A 5759:2016
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 フィルムの種類及び記号 ···································································································· 3
4.1 用途による区分 ············································································································· 3
4.2 性能による区分 ············································································································· 3
5 品質······························································································································· 4
5.1 一般 ···························································································································· 4
5.2 外観 ···························································································································· 4
5.3 寸法 ···························································································································· 4
5.4 性能 ···························································································································· 4
6 試験方法························································································································· 7
6.1 一般事項 ······················································································································ 7
6.2 外観試験 ······················································································································ 7
6.3 寸法試験 ······················································································································ 7
6.4 可視光線透過率試験 ······································································································· 8
6.5 遮蔽係数及び日射熱取得率の算出······················································································ 9
6.6 熱貫流率の算出 ············································································································ 10
6.7 紫外線透過率試験 ········································································································· 10
6.8 引張強さ及び伸び試験 ··································································································· 11
6.9 粘着力試験 ·················································································································· 11
6.10 耐候性試験 ················································································································· 12
6.11 ショットバッグ試験 ····································································································· 14
6.12 層間変位試験 ·············································································································· 16
6.13 ガラス貫通防止性能試験 ······························································································· 17
7 検査······························································································································ 18
8 表示······························································································································ 19
附属書A(参考)可視光線反射率の測定方法 ············································································ 22
附属書B(参考)技術上重要な改正に関する新旧対照表 ······························································ 23
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(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,公益社団法人日本
保安用品協会(JSAA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格
を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格
である。これによって,JIS A 5759:2008は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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建築窓ガラス用フィルム
Adhesive films for glazings
序文
この規格は,1982年に制定され,その後6回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は,2008年に
行われたが,その後の使用状況の多様性及び品質向上に対応するために改正した。
なお,対応国際規格は,現時点で制定されていない。また,技術上重要な改正に関する旧規格との対照
を,附属書Bに示す。
1
適用範囲
この規格は,建築物の窓,出入口などのガラスに用いる建築窓ガラス用フィルム(以下,フィルムとい
う。)について規定する。ただし,ガラスには有機ガラスは含まない。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 7503 ダイヤルゲージ
JIS B 7512 鋼製巻尺
JIS B 7516 金属製直尺
JIS B 7721 引張試験機・圧縮試験機−力計測系の校正方法及び検証方法
JIS B 7753 サンシャインカーボンアーク灯式の耐光性試験機及び耐候性試験機
JIS K 6253-2 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方−第2部:国際ゴム硬さ(10 IRHD〜100
IRHD)
JIS R 3106 板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法
JIS R 3202 フロート板ガラス及び磨き板ガラス
JIS Z 0237 粘着テープ・粘着シート試験方法
JIS Z 2245 ロックウェル硬さ試験−試験方法
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
日射
電磁波として太陽から放射されたエネルギーのうち,地上に到達した波長300〜2 500 nmの放射。
2
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3.2
可視光線
視器官を通して,視感覚を起こすことができる波長380〜780 nmの放射。
注記 一般に可視光線の波長範囲の短波長限界は,380〜400 nm,長波長限界は,760〜780 nmである。
3.3
紫外線
日射のうちUVB域(300〜315 nm)及びUVA域(315〜380 nm)の放射。
3.4
透過率
透過光の光束(Φt)と入射光の光束(Φo)との比(Φt / Φo)。量記号はτで,百分率(%)で表す。
なお,透過とは,光がその単色光成分の振動数を変えずに媒質を通過する現象をいう。
3.5
反射率
