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A 8510:2010  

(1) 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲 ························································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 重大な危険源のリスト ······································································································· 3 

5 安全要求事項・安全方策 ···································································································· 3 

5.1 一般 ···························································································································· 3 

5.2 傾斜式ホッパ,昇降式・傾斜式ホッパ及び動力式排出扉 ························································ 3 

5.3 清掃装置 ······················································································································ 4 

5.4 アクセス及び通路 ·········································································································· 5 

5.5 操作装置 ······················································································································ 5 

5.6 防護装置 ······················································································································ 5 

5.7 洗浄装置・散水装置 ······································································································· 6 

5.8 燃料タンク及び作動油タンク···························································································· 6 

5.9 吸込み装置 ··················································································································· 6 

5.10 吸水ホース ·················································································································· 7 

5.11 電気及び電子装置 ········································································································· 7 

5.12 電磁両立性(EMC) ····································································································· 7 

5.13 騒音 ··························································································································· 7 

6 安全要求事項・安全方策の検証 ··························································································· 7 

7 使用上の情報 ··················································································································· 7 

7.1 警告表示 ······················································································································ 7 

7.2 取扱説明書 ··················································································································· 8 

7.3 機械への表示 ················································································································ 8 

附属書A(参考)代表的な機種の例 ························································································· 9 

附属書B(規定)重大な危険源のリスト ··················································································· 12 

参考文献 ···························································································································· 14 

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(2) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業大

臣が制定した日本工業規格である。 

また,令和2年10月26日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標

準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,

このような特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確

認について,責任はもたない。 

日本産業規格          JIS 

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路面清掃機械の安全要求事項 

Safety requirements for road surface cleaning machines 

序文 

この規格は,JIS B 9700-1(機械類の安全性−設計のための基本概念,一般原則−第1部:基本用語,方

法論)の“まえがき”に示すタイプC規格(個別機械安全規格)である。 

適用範囲 

この規格は,3.1に定義する路面清掃機械(散水車も含む。)に対する安全要求事項について規定する。

この規格を適用する代表的な機種を,附属書Aに参考として示す。 

この規格は,製造業者が意図し,かつ,予見した条件の下に路面清掃機械を使用するときに,直接かか

わる重大な危険源のすべてを考慮しており(附属書B参照),それらから起こり得るリスクを除去又は低

減するための適切な技術的方策を具体的に示している。 

この規格は,多目的形特殊車両などに清掃装置及びホッパを架装した簡易形路面清掃機械についても,

その該当部位については適用する。 

この規格は,運搬車両(例えば,トラック)に関する要求事項は含まない。 

注記 公道上を走行する路面清掃機械は,この規格のほかに,国及び地方自治体の定める道路交通関

連法規及び条例に適合しなければならない。 

この規格は,爆発の危険のある環境下での路面清掃機械の運転に伴うリスクについては,考慮していな

い。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS A 8302 土工機械−運転員・整備員の乗降用,移動用設備 

JIS A 8316 土工機械−電磁両立性(EMC) 

JIS A 8334 土工機械−取扱説明書−内容及び様式 

JIS A 8340-1 土工機械−安全−第1部:一般要求事項 

JIS A 8508-1 道路工事機械−安全−第1部:一般要求事項 

JIS B 8361 油圧システム通則 

JIS B 8370 空気圧システム通則 

JIS B 9700-1 機械類の安全性−設計のための基本概念,一般原則−第1部:基本用語,方法論 

JIS B 9700-2 機械類の安全性−設計のための基本概念,一般原則−第2部:技術原則 

JIS B 9716 機械類の安全性−ガード−固定式及び可動式ガードの設計及び製作のための一般要求事

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項 

JIS B 9960-1 機械類の安全性−機械の電気装置−第1部:一般要求事項 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS A 8508-1によるほか,次による。 

