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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

A 8312-1996 

(ISO 9244 : 1995) 

土工機械−安全標識及び危険表示図記号 

−通則 

Earth-moving machinery−Safety signs and hazard pictorials 

−General principles 

序文 

この規格は,1995年第1版として発行されたISO 9244 (Earth-moving machinery−Safety signs and hazard 

pictorials−General principles) を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工

業規格である。 

なお,この規格で下線(点線)を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。 

この規格は,土工機械に用いる安全標識及び危険表示図記号についての国際規格を規定するため,

ISO/TC127/SC2が作成したISO 9244をもとにしている。安全標識は,機械・装置の使用及び保守の際に遭

遇するかもしれない危険を,運転者・作業者に警告するために,国際的に用いるものである。これらの危

険は,設計によって回避したり,防護することが不可能な機能的な構成部分に典型的に生じる。これらの

危険は,多くは機械に固有なものであり,それらへの対策は,一般的な取組みよりも,特定の安全標識に

よるのが最善の取組み方である。 

この規格の規定には,EC,米国及び世界の他の国々の法的要求事項を満足する安全標識を含んでいる。こ

の規格に含まれる二つの様式は,prEN 5099-1と合致しており,他の二つの様式は,安全標識に関する米国

の国家規格 (ANSI Z535.4) と合致している。 

危険表示図記号の種類及び新しい危険表示図記号の制作のための指針は,附属書(参考)に示されている。

後日,新しい危険表示図記号が附属書に追加されることもある。附属書以外の図記号が,適宜,制作して

使用されることもあり得る。 

1. 適用範囲 

この規格は,ISO 6165に定義された土工機械に,恒久的にはり付ける安全標識と危険表示図記号のデザ

イン及び適用のための通則を規定する。この規格は,安全標識の目的の概要を示し,基本的な安全標識の

様式を定め,安全標識に用いる色彩を指定し,かつ,一つの安全標識を構成する各区画を作成する際の指

針を示す。 

2. 引用規格 

次に掲げる引用規格は,この規格に引用されることによってこの規格の規定を構成する。この原国際規

格の発行の時点では,引用規格は,ここに示す年度の版が有効であった。すべての規格は改正されるもの

であり,この規格に基づくことに合意した関係者は,この引用規格の最新版を適用する可能性を調べるこ

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

とに努めるのがよい。 

ISO 6165 : 1987 Earth-moving machinery−Basic types−Vocabulary 

参考 JIS A 8308-1992(土工機械−基本的機種の用語)が,この国際規格の内容とほぼ一致している。 

3. 安全標識の目的 

3.1 

安全標識の目的は,次のとおりである。 

− 運転者・作業者に現存するか,又は潜在する危険について警告する。 

− 危険を明らかにする。 

− 危険の性質を述べる。 

− 危険によって発生する可能性がある傷害について説明する。 

− 運転者・作業者に危険を回避する方法を教える。 

3.2 

この規格の目的を達成するためには,安全標識を,機械に明確に表示し,はっきりと見える位置に

取り付け,損傷及び滅失に対して耐えられるように十分に保護し,また,合理的な長期間の寿命 (reasonably 

long life) が期待できるようにすることが望ましい。 

3.3 

安全標識及び危険表示図記号は,機械上に表示するか,又は運転整備取扱説明書中に使用すること

ができる。機械上の安全標識及び危険表示図記号は,危険の存在する場所,又は危険を予防する制御装置

の近くに表示する。 

3.4 

機械に安全標識及び危険表示図記号を過度に使用すると,その効果が減少する可能性があるので,

その必要性及び使用が多くなりすぎないように注意する。 

備考 経験的に,安全標識及び危険表示図記号は,おおよそ7個を超えて使用すると,その効果が減

少するといわれている。 

3.5 

安全標識及び危険表示図記号は,特別な注意を必要とする部分を強調するように,運転整備取扱説

明書中に使用することもできる。これらを説明書類に使用する場合には,3.4に述べた注意事項は該当しな

い。 

4. 安全標識の様式 

4.1 

安全標識は,製品の運転に関連する危険についての情報を伝える,2個以上の長方形の区画の周囲を

縁取りしたものからなる。 

4.2 

安全標識の標準様式は,次の4種類とする。 

− 2区画安全標識:信号区画,伝言文区画(4.4参照) 

− 3区画安全標識:信号区画,図記号区画,伝言文区画(4.5参照) 

− 2区画安全標識:図記号区画,伝言文区画(4.6参照) 

− 2区画安全標識:2個の図記号区画(4.7参照) 

4.3 

安全標識は,横形でもよいが,通常は,縦形を推奨する。安全標識の様式及び形の最終選択は,危

険を知らせるためにどれが最も有効であるかを判断し,その製品が販売される地域の地理上及び言語上の

位置付け,法律上の要件,並びに安全標識に使用できるスペースを考慮して,決定することが望ましい。 

4.4 

2区画安全標識:信号区画,伝言文区画(図1参照) 

信号区画には,安全警告の記号及び3種類の信号の区別を表す言葉(注意,警告,危険)のうちの一つ

を記載する。伝言文区画には,危険を述べ,危険に遭遇した場合の結果を説明し,かつ危険を回避する方

法を指示した伝言文を記載する。 

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図1 2区画安全標識 

4.5 

3区画安全標識:信号区画,図記号区画,伝言文区画(図2参照) 

信号区画には,安全警告の記号及び3種類の信号の区別を表す言葉のうちの一つを記載する。図記号区

画には,危険内容の図記号を,場合によっては危険内容の図記号と危険回避の図記号とを組み合わせたも

のを記載する。伝言文区画には,危険を述べ,危険に遭遇した場合の結果を説明し,かつ,危険を回避す

る方法を指示した伝言文を記載する。 

図2 3区画安全標識 

4.6 

2区画安全標識:図記号区画,伝言文区画(図3参照) 