反射光の光束(Φr)と入射光の光束(Φo)との比(Φr / Φo)。量記号は ρ で,百分率(%)で表す。
なお,反射とは,光が媒質の境界面に入るとき,その単色光成分が戻る現象をいう。
3.6
垂直放射率
フィルム面又はガラス面の283 Kの熱放射に対する正反射率を1から引いた値。
3.7
修正放射率
垂直放射率の測定値に修正係数を乗じて換算した放射率。
3.8
遮蔽係数
フィルムを貼り付けた厚さの呼び3ミリの板ガラスに入射した日射が,一度吸収された後に入射面の反
対側に再放射される分も含んで通過する率(透過分と再放射分との和)を,板ガラスだけの場合の率を1
として表した係数。
3.9
日射熱取得率
フィルムを貼り付けた厚さの呼び3ミリの板ガラスに入射した日射が,一度吸収された後に入射面の反
対側に再放射される分も含んで通過する率(透過分と再放射分との和)。
3.10
熱貫流率
フィルムを貼り付けた厚さの呼び3ミリの板ガラスについて,その両側の空気温度差が1 ℃のとき,面
積1 m2当たり単位時間に通過する熱量。
3.11
板ガラス
JIS R 3202に規定するフロート板ガラス。
3.12
衝撃破壊
日常生活において人体の衝突などによって生じる面外衝撃でのガラスの破壊。
3
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3.13
層間変位破壊
地震などの水平外力によって建築物に層間変形が生じた際のガラスの面内せん断破壊。
4
フィルムの種類及び記号
4.1
用途による区分
フィルムの種類及び記号は,用途によって区分し,表1による。
表1−用途による区分
種類
記号
内貼り用a)
外貼り用a)
日射調整フィルム
SC-1
SC-2
低放射フィルム
LE
−
衝撃破壊対応ガラス飛散防止フィルム
GI-1
GI-2
層間変位破壊対応ガラス飛散防止フィルム
GD-1
GD-2
ガラス貫通防止フィルム
SF
−
注a) ガラスの屋内側に貼り付けるフィルムを内貼り用,ガラスの屋外側に貼り
付けるフィルムを外貼り用とする。
4.2
性能による区分
4.1の用途によって区分した日射調整フィルム,低放射フィルム及びガラス貫通防止フィルムは,性能に
よってa)〜c) のとおり区分する。
なお,日射調整・低放射,日射調整・ガラス貫通防止,日射調整・低放射・衝撃破壊対応ガラス飛散防
止など複数の用途に対応するフィルムについては,これらの記号を併記する[箇条8のb) 参照]。
a) 日射調整フィルム 日射調整フィルムは,可視光線透過率及び遮蔽係数(日射熱取得率)によって区
分し,表2による。
表2−日射遮蔽性能による区分
可視光線透過率 %
遮蔽係数(日射熱取得率)
記号
60未満
0.40未満 (0.35未満)
A
0.40以上 0.60未満 (0.35以上 0.53未満)
B
0.60以上 0.85以下 (0.53以上 0.75以下)
C
60以上
0.60未満 (0.53未満)
D
0.60以上 0.85以下 (0.53以上 0.75以下)
E
b) 低放射フィルム 低放射フィルムは,可視光線透過率及び熱貫流率によって区分し,表3による。
4
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表3−熱貫流率による区分
可視光線透過率 %
熱貫流率 W/(m2・K)
記号
60未満
4.2以下
A
4.2を超え4.8以下
B
60以上
4.2以下
C
4.2を超え4.8以下
D
c) ガラス貫通防止フィルム ガラス貫通防止フィルムは,ガラスの貫通防止性能によって区分し,表4
による。
表4−ガラスの貫通防止性能による区分
ガラスの貫通防止性能
記号
鋼球落下試験Aに適合するもの
A
鋼球落下試験Bに適合するもの
B
5
品質
5.1
一般
フィルムは,透明性,均一性,強じん性,可とう(撓)性及び温湿度の変化による寸法の安定性をもつ
ほか,次による。
a) フィルムは,ガラスを汚損又は腐食してはならない。
b) フィルムは,ガラスに均一に接着し,かつ,必要に応じて剝がすことができなければならない。
c) フィルムは,貼付けの作業性が良好でなければならない。
5.2
外観
外観は,6.2によって試験したとき,フィルム透視に差し支えるような汚れ,泡,脈理,きず,異物など
があってはならない。
5.3
寸法
寸法は6.3によって試験したとき,表示寸法に対するフィルムの厚さ,幅及び長さの許容差は,表5に
よる。
表5−フィルムの表示寸法に対する許容差
厚さ
幅
長さ
±10 %
+5 mm
0 mm
マイナスを認めない
5.4
性能
フィルムの種類ごとに要求される性能は,表6及び次のa)〜j) による。
なお,日射調整・低放射,日射調整・ガラス貫通防止,日射調整・低放射・衝撃破壊対応ガラス飛散防
止など複数の用途に対応するフィルムについては,それぞれ要求される全ての性能を満たさなければなら
ない。
5
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表6−フィルムの種類及び性能項目
性能項目
種類
日射調整
フィルム
低放射
フィルム
衝撃
破壊対応
ガラス
飛散防止
フィルム
層間変位
破壊対応
ガラス
飛散防止
フィルム
ガラス
貫通防止
フィルム
可視光線透過率a)
○
○
−
−
−
遮蔽係数
○
−
−
−
−
熱貫流率
−
○
−
−
−
紫外線透過率
○
−
−
−
−
引張強さ
○
○
○
○
○
伸び
○
○
○
○
○
粘着力
○
○
○
○
○
耐候性
○
○
○
○
○
衝撃破壊対応ガラス飛散防止性能
−
−