3.1 

路面清掃機械 

車輪(ホイール)式の搭乗式又はハンドガイド式の機械で,路面上の土砂,じんあい(塵埃)をかき出

し,掃き寄せるための清掃装置,及び回収した土砂・じんあい(塵埃)をホッパに送る搬送装置を運搬車

両又は特別に設計されたシャシに恒久的に架装したもの(附属書A参照)。 

3.1.1 

真空式路面清掃車 

ブロワでホッパ内を負圧にし,吸引力又は吸引力及びブラシで路面上の土砂,じんあい(塵埃)を浮上

させ,負圧によって吸込み口からホッパ内に収集する路面清掃機械(図A.1参照)。 

注記 ブロワの排気を路面に吹き付けることによって,土砂,じんあい(塵埃)を浮上させ,吸引す

るものもある。 

3.1.2 

ブラシ式路面清掃車 

ブラシで路面上の土砂,じんあい(塵埃)を,直接又はコンベヤで搬送してホッパ内に収集する路面清

掃機械(図A.2〜図A.4参照)。 

3.1.3 

小形路面清掃車 

最高速度15 km/h以下,全長4.7 m以下,全幅1.7 m以下,全高2.8 m以下の路面清掃機械。 

3.2 

清掃装置 

ブラシ,搬送装置,散水装置,洗浄装置などの清掃機能を果たすすべての構成品の総称。 

3.2.1 

側ブラシ 

路肩の形状に追従しながら,路面上の土砂,じんあい(塵埃)をかき出すためのブラシ。 

注記 ガッタブラシと呼ぶこともある。 

3.2.2 

補助側ブラシ 

側ブラシによってかき出した土砂,じんあい(塵埃)を回収できる位置へ集めるためのブラシ。 

3.2.3 

主ブラシ 

側ブラシ又は補助側ブラシによって集められた土砂,じんあい(塵埃)を,吸込み口,コンベヤ又はホ

ッパへ送り込むためのブラシ。 

3.2.4 

搬送装置 

清掃装置の一部で,ブロワ,吸込み装置,主ブラシ,コンベヤなどのじんあい(塵埃)をホッパ内に搬

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送する装置の総称。 

3.2.5 

吸込み装置 

ホッパへ通じる正規の搬送装置とは別に,ホッパ後面又は側面に設けた吸込み口に連結するパイプ又は

ホースからなり,土砂,じんあい(塵埃)をホッパへ収集するもの。 

注記1 集水ます(桝)などの汚泥の吸引清掃,街路樹の植込み付近の落葉回収などを主目的とする。 

注記2 大形機械では,パイプ及びホースの上下に動力を用いた昇降装置又はパイプ部が伸縮する機

構をもったものがあり,小形機械では,手持ち式のものもある。 

3.3 

ホッパ 

路面上から収集した土砂,じんあい(塵埃)及び水を収納する容器。 

3.4 

吸水ホース 

タンク内に水を取り入れるためのホース。 

3.5 

散水車 

水タンクを装備し,ポンプで高圧力水を散水装置から路面に噴射することによって,路面上の土砂,じ

んあい(塵埃)などを洗い流す車両(図A.5参照)。 

3.6 

路面 

車両及び/又は歩行者の交通がある舗装領域。 

注記 レール走行専用の軌道は,含まない。 

重大な危険源のリスト 

路面清掃機械(以下,機械という。)にかかわる重大な危険源のリストは,附属書Bによる。 

安全要求事項・安全方策 

5.1 

一般 

機械は,この規格の安全要求事項及び安全方策に適合しなければならない。さらに,リスクアセスメン

トの結果,その機械に附属書Bに掲げた重大な危険源のリストにない新たな危険源が存在する場合は,JIS 

B 9700-1及びJIS B 9700-2に従って設計する。 

注記 重大な危険源とは,リスクアセスメント(JIS B 9702参照)を設計者・製造業者が行ったとき

に,直接関連するものとして特定され,リスクを除去又は減らすために具体的な行動が求めら

れる危険源をいう。 

5.2 

傾斜式ホッパ,昇降式・傾斜式ホッパ及び動力式排出扉 

5.2.1 

制御システム 

制御システムは,各機能それぞれに対し一組の操作機器だけで起動できるように設計しなければならな

い。ただし,操作系統が二つ以上ある場合,個々の機能は,手動又は自動で優先権を切り換え,同時操作

ができないようにしなければならない。 

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5.2.2 

傾斜式ホッパ又は昇降式・傾斜式ホッパ 

傾斜式ホッパ又は昇降式・傾斜式ホッパは,次による。 

a) 傾斜装置又は昇降装置は,最大傾斜時又は最大上昇時にホッパの意図しない降下を防ぐように,設計,

製造しなければならない。 

