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A 9002:2012  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 装置及び器具 ··················································································································· 2 

5 木質材料························································································································· 3 

6 木材保存剤 ······················································································································ 3 

7 注入処理方法 ··················································································································· 3 

7.1 圧力 ···························································································································· 3 

7.2 温度 ···························································································································· 3 

8 注入量及び圧入量 ············································································································· 3 

8.1 注入量 ························································································································· 3 

8.2 圧入量 ························································································································· 4 

9 養生······························································································································· 4 

10 製品の乾燥 ···················································································································· 4 

11 保存処理の状況及び結果の記録 ························································································· 4 

附属書A(参考)技術上重要な改正に関する新旧対照表 ······························································ 5 

A 9002:2012  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本木材防腐工業

組合(JWPIA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべ

きとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS A 9002:2005は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格 

      JIS 

A 9002:2012 

木質材料の加圧式保存処理方法 

Preservative treatments of wood products by pressure processes 

序文 

この規格は,1952年に制定され,その後8回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は2005年に

行われたが,その後の関連するJIS(JIS K 1570及びJIS K 1571)の改正に伴う箇条番号の整合及び加圧

処理技術の進歩に対応するために改正した。技術上重要な改正に関する旧規格との対照を附属書Aに記載

する。 

なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。 

適用範囲 

この規格は,木質材料に耐久性を付与するための加圧式保存処理方法について規定する。 

加圧式保存処理方法とは,“処理される木質材料が入れられた密閉容器内で,当該容器内に充満させた木

材保存剤に圧力を加えることによって,木材保存剤を木質材料中に浸透させる木質材料の保存処理方法”

をいう。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 1570 木材保存剤 

JIS K 1571 木材保存剤−性能基準及びその試験方法 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 1570によるほか,次による。 

3.1 

木質材料 

木材,及び木材に機械的加工を施し再構成・接着成型加工したもの。 

3.2 

薬液 

油性木材保存剤の場合は希釈しないもので,水溶性,乳化性及び油溶性の木材保存剤の場合は,指定濃

度以上の溶液としたもの。 

3.3 

指定濃度 

A 9002:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注入処理製品の製品基準に応じた吸収量を確保するために必要な薬液の濃度。 

3.4 

ロット 

浸透性が類似の樹種及び断面寸法で構成され,かつ同一の注薬缶内で一度に注入処理される木質材料の

集団。 

3.5 

インサイジング 

木材保存剤の均質な浸潤層を得る目的で,注入処理前に木質材料表面を刺傷又はせん(穿)孔して加工

すること。 

3.6 

前排気 

加圧操作の前に,木質材料中の空気を排除して,薬液を多量に深く浸透させる目的で行う排気処理。 

3.7 

後排気 

加圧操作終了後,木質材料表層部の過剰な薬液を排除する目的で行う排気処理。溶剤回収法の場合は溶

剤回収の目的を含む。 

3.8 

溶剤回収法 

加圧操作終了後,装置内で溶剤だけを気化させて液化回収を行い,溶剤を再利用する注入処理方法。 

3.9 

注入量 

注入処理終了後,木質材料中に残っている薬液量。注入量は,注入処理前後の木質材料の質量の差を,

注入処理前の木質材料の体積で除した単位体積当たりの薬液量で示す。 

3.10 

圧入量 

注薬缶の中で,加圧操作の持続時に木質材料に圧入された薬液量。 

3.11 

浸潤度 

木質材料の表面から一定の深さまでの木材保存剤浸潤部の割合。 

3.12 

吸収量 

注入処理製品の特定の部位から試料を採取し,定量分析によって算出した木質材料の単位体積当たりの

木材保存剤量。 

装置及び器具 

注入処理に用いる装置及び器具は,注薬缶(自記記録圧力計を備えたもの),タンク類(貯蔵槽,計量槽,

溶解槽など),ポンプ類(加圧ポンプ,真空ポンプ,液送ポンプ,空気圧縮機など)及び計測器(ひょう量

器,タンク水位計,温度計,流量計,木材水分計など)から成り,注入処理に必要な性能と容量をもち,

かつ安全装置を備えたものとする。 

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A 9002:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