図記号区画には,安全警告の三角形(図6参照)で囲まれた危険内容の図記号か,又は一般用安全警告

の記号(図7参照)だけを記載する。伝言文区画には,危険を述べ,危険に遭遇した場合の結果を説明し,

かつ,危険を回避する方法を指示した伝言文を記載する。 

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図3 2区画安全標識 

4.7 

2区画安全標識:2個の図記号区画(図4参照) 

第1の図記号区画は,危険内容の図記号区画であって,安全警告の三角形で囲まれた危険内容の図記号

か,又は一般用安全警告の記号だけを記載する。第2の図記号区画は,危険回避の図記号区画であって,

危険回避の図記号を記載する。 

図4 2区画安全標識 

4.8 

状況によっては,前述の標準様式の変形が適切である場合がある。 

5. 信号区画 

5.1 

安全標識の信号区画には,安全警告の記号,及び3種類の信号の区別を表す言葉のうちの一つを記

載する。 

5.2 

信号の区別を表す言葉のうちの一つを記載した安全標識に用いる安全警告の記号は,図5に示すも

のとし,3種類の信号の区別を表す言葉のうちの一つを記載した安全標識に使用する。 

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図5 信号の区別を表す言葉のうちの一つを 

記載した安全標識に用いる安全警告の記号 

5.3 

安全標識は,危険状態の相対的な重大性に従って,信号の区別を表す言葉を使用して分類してもよ

い。 

5.3.1 

信号の区別は,危険,警告及び注意の3種類とする。これらの言葉は,それを見る人に危険の存在,

及びその重大性について警告を発する。 

5.3.2 

3種類の信号の区別を表す言葉は,人体に対して傷害を起こす危険にだけ使用する。これらの言葉

の選択は,次に示すように,危険に遭遇する可能性の評価,及び危険に遭遇した場合に起こり得る結果の

評価に基づいて行う。 

− 危険 危険という言葉は,回避されなかった場合には死亡又は重大な傷害を招く,切迫した危険な状

態を示す。危険という言葉で表示する安全標識は,控え目に,かつ,最も重大な危険を表す状態に対

してだけに使用するのがよい。 

− 警告 警告という言葉は,回避されなかった場合には死亡又は重大な傷害を招くことがあり得る潜在

的に危険な状態を示す。警告という言葉で表示する危険は,危険という言葉で表示する危険よりも傷

害又は死亡のリスクの度合いが低いことを表す。 

− 注意 注意という言葉は,回避されなかった場合には軽度の又は中程度の傷害を招くかもしれない潜

在的に危険な状態を示す。注意は,また,人体に対する傷害を招くことがあり得るできごとに関連す

る,不安全な行為に対して警告するためにも使用してもよい。 

6. 図記号区画 

6.1 

安全標識の図記号区画には,危険内容の図記号,危険回避の図記号,又は単独の一般用安全警告の

記号を記載する。 

6.2 

安全標識に使用する図記号は,次に示す危険内容及び危険回避の2種類の基本形式とする。 

− 危険内容の図記号 危険内容の図記号は,危険内容を,また一般に危険を回避しなかった場合の結果

を視覚的に表す。 

− 危険回避の図記号 危険回避の図記号は,危険を回避する方法について視覚的に表す。 

6.2.1 

危険内容の図記号は,危険を明確に表示し,指示に従わない場合に起こり得る結果を表示するもの

ほど良い。危険回避の図記号は,運転者・作業者に及ぶ危険を回避するために必要な処置を明りょう(瞭)

に表示するものほど良い。 

6.2.2 

一般にはなかなか困難なことではあるが,2種類の図記号を組み合わせて一つにすることは可能で

ある。危険内容の図記号が,最も頻繁に使用される。伝言文を補ったり,伝言文に置き換えるために,危

険回避の図記号を使用してもよい。 

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6.2.3 

ときには,一つの図記号で複数の危険を表示してもよい。しかし,一般には,それらの危険が密接

に関連している場合以外には,一つの図記号で複数の危険を表示することは避けるべきである。 

6.3 

2個の図記号区画で表示する2区画安全標識では,その標識が安全標識であることを明確にするため

に,危険内容の図記号を安全警告の三角形で囲まなければならない。 

安全警告の三角形を図6に示す。 

図6 安全警告の三角形 

6.4 

安全警告の三角形の中に危険内容の図記号を使用しない場合には,三角形の中に感嘆符を使用して,

図7に示す一般用安全警告の記号を作成する。 

図7 一般用安全警告の記号 

7. 伝言文区画 

7.1 

安全標識の伝言文区画には,単独で,又は図記号区画と組み合わせて,危険の内容を述べ,危険に

遭遇した場合の結果を説明し,かつ,危険を回避する方法を指示した伝言文を記載する。 

7.2 

危険内容の図記号が,危険及びその起こり得る結果を適確に表現している場合には,これらの内容

のうちの一つ又は両方を伝言文区画から除いてもよい。危険回避の図記号が,危険を回避する方法を適切

に表現している場合には,その内容を伝言文区画から除いてもよい。図記号を使用しない場合には,伝言

文区画にはこれらの三つの内容をすべて記載する必要がある。伝言文は,できるだけ簡単に,数行以内の

文章で書くのがよい。 

8. 使用言語,翻訳及び複数言語による安全標識 

8.1 

信号の区別を表す言葉又は伝言文を使用している安全標識は,その製品が使用される国の言語の一

つで作成することが望ましい。文章がない安全標識では,言語の翻訳は,当然不要である。しかし,文章

がない安全標識を使用している製品については,次の2項目が必要である。 

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− その製品に適用する安全標識の説明のために,取扱説明書を読むことを運転者に指示する特別の安全

