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日本工業規格

JIS

 B

0152

-1997

クラッチ及びブレーキ用語

Clutches and brakes

−Vocabulary

1.

適用範囲  この規格は,クラッチ及びブレーキの基本的用語とそれらの定義について規定する。

2.

用語の分類  クラッチ及びブレーキ用語の分類は,次による。

(1)

種類に関する用語

(2)

部品用語

(3)

作動用語

(4)

性能用語

3.

用語・定義  用語及び定義は,次による。

なお,参考のために慣用語及び対応英語を示す。

(1)

種類に関する用語

参考

番号

用語

定義

慣用語

対応英語

1001 

クラッチ

同心軸上にある駆動側,被動側間において動力の伝

達・遮断を行う機能をもつ機械要素。

 clutch

1101 

機械クラッチ

主として機械的作動によって機能を発揮するクラッ

チ。

 mechanical

clutch

1111 

かみあいクラ
ッチ

機械的かみあいによって係合を行うクラッチ。

positive

clutch

1112 

歯車クラッチ

外歯歯車と内歯歯車とによって係合を行うかみあい
クラッチ(

付図 参照)。

 gear

clutch

1113 

ツースクラッ

相対する円筒端面にある多数の山形の歯部によって
係合を行うかみあいクラッチ(

付図 参照)。

歯形クラッチ, 
歯付クラッチ

(multiple) tooth

clutch

1114 

ジョークラッ

相対する円筒端面にある角形形状,放射状などの凹
凸部によって係合を行うかみあいクラッチ(

付図 3

参照)

ドッグクラッ

jaw clutch

1121 

ワンウェイク
ラッチ

一定方向にだけ動力を伝達するクラッチ。

追越しクラッ
チ,フリーホイ

ールクラッチ

one way clutch,

over running clutch,

free wheeling clutch

1131 

摩擦クラッチ

摩擦力によって係合を行うクラッチ。  friction

clutch

1132 

ディスククラ
ッチ

係合面が円板形状の摩擦クラッチ。

disc

clutch

1133 

ドラムクラッ

係合面が円筒形状の摩擦クラッチ。

drum

clutch

1134 

円すいクラッ

係合面が円すい形状の摩擦クラッチ(

付図 参照)。

 cone

clutch


2

B 0152-1997

参考

番号

用語

定義

慣用語

対応英語

1141 

遠心クラッチ

遠心力を利用して係合するクラッチ(

付図 参照)。

 centrifugal

clutch

1201 

電磁クラッチ

主として電磁作動によって機能を発揮するクラッチ。

electromagnetic

clutch

1311 

油圧クラッチ

主として油圧作動によって機能を発揮するクラッ

チ。

 hydraulic

clutch,

oil hydraulic clutch

1321 

空気圧クラッ

主として空気圧作動によって機能を発揮するクラッ
チ。

エアクラッチ pneumatic

clutch,

air clutch

1331 

真空クラッチ

空気の負圧によって機能を発揮するクラッチ。

vacuum

clutch

1911 

単板クラッチ

摩擦面が 1 枚のクラッチ。

single disc clutch

1912 

多板クラッチ

摩擦面が 2 枚以上のクラッチ(

付図 参照)。

multiple disc clutch

(multi-disc clutch)

