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B 0090-1:2007 (ISO 10110-1:2006) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲 ························································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 1 

3 基本規定 ························································································································· 2 

4 表示及び寸法記入方法 ······································································································· 3 

4.1 図 ······························································································································· 3 

4.2 軸 ······························································································································· 4 

4.3 引出し線 ······················································································································ 5 

4.4 被検領域 ······················································································································ 5 

4.5 被検立体範囲 ················································································································ 7 

4.6 寸法記入方法 ················································································································ 7 

4.7 材料の仕様 ·················································································································· 13 

4.8 公差及びいろいろな特性の表示························································································ 13 

5 光学配置図に対する付加的表示 ·························································································· 14 

5.1 一般 ··························································································································· 14 

5.2 軸上間隔 ····················································································································· 16 

5.3 像,ひとみ,視野絞り及び他の開口 ·················································································· 18 

附属書A(参考)光学素子の製図の例 ····················································································· 20 

B 0090-1:2007 (ISO 10110-1:2006) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本光学工業協会

(JOIA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出が

あり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS B 0090-1:2001は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。 

JIS B 0090の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS B 0090-1 第1部:通則 

JIS B 0090-2 第2部:材料欠陥−応力複屈折 

JIS B 0090-3 第3部:材料欠陥−泡及び異物 

JIS B 0090-4 第4部:材料欠陥−不均一性及び脈理 

JIS B 0090-5 第5部:表面形状公差 

JIS B 0090-6 第6部:偏心公差 

JIS B 0090-7 第7部:表面欠陥許容値 

JIS B 0090-8 第8部:面の肌 

JIS B 0090-9 第9部:表面処理及びコーティング 

JIS B 0090-10 第10部:光学素子及び接合部品のデータ表示表 

JIS B 0090-11 第11部:公差表示のないデータ 

JIS B 0090-12 第12部:非球面 

JIS B 0090-17 第17部:レーザ放射による損傷しきい値 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

B 0090-1:2007 

(ISO 10110-1:2006) 

光学素子及びシステム用の製図手法− 

第1部:通則 

Preparation of drawings for optical elements and systems- 

Part 1 : General 

序文 

この規格は,2006年に第2版として発行されたISO 10110-1を基に,技術的内容及び対応国際規格の構

成を変更することなく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。 

適用範囲 

JIS B 0090の規格群は,製造及び検査に用いる製図において,光学素子及びシステムに対する設計上及

び機能上の要求事項の表記方法について規定する。 

この規格は,光学素子及びシステムの特性,特に許容限界の製図上での表記方法について規定する。 

寸法及び許容限界の記入方法を含む製図手法についての規定が日本工業規格に多くある。これらの日本

工業規格は,必要とする規定がJIS B 0090の各部にないときだけに光学素子及びシステムに適用する。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 10110-1:2006,Optics and photonics−Preparation of drawings for optical elements and systems−

Part 1 : General (IDT) 

なお,対応の程度を表す記号(IDT)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,一致していることを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 0024 製図−公差表示方式の基本原則 

注記 対応国際規格:ISO 8015,Technical drawings−Fundamental tolerancing principle (IDT) 

JIS B 0051 製図−部品のエッジ−用語及び指示方法 

注記 対応国際規格:ISO 13715,Technical drawings−Edges of undefined shape−Vocabulary and 

indications (IDT) 

JIS B 0090-2 光学素子及びシステム用の製図手法−第2部:材料欠陥−応力複屈折 

注記 対応国際規格:ISO 10110-2,Optics and optical instruments−Preparation of drawings for optical 

elements and systems−Part 2 : Material imperfections−Stress birefringence (IDT) 

JIS B 0090-3 光学素子及びシステム用の製図手法−第3部:材料欠陥−泡及び異物 

注記 対応国際規格:ISO 10110-3,Optics and optical instruments−Preparation of drawings for optical 

B 0090-1:2007 (ISO 10110-1:2006) 

  

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elements and systems−Part 3 : Material imperfections−Bubbles and inclusions (IDT) 

