B 0128
:2005
まえがき
この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人火力原子
力発電技術協会(TENPES)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,
日本工業標準調査会の審議を経て,
経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS B 0128:1995 は改正され,この規格に置き換えられる。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
B 0128
:2005
目 次
ページ
1.
適用範囲
1
2.
引用規格
1
3.
用語の分類
1
4.
用語及び定義
2
B 0128
:2005
日本工業規格
JIS
B
0128
:2005
火力発電用語−ガスタービン及び附属装置
Glossary of terms for thermal power plants
gas turbine and auxiliary equipment
1.
適用範囲 この規格は,火力発電で用いられるガスタービン及び附属装置に関する用語,及びその定
義について規定する。
2.
引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 0126
力発電用語−ボイラ及び附属装置
JIS B 0127
力発電用語−蒸気タービン及び附属装置並びに地熱発電設備
JIS B 8040
ガスタービン−用語
JIS B 8041
ガスタービン−受渡試験方法
JIS B 8042-1
ガスタービン−調達仕様−第 1 部:一般事項及び定義
JIS B 8042-2
ガスタービン−調達仕様−第 2 部:比較基準条件及び定格
JIS B 8042-4
ガスタービン−調達仕様−第 4 部:燃料及び環境
JIS B 8042-6
ガスタービン−調達仕様−第 6 部:コンバインドサイクル
JIS B 8042-9
ガスタービン−調達仕様−第 9 部:信頼性,稼動性,保全性及び安全性
JIS Z 8106
音響用語
3.
用語の分類 用語の分類は,次による。
a)
ガスタービン c)
圧縮機 e)
制御−保安装置
1) 種類及び形式
1) 種類及び形式
1) 種類及び形式
2) 構造・構成
2) 構造・構成
2) 構造・構成
3) 附帯設備
3) 附帯設備
3) 附帯設備
4) ガスタービン一般
4) 圧縮機一般
4) 制御−保安装置一般
5) 性能及び試験
5) 性能及び試験
5) 性能及び試験
b)
タービン d)
燃焼器 f)
燃料装置
1) 種類及び形式
1) 種類及び形式
1) 種類及び形式
2) 構造・構成
2) 構造・構成
2) 構造・構成
3) 附帯設備
3) 附帯設備
3) 附帯設備
4) タービン一般
4) 燃焼器一般
4) 燃料装置一般
5) 性能及び試験
5) 性能及び試験
g)
吸排気装置 i)
排熱回収ボイラ及び排気再燃ボイラ k)コンバインドサイクル
2
B 0128
:2005
1) 種類及び形式
1) 種類及び形式
l)
ガスタービンを使った
2) 構造・構成
2) 構造・構成
その他の発電プラント
3) 附帯設備
3) 附帯設備
4) 吸排気装置一般
4) 排熱回収ボイラ及び
5) 性能及び試験
排気再燃ボイラ一般
h)
脱硝装置
5) 性能及び試験
1) 種類及び形式
j)
ガスタービン用附属熱交換器
2) 構造・構成
1) 種類及び形式
3) 附帯設備
2) 構造・構成
4) 排煙脱硝一般
3) 熱交換器一般
5) 性能及び試験
4) 性能及び試験
4.
用語及び定義 用語及び定義は,次による。
なお,参考として慣用語及び対応英語を示す。
備考 用語欄で( )を付けてあるものは,紛らわしくしない場合はこの部分を省略してもよい。
a)
ガスタービン
1)
種類及び形式
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
1101
ガスタービン
作動流体の熱エネルギーを機械的仕事に変換する機
械で,1 台以上の圧縮機,作動流体を加熱する装置,1
台以上のタービン,制御装置及び必要に応じて,熱交
換器その他の補機から構成される設備。ガスタービン
構成要素の配置例を
付図 1〜6 に示す。
gas
turbine
1102
ガスタービン発電
プラント
ガスタービンとすべての必要な附属装置とを含めた
発電設備。
gas
turbine
power
plant
1103
開放サイクル
吸気,排気ともに大気に開放されている熱力学的サイ
クル。
open
cycle
1104
密閉サイクル
作動流体が大気から隔離されて回流する熱力学的サ
イクル。
closed
cycle
1105
内燃ガスタービン
燃焼器内で,作動流体中に直接燃料を噴射,燃焼させ
て作動流体を加熱する方式のガスタービン。
internal
combustion gas
turbine
1106
外燃ガスタービン
作動流体中に直接燃料を混入しないで,熱交換器など
によって間接的に作動流体を加熱する方式のガスタ
ービン。
external
combustion gas
turbine
1107
単純サイクル
連続的な圧縮,加熱及び膨張過程だけから形成される
熱力学的サイクル(JIS B 8042-1 参照)
。
シンプルサイ
クル
simple cycle
1108
再生サイクル
作動流体の連続的な圧縮,再生加熱,加熱,膨張及び
再生冷却(排ガスから圧縮機出口流体への熱伝達)過
程によって形成され,排熱回収を行う熱力学的サイク
ル。
regenerative
cycle
1109
中間冷却サイクル
継続する圧縮過程の段間において,作動流体を冷却す
る熱力学的サイクル。
intercooled
cycle
3
B 0128
:2005
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
1110
再熱サイクル
継続する膨張過程の段間において,作動流体を再度加
熱する熱力学的サイクル。燃焼によって再度加熱する
場合は, 再燃サイクル
という。
reheat
cycle
1111
複合サイクル,
コンバインドサイ
クル
複数の熱サイクルを結合させて熱効率の向上を図っ
た熱力学的サイクル。一般的には,ガスタービンサイ
クルと蒸気タービンサイクルとを結合させた熱力学
的サイクルを指す。
備考 一般的には,高温域システム,低温域シス
テムとも発電システムの場合をいうが,低
温域サイクルが熱供給だけの場合も広義の
コンバインドサイクルという場合がある
(JIS B 8042-6 参照)
。
ガスタービン
−蒸気タービ
ン複合サイク
ル
combined cycle
,
combined gas and
steam turbine
cycle
1112
一軸形ガスタービ
ン
圧縮機とタービンとの回転軸を機械的に結合して,出
力を直接又は変速機を介して取り出すガスタービン
(
付図 1 及び付図 2 参照)。
single-shaft
gas
turbine
1113
多軸形ガスタービ
ン
それぞれ独立の回転軸で作動する最小限二台のター
ビンをもつガスタービン。フリータービン形(負荷出
力軸がガス発生機軸と機械的に接続していない形式)
及び,コンパウンド形(高圧・低圧の並列した圧縮機・
タービン軸をもつ形式)などを含む(
付図 3 及び付図
4
参照)
。
備考 例えば,軸が二本の場合は,二軸形ガスタ
ービンという。特に,高圧圧縮機・タービ
ン及び,低圧圧縮機・タービンが,同じ軸
心の形式をツインスプール形という。
multi-shaft
gas
turbine
1114
定置(式)ガスタ
ービン
一定地点に固定して稼動し,容易に移動できないガス
タービン設備。
stationary
gas
turbine
1115
移動(式)ガスタ
ービン
一定地点に固定して稼動するが,別地点に容易に移動
して稼動することができるガスタービン設備。
mobile gas turbine
1116
抽気ガスタービン
外部で使用することを目的に,圧縮機段間又は圧縮機
出口から圧縮空気を抽出,若しくはタービン入口又は
タービン段間から高温ガスを抽出するガスタービン
(
付図 5 参照)。
bleed gas turbine
,
extraction gas
turbine
1117
ヘビーデューティ
ガスタービン
あらかじめ陸用・舶用に設計されていて,長期連続運
転を前提としたガスタービン。
heavy duty gas
turbine
1118
航空転用(形)ガ
スタービン
航空機用エンジンを設計変更,又はガス発生機を主体
にして出力タービンを組み合せて,発電用などに転用
したガスタービン。
航 空 機 転 用
(形)ガスタ
ービン
aero-derivative gas
turbine
1119
パッケージ形ガス
タービン
ガスタービン及び主要附属装置を,工場で一体のユニ
ット(パッケージ)に組み立ててから出荷するガスタ
ービン。特に数百 kW 以下のガスタービンを,構造,
保守性などの特徴を踏まえて マイクロガスタービン
(micro gas turbine) ということもある。
package type gas
turbine
備考 複合語例 開放再生再熱サイクル二軸形ガスタービン
4
B 0128
:2005
2)
構造・構成
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
1201
タービン
ガスタービンの構成要素であって,作動流体の膨張に
よって動力を発生させる回転機械。
turbine
1202
圧縮機
ガスタービンの構成要素であって,作動流体の圧力を
上昇させる回転機械。
空気圧縮機 compressor
1203
燃焼器
燃料を燃焼させて作動流体を直接的に,所定のタービ
ン入口温度まで加熱する装置。
備考 再熱用の燃焼器もある。
燃焼室 combustion
chamber
,
combustor
1204
ガス発生機
プロセス又は出力タービンに供給する高温圧縮ガス
を発生させるガスタービン構成要素を組み立てた設
備。1 台以上の圧縮機,作動流体を加熱する装置,1
台以上の圧縮機駆動タービン,制御装置及び必要な補
機によって構成する。
備考 航空転用ガスタービン用のガス発生機があ
る。
gas
generator
1205
制御−保安装置
正常起動,安定運転,正常停止に必要な制御系(例え
ば,起動制御系,調速機,燃料制御系など),異常状
態における警報又は停止を行う保安系(例えば,過回
転防止装置,燃料遮断系など),運転の監視を行う監
視系及び計器類(例えば,回転速度指示計,ガス温度
計など)並びにシステムに必要な電源制御系から構成
されていて運転に必要な制御,保安,監視のためのす
べての装置を含むシステム。
コントロール
システム
control and
protection
system
1206
燃料装置
燃料をガスタービンに適したように供給,処理及び調
整する装置。
fuel
system
1207
吸排気装置
空気を外部から圧縮機へ導く装置及び燃焼ガスを外
部へ排出するための装置の総称。
air intake and
exhaust system
1208
脱硝装置
ガスタービンの排ガス中に含まれる窒素酸化物(NO
x
)
を除去する装置。
De-NO
x
NO
x
removal
equipment
1209
排熱回収ボイラ
ガスタービンの排気の熱を回収して蒸気を発生させ
るボイラ。
HRSG
,
HRB
heat recovery
steam generator
1210
排気再燃ボイラ
ガスタービンの排気を燃焼用空気として利用するボ
イラ。
fully fired steam
generator
1211
排気助燃ボイラ
ガスタービンの排気を導いて助燃を行い,その熱回収
によって蒸気を発生させるボイラ。
supplementary
fired steam
generator
1212
ガスタービン用附
属熱交換器
ガスタービンの作動流体,潤滑油,冷却空気,冷却水
などを加熱又は冷却する装置。また,ガスタービン排
気による給水加熱器も含む。
gas
turbine
heat
exchanger
3)
附帯設備
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
1301
減速装置
タービンの出力軸の回転速度を減速して,被駆動機に
タービン出力を伝達する歯車装置。
減速歯車 reduction
gear
1302
ターニング装置
タービンロータを低速で回転させる装置。
turning
gear
,
turning device
,
barring gear
5
B 0128
:2005
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
1303
起動装置
ガスタービンを起動させる装置。
備考 電動機,ディーゼルエンジン,圧縮空気,
蒸気,サイリスタなどによる方法がある。
始動装置 starting
equipment
,
starter
1304
潤滑油装置
潤滑油を供給するための装置。油タンク,油ポンプ,
非常用油ポンプ,油ろ過器,油冷却器,配管,計器な
どを含む。
lubricating
system
1305
エンクロージャ
ガスタービンプラントの主要部分を風雨から保護し,
かつ,騒音を低減するための分解可能な外囲い。
enclosure
1306
換気装置
エンクロージャ内の高温化などを防止するために,換
気ファン,ダクト,ダンパなどからなる装置。
ventilation
equipment
1307
純水装置
水中の不純物を除去して純水を作る装置。
water
purification
system
,
demineralizer
1308
冷却水装置
ガスタービンに使用する作動流体,潤滑油,冷却空気,
機器などを冷却するための冷却水などを供給する装
置。
cooling
water
system
1309
制御油装置
電気式調速装置用の制御油を供給する装置。油タン
ク,制御油冷却器,制御油ポンプなどから構成される。
hydraulic
power
unit
,
control oil supply
unit
1310
制御油冷却器
電気式調速装置用の制御油を冷却する装置。
hydraulic
fluid
cooler
1311
主制御油ポンプ
電気式調速装置用の制御油を供給するポンプ。
(main)
control
oil
pump
1312
補助制御油ポンプ
主制御油ポンプが異常時に自動起動して,制御油を供
給するポンプ。
備考1. 主制御油ポンプが主軸駆動の場合は,タ
ービン起動・停止時にも作動する。
2.
