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B 1053

:2014 (ISO 898-5:2012)

(1)

目  次

ページ

序文  

1

1

  適用範囲  

1

2

  引用規格  

2

3

  用語及び定義  

3

4

  記号及び意味  

3

5

  硬さ区分の表し方  

4

6

  材料 

4

7

  機械的及び物理的性質  

5

8

  試験方法の適用  

5

8.1

  製造業者による検査  

5

8.2

  供給者による検査  

6

8.3

  購入者による検査  

6

9

  試験方法  

6

9.1

  硬さ試験  

6

9.2

  脱炭試験  

7

9.3

  浸炭試験  

10

9.4

  硬さ区分 45H の六角穴付き止めねじ及びヘクサロビュラ穴付き止めねじに対する保証トルク試験 

11

10

  表示  

12

10.1

  一般  

12

10.2

  製造業者の識別記号  

12

10.3

  硬さ区分の製品表示  

12

10.4

  包装の表示  

12

附属書 A(参考)止めねじの電気めっき後の耐水素ぜい(脆)性に対する処置  

13


B 1053

:2014 (ISO 898-5:2012)

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,日本ねじ研究協会

(JFRI)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべき

との申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS B 1053:1999 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。


日本工業規格

JIS

 B

1053

:2014

(ISO 898-5

:2012

)

炭素鋼及び合金鋼製締結用部品の機械的性質−

硬さ区分を規定した止めねじ及び類似のおねじ部品

−並目ねじ及び細目ねじ

Mechanical properties of fasteners made of carbon steel and alloy steel-

Set screws and similar threaded fasteners with

specified hardness classes-Coarse thread and fine pitch thread

序文 

この規格は,2012 年に第 3 版として発行された ISO 898-5 を基に,技術的内容及び構成を変更すること

なく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない事項である。

適用範囲 

この規格は,10  ℃∼35  ℃の環境温度範囲で試験を行ったときの炭素鋼又は合金鋼製の止めねじ,及び

類似のおねじ部品(以下,これらを総称する場合は,止めねじという。

)の機械的及び物理的性質について

規定する。この規格の要求事項に適合する止めねじは,環境温度範囲で評価するので,高温及び/又は低

温では,規定の機械的及び物理的性質を満足しないことがある。

この規格に規定する止めねじは,硬さ区分によって分類し,圧縮力を受ける場合に限定する(

附属書 A

参照)

注記 1  この規格で規定する止めねじは,−50  ℃∼+150  ℃の温度範囲で使用する。−50  ℃より低

い温度及び+150  ℃を超えて+300  ℃までの温度範囲については,個々の適用状況に対して

適切な選択を行うために,締結用部品の材料の専門家からの助言を受けることを推奨する。

この規格は,次の条件の止めねじに適用する。

−  炭素鋼及び合金鋼製のもの

−  JIS B 0205-1 による一般用メートルねじのもの

− M1.6∼M30 の並目ねじ及び M8×1∼M30×2 の細目ねじのもの

−  JIS B 0205-2 及び JIS B 0205-3 による呼び径とピッチとの組合せのもの

−  JIS B 0209-1 及び JIS B 0209-2 による公差のもの

また,次に示すような特性に対する要求については,規定しない。

−  引張強さ

−  せん断強さ


2

B 1053

:2014 (ISO 898-5:2012)

−  溶接性

−  耐食性

−  温度 150  ℃以上の耐熱性又は−50  ℃以下の耐寒性

注記 2  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 898-5:2012

,Mechanical properties of fasteners made of carbon steel and alloy steel−Part 5: Set

screws and similar threaded fasteners with specified hardness classes

−Coarse thread and fine

pitch thread

(IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“一致している”

ことを示す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS B 0143

  締結用部品−ねじ部品の寸法の記号及び意味

注記  対応国際規格:ISO 225:2010,Fasteners−Bolts, screws, studs and nuts−Symbols and descriptions

of dimensions

(IDT)

JIS B 0205-1

  一般用メートルねじ−第 1 部:基準山形

注記  対応国際規格:ISO 68-1:1998,ISO general purpose screw threads−Basic profile−Part 1: Metric

screw threads

(IDT)