例えば,この要求事項は,次によって満たすことができる。 

− 油圧式又は空気圧式持上げ装置の制御弁内に組み込んだ逆止弁又は類似の機能 

− 自動ロック式アクチュエータ又は自動若しくは手動でかみ合うラッチ 

− 機械的安全機構 

b) 製造業者が意図し,予見した条件の下で使用するとき(例えば,保全,清掃,点検などで)上昇させ

た,又は傾けたホッパの下に運転員又は整備員が入らなければならない場合,少なくとも,次のよう

な安全防護手段を備えなければならない。 

− 傾斜用又は昇降用シリンダに組み込まれたパイロット制御の逆止弁 

− 自動又は手動でかみ合う機械的な安全機構 

− 手動の場合,危険区域に入らずに操作できる機械的な安全機構 

5.2.3 

動作 

ホッパ及び動力式排出扉には,格納,傾斜,昇降及び開閉の動作を確実に制御できる手段を備えなけれ

ばならない。 

5.2.4 

操作装置 

ホッパ及び動力式排出扉を傾斜又は昇降させるための操作装置(レバー,スイッチなど)は,5.5による。 

傾斜式ホッパ又は昇降式・傾斜式ホッパが,完全に下がった位置にないことを運転位置にいる運転員に

知らせる視覚又は音響による警報装置を備えなければならない。ただし,小形路面清掃車(図A.3及び図

A.4参照)など,運転位置からホッパの格納位置が確認できる機械については,この限りではない。 

5.2.5 

安定性 

機械を製造業者が意図した用途(7.2参照)に従って使用するとき,負荷の有無にかかわらずホッパが上

昇することによって機械が浮き上がったり,又は転倒してはならない。 

5.2.6 

ホース及び配管 

油圧式昇降ホッパ及び動力式排出扉に用いるすべての油圧ホース及び配管は,JIS B 8361に従わなけれ

ばならない。 

5.3 

清掃装置 

5.3.1 

側ブラシ,補助側ブラシ及び主ブラシ 

作業時に格納位置から車両の外側に張り出す側ブラシ及び主ブラシには,その可動領域を除いて,固定

式ガードを備えなければならない。ただし,側ブラシにおいて,側面の清掃を行う場合など,これが現実

的でない場合は,危険区域の周辺に,危険であること及びその危険を回避する手段を運転員及び第三者に

示す警告標識をは(貼)り付けなければならない。 

なお,清掃作業時に側ブラシが真下に降り,格納位置から外へ張り出さない機械(図A.3及び図A.4参

照)については,この限りではない。 

5.3.2 

上昇,下降及び回転機構 

清掃装置の上昇,下降及び回転は,制御された動作でなければならず,自由降下及び制御されない動作

を防止しなければならない。 

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5.3.3 

清掃装置の照明 

不十分な照明の下でも清掃作業ができるよう,側ブラシ部を照らす照明装置を備えなければならない。

照明は,第三者を妨害したり,目をくらませたりしてはならない。ただし,清掃作業時に側ブラシが真下

に降り,格納位置から外へ張り出さない機械(図A.3及び図A.4参照)については,この限りではない。 

5.3.4 

清掃装置の保全 

機械には保全のため,清掃装置のすべてを地表位置まで下降させ,すべての操作機器及び動力装置の起

動を無効にする手段を備えなければならない。油圧システムでは,すべての油圧ポンプを停止した後,シ

ステム内の残留エネルギーを放散させ,空気圧システムでは,全回路の残留エネルギーを安全に排気でき

なければならない。ただし,パイロット制御の逆止弁を組み込んだ傾斜用又は昇降用シリンダは除く[5.2.2 

b)参照]。 

5.4 

アクセス及び通路 

定期的にアクセスし,その上を歩くことが必要な装置が,地上から離れている,又はアクセスできない

場合,JIS A 8302に適合したアクセス用はしご,通路及び踊り場を備えなければならない。 

5.5 

操作装置 

5.5.1 

中立位置への自動復帰 

昇降及び回転動作用の操作装置(レバー,スイッチなど)は,手を放したとき自動的に中立位置に復帰

するよう設計しなければならない。ただし,その機能上保持位置を必要とする機構及び油圧モータのよう

な連続的な運転機構には適用しない。 

5.5.2 

意図しない作動の予防 

上昇,下降,回転など危険を伴う動作の操作装置は,例えば,次の方法によって意図しない作動を防ぐ

よう,設計,製造しなければならない。 

− ガード 

− 機械的な施錠 

− キースイッチによる施錠 

