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B 1046

:2005 (ISO 10683:2000)

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,日本ねじ研究協会(JFRI)/財団法人日本規格

協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の

審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 10683:2000,

Fasteners-Non-electrolytically applied zinc flake coatings

を基礎として用いた。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS B 1046

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(参考)耐食性要求に関連した皮膜厚さの選択例


日本工業規格

JIS

 B

1046

:2005

(ISO 10683

:2000

)

締結用部品−非電解処理による亜鉛フレーク皮膜

Fasteners-Non-electrolytically applied zinc flake coatings

序文  この規格は,2000 年に第 1 版として発行された ISO 10683,Fasteners-Non-electrolytically applied zinc

flake coatings

を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。

1. 

適用範囲  この規格は,メートルねじをもつ鋼製の締結用部品に用いる非電解処理による亜鉛フレー

ク皮膜の厚さ,耐食性並びに機械的性質及び物理的性質の要求事項について規定する。

この規格は,クロム酸塩を含むものと含まないものの両方に対して適用する。

この規格による皮膜は,木ねじ,タッピンねじ,ドリルねじ及びスレッドローリングねじのように,そ

れ自身でめねじを成形する鋼製のねじにも適用し,同様に座金及びピンのようなねじをもたない鋼製部品

にも適用してよい。

この皮膜は,ほかのタイプのねじをもつ鋼製の締結用部品にも適用してよい。

この規格による皮膜には,内部潤滑性及び/又は外部潤滑性を加えることができる。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD(修

正している)

,NEQ(同等でない)とする。

ISO 10683:2000

,Fasteners-Non-electrolytically applied zinc flake coatings (IDT)

2. 

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構

成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その

最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS B 0209-1

  一般用メートルねじ−公差−第 1 部:原則及び基礎データ

備考 ISO 

965-1:1998

,ISO general purpose metric screw threads-Tolerances-Part 1: Principles and

basic data

が,この規格と一致している。

JIS B 0209-2

  一般用メートルねじ−公差−第 2 部:一般用おねじ及びめねじの許容限界寸法−中(は

めあい区分)

備考 ISO 

965-2:1998

,ISO general purpose metric screw threads−Tolerances−Part 2: Limits of sizes for

general purpose external and internal screw threads

−Medium quality が,この規格と一致している。

JIS B 0209-3

  一般用メートルねじ−公差−第 3 部:構造体用ねじの寸法許容差

備考 ISO 

965-3:1998

,ISO general purpose metric screw threads−Tolerances−Part 3: Deviations for

constructional screw threads

が,この規格と一致している。

JIS B 0251

  メートルねじ用限界ゲージ


2

B 1046

2005

 (ISO 10683

:2000)

備考 ISO 

1502:1996

,ISO general−purpose metric screw threads−Gauges and gauging からの引用事項

は,この規格の該当事項と同等である。

JIS B 1010

  締結用部品の呼び方

備考  ISO 8991:1986,Designation system for fasteners が,この規格と一致している。

JIS B 1045

  締結用部品−水素ぜい化検出のための予荷重試験−平行座面による方法

備考 ISO 

15330:1999

,Fasteners−Preloading test for the detection of hydrogen embrittlement−Parallel

bearing surface method

が,この規格と一致している。

JIS B 1051

  炭素鋼及び合金鋼製締結用部品の機械的性質−第 1 部:ボルト,ねじ及び植込みボルト

備考 ISO 

898-1:1999

,Mechanical properties of fasteners made of carbon steel and alloy steel−Part 1:

Bolts

,screws and studs  が,この規格と一致している。

JIS B 1091

  締結用部品−受入検査

備考 ISO 

3269:2000

,Fasteners−Acceptance inspection が,この規格と一致している。

ISO 1463:1982

  Metallic and oxide coatings−Measurement of coating thickness−Microscopical method

ISO 2064:1996

  Metallic and other inorganic coatings − Definitions and conventions concerning the

measurement of thickness

ISO 9227:1990

  Corrosion tests in artificial atmospheres−Salt spray tests

3. 

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,ISO 2064 によるほか,次による。

3.1 

非電解処理による亜鉛フレーク皮膜−内部潤滑性があるもの又はないもの(non-electrolytically 

applied zinc flake coating

with or without integral lubricant)  締結用部品の表面に亜鉛フレークの分散液

(アルミフレークを含む場合がある。

)を塗布し,加熱保持(curing)することによりフレーク同士及びフレ

ークと素地とを結合して,十分な導電性ある無機質の皮膜を生じさせることによって陰極犠牲防食を確実

にする皮膜。

備考  この皮膜には,クロム酸塩を含むものと含まないものとがある。

4. 