JIS B 0205-2

  一般用メートルねじ−第 2 部:全体系

注記  対応国際規格:ISO 261:1998,ISO general purpose metric screw threads−General plan(IDT)

JIS B 0205-3

  一般用メートルねじ−第 3 部:ねじ部品用に選択したサイズ

注記  対応国際規格:ISO 262:1998,ISO general purpose metric screw threads−Selected sizes for screws,

bolts and nuts

(IDT)

JIS B 0209-1

  一般用メートルねじ−公差−第 1 部:原則及び基礎データ

注記  対応国際規格:ISO 965-1:1998,ISO general purpose metric screw threads−Tolerances−Part 1:

Principles and basic data

(IDT)

JIS B 0209-2

  一般用メートルねじ−公差−第 2 部:一般用おねじ及びめねじの許容限界寸法−中(は

めあい区分)

注記  対応国際規格:ISO 965-2:1998,ISO general purpose metric screw threads−Tolerances−Part 2:

Limits of sizes for general purpose external and internal screw threads

−Medium quality(IDT)

JIS B 0209-3

  一般用メートルねじ−公差−第 3 部:構造体用ねじの寸法許容差

注記  対応国際規格:ISO 965-3:1998,ISO general purpose metric screw threads−Tolerances−Part 3:

Deviations for constructional screw threads

(IDT)

JIS B 1041

  締結用部品−表面欠陥  第 1 部  一般要求のボルト,ねじ及び植込みボルト

注記  対応国際規格:ISO 6157-1:1988,Fasteners−Surface discontinuities−Part 1: Bolts, screws and

studs for general requirements

(IDT)

JIS B 1092

  締結用部品−品質保証システム

注記  対応国際規格:ISO 16426:2002,Fasteners−Quality assurance system(IDT)

JIS Z 2243

  ブリネル硬さ試験−試験方法


3

B 1053

:2014 (ISO 898-5:2012)

注記  対応国際規格:ISO 6506-1:2005,Metallic materials−Brinell hardness test−Part 1: Test method

(MOD)

JIS Z 2244

  ビッカース硬さ試験−試験方法

注記  対応国際規格:ISO 6507-1:2005,Metallic materials−Vickers hardness test−Part 1: Test method

(MOD)

JIS Z 2245

  ロックウェル硬さ試験−試験方法

注記  対応国際規格:ISO 6508-1:2005,Metallic materials−Rockwell hardness test−Part 1: Test method

(scales A, B, C, D, E, F, G, H, K, N, T)

(MOD)

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。

3.1

生地金属の硬さ(base metal hardness)

浸炭又は脱炭を示す硬さの上昇又は下降(軸の中心部から外周方向に走査したとき)が見られる表面近

傍の直前の硬さ。

3.2

浸炭(carburization)

生地金属の炭素量に対して表面の炭素量が増加する状態。

3.3

脱炭(decarburization)

おねじ部品の表面における炭素が減少する状態。

3.4

部分脱炭(partial decarburization)

焼戻しマルテンサイトが僅かに見え,隣接した生地金属より明らかに低い硬さを示す程度まで,炭素の

一部が減少した脱炭で,金属組織にフェライト粒が見えない状態。

3.5

フェライト脱炭(ferritic decarburization)

焼戻しマルテンサイトが僅かに見え,隣接した生地金属より明らかに低い硬さを示す程度まで,炭素の

一部が減少した脱炭で,フェライト粒又は境界の組織が金属組織で確認できる状態。

3.6

完全脱炭(complete decarburization)

ほとんどの炭素が減少した状態で,明らかに判別できるフェライト粒が金属組織で確認できる状態。

3.7

製品の硬さ(performance hardness)

ねじ先端の軸心にできるだけ近い表面で求められる硬さ。

記号及び意味 

この規格で用いる主な記号及び意味は,JIS B 0143 及び JIS B 0209-1 によるほか,次による。

D

ブリネル硬さ試験における圧子の直径,mm

d

ねじの呼び径,mm


4

B 1053

:2014 (ISO 898-5:2012)

