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日本工業規格

JIS

 B

1169

-1994

アイナット

Eyenuts

1.

適用範囲  この規格は,機械器具類のつり上げなど一般の荷役に用いるアイナット(以下,ナットと

いう。

)について規定する。

備考  この規格の引用規格を,付表 に示す。

2.

使用荷重  ナット 1 個による垂直づり及び 2 個による 45 度づり(

1

)

の使用荷重は,

付表 による。

(

1

) 45

度づりの場合は,ざぐりなどを施しナットの座面が相手と密着し,2個のナットのリングの向

きが,

付表1の図のように同一平面内にあるときの使用荷重を示す。

3.

機械的性質

3.1

保証荷重  ナットは,10.1 の規定によって試験したとき,表 の保証荷重以下で破断したり,また,

リングの部分に 0.5%以上の永久変形が生じてはならない。

表 1  保証荷重

単位 kN

ねじの呼び M8 M10

M12

M16

M20 M24

M30

保証荷重(

2

) 2.35 4.41

6.47

13.24

18.54 27.95

44.13

ねじの呼び M36 M42

M48

M64

M80

×6

保証荷重(

2

) 67.67

100.0

132.4

265  441

(

2

)

保証荷重は,使用荷重の3倍である。

3.2

硬さ  ナットの硬さは,10.2 の規定によって試験したとき,62HRB∼88HRB でなければならない。

なお,ナットの表面には著しい脱炭があってはならない。

3.3

ミクロ組織  ナットのミクロ組織は,10.3 の規定によって試験したとき,正常な組織になっており,

帯状フェライトその他有害な欠陥がなく結晶粒度は,JIS G 0551 の粒度番号 5 以上でなければならない。

4.

形状・寸法  ナットの形状・寸法は,付表 による。

5.

ねじ  ナットのねじは,表 による。

表 2  ねじ

ねじ

ねじの呼び

種類

等級

M8

∼M64

JIS B 0205

による。

JIS B 0209

の 6H 又は 2 級。

M80

×6

JIS B 0207

による。

JIS B 0211

の 6H 又は 2 級。

備考  溶融めっきを施したねじの精度は,受渡当事者間の協定による。


2

B 1169-1994

6.

表面状態  ナットの表面は,座面及びねじ部の表面粗さが,JIS B 0601 の 25

µmR

y

その他の部分は

50

µmR

y

で,使用上有害な割れ,きず,かえり,さびなどの表面欠陥があってはならない。

なお,表面欠陥の許容限界の基準は,特に指定のない限り JIS B 1042 によるのがよい。

7.

材料  ナットの材料は,JIS G 3101 の SS400(

3

)

又は JIS G 4051 の S17C 若しくは S20C とする。

(

3

)

ナットに用いる SS400はキルド鋼とし,とりべ分析による P は0.040%以下,S は0.045%以下の

ものとする。

8.

製造方法  ナットの製造は,鍛造によって成形した後,表 の温度で焼ならしを施してから機械加工

を行う。

表 3  焼ならし温度

材料

焼ならし温度

SS400

S17C

S20C

870

∼920℃空冷

9.

表面処理  ナットの表面は,機械加工を施した部分を除いて鍛造はだのまま又はショットブラストを

施した状態とし,めっきその他の表面処理を必要とする場合は指定する。

なお,電気めっきを施したものは,原則としてもろさ除去の処理を行う。

10.

機械的性質の試験方法

10.1

保証荷重試験  ナットの保証荷重試験は,図 のようにねじを切ったマンドレル(

4

)

をナットにはめ

合わせ,リングに直径 1.5dはねじの呼び径)の支え棒を入れて,軸方向に引っ張り,

表 に示す保証

荷重を 15 秒間加えたとき,ナットが破断しないかどうか,また,その荷重を取り除いた後,ナットがマン

ドレルから指で取り外せるかどうか及びリングに永久変形がどの程度生じたかを調べる。

なお,永久変形の測定は,

図 のようにリングの XX 線上に付した標点間の寸法  (L

1

)

又は XX 線上のリ

ング外径  (L

2

)

を標点距離とし,それをノギス又はその他の長さ測定機によって試験前の標点距離  (L)  を

測り,保証荷重を加えた後,同じ方法によって試験後の標点距離  (L')  を測り,次の式によって変形率を求

める。

リングの変形率 (%) =

100

'

×

L

L

L

(

4

)