潤滑油と主制御油とを共用する場合は,
補助油ポンプが兼用となる。
auxiliary
control
oil pump
4)
ガスタービン一般
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
1401
起動,
始動
ガスタービンが静止又はターニングの状態から運転
の状態に移行すること。
なお,停止は,運転の状態から,静止又はターニン
グの状態に移行することをいう。
start
1402
自力起動
プラント外部から動力の供給を受けないで行われる
起動。
black
start
1403
回転方向
作動流体の流れ方向を基準に定めたガスタービンロ
ータの回転方向。
備考 同じ回転方向でも,吸気側から排気側に向
かって見た場合と,排気側から吸気側に向
かって見た場合とでは逆になるので,注意
を要する。見る方向を定めておく必要があ
る。
direction of
rotation
6
B 0128
:2005
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
1404
自立運転
起動装置からの回転力の助けがなくても,回転速度の
保持又は必要な加速ができる状態。
self
sustaining
1405
無負荷定格速度運
転
定格回転速度における無負荷運転。
FSNL
full speed no load
operation
1406
定格負荷定格速度
運転
定格回転速度における定格負荷運転。
FSFL
full speed full load
operation
1407
タービン入口温度
一定運転
周囲の状態にかかわらず,タービン入口温度を一定に
保つように制御する運転状態。
inlet
temperature-con
stant operation
1408
出力一定運転
周囲の状態にかかわらず,出力を一定に保つように制
御する運転状態。
output-constant
operation
1409
冷却運転
ガスタービン停止時における各部の急激な温度変化
を避けるために,低負荷又は無負荷で保持する運転。
cooling
down
1410
シンクロアイドル
運転
多軸形ガスタービンにおいて,発電機を駆動する出力
軸が系統の周波数に対して,同期速度(又は減速装置
などを介する場合は,その比に応じた速度)で回転し
ている無負荷の運転状態。
synchronous
idle
operation
1411
コアアイドル運転
多軸形ガスタービンにおいて,ガス発生機部の回転軸
が自立速度以上で緩速回転している無負荷の運転状
態。
core idle operation
1412
スピン運転,
クランキング運転
燃料を投入しないで,起動装置だけの駆動による運
転。
モータリング spin
operation
,
cranking operation
1413
強制冷却運転
ガスタービンの高温部分の冷却を目的として行うス
ピン運転。
forced
cooling
operation
1414
パージ運転
起動時,点火に先立って燃焼器内及びダクトなどに残
存する未燃焼の燃料を排除するためのスピン運転。
purging
operation
1415
起動曲線
起動,速度上昇,併列投入,及び負荷上昇の過程にお
ける,回転速度,圧力,温度,負荷などの変化を,時
間に沿って示した曲線。
starting
characteristics
diagram
1416
ターニング
タービン起動前又は停止後にタービンロータのひず
み発生を避けるために,ターニング装置によって低速
で回転させる操作。
turning
1417
遠隔操作
有線,無線,極超短波,搬送波などによって,遠隔地
(一般的には敷地外)から,ガスタービン設備を起
動・運転・停止する方法。
remote
operation
1418
点火
燃料の燃焼を始めさせることを目的に,点火装置など
を作動させる操作。
ignition
1419
着火
点火動作によって燃料が燃焼を始めた状態。
light
off
1420
起動時間
ガスタービンが静止又はターニングの状態から,定格
負荷又は無負荷定格回転速度に達するまでの時間。
starting-time
1421
起動回数
ある期間内に行われた起動の延べ回数。
number of starts
1422
等価寿命時間
高温部品で,機器の運転状況(起動停止,負荷変化,
トリップ,燃料種別など)を考慮した使用可能時間。
equivalent life time
1423
等価運転時間
機器の運転状況(起動停止,負荷変化,トリップなど)
を考慮した運転時間。この等価運転時間に換算するた
めの係数を 等価係数 (equivalent operating factor)と
いう。
equivalent
operating
hour
,
equivalent
operating time
7
B 0128
:2005
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
1424
着火運転時間
着 火 か ら 火 が 消 え る ま で の 累 積 運 転 時 間 ( JIS B
8042-9
参照)
。
fired
operating
hour
1425
高温部
燃焼器からタービン動翼,静翼までを含む,高温の燃
焼ガスが通過する部分。
hot
section
,
hot gas-path
1426
高温部品
高温ガス通路に設置された部品。一般に,運転時間に
よって機器の寿命管理を行う。
hot
parts
1427
開放点検
ガスタービンのケーシングを取り外し,主要構成部分
を現地又は修理工場において検査して,不良部品の修
理又は交換を行う作業。検査対象を全範囲とする場合
(major inspection, overhaul)
,高温部に限定する場合
(hot section inspection)などがある。
分解点検,
オーバホール
major inspection
,
overhaul
1428
高温部点検
ガスタービンケーシングの一部を取り外し,燃焼器,
タービンなどの燃焼ガスにさらされる部品について,
現地又は修理工場において検査し,不良部品の修理又
は交換を行う作業(JIS B 8042-9 参照)
。
hot
section
inspection
,
hot gas path
inspection
1429
燃焼器点検
燃焼器を取り外し,主要構成部分を現地又は修理工場
において検査し,不良部分の修理又は交換を行う作
業。
combustor
inspection
1430
内視鏡点検
ケーシングを開放することなく,内視鏡を用いて回転
部及び静止部を目視で行う検査作業。
ボアスコープ
点検
bore scope
inspection
1431
遮熱コーティング
燃焼ガスの高温から部材を保護するために,高温部品
の表面に施し,その熱抵抗によってメタル温度が高く
ならないようにするセラミックコーティング。
備考 セラミックコーティングとは,アルミナ,
ジルコニア,ジルコン,クロミアなどを溶
融噴射し,金属表面に陶磁性の無機質被覆
を形成する方法である。
TBC
,
遮熱被覆
thermal barrier
coating
1432
耐高温腐食コ−テ
ィング
高温作動流体中の腐食成分によるガスタービン部品
の腐食を防止するためのコーティング。
hot
corrosion
resistant coating
1433
耐酸化コ−ティン
グ
ガスタービン部品の高温酸化を防止するためのコー
ティング。
oxidation
resistant
coating
1434
耐食コーティング
作動流体中の腐食成分による動・静翼の腐食を防止す
る被膜。
corrosion
protection
coating
1435
耐摩耗コーティン
グ
燃焼器,ロータなどで部品間の接触及びしゅう(摺)
動が発生する部位において,相対摩擦による摩耗を防
ぐ目的で施工するコーティング。
wear
resistant
coating
,
abrasion resistant
coating
1436
アブレダブル・コ
ーティング
対向する回転面刃先と対で漏えい(洩)量の低いシー
ルを実現するために,接触時には,意図的に摩耗する
ように施工するコーティング。
abradable
coating
1437
リコーティング
ガスタービンに施工されている耐酸化・耐腐食・遮熱
コーティングなどが,長時間の使用によって劣化した
場合,劣化したコーティング層を除去して,新しくコ
ーティングする修理方法。
recoating
1438
大気プラズマ溶射
高温部品において,大気中でプラズマを用いて,コー
ティング材を溶融状態にして基材に吹き付けて,被膜
を得る溶射方法。
APS atmospheric
plasma spraying
8
B 0128
:2005
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
1439
減圧プラズマ溶射
高温部品において,大気圧力以下に減圧した不活性ガ
ス中で発生させたプラズマを用いて,コーティング材
を溶融状態にして基材に吹き付けて,高純度でち(緻)
密にコーティングする溶射方法。
LPPS low
pressure
plasma spraying
1440
高速フレーム溶射
高温部品において,高速の燃焼ガス中で粉末材料を溶
融して,高速度で基材に粒子をコーティングする溶射
方法。
HVOF high
velocity
oxygen
spraying
,
high velocity
oxygen-fuel
spraying
1441
電子ビーム物理蒸
着
電子ビームを蒸発材料に照射して溶融蒸発させて,基
材表面にコーティングする方法。
EB-PVD electron-beam
physical vapor
deposition
1442
拡散浸透処理
金属体表面から内部へ拡散現象によって,元素をしみ
込ませて金属体表面を改質する方法。各種プロセスが
あるが,ガスタービン高温部品では,Al,Cr などの拡
散浸透処理が広く適用されている。
diffusion
coating
1443
HIP
処理
ガスタービン動翼などの劣化した金属材料に対して,
不活性ガス中で高温・高圧条件を同時に与えて,クリ
ープボイドをつぶし,その後再生処理を行うことによ
って強度を回復させる方法。 熱間等方加圧法
とも
いう。
hot
isostatic
pressurizing,
hot isostatic
pressing
1444
拡散ロウ付処理
ガスタービン部品の製造・補修に用いる拡散接合の一
種で,接合面間のインサート金属などを一時的に溶
融,液化した後,拡散を利用して等温凝固させて接合
する方法。 液層拡散接合処理
ともいう。
liquid
phase
diffusion
bonding
1445
空気冷却
冷却媒体として空気を使った冷却方式。 air
cooling
1446
蒸気冷却
蒸気を高温部品の冷却媒体とする冷却方式。
コンバインドサイクルでは蒸気系と複合して高温
化・高効率化を図る。
steam
cooling
1447
クローズド冷却
高温部品の冷却媒体を主流に放出しないで回収する
冷却方式。回収形冷却ともいう。
closed
loop
cooling
1448
オープン冷却
冷却媒体を回収しないで主流に放出する冷却方式。
open
loop
cooling
1449
対流冷却
高温部品内面,スリーブなどによる流路に冷却媒体を
流して,対流熱伝達によって温度を下げる冷却方式。
コンベクショ
ンクーリング
convection cooling
1450
膜冷却
高温部品の表面に吹き出した冷却媒体によって膜状
の冷媒層を形成して,表面の高温部材への熱を遮断し
て,また冷却する方式。タービン翼の前縁部などに集
中的に使用される場合, シャワーヘッド冷却
とい
うことがある。また,吹出し口の形状を単純な円形で
はなく,扇形などにして冷却効率を高める シェイプ
ト・フィルム冷却孔
を用いることもある。
フ ィ ル ム 冷
却,
フィルムクー
リング
film cooling
1451
インピンジメント
冷却
冷却媒体を高温部品の内面に噴射衝突させて,そのと
き得られる高い熱伝達率を利用する冷却方式。
衝突冷却,
インピンジメ
ントクーリン
グ
impingement
cooling
1452
しみ出し冷却
高温部品の内部から小さな孔を通して冷却媒体をし
み出させ,対流冷却効果と膜冷却効果との組合せによ
って高温部材への熱を遮断して,また,冷却する方式。
トランスピレ
ーションクー
リング
transpiration
cooling
9
B 0128
:2005
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
1453
ピンフィン冷却
冷却通路にピン状のフィンを設置して,対流熱伝達率
向上と被伝熱面積増加とによって冷却効率を向上さ
せた冷却方式。
ピンフィンク
ーリング
pin-type fin
cooling
1454
積層冷却
燃焼器内筒壁などを多重層構造にして,その内部に冷
却空気を流す冷却方式。
multi-wall
construction
cooling
1455
逆流膜冷却
膜冷却と類似した冷却方式であり,冷却空気を下流側
から入れ,流れを反転して膜を形成する冷却方式。
reverse flow film
cooling
1456
(アクティブ)ク
リアランスコント
ロール
定常運転及び過渡運転時に,回転部と静止部とのすき
間を最適に保つために,静止側,回転側を冷却・加熱
して,熱伸び差によってすき間量を制御する方法。タ
ービン側とともに圧縮機側に適用することもある。
(active)
clearance
control
1457
ホットエンドドラ
イブ
ガスタービンのタービン排気側に発電機を接続する
機器配置。
hot
end
drive
1458
コールドエンドド
ライブ
ガスタービンの圧縮機吸気側に発電機を接続する機
器配置。
cold
end
drive
5)
性能及び試験
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
1501
定格出力
所定条件でガスタービンを運転する場合,発電機端子
における計画又は保証出力の総称。
rated
output
,
rating
1502
標準定格出力
比較基準条件における定格出力。
standard
rated
output
,
standard rating
1503
実機標準定格出力
比較基準条件のもとで,当該ガスタービンの最も代表
的な使用例における吸排気圧力損失を設定した場合
の出力。
standard
rated
output in actual
use
1504
現地定格出力
ガスタービンプラントを設置する現地の条件(大気圧
力,大気温度,吸排気圧力損失など)における定格出
力。
site rated output
,
site rating
1505
届出出力
ガスタービンの設置場所における所定の大気温度に
おいて,届出された定格出力。
備考1. 平成 12 年 6 月以前に認可申請をし,その
後に 認可 を受けたものは 認可出力
という。
2.