E

ねじ山の非脱炭部の高さ,mm

e

対角距離,mm

F

ブリネル硬さ試験における試験力,N

G

ねじ山の完全脱炭層の深さ,mm

H

とがり山の高さ,mm

H

1

最大実体状態におけるねじ山の高さ,mm

P

ねじのピッチ,mm

s

二面幅,mm

t

内側駆動形体の深さ,mm

min

最小値であることを表す下付き添字

硬さ区分の表し方 

止めねじの硬さ区分は,

表 に示す記号で表す。

この記号の数字は,ビッカース硬さの最小値の 1/10 を示す。

文字の H は,硬さを意味している。

表 1−硬さ区分記号 

硬さ区分記号 14H

22H

33H

45H

ビッカース硬さ  HV

min

 140

220

330

450

この規格の適用範囲外のサイズ(例えば,d>30 mm)であっても,

表 及び表 に示す機械的及び物理

的性質の要求事項を満たしていれば,この規格の硬さ区分の表し方を適用してもよい。

材料 

止めねじの硬さ区分に対する鋼材の化学成分の限界値は,

表 による。化学成分は,関係する日本工業

規格に従って評価する。

注記  特定の化学元素の制限又は禁止に関する国家規格については,それぞれの国又は地域で考慮す

る必要がある。

表 2−鋼材 

硬さ

区分

材料

熱処理

a)

化学成分(溶鋼分析値,%)

b)

C P

S

最大

最小

最大

最大

14H

炭素鋼

c)

− 0.50

− 0.11 0.15

22H

炭素鋼

d)

焼入焼戻し

0.50 0.19 0.05 0.05

33H

炭素鋼

d)

焼入焼戻し

0.50 0.19 0.05 0.05

45H

炭素鋼

d)e)

焼入焼戻し

0.50 0.45 0.05 0.05

添加物(例えば,B,Mn,Cr)入り炭素鋼

d)

焼入焼戻し

0.50 0.28 0.05 0.05

合金鋼

d)f)

焼入焼戻し

0.50 0.30 0.05 0.05

a)

熱処理によって表面が硬化してはならない。

b)

疑義が生じた場合には,製品分析値を適用する。

c)

これらの硬さ区分の材料には,快削鋼を用いてもよい。ただし,硫黄(S)

,りん(P)及び鉛(Pb)

の最大含有量は,次による。

S

:0.34 %,P:0.11 %,Pb:0.35 %


5

B 1053

:2014 (ISO 898-5:2012)

表 2−鋼材(続き) 

d)

最大 0.35 %の鉛(Pb)を含んだ鋼を使用してもよい。

e)

ねじの呼び M16 以下に適用する。

f)

この合金鋼には,次の合金元素を 1 種類以上含まなければならない。各元素の最小の含有量は,次に

よる。

クロム(Cr)0.30 %,ニッケル(Ni)0.30 %,モリブデン(Mo)0.20 %,バナジウム(V)0.10 %

なお,上記の合金元素を 2∼4 種類組み合わせて含有させる場合で,個々の元素の含有量が上記の

最小量より小さくなる場合には,鋼種区分の判定に用いる限界値は,組み合わせて用いる各元素に対
する上記限界値の合計の 70 %とする。 

機械的及び物理的性質 

止めねじは,環境温度範囲(10  ℃∼35  ℃)において,箇条 で規定された方法で試験を行い,

表 

示す機械的及び物理的性質を満足しなければならない。

表 3−機械的及び物理的性質 

番号

機械的及び物理的性質

硬さ区分

1

製品の硬さ(9.1.2 参照) 14H

22H

33H

45H

1.1

ビッカース硬さ,HV10

最小

140 220 330 450

最大

290 300 440 560

1.2

ブリネル硬さ,HBW,

F

=30D

2

/0.102

最小

133 209 314 428

最大

276 285 418 532

1.3

ロックウェル

硬さ

HRB

最小

75 95

最大

105

a) 

HRC

最小

a) 

33 45

最大

− 30 44 53

2

保証トルク

表 による。

3

ねじ山の非脱炭部の高さ,E

最小

2

1

H

1

3

2

H

1

4

3

H

1

4

完全脱炭層の深さ,G  mm

最大

− 0.015

0.015

b) 

5

表面硬さ,HV0.3(9.1.3 参照)