基本的特性  この皮膜の特徴は,皮膜処理される間に締結用部品に吸収される水素の発生がないこと

である。したがって,水素が発生しない前処理洗浄方法,例えばブラストクリーニングを使用すれば,こ

の表面処理による水素ぜい化の危険性はない。

水素の吸収が生じる可能性がある洗浄方法(酸洗浄)を用いる場合,365HV を超える硬さをもつ締結用

部品に対しては,工程管理において水素ぜい化に係ってくる工程が確実に管理されていることを確認して

実施しなければならない。これは JIS B 1045 による予荷重試験を実施することで確認できる。

なお,非電解処理による亜鉛フレーク皮膜は高い透過性をもっているので,例え水素が皮膜処理前に吸

収されたものであっても,加熱保持中に放出される可能性に注目しておくのがよい。

5. 

寸法要求事項及び試験  JIS B 0209-1JIS B 0209-2 及び JIS B 0209-3 によるメートルねじに適用でき

る皮膜厚さは,ねじ及び次の公差位置による

表 に示す基礎となる寸法許容差による。

−  おねじに対しては,g,f 及び e

−  めねじに対しては,G 又は要求された場合には,H

皮膜によって,おねじでは基準線(基準寸法)を上側に超えてはならない。また,めねじでは基準線の

下側に入ってはならない。このことは公差位置 H のめねじに対しては,基準線との間にすき間がある場合


3

B 1046

2005

 (ISO 10683

:2000)

にだけ,わずかの皮膜厚さの適用が許されることを意味する。

  1  メートルねじに対する皮膜厚さの理論上の上限値

めねじ

おねじ

公差位置  G

公差位置  g

公差位置  f

公差位置  e

ピッチ

呼び径(

1

)

d

(

並目ねじ)

基 礎 と な

る寸法

許容差

皮膜厚さ

最大

基 礎 と な

る寸法

許容差

皮膜厚さ

最大

基 礎 と な

る寸法

許容差

皮膜厚さ

最大

基 礎 と な

る寸法

許容差

皮膜厚さ

最大

mm mm

µm

µm

µm

µm

µm

µm

µm

µm

0.2

0.25

0.3

1

;1.2

1.4

+17

+18

+18

4

4

4

-17

-18

-18

4

4

4

0.35

0.4

0.45

1.5

;1.8

2

2.5

;2.2

+19

+19

+20

4

4

5

-19

-19

-20

4

4

5

-34

-34

-35

8

8

8

0.5

0.6

0.7

3

3.5

4

+20

+21

+22

5

5

5

-20

-21

-22

5

5

5

-36

-36

-38

9

9

9

-50

-53

-56

12

13

14

0.75

0.8

1

4.5

5

6

;7

+22

+24

+26

5

6

6

-22

-24

-26

5

6

6

-38

-38

-40

9

9

10

-56

-60

-60

14

15

15

1.25

1.5

1.75

8

10

12

+28

+32

+34

7

8

8

-28

-32

-34

7

8

8

-42

-45

-48

10

11

12

-63

-67

-71

15

16

17

2

2.5

3

16

;14

20

;18:22

24

;27;