標識があること。 

− 文章がない安全標識に対応する適切な説明文が,該当する言語で作成された取扱説明書に記載されて

いること。 

8.2 

一例として,図8に,“機械を運転する前に,取扱説明書をよく読み,作業中は指示事項及び安全規

則を遵守すること。”とドイツ,フランス,イギリス及びオランダの4か国語で書いた安全標識を示す。安

全標識に,その製品が使用される地域の言語が含まれている限り,他の言語と組み合わせてもよく,又は

1か国語だけでもよい。 

図8 文章がない安全標識を付けた製品に用いる,“取扱説明書を 

読むこと”と4か国語で記載した安全標識の例 

8.3 

図9に,文章がない“取扱説明書を読むこと”という安全標識を示す。この安全標識は,図8に示

す単一又は複数の言語による安全標識の代わりに使用してもよい。 

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図9 文章がない安全標識を付けた製品に用いる,“取扱説明書を 

読むこと”という文章がない安全標識 

9. 安全標識の色 

9.1 

信号区画の色 

信号区画の色は,使用する信号の区別を表す言葉による。 

9.1.1 

危険標識の信号区画は,赤地に白の言葉とする。安全警告の記号は,白地の三角形に赤の感嘆符と

する(図5参照)。 

9.1.2 

警告標識の信号区画は,黄赤地に黒の言葉とする。安全警告の記号は,黒地の三角形に黄赤の感嘆

符とする(図5参照)。 

9.1.3 

注意標識の信号区画は,黄色地に黒の言葉とする。安全警告の記号は,黒地に黄の感嘆符とする(図

5参照)。 

9.2 

図記号区画の色 

図記号区画の色は,安全標識が信号の区別を表す言葉を記載するかどうかによって決まる。 

9.2.1 

3種類の信号の区別を表す言葉の一つを記載している安全標識の図記号区画は,白地に黒の図記号

とする。 

9.2.2 

安全警告の三角形又は一般用安全警告の記号を記載する安全標識の図記号区画は,黄色地に黒の図

記号とする。 

9.2.3 

図記号の特定の状態を強調するために,他の色(例えば,火を表す赤)を使用してもよい。 

9.2.4 

行動の禁止が×又は,若しくは停止という単語で表示される場合(附属書D,D.9参照),その

禁止の表示は,赤とする。 

9.3 

伝言文区画の色 

伝言文区画の色は,安全標識が区別を表す言葉を記載するかどうかで決まる。 

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9.3.1 

信号の区別を表す言葉を記載している安全標識の伝言文区画は,黒地に白の文字,又は白地に黒の

文字とする。 

9.3.2 

信号の区別を表す言葉を記載していない安全標識の伝言文区画は,黄色地に黒の文字,又は白地に

黒の文字とする。 

9.4 

縁取りの色 

縁取りの色は,使用する信号の区別を表す言葉の種類と,安全標識に安全警告の三角形を記載するかど

うかで決まる。 

9.4.1 

危険標識の縁取りは,赤とする。安全標識を,それを取り付けた表面の色と区別する必要がある場

合には,外側に白の縁取りを追加してもよい。 

9.4.2 

警告標識の縁取りは,黄赤とする。安全標識を,それを取り付けた表面の色と区別する必要がある

場合には,外側に白又は黒の縁取りを追加してもよい。 

9.4.3 

注意標識の縁取りは,黄とする。安全標識を,それを取り付けた表面の色と区別する必要がある場

合には,外側に白又は黒の縁取りを追加してもよい。 

9.4.4 

安全警告の三角形を記載する安全標識の縁取りは,黄とする。安全標識を,それを取り付けた表面

の色と区別する必要がある場合には,外側に白又は黒の縁取りを追加してもよい。 

9.5 

区画境界線の色 

区画境界線の色は,黒とする。 

10. 寸法 

安全標識の推奨寸法(単位:ミリメートル)を,図10〜13に示す。 

必要に応じて,より小さい寸法,又はより大きい寸法を用いてもよい。十分に大きい信号区画を用意す

る必要がある場合,又は読み取りやすい大きさの文字で設定するために,伝言文区画に相応した広さを取

る必要がある場合には,寸法の比率を変えてもよい。 

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図10 2区画安全標識(信号区画,伝言文区画)の推奨寸法 

図11 3区画安全標識(信号区画,図記号区画,伝言文区画)の推奨寸法 

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図12 2区画安全標識(図記号区画,伝言文区画)の推奨寸法 

図13 2区画安全標識(2個の図記号区画)の推奨寸法 

12 

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11. 危険内容の図記号 

附属書Aに,安全標識に使用する危険内容の図記号の例を示す。適切である場合には,別の危険内容の

図記号を使用してもよく,また,更に必要であれば危険内容の図記号を追加して作成してもよい。 

12. 危険回避の図記号 

附属書Bに,安全標識に使用する危険回避の図記号の例を示す。適切である場合には,別の危険回避の

図記号を使用してもよく,また,更に必要であれば危険回避の図記号を追加して作成してもよい。 

13. 安全標識の例 

13.1 文章を記載した安全標識の例 

ある危険に対応する信号の区別を表す言葉及び伝言文は,法令上の判例を含んだ,かなり多様な要素の

組合せによって構成される。この規格では,文章がある安全標識の詳細な例は示さない。文章がある安全

標識は,必要に応じて,この規格で先に示した目的及び原則に従って作成することが望ましい。 

13.2 文章がない安全標識の例 

附属書Cに,幾つかの危険に対する,文章がない安全標識の例を示す。このほかの危険に対して,必要

があれば安全標識を追加して作成してもよい。 

14. 危険表示図記号の制作のための原則及び指針 

附属書Dに,危険表示図記号の良い図柄デザインのための原則及び指針のほか,人間の姿,及びその他

の図記号の要素を描くための方法を示す。うまく調和した視覚的デザインは,危険内容の図記号,及び危

険回避の図記号の意味を伝えるためには重要である。 

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附属書A 危険内容の図記号 

(参考) 

