B 0615 : 2002 (ISO 2538 : 1998)
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,財団法人日本規格
協会(JSA)から工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審
議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これによって JIS B 0615 : 1982 は改正され,こ
の規格に置き換えられる。
今回の改正は,対応国際規格である ISO 2538 : 1998, Geometrical Product Specifications (GPS) −Series of
angles and slopes on prisms
の改正に伴うものである。
JIS B 0615
には,次に示す附属書がある。
附属書 A(参考) GPS マトリックス
附属書 B(参考) 関連規格
日本工業規格
JIS
B
0615
: 2002
(I
2538
: 1998
)
製品の幾何特性仕様 (GPS) −
プリズムの角度及びこう配の基準値
Geometrical Product Specifications (GPS)
−
Series of angles and slopes on prisms
序文 この規格は,1998 年に第 2 版として発行された ISO 2538, Geometrical Product Specifications (GPS) −
Series of angles and slopes on prisms
を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日
本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある
参考
は原国際規格にはない事項である。
この規格は,製品の幾何特性仕様 (GPS) 規格であり,一般 GPS 規格に関するものである。そして,角度
についての GPS マトリックスの規格チェーンのリンク 1 及びリンク 2 に影響を与える。
この規格と他の規格との関係及び GPS マトリックスの関係についての更に詳細な内容は,
附属書 A を参
照。
備考 TR B 0007 は,ISO/TR 14638,Geometrical product specifications (GPS) −Masterplan と一致して
いる。
1.
適用範囲 この規格は,一般の機械用プリズムの角度 120°〜0°30′及びこう配 1 : 10〜1 : 500 の基
準値について規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)
,MOD
(修正している)
,NEQ(同等でない)とする。
ISO 2538 : 1998, Geometrical Product Specifications (GPS)
−Series of angles and slopes on prisms
(IDT)
2.
定義及び量記号 この規格で用いる主な用語の定義及び量記号は,次による。
2.1
プリズム (prism) 互いに交差する二つの平面によって区切られた部分(図 1 参照)。
備考 二つの平面のそれぞれを プリズム平面 という。これらの二つの平面がはめあいの対象とな
る場合には, プリズム用のはまり合う平面
という。
2
B 0615 : 2002 (ISO 2538 : 1998)
図 1 プリズム又はくさび
2.2
多重プリズム (multiple prism) 互いに交差する二つの平面の複数対で区切られた部分(図 2 参照)。
備考1. 二重プリズムは,互いに交差する二つの平面の二対で区切られた部分。
2.
互いに交差する二つの平面のそれぞれの交差が一つの点の場合には,多重プリズムは角すい
(ピラミッド形)という(
図 3 参照)。
図 2 多重(二重)プリズム
3
B 0615 : 2002 (ISO 2538 : 1998)
図 3 角すい(ピラミッド形)
2.3
くさび (wedge) 小さい角度をもつプリズム。
2.4
山形又は V 形案内面,V ブロック,あり (slide prism, vee-block, dove tail) 大きい角度のプリズム。
備考 これら大きい角度のプリズムは,例えば,工作機械の案内面として使用される(図 4 及び図 5
参照)
。
図 4 山形案内面若しくは V 形案内面(スライドプリズム)又は V ブロック
4
B 0615 : 2002 (ISO 2538 : 1998)
図 5 あり(ダブテイル)又はプリズム
2.5
プリズム角度 (prism angle)
β
互いに交差する二つの平面のなす角度(
図 1 参照)。
備考 プリズムのはまり合う平面のなす角度は, プリズム用のはまり合う角度 という。
2.6
プリズムこう配 (prism slope) S 二つの断面における高さ H と h との差と,その断面間の距離 L と
の比(
図 6 参照)。
図 6 プリズム高さ
2.7
プリズム比 (rate of prism) Cp 二つの断面における厚さ T と t との差と,その断面間の距離 L との
比(
図 7 参照)。
2
tan
2
p
β
=
−
=
L
t
T
C
参考 プリズム比は,JIS B 0612 に規定するテーパ比に相当する。
5
B 0615 : 2002 (ISO 2538 : 1998)
図 7 プリズム厚さ
2.8
プリズムエッジ (prism edge) 二つのプリズム平面の理論的な交線。
2.9
プリズムの中心平面 (center plane of prism) E
M
プリズム角度を二等分したプリズムエッジをとお
る平面。
2.10
プリズム高さ (height of prism) プリズムエッジに平行で,一方のプリズム平面に垂直な与えられ
た断面に沿った高さ(
図 6 参照)。
2.11
プリズム厚さ (thickness of prism) プリズムエッジに平行で,一方のプリズム平面に垂直な与えら
れた断面に沿った厚さ(
図 7 参照)。
3.