+38

+42

+48

9

10

12

-38

-42

-48

9

10

12

-52

-58

-63

13

14

15

-71

-80

-85

17

20

21

3.5

4

4.5

30

;33

36

;39

42

;45

+53

+60

+63

13

15

15

-53

-60

-63

13

15

15

-70

-75

-80

17

18

20

-90

-95

-100

22

23

25

5

5.5

6

48

;52

56

;60

64

+71

+75

+80

17

18

20

-71

-75

-80

17

18

20

-85

-90

-95

21

22

23

-106

-112

-118

26

28

29

(

1

便宜上,並目ねじの呼び径を示している。値を決定する特性は,ねじのピッチである。

備考  皮膜の厚さの理論上の上限値は,それぞれのねじの公差の上限(おねじ)又は下限(めねじ)のねじ寸法を基

礎として計算したものである。

皮膜処理後,メートルねじは,おねじに対しては公差位置 h,めねじに対しては公差位置 H の通りゲー

ジを用いて,JIS B 0251 によるゲージ検査を受けるものとする。皮膜処理されたねじのゲージ検査は,最

大トルク 0.001d

3

(N

・m)まで許容される。ここで,はねじの呼び径(mm)である。

製品のその他の寸法の規定は,皮膜処理前にだけ適用する。

規定された耐食性(6.参照)を達成するために最小皮膜厚さ(t

min

)が要求された場合,皮膜厚さの変動

範囲は,皮膜厚さの最小値とほぼ同じ値であることを考慮する。したがって,予想される最大皮膜厚さは,

要求される最小皮膜厚さの 2 倍になる(

表 参照)。規定された最小皮膜厚さに対する、基礎となる最小寸

法許容差を4t

max

又は8t

min

として

表 に示す。

表 に示すねじのピッチに対する基礎となる最小寸法許容差が,要求された最小皮膜厚さを受け入れる


4

B 1046

2005

 (ISO 10683

:2000)

のに十分でない場合,

−  ねじの公差位置を変更するか(例えば,g の代わりに f)

−  又は,与えられた公差域内で制限し,それぞれの公差の上限(めねじの場合)又は下限(おねじの場

合)でねじを製造する。

規定された耐食性を達成するために必要な最小局部皮膜厚さを

表 に示す。

備考  耐食性の要求に関連した皮膜厚さの選択例を,附属書 に示す。

規定された最小局部厚さ(

表 参照)は,磁力式試験方法又は蛍光 X 線式試験方法で測定する。判定に

疑義が生じた場合には,ISO 1463 に記載される顕微鏡断面試験方法にて判定する。皮膜厚さ測定に用いる

表面を,測定面として

図 に示す。

ねじのピッチが 1mm 未満(<M6)の締結用部品,小さい内側駆動部をもつ締結用部品又は十字穴のよ

うな締結用部品に皮膜処理を施す場合には,供給者と購入者との間で特別な同意が必要である。

  2  皮膜厚さ及び必要な基礎となる寸法許容差

単位

µm

皮膜厚さ(

2

)

最小

(必要なら表 3 参照)

min

最大

(

予想値)

t

max

必要な基礎となる

最小寸法許容差

4

5

6

8

10

12

32

40

48

8

9

10

16

18

20

64

72

80

12 24 96

(

2

締結用部品の座面皮膜厚さは,リラクセーションによる締付け荷重の減少に影響を及ぼす。

l

測定面

  1  ねじをもつ締結用部品の皮膜厚さ測定のための測定面


5

B 1046

2005

 (ISO 10683

:2000)

6. 

耐食性試験  皮膜の品質の評価には,ISO 9227 による中性塩水噴霧試験が用いられる。この試験は,

受け入れた状態の皮膜部品に対して適用する。この試験における性能は,特別な使用環境における耐食性

作用とは関係付けることはできない。

備考  通常この皮膜は,表 に示す中性塩水噴霧試験時間を規定することによって定義される(9.の例

1

参照)。

表 に示す時間での中性塩水噴霧試験後に,生地金属が腐食することによって生じる目視できる赤錆は

許容できない。

  3  試験時間(中性塩水噴霧試験)

最小局部皮膜厚さ

(購入者仕様の場合(

3

)

試験時間

h

クロム酸塩を含む皮膜

(flZnyc)

µm

クロム酸塩を含まない皮膜

(flZnnc)

µm

240

480

720

960

4

5

8

9

6

8

10

12

(

3

購入者は,クロム酸塩を含む皮膜(flZnyc)又は含まない皮膜(flZnnc)のどちらか希望するも
のを指定するのがよい。さもなければ,記号 flZn で指定するのが適切である(9.参照)

備考  購入者によって単位面積当たりの皮膜質量(g/m

2

)として指定されている場合には,次に示す厚

さに換算できる。

−  クロム酸塩を含む皮膜の場合:4.5 g/m

2

は,1

µm の厚さに対応する。

−  クロム酸塩を含まない皮膜の場合:3.8 g/m

2

は,1

µm の厚さに対応する。

7. 

