配列の場合

2 個の同様な単列アンギュラ玉軸受が同一軸に並べて取り付けられ,背面配列又は正面配列としてユニ

ット(一対取付け)として機能する場合は,基本静ラジアル定格荷重は,1 個の単列軸受の基本静ラジア

ル定格荷重の 2 倍とする。

5.1.2.3

並列配列の場合

2 個以上の同様な単列ラジアル玉軸受又は 2 個以上の同様な単列アンギュラ玉軸受が同一軸に並べて取

り付けられ,並列配列でユニット(一対取付け又は多数取付け)として機能する場合には,基本静ラジア

ル定格荷重は,1 個の単列軸受の基本静ラジアル定格荷重に軸受の個数を乗じたものとする。これらの軸

受は,軸受間での荷重分布が等しくなるように適切に製造され,取り付けなければならない。


5

B 1519

:2009 (ISO 76:2006)

表 1−玉軸受の係数 f

0

の値

f

0

ラジアル玉軸受

pw

w

cos

D

α

D

深溝玉軸受及び

アンギュラ玉軸受

自動調心玉軸受

スラスト玉軸受


0.01 
0.02 
0.03 
0.04 
0.05 
0.06 
0.07 
0.08 
0.09 
0.1 
0.11 
0.12 
0.13 
0.14 
0.15 
0.16 
0.17 
0.18 
0.19 
0.2 
0.21 
0.22 
0.23 
0.24 
0.25 
0.26 
0.27 
0.28 
0.29 
0.3 
0.31 
0.32 
0.33 
0.34 
0.35 
0.36 
0.37 
0.38 
0.39 
0.4

14.7 
14.9 
15.1 
15.3 
15.5 
15.7 
15.9 
16.1 
16.3 
16.5 
16.4 
16.1 
15.9 
15.6 
15.4 
15.2 
14.9 
14.7 
14.4 
14.2 
14 
13.7 
13.5 
13.2 
13 
12.8 
12.5 
12.3 
12.1 
11.8 
11.6 
11.4 
11.2 
10.9 
10.7 
10.5 
10.3 
10

9.8 
9.6 
9.4

1.9 


2.1 
2.1 
2.1 
2.2 
2.2 
2.3 
2.3 
2.4 
2.4 
2.4 
2.5 
2.5 
2.6 
2.6 
2.7 
2.7 
2.8 
2.8 
2.8 
2.9 
2.9 


3.1 
3.1 
3.2 
3.2 
3.3 
3.3 
3.4 
3.4 
3.5 
3.5 
3.6 
3.6 
3.7 
3.8 
3.8

61.6 
60.8 
59.9 
59.1 
58.3 
57.5 
56.7 
55.9 
55.1 
54.3 
53.5 
52.7 
51.9 
51.2 
50.4 
49.6 
48.8 
48 
47.3 
46.5 
45.7 
45 
44.2 
43.5 
42.7 
41.9 
41.2 
40.5 
39.7 
39 
38.2 
37.5 
36.8 
36 
35.3 
34.6 
− 
− 
− 
− 

注記  この表は,縦弾性係数 207 GPa,ポアソン比 0.3 とした場合のヘルツの点接触の

式に基づいている。また,最大転動体荷重は,ラジアル玉軸受では

α

Z

F

cos

5

r

,スラ

スト玉軸受では

α

Z

F

sin

a

となる荷重分布を仮定している。

pw

w

cos

D

α

D

の中間の値に対

する係数 f

0

の値は,一次補間法で求める。


6

B 1519

:2009 (ISO 76:2006)

5.2

静等価ラジアル荷重

5.2.1

単列軸受の静等価ラジアル荷重

ラジアル玉軸受の静等価ラジアル荷重(P

0r

)は,式(2)及び式(3)によって求められる値のうちの大きい方の

値とする。

P

0r

X

0

F

r

Y

0

F

a

 (2)

P

0r

F

r

 (3)

ただし,式(2)の係数 X

0

及び係数 Y

0

の値は

表 による。この係数は,5.1.1 に規定した溝半径の軸受に適

用する。その他の溝半径の軸受の場合は,係数 X

0

及び係数 Y

0

は ISO/TR 10657:1991 による。

表 の中間の接触角に対する係数 Y

0

の値は,一次補間法で求める。

表 2−ラジアル玉軸受の係数 X

0

及び係数 Y

0

の値

単列軸受

複列軸受

軸受の形式

X

0

Y

0

X

0

Y

0

深溝玉軸受

a)