1913 

複板クラッチ

クラッチ板が 1 枚で摩擦面が 2 面のクラッチ。

double

face

single-disc clutch

2001 

ブレーキ

運動体と静止体との相互作用によって運動体を減
速・停止し,又は停止状態に保持する機能をもつ機
械要素。

 brake

2101 

機械ブレーキ

主として機械的作動によって機能を発揮するブレー
キ。

 mechanical

brake

2121 

摩擦ブレーキ

摩擦力によって機能を発揮するブレーキ。

friction

brake

2122 

ディスクブレ
ーキ

係合面が円板形状の摩擦ブレーキ(

付図 参照)。

disc

brake

2123 

ドラムブレー

係合面が円筒形状の摩擦ブレーキ(

付図 参照)。

drum

brake

2124 

円すいブレー

係合面が円すい形状の摩擦ブレーキ。  cone

brake

2127 

バンドブレー

円筒外周面にブレーキバンドを巻き付けて機能を発
揮するドラムブレーキ。

帯ブレーキ band

brake,

strap brake

2201 

電磁ブレーキ

電磁作動によって機能を発揮するブレーキ。

electromagnetic

brake

2311 

油圧ブレーキ

主として油圧作動によって機能を発揮するブレー

キ。

 hydraulic

brake,

oil hydraulic brake

2321 

空気圧ブレー

主として空気作動によって機能を発揮するブレー
キ。

エアブレーキ pneumatic

brake,

air brake

2331 

真空ブレーキ

空気の負圧によって機能を発揮するブレーキ。

vacuum

brake

2911 

単板ブレーキ

摩擦面が 1 枚のブレーキ。

single disc brake

2912 

多板ブレーキ

摩擦面が 2 枚以上のブレーキ。

multiple disc brake

(multi-disc brake)

2913 

複板ブレーキ

ブレーキ板が 1 枚で摩擦面が 2 面のブレーキ。

double

face

single-disc brake

2921 

リターダ

ブレーキ装置の補助として,自動車などの速度を減
少又は制限するために,連続的に使用する装置。

 retarder

(2)

部品用語

参考

番号

用語

定義

慣用語

対応英語

5001 

クラッチ板

クラッチの一構成要素で,相対運動面間でトルクを
伝達する部品。

 clutch

plate

5002 

ブレーキ板

ブレーキの一構成要素で,相対運動面間でトルクを
伝達する部品。

 brake

plate


3

B 0152-1997

参考

番号

用語

定義

慣用語

対応英語

5003 

摩擦パッド

ディスククラッチ及びディスクブレーキの一構成部
品で,摩擦力を発生させるためにディスクに押し付

ける摩擦片。

 lining

pad,

friction pad

5011 

クラッチディ
スク

ディスククラッチの一構成部品で,係合作用をさせ

るための摩擦円板。

 clutch

disc

5012 

クラッチフェ
ーシング

ディスククラッチで,円板面又は円筒端面に張り付

けて使用する摩擦材部品。

 clutch

facing

5013 

クラッチライ
ニング

クラッチで,円周面に張り付けて使用する摩擦材部
品。

 clutch

lining

5014 

ラップスプリ
ング

同心軸上にある入力ハブ及び出力ハブと組み合わせ
てトルクの伝達・遮断をするばね。

 wrap

spring

5015 

スプリングク
ラッチ

ワンウェイクラッチの一種で,コイル状ばねの巻き
込みによって一方向だけにトルクを伝達させるクラ
ッチ(

付図 参照)。

coil spring clutch

5016 

スプラグ

ワンウェイクラッチで,トルクを伝達させるために
一方向だけにくい込み作用をさせる繭形部品(

付図

10

参照)

 sprag

5021 

ブレーキディ
スク

ディスクブレーキの一構成部品で,制動作用をさせ
るための摩擦円板。

 brake

disc

5022 

ブレーキドラ

ドラムブレーキで,制動作用をさせるためにブレー
キシューを押し付ける円筒状の部品。

ブレーキホイ
ール,ブレー

キ胴

brake drum

5023 

ブレーキシュ

ドラムブレーキで,制動作用をさせるためにブレー
キドラムに押し付ける部品。

 brake

shoe

5024 

ブレーキバン

バンドブレーキで,制動作用をさせるためにブレー
キドラムに巻き付ける帯状の部品。

ブレーキ帯 brake

band

5025 

ブレーキライ
ニング

ブレーキで,摩擦面に使用する摩擦材部品。

brake

lining

5026 

キャリパー

ディスクブレーキで,ディスク両面に摩擦材を押し
付ける機能をもつ部品。

 caliper

5031 

自動すきま調
整機構

摩耗による摩擦面間のすきまの増大を自動的に補正

する機構。オートアジャスター,オートギャップア
ジャスター,オートスラックアジャスターとも呼ぶ。

 autogap

mechanism,

auto-slack adjuster

(3)

作動用語

参考

番号

用語

定義

慣用語

対応英語

6001 

係合 
(けいごう)

クラッチの作動によって,被動側と駆動側との間に
トルクの伝達があること。滑り状態も含み,滑りの
ない連結より広い意味を表す。

engaging of clutch

6002 

連結

クラッチの作動によって,被動側が駆動側に同期す
ること。

interlocking of clutch

(slipless engaging)