○
−
−
層間変位破壊対応ガラス飛散防止性能
−
−
−
○
−
ガラス貫通防止性能
−
−
−
−
○
注記 ○印は,フィルムの種類ごとに要求される性能を示す。
注a) 可視光線反射率については参考とする。
a) 可視光線透過率 日射調整フィルム及び低放射フィルムの可視光線透過率は,6.4によって試験を行
う。
なお,フィルムを貼り付けた窓ガラスの可視光線反射率が必要な場合,附属書Aによって測定する。
b) 遮蔽係数 日射調整フィルムの遮蔽係数は,6.5によって試験したとき,表2の性能に適合しなければ
ならない。
c) 熱貫流率 低放射フィルムの熱貫流率は,6.6によって試験したとき,表3の性能に適合しなければな
らない。
d) 紫外線透過率 日射調整フィルムの紫外線透過率は,6.7によって試験したとき,3 %以下でなければ
ならない。
e) 引張強さ及び伸び フィルムの引張強さ及び伸びは,6.8によって試験したとき,表7の性能に適合し
なければならない。
表7−フィルムの引張強さ及び伸び
性能項目
種類
日射調整
フィルム
低放射
フィルム
衝撃破壊対応
ガラス飛散
防止フィルム
層間変位
破壊対応
ガラス飛散
防止フィルム
ガラス貫通
防止フィルム
引張強さ N
50以上
50以上
100以上
100以上
800以上
伸び %
60以上
60以上
60以上
60以上
60以上
注記 試験片の幅は25 mmである。
f)
粘着力 フィルムの粘着力は,6.9によって試験したとき,表8の性能に適合しなければならない。
6
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表8−フィルムの粘着力
性能項目
種類
日射調整
フィルム
低放射
フィルム
衝撃破壊対応
ガラス飛散
防止フィルム
層間変位
破壊対応
ガラス飛散
防止フィルム
ガラス貫通
防止フィルム
粘着力 N
2以上
2以上
4以上
4以上
8以上
注記 試験片の幅は25 mmである。
g) 耐候性 フィルムの耐候性は,6.10によって試験したとき,フィルムの種類ごとに要求し,次に適合
しなければならない。ただし,フィルムの種類ごとに要求される耐候性試験時間及び試験項目は,表
9による。また,複数の用途に対応するフィルムの粘着力は,要求される性能の最も高い値を満足し
なければならない。
1) フィルムの外観は,膨れ,ひび割れ,端の剝がれなどの異常があってはならない。
2) 日射調整フィルムの遮蔽係数は,耐候性試験前の性能値に対し,その変化が±0.10の範囲とする。
ただし,記号C及び記号Eの遮蔽係数は,0.85以下でなければならない。
3) 低放射フィルムの熱貫流率は,耐候性試験前の性能値に対し,その変化が±0.4 W/(m2・K) の範囲と
する。ただし,記号B及び記号Dの熱貫流率は,4.8 W/(m2・K) 以下でなければならない。
4) フィルムの粘着力は,表8の性能に適合しなければならない。
表9−フィルムの耐候性
性能項目
種類
日射調整フィルム
低放射
フィルム
衝撃破壊対応
ガラス飛散
防止フィルム
層間変位破壊対応
ガラス飛散
防止フィルム
ガラス
貫通防止
フィルム
内貼り用
外貼り用
内貼り用
内貼り用
外貼り用
内貼り用
外貼り用
内貼り用
試験時間(h)
1 000
500
1 000
2 000
1 000
2 000
1 000
2 000
外観試験
○
○
○
○
○
○
○
○
遮蔽係数
○
○
−
−
−
−
−
−
熱貫流率
−
−
○
−
−
−
−
−
粘着力
○
○
○
○
○
○
○
○
注記 ○印は,フィルムの種類ごとに要求される性能試験項目を示す。
h) 衝撃破壊対応ガラス飛散防止性能 衝撃破壊対応ガラス飛散防止性能は,6.11によって試験したとき,
4枚とも次の1) 又は2) のいずれかに適合しなければならない。
1) ガラスが破壊した場合,飛散したガラスの大きな破片を10個選び出し,その総質量が80 g以下で
あり,かつ,最大破片の1個の質量が55 g以下とする。
2) 落下高さ450 mmの加撃を合計10回繰り返してもガラスが破壊しない。
i)
層間変位破壊対応ガラス飛散防止性能 層間変位破壊対応ガラス飛散防止性能は,6.12によって試験
したとき,その飛散防止率は,95 %以上でなければならない。
j)
ガラス貫通防止性能 ガラス貫通防止性能は,次のいずれかを満たさなければならない。
1) 鋼球落下試験Aによる性能 6.13によって試験したとき,鋼球がガラスを貫通しなかった落下高さ
が3枚とも3 000±50 mmとする。
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2) 鋼球落下試験Bによる性能 6.13によって試験したとき,鋼球がガラスを貫通しなかった落下高さ
が3枚とも1 500±50 mmとする。
6
試験方法
6.1
一般事項
6.1.1
試験条件
試験環境は,温度23±2 ℃,相対湿度(50±5)%とする。ただし,ショットバッグ試験,層間変位試験
及びガラス貫通防止性能試験の試験環境は,温度20±15 ℃,相対湿度(65±20)%としてもよい。
6.1.2
試験片の作製
試験片は,各試験ともフィルムのロール方向とその試験片の長さ方向とを合わせて作製する。
6.1.3
試験結果の数値の丸め方
各試験によって得られた試験結果は,四捨五入によって表10の桁数で丸めて報告する。
表10−試験結果の数値の丸め方
試験項目
桁数
試験箇条
厚さ
整数位
6.3(6.3.1)
幅
整数位
6.3(6.3.2)
長さ