0.6 0.5  0.6

0.5

α=5°

0.5 0.52  1 1.04

10°

0.5 0.50  1

1.00

15°

0.5 0.46  1

0.92

20° 0.5

0.42

1

0.84

25° 0.5

0.38

1

0.76

30° 0.5

0.33

1

0.66

35° 0.5

0.29

1

0.58

40° 0.5

0.26

1

0.52

アンギュラ玉軸受

45° 0.5

0.22

1

0.44

自動調心玉軸受,α≠0° 0.5

0.22

cot

α 1 0.44

cot

α

a)

0r

a

C

F

の許容最大値は,軸受の設計(内部すきま及び軌道溝の深さ)による。

5.2.2

組合せ軸受の静等価ラジアル荷重

5.2.2.1

単列アンギュラ玉軸受の背面配列又は正面配列の場合

2 個の同様なアンギュラ玉軸受が同一軸に並べて取り付けられ,背面配列又は正面配列としてユニット

(一対取付け)として機能する場合は,静等価ラジアル荷重は,複列軸受の係数 X

0

及び係数 Y

0

の値を用

いる。また,F

r

及び F

a

の値については,その組合せ軸受にかかる全荷重を用いて求める。

5.2.2.2

並列配列の場合

2 個以上の同様な深溝玉軸受及び 2 個以上の同様なアンギュラ玉軸受が同一軸に並べて取り付けられ,

並列配列でユニット(一対取付け又は多数取付け)として機能する場合は,静等価ラジアル荷重は,単列

軸受の係数 X

0

及び係数 Y

0

の値を用いる。また,F

r

及び F

a

の値については,その配列にかかる全荷重を用

いて求める。

6

スラスト玉軸受

6.1

基本静アキシアル定格荷重

単式及び複式スラスト玉軸受の基本静アキシアル定格荷重(C

0a

)は,式(4)によって求める。

C

0a

f

0

ZD

w

2

sinα  (4)


7

B 1519

:2009 (ISO 76:2006)

ただし,式(4)の係数 f

0

の値は

表 による。また,は一方向の負荷を受けている玉の数。

式(4)は,軌道の溝半径が 0.54D

w

を超えない軸受に適用する。

基本静アキシアル定格荷重は,

小さな溝半径を採用することによって必ずしも増加するものではないが,

上記に示した値よりも大きな溝半径を用いると減少する。この場合には,これに対応する小さな係数 f

0

値を用いなければならない。係数 f

0

は,ISO/TR 10657:1991 の式(3-30)及び式(3-31)による。

6.2

静等価アキシアル荷重

α

≠90°のスラスト玉軸受の静等価アキシアル荷重(P

0a

)は,式(5)によって求める。

P

0a

=2.3F

r

tan

α

F

a

 (5)

複式軸受の場合は,式(5)は,F

r

/F

a

の値に関係なく適用できる。単式軸受の場合には,この式は,

F

r

/F

a

≦0.44cot

α

の場合に正しく当てはまり,0.44cot

α

F

r

/F

a

≦0.67cot

α

の場合には,ほぼ満足な値を与える。

α

=90°のスラスト玉軸受は,アキシアル荷重だけを受けることができる。この形式の軸受の静等価アキ

シアル荷重は,式(6)によって求める。

P

0a

F

a

 (6)

7

ラジアルころ軸受

7.1

基本静ラジアル定格荷重

7.1.1

単列軸受の基本静ラジアル定格荷重

ラジアルころ軸受の基本静ラジアル定格荷重(C

0r

)は,式(7)によって求める。

α

α

D

iZL

D

D

C

cos

cos

we

we

pw

we

0r

1

44



 (7)