基準値 基準値は,表 1 及び表 2 による。表 1 に規定するプリズム角度の基準値は,系列 1 を優先し
て用いる。
表 2 は,適用欄に示す特定の用途にだけ用いる。
6
B 0615 : 2002 (ISO 2538 : 1998)
表 1 一般用途のプリズム
プリズム角度の基準値
系列 1
系列 2
プリズムこう配の基準値
β
2
β
β
2
β
S
120
° 60°
−
−
−
−
90
° 45°
−
−
−
−
−
− 75° 37°30′
−
−
60
° 30°
−
−
−
−
45
° 22°30′
−
−
−
−
−
− 40° 20°
−
−
30
° 15°
−
−
−
−
20
° 10°
−
−
−
−
15
°
7
°30′
−
−
−
−
−
− 10°
5
°
−
−
−
−
8
°
4
°
−
−
−
−
7
°
3
°30′
−
−
−
−
6
°
3
°
−
−
−
−
−
− 1
:
10
10
1
5
°
2
°30′
−
−
−
−
−
−
4
°
2
°
−
−
−
−
3
°
1
°30′
−
−
−
−
−
− 1
:
20
20
1
−
−
2
°
1
°
−
−
−
−
−
− 1
:
50
50
1
−
−
1
°
0
°30′
−
−
−
−
−
− 1
:
100
100
1
−
−
0
°30′
0
°15′
−
−
−
−
−
− 1
:
200
200
1
−
−
−
− 1
:
500
500
1
表 2 特定用途のプリズム
プリズム角度の基準値
β
2
β
適用
108
° 54°
72
° 36°
V
ブロック
50
° 25°
あり(ダブテイル)
表 3 は,個々の奨励するプリズム角度の基準値及びプリズムこう配の基準値に対応して,プリズムこう
配,個々のプリズム角度及びプリズム比を計算して求めた数値である。
7
B 0615 : 2002 (ISO 2538 : 1998)
表 3 プリズム角度,プリズムこう配及びプリズム比の計算値
基準値
計算値
β
S Cp
S
β
120
°
−
1 : 0.288 675
−
−
108
°
−
1 : 0.363 271
−
−
90
°
−
1 : 0.500 000
−
−
75
°
−
1 : 0.651 613
1 : 0.267 949
−
60
°
−
1 : 0.866 025
1 : 0.577 350
−
50
°
−
1 : 1.072 253
1 : 0.839 100
−
45
°
−
1 : 1.207 107
1 : 1.000 000
−
40
°
−
1 : 1.373 739
1 : 1.191 754
−
30
°
−
1 : 1.866 025
1 : 1.732 051
−
20
°
−
1 : 2.835 641
1 : 2.747 477
−
15
°
−
1 : 3.797 877
1 : 3.732 051
−
10
°
−
1 : 5.715 026
1 : 5.671 282
−
8
°
−
1 : 7.150 333
1 : 7.115 370
−
7
°
−
1 : 8.174 928
1 : 8.144 346
−
6
°
−
1 : 9.540 568
1 : 9.514 364
−
− 1
:
10
−
−
5
°42′38.1″
5
°
−
1 : 11.451 883
1 : 11.430 052
−
4
°
−
1 : 14.318 127
1 : 14.300 666
−
3
°
−
1 : 19.094 230
1 : 19.081 137
−
− 1
:
20
−
−
2
°51′44.7″
2
°
−
1 : 28.644 981
1 : 28.636 253
−
− 1
:
50
−
−
1
°08′44.7″