JIS B 0090-4 光学素子及びシステム用の製図手法−第4部:材料欠陥−不均一性及び脈理 

注記 対応国際規格:ISO 10110-4,Optics and optical instruments−Preparation of drawings for optical 

elements and systems−Part 4 : Material imperfections−Inhomogeneity and striae (IDT) 

JIS B 0090-5 光学素子及びシステム用の製図手法−第5部:表面形状公差 

注記 対応国際規格:ISO 10110-5,Optics and optical instruments−Preparation of drawings for optical 

elements and systems−Part 5 : Surface form tolerances (IDT) 

JIS B 0090-6 光学素子及びシステム用の製図手法−第6部:偏心公差 

注記 対応国際規格:ISO 10110-6,Optics and optical instruments−Preparation of drawings for optical 

elements and systems−Part 6 : Centring tolerances (IDT) 

JIS B 0090-7 光学素子及びシステム用の製図手法−第7部:表面欠陥許容値 

注記 対応国際規格:ISO 10110-7,Optics and optical instruments−Preparation of drawings for optical 

elements and systems−Part 7 : Surface imperfection tolerances (IDT) 

JIS B 0090-10 光学素子及びシステム用の製図手法−第10部:光学素子及び接合部品のデータ表示表 

注記1 

対応国際規格:ISO 10110-10:2004,Optics and photonics−Preparation of drawings for optical 

elements and systems−Part 10 : Table representing data of optical elements and cemented 

assemblies (IDT) 

注記2 

この対応国際規格では,ISO 10110-10の2004年版を引用している。 

JIS B 0090-11 光学素子及びシステム用の製図手法−第11部:公差表示のないデータ 

注記 対応国際規格:ISO 10110-11,Optics and optical instruments−Preparation of drawings for optical 

elements and systems−Part 11 : Non-toleranced data (IDT) 

JIS B 0090-12 光学素子及びシステム用の製図手法−第12部:非球面 

注記 対応国際規格:ISO 10110-12,Optics and optical instruments−Preparation of drawings for optical 

elements and systems−Part 12 : Aspheric surfaces (IDT) 

JIS B 7090 光学及び光学機器−基準波長 

注記 対応国際規格:ISO 7944,Optics and optical instruments−Reference wavelengths (MOD) 

JIS Z 8318 製図−長さ寸法及び角度寸法の許容限界記入方法 

注記 対応国際規格:ISO 406,Technical drawings−Tolerancing of linear and angular dimensions (IDT) 

ISO128-24,Technical drawings−General principles of presentation−Part 24: Lines on mechanical 

engineering drawings 

基本規定 

光学素子及びシステムに対する製図上でのすべての表示は,JIS B 0090の他の部で,例えば第8部で,

別のことを規定していない限り,完成品,すなわち,最終的な形状に対して適用する。 

この規格で規定する細目又は記号が,要求事項を明確に表すのに不十分であると判明した場合には,注

記,注又は特別な説明によって情報を補足することが望ましい。 

長さの単位は,特に指定しない限り,すべてミリメートル(mm)とする。 

すべての光学データは,特に指定しない限り,JIS B 7090で規定する基準波長1),及び周囲温度20 ℃2)

を基準とする。 

注1) JIS B 7090の2.では,“基準波長は,水銀e線(緑)546.07 nm及びヘリウムd線(黄)587.56 nm

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B 0090-1:2007 (ISO 10110-1:2006) 

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としている。眼光学関連分野以外は,基準波長として水銀e線を使用する。”と規定している。 

2) 20 ℃はJIS B 0680に従った周囲温度である。JIS B 0090-1 : 2001の3.では,周囲温度の基準値

は22±2 ℃と規定していた。 

製図で必要条件を省略するときは,他のどこにも明記がない限り,JIS B 0090-11を適用する。 

他国の光学製図についての古い規格が存在するため,データを誤って解釈する可能性がある。したがっ

て,各図面には,JIS B 0090への準拠を,次の形式で表示しなければならない。 

“JIS B 0090による表示” 

又は 

“JIS B 0090表示” 