注記  式(7)は,表 の注記で与えた値と同一の縦弾性係数,ポアソン比及び転動体荷重分布に基づい

ている。

7.1.2

組合せ軸受の基本静ラジアル定格荷重

7.1.2.1

背面配列及び正面配列の場合

2 個の同様な単列ラジアルころ軸受が同一軸に並べて取り付けられ,背面配列又は正面配列としてユニ

ット(一対取付け)として機能する場合は,基本静ラジアル定格荷重は,1 個の単列軸受の基本静ラジア

ル定格荷重の 2 倍とする。

7.1.2.2

並列配列の場合

2 個以上の同様な単列ラジアルころ軸受が同一軸に並べて取り付けられ,並列配列でユニット(一対取

付け又は多数取付け)として機能する場合は,基本静ラジアル定格荷重は,1 個の単列軸受の基本静ラジ

アル定格荷重に軸受の個数を乗じたものとする。これらの軸受は,軸受間での荷重分布が等しくなるよう

に適切に製造され,取り付けなければならない。

7.2

静等価ラジアル荷重

7.2.1

単列軸受の静等価ラジアル荷重

α

≠0°

ラジアルころ軸受の静等価ラジアル荷重(P

0r

)は,式(8)及び式(9)で求める値の大きい方の値とす

る。

P

0r

X

0

F

r

Y

0

F

a

 (8)

P

0r

F

r

 (9)

ただし,式(8)の係数 X

0

及び係数 Y

0

は,

表 による。


8

B 1519

:2009 (ISO 76:2006)

表 3

α

0°のラジアルころ軸受の係数 X

0

及び係数 Y

0

の値

軸受の形式

X

0

Y

0

単列 0.5

0.22cot

α

複列 1 0.44cot

α

 

α

=0°

ラジアル荷重しか受けないラジアルころ軸受の静等価ラジアル荷重(P

0r

)は,式(10)によって求

める。

P

0r

F

r

 (10)

α

=0°

ラジアルころ軸受のアキシアル荷重負荷能力は,軸受の設計及び製造技術によって大きく変化

する。したがって,

α

=0°

軸受がアキシアル荷重を負荷する場合は,使用者はその許容アキシアル荷重

について軸受製造業者に相談することが望ましい。

7.2.2

組合せ軸受の静等価ラジアル荷重

7.2.2.1

接触角をもつ単列ころ軸受の背面配列及び正面配列の場合

接触角をもつ 2 個の同様な単列ころ軸受が同一軸に並べて取り付けられ,背面配列又は正面配列として

ユニット(一対取付け)として機能する場合は,静等価ラジアル荷重は,複列軸受の係数 X

0

及び係数 Y

0

の値を用いる。また,F

r

及び F

a

の値については,その配列にかかる全荷重を用いる。

7.2.2.2

並列配列の場合

接触角をもつ 2 個以上の同様なころ軸受が同一軸に並べて取り付けられ,並列配列でユニット(一対取

付け又は多数取付け)として機能する場合は,静等価ラジアル荷重は,単列軸受の係数 X

0

及び係数 Y

0

値を用いる。また,F

r

及び F

a

の値については,その配列にかかる全荷重を用いる。

8

スラストころ軸受

8.1

基本静アキシアル定格荷重

8.1.1

単式軸受及び複式軸受の基本静アキシアル定格荷重

単式スラストころ軸受及び複式スラストころ軸受の基本静アキシアル定格荷重(C

0a

)は,式(11)によって

求める。

α

α

D

ZL

D

D

C

sin

cos

we

we

pw

we

0a

1

220



(11)

ただし,は一方向の荷重を受けるころの数。

ころ長さが異なる場合は,3.8 で定義したように ZL

we

を一方向のアキシアル荷重を受けるすべてのころ

有効長さの総和をとる。

注記  式(11)は,表 の注記で与えた値と同じ縦弾性係数,ポアソン比及び転動体荷重分布に基づい

ている。

8.1.2

並列配列の軸受の基本静アキシアル定格荷重

2 個以上の同様な単式スラストころ軸受が同一軸に並べて取り付けられ,並列配列でユニット(一対取

付け又は多数取付け)として機能する場合は,基本静アキシアル定格荷重は,1 個の単式軸受の基本静ア

キシアル定格荷重に軸受の個数を乗じたものとする。これらの軸受は,適切に製造され軸受間での荷重分

布が等しくなるように取り付けなければならない。


9

B 1519

:2009 (ISO 76:2006)

8.2

静等価アキシアル荷重

8.2.1

単式軸受及び複式軸受の静等価アキシアル荷重

α

≠90°のスラストころ軸受の静等価アキシアル荷重(P

0a

)は,式(12)によって求める。

P

0a

=2.3F

r

tan

α

F

a

 (12)