1
°
−
1 : 57.294 325
1 : 57.289 962
−
−
1 : 100
−
− 34′22.6″
0
°30′
−
1 : 114.590 832
1 : 114.588 650
−
−
1 : 200
−
− 17′11.3″
−
1 : 500
−
−
6
′52.5″
8
B 0615 : 2002 (ISO 2538 : 1998)
附属書 A(参考) GPS マトリックス
この
附属書 A(参考)は,規定の一部ではない。
GPS
マトリックスについての詳細は,TR B 0007 を参照。
A.1
規格及びその利用についての情報 プリズム角度に関するこの規格は,変数の定義及び幾つかの適用
のための関係する数値について示す。正しい理解をするために,チェーンリンク
3
〜
6
に含まれる規格で補
うのがよい。
A.2
GPS
マトリックスにおける位置付け この規格は,
GPS
一般規格であり,
図 A.1 に示すように,
GPS
一般的規格マトリックスの中の角度に関する規格チェーンリンク
1
及び
2
にかかわる。
図 A.1
A.3
関連規格 関連規格は,図 A.1 に示す規格チェーンにあるものである。
9
B 0615 : 2002 (ISO 2538 : 1998)
附属書 B(参考) 関連規格
この
附属書 B(参考)は,規定の一部ではない。
(1) JIS B 0612
製品の幾何特性仕様
(GPS)
−円すいのテーパ比及びテーパ角度の基準値
備考
ISO 1119 : 1998
,
Geometrical Product Specifications (GPS)
−
Series of conical tapers and taper angles
が,この規格と一致している。
(2)TR B 0007
製品の幾何特性仕様
(GPS)
−マスタープラン
備考
ISO/TR 14638
: 1995, Geometrical Product Specifications (GPS)
−
Masterplan
が,この規格と一致
している。
円すいプリズム
JIS
原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
沢 辺 雅 二
株式会社ミツトヨ
(幹事)
高 増 潔
東京大学工学系研究科
(委員)
穐 山 貞 治
経済産業省産業技術環境局
黒 澤 富 蔵
経済産業省産業技術総合研究所計量研究所
石 川 雄 一
経済産業省産業技術総合研究所機械技術研究所
初 澤 毅
東京工業大学精密工学研究所
古 谷 涼 秋
東京電機大学工学部
桑 田 浩 志
有限会社桑田設計標準化研究所
亀 井 明 敏
社団法人日本精密測定機器工業会
土 井 光 裕
日本電産トーソク株式会社
太 箸 孝 善
石川島播磨重工業株式会社
谷 口 勝 典
株式会社ミツトヨ
櫻 庭 肇
社団法人日本工作機械工業会
橋 本 進
財団法人日本規格協会
(事務局)
杉 田 光 弘
財団法人日本規格協会
増 森 かおる
財団法人日本規格協会
福 田 実
財団法人日本規格協会
(文責:桑田 浩志)
日本工業標準調査会標準部会 機械要素技術専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
大 園 成 夫
東京電機大学
加 藤 伸 一
社団法人自動車技術会
川 口 俊 充
日本工具工業会
黒 澤 富 蔵
産業技術総合研究所
桑 田 浩 志
有限会社桑田設計標準化研究所
清 水 雄 輔
社団法人日本バルブ工業会
庄 野 敏 臣
社団法人日本工作機械工業会
筒 井 康 賢
産業技術総合研究所
真 弓 透
社団法人日本ベアリング工業会
丸 山 一 男
工学院大学
望 月 正 紀
社団法人日本ねじ工業協会