5.5.3 

傾斜式ホッパ,昇降式・傾斜式ホッパ及び動力式排出扉の操作位置 

ホッパの傾斜及び昇降並びに動力式排出扉の操作装置は,危険区域の外側に配置しなければならない。

運転員は,操作中,防護されていない危険な状態が見えていなければならない。 

5.5.4 

ホールド ツー ラン制御 

動力をもったすべてのハンドガイド式小形路面清掃車の走行装置は,ホールド ツー ラン制御としなけ

ればならない。 

5.6 

防護装置 

5.6.1 

可動部 

可動部は,次による。 

a) 動力を伝達するアクセス可能な可動部には,JIS B 9716に従った固定式ガードを備えなければならな

い。一日に1回又はそれ以上頻繁にアクセスする必要がある場合は,JIS B 9716に従った可動式ガー

ドを使用してもよい。 

b) 搬送装置から機械の外へ部品,土砂,じんあい(塵埃),液体などの危険な噴出が起こらないよう,防

護しなければならない。 

5.6.2 

高温表面 

運転員が接触し得る機械の高温表面は,ガードするか(例えば,高温表面の前側又は周囲に孔あき板を

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置く。),又は意図しない接触の危険を回避できるように配置しなければならない。ガードすることが現実

的でない場合,例えば,エンジンのラジエータキャップなどには,使用上の情報として危険の内容及びそ

の回避手段を知らせる適切な警告標識をは(貼)らなければならない。 

5.6.3 

排気ガス及び粉じん(塵) 

排気ガス及び粉じん(塵)は,次による。 

a) エンジンの排気装置は,排気ガスによる健康への悪影響を,できる限り低減するよう,最新技術に従

って設計,製造及び配置しなければならない。同時に,排気ガスの排出方向は,運転員から遠ざかる

方向に向ける。 

b) 運搬車両(例えば,トラック)に搭載されたものを除く機械において,ブラシなどから生じる粉じん

(塵)による健康への悪影響を避ける手段としてキャブを装着した場合,必要に応じ,例えば,換気

装置などの防じん(塵)装置及び窓用デフロスタを装着できるようになっていなければならない。小

形の搭乗式,ハンドガイド式などキャブを装着しない機械においては,保護具着用の必要性を取扱説

明書に記載しなければならない。 

5.6.4 

配管及びホース 

流体動力用配管及びホースは,JIS B 8361及びJIS B 8370に適合しなければならない。 

5.6.5 

扉及びパネル 

開いた位置において,意図せずに閉じる危険が生じる扉及びパネルは,開いた位置及び閉じた位置で確

実に固定できなければならない。平衡ばね,油圧シリンダ,ガスストラット又は類似装置は,これらが扉

又はパネルを確実に保持している場合,十分な支持装置とみなしてよい。 

手で扉及びパネルを開閉する操作は,安全な側からだけで可能とし,必要な力は,200 Nを超えてはな

らない。 

5.7 

洗浄装置・散水装置 

洗浄水は,意図した方向だけに作用するよう設計及び配置しなければならない。 

5.8 

燃料タンク及び作動油タンク 

5.8.1 

給油口 

給油口は,次による。 

a) 燃料タンク及び作動油タンクには,通常の給油設備又は手持ち携行缶からの給油が可能で,アクセス

の容易な給油口を備えなければならない。 

b) 給油口は,運転室内に配置してはならない。 

c) 給油口付近に正規の油種を示すラベルをは(貼)り付けなければならない。 

5.8.2 

液面レベル表示 

すべてのタンクに液面レベル表示器を備えなければならない。ただし,ハンドガイド式小形路面清掃車

(図A.4参照)は除く。 

5.9 

吸込み装置 

手で案内する吸込みホースには,吸込みホースを制御しながら容易に誘導できるよう,手持ち用の取っ

手を備えなければならない。 

200 Nを超える操作力を必要とする吸込み装置には,ばね,空気圧シリンダ,機械式アクチュエータ又

は油圧シリンダによる平衡手段を用いなければならない。油圧シリンダ又は空気圧シリンダを用いた動力

作動装置を使用している場合は,例えば,絞り弁,流量制御弁,逆止弁などをアクチュエータに直接取り

付けて,動力の故障による自由降下を防止しなければならない。 

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すべての形式の吸込み装置には,適切な格納場所をもち,堅固に固定できる機能を備えなければならな