木質材料 

注入処理する木質材料は,次による。 

a) 注入処理時において,健全な木質材料。 

b) 注入処理に適するように含水率を調整した木質材料。 

c) 必要に応じてインサイジング又は機械加工した木質材料。 

木材保存剤 

木材保存剤は,次による。 

a) JIS K 1570に規定する木材保存剤,又はJIS K 1571の5.2.1.1(注入処理用),5.2.2(ファンガスセラ

ー試験),5.2.3(野外試験),5.3.1.1(注入処理用),5.3.2.1(注入処理用)及び5.4.1(注入処理用)に

よって試験し,JIS K 1571の箇条4(性能基準)に規定する性能基準に適合するものとする。 

b) 木材保存剤は,使用に際して指定濃度以上に調製した薬液とする。 

注入処理方法 

7.1 

圧力 

注入処理は,木質材料を注薬缶に入れ,前排気,加圧及び後排気の工程を経て,所定の品質を得るため

に,表1に示す注入処理の条件で行う。 

表1−注入処理の条件 

単位 MPa 

前排気 

加圧 

後排気 

減圧0.08 以上 

1.2 以上 

減圧0.08 以上 

注記 表中の減圧及び加圧の圧力は,いずれもゲージ圧で示す。 

a) 目的とする品質が得られる場合は,前排気の減圧及び加圧の圧力はこの限りではない。 

b) 加圧操作を終了し,注薬缶内の薬液を回収した後,注薬缶内で一定時間放置して後排気と同じ効果が

得られる場合は,後排気を行わなくてもよい。 

c) 溶剤回収法において溶剤回収操作を行う場合は,後排気の減圧の圧力はこの限りではない。 

d) 製品基準1)が明確でないものは,圧入量がほぼ平衡に達するまで加圧を持続しなければならない。た

だし,木質材料に損傷が生じる場合は圧力を下げてもよい。 

注1) 製品基準には,製材の日本農林規格,枠組壁工法構造用製材の日本農林規格,優良木質建材

等認証(AQ)における保存処理の品質基準及び受渡当事者間による取決めがある。 

7.2 

温度 

クレオソート油を使用する場合の注薬缶内のクレオソート油の温度は60 ℃以上とする。 

注入量及び圧入量 

8.1 

注入量 

注入量は,式(1)によって算出する。 

1

1

2

V

m

m

R

 ·············································································· (1) 

A 9002:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ここに, 

R: 注入量(kg/m3) 

m1: 注入処理前のロットの木質材料の質量(kg) 

m2: 注入処理後のロットの木質材料の質量(kg) 

V1: 注入処理前のロットの木質材料の体積(m3) 

ただし,単一のロットを同一注薬缶で一度に処理する場合には,上記の式(1)の中で“m2−m1”の代わり

に木質材料中に注入された薬液の全容積を質量に換算して算出する。 

8.2 

圧入量 

圧入量は,式(2)によって算出する。 

2

3

V

m

G=

 ··················································································· (2) 

ここに, 

G: 圧入量(kg/m3) 

m3: 加圧操作開始から終了時までの計量槽の減量(kg)又

は流量計の積算値(kg) 

V2: 注入処理前の同一注薬缶内の木質材料の体積(m3) 

養生 

養生は,次による。 

a) 水溶性又は乳化性木材保存剤の薬液で注入処理した場合は,処理材の取扱いに支障がないようになる

まで乾燥させるか,又は木材保存剤の成分が定着するまで保管する。 

b) 油性及び油溶性木材保存剤の薬液で注入処理した場合は,処理材の取扱いに支障がないようになるま

で保管する。 

10 製品の乾燥 

注入処理後の処理材で乾燥が必要な場合は,天然乾燥及び/又は人工乾燥によって,所定の含水率にな

るまで乾燥する。 

11 保存処理の状況及び結果の記録 

記録する項目は,次による。 

a) 製品基準 

b) ロット番号 

c) 形状・寸法及び数量 

d) 樹種 

e) 注入処理の結果(減圧及び加圧の圧力並びに時間を証明できるチャートなどの記録。) 

f) 

注入処理前の木質材料の含水率(%)又は密度[(木質材料の質量を体積で除したもの)kg/m3] 

g) 注入量(kg/m3) 

h) 薬液[種類,温度2),濃度] 

i) 

注入処理終了年月日 

注2) クレオソート油の場合だけ記録する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(参考) 

技術上重要な改正に関する新旧対照表 

現行規格(JIS A 9002:2012) 

旧規格(JIS A 9002:2005) 

改正理由 

箇条番号 
及び題名 

内容 

箇条番号 
及び題名 

内容 

3 用語及び
定義 
3.5 インサ
イジング 

木材保存剤の均質な浸潤層を得る目的で,注入
処理前に木質材料表面を刺傷又はせん(穿)孔
して加工すること。 

3. 定義 
e) インサイ
ジング 

木材保存剤の均質な浸潤層を得る目的で,注入
処理前に木質材料表面を刺傷して加工するこ
と。 

刺傷だけでなくせん(穿)孔による
インサイジングの技術も開発されて
いる。 

7 注入処理
方法 
7.1 圧力 

表1−注入処理の条件 

単位 MPa 

前排気 

加圧 

後排気 

減圧0.08以上 

1.2以上 

減圧0.08以上 

注記  表中の減圧及び加圧の圧力は,いずれもゲ

ージ圧で示す。 

7. 注入処理
方法 

表1 注入処理の条件 

単位 MPa 

前排気 

加圧 

後排気 

減圧0.08以上 

0.4〜2.2 

減圧0.08以上 

 
 

保存処理のレベルを高くするため,
加圧圧力の最低レベルを0.4 MPaか
ら1.2 MPaに引き上げ,更に上限の
2.2 MPaを撤廃した。 

2

A

 9

0

0

2

2

0

1

2