機械的性質及び物理的性質とその試験

7.1 

全般  皮膜処理工程は,関連規格に規定された機械的性質及び物理的性質に悪影響を及ぼしてはな

らない。

必要ならば製造業者は,試験を実施することにより,皮膜処理業者によって指定された焼付け温度及び時

間が適切であるかどうかを確認しなければならない。

7.2 

外観  皮膜の色は,シルバーグレーである。皮膜処理した締結用部品には,耐食性及び使用時のは

めあいに悪影響を及ぼすような膨れ,部分的な溜り及び塗り残し部分があってはならない。

座金,ナット及び穴付き駆動ねじのような部品には,皮膜の溜り又は塗り残しを避けるための特別な技

術が必要である。

7.3 

耐熱性  皮膜処理した締結用部品は,150  ℃(部品温度)で 3 時間加熱した後,6.に規定する耐食性

を満足しなければならない。

7.4 

延性  皮膜処理した締結用部品は,JIS B 1051 に規定する保証荷重まで荷重を加えた後,ねじのは

めあい以外の部分が,6.に規定する耐食性を満足しなければならない。この要求事項は,メートルねじを

もつボルト,ねじ及び植込みボルトだけに適用する。

7.5 

密着性/結合力  25 mm 幅当たり 7N±1N の接着力をもつ接着テープを表面に手でしっかりと押さ

え付けた後で,表面に対して垂直方向に急激に引き剥がした場合,皮膜は生地金属からはく(剥)離して

はならない。テープに少量の皮膜剤が付着する程度は許容される。


6

B 1046

2005

 (ISO 10683

:2000)

7.6 

陰極犠牲保護  皮膜の陰極犠牲保護性能は,生地金属に達する最大 0.5 mm の幅をもつかききずを入

れた試験品を用いて,6.に規定する塩水噴霧試験を実施することにより評価する。72 時間の塩水噴霧試験後,

かききず部分に赤さびが生じてはならない。

7.7 

内部潤滑性又は外部潤滑性皮膜のトルク/軸力の関係  トルク/軸力の要求は,製造業者と購入者

との間で合意されなければならない。

8. 

試験の適用範囲

8.1 

全般  5.6.及び 7.に規定するすべての要求事項は,それらが皮膜の一般的性質である場合,又は顧

客によってそれぞれに指定されたものに限り適用する。8.2 の試験は,締結用部品のロットごとに実施しな

ければならない(JIS B 1091 参照)

8.3 の試験は,締結用部品のロットごとに適用することは意図してい

なく,工程内管理に使用する。

8.2 

ロットごとに実施する試験

−  ねじゲージ検査(5.

−  外観(7.2

−  密着性/結合力(7.5

8.3 

工程管理上の試験

−  中性塩水噴霧試験(6.

−  耐熱性(7.3

−  延性(7.4

−  陰極犠牲保護(7.6

8.4 

顧客より指定されたときに実施する試験

−  皮膜厚さ(5.

−  内部潤滑性又は外部潤滑性皮膜のトルク/軸力の関係(7.7

9. 

呼び方  皮膜の呼び方は,非電解処理による亜鉛フレーク皮膜を示す記号 flZn 及び要求された塩水噴

霧試験時間を示す数字を用いて,JIS B 1010 の規定に従って製品の呼び方に追加するものとし,必要であ

ればクロム酸塩を含む皮膜は(yc)

,クロム酸塩を含まない皮膜は(nc)と表示する。

1.  非電解処理による亜鉛フレーク皮膜を施し,480 時間の塩水噴霧試験を要求される六角ボルト JIS B 

1180

ISO 4014−M12×80−10.9 の呼び方は,次による。

六角ボルト JIS B 1180ISO 4014−M12×80−10.9−flZn480 h

内部潤滑性皮膜を必要とする場合は,亜鉛フレーク皮膜を示す記号の後に文字 L を加える。

六角ボルト JIS B 1180ISO 4014−M12×80−10.9−flZnL480 h

皮膜処理後の潤滑性(外部潤滑)を必要とする場合は,呼び方の最後に文字 L を加える。

六角ボルト JIS B 1180ISO 4014−M12×80−10.9−flZn480 hL

2.  非電解処理による亜鉛フレークでクロム酸塩を含まない皮膜(flZnnc)を施し,480 時間の塩水噴霧

試験を要求される六角ボルト JIS B 1180ISO 4014−M12×80−10.9 の呼び方は,次による。

六角ボルト JIS B 1180ISO 4014−M12×80−10.9−flZnnc480 h

3.  非電解処理による亜鉛フレークでクロム酸塩を含む皮膜(flZnyc)を施し,480 時間の塩水噴霧試験

を要求される六角ボルト JIS B 1180ISO 4014−M12×80−10.9 の呼び方は,次による。

六角ボルト JIS B 1180ISO 4014−M12×80−10.9−flZnyc480 h


7

B 1046

2005

 (ISO 10683

:2000)

10. 