い。 

5.10 吸水ホース 

吸水ホースには,適切な格納場所をもち,堅固に固定できる機能を備えなければならない。 

5.11 電気及び電子装置 

5.11.1 一般 

電気構成部品及び導線は,機械の意図した用途において,環境条件にさらされることによって劣化の原

因となる損傷を受けないような方法で取り付けなければならない。電気構成部品の絶縁材料は,難燃性の

ものを用いる。フレーム,隔壁などを貫通する通し配線は,すりむけないよう防護しなければならない。 

過電流防護装置によって防護されていない電気配線及びケーブルは,燃料又は引火性ガスを含む配管及

びホースに直接接触する形で縛り付けてはならない。 

関連部品には,JIS B 9960-1を適用する。 

注記 電子構成部品の安全機能に関する参考規格として,ISO 15998がある。 

5.11.2 保護等級 

電気及び電子構成部品の配置及び取付けにおいて,次の保護等級を満たさなければならない。 

a) 機械の外側に配置されるか又は外部環境に直接さらされるすべての構成部品は,IP55(JIS C 0920参

照)に相当する最低限の保護等級をもつ。 

b) 運転室に取り付けられているか又は外部環境に対して防護されているすべての構成部品に対し,予見

し得る状況下において正しく機能が発揮できるよう防護処置がとられている。 

5.12 電磁両立性(EMC) 

機械は,JIS A 8316で規定する電磁両立性の要求事項に適合しなければならない。 

5.13 騒音 

機械は,できるだけ低騒音に設計,製造しなければならない。 

安全要求事項・安全方策の検証 

機械の設計及び製造において,この規格の安全要求事項が組み込まれていることを,次のいずれか一つ

又はこれらの組合せによって検証しなければならない。 

a) 計算 

b) 目視による検査 

c) 計測又は作動検査 

d) 特定の要求事項に関する規格に規定する方法による試験 

− 電気及び電子装置の保護等級,電磁両立性(EMC)など 

e) 購入した機器が要求規格どおりに製造されたという証拠書類など,製造業者が保管を課せられた書類

の内容の査定 

使用上の情報 

7.1 

警告表示 

機械又は作業装置及びアタッチメントが運転員又は第三者にとって潜在的に危険源を生じ得るとき,JIS 

A 8340-1の附属書5に従った警告及び安全標識を機械には(貼)り付けなければならない。 

注記 安全標識作成のときに参考となる規格として,社団法人日本建設機械化協会規格JCMAS H 014

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(建設機械−安全標識)がある。 

7.2 

取扱説明書 

取扱説明書は,使用される地域の言語で記載し,運転及び保全の要領について記載し,機械と一緒に提

供しなければならない。様式及び内容は,JIS A 8334及びJIS B 9700-2の6.5[附属文書(特に,取扱説明

書)]に従って作成する。 

取扱説明書は,別冊になっていてもよい。 

用語,定義,単位及び記号は,関連する日本産業規格による。 

製造業者が供給できるアタッチメント及び附属品も含めて,通常の条件下における機械の意図した用途

及び運転方法を取扱説明書に規定する。アタッチメント及び附属品の正しい組立及び使用方法の規定も必

要である。 

取扱説明書には,可能な限り,次の情報を記載する。 

− 意図した用途及び危険源の回避方策に関する情報 

− 保護具の着用が必要な作業に関する情報 

− ホッパが傾斜,上昇及び排出時の安定性及び最大高さに関する情報 

− ホッパ操作のときの注意事項 

− 運転員の資格及び安全な作業要領に関する教育訓練に取り入れるべき項目の提言 

− 機械は,訓練された運転員が運転すべきことの忠告 

− 輸送,質量,重心位置に関する情報 

− 傾斜及び昇降用の操作装置の取付け箇所及び位置決め箇所に関する情報 

− 操作装置の説明 

− 設計者が取り入れた安全方策にもかかわらず,取り除けなかったリスクに関する情報(例えば,ホッ

パの上昇に伴う安定性の変化,回転部分による傷害のリスク) 

