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B 0420-3:2020  

(1) 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 2 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 指定条件及び記号 ············································································································ 10 

5 角度に関わるサイズの標準指定演算子 ················································································· 11 

5.1 一般 ··························································································································· 11 

5.2 角度に関わるサイズのISO標準指定演算子 ········································································ 12 

5.3 図面に適用する角度に関わるサイズの図示標準指定演算子 ···················································· 13 

6 図示······························································································································ 14 

6.1 角度に関わるサイズの特別指定演算子の図示 ······································································ 14 

6.2 角度に関わるサイズ特性を明確にした公差付き形体の指示 ···················································· 15 

附属書A(規定)2直線間角度サイズ(回転体又はくさび形体)に対する当てはめ基準 ···················· 16 

附属書B(参考)一つの角度に関わるサイズ形体による二平面と二つの単独形体による 

二平面との違い ············································································································· 17 

附属書C(参考)GPSマトリックスモデルとの関係 ··································································· 18 

附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 20 

B 0420-3:2020  

(2) 

まえがき 

この規格は,産業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産

業標準原案を添えて日本産業規格を制定すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済

産業大臣が制定した日本産業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS B 0420の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS B 0420-1 第1部:長さに関わるサイズ 

JIS B 0420-2 第2部:長さ又は角度に関わるサイズ以外の寸法 

JIS B 0420-3 第3部:角度に関わるサイズ 

日本産業規格          JIS 

B 0420-3:2020 

製品の幾何特性仕様(GPS)−寸法の公差表示方式

−第3部:角度に関わるサイズ 

Geometrical product specifications (GPS)-Dimensional tolerancing- 

Part 3: Angular sizes 

序文 

この規格は,2016年に第1版として発行されたISO 14405-3を基とし,技術的内容を変更して作成した

日本産業規格である。 

附属書Cにこの規格とGPSマトリックスモデルとの関係を示す。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,角度に関わるサイズの標準指定演算子について規定する。さらに,この規格は,角度に関

わるサイズ形体(以下,“角度サイズ形体”という。),例えば,円すい,円すい台,くさび形体,切頭くさ

び形体,方向が異なる二直線(図1及び図2参照)のための多くの特別指定演算子を規定する。 

また,この規格は,これらの角度に関わるサイズのための指定条件及び図示方法についても規定する。 

この規格で規定する角度に関わるサイズは,次による。 

− 局部角度サイズ 

− 2直線間角度サイズ 

− 部分角度サイズ 

− 全体角度サイズ 

− 直接全体角度サイズ 

− 最小二乗角度サイズ 

− ミニマックス角度サイズ 

− 間接全体角度サイズ,順位角度サイズ 

− 最大角度サイズ 

− 最小角度サイズ 

− 平均角度サイズ 

− 中央角度サイズ 

− 中間角度サイズ 

− 範囲角度サイズ 

− 標準偏差角度サイズ 

B 0420-3:2020  

この規格は,角度に関わるサイズ公差を次のように定義する。 

− “+”及び/又は“−”で表す許容差。例えば0°/−0.5° 

− 角度に関わる許容限界サイズ又は上の許容サイズ(ULS)及び/若しくは下の許容サイズ(LLS) 

例 35°max又は15°min,

°°

34

36 

− 指定条件の有無 

この規格は,幾つかの種類の角度に関わるサイズの特性の種類を表現するための一連のツールについて

規定する。ただし,“機能・用途”と“角度に関わるサイズの特性”との関連情報は規定しない。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 14405-3:2016,Geometrical product specifications (GPS)−Dimensional tolerancing−Part 3: 

Angular sizes(MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 0024 製品の幾何特性仕様(GPS)−基本原則−GPS指示に関わる概念,原則及び規則 