一軸形コンバインドサイクルの場合は,
設置場所における所定の大気温度におい
て届出たガスタービン及び蒸気タービン
の合計の定格出力をいう。
permitted
output
1506
ベースモード
標準定格出力を定めたときのタービン入口ガス温度
における運転モード。
base
operation
mode
1507
ピークモード
タービン入口温度を標準定格出力の場合より高くし
て,出力増加を図った運転モード。
備考 高温部品の材料表面温度は,ベースモード
時より高くなり,寿命は,ベースモード運
転の場合より短くなる。
peak
operation
mode
10
B 0128
:2005
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
1508
ピーク定格出力
年間運転時間が 500 時間を超え 2 000 時間以下,年間
平均起動回数 100 回以上 500 回未満の運転モードに対
応する定格出力(JIS B 8042-2 参照)
。
peak load rated
output
,
peak load rating
1509
ベース定格出力
年間運転時間が 6 000 時間を超え 8 760 時間以下の運
転モードに対応する定格出力(JIS B 8042-2 参照)
。
base load rated
output
,
base load rating
1510
短時間定格出力
あらかじめ定められた時間の間,連続して出すことが
できる定格出力。
short time rated
output
,
short time rating
1511
制限出力
燃焼ガス温度以外の条件(例えば,軸強度,被駆動機
の容量など)で決まる発電機端子における最大の出
力。
limit
output
1512
出力曲線
大気温度に対応して出力の変化を示す曲線(
付図 7 参
照)
。
出力性能曲線 output
capability
diagram
,
output
performance
diagram
1513
修正出力
任意の大気状態で測定された出力を,比較基準条件又
は所定条件での値に修正して求めた,発電機端子にお
ける出力。
corrected
output
1514
軸端出力
ガスタービンの出力軸の軸端における出力。
shaft-end
output
1515
減速機端出力
減速装置が設置される場合において,その出力軸の軸
端における出力。
shaft output of
gearbox
1516
定格回転速度
定格出力時のガスタービン出力軸の回転速度。
定格回転数,
定格速度
rated speed
1517
修正回転速度
任意の大気状態で測定された回転速度を,比較基準条
件又は所定条件での値に修正して求めた回転速度
(min
−
1
)
。圧縮機性能曲線のパラメータに用いる。
T
T
N
N
0
corr
=
ここに,Ncorr:修正回転速度(min
−
1
)
N:回転速度(min
−
1
)
T:吸込温度(K)
添字 0 は所定条件の値
修正回転数 corrected
speed
1518
自立速度
実運用上最も好ましくない外気条件の下で,起動装置
の動力を用いなくても,ガスタービンを昇速できる最
低の回転速度(min
−
1
)
。
self-sustaining
speed
1519
点火速度
点火を開始できる回転速度(min
−
1
)
。
ignition
speed
1520
タービントリップ
速度
独立の過回転防止装置が作動して,ガスタービンへの
燃料を遮断する回転速度(min
−
1
)
。
turbine trip speed
1521
アイドリング速度
ガスタービンが安定した運転を持続でき,また,この
状態から負荷上昇,降下又は遮断ができるような,製
造業者が指示した回転速度(min
−
1
)
。
idling
speed
1522
危険速度
回転速度が,軸の曲げの固有振動数と一致するときの
回転速度(min
−
1
)
。低い値のものから一次危険速度,
二次危険速度などという。
critical
speed
11
B 0128
:2005
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
1523
熱効率
供給された熱量に対する発生有効仕事の比。
備考 算出に用いた燃料発熱量が,高発熱量であ
るか,低発熱量であるかを明確にする。ガ
スタービンの場合には一般的に低発熱量を
使用する場合が多い。
thermal
efficiency
1524
修正熱効率
任意の大気状態で測定された熱効率を,比較基準条件
又は所定条件での値に修正して求めた熱効率。
corrected
thermal
efficiency
1525
修正流量
任意の状態(圧力・温度)で定義された流量を,比較
算定条件又は所定条件での値に修正して求めた流量
(kg/s)
。
corrected
flow
1526
燃料消費量
単位時間当たりの燃料の消費量。
fuel
consumption
1527
燃料消費率
単位時間,単位出力当たりの燃料の消費量。
specific
fuel
consumption
1528
熱消費量
単位時間当たりに供給された熱量。
備考 算出に用いた燃料発熱量が,高発熱量であ
るか,低発熱量であるかを明確にする。
heat
consumption
1529
熱消費率
単位時間,単位出力当たりの熱消費量。
備考 算出に用いた燃料発熱量が,高発熱量であ
るか,低発熱量であるかを明確にする。
heat
rate
1530
熱収支
熱の発生,吸収,損失などの過程を分析して,エネル
ギーの収支を精算する計算作業。
熱勘定,
熱精算,
熱平衡線図
heat balance
1531
熱利用率
供給された熱量に対する,発生有効仕事と回収された
熱量との和の比。
備考 算出に用いた燃料発熱量が,高発熱量であ
るか,低発熱量であるかを明確にする。
fuel heat utilization
1532
低発熱量
燃料の発熱量を表示する方法の一つで,高位発熱量か
ら水蒸気の潜熱を引いたもの。
LHV
,
低位発熱量
low heating value
,
lower heating
value
1533
高発熱量
燃料の発熱量を表示する方法の一つで,熱量計で測定
され,水蒸気の潜熱を含んだ発熱量。
HHV
,
高位発熱量
high heating
value
,
higher heating
value
1534
比出力
作動流体の単位流量当たりのガスタービンの出力。
specific
power
1535
機械損失
軸受・歯車で発生する摩擦,直結補機を駆動する動力
など,軸端出力として有効に取り出すことができない
仕事。
mechanical
loss
1536
熱損失
設計上で熱収支の精算に必要な,ケーシングなどから
の熱伝達によって外部に失われる熱エネルギー。
heat
loss
1537
現地条件
ガスタービンプラントを設置する現地の条件(大気圧
力,大気温度,湿度,吸排気圧力損失など)
。
site
conditions
1538
比較基準条件
標準環境におけるガスタービンの運転条件(JIS B
8042-2
参照)
。
備考1. 標準環境は,大気温度 15 ℃,大気圧力
1 013 hPa
,相対湿度 60 %をいう。
2. JIS B 8040
参照。
ISO
条件 standard
reference
conditions
12
B 0128
:2005
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
1539
修正曲線
大気条件(温度,圧力,湿度)及び対象機器のパラメ
ータ(発電機力率,排気圧力損失など)に応じて,出
力及び熱効率の変化を示す曲線。特に大気温度に対す
る出力の変化を示す曲線を
出力曲線
という。
備考 コンバインドサイクル発電プラントにおい
ては,蒸気タービンの復水器真空度などの
パラメータも用いる。
correction
curve
1540
暗騒音
ある音を対象としたとき,その音がないときのその場
所における音(JIS Z 8106 参照)
。
ground
noise
,
back ground noise
1541
音響パワーレベル
ある音響パワーの基準の音響パワーに対する比の対
数。比の 10 を底とする対数(常用対数)をとり 10 倍
すれば,音響パワーレベルはデシベルで表される。単
位記号は,dB。
sound
power
level
in decibels
1542
音圧レベル
ある音圧の基準の音圧に対する比の対数。比の 10 を
底とする対数(常用対数)を採り,20 倍すれば,音圧
レベルはデシベルで表される。単位記号は,dB。
sound
pressure
level
1543
透過損失
入射音の音圧レベルに対して,透過する音の音圧レベ
ルがどれだけ低下するかの dB 値。
sound
transmission
loss
1544
起動試験
ガスタービンプラントの起動に関連がある諸特性を
確認するための試験。
starting
characteristics
test
1545
負荷遮断試験
定格速度である負荷をとっているとき,この負荷を遮
断してガスタービンの応答特性を確認する試験。
load
dump
test
,
load rejection test
a)
タービン
1)
種類及び形式
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
2101
軸流タービン
膨張過程におけるガスの流れ方向が,巨視的に見れば
機械の回転軸の方向と一致しているタービン。
axial
flow
turbine
2102
半径流タービン
タービン翼車入口におけるガスが,軸に直角な平面内
で,半径方向で,かつ,内向きに流れるタービン。
ふく流タービ
ン,
ラジアルター
ビン
radial inflow
turbine
2103
出力タービン
多軸形ガスタービンにおいて,負荷を駆動する独立し
た回転軸をもつタービン(
付図 3 参照)。
free
power
turbine
,
power turbine
2104
圧縮機タービン
多軸形ガスタービンにおいて,圧縮機を駆動するため
に用いるタービン。
compressor
turbine
2105
ガスエキスパンダ
特定の用途をもつガスの利用過程中に挿入して,その
熱エネルギーの一部を機械仕事に変換するタービン。
熱エネルギーとして蒸気を利用する場合は, 蒸気エ
キスパンダ
という。
gas
expander
13
B 0128
:2005
2)
構造・構成
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
2201
高圧タービン
high pressure
turbine
2202
中圧タービン
intermediate
pressure
turbine
,
medium pressure
turbine
2203
低圧タービン
複数個のタービンが膨張を前後に分割して分担する
場合に,作動する圧力段階が高いものから高圧,中圧
及び低圧タービンという。
low
pressure
turbine
2204
(タービン)ケー
シング
タービンロータを囲む覆いで,燃焼ガスの流れを導
き,圧力を保持して,通常,内部に静翼などの構造物
を支持する機能をもつ。
車室 casing
2205
(タービン)外部
ケーシング
二重構造のタービンケーシングで,タービンの外部を
構成して,直接ガスに触れない外側のケーシング。
外部車室 outer
casing
2206
(タービン)内部
ケーシング
二重構造のタービンケーシングで,直接ガスに触れる
内側のケーシング。
内部車室 inner
casing
2207
(タービン)ディ
フューザ
燃焼ガスの絶対速度を減少させて,その運動エネルギ
ーの一部を静圧に変換することを目的としたタービ
ン出口の部分。末広がりの流路断面をもつ。
diffuser
2208
タービンロータ
タービンの回転部分の総称。燃焼ガスの高速度噴流を
動翼に吹き付けて得た仕事を取り出す機能をもつ。
備考 動翼を植えていないものをタービンロータ
という場合がある。
ロータ,
車軸
turbine rotor
2209
タービンディスク
タービンロータの一部又は軸に固定された円板。周囲
に動翼を植え込むための構造物。
ディスク,
円板
turbine disk
2210
ディスク締付ボル
ト
組立式タービンロータにおいて,タービン各段落のデ
ィスクを結合する締付ボルト。
stacking
bolt
2211
カービックカップ
リング
ロータのトルク伝達を向上させるために,ディスク間
の接合面間に設けられた歯車かみ合い形状。 ハース
カップリング
も同義で用いられる。
curvic
coupling
,
hirth coupling
2212
タービン翼車
タービンディスクに動翼を植え込んだ状態のもの。
備考 半径流タービンでは,翼(羽根)付きの円
板状回転体を指す。
翼車 turbine
wheel
2213
(タービン)翼
燃焼ガスによって衝動,又は反動作用を生じさせて,
タービンロータに回転力を与えるもの。
備考 ケーシング側に固定した翼と,タービンデ
ィスクに植え込んだ翼とがある。
羽根,
ブレード
blade
2214
(タービン)動翼
タービンディスク側に植え込んだ翼。衝動段落におい
て, バケット
という場合がある。
blade
,
rotor blade
,
bucket
2215
(タービン)静翼
タービンケーシング側に固定した翼。衝動段落におい
て, ノズル
又は
噴口
という場合がある。
vane
,
stator vane
,
nozzle
2216
可変静翼
タービンの特性を変化させるために,運転中に取付角
を変化させることができる構造の静翼。
備考 半径流タービンの場合は, 可変ノズル と
いう。
variable
stator
vane
,
variable geometry
,
variable nozzle
14
B 0128
:2005
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
2217
(タービン)冷却
翼
強制冷却できる構造をもつタービン翼。
(タービン)
冷却ブレード
cooled blade
2218
サーペンタイン冷
却流路
対流冷却方式の冷却翼の構造で,冷却空気が,冷却翼
などの内部を半径方向に往復して蛇行しながら流れ
るように設けた流路。
serpentine
cooling
circuit
2219
タービュレンスプ
ロモータ
対流冷却方式の冷却翼の構造で,熱伝達率向上のため
に,冷却空気通路部内に意図的に設けられる乱流促進
用の突起。
turbulence
promoter
2220
多結晶翼
いろいろな向きの結晶からなり,多くの結晶粒界をも
つ材質を使用したタービン翼。
普通鋳造翼 equiaxial
crystal
bucket
,
conventional
casting bucket
2221
一方向凝固翼
一方向に凝固させた柱状晶からなる材質を使用した
タービン翼。
DS
翼 directionally
solidified
bucket
,
columnar grain
bucket
2222
単結晶翼
結晶粒界がなく,全体が一つの結晶からなる材質を使
用したタービン翼。
SC
翼 single
crystal
bucket
2223
タービンダイアフ
ラム
タービンノズル及びその保持機構の総称。翼環ともい
う。
turbine
diaphragm
2224
隔板
組立式タービンロータにおいて,タービンディスク各
段の間に位置して,静翼設置の空間に対応するディス
ク。
スペーサ spacer
2225
段落
(タービン)静翼と(タービン)動翼との一組(JIS B
0127
参照)
。
備考 ガスの圧力降下を主として静翼で行い,静
翼から出る高速のガスの衝動力によって車
軸を回転させる段落を衝動段落という。
一方,静翼で圧力を降下させて生じたガ
ス速度の衝動力を利用しながら,動翼内で