A.1 適用範囲 

この附属書は,安全標識に使用する危険内容の図記号の例を示す。適切である場合には,別の危険内容

の図記号を使用してもよく,また,必要であれば危険内容の図記号を追加して作成してもよい。 

A.2 化学的(吸入/火傷)危険 

A.2.1 有害な煙,又は有害ガス−窒息 

A.3 電気的(ショック/火傷)危険 

A.3.1 電気ショック/感電死 

A.3.2 電気ショック/感電死−ローダ 

A.3.3 電気ショック/感電死−エキスカベータ 

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14 

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A.4 転落の危険 

A.4.1 高所からの転落 

A.4.2 上昇したローダのバケットからの転落 

参考 日本では,労働安全衛生規則第164条の規定によ

って,ローダバケットの中に搭乗することが禁止
されている。 

A.5 液体(噴出,漏れ/噴霧)の危険 

A.5.1 高圧の液体−身体への浸入 

A.5.2 高圧噴霧−肉体の損傷 

A.6 機械的−押しつぶされる危険 

A.6.1 全身が押しつぶされる−力が上からかかる 

A.6.2 指又は手が押しつぶされる−力が横からかかる 

A.6.3 押しつぶされる−ローダのバケット 

A.6.4 押しつぶされる−油圧ショベルの

カウンタウエイト 

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A.7 機械的−切断の危険 

A.7.1 指又は手の切断−インペラのブレード 

A.7.2 指又は手の切断−エンジンのファン 

A.8 機械的−巻き込まれる危険 

A.8.1 機械に腕が巻き込まれる 

A.8.2 機械に脚が巻き込まれる 

A.8.3 腕が巻き込まれる−回転している歯車 

A.8.4 手及び腕が巻き込まれる−チェーン又は歯付き

ベルトの駆動 

A.8.5 手及び腕が巻き込まれる−ベルトの駆動 

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A.9 機械的−飛散物による危険 

A.9.1 飛散物−顔面受傷 

A.9.2 飛散物−目の保護が必要 

A.9.3 飛散物−顔面の保護が必要 

A.10 車にひ(轢)かれる/後退時にひかれる/ぶつかる危険 

A.10.1 車にひかれる/後退時にひかれる−トラ

クタ(トラクタ以外の機械については,

該当する機械の輪郭図に置き換える。) 

A.10.2 車にひかれる/後退時にひかれる−油圧ショ

ベル(油圧ショベル以外の機械については,

該当する機械の輪郭図に置き換える。) 

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17 

A 8312-1996 (ISO 9244 : 1995) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A.11  安定性(転倒/傾斜,横滑り/落下)に関する危険 

A.11.1 機械の転覆−転倒時保護構造 (ROPS) 

A.12 熱(火傷/接触)による危険 

A.12.1 高温の表面−指又は手の火傷 

A.13 熱(燃焼/爆発)による危険 

A.13.1 爆発(例えば,始動用液体を使用する場合。) 

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附属書B 危険回避の図記号 

(参考) 

B.1 適用範囲 

この附属書では,安全標識に使用する危険回避の図記号の例を示す。適切である場合には,別の危険回

避の図記号を使用してもよく,また,必要であれば危険回避の図記号を追加して作成してもよい。 

B.2 危険回避の図記号 

B.2.1 上昇したブーム及びバケットから離れてい

ること。 

B.2.2 危険な区域に立ち入る前にリフトシリンダをロ

ック装置で固定すること。 

B.2.3 危険な区域に立ち入る前に支持装置を取り

付けること。 

B.2.4 危険な区域に立ち入る前に安全ロックを掛ける

こと。 

B.2.5 機械との間に安全な距離をとること。 

B.2.6 機械の部分に触れる際には,すべての機械の構

成品が完全に停止するまで待つこと。 

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B.2.7 エンジン始動は,運転席からだけ行うこと。 B.2.8 保守又は修理を行う際には,エンジンを止め,

キーを抜いておくこと。 

B.2.9 機械に取り付けられたシート以外の場所に

乗らないこと。 

B.2.10 電線との間に距離を十分にとること。 

B.2.11  部品が動く可能性がある限り,挟まれる

場所に絶対に近付かないこと。 

B.2.12  正しい整備手順をサービスマニュアルで調べ

ること。 

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A 8312-1996 (ISO 9244 : 1995) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C 文章がない安全標識の例 

(参考) 

C.1 適用範囲 

この附属書では,幾つかの危険に対する文章がない安全標識の例を示す。これらの安全標識の例を,縦

形2区画様式(信号区画がないもの,図記号区画が二つのもの,伝言文区画がないもの)で表示する。必

要に応じて他の危険に対する安全標識を追加して作成してもよい。 

それぞれの安全標識に付けた説明文は,取扱説明書への記載に適した説明文の例である。この説明文は,

安全標識の特別な使用法のために必要に応じて内容を増やしたり,内容を変えたりしてもよい。 

C.2 文章がない安全標識の例 

C.2.1 上昇したブーム及びバケットから離れてい

ること。 

C.2.2 危険な場所に立ち入る前にリフトシリンダをロ

ック装置で固定すること。 

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A 8312-1996 (ISO 9244 : 1995) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