注記 対応国際規格:ISO 8015,Geometrical product specifications (GPS)−Fundamentals−Concepts, 

principles and rules 

JIS B 0420-1 製品の幾何特性仕様(GPS)−寸法の公差表示方式−第1部:長さに関わるサイズ 

注記 対応国際規格:ISO 14405-1:2010,Geometrical product specifications (GPS)−Dimensional 

tolerancing−Part 1: Linear sizes 

JIS B 0420-2 製品の幾何特性仕様(GPS)−寸法の公差表示方式−第2部:長さ又は角度に関わるサ

イズ以外の寸法 

注記 対応国際規格:ISO 14405-2:2018,Geometrical product specifications (GPS)−Dimensional 

tolerancing−Part 2: Dimensions other than linear or angular sizes 

ISO 17450-1,Geometrical product specifications (GPS)−General concepts−Part 1: Model for geometrical 

specification and verification 

ISO 17450-2,Geometrical product specifications (GPS)−General concepts−Part 2: Basic tenets, 

specifications, operators, uncertainties and ambiguities 

ISO 17450-3,Geometrical product specifications (GPS)−General concepts−Part 3: Toleranced features 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 0024,JIS B 0420-1,JIS B 0420-2,ISO 17450-1,ISO 17450-2

及びISO 17450-3によるほか,次による。 

当てはめ基準のため,“最小二乗”と“ガウシアン”とは,“ミニマックス”と“チェビシェフ”とが同

じように,同義であると仮定する。この規格においては,“最小二乗”及び“ミニマックス”という用語を

適用する。最小二乗基準は,この規格では一貫して実体の制約なしとして理解する。 

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3.1 

角度に関わるサイズ(angular size) 

円すい切断面における二つの面素(直線)の間,同一平面上にある方向が異なる二直線の間,又は姿勢

が異なる(平行ではない)二平面の間の角度。 

注記1 角度に関わるサイズは,当てはめ形体,又は角度サイズ形体に関連する形体から定義される。 

注記2 図1及び図2に示す角度に関わるサイズの例を参照。 

注記3 “角度サイズ形体”の定義はISO 17450-1で規定され,0°又は180°という角度はない。 

注記4 二つの角度サイズ形体。 

− 回転体に関わるサイズ形体:円すい又は円すい台。方向が異なる二直線は,円すい又は

円すい台に当てはめた回転軸を含む平面において,円すい又は円すい台の二つの縦方向

断面から定まる。 

− 角柱体の角度サイズ形体:くさび形体又は切頭くさび形体。方向が異なる二直線は,く

さび形体又は切頭くさび形体に当てはめた二平面の交線となる直線に垂直な平面と,く

さび形体又は切頭くさび形体と交わる断面から定まる。 

注記5 図1及び図2は,角度サイズ形体の種類であるくさび形体,切頭くさび形体,円すい,円す

い台及び方向が異なる二直線を図示している。 

注記6 図3のa) 及びb) は,角度サイズ形体の角度,及び角度サイズ形体ではないが方向が異なる

二つの実体の間の角度の事例を示している。附属書Bも参照。また,図3のa) 及びb) は,

それぞれこの規格の適用範囲内及び適用範囲外の例である。 

注記7 包絡の条件は,角度サイズ形体には適用できない。 

注記8 この規格では,“角度に関わるサイズ”は,JIS B 0001の3.4(角度サイズ)で定義された角

度サイズを製品の幾何特性仕様(GPS)に基づいて解釈したものの意味である。“サイズ”の

前に“角度”がない場合,“長さに関わるサイズ”を意味する(JIS B 0420-1参照)。 

a) くさび形体 

b) 円すい 

c) 切頭くさび形体 

d) 円すい台 

図1−角度サイズ形体及び角度に関わるサイズの例(その1) 

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a) くさび形体における方向が異なる二直線 

b) 円すいにおける方向が異なる二直線 

図2−角度サイズ形体及び角度に関わるサイズの例(その2) 

a) 例1 

b) 例2 

 1 角度サイズ形体 

2 角度サイズ形体ではない 
 

図3−角度を規定することができる形体の例 

3.2 

局部角度サイズ(local angular size) 