複式軸受の場合は,この式は,F

r

/F

a

の値に関係なく適用できる。単式軸受の場合は,この式は,

F

r

/F

a

≦0.44cot

α

の場合に正しく当てはまり,0.44cot

α

F

r

/F

a

≦0.67cot

α

の場合には,ほぼ満足な値を与える。

α

=90°のスラストころ軸受は,アキシアル荷重だけを受けることができる。この形式の軸受の静等価

アキシアル荷重(P

0a

)は,式(13)によって求める。

P

0a

F

a

 (13)

8.2.2

並列配列の軸受の静等価アキシアル荷重

2 個以上の同様なスラストころ軸受が同一軸に並べて取り付けられ,並列配列でユニット(一対取付け

又は多数取付け)として機能する場合は,静等価アキシアル荷重は,F

r

及び F

a

の値はその配列にかかる全

荷重として,式(12)  によって求める。

9

静安全係数

9.1

一般

重荷重用途に対する軸受の適合性は,その軸受の基本静定格荷重が十分であることを確認することによ

って検証することが望ましい。これは,式(14)又は式(15)によって得られる静安全係数 S

0

を用いて決める

ことができる。

0r

0r

0

P

C

 (14)

0a

0a

0

P

C

 (15)

(14)

はラジアル軸受に,式

(15)

はスラスト軸受に適用する。

軸受に動的な荷重が負荷され,軸受が軸受寿命によって選定される場合でも,基本静定格荷重が運転条

件を十分満足することを確認することが望ましい。

9.2

及び

9.3

に様々な運転条件及び用途での静安全係数 S

0

の指針を示す。

その他の特殊な運転条件の静安全係数 S

0

については,軸受製造業者に相談することが望ましい。

9.2

玉軸受

玉軸受の静安全係数 S

0

の指針は,

表 4

による。


10

B 1519

:2009 (ISO 76:2006)

表 4

玉軸受の静安全係数 S

0

の指針

運転条件

S

0

(最小)

静粛な回転が要求される用途:

滑らかな回転,振動を生じない,高い回転精度

2

衝撃荷重を受ける用途:

著しい衝撃荷重

a)

1.5

通常の回転用途:

滑らかな回転,振動を生じない,普通の回転精度

1

a)

  玉軸受が衝撃的に静等価荷重を負荷した場合は,衝撃荷重は静等価荷

重の約 1.5 倍になると推定している。衝撃荷重の大きさが不明の場合

には,S

0

は,少なくとも 1.5 を使用することが望ましい。衝撃荷重の

大きさが正確に分かっている場合は,より小さな S

0

を採用すること

ができる。

9.3

ころ軸受

ころ軸受の静安全係数 S

0

の指針は,

表 5

による。

表 5

ころ軸受の静安全係数 S

0

の指針

運転条件

S

0

(最小)

静粛な回転が要求される用途:

滑らかな回転,振動を生じない,高い回転精度

3

衝撃荷重を受ける用途:

著しい衝撃荷重

a)

3

通常の回転用途:

滑らかな回転,振動を生じない,普通の回転精度

1.5

注記 1  スラスト自動調心ころ軸受の場合は,S

0

は,すべての運転条件で 4

とすることが望ましい。

注記 2  はだ焼鋼のシェル形針状ころ軸受の場合は,S

0

は,すべての運転条

件で 3 とすることが望ましい。

a)

  ころ軸受が衝撃的に静等価荷重を負荷した場合は,ころの転動面端

部と軌道輪との間に発生する応力集中も考慮し,最大衝撃荷重は静

等価荷重の約 3 倍になると推定している。衝撃荷重の大きさが不明
の場合は,S

0

は,少なくとも 3 を使用することが望ましい。衝撃荷

重の大きさが正確に分かっている場合は,より小さな S

0

を採用する

ことができる。


11

B 1519

:2009 (ISO 76:2006)

附属書 A

参考)

アンギュラ玉軸受の基本静定格荷重の不連続性

序文

この附属書は,本体の規定を補足するものであって,規定の一部ではない。

A.1

一般

接触角 α

45

°を境に,アンギュラ玉軸受をラジアル軸受として考えた場合と,スラスト軸受として考

えた場合とでは,基本静アキシアル定格荷重の計算結果がわずかに異なり不連続となる。これは,ラジア

ル軸受としてのアンギュラ玉軸受

(

α

45

°

)

の玉の直径に対する軌道溝半径の比(以下,溝半径の比とい

う。

)が,スラスト軸受としてのアンギュラ玉軸受

(

α

45

°

)