も圧力を降下させ,主として反動力によっ
て車軸を回転させる段落を反動段落とい
う。
段 stage
2226
ホイールスペース,
ディスクキャビテ
ィ
タービン静翼の内周側ダイヤフラムとタービンディ
スク及びスペーサとに囲まれた空洞部分。
wheel
space
,
disk cavity
2227
軸受
タービン,圧縮機,その他のロータを支える装置。
ベアリング bearing
2228
スラスト軸受
タービンロータ,圧縮機ロータに作用する軸方向の力
を支持する軸受。
推力軸受,
スラストベア
リング
thrust bearing
2229
ロードカップリン
グ
ガスタービンと発電機ロータ又は蒸気タービンロー
タとを結合して,動力を伝達する軸。
中間軸 load
coupling
2230
ラビリンスシール
非接触形のガスシールで,複数のナイフエッジ状のリ
ングによって,通過するガスの漏えい(洩)量低減を
図ったシール。
labyrinth
seal
2231
ハニカムシール
静止側がはち(蜂)の巣状の薄肉格子形状をもち,対
向する回転側刃先との接触を許容することで,漏えい
(洩)量の低減を図ったシール。
honeycomb
seal
15
B 0128
:2005
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
2232
ブラシシール
静止側が柔な金属ワイヤのクシ刃先をもち,対向する
回転側との接触を許容することで,漏えい(洩)量の
低減を図ったシール。
brush
seal
3)
附帯設備
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
2301
タービン洗浄装置
タービン内部,特に翼及びノズルに付着したたい(堆)
積物を,回転中に除去することを目的とした装置。
備考 水又は蒸気を噴射する方法などがある。
turbine
washing
equipment
4)
タービン一般
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
2401
(タービン)入口
圧力
タービン入口の燃焼ガスの圧力。特に指定がない限り
全圧力を表す(通常,絶対圧力を示す。
)
。
備考 全圧力とは,流れている燃焼ガスなどが,
エントロピー的に速度 0(零)までせき止
められたときに到達する圧力をいう。
inlet
pressure
2402
(タービン)入口
温度
ガスタービンの機器としての特性を表す代表値の一
つで,タービン作動流体のガスタービン入口に相当す
る特定点[次の a)又は b)]における流体温度。
a)
燃焼器出口又はタービン第一段静翼入口。
備考 ガスタービンを燃焼器とタービンとに分け
た場合の,タービンの入口に相当する。正
確には,両者の温度は多少異なるが,一般
的に同一とみなす。
b)
タービン第一段動翼入口。
備考 ガスタービンを燃焼器とタービンとに分け
るときに,タービン第一段静翼までを燃焼
器として考えた場合の,タービン入口に相
当する。熱力学的に,作動流体がタービン
において仕事を開始する温度が得られる。
inlet
temperature
,
turbine inlet
temperature
,
firing temperature
2403
比較算定タービン
入口温度
燃料入熱と空気圧縮機入口空気流量とから算出した
燃焼温度。
備考 JIS B 8041 の定義に準じる。
タービン入口
温度(ISO)
turbine reference
inlet
temperature
2404
(タービン)出口
圧力
タービン出口の燃焼ガスの圧力。特に指定がない限り
全圧力を表す(通常,絶対圧力で示す。
)
。
排気圧力 outlet
pressure
,
exhaust pressure
2405
(タービン)出口
温度
タービン出口の燃焼ガスの温度。一般的には全温度で
定義され,受渡性能試験などでは全温度が指定される
が,静温度で計測される場合もある。
備考 全温度とは,流れているガスなどを,エン
トロピー的に速度 0(零)までせき止めた
ときに到達する温度。
排気温度,
排ガス温度,
ブレードパス
温度
outlet
temperature
,
exhaust
temperature
,
blade path
temperature
16
B 0128
:2005
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
2406
排ガス温度偏差
失火などの異常燃焼,又は機器損傷などを検出するた
めに監視するガスタービン出口温度の周方向のばら
つき(偏差)
。
排ガス温度ス
プレッド,
ブレードパス
温度偏差
exhaust
temperature
spread
,
blade path
temperature
spread
2407
膨張比
タービンの入口圧力を出口圧力で除した値。通常,絶
対圧力で示した全圧力を用いる。
expansion
ratio
2408
ガス流量
タービンを通過する燃焼ガスの単位時間当たりの量。
通常,質量流量(kg/s)として表す。
gas
mass
flow
,
gas flow rate
5)
性能及び試験
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
2501
タービン出力
タービンからの被駆動機(圧縮機などを含む)に伝達
される動力。
turbine
output
2502
(タービン)内部
効率
理論断熱熱落差に対する内部仕事に相当する熱落差
の割合。
備考 内部仕事とは,タービン出力に外部損失を
加えたもの。
internal
efficiency
2503
外部損失
軸受損失及びポンプなどの軸駆動補機の機械損失。
mechanical
loss
2504
(タービン)機械
効率
内部仕事に対するタービン出力に相当する仕事の割
合。
mechanical
efficiency
2505
有効効率
理論断熱熱落差に対するタービン出力に相当する熱
落差の割合。
断熱効率 isentropic
efficiency
,
adiabatic
efficiency
2506
(タービン)ポリ
トロープ効率
タービンポリトロープ効率
η
p
(%)は,次の式で表し,
性能比較,解析などに用いられる。
100
)
/
(
log
)
/
(
log
1
1
2
e
1
2
e
p
×
⋅
−
κ
κ
=
P
P
T
T
η
ここに,
κ:比熱比
κ=C
P
/C
V
C
P
:定圧比熱[kJ/(kg・℃)]
C
V
:定容比熱[kJ/(kg・℃)]
P
1
,P
2
:タービン入口及び出口全圧力
(kPa
abs
)
T
1
,T
2
:タービン入口及び出口全温度
(K)
polytropic
efficiency
17
B 0128
:2005
c)
圧縮機
1)
種類及び形式
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
3101
軸流圧縮機
圧縮過程における気体の流れの方向が,巨視的に見れ
ば機械の回転軸の方向と一致している圧縮機。
軸流コンプレ
ッサ
axial compressor
,
axial flow
compressor
3102
遠心圧縮機
圧縮過程のうちでタービン翼車出口における被圧縮
気体の流れの方向が,回転軸に直角な平面にほぼ沿っ
ており,しかも外向きである圧縮機。
遠心コンプレ
ッサ,
ふく流圧縮機
centrifugal
compressor
,
radial compressor
2)
構造・構成
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
3201
低圧圧縮機
低圧コンプレ
ッサ
low pressure
compressor
3202
中圧圧縮機
中圧コンプレ
ッサ
intermediate
pressure
compressor
,
medium pressure
compressor
3203
高圧圧縮機
複数個の圧縮機が,圧縮が前後に分割して分担する場
合に,作動する圧力レベルが低いものから順に,低圧,
中圧及び高圧圧縮機という。
高圧コンプレ
ッサ
high pressure
compressor
3204
(圧縮機)ケーシ
ング
圧縮機で,作動流体の外側部分を構成する部位。
備考 気体の流れを導き,圧力を保ち,同時に静
翼などの内部構造物を支持する機能をも
つ。
車室 casing,
cylinder
3205
圧縮機ロータ
圧縮機の回転部分の総称。
備考1. 動翼を介して気体に仕事を付加する機能
をもつ。
2.
動翼を植えていない車軸を,圧縮機ロー
タという場合がある。
コンプレッサ
ロータ,
車軸
compressor rotor
3206
圧縮機ディスク
圧縮機ロータの一構成要素で,動翼を保持するための
円板状のもの。
円板 compressor
disk
3207
圧縮機翼車
軸流圧縮機では,ディスクに動翼が植え込まれた状態
のもの。また,遠心圧縮機では,気体に仕事を伝達す
る円板状回転体部分を指す。
インペラ,
翼車
impeller
,
compressor wheel
3208
ディスク締付ボル
ト
組立式圧縮機ロータにおいて,圧縮機各段落のディス
クを結合する締付ボルト。
stacking
bolt
3209
(圧縮機)翼
圧縮機で軸動力を気体の圧縮仕事に変換する部分。動
翼と静翼とがある。
羽根,
ブレード
blade
3210
(圧縮機)動翼
圧縮機ディスクに植え込まれる翼。
blade
,
rotor blade
3211
(圧縮機)静翼
圧縮機ケーシング側に固定される翼。
vane
,
stator vane
3212
ダイアフラム
圧縮機静翼及びその保持機構の総称。
diaphragm
3213
(圧縮機)段落
車軸の回転エネルギーを作動流体の圧力上昇に変換
する機構で,動翼及び静翼の一組のこと(JIS B 0127
参照)
。
段 stage
18
B 0128
:2005
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
3214
(圧縮機)可変静
翼
運転中,取付角を変化させることができる構造の圧縮
機静翼。
備考 ガスタービンの圧縮機では,設計点を外れ
た状態,特に少ない空気流量に対しサージ
ングを避ける目的に用いる。
VSV
,
VGV
variable vane
,
variable stator
vane
,
variable guide
vane
3215
入口案内翼
初段動翼の上流側に取り付けた圧縮機静翼。
備考 入口案内翼は一般に可変式であるが,可変
又は固定の両形式の入口案内翼をもった形
式の圧縮機もあり,この形式の案内翼で可
変のものを,特に VIGV(variable inlet guide
vane
)といい,固定のもの(IGV)と区別す
ることもある。
IGV
,
前置静翼
inlet guide vane
3216
出口案内翼
最終段動翼の下流側に取り付けた圧縮機静翼。 EGV,
OGV
,
後置静翼
exit guide vane
,
outlet guide vane
3217
(圧縮機)ディフ
ューザ
気体の絶対速度を減少させ,その運動エネルギーの一
部を静圧に変換することを目的とした圧縮機出口の
部分。末広がりの流路断面をもつ。
diffuser
3218
抽気弁
他に使用する目的で圧縮機の出口側又は圧縮過程の
途中から気体を抜き出す弁。
air bleed valve
,
bleed air valve
3219
放風弁
圧縮過程の作動流体を,サージング防止などのために
外部に放出する弁。
blow-off
valve
3220
遷音速翼
翼表面の流れが部分的に超音速となる遷音速領域で
作動する翼形。
transonic
profile
3221
亜音速翼
翼表面の流れが音速以下で作動する翼形。
subsonic
profile
3)
附帯設備
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
3301
圧縮機入口氷結防
止装置
大気温度が低い場合に,圧縮機上流段で気体中の水分
が氷結するのを防ぐための装置。
compressor
intake
anti-icing
system
3302
圧縮機洗浄装置
圧縮機内部,特に翼に付着した異物を回転中に排除す
ることを目的とする装置。
備考 入口で蒸留水・溶剤を噴射する方式,くる
みの殻・殻物粒などを投入する方式などが
ある。
compressor
washing
equipment
,
compressor
cleaning
equipment
3303
オフライン圧縮機
翼洗浄
ガスタービンをスピン運転で低速度回転させながら,
圧縮機の入口に洗浄液,冷・温水,固形物などを注入
して行う洗浄方法(JIS B 8040 参照)
。
off-line
compressor
washing
3304
オンライン圧縮機
翼洗浄
ガスタービンの負荷運転中に,圧縮機の入口に洗浄
液,冷・温水などを注入して行う洗浄方法(JIS B 8040
参照)
。
on-line
compressor
washing
3305
パーティクルセパ
レータ
圧縮機抽気中の固形物質を分離するための装置。
セパレータ particle
separator
19
B 0128
:2005
4)
圧縮機一般
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
3401
吸込圧力
圧縮機入口の気体の圧力。特に指定がない限り全圧力
を表す(通常,絶対圧力で示す。
)
。
入口圧力 suction
pressure
,
inlet pressure
3402
吸込温度
圧縮機入口の気体の温度。特に指定がない限り全温度
を表す。
入口温度 suction
temperature
,
inlet temperature
3403
吐出圧力
圧縮機出口の気体の圧力。特に指定がない限り全圧力
を表す(通常,絶対圧力で示す。
)
。
出口圧力 delivery
pressure
,
outlet pressure
3404
吐出温度
圧縮機出口の気体の温度。特に指定がない限り全温度
を表す。
出口温度 delivery
temperature
,
outlet temperature
3405
圧力比
吐出圧力を吸込圧力で除した値。絶対圧力で示した全
圧力を用いる。
pressure
ratio
3406
空気流量
圧縮機を通過する単位時間当たりの空気の量。通常,
質量流量(kg/s)として表す。
air
mass
flow
,
air flow rate
3407
抽気
a)
他に使用する目的で圧縮機の出口側,又は圧縮過
程の途中から気体を抜き出すこと。
b)
そのようにして抜き出された気体。
air
bleed
,
bleed air
3408
放風
圧縮機の出口側又は圧縮過程の途中から,運転の必要
に応じて外部に気体を放出すること。
blow-off
5)
性能及び試験
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
3501
圧縮機(駆動)動
力
圧縮機を駆動させるために必要となる動力。
圧縮機入力 compressor input,
power input for
compressor
,
compressor drive
power
3502
(圧縮機)内部効
率
圧縮機内部仕事に対する理論断熱圧縮仕事の割合。
備考 内部仕事とは,圧縮機軸動力から外部損失
を差し引いたものに相当する仕事をいう。
internal
efficiency
3503
外部損失
軸受損失又はポンプなどの軸駆動補機の機械損失。
mechanical
loss
3504
(圧縮機)機械効
率
圧縮機軸動力に相当する仕事に対する内部仕事の割
合。
mechanical
efficiency
3505
理論断熱圧縮仕事
吸込状態から吐出し状態までの,等エントロピー圧縮
に必要となる仕事。
workdone for
isentropic