最大

− 320 450 580

6

非浸炭部分の硬さ,HV0.3

最大

c) c) c) 

7

表面の状態

JIS B 1041

による。 

a)

硬さ区分 22H のものに対するロックウェル硬さの最大は,HRC によって試験し,最小は,HRB の試

験による。

b)

硬さ区分 45H のものは,完全脱炭部があってはならない。

c)

表面硬さ及び内部硬さの両方が HV0.3 によって求められている場合,表面硬さは,内部の硬さより 30

ポイントを超える値になってはならない(

図 参照)。

試験方法の適用 

8.1 

製造業者による検査 

この規格による止めねじは,

表 3∼表 の要求を満足しなければならない。

この規格は,製造業者がそれぞれの製造ロットに対して,どの試験を行うべきか指示していない。製造

ロットが全ての要求を満足していることを保証するために,

適切な工程内検査を選択して実施することは,

製造業者の責任である。

疑義が生じた場合には,箇条 による試験方法を適用する。


6

B 1053

:2014 (ISO 898-5:2012)

8.2 

供給者による検査 

供給者は,供給する止めねじが

表 3∼表 に規定する機械的及び物理的性質を満足するならば,供給者

が選択する方法(製造業者の定期的な評価若しくは検証結果又は実際の止めねじでの試験など)で止めね

じを検査してもよい。

疑義が生じた場合には,箇条 による試験方法を適用する。

8.3 

購入者による検査 

購入者は,箇条 の試験方法を用いて,供給された止めねじを検査してもよい。

疑義が生じた場合には,注文時の合意がない限り,箇条 による試験方法を適用する。

試験方法 

9.1 

硬さ試験 

9.1.1 

一般 

硬さ試験の目的は,次の二つである。

a)  9.1.2

による試験方法を用い,

表 の番号 1 の 1.1∼1.3 に規定する製品の硬さを求める。

b)  9.1.3

による試験方法を用い,

表 の番号 5 に規定する表面硬さを求める。

9.1.2 

製品の硬さ 

9.1.2.1 

適用 

この試験は,硬さ区分 14H∼45H の全ての止めねじに適用する。

9.1.2.2 

試験方法 

硬さは,ビッカース,ブリネル又はロックウェルの硬さ試験によって求めることができる。

a)

ビッカース硬さ試験  ビッカース硬さ試験は,JIS Z 2244 による。

b)

ブリネル硬さ試験  ブリネル硬さ試験は,JIS Z 2243 による。

c)

ロックウェル硬さ試験  ロックウェル硬さ試験は,JIS Z 2245 による。

9.1.2.3 

試験手順 

硬さ試験は,ねじ先端面のできるだけ軸心に近い位置で行う。

ねじの先端部分が,測定値の再現性を確保できるのであれば,受け取った状態で試験する。ただし,ね

じ先端部分の表面が平らでない場合には,受渡時の測定値が再現でき,元の生地の表面の状態を保持でき

る程度の最小限の研削及び研磨を施してもよい。

ブリネル硬さの試験力は,

表 による。

疑義が生じた場合には,ビッカース硬さ試験を受入検査の判定の試験とする。

9.1.2.4 

要求事項 

硬さ試験によって求めた値は,

表 に規定する硬さの値の範囲内になければならない。

表 に規定する硬さの最大値を超える場合には,ねじ先端部から 0.5離れた軸直角断面において,軸心

から半径が 0.25の円の領域で再試験する(

図 参照)。求めた硬さが,表 に規定する硬さの値の範囲内

になければならない。


7

B 1053

:2014 (ISO 898-5:2012)