− 油圧システムの保全作業は,訓練された人が実行すべきことの忠告 

予備品リストには,すべての関連する安全関連予備品を,明確な識別番号及びその取付け位置に関する

情報とともに記載しなければならない。 

7.3 

機械への表示 

各機械には,少なくとも次の情報を,読みやすく消えない方法で表示しなければならない。 

− 製造業者又は供給業者の名称及び所在地 

− モデル名又は形式名 

− 製造年 

− 製造番号 

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附属書A 

(参考) 

代表的な機種の例 

A.1 真空式路面清掃車 

トラックシャシ 

清掃装置 

傾斜式ホッパ 

吸込み口 

側ブラシ 

補助側ブラシ 

主ブラシ 

排出扉 

黄色回転灯 

10 作業用エンジン 

11 ブロワ 
12 吸込み装置 
13 水タンク 

図A.1−真空式路面清掃車 

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10 

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A.2 ブラシ式路面清掃車 

トラックシャシ 

作業用エンジン 

側ブラシ 

補助側ブラシ 

主ブラシ 

コンベヤ 

昇降・傾斜式ホッパ 

水タンク 

黄色回転灯 

図A.2−ブラシ式路面清掃車 

A.3 搭乗式小形路面清掃車 

シート 

エンジン 

側ブラシ 

主ブラシ 

コンベヤ 

ホッパ 

フィルタ 

ブロワ 

図A.3−搭乗式小形路面清掃車 

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11 

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A.4 ハンドガイド式小形路面清掃車 

走行レバー 

エンジン 

側ブラシ 

主ブラシ 

ホッパ 

フィルタ 

ブロワ 

図A.4−ハンドガイド式小形路面清掃車 

A.5 散水車 

トラックシャシ 

散水装置 

水タンク 

ポンプ 

黄色回転灯 

吸水ホース 

図A.5−散水車 

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12 

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附属書B 

(規定) 

重大な危険源のリスト 

番号 

危険源 

JIS B 9700-1 

JIS B 9700-2 

JIS A 8510 

危険状態及び危険事象 

機械的危険源・・次の事項から起こる。 
− 機械部品及び加工対象物の例えば,形状,相

対位置,質量及び速度,機械的強度 

− 機械内部の蓄積エネルギー,例えば,弾力性

構成要素(ばね),加圧下の液体及び気体,真
空の影響 

 
4.2.2 
 
4.2.2 

 
4.2 
 
4.2.2,4.10, 
5.5.4 

 
 
 
5.3.4 

1.1 

押しつぶしの危険源 

4.2.1 

4.2.1 

5.2.1〜5.2.4, 
5.3.2,5.6.5,5.9,
5.10 

1.2 

せん断の危険源 

4.2.1 

4.2.1 

5.3.2 

1.3 

巻き込みの危険源 

4.2.1 

5.3.1,5.6.1 

1.4 

引き込み又は捕そく(捉)の危険源 

4.2.1 

5.3.1,5.3.2,5.6.1 

1.5 

衝撃の危険源 

4.2.1 

5.2.2,5.6.5 

1.6 

高圧流体の注入又は噴出の危険源 

4.2.1 

4.10 

5.2.6,5.6.1,5.6.4 

次による電気的危険源 

2.1 

充電部に人の接触(直接接触) 

4.3 

4.9 

5.11.1 

2.2 

不具合状態下で充電部に人が接触(間接接触) 

4.3 

4.9 

5.11.2 

2.3 

静電気現象 

4.3 

4.9 

5.11.2 

次の結果を招く熱的危険源 

3.1 

極度の高温又は低温の物体又は材料に人が接触し
得ることによって火炎又は爆発,及び熱源からの
放射によるやけど,熱傷,その他の傷害 

4.4 

5.6.2 

次の結果を招く騒音から起こる危険源 

4.1 

聴力喪失(聞こえない),その他の生理的不調(平
衡感覚の喪失,意識の喪失など) 