局部角度サイズ特性(local angular size characteristic) 

特定の位置においては唯一の値をもち,並びに角度サイズ形体[図2のa) 参照]に沿う複数の値及び

/又は角度サイズ形体[図2のb) 参照]の軸回りに複数の値をもつ角度サイズ特性。 

注記1 与えられた形体には,無数の局部角度サイズがある。 

注記2 図4に局部角度サイズにおける2直線間角度サイズの例を示す。 

注記3 二つの局部角度サイズへの当てはめは,最小二乗法及びミニマックス法で規定することが可

能である。附属書Aを参照。 

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 1 実際の角度サイズ形体 

2 上記1についての当てはめ平面 
3 上記2に関連する交線(直線) 
4 上記3に対して直交する断面 
5 二つの測得線 
6 二つの当てはめ直線 
7 2直線間角度サイズ 
 

図4−2直線間角度サイズ 

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B 0420-3:2020  

 1 実際の角度サイズ形体 

2 上記1の一部分 
3 上記2の当てはめ平面 
4 上記3の交線(直線) 
5 部分角度サイズ 
 

図5−部分角度サイズ 

3.2.1 

2直線間角度サイズ(two-line angular size) 

局部2直線間角度サイズ(local angular size between two lines) 

角度サイズ形体から求まる,平面の交線に対して直交する断面内の二つの測得線から定まる二つの当て

はめ直線の間の角度。 

注記1 図4を参照。 

注記2 円すいのような回転体の2直線間角度サイズを規定する手順は,図4とは異なる(3.2.1.1参

照)。 

注記3 2直線間角度サイズを定義する標準指定演算子については,附属書Aを参照。 

3.2.1.1 

回転体2直線間角度サイズ(two-line revolute angular size) 

測得円すい(回転体)形体とその当てはめ(回転中心)軸とを含む断面において,二つの測得線に当て

はめた二つの直線から定まる2直線間角度サイズ。 

注記 測得円すい(回転体)形体に当てはめた(回転中心)軸は,ISO 22432:2011の3.5.1.2.4にある

“直接当てはめ中央軸”である。 

3.2.1.2 

くさび形体2直線間角度サイズ(two-line prismatic angular size) 

二つの測得面と,交線に当てはめた直線に直交する断面との交差から得られた二つの測得線に個々に当

てはめた二つの直線からなる2直線間角度サイズ。 

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3.2.2 

部分角度サイズ(portion angular size) 

角度サイズ形体から測得した,任意の部分の全体角度サイズ(3.3)。 

注記1 部分角度サイズは,完全な角度サイズ形体を考慮した場合の局部角度サイズ,及び限定部分

だけを考慮した場合の全体角度サイズである。 

注記2 図5を参照。 

注記3 部分角度サイズは,直接全体角度サイズ(3.3.1)又は間接全体角度サイズ(3.3.2)である。 

注記4 “任意の部分”を定義するための指定演算子は,この規格では扱わない。 

3.3 

全体角度サイズ(global angular size) 

全体角度サイズ特性(global angular size characteristic) 

公差付き角度サイズ形体全体(全体角度サイズ)に対して,唯一の値をもつ角度サイズ特性。 

3.3.1 

直接全体角度サイズ(direct global angular size) 

直接全体角度サイズ特性(direct global angular size characteristic) 

角度サイズ形体に対して,一つの当てはめから決まる全体角度サイズ。 

注記1 角度サイズ形体が円すいである場合,当てはめ形体は円すいである。角度サイズ形体がくさ

び形体である場合,当てはめ形体は一対の平面である。これらの平面は,くさび形体のそれ

ぞれの面に対して独立に当てはめたものである。 

注記2 図6を参照。 

注記3 当てはめ基準が異なれば,結果も異なる。この規格で示す当てはめ基準は,最小二乗法及び

ミニマックス法である。 

 1 実際の角度サイズ形体 

2 上記1への当てはめ平面 
3 上記2の交線である直線 
4 上記3と直交する平面内で定まる直接全体角度サイズ 
 

図6−直接全体角度サイズ 

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3.3.1.1 

最小二乗角度サイズ(least squares global angular size) 