1

ねじの軸心

2

半径が 0.25の円の領域

図 1−硬さを求めるための半径が 0.25の円の領域 

9.1.3 

表面硬さ 

9.1.3.1 

適用 

この試験は,硬さ区分 22H∼45H の全ての止めねじに適用する。

9.1.3.2 

試験手順 

止めねじの先端の適切な表面を,測定値の再現性を確保すると同時に,元の表面層の特性を維持する程

度に,最小の研削及び研磨によって仕上げる。

表面硬さは,準備した表面で求める。硬さを求める際の試験力は,2.942 N(ビッカース硬さ HV 0.3)と

する。

9.1.3.3 

要求事項 

表面における硬さ試験によって求めた値は,

表 に規定する最大値を超えてはならない。

9.2 

脱炭試験 

9.2.1 

一般 

脱炭試験の目的は,焼入焼戻しを施した止めねじの表面が脱炭しているか否かを検出すること及び完全

脱炭層の深さを求めることである。

注記  熱処理工程によって引き起こされる炭素量の消失(脱炭)は,表 の規定限度を超えると,ね

じ山の強度が低下して,破損の原因となることがある。

脱炭に関する性質は,次の二つの方法を使用して求める。

−  顕微鏡による方法

−  硬さによる方法

顕微鏡による方法は,完全脱炭層の深さ G,フェライト脱炭の有無,及び生地金属の高さ を求めるた

めに使用する(

図 参照)。

硬さによる方法は,生地金属の最小高さ の要求事項が満たされているかどうかを求めること,及び脱

炭の検出のために使用する(

図 参照)。


8

B 1053

:2014 (ISO 898-5:2012)

1

完全脱炭

2

部分脱炭又はフェライト脱炭

3

ピッチ線

4

生地金属

E

ねじ山の非脱炭部の高さ

G

ねじ山の完全脱炭層の深さ

H

1

最大実体状態におけるねじ山の高さ

図 2−脱炭層 

9.2.2 

顕微鏡による方法 

注記  この方法では,及び の両方を求めることができる。

9.2.2.1 

適用 

この方法は,硬さ区分 22H∼45H の全ての止めねじに適用する。

9.2.2.2 

試験片の準備 

試験片は,全ての熱処理作業が終わった止めねじから採取する。表面処理を施したものは,皮膜を除去

する。

ねじの先端から約 0.5の位置におけるねじ部の軸心を含む長手方向の軸断面を削り出し,それを試験片

とする。試験片をプラスチックに埋め込むか又は他の方法によって固定する。固定後,適切な金属学的処

理方法に従って,表面を研削及び研磨する。

注記  脱炭によって生じる微細組織の変化を調べるには,3 %ナイタル(濃硝酸のエチルアルコール

溶液)によってエッチングするのがよい。

9.2.2.3 

試験手順 

試験片を顕微鏡にセットする。受渡当事者間で特別の協定がない場合には,倍率 100 倍の顕微鏡を用い

る。顕微鏡が,すりガラスのスクリーン付きタイプである場合は,脱炭部の程度をスケールによって直接

測定する。接眼鏡で測定する場合は,十字線又は尺度目盛をもつタイプのものを用いる。

9.2.2.4 

要求事項 

完全脱炭がある場合には,その深さ の最大値が

表 の規定を満足しなければならない。非脱炭部の高

さ は,

表 の規定を満足しなければならない。


9

B 1053

:2014 (ISO 898-5:2012)

表 4H

1

及び の値 

単位  mm

ねじのピッチ P

0.5 0.6 0.7 0.8  1  1.25

1.5

1.75

2 2.5 3 3.5

H

1

0.307 0.368 0.429

0.491

0.613

0.767

0.920

1.074

1.227 1.534 1.840

2.147

硬さ 
区分

22H

E

min

  0.154 0.184 0.215

0.245

0.307

0.384

0.460

0.537

0.614 0.767 0.920

1.074

33H

0.205 0.245 0.286

0.327

0.409

0.511

0.613

0.716

0.818 1.023 1.227

1.431

45H

0.230 0.276 0.322

0.368

0.460

0.575

0.690

0.806

0.920 1.151 1.380

1.610

9.2.3 

硬さによる方法(部分脱炭の判定方法) 

9.2.3.1 

適用 

この方法は,次の条件の止めねじに適用する。

a)

ピッチ が,P≧1.25 mm で,硬さ区分が 22H 及び 33H。

b)