この準拠表示は,できれば図面の表題近くに示すのがよい(附属書A及びJIS B 0090-10の図1〜図7

参照)。 

表示及び寸法記入方法 

4.1 

図 

特に指定しない限り,光学素子は入射光線が左から入るように,光軸は水平に描く。 

光学素子は,断面図で描き,ハッチング(短い線−長い線−短い線)を施すことが望ましい。後ろの線

(バックエッジ)及びかくれ線は,通常,省略するのがよい(図1参照)。しかし,回転対称でない素子の

場合には,明確にするため,これらの線を描くことが必要である。 

図1−ハッチング 

2枚の接合部品のような部分組立部品の構成部品は,互いに異なる方向にハッチングを施す。 

簡略化のため,光学部品はハッチングなしで描いてもよい(図2参照)。ただし,同一図面内に,ハッチ

ングのある部品とハッチングのない部品とが混在してはならない。 

図2−レンズ素子の簡略化した図面 

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円柱及び円環面(トーリック面)のような二つの対称なメリジオナル面をもつレンズ素子は,これらの

メリジオナル面に対応して二つの断面図で描く(図3及び図4参照)。円環面の表示については,JIS B 

0090-12を参照。 

  図3−長方形の円柱レンズ素子         図4−正方形のトーリックレンズ素子 

4.2 

軸 

軸は,次のように描く。 

回転軸及び中心線 :ISO 128-24に規定する線形番号04.1の細い一点長鎖線 

光軸   

:ISO 128-24に規定する線形番号05.1の細い二点長鎖線 

光軸が回転軸又は中心線と一致する場合は,光軸を図示する。軸(例えば,光軸に対する素子の中心線)

の意図的な変位又は傾きは図示し,寸法を入れる(図5参照)。非常に小さな変位は,その変位を尺度を変

え拡大して描く。 

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注a) 中心線 

b) 光軸 

図5−軸 

4.3 

引出し線 

ある部分の外形線の内側で終わる引出し線の場合は,引出し線の先端に黒丸を(図6参照),また,外形

線で終わる引出し線の場合,引出し線の先端に矢印を付ける(図7参照)。 

 
 

注a) 被検領域 

   図6−ある領域への引出し線        図7−りょう(稜)線及び表面への引出し線 

4.4 

被検領域 

全表面又は全空間の検査が必要でない場合は,被検領域,すなわち,光学的な有効範囲を図面上に示す。

円形の被検領域の直径,すなわち,“有効径”は,“φe”で示す(図8,図18,図A.1及び図A.2参照)。

これは,部品の面のうちで光学的に重要な領域を規定する。 

被検領域の境界は,(ISO 128-24に規定する線形番号01.1の)細い実線で描き,範囲自体は同じ種類の

実線でハッチングを施す。必要があれば,異なった公差を適用する幾つかの領域に分割してもよい。この

場合には,それらの関係が明確になるように,領域に番号を付ける。その領域番号は,適切な部分への引

出線によって示す(図9参照)。 

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      図8−被検領域               図9−被検領域を示す図  

必要な場合には,光学的有効領域を示し,また,適切な寸法データを与える“被検領域”及び表題の付

いた特別図を追加する。対称的な部品が(例えば,発散又は収束光路のために)異なる(大きさの)被検

領域をもつ場合,そのとき問題になる領域は,間違った組立を防止するために,適切に示す。類似した被

検領域に異なった検査仕様を適用する場合も同様である。対応を明確にする方法を,図面に示すことが望

ましい(図10参照)。 

注a) 対応を明確にする印を付ける。 

図10−プリズムに対する異なった被検領域 

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被検領域が示されていない場合は,表面の全範囲を被検領域とみなす。 

円形被検域は,細い実線で囲まれた,寸法が付された領域として被検領域内の任意の位置に図示する。

この被検域への引出し線で表示される要求事項は,被検域が被検領域内のどの位置にあっても適用する。

この場合,被検域の直径には“……(常にφ……)”のような適切な許容差を付記する(図11参照)。 

注a) 許容差・・・(常にφ10) 