最小二乗法の当てはめ基準を用いた直接全体角度サイズ。 

注記 図7及び図9を参照。 

3.3.1.2 

ミニマックス角度サイズ(minimax global angular size) 

ミニマックス法の当てはめ基準を用いた直接全体角度サイズ。 

注記1 図8及び図10を参照。 

注記2 図7〜図10は,同じ形状の角度サイズ形体に対して求めた二つの全体角度サイズを示してい

る。 

 1 実際の角度サイズ形体 

2 上記1の当てはめ平面(最小二乗法) 
3 上記2の交線の直線 
4 最小二乗角度サイズ 
 

図7−最小二乗角度サイズの三次元的イメージ 

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B 0420-3:2020  

 1 実際の角度サイズ形体 

2 上記1の当てはめ平面(ミニマックス法) 
3 上記2の交線の直線 
4 ミニマックス角度サイズ 
 

図8−ミニマックス角度サイズの三次元的イメージ 

 1 最小二乗角度サイズ 

図9−最小二乗角度サイズの二次元的イメージ 

 1 ミニマックス角度サイズ 

図10−ミニマックス角度サイズの二次元的イメージ 

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3.3.2 

間接全体角度サイズ(indirect global angular size) 

間接全体角度サイズ特性(indirect global angular size characteristic) 

順位角度サイズ(rank-order angular size) 

順位角度サイズ特性(rank-order angular size characteristic) 

角度サイズ形体から得られる同種の局部角度サイズの値の集まりから,数学的に定義する全体角度サイ

ズ。 

注記1 順位角度サイズは,ある部分の局部角度サイズ又は角度サイズ形体の全体から得られる固有

の値を定義することが可能である。 

注記2 順位角度サイズは,別の局部角度サイズから,一つの局部角度サイズを定義することが可能

である(例えば,任意の部分の2直線間角度サイズから定まる順位角度サイズ)。 

注記3 “順位”に関する概念の詳細は,JIS B 0420-1の“順位サイズ”を参照。 

注記4 例えば,測得円すい面上の全ての2直線間角度サイズの平均値も順位角度サイズである。 

指定条件及び記号 

この規格で用いる指定条件及び記号は,表1及び表2による。寸法の仕様を定義するために,上及び/

又は下の仕様の指定に使える特定の種類の角度サイズ特性,指定条件又は記号は,表3に示す順序で記述

しなければならない。 

これらの指定条件と記号との組合せは,箇条5及び箇条6による。 

表1−角度に関わるサイズの指定条件 

条件記号 

説明 

最小二乗法の当てはめ基準で決まる2直線間角度サイズ 

ミニマックス法の当てはめ基準で決まる2直線間角度サイズ 

最小二乗法の当てはめ基準で決まる全体角度サイズ(最小二乗角度サイズ) 

ミニマックス法の当てはめ基準で決まる全体角度サイズ(ミニマックス角度サイズ) 

最大角度サイズa) 

最小角度サイズa) 

平均角度サイズa) 

中央角度サイズa) 

中間角度サイズa) 

範囲角度サイズa) 

標準偏差角度サイズa) b) 

注a) 角度に関わる順位サイズ(順位角度サイズ)は,部分角度サイズ,全体角度サイズ又は局部角度サイズの補

足として使用してもよい。 

b) SQは,平均二乗根(root mean square)に由来する。 

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B 0420-3:2020  

表2−角度に関わるサイズの標準指定条件 

説明 

記号 

例 

くさび形体の角度に 

関わるサイズ 

回転体の角度に 

関わるサイズ 

角度サイズ形体の任意の限定
部分 

/長さ距離 

35°±1°/15 a) 

35°±1°/15 a) 