の溝半径の比と異なるためである。この附属

書では,この不連続について記述する。

さらに,ラジアル軸受の溝半径の比を用いて,α

45

°のスラストアンギュラ玉軸受を製造したり,ス

ラスト軸受の溝半径の比を用いて,α

45

°のラジアルアンギュラ玉軸受を製造することがあり,実際の

溝半径の比を用いた基本静アキシアル定格荷重を計算し比較することが必要となる場合がある。この附属

書では,この規格から計算する C

0r

及び C

0a

から実際の溝半径の比を用いた基本静アキシアル定格荷重を求

める方法を記述する。

A.2

量記号

この附属書で用いる量記号は,箇条

4

によるほか,次による。

C

0aa

:スラスト軸受

(

α

45

°

)

の補正基本静アキシアル定格荷重

 (N)

C

0ar

:ラジアル軸受

(

α

45

°

)

の補正基本静アキシアル定格荷重

 (N)

r

e

:外輪の軌道溝半径

 (mm)

r

i

:内輪の軌道溝半径

 (mm)

A.3

ラジアル及びスラストアンギュラ玉軸受の基本静定格荷重を計算する場合の玉の直径に対する軌道

溝半径の比

A.3.1

ラジアルアンギュラ玉軸受  (

α

45

°)

C

0r

の計算では,玉の直径に対する溝半径の比は

5.1.1

に従う。

  r

i

/

D

w

0.52

及び r

e

/

D

w

0.53

A.3.2

スラストアンギュラ玉軸受  (

α

45

°)

C

0a

の計算では,溝半径の比は

6.1

に従う。

  r

i

/

D

w

0.54

及び r

e

/

D

w

0.54

A.4

ラジアル及びスラストアンギュラ玉軸受に対する基本静アキシアル定格荷重 C

0ar

と C

0aa

との比較

A.4.1

一般

通常,静定格荷重の比較は,アキシアル荷重が支配的な用途で運転される軸受に必要となることが多い

ので,基本静アキシアル定格荷重の求め方を記述する。この基本静アキシアル定格荷重は,それぞれ,式


12

B 1519

:2009 (ISO 76:2006)

(A.1)

∼式

(A.4)

によって計算できる。ただし,接触角 α はアキシアル荷重に依存せず一定と仮定しているの

で,接触角が小さな軸受が重荷重を受けた場合は計算誤差が生じる。

A.4.2

ラジアル軸受の溝半径の比をもつアンギュラ玉軸受の補正基本静アキシアル定格荷重の求め方

r

i

/

D

w

0.52

及び r

e

/

D

w

0.53

ラジアル軸受としてのアンギュラ玉軸受

(

α

45

°

)

の基本静ラジアル定格荷重 C

0r

から求める方

法は,式

(A.1)

による。

C

0ar

C

0r

/

Y

0

(A.1)

スラスト軸受としてのアンギュラ玉軸受

(

α

45

°

)

の基本静アキシアル定格荷重 C

0a

から求める

方法は,式

(A.2)

による。

C

0aa

1.43

C

0a

(A.2)

A.4.3

スラスト軸受の溝半径の比をもつアンギュラ玉軸受の補正基本静アキシアル定格荷重の求め方

r

i

/

D

w

0.54

及び r

e

/

D

w

0.54

ラジアル軸受としてのアンギュラ玉軸受

(

α

45

°

)

の基本静ラジアル定格荷重 C

0r

から求める方

法は,式

(A.3)

による。

C

0ar

0.7

C

0r

/

Y

0

(A.3)

スラスト軸受としてのアンギュラ玉軸受

(

α

45

°

)

の基本静アキシアル定格荷重 C

0a

から求める

方法は,式

(A.4)

による。

C

0aa

C

0a

(A.4)

A.5

計算例

A.5.1

α45°のアンギュラ玉軸受の基本静アキシアル定格荷重の不連続性

α

45

°の単列アンギュラ玉軸受をラジアル軸受及びスラスト軸受と考えた場合の基本静アキシアル定

格荷重の不連続性を記述する。計算軸受では,ラジアル軸受の溝半径の比をもち,

(

D

w

cos

α

)/

D

pw

0.16

i

1

とした。

  ラジアル軸受としての基本静アキシアル定格荷重の計算

ラジアル軸受の基本静ラジアル定格荷重

C

0r

は,式

(1)