マンドレルは,試験するナットよりも機械的性質の高いものとし,その硬さは45HRC 以上で,

ねじ部の精度は

4

による。

なお,この条件を満足するならば,マンドレルの代わりにボルトを用いてもよい。


3

B 1169-1994

図 1  保証荷重試験

図 2  永久変形の測定

表 4  マンドレルのねじ部の精度

単位

 mm

外径

有効径

外径

有効径

ねじの呼び  ピッチ

最大

最小

最大

最小

ねじの呼び ピッチ

最大

最小

最大

最小

M8

1.25

7.813  7.760  7.188

7.098

M30

3.5

29.628

29.522 27.727 27.557

M10

1.5

9.791  9.732  9.026

8.920

M36

4

35.583

35.465 33.402 33.222

M12

1.75  11.767 11.701 10.863

10.745

M42

4.5

41.562

41.437 39.077 38.887

M16

2

15.752 15.682 14.701

14.576

M48

5

47.531

47.399 44.752 44.552

M20

2.5

19.706 19.623 18.376

18.244

M64

6

63.470

63.320 60.103 59.879

M24 3

23.670

23.577

22.051

21.891

M80

×6

6

79.470

79.320 76.103 75.879

10.2

硬さ試験

  ナットの硬さ試験は,

JIS Z 2245

に規定する方法によって行い,ナット座面における硬

さを調べる。

なお,硬さの測定箇所は,受渡当事者間の協定によってリングの表面としてもよい。ただし,この場合

は,リングの表面を約 1mm 削り取ってから測定する。

10.3

ミクロ組織試験

  ナットのミクロ組織試験は,リングの中心円を含む縦断面を倍率 100 倍程度の顕

微鏡で観察する。この場合,切断面は研摩仕上げした後,硝酸アルコールの溶液で腐食させて行う。

また,結晶粒度は,

JIS G 0551

に規定する方法によって調べる。

11.

検査

11.1

検査の種類と検査の項目

  ナットの検査は,形式検査

(

5

)

と受渡検査

(

6

)

とに区分し,検査の項目は,

それぞれ次のとおりとする。

なお,形式検査及び受渡検査の抜取検査方式は,受渡当事者間の協定による。

(

5

)

形式検査とは,製品の品質が設計で示されたすべての品質項目を満足するかどうかを判定する

ための検査をいう。

(

6

)

受渡検査とは,既に形式検査に合格したものと同じ設計・製造に係る製品の受渡しに際して,

必要と認められる品質項目が満足するものであるかどうかを判定するための検査をいう。

(1)

形式検査項目

  形式検査として行う検査項目は,次による。

(a)

保証荷重検査

(b)

硬さ検査


4

B 1169-1994

(c)

ミクロ組織検査

(d)

形状・寸法検査

(e)

ねじ検査

(f)

表面状態検査

(g)

材料検査

(2)

受渡検査項目

  受渡検査として行う検査項目は,次による。

(a)

保証荷重検査

(b)

硬さ検査

(c)

形状・寸法検査

(d)

ねじ検査

(e)

表面状態検査

11.2

形式検査

  ナットの形式検査は,次による。

(1)

保証荷重検査

  ナットの保証荷重検査は,

10.1

に規定する方法で試験したとき,

3.1

の規定に適合しな

ければならない。

(2)

硬さ検査

  ナットの硬さ検査は,

10.2

に規定する方法で試験したとき,

3.2

の規定に適合しなければな

らない。

(3)

ミクロ組織検査

  ナットのミクロ組織検査は,

10.3

に規定する方法で試験したとき,

3.3

の規定に適合

しなければならない。

(4)

形状・寸法検査

  ナットの形状・寸法検査は,直接測定,限界ゲージその他の方法で行い,

4.

の規定

に適合しなければならない。

(5)

ねじ検査

  ナットのねじ検査は,

JIS B 0251

若しくは

JIS B 0252

に規定するねじ用限界ゲージ又はこ

れに代わるねじ検査器具によって行い,

5.

の規定に適合しなければならない。

(6)

表面状態検査

  ナットの表面状態検査は,目視によって行い,

6.

の規定に適合しなければならない。

ただし,表面粗さは,表面粗さ標準片(

JIS B 0659

参照)又は表面粗さ測定器(

JIS B 0651

参照)を

用いて検査する。

なお,表面欠陥の検査は,必要に応じて

JIS G 0565

又は

JIS Z 2343

に規定する方法によって行う。

(7)

材料検査

  ナットの材料検査は,原則として試験成績表による確認とし,とりべ分析による化学成分

が,

7.

に規定する材料のものに適合しなければならない。

11.3

受渡検査

  ナットの受渡検査は,次による。

(1)

保証荷重検査

  保証荷重検査は,

11.2

(1)

による。ただし,受渡当事者間の協定により形式検査の保

証荷重検査の成績を確認することによって,この検査を省略してもよい。

(2)

硬さ検査

  硬さ検査は,

11.2

(2)

による。

(3)

形状・寸法検査

  形状・寸法検査は,

11.2

(4)

による。

(4)

ねじ検査

  ねじ検査は,

11.2

(5)

による。

(5)

表面状態検査

  表面状態検査は,

11.2

(6)

による。

12.

包装

  ナットの包装は,製品が損傷しないようにし,めっきなどの表面処理を施さないナットは,適

当なさび止め油を塗布してから包装する。

13.