角度サイズ形体の任意の限定
部分 

/角度距離 

適用せず 

35°±1°/15 a) 

特定の横断面 

SCS 

45°±2°SCS 

適用せず 

複数の形体指定 

形体の数× 

2×45°±2° 

2×45°±2° 

連続した角度サイズ形体の公
差 

CT 

2×45°±2°CT 

2×45°±2°CT 

自由状態 

b) 

35°±1°

35°±1°

区間指示 

35°±1°A

35°±1°A

注a) “/長さ距離”は,くさび形体に関するサイズ形体及び回転体に関するサイズ形体に適用する。 
 

“/角度距離”は,回転体のサイズ形体に適用する。 

b) JIS B 0026を参照。 

表3−特定の角度に関わるサイズの特性に関連する指定条件の記述順序 

種類 

特性 

付加定義 

例 

局部角度サイズ 

2直線間角度サイズ 

又は

長さLの部分角度サイズ 

最小二乗法によるa) 

 b) 

ミニマックス法によるa) 

 b) 

局部角度の順位角度サイ
ズ:ある部分で成立する角
度サイズ 

全体角度サイズ 

直接全体角度サイズ 

最小二乗法による 

ミニマックス法による 

間接全体角度サイズ 

局部角度サイズに基づい
た順位角度サイズ 

注a) 第2の当てはめ演算をするときには,第1の当てはめ演算は,常に,最小二乗当てはめ基準で決まる。 

b) Lに相当する。 

角度に関わるサイズの標準指定演算子 

5.1 

一般 

角度に関わるサイズにGPSの基本的指示をする場合,次の角度に関わるサイズの標準指定演算子を適用

する。 

− ISO標準指定演算子(5.2及びJIS B 0024を参照) 

− 図示標準指定演算子(5.3を参照) 

− 代替標準指定演算子(JIS B 0024を参照) 

角度に関わるサイズの基本的なGPS指定は,指定条件を付けないで,表4に示す4種類の中のいずれか

になる。 

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B 0420-3:2020  

表4−角度に関わるサイズの基本的なGPS指定 

角度に関わるサイズの基本的なGPS指定 

例 

角度に関わる図示サイズ±許容差a) 

35°±1° 

35°

°

−°

+

2

角度に関わる上及び下の許容サイズの値 

36° 
34° 

角度に関わる許容限界サイズの値 

45°max     32°min 

“( )”を用いた参考寸法でも,“□”の枠を用いた,理
論的に正確な寸法(TED)でもない,図示サイズによっ
て決まる普通公差b) 

45°の指示及び表題欄の中又は近くに“JIS B 0405-f”と
いう指示 

注a) 角度に関わる図示サイズ及び許容差は,次の例のように数値と単位とで示す。 

例 35.125°,35°7′30″,+0.75°,+0°45′ 

b) 普通公差の規定は,JIS B 0405:1991を参照。 

5.2 

角度に関わるサイズのISO標準指定演算子 

(指定条件のない)角度に関わるサイズのISO標準指定演算子は,ミニマックス法の当てはめ基準によ

って定まる“2直線間角度サイズ”である(附属書Aによる。)。 

角度に関わるサイズのISO標準指定演算子は,5.3で規定する他の角度に関わるサイズの標準仕様を引

用する指示が図面にない場合に適用する。 

2直線間角度サイズを両方(上及び下)の許容限界に適用する場合は,指定条件の条件記号

を指示

してはならない。 

図11のa) 及びb) を参照。 

a) 図示 

b) 解釈 

 1 実形体 

2 実体制約のないミニマックス法で定まる当てはめ形体 
3 実体に外接する制約付きのミニマックス法で定まる当てはめ形体 
4 実体に内接する制約付きのミニマックス法で定まる当てはめ形体 
5 2直線間角度サイズ 
6 角度に関わるサイズ 
 