硬さ区分が 45H である全てのサイズ。

9.2.3.2 

試験片の準備 

試験片は,9.2.2.2 に従って準備する。ただし,エッチング及び皮膜の除去は必要ない。

9.2.3.3 

試験手順 

図 に示す点 1 及び点 2 でビッカース硬さを求める。試験力は,2.942 N(ビッカース硬さ HV0.3)とす

る。

9.2.3.4 

要求事項 

表 で規定した E

min

の点(

図 の点 2)で測定したビッカース硬さ HV(2)は,図 に示した点 1 で測定

したビッカース硬さ HV(1)より 30 ポイント小さい値以上でなければならない。非脱炭部の高さ は,

表 4

に規定されている要求事項を満足しなければならない。

注記  硬さによる方法では,表 で規定する完全脱炭層の深さ の最大値を超えるかどうかを判定す

ることはできない。

単位  mm

脱炭なし:HV(2)≧HV(1)−30
浸炭なし:HV(3)≦HV(1)+30

E

ねじ山の非脱炭部の高さ,mm

H

1

最大実体における止めねじのねじ山の高さ,mm

1

,2,3  測定点(1 は,基準となる点)

4

ピッチ線

a)

 0.14

mm

は,ピッチ線上の距離として換算した値である。

図 3−脱炭試験及び浸炭試験における硬さの求め方 


10

B 1053

:2014 (ISO 898-5:2012)

9.3 

浸炭試験 

9.3.1 

一般 

浸炭試験の目的は,焼入焼戻しを施した止めねじの表面が,熱処理の間に浸炭していないことの判定を

求めることである。生地金属部の硬さの値と表面硬さの値との差は,表面層の浸炭状態の評価に有効であ

る。

注記  浸炭によって表面の硬さが増大すると,有害なぜい(脆)化を生じる。浸炭によって生じる表

面の硬さの増大と,熱処理による硬さの増大又は熱処理後のねじ転造などの冷間加工による硬

さの増大とは,注意深く区別する必要がある。

浸炭は,次のいずれかの方法によって求める。

a)

軸断面における硬さ試験

b)

表面における硬さ試験

疑義が生じた場合には,軸断面における硬さ試験を判定の試験方法とする。

9.3.2 

軸断面における硬さ試験による方法 

9.3.2.1 

適用 

この試験方法は,次の条件の止めねじに適用する。

a)

ねじのピッチ が,P≧1.25 mm で,硬さ区分が 22H 及び 33H

b)

硬さ区分が 45H の全てのサイズ

9.3.2.2 

試験片の準備 

試験片は,9.2.2.2 に従って準備する。ただし,エッチング及び皮膜の除去は必要ない。

9.3.2.3 

試験手順 

図 に示す点 1 及び点 3 でビッカース硬さを求める。試験力は,2.942 N(ビッカース硬さ HV0.3)とす

る。

試験片が 9.2.3.3 による試験で使用したものと同じである場合には,点 3 の硬さは,点 1 及び点 2 で硬さ

を求めたねじ山と隣接するねじ山のピッチ線上で求める。

9.3.2.4 

要求事項 

点 3 で測定したビッカース硬さ HV(3)の値は,点 1 で測定したビッカース硬さ HV(1)より 30 ポイント大

きい値[HV(1)+30]以下でなければならない。

ビッカース硬さで 30 ポイントを超える増大は,浸炭とみなす。

9.3.3 

表面における硬さ試験による方法 

9.3.3.1 

適用 

この試験方法は,硬さ区分 22H∼45H の止めねじに適用する。

9.3.3.2 

試験片の準備 

止めねじのねじ先の適切な平らな表面を,測定値の再現性を確保すると同時に,元の表面層の特性を維

持する程度に,最小の研削及び研磨によって仕上げる。

軸直角断面は,ねじ部の先端から 0.5の位置とし,測定する表面は,適切な前処理を行う。

9.3.3.3 

試験手順 

表面硬さは,準備した表面で求める。

生地金属の硬さは,軸直角断面で求める。

いずれの方法でも,硬さを求める際の試験力は,2.942 N(ビッカース硬さ HV0.3)とする。


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B 1053

:2014 (ISO 898-5:2012)

9.3.3.4 

要求事項 

求められた表面硬さの値は,

生地金属の硬さよりビッカース硬さで 30 ポイントを超えて大きくてはなら

ない。

ビッカース硬さで 30 ポイントを超える増大は,浸炭とみなす。

9.4 

硬さ区分 45H の六角穴付き止めねじ及びヘクサロビュラ穴付き止めねじに対する保証トルク試験 

9.4.1 

適用 

この試験は,次の条件の六角穴付き止めねじ及びヘクサロビュラ穴付き止めねじに適用する。

a)