図11−被検領域内の被検域 

4.5 

被検立体範囲 

被検立体範囲は,光学素子の決められた立体範囲が,残りの部分よりも高い要求を満足しなければなら

ないときに示す(図12参照)。 

注a) 泡に対する一般許容値 

b) 泡に対する特別許容値 

図12−被検立体範囲 

4.6 

寸法記入方法 

4.6.1 

一般 

基本的に光学素子の寸法は,最終状態,すなわち,塗装及び/又はコーティングのような表面処理を含

むものに対して付ける。しかしながら,表面処理前の部品寸法が重要である場合には,それらの寸法は,

表面処理前の部品に対するものであることを図面に明示する。 

4.6.2 

曲率半径 

球面は,寸法公差付きの曲率半径を指定することで定義する(図13〜15参照)。 

この公差は,実際の表面が入らなければならない範囲を示す。 

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代わりに曲率半径の公差は,そのすべて又は一部をJIS B 0090-5の7.(図面内の表示)で規定する干渉

じまを使った表現で与えてもよい。 

すべての許容できる曲率半径誤差が干渉じまで与えられる場合には,半径の寸法公差はゼロであり,曲

率半径の表示に含める必要はない。 

平面(すなわち,無限大の曲率半径)は,R∞の記号で示す。平面度の公差は,干渉じまを使った表現

で示す(JIS B 0090-5参照)。 

図13−メニスカスレンズ 

素子の半径 

図14−両凸レンズ素子の半径 

図15−平凹レンズ素子の半径 

特に緩い曲率の場合には,凸面と凹面とを区別するために,半径を示す寸法線の矢印は,常に曲率中心

から出る向きに付ける。又は,曲率半径の表示の後に,凸面ではCXの文字で,凹面ではCCの文字で示

してもよい。 

円環面(トーリック面)及び円柱面に対しては,4.1の規定による。 

円柱面に対して,その半径は“Rcyl”の用語で示す。 

非球面及び円環面に対しては,JIS B 0090-12を参照。 

4.6.3 

厚さ 

厚さは,公差(振り分け3)であることが好ましい。)付きの基準寸法で表示する。凹面を含むレンズ素子

の場合には,軸上厚のほかに全厚も括弧を付けて表示することが望ましい(図16及び図17参照)。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図16−両凸レンズ素子に対する厚さ表示 

図17−メニスカスレンズ素子に対する厚さ表示 

注3) 両側公差方式で,上及び下の寸法許容差の絶対値が等しいことを示す。 

4.6.4 

直径 

光学部品の直径は,公差とともに図示する。必要があれば,光学的有効径“φe”を付加する(図18参照)。 

図18−直径及び光学的有効径 

4.6.5 

エッジ,面取り(ベベル)及び保護面取り部の形状指示 

4.6.5.1 

一般 

エッジ,面取り及び保護面取りの形状は,設計的(機能的)理由,又は製造及び取扱中にシャープエッ

ジ及びかどが欠けるのを防止する保護目的のいずれかで決定する。 

注記 面取り(ベベル)は構造面取り,また,保護面取りは糸面取りということがある。 

4.6.5.2 

機能的なエッジ及び面取り 

機能的なエッジ及び面取りは,次による。 

− シャープエッジ 機能的な理由から,シャープで残さなければならないエッジに対しては,文字記号

“0”を用いる(図19参照)。 

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10 

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図19−シャープエッジ 

− 面取り 面取りは,シャープエッジの代わりに用いる機能的な面で,寸法,公差,傾角及び,必要に

応じて偏心をすべて指示しなければならない(図20参照)。 

図20−面取りの寸法記入方法 

4.6.5.3 

機能的でないエッジ及びかど 

機能的でないエッジ及びかどは,次による。 

− 保護面取り 保護面取りは,エッジ又はかどの代わりに用いる小さな面であり,エッジ又はかどを形

成する二つの面に対してそれぞれほぼ等しい傾きをもつ。この面取りの面は,個々には描く必要はな

い。 

“保護面取り”の表示は,個々には規定しないすべてのエッジ及びかどに対して適用されるように

図面上に注釈の形で示す。面取りの幅Wは,図21に示す。面取りの最小及び最大の許容幅は,図22

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11 

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のように注記で表示する。例外は,図面上に表示する。例えば,JIS B 0051に規定する記号を用いる