図11−角度に関わるサイズのISO標準指定演算子 

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13 

B 0420-3:2020  

ミニマックス法の当てはめ基準の場合,実体に関する制約が使われるかどうかは,角度に関わるサイズ

の評価結果には影響しない(図11参照)。 

公差は,二つの実体の外殻表面に沿って角度が存在するところの全ての断面に適用し,さらに,そのよ

うな角度の全ては,公差の範囲内になければならない。 

なお,2直線間角度サイズ(LC)は,図面の受渡当事者間の協定によって,例えば,角度ゲージ,オー

トコリメータのような面間接触点を基とする定盤作業などで求めてもよい。 

5.3 

図面に適用する角度に関わるサイズの図示標準指定演算子 

角度に関わるサイズに対して図面に標準指定演算子(図示標準指定演算子)を適用する場合,表題欄の

中又はその近辺に,次の順序で指示しなければならない(図12参照)。 

− “角度に関わるサイズ JIS B 0420-3”という記述 

− 選択した角度に関わるサイズの標準定義の指定条件 

角度に関わるサイズに異なる標準指定演算子を適用する場合は,この規格番号を記述する前に,“角度に

関わるサイズ”を加えなければならない。 

例 “角度に関わるサイズ JIS B 0420-3” 

図12及び図13参照。 

注記1 この図面の角度に関わるサイズの標準指定演算子は,最小二乗法の当てはめ基準で決まる2直線間角度サイ

ズに変更される。 

注記2 特に指示がなければ,変更された標準指定演算子は,標準的な角度に関わるサイズである。 
注記3 この図面の標準仕様は,角度に関わるサイズだけに適用することを意味する。 

図12−図面に適用する角度に関わるサイズの図示標準指定演算子の変更例 

図面の解釈を容易にするために,例えば特定の標準指定表示後に,括弧で他の全ての指定条件の種類を

示すことが可能である(図13参照)。 

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図13−図面に適用する長さに関わるサイズ及び角度に関わるサイズの標準指定演算子の変更例 

図示 

6.1 

角度に関わるサイズの特別指定演算子の図示 

角度に関わるサイズの公差指示は,単独で完全な角度サイズ形体に適用する。すなわち,次のいずれか

で指示することが可能である。 

− 公差は,角度サイズ形体の任意の限定部分,又は特定した限定部分に適用する。 

− 公差は,複数の角度サイズ形体に適用する。図14のa) 及びb) を参照。 

a) 二つの離れた角度サイズ形体に対して,同じ

要求を個別に適用する例 

b) 二つの角度サイズ形体を一つとみなし,共通

の要求(CT指定条件)を適用する例 

図14−二つの角度サイズ形体に公差を適用した例 

角度サイズのISO標準指定演算子を適用しない場合,公差の指示は,特別指定演算子を適用するときに

指示する指定条件(表1及び表2を参照)を含まなければならない。 

角度サイズの指定条件(表1及び表2を参照)の指定順序及び指示の規則は,JIS B 0420-1の箇条6(サ

イズの特別指定演算子の図示方法)による。 

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B 0420-3:2020  

6.2 

角度に関わるサイズ特性を明確にした公差付き形体の指示 

公差付き形体が完全な形体である場合,付加的な指示は必要としない(図15参照)。 

図15−完全な角度サイズ形体に対する要求の例 

公差付き形体が完全な形体の一部である場合,JIS B 0420-1の7.2(サイズ形体の特定の限定した部分)

及び7.3(サイズ形体の任意の限定した部分に特定の長さ当たりを適用)に従って,断面又は部分を定義す

るための指示を適用しなければならない。 

複数の角度サイズ形体に対して要求を個々に適用する場合,JIS B 0420-1の7.6(複数のサイズ形体に個

別に要件を適用)に規定する繰り返す形体の数“n×”の指定条件の使用規定を守らなければならない。 

複数の角度サイズ形体を一つとみなして要求を同時に適用する場合,JIS B 0420-1の7.7[複数のサイズ

形体(サイズ特性は同一)を一つの(つながった)サイズ形体とみなして要件を適用]に規定するCT指

定条件(連続サイズ形体の公差)を適用しなければならない。 

非剛性部品に対して適用する場合は,記号

で自由状態であることを指示しなければならない(JIS B 

0026参照)。 

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16 

B 0420-3:2020  

附属書A 

(規定) 