C.2.3 危険な場所に立ち入る前に支持装置を取り

付けること。 

C.2.4 危険な場所に立ち入る前に安全ロックを掛ける

こと。 

C.2.5 機械との間に安全な距離をとること。 

C.2.6 エンジン始動は,運転席からだけ行うこと。 

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A 8312-1996 (ISO 9244 : 1995) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

C.2.7 保守又は修理を行う際には,エンジンを止

め,キーを抜いておくこと。 

C.2.8 機械に取り付けられたシート以外の場所に乗ら

ないこと。 

C.2.9 電線との間に十分な距離をとること。 

C.2.10 高温表面に近付かないこと。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

C.2.11 加圧された液体の噴出を防ぐため,整備手

順をサービスマニュアルで調べること。 

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A 8312-1996 (ISO 9244 : 1995) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書D 危険表示図記号の制作のための原則及び指針 

(参考) 

D.1 適用範囲 

この附属書では,危険表示図記号の良い図柄デザインのための原則及び指針のほか,人間の姿,及びそ

の他の図記号の要素を描くための方法を示す。視覚的に一貫性を保ったデザインは,危険内容の図記号,

及び危険回避の図記号の両方の意味を伝えるために重要である。 

D.2 図記号作成のための指針 

各安全標識,及び安全標識の各図記号は,それぞれの事情に応じて検討されなければならないが,良い

図記号のデザインのための幾つかの一般的な指針が,次によって明確に表現されるであろう。 

− 抽象的な記号よりも具象的な図記号を使用すること。 

− 人体の一部,又は人の全身の図形の,中を塗りつぶした図的表現を使用すること。図記号を完全なも

のにするためには,その存在が必要ではあるが,危険には直接関係がない人を描くときには,輪郭で

表現してもよい。 

− 物体,顔,又は人の全身を表すときには,最も見分けやすい形(一般には正面又は側面から見た状態)

を使用すること。 

− 劇的な動きを描き,かつ,人体又は人体の一部が危険にかかわっていることを示す図記号を使用する

こと。 

− 危険を引き起こす機械の構成要素については,単純化した図的表現を使用すること。塗りつぶしの部

分が人間の図形の見分けを困難にしない限り,危険な機械の構成要素については,中を塗りつぶした

図形を使用すること。危険な場所,又は機械の構成要素を背景として示すためには,機械全体又は機

械の重要な部分の輪郭の図形を使用すること。 

− 特に,危険の性質又は場所が簡単には分からない場合には,危険を明確に描き出すこと。危険又は危

険な状態を一般化した形で描くのは,一般化が可能で,かつ必要な情報を適切に伝達できる場合にだ

けとする。 

− 現実の,又は可能性のある動きを示す必要がある場合には,矢印を使用すること。機械の構成部分の

動きが図記号図形から無条件で分かり,矢印を付ける必要がない場合もある。落下又は飛来する物体,

機械の構成部分の運動の方向,機械全体の運動の方向,圧力又は力の作用,及び危険からの安全距離

の確保のような,異なる種類の動き,又は位置関係を表すために両方向矢印を用いる場合には,矛盾

が生じないようにすること。 

− その禁止記号が,禁止している行動がよく分からない場合,又は禁止記号の意味が明快でない場合に

は,禁止記号(×印,中に斜めの線を引いた丸)の使用を避けること。 

− 血を表すために赤を使用しないこと。 

D.3 人間の図形 

D.3.1 基本的な人間の図形の描き方 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

人間の図形は,図記号の主要な構成要素であることが多く,単純でありながら,それと分かる形で描か

れなければならない。できる限り広範囲に役に立つためには,常に一貫した表現であることが望ましい。

見ればすぐに分かるものであり,また,体のどの部分がかかわっているか,又はどのようにかかわってい

るかが,それを見た人が学習しなくても分かるようなものであることが望ましい。ここに示した人間の図

形は,これらの特定の必要条件を満たすように図案されたものである。したがって,D.3.5に述べる場合を

除いては,変形させたり,寸法の比率を変えたりしないほうがよい。その目的は,その安全標識を見る人

に警告を発し,事故を防止することであって,芸術的表現をすることではない。 

D.3.2 人間の図形の単位方式 

標準となる図記号図形は,同一サイズの正方形,すなわち単位から成る格子方式に基づいて作成される。

人間の全身の図形は,背の高さが12単位,胴の幅が2単位で,直径1.75単位の丸い頭を付ける。図形を

描く場合の単位の正確な寸法を,図D.1に示す。手及び足の先は,半円である。 

図D.1 人間の図形の単位組織 

D.3.3 人間の図形のアニメーション 

図形の関節点を使って図形の動作又は動きを表すことができる。手足が重なることによって手足が短く

見える場合以外は,単位の比率は変わらない。短く見える場合には,手足を0.5単位伸ばしてそれを補正

する。図D.2は,さまざまな体位での人間の図形を示す。図記号の中での人間の図形の配置は,通常,次

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

によって決められる。 

− 危険の性質 

− 危険の方向又は方位 

− 危険に遭遇することになる動き又は位置 

− 危険によって引き起こされる傷害の種類 

− 装置の操作に関連する動き又は位置 

図D.2 人間の図形の作図 

D.3.4 人間の図形の塗りつぶしによる表現と輪郭による表現との比較 

その図記号の主題である潜在的な危険の状態にある人間に,見る人の注意を集中させるには,人間の図

形の塗りつぶしによる表現の方が,同じ人間の図形の線がきよりも効果が大きい。しかし,図記号中に複

数の人間の図形を表す場合には,危険に直接さらされていない人間は,線がきでもよい。例えば,ひかれ

る危険を示す図記号,又は同乗者転落の危険を示す図記号での,機械の運転者の場合。 

次の場合には,人間の図形の線がきを用いてもよい。 

− 危険な状態でのリスクに直接関係のない人を表す場合だけ。 

− 塗りつぶしの人間の図形と組み合わせることによって,その結果,図記号が一層分かりやすくなり,

意志の伝達がよくなる場合だけ。 

図D.3は,塗りつぶし及び線がきの人間の図形の両方を使用している図記号の例を示す。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図D.3 塗りつぶし及び線がきの人間の図形の両方を使用している図記号の例 