6003 

係合過程

クラッチの操作開始から係合が完了する(定常状態
に達する)までの過程。

 engaging

process

6004 

緩衝係合

クラッチで,駆動側から被動側にトルクを徐々に伝
えて,被動側が衝撃なく係合すること。

 shockless

engaging

of clutch

6005 

緩衝連結

クラッチで,駆動側から被動側にトルクを徐々に伝
えて,被動側が衝撃なく連結すること。

 shockless

interlocking of

clutch


4

B 0152-1997

参考

番号

用語

定義

慣用語

対応英語

6006 

静止係合

クラッチを静止状態で連結すること。  stationary

engagement of

clutch

6007 

回転係合

クラッチの被動側,駆動側間を相対速度のある状態

でトルクを伝達すること。

 rotating

engagement

of clutch

6011 

制動

ブレーキを作動状態にすること。

braking

6012 

緩衝制動

ブレーキで,制動対象物を衝撃なく減速又は停止さ
せること。

 shockless

braking

6021 

正作動

操作入力を加えたときクラッチ又はブレーキが作動
すること。

 positive

actuation

6022 

負作動

操作入力を除いたときクラッチ又はブレーキが作動

すること。

逆作動 negative

actuation

6023 

乾式作動

クラッチ及びブレーキの摩擦面が乾燥状態で作動す

ること。

actuation under a dry

condition

6024 

湿式作動

クラッチ及びブレーキの摩擦面が油浴など潤滑状態
で作動すること。

actuation under a wet

oilling condition

6025 

連続すべり作

クラッチ及びブレーキを連続してすべらせながら作
動させること。

 slip

service

6031 

オンブレーキ

ブレーキの正作動。

on-braking

6032 

オフブレーキ

ブレーキの負作動。

off-braking

6033 

アンチロッ
ク・ブレーキ

制動時に,車輪と路面間の摩擦力低下を引き起こす
車輪の回転停止を自動制御によって回避しながら,
安定した制動を行うこと。

 anti-lock

braking

6041 

トルク干渉

2

個のクラッチ又はブレーキを併用して作動させる

とき,その減衰トルクと発生トルクが相互に干渉し

合い,係合時間,制動時間などに影響を及ぼす現象。

 torque

wrap

(4)

性能用語

参考

番号

用語

定義

慣用語

対応英語

7001 

摩耗率

摩擦材の耐摩耗性能を評価するための一指標であっ

て,ある条件の下に摩擦運動をさせたときの比摩耗
量(単位垂直荷重当たり,単位すべり距離当たりの
摩耗量)