2直線間角度サイズ(回転体又はくさび形体)に対する当てはめ基準 

A.1 2直線間角度サイズ 

2直線間角度サイズを規定するために,次によって連続した2回の当てはめ処理を行う。表A.1を参照。 

a) 角度サイズ形体の実体に,同じ性質の形体を当てはめる。 

b) 測得線(角度サイズ形体の実体と切断面との交差で決まる。)に,2直線を当てはめる。ミニマックス

法の例である図A.1を参照。 

第1の当てはめ(a):くさび形体に関するサイズ形体から(互いに無関係に)測得した二つの表面,及び

回転体に関するサイズ形体から測得した表面について,第1の当てはめ基準は最小二乗法(実体制約なし。

箇条3を参照。)である。 

注記 最小二乗法の当てはめ基準である第1の当てはめは,くさび形体に関するサイズ形体を代表す

る交線(図4参照)か,回転体に関するサイズ形体を代表する軸かのいずれかを規定するため

である。 

第2の当てはめ(b):第2の当てはめ基準は,ミニマックス法(標準的なもの)か,又は最小二乗法(実

体制約なし。箇条3参照。)かのいずれかである。二つの線は,互いに独立に当てはめる。 

 1 測得した線 

2 当てはめた直線 
 

図A.1−二つの線による角度に関わるサイズ(ミニマックス法による第2の当てはめ) 

表A.1−二つの線による角度に関わるサイズの記号 

二つの線による角度に関
わるサイズ 

第1の当てはめ 

必須 

第2の当てはめ 

仕様に依存 

ミニマックス法 

(標準的) 

最小二乗法 

最小二乗法 

記号なし 

なお,2直線間角度サイズ(LC)は,図面の受渡当事者間の協定によって,例えば,角度ゲージ,オー

トコリメータのような面間接触点を基とする定盤作業などで求めてもよい。 

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17 

B 0420-3:2020  

附属書B 

(参考) 

一つの角度に関わるサイズ形体による二平面と 

二つの単独形体による二平面との違い 

図示 

角度サイズ形体か,否か 

角度サイズ形体である。 
 
二平面は,対になってサイズ形体を構成し,その角度は変数と
考える。 

角度サイズ形体ではない。 
 
二平面は,独立して考慮する。一つの平面は,他方を基にして
姿勢づけられる。理論的に正確な角度で,公差域を規定する。 

角度サイズ形体ではない。 
 
二平面は,独立して考慮する。一つの平面は,他方を基にして
姿勢づけられる。理論的に正確な角度で,公差域を規定する。 

角度サイズ形体ではない。 
 
二平面は,同時に考慮する。理論的に正確な角度で,共通公差
域(CZ)を規定する。 

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18 

B 0420-3:2020  

附属書C 
(参考) 

GPSマトリックスモデルとの関係 

C.1 一般 

GPSのマトリックスモデルの詳細については,ISO 14638:2015を参照。 

ISO 14638に示されるISO/GPSマスタープランは,この規格がその一部を構成するISO/GPSシステムの

全体像を与える。JIS B 0024に示すISO/GPSの基本的な規則は,この規格に適用し,また,JIS B 0641-1

に示す標準的な決定規則は,指示しない場合を除き,この規格に従って書かれた仕様を適用する。 

C.2 この規格及びその使用に関する情報 

この規格は,角度に関わるサイズの定義,特別な定義及び角度サイズ形体(例えば,くさび形体,円す

い,又は角度サイズ形体に関する面の交差によって定まる方向が異なる二外殻線)に適用する寸法として

の角度仕様の図示について規定する。 

C.3 GPSマトリックスモデルの中における位置 

この規格は,GPS基本規格であり,表C.1に示すように,GPS基本規格マトリックスの“サイズ”のチ

ェーンにおける“記号及び指示法”,“形体に対する要求事項”及び“形体の性質”に影響する。 

表C.1−GPSマトリックスモデルにおける位置付け 

チェーンリンク 

記号及び
指示法 

形体に対
する要求
事項 

形体の性
質 

適合及び
不適合 

測定 

測定機器 

校正 

サイズ 

距離 

形状 

姿勢 

位置 

振れ 

表面性状(輪郭曲線)  