の C

0r

f

0

iZD

w

2

cos

α によって計算する。

表 1

によって f

0

14.9

で,

表 2

によって Y

0

0.22

である。

C

0r

14.9

×Z×D

w

2

×

cos45°

10.54

ZD

w

2

C

0r

及び Y

0

を式

(A.1)

に代入すると次のようになる。

C

0ar

10.54

×Z×D

w

2

/0.22

47.9

ZD

w

2

  スラスト軸受としての基本静アキシアル定格荷重の計算

スラスト軸受の基本静アキシアル定格荷重

C

0a

は,式

(4)

の C

0a

f

0

ZD

w

2

sin

α で計算し,式

(A.2)

に代入する。

表 1

によって f

0

48.8

である。

C

0aa

1.43

×

48.8

×Z×D

w

2

×

sin45°

49.3

ZD

w

2

この計算によって,α

45

°の単列アンギュラ玉軸受をラジアル軸受と考えた場合とスラスト軸受と考

えた場合とでは,基本静アキシアル定格荷重には不連続が生じるものの,C

0ar

 C

0aa

で,大きな誤差がない

ことを確認できる。

A.5.2

α40°のアンギュラ玉軸受の補正基本静アキシアル定格荷重 C

0ar

の求め方

α

45

°の単列アンギュラ玉軸受の補正基本静アキシアル定格荷重 C

0ar

の求め方を記述する。計算軸受は,

スラスト軸受の溝半径の比をもち,α

40º

D

w

/

D

pw

0.091

,玉の呼び直径 D

w

7.5 mm

,玉の列数 i

1

転動体数 Z

27

とする。ラジアル軸受の基本静ラジアル定格荷重 C

0r

は,式

(1)

の C

0r

f

0

iZD

w

2

cos

α によって


13

B 1519

:2009 (ISO 76:2006)

計算する。

表 1

によって,

(

D

w

cos40

°

)/

D

pw

0.091

×

cos40°

0.07

で,f

0

16.1

となり,また,

表 2

によっ

て Y

0

0.26

が求まる。

C

0r

16.1

×

27

×

7.5

2

×

cos40

°=

18 731

注記

この計算した C

0r

は,ラジアル軸受の溝半径の比に基づいている。

(A.1)

によって,ラジアル軸受の溝半径の比をもつ α

40

°の単列アンギュラ玉軸受の補正基本静アキ

シアル定格荷重 C

0ar

は,次のように求まる。

C

0ar

18 731/0.26

72 042

C

0ar

72 000 N

(A.3)

によって,スラスト軸受の溝半径の比をもつ α

40

°の単列アンギュラ玉軸受の補正基本静アキ

シアル定格荷重 C

0ar

は,次のように求まる。

C

0ar

0.7

×

18 731/0.26

50 430

C

0ar

50 400 N

A.5.3

α60°のアンギュラ玉軸受の補正基本静アキシアル定格荷重 C

0aa

の求め方

α

45

°の単列アンギュラ玉軸受の補正基本静アキシアル定格荷重 C

0aa

の求め方を記述する。

計算軸受は,

スラスト軸受の溝半径の比をもち,α

60

°,D

w

/

D

pw

0.091

,玉の呼び直径 D

w

7.5 mm

,転動体数 Z

27

とする。スラスト軸受の基本静アキシアル定格荷重 C

0a

は,式

(4)

の C

0a

f

0

ZD

w

2

sin

α によって計算する。

1

によって,

(

D

w

cos60

°

)/

D

pw

0.091

×

cos60

°=

0.046

で,f

0

57.82

となる。

C

0a

57.82

×

27

×

7.5

2

×

sin60

°=

76 049

注記

この計算した C

0a

は,スラスト軸受の溝半径の比に基づいている。

(A.4)

によって,スラスト軸受の溝半径の比をもつ α

60

°の単列アンギュラ玉軸受の補正基本静アキ

シアル定格荷重 C

0aa

は,基本静アキシアル定格荷重 C

0a

と同じであり,次のように求まる。

C

0aa

C

0a

76 049

C

0aa

76 000 N

(A.2)

によって,ラジアル軸受の溝半径の比をもつ α

60

°の単列アンギュラ玉軸受の補正基本静アキ

シアル定格荷重 C

0aa

は,次のように求まる。

C

0aa

1.43

×

76 049

108 750

C

0aa

109 000 N