compression
3506
全断熱効率
圧縮機軸動力に相当する仕事に対する理論断熱圧縮
仕事の割合。
overall
isentropic
efficiency
20
B 0128
:2005
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
3507
(圧縮機)ポリト
ロープ効率
圧縮機ポリトロープ効率(%)
η
p
は,次の式によっ
て表す。
100
)
/
(
log
)
/
(
log
1
1
2
e
1
2
e
p
×
⋅
κ
−
κ
=
T
T
P
P
η
ここに,
κ:比熱比
κ=C
P
/C
V
C
P
:定圧比熱[kJ/(kg・℃)]
C
V
:定容比熱[kJ/(kg・℃)]
P
1
,P
2
:吸込及び吐出全圧力(kPa
abs
)
T
1
,T
2
:吸込及び吐出全温度(K)
polytropic
efficiency
3508
サージング
圧縮機内及びこれに続く管路内の作動流体の質量流
量,並びに圧力の低周波数変動によって特徴づけられ
る不安定状態。
surging
3509
失速
圧縮機翼の表面における流れのはく(剥)離が著しく
大きくなって,翼としての機能が低下する現象。
備考 失速は負の迎え角が過大となるときに,又
は衝撃波の発生によって起きる。
stall
3510
旋回失速
圧縮機で空気流量が絞られたり,設計点よりはるかに
低い回転速度になったときに起こる翼列の失速現象。
備考 環状流路に現れた幾つかの失速領域が,動
翼の回転と同じ方向に伝わるので旋回失速
という。
rotating
stall
,
propagating stall
3511
チョーキング
圧縮機内部の流路のある部分で相対流速が音速に達
したため,体積流量がそのときの値を超えることがで
きなくなる現象。
choking
3512
圧縮機性能曲線
圧縮機の性能を表示した曲線。縦軸に圧力比,横軸に
修正空気流量をとり,修正回転速度と全断熱効率とを
パラメータとしてサージング限界を表すグラフが一
般的である(
付図 8 参照)。
performance
characteristic
diagram of
compressor
3513
修正空気流量
任意の大気状態(圧力,温度)で測定又は定義された
空気流量を,比較算定条件又は所定条件での値に修正
して求めた流量(kg/s)
。圧縮機性能曲線の横軸に用い
られる。
0
0
corr
T
T
P
P
G
G
=
ここに,Gcorr:修正空気流量(kg/s)
G:空気流量(kg/s)
P:吸込圧力(kPa abs)
T:吸込温度(K)
添字 0 は所定条件の値
corrected air flow
3514
サージマージン
運転状態におけるサージング限界までの余裕。圧力
比,流量,及び回転速度で定義するのが一般的である。
surge
margin
3515
ファウリング
作動流体中のちりなどが,圧縮機翼表面に付着する現
象。この付着によって圧縮機が性能低下を起こす。
fouling
21
B 0128
:2005
d)
燃焼器
1)
種類及び形式
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
4101
筒形燃焼器
筒形の外筒及び内筒の一組から構成される燃焼器。
キャン形燃焼
器
can-type
combustor
4102
環状燃焼器
ガスタービンの軸中心線と同心の環状断面をもつ外
筒,及び内筒の一組から構成される燃焼器。
アニュラー形
燃焼器
annular combustor
4103
環状多筒形燃焼器
ガスタービンの軸中心線と同心の環状断面をもつ外
筒の中に,複数個の円筒状の内筒が軸対称に配置され
ている燃焼器。
キャニュラー
形燃焼器
cannular
combustor
,
canannular
combustor
4104
直流形燃焼器
内筒の外側における空気の流れの方向と,燃焼の進行
する方向とが一致している燃焼器。
straight-flow
combustor
4105
逆流形燃焼器
内筒の外側における空気の流れの方向と,燃焼の進行
する方向とが逆向きになっている燃焼器。
counter-flow
combustor
4106
エルボ形燃焼器
空気の流入方向と燃焼の進行する方向とが,ほぼ直角
になっている燃焼器。
elbow-type
combustor
4107
再熱燃焼器
再熱サイクルで,膨張過程の途中で作動流体を再度燃
焼,又は加熱する装置。
再燃器,
再熱器
reheater
,
reheat combustor
,
reheat combustion
chamber
4108
多缶形燃焼器
筒形燃焼器を複数個配置した燃焼器。
マルチキャン
形燃焼器
multi can-type
combustor
4109
サイロ形燃焼器
大形燃焼室に複数のバーナを備え,タービン軸心にほ
ぼ直角に取り付けている燃焼器。サイロ内部にはセラ
ミックタイルなどの耐熱材料が取り付けられている。
silo
combustor
4110
低 NOx 燃焼器
窒素酸化物の生成を抑えるため,局所的な火炎燃焼温
度を低く抑えた燃焼器。水・蒸気を使用しない乾式燃
焼器(予混合燃焼,希薄燃焼,二段燃焼など)を用い
る方式,水・蒸気を噴射する方式,触媒燃焼方式など
がある。
lower
emissions
combustor
,
low-NOx
combustor
4111
デュアルフューエ
ル燃焼器
一つの燃焼器で,二種の燃料を同時に,又は切替えに
よって単独に燃焼できる燃焼器。
dual
fuel
combustor
2)
構造・構成
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
4201
(燃焼器)内筒
燃焼器で燃焼領域,混合領域及びタービン入口に向か
う燃焼ガス流路を形成する筒状の構造物。
ライナ flame
tube
,
combustion liner
,
inner tube
,
combustor basket
4202
(燃焼器)外筒
燃焼器の外壁を形成し,内部の圧力に耐える筒状の構
造物。内筒などの内部構造物を保持する外筒自身が,
ガスタービンの強度部分として構成される場合もあ
る。
スリーブ outer
casing
,
combustor casing
4203
(燃焼器)尾筒
燃焼器のガス出口部の流路を形成する筒状の構造物。
トランジショ
ンピース
transition pipe
,
transition piece
4204
旋回羽根
燃焼用空気に旋回運動を与えるために,燃料噴射ノズ
ルの周囲に設けられた羽根。
スワラ swirl
vane
22
B 0128
:2005
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
4205
燃料噴射ノズル
燃料を燃焼器内に噴射するノズル。
fuel
injection
nozzle
,
burner
,
fuel injector
4206
デュープレックス
ノズル
起動又は低負荷の燃料小流量時用と,定格負荷の大流
量時用との大小二つの噴霧口を設け,燃料流量が大き
く変化する場合に使い分けて,ノズル差圧を高く保持
することによって,液体燃料を高い圧力で噴霧させて
適正に拡散させるノズル。
複室式ノズル duplex
nozzle
4207
保炎器
火炎の安定を図るために燃焼用空気の流速を下げて,
空気に乱れ及び逆流を生じさせるように,燃料噴射ノ
ズルの近傍に設けられている構造物。
flame
holder
,
baffle plate
4208
火炎伝ぱ管
燃焼器において,複数の内筒を互いに連絡して,着火
の際に,ある内筒から隣の内筒への火炎を伝ぱ(播)
させる管。
連結管,
連絡管,
クロスファイ
アチューブ
crossfire tube
,
connecting pipe
,
interconnector
,
crossflame tube
4209
のぞき窓
内部の燃焼状況などを観察できるように,燃焼器外筒
に設けられた窓。
sight
glass
,
observation hole
,
peep hole
4210
拡散バーナ
燃料と空気とをあらかじめ混合しないで別々に噴射
して,両者の界面にそれぞれを拡散させて燃焼させる
バーナ。
diffusion
fuel
burner
4211
予混合バーナ
燃料をあらかじめ空気と混合して噴射させるバーナ。
保炎目的にパイロットノズルを用いるものもある。
プレミックス
バーナ
premix fuel burner
3)
附帯設備
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
4301
点火装置
起動時に燃料に点火する装置。燃焼器の構造,燃料の
種類などによって,電気火花,電熱線,トーチなどの
方式がある。
点火栓 ignition
equipment
,
ignitor
4302
空気制御装置
予混合燃焼による低 NO
x
燃焼を確立するため,燃焼温
度を低く抑えて,適切な空気流量となるように制御す
る装置。燃焼器本体内の分配比率を制御する方式,バ
イパスさせる方式などがある。
air flow controller
4303
燃料流量分配器
均一な燃焼とするため,各燃料注入器に燃料を均等に
分配する装置。通常,気体燃料には不要である。
fuel flow divider
4)
燃焼器一般
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
4401
一次燃焼領域
連続燃焼が継続するように循環流を伴う燃焼領域。
備考 この部分の空燃比は理論空燃比に近く,空
気に乱れと定常的な逆流とを生じるように
考慮されている。
primary
combustion
zone
23
B 0128
:2005
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
4402
二次燃焼領域
一次燃焼領域に続いて十分な空気を混入して燃焼を
完結させる領域。
secondary
combustion
zone
4403
混合領域
燃焼ガスの温度をタービンの入口温度まで下げて,適
切な分布が得られるように空気を混入する領域。
希釈領域 dilution
zone
4404
一次空気
燃料噴射ノズル近傍から一次燃焼領域に送り込まれ
る空気。
primary air
4405
二次空気
二次燃焼領域に送り込まれる空気。
secondary air
4406
混合用空気
混合領域に送り込まれる空気。
希釈用空気 mixing
air
,
dilution air
4407
拡散燃焼
燃料と空気とを別々に供給して,両者の境界面にそれ
ぞれが拡散して燃焼させる方法。
diffusion
combustion
4408
予混合燃焼
燃料と空気とをあらかじめ混合して燃焼させる方法。
premix
combustion
4409
二段燃焼
燃焼器内でフューエル NO
x
低減用に実施する還元二
段燃焼。初段階で,二次空気が供給されるまでの燃料
過濃領域で NO
x
を N
2
に還元して,第二段階で,二次
空気供給後に完全燃焼を図るリッチ・リーン燃焼。
two
stage
combustion
4410
触媒燃焼
触媒表面に吸着して活性化した酸素と燃料とによっ
て,低温下で酸化反応が進行する燃焼方法で,火炎燃
焼よりも大幅に低温の燃焼反応のため,低 NO
x
化に貢
献する。
catalytic
combustion
4411
蒸気(水)噴射 NO
x
低減,出力増加のために,燃焼器内に蒸気又は水
を噴射する操作方法。
steam
(water)
injection
4412
S/F
比 NO
x
低減,出力増大などの目的で,燃焼器内に噴射さ
れた蒸気と燃料との質量流量比。
steam
injection
ratio
4413
W/F
比 NOx 低減などの目的で,燃焼器内に噴射された水と燃
料との質量流量比。
water
injection
ratio
4414
ウォッベ指数
ガス燃料の互換性を示す指数で,発熱量を対空気比重
の平方根とガス温度の平方根とで除した値(JIS B
8042-4
参照)
。
備考 この指数が一定であれば,ガス供給圧が一
定のもとで,バーナに供給されるガスの燃
焼熱量が一定であることを意味する。
Wobbe
index
4415
燃焼振動
燃焼現象と燃焼器を構成する各機器の音響系とが共
鳴して,圧力変動及び機器の振動を生じる現象。
combustion
dynamics
4416
燃焼振動監視装置
通常運用時及び燃焼器調整時に,燃焼器内圧力変化の
周波数分析などによって燃焼振動を監視する装置。
combustion
dynamics
monitor
4417
逆火
燃焼速度と燃料・空気の予混合気速度とのバランスが
崩れて,火炎がノズル上流に進入する現象。
なお,燃焼速度は予混合気から見た火炎の速度で,
火炎伝ぱ(播)速度は燃焼器壁面から見た火炎の速度
で定義する。
flashback
,
backfire
4418
失火
燃焼火炎が消える現象。
flame
off
,
flame out
24
B 0128
:2005
5)
性能及び試験
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
4501
空燃比
燃料流量(質量)に対する空気流量(質量)の割合。
air/fuel
ratio
,
air fuel ratio
4502
理論空燃比
供給した燃料を完全燃焼させるために,理論上必要な
空気と,その燃料との質量比。
theoretical air fuel
ratio
4503
空気比
理論空燃比に対する実際空燃比の割合。
空気過剰率
excess air ratio
4504
燃焼負荷率
燃焼器の単位容積当たり単位時間に発生する熱量
[kJ/(m
3
・h)]
。
備考 内部の圧力を考慮して修正したものを修正
燃焼負荷率といい,次による。
÷÷ø
ö
ççè
æ
⋅
⋅
n
abs
3
)
Pa
(
h
m
kJ
combustion
load
,
combustion
intensity
,
specific
combustion
intensity
4505
燃焼効率
燃焼器で消費された燃料の発熱量に対する,燃焼器で
作動流体に与えられた熱量(燃焼器出口の作動流体が
もつ熱量から燃焼器入口の作動流体及び燃料がもつ
熱量を差し引いたもの)の割合。
燃焼器効率 combustor
efficiency
,
combustion
efficiency
4506
燃料噴射圧力
燃料噴射ノズルに供給される燃料の圧力。
fuel
injection
pressure
4507
燃空比
空気流量(質量)に対する燃料流量(質量)の割合。
fuel-air
ratio
4508
理論燃空比
供給した燃料を完全燃焼させるために,化学的に厳密
な割合で示した空気流量(質量)に対する燃料流量(質
量)の割合。
化学量論的燃
空比
stoichiometric
fuel-air ratio
4509
等価比
実燃空比を理論燃空比で除した値。
備考 等価比が 1 より大きい場合は燃料が過剰な
混合を示し,1 より小さい場合は燃料が希
薄な混合を示す。
equivalence
ratio
4510
全圧損失率
燃焼器入口から出口までの圧力損失の入口全圧力に
対する割合。
燃焼器圧力損
失率
total pressure loss
ratio
,
combustor specific
pressure loss
4511
温度パターンファ
クタ
燃焼器出口における作動流体の最大温度と平均温度
との差を,燃焼器での温度上昇値で除した値。
temperature
pattern factor
4512
(燃焼器)入口圧
力
燃焼器入口部の全圧力。
inlet
pressure
4513
(燃焼器)入口温
度
燃焼器入口部の全温度。
inlet
temperature
4514
(燃焼器)出口圧
力
燃焼器出口部の全圧力。
outlet
pressure
4515
(燃焼器)出口温
度