D.3.5 静止して,ゆったり立った状態の人間の図形(前方又は後方から見た) 

標準の図記号の人間の図形は,人間が静止して,ゆったり立っている状態を描く場合には,次のように

修正される。“重い(肥えた)患者−医療機械に使用”を表すIECの図記号(IEC 417: 1973の記号番号5391)

は,危険から安全な距離を保たなければならないことを伝える危険回避の図記号(D.8.6参照),及び危険

な場所から離れるべきことを伝える危険回避の図記号(D.9.2参照)の中で,人間の図形として使用される。 

図D.4に,この静止して,ゆったり立った状態の人間の図形を示す。 

図D.4 静止して,ゆったり立った状態の人間の図形(前方又は後方から見た) 

D.3.6 横向きの頭 

頭が危険にかかわる場合には,常に左又は右を向いた横向きの図を使用する。人体の全部又は上半身が

横向きである印象を与えるためにそれを横向きに表現する場合にも,常に横向きの頭を使用することがで

きる。横向きの頭を使用した危険表示図記号の例を,図D.5に示す。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図D.5 横向きの頭を使用した図記号の例 

D.4 上半身 

腕,手又は頭がかかわる危険は,全身よりも上半身を使用するほうが,はるかに生き生きとした表現に

なる。多くの場合に,上半身は横向きで示すとよく,頭も正面のもの,すなわち丸い形よりも横向きのも

のを使用するとよい。横向きで表すと,上半身は,危険を伴う動きの方向を伝えるのに効果的である。手

が危険にかかわる場合,又は手を描くことが見た目を生き生きさせるのに役立つ場合には,D.5.2に示すよ

うに図形に手を追加して描くとよい。 

上半身を使用している危険表示図記号の例を,図D.6に示す。 

図D.6 上半身を使用する図記号の例 

D.5 手 

D.5.1 人間の手及び指の描写 

人間の手は複雑であり,指は多様な動きをするので,手は,その動きを表すのに,最も難しい図記号要

素の一つである。図D.7に示すデザインは,見分けやすい図形にするために,姿・形の単純化に十分な注

意を払ったものである。手のひらの全体図では,指は,通常の位置とし,手全体の図形では,指を広げて

もよい。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図D.7 手−手のひら全体図 

D.5.2 人間の図形への手の追加 

危険が手又は腕にかかわる場合には,手の図記号要素を見分ける度合を増大するために,図形に手を描

き加える。2種類の基本的な手の状態を図D.8に示す。 

− 状態Aは,腕と同じ軸上に親指を伸ばした状想を示す。 

− 状態Bは,手首の関節のところで,手を幾らか回した状態を示す。 

図D.8 人間の図形への手の追加 

AとBとのどちらの状態を選ぶかは,危険に対するかかわり方をどちらがよく表すかの判断に基づ

くとよい。デザインの一貫性を保つために,危険にかかわるのが一方の腕だけの場合にも,両方の腕

に(両腕が表されるときに)手を描き加える。 

人間の図形に手を描き加えた危険表示図記号の例を,図D.9に示す。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図D.9 人間の図形に手を描き加えた図記号の例 

D.5.3 横から見た手の図形 

横から見た手の図形は,奥行きの感じを伝えるのに最もよく使用され,これによって現実感,生き生き

とした感じ,理解のしやすさが図記号に加わる。実際に,手を遠近法で描かなくても,指の状態によって

三次元的な感じを出すことができる。 

横から見た手の図形は,デザインする際に,人間の図形の最も難しい部分である。図D.10に示す横から

見た手の図形は,図記号において視覚的な一貫性を保つために使用されるデザインの様式を表している。

既存の図形を使用し,必要に応じて手の部分を修正し,又は位置を変えることによって,貴重な時間の節

約ができる。さまざまな指の動きを必要とする状況は,求める状態に最も近い状態の手を選んで,それを

修正して描くことができる。指の処理に注意しなければならない。指は,先細りしているように見えるが,

図形では太さを変えない。指先は,0.25単位の円形にする。横から見た図形では親指のほかに指を3本だ

けとする。 

図D.10 横から見た手の図形を用いた図記号の例 

D.6 足 

D.6.1 足の作図 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図記号で脚の下部又は足を表す場合には,図D.11に示す様式化した靴又はブーツ(をはいた足)を使用

するのがよい。それを右向きにも,左向きにも使うことができる。 

図D.11 足の作図 

D.6.2 人間の図形への足の追加 

足又は脚の下部にかかわる幾つかの危険は,人間の全身の図形を使用することによって,最も効果的に

生き生きと表現され,特に,図形に足を付け加えると,足の図記号要素を見分ける度合が増大することに

なる。このような図記号では,足首の関節のところに,図D.12に示す足を付け加えるとよい。デザインの

一貫性を保つために,それを変えたり変形させたりしないほうがよい。人間の図形に足を付け加えた危険

表示図記号の例を図D.13に示す。 

図D.12 人間の図形への足の追加 

図D.13 足と共に人間の図形を示す図記号の例 

D.7 機械,装置及び構成部分の表現 

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A 8312-1996 (ISO 9244 : 1995) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