(図22参照)。 

注記 保護面取り0.2〜0.5 

   図21−保護面取りの幅W             図22−保護面取りの表示 

− くぼみ内のエッジ くぼみ内のエッジは,完全に鋭く作ることはできないため,エッジ面の最大(及び

/又は最小)許容寸法を規定することが,しばしば必要になる(図23〜25参照)。ただ一つの値だけが

示されている場合は,最大許容寸法とする。 

   図23−くぼみ内のエッジの幅W            図24−レンズ素子の段差 

図25−プリズムの溝 

4.6.6 

長さ 

部品の長さ,幅及び高さ(直径及び厚さ)に対する公称寸法は,許容差とともに表示する。 

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12 

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保護面取り又は小さな傾斜面をもつことを示す部品は,面取り又は傾斜面を考慮しない寸法を書く。す

なわち,その寸法は2面の(“シャープエッジの状態”での)理論的交線に基づく寸法である。このような

寸法は,その表示に“theor”と付けることによって表す(図26参照)。 

注a) “theor”と記載する。 

図26−プリズムの長さ寸法 

4.6.7 

角度 

公差付きの角度は,図面に表示する。問題となる表面は,大文字のローマ字で示す(図27参照)。 

図27は,角度及びその公差の表示例を示す。面Eと面A,面B,面C及び面Dとが成す角度を,“ピラ

ミッド角”という。 

プリズムに対しては,光路及び偏角を示す。偏角は,入射光線と射出光線とが成す角度である。特に指

定しない限り,入射光線は入射する表面に垂直である。 

指定する場合には,偏角は,±の許容差付きで与える(図28 a) 参照)。 

図の面に垂直な方向の光線の偏角誤差は,“ピラミッド偏角誤差”として知られている[図28 b) 参照]。 

注a) 対応を明確にする印を付ける。 

図27−公差付きの角度 

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13 

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注a) 対応を明確にする印を付ける。 

図28−プリズムの偏角 

4.7 

材料の仕様 

材料調達のために必要な情報は,図面の枠の中に入れる。 

次の各特性のうち,必要なものを記載する。 

a) 材料の表示 例えば,製造業者名,ガラスの種類,国際ガラスコード番号,基準波長の表示も含む屈

折率及びアッベ数,又は化学的記述(例えば,結晶材料に対する。)。 

b) 材料の特別な性質 例えば,屈折率,分散,透過率に対する許容限界,均一性の等級,脈理の等級及

び結晶の性質(例えば,単結晶か又は多結晶か)。 

個々の光学素子に適用される材料の性質及び許容値は,JIS B 0090-2,JIS B 0090-3及びJIS B 0090-4の

規定による。 

4.8 

公差及びいろいろな特性の表示 

4.8.1 

長さ及び角度についての公差 

長さ及び角度に対する公差の表記方法についての一般的規則は,JIS Z 8318に規定されている。 

必要な場合には,寸法と幾何公差との関係を表す基本原則を規定するJIS B 0024を参照する。 

4.8.2 

光学特性及び公差 

光学部品特有の数値的な特性及び公差の表記については,JIS B 0090の各部に規定する。 

4.8.3 

光学的部分組立部品 

光学的部分組立部品の図面には,次の事項のうち必要なものを含める(図29参照)。 

a) 素子の部品番号(又は部品リスト参照番号) 

b) 接合剤又は他の接合方法の詳細 

c) 詳細図に記載された寸法及び公差並びにそれ以外に付け加える寸法及び公差(例えば,偏心) 

d) 焦点距離及び/又は他の必要事項 

e) 組立及び検査方法に関する特記 

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14 

B 0090-1:2007 (ISO 10110-1:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記1 仕様# XXXXによって接合する。 
注記2 焦点距離 100±0.5 