燃焼器出口部の全温度。タービン入口温度として使用
されることもある。
outlet
temperature
25
B 0128
:2005
e)
制御−保安装置
1)
種類及び形式
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
5101
制御装置
ガスタービン及びその附属装置の速度,温度,圧力,
出力などの制御,並びに起動停止時にポンプ,ファン,
バルブなどのシーケンシャル制御を行う装置。
governing
system
,
control system
5102
保安装置
ガスタービン及びその附属設備並びに関連する他の
設備の異常を検出して,その異常によって大きな損
傷,被害が生じることを防ぐように,ガスタービンを
安全に停止させる装置。
protection
system
,
safety device
2)
構造・構成
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
5201
ガス温度制御
高温部品の過熱を防ぐために,ガス温度を検知して,
常に所定の設定温度になるように調節する制御機能。
一般的には,タービン入口温度の上限値に相当するタ
ービン出口温度になるように,燃料流量を制御する排
ガス温度制御を行う。
排ガス温度制
御
gas temperature
control
,
exhaust
temperature
control
5202
燃料制御
燃焼器に供給する燃料の量を制御する機能。
fuel
control
,
fuel control system
5203
潤滑油制御
ガスタービンに供給する潤滑油の圧力,温度を制御す
る機能。
lubricating oil
control
5204
IGV
制御
起動時の圧縮機サージング防止,運転時の負荷調整,
排ガス温度調整及び過回転防止のために,圧縮機の入
口案内翼の開度を調節して空気流量を制御する機能。
IGV
control
5205
排気バイパス制御
排気側に排熱回収装置などを設置する場合,ガスター
ビン単独運転を可能とするために設置されるバイパ
ス煙突ダンパを制御する機能。
(exhaust
gas)
by-pass control
5206
ガス温度過昇トリ
ップ
ガス温度が規定値を超えて上昇したときに,ガスター
ビンをトリップさせる機能。
排ガス温度高
トリップ
overtemperature
trip
5207
着火失敗トリップ
起動の場合,燃料を噴射開始した後,規定時間を過ぎ
ても着火しない場合,トリップして起動操作を中止さ
せる機能。
ignition failure trip
5208
失火トリップ
燃焼器内で燃焼の吹き消えが起こったとき,直ちに燃
料の供給を遮断し,かつ,その他の必要な操作を行っ
てガスタービンをトリップさせる機能。
flame out trip
5209
調速装置
タービンの回転速度を検出して制御系の要素の作動
位置を決め,作動させる装置。
調速機 speed
governor
5210
速度設定器
タービンの出力軸の回転速度又は出力を調節する目
的で,調速機の設定値を変化させるための装置。
speed
changer
5211
過回転防止装置
ロータが過回転して,ある設定した回転速度に到達し
た場合に,過回転防止系を作動させる制御要素又はト
リップ要素。
調速装置又は非常調速装置がある。
過速度防止装
置
overspeed control
device
,
overspeed
protective
device
5212
過圧防止装置
ガスタービンの附属設備であって過大圧力を生ずる
おそれのあるものに,その圧力を逃がすために設置す
る装置。
pressure
relief
device
(equipment)
26
B 0128
:2005
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
5213
火炎検出器
燃焼領域内に火炎が存在しているかどうかを検出す
る装置。
備考 ガスタービンの起動時における着火失敗,
負荷急減時などにおける火炎消失を検知す
る。
flame
detector
3)
附帯設備
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
5301
制御盤
諸装置の制御,操作及び監視を総括的に行う盤。
control
panel
5302
計器盤
主に計器を取り付けている盤。
instrument
panel
4)
制御−保安装置一般
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
5401
瞬時最大速度
定格回転速度で,ある負荷をとって運転していると
き,調速機の調節をそのままとして,負荷を遮断した
後,到達する最大回転速度(min
−
1
)
。
maximum
momentary
speed
5402
整定速度
定格回転速度で,ある負荷をとって運転していると
き,調速機の調節をそのままとして,他の負荷に変化
させた後,自動的に整定した回転速度(min
−
1
)
。
permanent
speed
,
steady state speed
5403
整定時間
負荷を変化させた瞬間から回転速度が整定するまで
の時間。
stabilization
time
27
B 0128
:2005
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
5404
速度調定率
調速装置の設定を変えずに,出力を変化させたときの
回転速度変化率を,出力変化率に対する比率で表した
値(JIS B 0127 参照)で,速度調定率 R(%)は,次
の式によって表す。
100
r
r
2
1
1
2
×
⋅
−
−
=
n
P
P
P
n
n
R
ここに,n
1
,
P
1
: 変化前の回転速度(min
−
1
),
出力(kW)
n
2
,
P
2
: 変化後の回転速度(min
−
1
),
出力(kW)
n
r
: 定格回転速度(min
−
1
)
P
r
: 定格出力(kW)
備考
傾斜速度調定率
R
r
(%)は,定常運転
状態における微小回転速度変化率を,微小
出力変化率に対する比率で表した値で,次
の式によって表す。
100
r
r
r
×
⋅
=
n
P
dP
dn
R
ここに, : 出力,回転速度特性の任意出力
点における傾斜(min
−
1
/kW
)
P
r
: 定格出力(kW)
n
r
: 定格回転速度(min
−
1
)
speed
regulation
,
speed regulation
rate
,
permanent speed
variation
,
steady state speed
variation
incremental speed
variation
,
incremental
permanent
speed
variation
,
incremental speed
regulation
5405
整定速度調定率
調速装置の設定を変えないで,タービン出力を,定格
負荷から無負荷まで変化させたときの回転速度変化
量を,定格回転速度に対する比率で表した値( ドル
ープ
ともいう。
)で整定速度調定率 R
s
(%)は,次
の式によって表す。
100
r
r
0
s
×
−
=
n
n
n
R
ここに,n
o
: 無負荷回転速度(min
−
1
)
n
r
: 定格回転速度(min
−
1
)
整定速度変動
率
steady state speed
regulation
,
permanent speed
change
5406
瞬時速度上昇率
瞬時速度上昇率 R
i
(%)は,次の式によって表す。
100
r
r
m
i
×
−
=
n
n
n
R
ここに,n
m
: 負荷遮断後の瞬時最大回転速度
(min
−
1
)
n
r
: 定格回転速度(min
−
1
)
瞬時速度変動
率
maximum
momentary
speed variation
,
instantaneous
speed change
dn
dP
28
B 0128
:2005
5)
性能及び試験
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
5501
保安装置試験
保安装置の機能を確認するための試験。 protection
device
test
5502
非常調速機試験
非常調速装置の動作,及びタービン保護上の回転上昇
によるトリップに至る回転速度を確認するための試
験。
オーバスピー
ドテスト
over speed test
f)
燃料装置
1)
種類及び形式
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
6101
燃料処理装置
ガスタービンに適するように燃料を処理する装置。
燃料前処理装
置
fuel treating
equipment
6102
燃料供給装置
燃料を貯蔵タンクなどの貯蔵器からガスタービンへ
供給する装置。
fuel supply system
6103
デュアルフューエ
ルシステム
二種の燃料を同時に,又は切替えによって単独に運転
に用いることができる燃料供給システム。
dual fuel system
2)
構造・構成
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
6201
燃料油ポンプ
燃料を燃料噴射圧力以上に加圧してガスタービンへ
供給するポンプ。
fuel oil pump
6202
燃料止め弁
ガスタービンへの燃料を遮断するバルブ。
fuel stop valve
6203
燃料調節弁
ガスタービンへの燃料供給を制御する,最終的な燃料
調節要素として作動するバルブなどの装置。
備考 このほかの方法でガスタービンへの燃料を
制御している装置もある。
fuel flow control
valve
6204
燃料遮断弁
燃料系統へのすべての燃料の流れを緊急に遮断する
装置。
fuel
emergency
trip valve
6205
燃料圧力制御弁
燃料系の特定箇所の圧力又は差圧を,設定どおりに調
整するためのバルブ。
fuel
pressure
control valve
6206
燃料流量制御弁
ガスタービン燃焼器への燃料流量を制御する調節バ
ルブ。
fuel control valve
6207
燃料ガス減圧装置
燃料ガス圧力をガスタービンの受入れ圧力に適する
圧力に減圧する装置。
fuel gas pressure
reducing
equipment
6208
燃料ガス圧縮装置
燃料ガスをガスタービンに必要な圧力まで昇圧する
装置。
fuel
gas
compressor
6209
燃料加熱装置
良好な燃焼のための燃料性状(粘度,過熱度,比容積
など)の調節,及び熱効率の向上のために燃料を加熱
する装置。
fuel
heater
,
fuel gas heater
29
B 0128
:2005
3)
附帯設備
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
6301
ガスタンク
ガス燃料を貯蔵しておくタンク。
ガスホールダ gas
tank
,
gas holder
6302
燃料タンク
液体燃料を貯蔵しておくタンク。
燃料槽 fuel
tank
6303
液化ガス貯蔵タン
ク
液化ガスを保冷して液状で貯蔵するタンク。
liquefied
gas
storage tank
6304
液化ガス気化装置
液化ガスをガス化する装置。
liquefied gas
vaporizer
4)
燃料装置一般
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
6401
(燃料)パージ
定期点検及び改造工事に先立って,配管内などに残存
する燃料を排除する操作。
fuel
purging
,
purging
6402
爆発限界
可燃性ガスと空気との混合ガスが爆発を起こす濃度
範囲の限界値。
flammability
limits
,
explosion mixture
limits
6403
危険場所
電気設備の構造,設置及び使用について特別な安全対
策を要するほど,多くの爆発性雰囲気が存在し,又は
存在することが予測される場所又は区域。
備考 危険場所,又は危険場所において防爆電気
設備を設置する区域を, 防爆範囲 と呼ぶ
ことがある。
hazardous area
g)
吸排気装置
1)
種類及び形式
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
7101
吸気ダクト
空気を外部から圧縮機入口へ導くダクト。
インレットダ
クト
air intake duct
,
inlet duct
7102
排気ダクト
ガスタービンの排ガスを外気,煙突又は排熱回収装置
へ導くダクト。
エグゾースト
ダクト
exhaust duct
7103
吸気フィルタ
吸気中のごみなどの異物を除去するための装置。
インレットフ
ィルタ
air filter
,
air cleaner
7104
換気ダクト
換気するための空気出入口用ダクト。
ventilation
duct
7105
吸気冷却器
蒸発式,液滴噴霧式,冷水との熱交換式などによって
吸入空気温度を下げて,出力向上を図る装置。
inlet air cooler
,
inlet evaporative
air cooler
,
inlet fogger air
cooler
7106
吸気ダクト凍結防
止装置
吸気ダクト内での凍結を防止するために,吸気を凍結
温度以上に加温する装置。圧縮機再循環装置,温水加
熱装置などがある。
inlet
duct
anti-icing
system
7107
ウェザールーバ
雨水,雪などの浸入を制限するために,吸気フィルタ
室の入口に設けるルーバ(JIS B 8040 参照)
。
weather
louver
30
B 0128
:2005
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
7108
防虫スクリーン
吸気フィルタ室への昆虫などの侵入を防ぐために,入
口に設置するスクリーン(JIS B 8040 参照)
。
insect
screen
7109
排出物監視装置
排出ガスにおける NOx,SOx,CO などの濃度を測定
して監視する装置。
emission
monitor
2)
構造・構成
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
7201
慣性(式)フィル
タ
慣性力によってじんあい(塵埃)を分離・除去する方
式のフィルタ。構造によってベーン式とサイクロン式
とがある。
inertia
separator
7202
ろ過式フィルタ
紙,布などで作ったろ過膜によって空気をろ過する方
式のフィルタ。構造によって交換式と自己清浄式とが
ある。
バグフィルタ media
filter
,
bag filter
7203
HEPA
フィルタ
定格流量で粒径が 0.3µm の粒子に対して,99.97 %以
上の粒子捕集率をもち,かつ,初期圧力損失が一般に
300 Pa
(30 mmH
2
O
)以下の高い性能をもつ空気フィル
タ。
HEPA
filter
,
high efficiency
particulate air
filter
7204
デミスタ
コアレッサ状のパッドによって細かいミストを凝縮,
粗粉化して,捕集するセパレータ。
ミストセパレ
ータ
demister
,
mist separator
7205
吸気プレナム
吸気ダクトと圧縮機入口部とを接続する空間。吸気温
度,圧力などの計測座が設置される。
inle air
plenum
7206
排気プレナム
ガスタービン出口と排気ダクトとを接続する空間。
exhaust
plenum
7207
排気ディフューザ
ガスタービン排ガスの絶対速度を低下させて,その運
動エネルギーの一部を静圧に変換することを目的と
したガスタービン出口の部分。末広がりの流路断面を
もつ。
exhaust
diffuser