D.7.1 一般的に,機械全体又は機械の重要な部分には,輪郭図を使用する。その理由は,大きな面積を黒

く塗りつぶすことによって,機械,又は機械上の危険を発生させる構成部分若しくは装置に関連する,人

間を見分けにくくなるのを避けるためである。このことは,人間の図形が機械の図に接近して描かれる場

合に,特に当てはまる。個々の構成部分の図は,視覚的によく分かり,図として明りょう(瞭)であれば,

輪郭でも,塗りつぶしでも差し支えない。一般に,塗りつぶしは,大きく,かつ堅固に見える。しかし,

多くの場合に,機械の輪郭での表現は,十分に詳細まで描くことができて,実際の構成部分そのもの,及

び危険の性質の存在を一層認識しやすくする。小さな部分の塗りつぶし,又は太い線での輪郭表現は,危

険を引き起こす機械の構成部分又は装置を強調することに役立てることができる。 

D.7.2 図形による危険の記述に,機械全体又は機械の主要構成部分を使用している図記号の例を,図D.14

に示す。図形による危険の記述に,個別の危険を発生させる機械の構成部分を,機械におけるその部分の

配置に関係なしに使用している図記号の例を,図D.15に示す。 

図D.14 機械全体又は危険を発生させる機械の主要構成部分を示す図記号の例 

図D.15 個別の危険を発生させる機械の構成部分を示す図記号の例 

D.8 矢印 

D.8.1 矢印の使用 

基本的な安全標識の情報を伝えるために,図記号には,さまざまな事物,状態,意図を表すための視覚

に訴える記号要素を使用しなければならない。これらの事物,状態,意図の間で重要なことは,飛来又は

落下する物体及びその移動方向,機械の構成部分の動く方向,機械全体の移動方向,圧力又は力の作用,

並びに危険から安全な距離を保つという意図である。図記号による意志伝達のこれらの要素を表すために,

5種類の矢印のデザインが使用される。 

D.8.2 落下又は飛来する物体とその移動方向を表す矢印 

この矢印は,一般に白地に黒の矢印として使用する。矢印は,まっすぐにも,折ることも,曲げること

もできる。矢印の後部は,一つ又は少数の物体が飛来する場合には,実線 (solid) がよく,物体又は小片

が連続して集中的に飛来する場合には,破線 (broken) にするのがよい。矢印の寸法を,図D.16に示す。

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A 8312-1996 (ISO 9244 : 1995) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

この矢印は,通常,その図記号で表す落下物又は飛来物の大きさに応じた大きさにする。落下物又は飛来

物,及びその移動方向を示すためにこの矢印を使用している危険表示図記号の例を,図D.17に示す。 

図D.16 落下物又は飛来物,及びその移動方向を示す矢印 

図D.17 落下物又は飛来物,及びその移動方向を示す矢印を使用した図記号の例 

D.8.3 機械の構成部分の動く方向を表す矢印 

この矢印は,一般に白地に黒の矢印として使用する。矢印は,まっすぐにも,折ることも,曲げること

もできる。矢印の寸法を,図D.18に示す。この矢印は,通常,図D.18に示した実際の大きさどおりで使

用するが,個々の図記号に合うように大きさを変えてもよい。この矢印は,矢先の角度が60°であって,

ISO 4196の移動方向矢印に適合する。機械の構成部分の動く方向を表すために,この矢印を使用した危険

表示図記号の例を,図D.19に示す。図D.18の矢印と,図D.20の矢印との間の目立った違いは,線の太さ

だけであるので,状況によっては,この2種類の矢印がほとんど同一のものに見えることがある。しかし,

可能な限り,機械の構成部分の動く方向を表すためには,図D.18の矢印を使用し,機械全体の移動方向を

表すためには,図D.20の矢印を使用する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図D.18 機械の構成部分の動く方向を表す矢印 

図D.19 機械の構成部分の動く方向を表す矢印を使用した図記号の例 

D.8.4 機械全体の移動方向を表す矢印 

この矢印は,一般に白地に黒の矢印として使用する。矢印は,まっすぐにも,折ることも,曲げること

もできる。矢印の寸法を,図D.20に示す。この矢印は,通常,図D.20に示したものの100%の大きさど

おりで使用するが,個々の図記号に合うように大きさを変えてもよい。この矢印は,矢先の角度が60°で

あって,ISO 4196の移動方向矢印に適合する。機械全体の移動方向を表すために,この矢印を使用してい

る危険表示図記号の例を,図D.21に示す。図D.18の矢印と図D.20の矢印との間の目立った違いは,線の

太さだけであるので,状況によっては,この2種類の矢印がほとんど同一のものに見えることがある。し

かし,可能な限り,機械の構成部分の動く方向を表すためには図D.18の矢印を使用し,機械全体の移動方

向を表すためには図D.20の矢印を使用する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図D.20 機械全体の移動方向を表す矢印 

図D.21 機械全体の移動方向を表す矢印を使用した図記号の例 

D.8.5 圧力又は力の作用を表す矢印 

この矢印は,一般に力又は圧力の出所を表して,黒地に白い矢印を浮き出しとして使用する。力又は圧

力の特定の出所が描かれているときには,白地に黒の矢印を使用してもよい。矢印の寸法を,図D.22に示

す。この矢印は,通常は,図D.22に示したものの100%の大きさどおりで使用するが,個々の図記号に合

うように大きさを変えてもよい。この矢印は,矢先の角度が84°であって,ISO 4196の力の矢印に適合す

る。圧力又は力を表す矢印を使用している危険表示図記号の例を,図D.23に示す。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図D.22 圧力又は力の作用を表す矢印 