wear rate of friction

material

7002 

静摩擦トルク

摩擦クラッチ及び摩擦ブレーキで,摩擦面が静摩擦
状態で発生する摩擦トルク。

static friction torque

7003 

動摩擦トルク

摩擦クラッチ及び摩擦ブレーキで,摩擦面が動摩擦
状態で発生する摩擦トルク。

 dynamic

friction

torque

7004 

ドラグトルク

クラッチ及びブレーキを作動させていないときに生
じる摩擦トルク。

つれまわりト
ルク,空転ト
ルク

drag torque

7005 

静摩擦係数

相対運動を行っていない接触面に生じる摩擦力と法
線作用力との比。

coefficient of static

friction

7006 

動摩擦係数

相対運動を行っている接触面に生じる摩擦力と法線
作用力との比。

 coefficient of

dynamic friction

7007 

定格トルク

クラッチ及びブレーキに保証されているトルクの使

用限度。

 rated

torque

7008 

許容摩擦面圧

摩擦材の摩擦面に生じる法線作用力で,使用上許さ

れる単位面積当たりの力。

 allowable

normal

(surface) pressure


5

B 0152-1997

参考

番号

用語

定義

慣用語

対応英語

for friction

material

7009 

許容スリップ
工率

連続すべり作動をさせたときの許容される仕事率。

allowable

continuous

heat dissipation

7010 

熱放散能力

クラッチ及びブレーキで,摩擦仕事などによって発
生する熱を放散する能力。

 heat

dissipation

capacity

7011 

有効摩擦半径

ディスククラッチ,ディスクブレーキなどで,摩擦
力が一点に集中して作用したとみなしたときの作用
点の半径方向位置。

 effective

friction

radius

7012 

すべり速度

すべり状態にあるクラッチ及びブレーキの作動面に
おける相対速度。

 slipping

velocity

7013 

ドラグ

ドラグトルクによって,クラッチでは被動側が回転
し,ブレーキでは制動がかかること。

空転,つれま
わり,引きず

drag

7014 

シャダー

摩擦クラッチ及び摩擦ブレーキで,その摩擦面と係
合した系が摩擦特性と振動特性との相互作用によっ
て,振動・音響を発生すること。

チャター,お
どり,鳴き,
ジャダー

shudder,

grabbing chatter

7015 

鳴き

クラッチ又はブレーキで,摩擦面で発生する振動音。  squeal

7021 

係合時間

クラッチを作動させてからトルク伝達が定常状態に

達するまでの時間。産業機械分野では連結時間とも
いう。

全立ち上がり

時間

total build-up time,

engaging time of

clutch

7022 

制動時間

ブレーキを作動させてから運動を停止するまでの時
間,又は減速を完了するまでの時間。

 braking

time

7023 

解放時間

作動を止めるための操作入力がクラッチ又はブレー

キに入ってから係合又は制動が解かれるまでの時
間。

 release

time

7031 

許容係合仕事

摩擦クラッチで,駆動側と被動側とを連結するとき
に許容される摩擦仕事。

 allowable

engaging

energy,

allowable engaging

work

7041 

制動力

制動対象物を減速・停止し,又は停止状態の位置に
保持する力。

 braking

force

7042 

制動減速度

ブレーキの作動による運動体の減速度。

braking

deceleration

7043 

フェード

ブレーキの効力が摩擦面の摩擦熱又は浸水によって

一時的に低下すること。

 fade

7044 

リカバリ

フェードで低下した効力が回復すること。

recovery

7045 

許容制動仕事

摩擦ブレーキで,制動するときに許容される摩擦仕
事。

 allowable

braking

energy,

allowable braking

work


6

B 0152-1997

参考  作動動作

番号

用語

定義

対応英語

クラッチをつなぐ

クラッチを連結状態にすること。 to

engage

クラッチを切る

クラッチを連結状態から解くこと。 to

disengage

かみあわせる

かみあいクラッチを連結状態にすること。

to engage the positive clutch

ブレーキを掛ける

ブレーキを作動状態にすること。

to apply the brake

ブレーキを外す

ブレーキの作動をやめること。ブレーキを切ると

もいう。

to take off the brake

ブレーキを緩める

ブレーキに作動している力を緩めること。

to release the brake

付図 1  歯車クラッチ

付図 2  ツースクラッチ

付図 3  ジョークラッチ

付図 4  円すいクラッチ

付図 5  遠心クラッチ

付図 6  多板クラッチ

付図 7  ディスクブレーキ

付図 8  ドラムブレーキ

付図 9  スプリングクラッチ

付図 10  スプラグ


7

B 0152-1997

クラッチ及びブレーキ用語改正原案調査作成分科会  構成表

氏名

所属

(委員会長)

中  原  綱  光

東京工業大学工学部

(幹事)

京  極  啓  史

東京工業大学工学部

二  瓶  光  弥

工業技術院機械技術研究所

大  島  清  治

工業技術院標準部

中  込  常  雄

中込技術士事務所

山  川  新  二

工学院大学

(小委員会長)

山  本  隆  司

東京農工大学工学部

蓼  沼  愛一郎

小倉クラッチ株式会社

田  中  敏  伸

神鋼電機株式会社

中  村  秀  樹

新潟コンバーター株式会社

松  本  堯  之

エヌエスケー・ワーナー株式会社

田  口  末  光

曙ブレーキ工業株式会社

沢  辺  達  郎

株式会社コマツ

熊  谷  則  道

財団法人鉄道総合技術研究所

山  田  良  秋

株式会社日立製作所土浦工場

山  城  義  治

株式会社東芝府中工場

岩  澤  輝  男

東芝機械株式会社

加  藤  芳  章

日産自動車株式会社

渡  辺  一  夫

株式会社本田技術研究所

井  上  光  弘

日立化成工業株式会社

(事務局)

中  嶌      勉

社団法人日本機械学会

○印は,小委員会委員を兼ねる。

文責  山本  隆司(東京農工大学工学部)