製品の呼び方

  ナットの呼び方は,規格番号又は規格名称,ねじの呼び及び指定事項による。


5

B 1169-1994

(

7

)

この記号は,

JIS H 8610

に規定する2種の2級を示す。

14.

表示

14.1

製品の表示

  ねじの呼び M16 以上のナットには,原則として座の円筒部又はその他適当な箇所にね

じの呼び

(

8

)

及び製造業者の略号を表示する。

(

8

)

ねじの呼び M80×6のものは,ピッチの表示を省略してもよい。

14.2

包装の表示

  ナットの包装には,外面に次の事項を表示する。

(1)

規格名称

(2)

ねじの呼び

(3)

数量・指定事項

(4)

製造業者名又はその登録商標


6

B 1169-1994

付表 1  アイナットの形状・寸法及び使用荷重

単位

 mm

使用荷重

垂直づり

45

度づり(

9

)

(2 個につき)

ねじの呼び

(d)

a

b

c

D

t

h

H

(参考)

r

(約)

d'

kN kN

M8

32.6 20

6.3 16  12  23  39.3

8

8.5

0.785  0.785

M10

41 25  8 20 15 28 48.5

10 10.6

1.47  1.47

M12

50 30 10 25 19 36 61 12 12.5

2.16  2.16

M16

60 35 12.5

30 23 42 72 14 17  4.41  4.41

M20

72 40 16 35 28 50 86 16 21.2

6.18  6.18

M24

90 50 20 45 38 66 111 25 25  9.32  9.32

M30  110 60 25 60 46 80

135 30 31.5

14.7  14.7

M36  133 70 31.5

70 55 95

161.5

35 37.5

22.6  22.6

M42  151 80 35.5

80 64

109

184.5

40 45 33.3  33.3

M48  170 90 40 90 73

123

208 45 50 44.1  44.1

M64  210

110 50 110 90

151

256 50 67 88.2  88.2

M80

×6 266 140  63 130 108 184 317  60  85 147  147

(

9

) 45

度づりの使用荷重は,ナットの座面が相手と密着し,2個のナットのリングの向きが上図のように同一平

面内にある場合に適用する。

備考  abcD及び の許容差は,JIS B 0415 の並級,d'の許容差は,JIS B 0405 の粗級とする。

付表 2  引用規格

JIS B 0205

  メートル並目ねじ

JIS B 0207

  メートル細目ねじ

JIS B 0209

  メートル並目ねじの許容限界寸法及び公差

JIS B 0211

  メートル細目ねじの許容限界寸法及び公差

JIS B 0251

  メートル並目ねじ用限界ゲージ

JIS B 0252

  メートル細目ねじ用限界ゲージ

JIS B 0405

  普通公差−第 1 部:個々に公差の指示がない長さ寸法及び角度寸法に対する公差

JIS B 0415

  鋼の熱間型鍛造品公差(ハンマ及びプレス加工)

JIS B 0601

  表面粗さ−定義及び表示

JIS B 0651

  触針式表面粗さ測定器


7

B 1169-1994

JIS B 0659

  比較用表面粗さ標準片

JIS B 1042

  締結用部品−表面欠陥  第 2 部  ねじの呼び M5∼M39 のナット

JIS G 0551

  鋼のオーステナイト結晶粒度試験方法

JIS G 0565

  鉄鋼材料の磁粉探傷試験方法及び磁粉模様の分類

JIS G 3101

  一般構造用圧延鋼材

JIS G 4051

  機械構造用炭素鋼鋼材

JIS H 8610

  電気亜鉛めっき

JIS Z 2245

  ロックウェル硬さ試験方法

JIS Z 2343

  浸透探傷試験方法及び浸透指示模様の分類

機械要素部会  つりボルト・ナット専門委員会  構成表(昭和 50 年 3 月 1 日改正のとき)

氏名

所属

(委員会長)

北  郷      薫

東京大学工学部

益  田      亮

相模工業大学工学部

逢  坂  國  一

工業技術院標準部

宇田川  鉦  作

日本ねじ研究協会

榎  本  善四郎

社団法人日本ねじ工業協会

岡  田  勝  一

浪速鉄工株式会社

國  本  静  夫

株式会社平戸製作所

張ケ谷  栄  次

株式会社平和螺子工業所

村  上  真一郎

村上工業株式会社

山  本  周  蔵

静香産業株式会社

喜  多  智慧夫

株式会社荏原製作所技術管理部

沢  畠  三  美

株式会社明電舎プラント部大崎工場

西  村      清

石川島播磨重工業株式会社生産技術部

野  沢      守

株式会社日立製作所日立工場技術部

平  松  精  一

東京芝浦電気株式会社府中工場情報システム部

山  口  直  洋

三菱重工業株式会社造機管理部

(専門委員)

中  村  智  男

日本ねじ研究協会

(事務局)

伊  東      厚

工業技術院標準部機械規格課

(事務局)

熊  川  誠  一

工業技術院標準部機械規格課(平成 6 年 3 月 1 日改正のとき)