図D.23 圧力又は力の作用を表す矢印を使用した図記号の例 

D.8.6 危険から安全な距離を保つ意図を表す矢印 

この矢印は,一般に,危険回避の図記号に,白地に黒の矢印(文章がある安全標識に)又は黄色地に黒

の矢印(文章がない安全標識に)として使用する。矢印の寸法を,図D.24に示す。この矢印は,通常,図

D.24に示した実際の大きさの60%で使用するが,個々の図記号に合うように大きさを変えてもよい。この

矢印は,二つの矢印がその軸部でつながっていること以外は,人々に教示を与える一般情報用図記号とし

てのISO 4196の動きの方向の矢印に適合する。危険から安全な距離を保つ意図を表すためにこの矢印を使

用している図記号の例を,図D.25に示す。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図D.24 危険から安全な距離を保つ意図を表す矢印 

図D.25 危険から安全な距離を保つ意図を表す矢印を使用した図記号の例 

D.9 禁止された行動又は危険な場所の告知 

D.9.1 危険回避の図記号は,ある行為が禁止されていること,又は特定の場所に人が立ち入ると危険であ

ることを知らせるものであることが多い。一般に,危険な場所を知らせるためには,赤のばつ印×を使用

する。禁止された行動を知らせるためには,赤の×か,又は赤で斜線が入った丸を使用する。一般には,

赤の×が好ましい。これらの図記号要素を図D.26に示す。×又はの大きさは,それぞれの図記号での使

い方によって決まる。容易に見分けられるだけの十分な大きさであることが大切であるが,図記号の重要

な部分を分かりにくくしないように注意しなければならない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図D.26 禁止された行動又は危険な場所の告知のための 

赤で斜線が入った丸及び赤のばつ印 

D.9.2 禁止された行動又は危険な場所の告知のために赤のばつ印を使用する場合 

赤の×は,禁止された行動をしている人間の図形,又は危険な場所にいる人間の図形の上に重ねる。赤

の×は,描かれた行動が禁止されている,又は示された場所が危険であって避けなければならないという

否定的な伝言を伝えるものである。斜めに交差する線は,互いに垂直で,かつ,図記号の枠に対して45°

にする。禁止された行動又は危険な場所を知らせるために,赤の×を使用している危険表示図記号の例を,

図D.27に示す。 

図D.27 禁止された行動又は危険な場所の告知のために赤のばつ印を使用した図記号の例 

D.9.3 禁止された行動の告知のために赤で斜線が入った丸を使用する場合 

赤のは,禁止された行動を表す図記号の図形に重ねる。このは,描かれた行動が禁止されていると

いう否定的な伝言を伝えるものである。斜線は,常に円の左上部から右下部に向かって引く。水平に対し

て45°にするのが標準であるが,図記号の重要な情報を分かりにくくすることを避けるために,傾きを若

干加減してもよい。その図記号の意味が明確であるときにだけ,を使用する。禁止された行動を知らせ

るために赤のを使用している危険表示図記号の例を,図D.28に示す。 

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A 8312-1996 (ISO 9244 : 1995) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図D.28 禁止された行動の告知のために赤で 

斜線が入った丸を使用した図記号の例 

40 

A 8312-1996 (ISO 9244 : 1995) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書E 参考文献 

(参考) 

(1) ISO 3461-1 : 1988 General principles for the creation of graphical symbols−Part 1 : Graphical symbols for 

use on equipment 

(2) ISO 3864 : 1984 Safety colours and safety signs 

(3) ISO 4196 : 1984 Graphical symbols−Use of arrows 

(4) ISO 7000 : 1989 Graphical symbols for use on equipment−Index and synopsis 

(5) IEC 417 : 1973 Graphical symbols for use on equipment−Index, survey and compilation ofthe single sheets, 

and its supplements 

(IEC 417A : 1974, IEC 417B : 1975, IEC 417C : 1977, IEC 417D : 1978, IEC 417E : 1980, IEC 417F : 

1982, IEC 417G : 1985, IEC 417H : 1987, IEC 417J : 1990, IEC 417K : 1991, IEC 417L : 1993, IEC 417M : 

1994) 

JIS原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

藤 本 義 二 

株式会社エミック 

藤 野 達 夫 

通商産業省機械情報産業局 

天 野   徹 

工業技術院標準部 

高 橋   元 

労働省労働基準局安全衛生部 

高 田 邦 彦 

建設省建設経済局建設機械課 

吉 田   正 

建設省土木研究所材料施工部 

津 村 勝 之 

建設省建設大学校建設部 

永 盛 峰 雄 

千葉工業大学 

杉 山 庸 夫 

社団法人日本建設機械化協会 

大 橋 秀 夫 

社団法人日本建設機械化協会 

今 井 俊 行 

住友建機株式会社設計開発室 

吉 田 正 和 

株式会社小松製作所技術本部 

吉 田 雄 彦 

三菱重工業株式会社相模原製作所 

小 栗 匡 一 

新キャタピラー三菱株式会社技術部 

穴 見 悠 一 

小松メック株式会社技術管理室 

矢 仲 哲太郎 

株式会社神戸製作所建設・汎用機械本部 

渡 辺   正 

日立建機株式会社品質保証本部 

北 崎   誠 

東洋運搬機株式会社竜ケ崎工場 

杉 山   篤 

水資源開発公団第一工務部 

小 室 一 夫 

西松建設株式会社平塚製作所 

根 尾 紘 一 

株式会社熊谷組工事総合本部機材部 

水 口   弘 

株式会社大林組東京本社機械部 

山 岸 宏 充 

大成建設株式会社機械部 

木 村 隆 一 

鹿島建設株式会社土木技術本部 

後 町 知 宏 

日本鋪道株式会社総合技術本部 

野 村 昌 弘 

国土開発工業株式会社 

(事務局) 

川 合 雄 二 

社団法人日本建設機械化協会