硬さ区分が 45H の止めねじ。

b)

ねじの呼びが M3∼M30 の並目ねじ,及び M8×1∼M30×2 の細目ねじ。

9.4.2 

試験手順 

止めねじを,

図 に示すように上端が試験ブロックの上面と同一面となるように挿入し,その状態で止

めねじの先端が固定された台に当たるように取り付ける。

図 は,支えボルトを用いて,試験ブロックの

反対側から止めねじのねじ先端に向かってねじ込んで固定した例である。

1

トルクレンチ

2

試験対象の止めねじ

3

試験ブロック:硬さ 50HRC 以上,めねじの公差域クラス 5H(JIS B 0209-3 による。

4

支えボルト:硬さ 450HV∼570HV

図 4−トルク試験装置の例 

保証トルク試験に用いる駆動用のビットの硬さは,55HRC∼60HRC のものを用い,ビットの先端が六角

穴の底に当たるまで差し込み,

表 に規定する保証トルクを加える。

六角穴の駆動用のビットは,二面幅 の寸法許容差が h9 で,対角距離 は二面幅 の最小値の 1.13 倍以

上のものを用いる。

トルク測定器は,最大測定限度に対して,精度 5 %以内のものを使用する。

疑義が生じた場合には,使用したトルク測定器の測定範囲は,全ての測定値に関して上半分とする。


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B 1053

:2014 (ISO 898-5:2012)

9.4.3 

要求事項 

表 に規定する保証トルクを止めねじに負荷したときに,破損又は割れを起こすことなく,この保証ト

ルク値に耐えられなければならない。

また,保証トルク試験によって発生したと思われる六角穴に生じたきずは,不適合の理由にしてはなら

ない。

表 5−保証トルク 

ねじの呼び径

mm

(並目ねじ及び細目ねじ)

試験する六角穴付き止めねじの最小長さ

a)

mm

保証トルク

N

・m

平先

とがり先

棒先

くぼみ先

3

4 5 6 5  0.9

4

5 6 8 6  2.5

5

6 8 8 6  5

6 8

8

10

8

8.5

8

10 10 12 10  20

10

12 12 16 12  40

12

16 16 20 16  65

16

20 20 25 20 160

20

25 25 30 25 310

24

30 30 35 30 520

30

36 36 45 36 860

a)

ヘクサロビュラ穴付き止めねじに対しては,最小長さを規定しない(内側駆動形体
の深さ の最小値は,全ての長さに対して同じである。

10 

表示 

10.1 

一般 

この規格に適合した止めねじの表示は,箇条 の硬さ区分の表し方を適用し,10.3 及び 10.4 の規定によ

る。

10.2 

製造業者の識別記号 

製造業者の識別記号の表示は,施さなくてもよい。

10.3 

硬さ区分の製品表示 

製品には,箇条 の硬さ区分記号の表示は,一般に施さなくてもよい。ただし,硬さ区分記号の表示を

特に必要とする場合は,受渡当事者間の協定による。

10.4 

包装の表示 

全ての種類の全てのサイズの止めねじに対して,個々の包装には,表示を施す(例えば,ラベルによっ

て)

。包装の表示には,JIS B 1092 の規定による製造ロット番号のほかに,

表 よる硬さ区分の表示記号に

応じて,製造業者及び/又は販売業者の識別を含めなければならない。


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B 1053

:2014 (ISO 898-5:2012)

附属書 A

(参考)

止めねじの電気めっき後の耐水素ぜい(脆)性に対する処置

圧縮力下で使用する止めねじにおいて,JIS B 1044(締結用部品−電気めっき)に基づく電気めっき後

の水素ぜい(脆)性に対する処置は必要としない。また,軸方向力又は曲げ力による引張力が作用する使

われ方に関しては,硬さ区分 33H 及び 45H の止めねじを使用することは推奨しない。

参考文献 

JIS B 1044

  締結用部品−電気めっき

注記  対応国際規格:ISO 4042,Fasteners−Electroplated coatings(IDT)