7208
吸気冷却
ガスタービンの吸気の温度を下げて,出力の向上を図
る方法。通過する空気と水とを接触させて,水の蒸発
熱によって吸入空気の温度を下げる蒸発式冷却と,冷
凍機で冷却した媒体を通す吸気ダクト内の熱交換器
によって,吸入空気の温度を下げる冷凍式冷却とがあ
る。
inlet air cooling
,
inlet evaporative
air cooling
,
inlet fogger air
cooling
7209
抽気空気再循環
空気圧縮機から抽気した空気を,圧縮機入口に戻して
再循環させることで圧縮機出口の空気量を調整して,
燃焼器の燃空比の調整を行うことで燃焼の安定化を
はかる方法。
air
extraction
recirculation
3)
附帯設備
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
7301
消音器
吸気又は排気の騒音を低減させる装置。
サイレンサ silencer,
inlet silencer
,
exhaust silencer
7302
給気装置
密閉サイクルガスタービンにサイクル外部から作動
流体を供給する装置。
air
charging
system
31
B 0128
:2005
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
7303
伸縮継手
管・ダクトの伸縮量を吸収する継手。
エキスパンシ
ョンジョイン
ト
expansion joint
4)
吸排気装置一般
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
7401
ばいじん
燃料の燃焼過程で生じるすす・灰などの,燃焼ガス中
に含まれる固体の粒状物質。
particulate
7402
ばいじん濃度
排ガス中の単位体積に含まれるばいじんの量。
particulate
concentration
7403
ダスト
気体中に含まれる固体粒子。
dust
7404
ミスト
気体中に含まれる液体微粒子。
mist
7405
粒径分布
ダスト又はミストの粒径に対する分布割合を表した。
particle
size
distribution
5)
性能及び試験
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
7501
吸気(圧力)損失
作動流体が,吸気システムを流れる間に生じる全圧力
の低下量(JIS B 8040 参照)
。
air
intake
(pressure) loss
,
inlet (pressure)
loss
7502
排気(圧力)損失
作動流体が,排気システムを流れる間に生じる全圧力
の低下量(JIS B 8040 参照)
。
exhaust
(pressure)
loss
7503
バッハラッハ数
ばい煙測定器で排ガス中のばい煙を取り出して,基準
となるサンプルと比較して濃度を定量化した数値
(JIS B 8042-4 参照)
。
Bacharach
method
,
smoke spot method
7504
捕集効率
吸気フィルタの上流側に流入する粉じんの除去割合。
特に,粉じんの粒径別に表した捕集効率を 粒径別捕
集効率
という。
arresting
efficiency
7505
粉じん保持容量
吸気フィルタが使用限界に達するまでに保持するこ
とができる粉じんの質量を示し,単位面積当たり又は
フィルタ 1 個当たりの質量で表示される。
dust
holding
capacity
h)
脱硝装置
1)
種類及び形式
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
8101
選択接触還元法
触媒を用いて,排ガス中の窒素酸化物(NO
x
)をアン
モニアなどの還元剤によって,窒素と水蒸気とに分解
する方法。
触媒脱硝 selective
catalytic
reduction
process (SCR)
8102
高温脱硝方式
おおむね 450 ℃以上の高温排ガスを脱硝する触媒脱
硝方式。
high
temperature
SCR
32
B 0128
:2005
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
8103
中温脱硝方式
おおむね 250〜450 ℃の中温排ガスを脱硝する触媒脱
硝方式。
medium
temperature
SCR
8104
低温脱硝方式
おおむね 250 ℃以下の低温排ガスを脱硝する触媒脱
硝方式。
low
temperature
SCR
2)
構造・構成
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
8201
脱硝反応器
触媒を充てんして,脱硝反応を行わせるための容器。
NO
x
removal
reactor
8202
触媒層
触媒を充てんしている層。
catalyst layer
8203
触媒容器
触媒を鋼製容器に収めて取扱いの単位としたもの。
触媒パック,
触 媒 ブ ロ ッ
ク,
触媒バスケッ
ト
catalyst pack
,
catalyst block
,
catalyst basket
8204
脱硝触媒
脱硝反応を促進させる物質。
NO
x
removal
catalyst
8205
粒状触媒
平行平板形構成の平行流形触媒。
plate type catalyst
8206
格子状触媒
格子目形の平行流形触媒。
honeycom type
catalyst
8207
コルゲート形触媒
波目形の平行流形触媒。
corrugated
catalyst
3)
附帯設備
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
8301
アンモニア供給装
置
脱硝反応を行わせるためのアンモニアを供給する装
置。
ammonia
supply
equipment
8302
アンモニア注入装
置
脱硝反応器の上流で,排ガス中にアンモニアを注入す
る装置。
ammonia
injection
equipment
8303
アンモニア注入格
子
脱硝用アンモニアを,より均一に注入するために,注
入口(ノズル)が格子状に配置された注入設備。
アンモニア注
入グリッド
ammonia injection
grid
8304
アンモニア希釈空
気設備
アンモニア供給装置からのアンモニアを空気によっ
て希釈する装置。アンモニア希釈ファン,アンモニア
空気混合器などから構成される。希釈濃度は,アンモ
ニアの爆発限界を考慮して決定する。
ammonia
dilution
device
4)
排煙脱硝一般
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
8401
窒素酸化物,
NO
x
燃焼反応において生成する窒素酸化物(NO
x
)の総称。
ガスタービン排ガス中の窒素酸化物(NO
x
)は,主と
して一酸化窒素(NO)である。
nitrogen
oxides
,
NO
x
8402
フューエル NO
x
燃料中の窒素化合物が,燃焼によって酸化して発生す
る窒素酸化物。
fuel
NO
x
33
B 0128
:2005
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
8403
サーマル NO
x
高温の燃焼状態において,燃焼用空気中の窒素と酸素
とが反応して発生する窒素酸化物。
thermal
NO
x
8404
リークアンモニア
脱硝反応に寄与しないで,脱硝反応器を通り抜けるア
ンモニア。
残留アンモニ
ア,
未反応アンモ
ニア
leakage ammonia
,
slip ammonia
8405
シンタリング
触媒の粒子構造が高温にさらされることによって,破
壊されて比表面積が減少する現象。
焼結 sintering
8406
アンモニア代替還
元剤
アンモニア水,尿素水,重炭酸アンモニウムなど,排
ガス中でアンモニアに転換して脱硝効果が得られる
物質。
ammonia
substitutes
5)
性能及び試験
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
8501
脱硝率
脱硝率
η
x
(%)は,次の式によって表す(JIS B 0126
参照)
。
100
xi
0
x
xi
x
×
−
=
NO
NO
NO
η
ここに,NO
xi
: 脱硝装置入口の窒素酸化物
(NO
x
)濃度(ppm)(
1
)
NO
xo
: 脱硝装置出口の窒素酸化物
(NO
x
)濃度(ppm)(
1
)
NO
x
removal
efficiency
8502
SV
値
触媒単位体積当たりの処理ガス流量で,次の式によっ
て表す(JIS B 0126 参照)
。
)
h
(
1
−
=
V
G
SV
ここに,G : 処理ガス流量[m
3
(
2
)/h
]
V : 触媒量(m
3
)
space
velocity
8503
LV
値
触媒層へ入る前のガス速度で,次の式によって表す
(JIS B 0126 参照)
。
)
s
/
m
(
S
Q
LV
=
ここに,Q : 処理温度におけるガス流量(m
3
/s
)
S : 触媒層へ入る前のガス入口断面積
(m
2
)
linear
velocity
34
B 0128
:2005
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
8504
AV
値
触媒の単位ガス接触表面積当たりの処理ガス流量で,
次の式によって表す(JIS B 0126 参照)
)]
m
h
/(
)
(
m
[
2
2
3
⋅
⋅
=
A
V
G
AV
ここに,G : 処理ガス流量[m
3
(
2
)/h
]
V : 触媒量(m
3
)
A : 触媒単位体積当たりのガス接触表
面積(m
2
/m
3
)
area
velocity
8505
NH
3
/NO
x
モル比
窒素酸化物(NO
x
)量(モル数)に対する脱硝反応を
させるために注入するアンモニア量(モル数)の比
(JIS B 0126 参照)
。
モル比 NH
3
/NO
x
molar
ratio
8506
三酸化硫黄(SO3)
転換率
脱硝反応器において,二酸化硫黄(SO
2
)が,触媒に
よって酸化されて三酸化硫黄(SO
3
)に転換される割
合で,次の式によって表す(JIS B 0126 参照)
。
(%)
100
)
(
21
31
30
3
×
−
=
SO
SO
SO
SO
転換率
三酸化硫黄
ここに,SO
30
: 脱硝反応器出口の三酸化硫黄
(SO
3
)濃度(ppm)(
1
)
SO
31
: 脱硝反応器入口の三酸化硫黄
(SO
3
)濃度(ppm)(
1
)
SO
21
: 脱硝反応器入口の二酸化硫黄
(SO
2
)濃度(ppm)(
1
)
二 酸 化 硫 黄
(SO
2
)
酸化率
SO
2
to SO
3
conversion ratio
8507
触媒寿命
触媒が使用中に,経時的に性能低下して,所定の脱硝
率を下回り,交換などを必要とするまでの期間(JIS B
0126
参照)
。
catalyst
life
8508
換算 NO
x
濃度
排ガス中の酸素濃度を標準酸素濃度に換算したとき
の NO
x
濃度で,次の式によって表す。
)
)(
ppm
(
21
21
NOx
1
s
n
s
O
O
C
−
−
×
=
濃度
換算
ここに,C
s
: 排ガス中の実測 NO
x
濃度(ppm)
(
1
)
O
n
: 標準酸素濃度(%)
(ガスタービンの場合 16 %,た
だし,欧米では 15 %を標準とし
ている。)
O
s
: 排ガス中の実測酸素濃度(%)
O
2
換 算 NO
x
濃度
NO
x
corrected at %
O
2
注(
1
)
ppm
は体積百万分率。
(
2
)
m
3
は 0℃,1 013 hPa の状態。
35
B 0128
:2005
i)
排熱回収ボイラ及び排気再燃ボイラ
1)
種類及び形式
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
9101
単圧ボイラ
単一の蒸気圧力レベルをもつボイラ。
single
pressure
steam generator
9102
複圧ボイラ
エネルギーの有効回収を目的として複数の蒸気圧力
レベルをもつボイラ。
multi-pressure
steam generator
9103
立置ボイラ
ガス流れが垂直方向となるボイラ。
たて(竪)形
ボイラ
vertical gas flow
type steam
generator
9104
横置ボイラ
ガス流れが水平方向となるボイラ。
横形ボイラ
horizontal gas flow
type steam
generator
9105
貫流ボイラ
給水を管の一端からポンプで押し込み,管の他端から
蒸気を取り出すボイラ(JIS B 0126 参照)
。
once-through
boiler
9106
ドラムボイラ
自然循環,強制循環ボイラなどのように蒸気ドラムの
あるボイラ(JIS B 0126 参照)
。
drum
boiler
2)
構造・構成
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
9201
断熱ケーシング
ボイラケーシングの内側又は外側に断熱材を張り,薄
板で表面をライニングしたケーシング構造。
ケーシング insulated
casing
9202
伝熱管パネル
管寄せと伝熱管とで構成される伝熱部の構造単位。
panel
harp
9203
伝熱管ブロック
複数の伝熱管パネル,又はループ管で構成された伝熱
管の組合せ。
チューブブロ
ック,
チューブバン
ドル
tube bundle
,
module bundle
9204
(排熱回収ボイ
ラ)モジュール
ケーシングと伝熱管ブロックとで構成された構造単
位。
HRSG
module
9205
低圧ボイラ直結脱
気器
低圧ボイラのドラムに直結された脱気器。
integral
deaerator
for low pressure
boiler
3)
附帯設備
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
9301
バイパス煙突
排熱回収ボイラの入口に設置して,ガスタービン排気
を大気放出するための煙突。
bypass
stack
9302
バイパスダクト
排気再燃ボイラにおいて,ボイラ本体をう回するダク
ト。
bypass
duct
9303
バイパスダンパ
ガスタービン排気の流入先を,バイパス煙突又はバイ
パスダクトとするか,排熱回収ボイラとするかを切り
換えるためのダンパ。
bypass
damper
9304
スタッククロージ
ャダンパ
排熱回収ボイラのガス煙突に設置して,主に雨水の流
入防止,ボイラからの放熱防止目的で設置するダン
パ。
stack
closure
damper
36
B 0128
:2005
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
9305
ダイバータダンパ
ガスタービン排気の流れを切り換えるか又は調整す
るダンパ。
diverter
damper
9306
ギロチンダンパ
流れに直角に,鋼板などの遮へい物を出し入れして,
流れを遮断又は調整するダンパ。
isolation
damper
9307
ルーバダンパ
ガス入口又は排出口に設けられる,ガス量・方向を調
節するためのよろい戸式のダンパ。
louver
damper
9308
バタフライダンパ
回転式のダンパ。
butterfly damper
9309
ダンパエアシール
ダンパからのガス漏れを防ぐエアシール。
damper air seal
9310
ダクトバーナ
排熱回収ボイラでの蒸気発生量の増加を目的として,
ガスタービン排気をダクト内,又は排熱回収ボイラの
伝熱管パネル間で助燃するための設備。助燃バーナと
もいい,排気助燃ボイラに設置される。
duct
burner
4)
排熱回収ボイラ及び排気再燃ボイラ一般