4.5 

4.2.2,4.3 c), 
4.4 c),4.8.4, 
5.4.2 

5.13 

4.2 

口頭伝達,音響信号及びその他の障害 

4.5 

4.2.2,4.3 c), 
4.4 c),4.8.4, 
5.4.2 

5.13 

機械類によって処理又は使用される材料及び物質から起こる危険源 

5.1 

有害な液体,気体,ミスト,煙霧及び粉じん(塵)
との接触又はそれらの吸入による危険源 

4.8 

4.2.2,4.3 b), 
5.4.4 

5.6.3 

5.2 

火災又は爆発の危険源 

4.8 

5.11.1 

例えば,次の項目から起こる危険源のように,機械類の設計時に人間工学原則の無視から起こる危険源 

6.1 

不自然な姿勢又は過剰な負担 

4.9 

4.7,4.8.2,5.5.6 5.6.5,5.8.1,5.9 

6.2 

不適切な局部照明 

4.8.6 

5.3.3 

6.3 

保護具使用の無視 

4.8.7 

5.6.3,7.2 

6.4 

ヒューマンエラー,人間挙動 

4.9 

4.8,4.11.9, 
4.11.10,6.1 

5.2.2,5.5,5.6.5 

6.5 

安全の組込み原則の無視 

5.2.2 

6.6 

不適切なガード及び防護装置 

3.25,3.26 

5.2,5.3 

5.3.1,5.6.1,5.6.2 

6.7 

不適切な運転操作位置 

4.9 

4.8.7,4.8.8 

5.5.3 

background image

13 

A 8510:2010  

番号 

危険源 

JIS B 9700-1 

JIS B 9700-2 

JIS A 8510 

6.8 

調整,補修及び保守整備場所並びにそれらへの接
近の不適切な設計 

3.3,3.19 

4.7,4.11.12, 
4.15,5.5.6 

5.4 

次の事項から起こる予期しない始動,予期しない超過走行/超過速度(又は何らかの類似不調) 

7.1 

電気設備に対する外部影響 

4.11.11 

5.12 

7.2 

オペレータによるエラー(人間の特性及び能力と
機械類との不調和による。) 

4.9 

4.8,4.11.9, 
4.11.10,5.5.2, 
6.1 

5.2.2,5.3.2, 
5.3.4,5.5.1, 
5.5.2,5.5.4 

落下又は噴出する物体若しくは流体 

4.2.1,4.2.2 

4.3,4.10 

5.6.1,5.7 

機械の安定性の欠如/転倒 

4.2.2 

4.6,5.2.6 

5.2.5 

10 

人の滑り,つまずき及び落下(機械に関係するも
の) 

4.10 

5.5.6 

5.4 

11 

機械上の作業位置(運転席含む)に関連したもの 

11.1 

運転及び作業位置に入出時の人の落下 

5.5.6 

5.4 

11.2 

運転及び作業位置からの不十分な視界 

5.5.3 

12 

走行機能に関連したもの 

12.1 

すべての部品が安全位置にない状態での移動 

5.2.4,5.9,5.10 

13 

制御システムによるもの 

13.1 

エネルギー及び制御回路の不適切な設計 

5.3 

4.11.1 

5.2.1 

13.2 

手動制御器の不適切な配置 

4.11.1 

5.5 

13.3 

手動制御器及びその運転モードの不適切な設計 

4.11.1 

5.2.1,5.2.3 

14 

第三者から起こる又は第三者に及ぼす危険源 

14.1 

視覚又は聴覚警告手段の欠如又は不適切 

5.2.4,5.3.1 

15 

運転員/オペレータに対する指示が不十分(取扱
説明書,標識,警告及び表示) 

5.3.1,5.6.2, 
5.6.3,5.8.2,7.1,
7.2 

14 

A 8510:2010  

参考文献 

(1) JIS B 9702 機械類の安全性−リスクアセスメントの原則 

(2) JIS C 0920 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード) 

(3) ISO 15998,Earth-moving machinery−Machine-control systems (MCS) using electronic components−

Performance criteria and tests for functional safety 

(4) 社団法人日本建設機械化協会規格JCMAS H 014 建設機械−安全標識