図29−光学的部分組立部品 

部分組立部品の各部品の図面には,例えば,“接合する”のように組立工程への参照事項を含める。 

部分組立部品図に表面形状公差(JIS B 0090-5で規定),又は表面欠陥許容差(JIS B 0090-7で規定)を

含まない場合は,必要に応じて,各素子に記載の許容値を,接合(又は光学密着)後に適用する4)。 

注4) 各素子の図面に記載された表面欠陥許容値を接合面に適用するときは,表面欠陥が光学素子を

通して拡大又は縮小して見えることを考慮し,許容値の調節が必要な場合がある。 

複合(例えば,接合)部分組立部品の厚さ公差が部分組立部品を構成する各素子の厚さ公差の合計より

も小さく,したがって,素子の適切な組み合わせで対応しなければならない場合は,部分組立部品の厚さ

公差を大文字の“M”を付けて表す(図29参照)。 

4.8.4 

注記 

注記,注,説明及び付加的情報は,各図ごとにまとめ,グループにしておく。各注記は,参照を容易に

するため,番号を付ける。 

光学配置図に対する付加的表示 

5.1 

一般 

光学配置図は,完成状態の光学系の全構成部品の相対位置を示し,また,次の事項のうち必要なものを

規定する(図30参照)。 

a) 部品参照事項(又は部品リスト参照番号) 

b) データム軸(JIS B 0090-6参照) 

c) 公差付きの間隔 

d) 拡大率(適用例ごとに全体及び/又は部分の) 

e) 物体距離又は物体距離の範囲 

f) 

物体空間での全視野 

g) 開口数又はFナンバ 

h) 視野絞りの位置及び大きさ 

15 

B 0090-1:2007 (ISO 10110-1:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

i) 

像面の位置及び大きさ 

j) 

ひとみの位置及び大きさ 

k) 開口の寸法及び部品の物理的な大きさ 

l) 

焦点面の位置及び大きさ 

m) 分光透過帯域 

n) 倍率調節及び焦点調節のために必要な移動量 

o) 設置用のインタフェースデータ 

p) 偏心データ(JIS B 0090-6参照) 

q) 組立及び検査手順に関する特記 

r) その他の作動必要条件 

偏心公差に対するデータム軸(JIS B 0090-6参照)を配置図に示してない場合は,すべての偏心公差は

理論上の光軸に準拠する。 

注記 1 明確化のため,幾つかのデータを表形式で示すことが,ときには有効である。 

注記 2 複雑で,折りたたまれた光路をもつ光学システムのときは,等角図で示すことが必要な場合

もある。 

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16 

B 0090-1:2007 (ISO 10110-1:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記1 Aは5.2.3参照 
注記2 Vは5.2.4参照 
注記3 P1,P2,FS1は5.3 c)参照 
注記4 偏心公差はJIS B 0090-6参照 

図30−光学配置図 

5.2 

軸上間隔 

5.2.1 

一般 

素子の間隔は,データム軸に沿って示す[JIS B 0090-6の3.3(データム軸)参照]。軸対称システムの

場合,この軸は中心線である。 

組立中に調整したり,又は使用中に変化させたりする距離は,光学配置図に調整又は変化のための理由

を記す短い説明とともに示す。 

5.2.2 

固定した軸上間隔 

固定した軸上間隔は,許容差とともに設計公称値によって表す(図31参照)。 

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17 

B 0090-1:2007 (ISO 10110-1:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図31−レンズ素子間の空気間隔 

5.2.3 

調整可能な軸上間隔 

幾つかの軸上間隔は,特定の状態又は要求を達成するため,あらかじめ決められた限界内で,組立中に

変化してもよい。そのように調整可能な距離は,大文字“A”を付けて表す。また,その調整理由を注で

与える。必要な場合には,調整の要求精度も記載する。寸法情報は,次の順で図面上に示す(図32参照)。 

a) 距離を調整することを示す文字“A” 

b) 公称寸法 

c) 公称値からの許容限界 

注a) 最良焦点の調整,調整精度±0.02 

図32−調整可能な軸上間隔 

5.2.4 

変化可能な軸上間隔 

幾つかの軸上距離は,完成した光学系の使用者が,場合によって変化させる必要がある。これらは,文

字“V”によって示す。変化理由とともに変化範囲を図面に示す(図33参照)。必要な場合には,要求精

度も与える。 

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18 

B 0090-1:2007 (ISO 10110-1:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注a) 接眼レンズの焦点,調節±3 m−1 