発注時の注意事項  この規格によってねじ部品の皮膜処理を発注する場合には,次の事項を皮膜処理

業者に通知する。

a) 

この規格の引用及び皮膜の呼び方(9.参照)

b) 

部品の材料及びその条件,すなわち皮膜処理工程で影響を受けるかもしれない熱処理,硬さ又は他の

性質。

c) 

製品規格と異なる場合は,ねじの公差。

d) 

性能(トルク/軸力,摩擦係数)及び製造業者と購入者との合意による内部潤滑性,又は外部潤滑性

皮膜の試験方法。

e) 

必要ならば,実施する試験(8.参照)

f) 

サンプリング。


8

B 1046

2005

 (ISO 10683

:2000)

附属書 A(参考)耐食性の要求に関連した皮膜厚さの選択例

この付属書は、本体に関連する事柄を補足するもので、規格の一部ではない。

顧客が非電解処理による亜鉛フレーク皮膜で,ピッチ 1.5 mm のメートル並目ねじをもつ M10 ボルトを

発注したいと考えている。

顧客の経験によれば,利用上の耐食性を満たすためには,ボルトは塩水噴霧試験で少なくとも 480 時間

の耐食性を必要とする。

顧客は,本体

表 を用いて少なくとも 480 時間の耐食性をもつための最小皮膜厚さ 5

µm で,クロム酸塩

を含む非電解処理による亜鉛フレーク皮膜(flZnyc)を選択する。

次に,顧客は本体

表 より最小皮膜厚さ 5

µm は,最大皮膜厚さ 10µm に該当し,基礎となる最小寸法許

容差が 40

µm 必要であることを理解する。

さらに,本体

表 からは 1.5 mm のねじピッチに対する 40

µm の基礎となる最小寸法許容差は,公差位置

f

を使うことによってだけ達成できるということを理解する。このことは,顧客が皮膜処理前に 6 g の公差

域クラスのボルトを発注できないことを意味している。

顧客は,次の三つの可能性から一つの発注方法を決定する。

1) 

皮膜処理前のボルトの公差域クラスを 6f で承諾する。

皮膜処理業者は,この規格により組立て上の問題を避けるためには,11

µm の皮膜厚さを超えては

ならないということを知る。

顧客は次のように発注することになる。

六角ボルト JIS B 1180ISO 4014−M10×60−10.9−flZnyc480 h

皮膜処理前のねじ公差域クラスは,6f

2) 

公差域クラス 6 g で,耐食性要求の減少を決心する。

1.5 mm

のねじピッチに対する基礎となる寸法許容差は,本体

表 より 32

µm であり,これは 8µm の

最大皮膜厚さを許容する。

顧客は,

本体

表 より該当する最小皮膜厚さが 4

µm であることを確認し,

本体

表 よりクロム酸塩を含む皮膜(flZnyc)には塩水噴霧試験時間が 240 時間に該当することを

知る。

顧客は,次のように発注することになる。

六角ボルト JIS B 1180ISO 4014−M10×60−10.9−flZnyc240 h

備考  この場合,ねじの公差の仕様は,製品規格に従っているため必要ではない。

3) 

公差位置 g を希望し,しかも最小塩水噴霧試験時間 480 h を要求する。

この場合,公差グレード 6 に対するねじ径公差を,要求される皮膜厚さに応じて縮小しなければな

らない。

クロム酸塩を含む皮膜(flZnyc) 480 h:

t

min

=  5

µm(本体表 3

t

max

=10

µm

皮膜に要求されるクリアランス:                                  40

µm

公差位置 g に対する基礎となる寸法許容差:             32

µm

必要なねじの公差縮小:                                      8

µm

顧客は,次のように発注することになる。

六角ボルト JIS B 1180ISO 4014−M10×60−10.9−flZnyc480 h


9

B 1046

2005

 (ISO 10683

:2000)

公差域クラス 6 g の最大ねじ寸法は,8

µ縮小する。

備考  ねじの公差グレード 6 の公差に必要な縮小を,図 A.1 に示す。

公差の単位

µm

1

  基準線

a  公差位置gの寸法許容差 
b  公差グレード 6 の公差 
c  公差グレード 6 の制限された公差

図 A 1  規定された皮膜を受入れるための公差の縮小