表面性状(三次元) 

表面欠陥 

C.4 関連国際規格又は日本産業規格 

関連国際規格又は日本産業規格は,表C.1に示す規格チェーンの全てである。 

19 

B 0420-3:2020  

参考文献  

[1] JIS B 0405:1991 普通公差−第1部:個々に公差の指示がない長さ寸法及び角度寸法に対する公差 

注記 対応国際規格:ISO 2768-1:1989,General tolerances−Part 1: Tolerances for linear and angular 

dimensions without individual tolerance indications(IDT) 

[2] JIS B 0026:1998 製図−寸法及び公差の表示方式−非剛性部品 

注記1 対応国際規格:ISO 10579:1993,Technical drawings−Dimensioning and tolerancing−Non-rigid 

parts(IDT) 

注記2 対応国際規格は2010年に改訂されている。 

[3] JIS B 0641-1 製品の幾何特性仕様(GPS)−製品及び測定装置の測定による検査−第1部:仕様に対

する合否判定基準 

注記 対応国際規格:ISO 14253-1,Geometrical product specifications (GPS)−Inspection by measurement 

of workpieces and measuring equipment−Part 1: Decision rules for verifying conformity or 

nonconformity with specifications 

[4] ISO 14638:2015,Geometrical product specifications (GPS)−Matrix model 

[5] ISO 22432:2011,Geometrical product specifications (GPS)−Features utilized in specification and verification 

[6] JIS B 0001 機械製図 

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20 

B 0420-3:2020  

附属書JA 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS B 0420-3:2020 製品の幾何特性仕様(GPS)−寸法の公差表示方式−第3部:
角度に関わるサイズ 

ISO 14405-3:2016,Geometrical product specifications (GPS)−Dimensional tolerancing
−Part 3: Angular sizes 

(I)JISの規定 

(II)
国際 
規格 
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと 
の評価 

技術的差異の内容 

5.2 角度に関
わるサイズの
ISO標準指定
演算子 

2直線間角度サイズ
(LC) 

5.2 

なし。 

追加 

“図面の受渡当事者間の協定によ
って,例えば,角度ゲージ,オート
コリメータのような面間接触点を
基とする定盤作業などで求めても
よい。”ことを追記した。 

国際規格の見直しの際に提案す
る。 

5.3 図面に適
用する角度に
関わるサイズ
の図示標準指
定演算子 

異なる標準指定演算
子を適用する場合 

5.3 

なし。 

追加 

文意を明確にするために,“異なる
標準指定演算子を適用する場合は,
この規格番号を記述する前に,“角
度に関わるサイズ”を加えなければ
ならない。”ことを追記した。 

国際規格の見直しの際に提案す
る。 

附属書A 
(規定) 
2直線間角度
サイズ(回転
体又はくさび
形体)に対す
る当てはめ基
準 

2直線間角度サイズ
(LC) 

附属書A 

なし。 

追加 

“図面の受渡当事者間の協定によ
って,例えば,角度ゲージ,オート
コリメータのような面間接触点を
基とする定盤作業などで求めても
よい。”ことを追記した。 

国際規格の見直しの際に提案す
る。 

3

B

 0

4

2

0

-3

2

0

2

0

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21 

B 0420-3:2020  

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 14405-3:2016,MOD 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

− MOD ··············· 国際規格を修正している。 

3

B

 0

4

2

0

-3

2

0

2

0