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
9401
汽力単独モード
排気再燃ボイラにおいて,ガスタービン排気がないと
き,外部の新鮮な空気で燃焼する運転モード。
フレッシュエ
アモード
fresh air mode
9402
排気再燃モード
排気再燃ボイラにおいて,ガスタービンの排気を燃焼
用空気として利用する運転モード。
コンバインド
モード
exhaust gas mode
9403
ホットバンキング
排熱回収ボイラにおいて,蒸気系の再起動を迅速にす
るために,配管及びダクトを閉止して高温蒸気を保持
する方法。
hot
banking
5)
性能及び試験
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
9501
温度プロフィール
排ガスからの熱回収の様子を,排ガス及び水・蒸気の
温度変化で示した線図(
付図 9 参照)。
temperature
profile
9502
アプローチポイン
ト温度差
ドラム内圧力(又は蒸発管内平均圧力)の飽和温度と,
節炭器(JIS B 0126 参照)出口給水温度との温度差(
付
図 9 参照)。
アプローチポ
イント
temperature
difference of
approach point
9503
ピンチポイント温
度差
排ガスと水又は蒸気との温度差が最も小さくなる点
での温度差。通常の排熱回収ボイラでは,排ガスと蒸
発器(JIS B 0126 参照)入口の水又は蒸気との温度差
(
付図 9 参照)をいう。
ピンチポイン
ト
temperature
difference of
pinch point
j)
ガスタービン用附属熱交換器
1)
種類及び形式
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
10101
作動流体加熱器
密閉サイクルガスタービンで,膨張過程の前で作動流
体(空気又はガス)を間接的にタービン入口温度まで
加熱する装置。
備考 作動流体が空気の場合には,空気加熱器と
もいう。
working
fluid
(gas
or air) heater
37
B 0128
:2005
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
10102
再生用熱交換器
燃焼器(又は作動流体加熱器)に入る前の作動流体に,
排ガスから熱を伝達する熱交換器。蓄熱式熱交換器と
伝熱式熱交換器とがある。
熱交換器,
再生器
regenerator
,
heat exchanger
10103
前置冷却器
圧縮過程以前の作動流体の温度を低下させる熱交換
器又は蒸発形冷却器。
precooler
10104
中間冷却器
圧縮の段間で作動流体の温度を低下させる熱交換器
又は蒸発形冷却器。
intercooler
10105
伝熱式熱交換器
高温流体の熱を,隔壁を通じて低温流体に伝達する熱
交換器。
recuperative
heat
exchanger
,
recuperator
10106
蓄熱式熱交換器
蓄熱体に高温流体と低温流体とが交互に接触して熱
を授受する熱交換器。
regenerative
heat
exchanger
10107
管形熱交換器
伝熱面に管を用いた伝熱式熱交換器。
shell and tube heat
exchanger
10108
板形熱交換器
伝熱面に層状に配置した板を用いた伝熱式熱交換器。
plate type heat
exchanger
10109
フィン付形熱交換
器
伝熱面にフィンが付いた管又は板を用いた伝熱式熱
交換器。フィン付管形とフィン付板形とがある。
fin-tube
heat
exchanger
,
fin-plate heat
exchanger
10110
回転形熱交換器
蓄熱体が回転する蓄熱式熱交換器。ドラム形とディス
ク形とがある。
rotating
regenerator
10111
ガス給水加熱器
ガスタービン排気から熱回収する給水加熱器。
ガス給水ヒー
タ
gas feed water
heater
10112
風道蒸発器
ガスタービン排気ダクトからボイラにつながるボイ
ラ風道部に設置して,ガスタービン排熱によってボイ
ラ循環水を蒸発させる装置。
air
duct
evaporator
,
GT exhaust gas
cooler
,
stack gas cooler
2)
構造・構成
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
10201
胴
熱交換器の外殻を形成する部分。
shell
10202
伝熱管
伝熱面を構成する管。
heat
exchanger
tube
10203
管寄せ
管を一か所に集め又は分配する容器。
ヘッダ header
10204
伝熱板
伝熱面を構成する板。
heat
exchanger
plate
10205
鏡板
熱交換器の両端を形成する皿形などの板。
end
plate
10206
加熱管
作動流体に熱を加える部分に用いられている管。
heating
tube
10207
コレクタ
管群の末端で,これらを分配又は集合させている部
分。
collector
38
B 0128
:2005
3)
熱交換器一般
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
10301
伝熱面積
熱交換に有効な伝熱面の面積。
heating
surface
area
10302
伝熱面熱負荷
単位伝熱面積当たりに単位時間に伝達される熱量。
heat
absorption
rate of heating
surface
4)
性能及び試験
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
10401
温度効率
熱交換器で,低温又は高温流体の最大可能温度変化に
対する実際の温度変化の割合。
temperature
effectiveness
,
thermal ratio
10402
熱交換率
熱交換器で,低温又は高温流体の最大可能熱量変化に
対して,高温又は低温流体が実際に熱量変化する割
合。
energy
effectiveness
10403
終温度差
再生用熱交換器では,高温流体の入口温度と低温流体
の出口温度との差。冷却器では,高温流体の出口温度
と低温流体の入口温度との差。
final
temperature
difference
10404
作動流体加熱器効
率
作動流体加熱器で消費された燃料の発熱量に対する,
作動流体加熱器を通過する間に作動流体に与えられ
た熱量の割合。
working
fluid
heater efficiency
10405
熱交換器効率
高温側流体から減少した熱量に対する低温側流体が
取得した熱量の割合。
heat
exchanger
effectiveness
k)
コンバインドサイクル
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
11001
排熱回収式コンバ
インドサイクル
ガスタービンの排気を排熱回収ボイラに導き,その熱
回収によって蒸気を発生させて,蒸気タービンを駆動
する方式のコンバインドサイクル(
付図 10 参照)。
排熱回収複合
サイクル
unfired heat
recovery
combined cycle
11002
排気助燃式コンバ
インドサイクル
ガスタービンの排気を排熱回収ボイラに導くととも
に,ガスタービンの排気ダクト内などで助燃を行い,
その熱回収によって蒸気を発生させて,蒸気タービン
を駆動する方式のコンバインドサイクル(
付図 11 参
照)
。
排気助燃複合
サイクル
supplemental fired
heat recovery
combined cycle
11003
排気再燃式コンバ
インドサイクル
ガスタービンの排気をボイラに導き,ボイラで燃料を
燃焼し蒸気を発生させて,蒸気タービンを駆動する方
式のコンバインドサイクル(
付図 12 参照)。
排気再燃複合
サイクル
fully fired heat
recovery
combined cycle
11004
過給ボイラ式コン
バインドサイクル
ガスタービンの圧縮機出口空気を過給ボイラに導き,
ボイラで加圧燃焼して蒸気を発生させて蒸気タービ
ンを駆動して,ボイラの排気をタービンに導き,更に
その排気を給水加熱器に導く方式のコンバインドサ
イクル(
付図 13 参照)。
過給ボイラ複
合サイクル
combined
supercharged
boiler and gas
turbine cycle
11005
給水加熱式コンバ
インドサイクル
ガスタービンの排気を蒸気プラントの給水加熱器に
導き,排熱回収を行う方式のコンバインドサイクル
(
付図 14 参照)。
給水加熱複合
サイクル
feed-water heating
heat recovery
combined cycle
39
B 0128
:2005
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
11006
一軸形コンバイン
ドサイクル
コンバインドサイクルプラントで,ガスタービンと蒸
気タービンとが共通の発電機を駆動する方式の設備
(
付図 15 参照)。
single-shaft
type
combined cycle
11007
多軸形コンバイン
ドサイクル
コンバインドサイクルプラントで,ガスタービンと蒸
気タービンとがそれぞれ別の発電機を駆動する方式
の設備(
付図 16 参照)。
multi-shaft
type
combined cycle
11008
単圧式コンバイン
ドサイクル
コンバインドサイクルで,排熱回収ボイラ及び蒸気タ
ービンがともに単一の高圧レベルの主蒸気系統をも
つ方式の設備(
付図 10 参照)
。
combined
cycle
with
single-pressure
steam cycle
11009
複圧式コンバイン
ドサイクル
コンバインドサイクルで,排熱回収ボイラ及び蒸気タ
ービンがともに二つ以上の圧力段階の主蒸気系統を
もつ方式の設備(
付図 17 参照)。
混圧式コンバインドサイクルともいう。
combined
cycle
with
multi-pressure
steam cycle
11010
再熱式コンバイン
ドサイクル
蒸気タービン系において,蒸気が膨張過程で,中間圧
力において再加熱されるコンバインドサイクル(
付図
18
参照)
。
reheat
Rankine
combined cycle
11011
トッピングサイク
ル
コンバインドサイクルにおいて,熱的に上流(高温側)
に位置するサイクル。一般的にはガスタービンサイク
ルを指す。
topping
cycle
11012
ボトミングサイク
ル
コンバインドサイクルにおいて,熱的に下流(低温側)
に位置するサイクル。一般的には蒸気タービンサイク
ルを指す。
bottoming
cycle
備考 複合語例 排熱回収単圧式一軸形コンバインドサイクル
l)
ガスタービンを使ったその他の発電プラント
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
12001
コンバインドサイ
クル発電プラント
複数の熱サイクルを組み合わせて,熱効率の向上を図
る発電プラント。一般的には,ガスタービンで発電を
行い,ガスタービンの排熱回収によって発生した蒸気
を使用して,蒸気タービンでも発電を行う電力供給設
備。
複合サイクル
発電プラント
combined (cycle)
power plant
12002
コージェネレーシ
ョンプラント
ガスタービンなどで電力を供給するとともに,排ガス
の熱エネルギーを回収して,発生した蒸気,熱水など
の熱エネルギーを供給する設備(
付図 19 参照)。
熱電併給 co-generation
plant
12003
熱併給形コンバイ
ンド発電プラント
ガスタービンなどの内燃機関で電力を供給するとと
もに,排ガスの回収熱によって発生した蒸気で,電力
とともに,蒸気,熱水などの熱エネルギーを供給する
設備(
付図 20 参照)。
combined heat and
power plant
12004
加圧流動床コンバ
インド発電プラン
ト
加圧流動床ボイラの下流にガスタービンを設置した
コンバインドサイクル発電プラント(
付図 21 参照)。
PFBC
,
加圧流動床複
合発電プラン
ト
pressurized
fluidized bed
combustion
combined cycle
power
generation plant
40
B 0128
:2005
参考
番号
用語
定義
慣用語
対応英語
12005
石炭ガス化コンバ
インド発電プラン
ト
石炭をガス化して利用するコンバインドサイクル発
電プラント(
付図 22 参照)。
備考 残さ油などをガス化して利用するものも
IGCC
ということもある。
IGCC
,
石炭ガス化複
合発電プラン
ト
integrated coal
gasification
combined cycle
power
generation plant
12006
リパワリング
出力・効率向上を目的として,既設の汽力発電プラン
トに,追設したガスタービン発電設備とを組み合わせ
て,コンバインドサイクル化することの総称。
repowering
12007
圧縮空気エネルギ
ー貯蔵発電プラン
ト
空気を圧縮して地下空洞などに保存し,この圧縮空気
をガスタービンに利用した発電プラント(
付図 24 参
照)
。
CAES compressed
air
energy storage
power plant
12008
蒸気噴射形ガスタ
ービン発電プラン
ト
ガスタービン発電において,排ガスのもつ熱エネルギ
ーによって発生させた高温・高圧の蒸気を,燃焼器又
はタービンに注入して,高出力・高効率化を図った発
電設備(
付図 25 参照)。過熱蒸気を使用するプラント
を考案者の名前をとって
チェンサイクル
という。
steam injected gas
turbine power
plant
41
B 0128
:2005
付図 1 ガスタービンの要素構成例
単純サイクル,一軸形ガスタービン
付図 2 ガスタービンの要素構成例
再生サイクル,一軸形ガスタービン
付図 3 ガスタービンの要素構成例
単純サイクル,フリータービン形
42
B 0128
:2005
付図 4 ガスタービンの要素構成例
中間冷却及び再熱サイクル,多軸形ガスタービン
付図 5 ガスタービンの要素構成例
抽気ガスタービン
付図 6 ガスタービンの要素構成例
密閉サイクル,一軸形ガスタービン
43
B 0128
:2005
付図 7 出力曲線の例
付図 8 多段軸流圧縮機の性能曲線の例
44
B 0128
:2005
付図 9 排熱回収ボイラの温度プロフィールの例
付図 10 排熱回収式コンバインドサイクルの例
付図 11 排気助熱式コンバインドサイクルの例
付図 12 排気再燃式コンバインドサイクルの例
付図 13 過給ボイラ式コンバインドサイクルの例
付図 14 給水過熱式コンバインドサイクルの例
付図 15 一軸形コンバインドサイクルの例
45
B 0128
:2005
(1)ガスタービンが 1 台の場合
(2)ガスタービンが複数台の場合
付図 16 多軸形コンバインドサイクルの例
付図 17 腹圧式コンバインドサイクルの例
付図 18 再熱式コンバインドサイクルの例
46
B 0128
:2005
付図 19 コージェネレーションプラントの例
付図 20 熱併給形コンバインドサイクル
発電プラントの例
付図 21 加圧流動床コンバインドサイクル発電プラントの例
付図 22 石炭ガス化コンバインドサイクル発電プラントの例
47
B 0128
:2005
関連規格 JIS B 0130 火力発電用語(一般)
付図 23 トッピングサイクル,ボトミングサイクルの例
付図 24 圧縮空気エネルギー貯蔵発電
プラントの例
付図 25 蒸気噴射形ガスタービン発電
プラントの例