図33−変化可能な軸上距離 

5.3 

像,ひとみ,視野絞り及び他の開口 

光学配置図において,像,ひとみ,視野絞り及び他の開口の位置と大きさは,次のように図示する。 

a) 像の位置は,光軸上に十字(すなわち,“×”)で図示する(図34及び図35参照)。 

 図34−(空間上での)像位置の表示         図35−(面上での)像位置の表示 

b) ひとみの位置は,光軸を横切る短く太い実線(ISO 128-24に規定する線形番号01.2の線)で図示する

(図36参照)。 

図36−ひとみ位置 

c) 物理的開口は,位置を定める太い実線(ISO 128-24に規定する線形番号01.2の線)で図示する。大き

さは,軸に平行な細い実線(ISO 128-24に規定する線形番号01.1の線)で描くことが望ましい(図

37及び図38参照)。他の開口は同様な方法で描くが,太い破線(ISO 128-24に規定する線形番号02.2

の線)とする(図39参照)。 

必要な場合には,入射光の光路に沿って,視野絞りはFS1,FS2などと,また,ひとみはP1,P2など

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19 

B 0090-1:2007 (ISO 10110-1:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

と明示する(図37及び図38参照)。 

視野絞り,ひとみ及び像の寸法は,絞り,ひとみ,又は像の近くに表示する(図37〜39の例を参照)。 

図37−物理的開口(視界絞り) 

図38−ひとみP1に位置する物理的開口 

図39−物理的開口なしの場合の像 

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20 

B 0090-1:2007 (ISO 10110-1:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(参考) 

光学素子の製図の例 

序文 

この附属書は,光学素子の製図の例について記載するものであって,規定の一部ではない。 

図A.1〜A.3は,JIS B 0090-1〜JIS B 0090-9及びJIS B 0090-17に基づいて図示されている。 

 材料: 

   LaC9又はLaK9 
 

n (1.06 μm) 1.675 9±0.001 

 
 
 
 

 
 
 
 

保護面取り:0.2〜0.6 

JIS B 0090による表示         レンズ114.379 

図A.1−レンズ素子の製図例 

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21 

B 0090-1:2007 (ISO 10110-1:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

 材料: 

BK7 

ne=1.518 72±0.001 
ve=63.96±0.8 % 

 
 
 
 

 
 
 

保護面取り:0〜0.2 

JIS B 0090表示 

レンズ 124.736 

図A.2−レンズ素子の製図例 

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22 

B 0090-1:2007 (ISO 10110-1:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

 材料: 

BK7 

ne=1.518 72±0.001 
ve=63.96±0.8 % 

 
 
 

保護面取り:0.2〜0.6 
5/E 0.5 

JIS B 0090表示 

プリズム 105.217 

図A.3−プリズム素子の製図例 

23 

B 0090-1:2007 (ISO 10110-1:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考文献 JIS B 0090-8 光学素子及びシステム用の製図手法−第8部:面の肌 

注記 対応国際規格:ISO 10110-8,Optics and optical instruments−Preparation of drawings for 

optical elements and systems−Part 8 : Surface texture (IDT) 

JIS B 0090-9 光学素子及びシステム用の製図手法−第9部:表面処理及びコーティング 

注記 対応国際規格:ISO 10110-9,Optics and optical instruments−Preparation of drawings for 

optical elements and systems−Part 9 : Surface treatment and coating (IDT) 

JIS B 0090-17 光学素子及びシステム用の製図手法−第17部:レーザ放射による損傷しきい値 

注記 対応国際規格:ISO 10110-17,Optics and photonics−Preparation of drawings for optical 

elements and systems−Part 17 : Laser irradiation damage threshold (IDT) 

JIS B 0680:2007,製品の幾何特性仕様(GPS)−製品の幾何特性仕様及び検証に関する標準温度 

注記 対応国際規格:ISO 1:2002,Geometrical Product Specifications (GPS)−Standard 

reference temperature for geometrical product specification and verification