小数点以下1桁
6.3(6.3.3)
可視光線透過率
小数点以下1桁
6.4
日射透過率
小数点以下1桁
6.5[6.5.2 a)]
日射反射率
小数点以下1桁
6.5[6.5.2 b)]
垂直放射率
小数点以下2桁
6.5[6.5.2 c)]
修正放射率
小数点以下3桁
6.5[6.5.2 d)]
遮蔽係数
小数点以下2桁
6.5[6.5.2 e)]
日射熱取得率
小数点以下2桁
6.5[6.5.2 f)]
熱貫流率
小数点以下1桁
6.6
紫外線透過率
小数点以下1桁
6.7
引張強さ
整数位
6.8
伸び
整数位
6.8
粘着力
整数位
6.9
ショットバッグ試験
小数点以下1桁
6.11
層間変位試験
小数点以下1桁
6.12
6.2
外観試験
6.2.1
試験片
試験片は,フィルムを製品幅でロール方向に長さ約1 mに切断したものとする。試験片の個数は,1枚
とする。
6.2.2
試験方法
試験は,試験片付近の照度が600 lx以上となるように長さ120 cm,40 Wの白色蛍光灯又は同等品で照
らして行う。また,試験片の背景は無彩色とし,試験片を約90 cmの距離から目視し,フィルムの汚れ,
泡,脈理,きず,異物などの有無を調べる。
6.3
寸法試験
6.3.1
厚さの測定
8
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厚さの測定は,次による。
a) 試験片 フィルムを製品幅でロール方向に長さ50 mmに切り取ったものとする。試験片の個数は,1
枚とする。
b) 測定方法 JIS B 7503に規定する0.001 mm目盛のダイヤルケージを用いて行う。試験片から剝離フィ
ルムを剝がし,幅方向にほぼ等間隔に3か所を決めて測定し,その平均値を求める。測定単位は,1 μm
とする。
6.3.2
幅の測定
幅の測定は,次による。
a) 試験片 フィルムを製品幅でロール方向に長さ約40 cmに切り取ったものとする。試験片の個数は,1
枚とする。
b) 測定方法 幅の測定には,JIS B 7512に規定する鋼製巻尺,又はJIS B 7516に規定する金属製直尺を
用いる。試験片の長さ方向にほぼ等間隔で3か所を測定する。
なお,ロール状で測定する場合は,円周方向にほぼ120°の等間隔に3か所を測定する。結果は3
か所の測定点の平均値を求め,測定単位は,1 mmとする。
6.3.3
長さの測定
長さの測定は,次による。
a) 試験片 製品全長とする。試験片の個数は,1枚とする。
なお,製品製造時に発生する製品全長と対となる,同じ長さの端材を使用してもよい。
b) 測定方法 長さの測定には,JIS B 7512に規定する鋼製巻尺,又はJIS B 7516に規定する金属製直尺
を用いる。試験片は全長を巻き戻して測定する。ただし,全長を連続巻き戻しが困難な場合は,適切
な長さに切断し各切断片の長さを測定し,加算して全長としてもよい。測定単位は,0.1 mとする。
6.4
可視光線透過率試験
6.4.1
試験片
試験片は,厚さの呼び3ミリの板ガラスにこれと同じ寸法のフィルムを気泡が入らないように均一に貼
り付けて作製し,6.1.1の試験環境に24時間以上静置する。試験に用いる板ガラスはあらかじめ水洗いし,
ペーパータオルなどで水滴を拭き取り,アルコールで脱脂したものを使用する。試験片の個数は,1枚と
する。
なお,試験片の大きさは,6.4.2で用いる分光光度計に適した寸法とする。
6.4.2
試験方法
可視光線透過率は,JIS R 3106の4.3.1(分光測光器)に規定する分光光度計を用いて測定する。測定は,
内貼り用フィルムの場合は試験片のガラス面を光源に向けて,外貼り用フィルムの場合は試験片のフィル
ム面を光源に向けて行う。表12に規定する380〜780 nmの各波長の分光透過率[τ (λ)]を測定し,CIE昼
光D65の分光分布(Dλ),CIE明順応標準比視感度の波長分布[V(λ)]及び波長間隔(Δλ)から得られる重
価係数[DλV(λ)Δλ]を乗じて加重平均する式(1)によって可視光線透過率(τv)を求める。式(1)のDλV(λ)Δλ は,
表12に規定する数値を用いる。
()
()
()
∑
∑
=
780
380
780
380
v
λ
λ
λ
λ
λ
τ
τ
λ
λ
Δ
V
D
Δ
V
D
······························································ (1)
ここに,
τv: 可視光線透過率(%)
τ (λ): 分光透過率(%)
9
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DλV(λ)Δλ: 可視光線に対する重価係数
6.5
遮蔽係数及び日射熱取得率の算出
6.5.1
試験片
試験片は,6.4.1によって作製する。試験片の個数は,1枚とする。
なお,6.4に使用した試験片をそのまま用いてもよい。その場合,6.1.1の試験環境に24時間以上再び静
置しなくてよい。
6.5.2
算出方法
算出方法は,次による。
a) 日射透過率の測定 日射透過率は,JIS R 3106の4.3.1に規定する分光光度計を用いて測定する。測定
は,内貼り用フィルムの場合は試験片のガラス面を光源に向けて,外貼り用フィルムの場合は試験片
のフィルム面を光源に向けて行う。表13に規定する300〜2 500 nmの各波長の分光透過率[τ (λ)]を
測定し,日射の相対分光分布(Eλ),波長間隔(Δλ)から得られる重価係数(Eλ Δλ)を乗じて加重平
均する式(2)によって日射透過率(τe)を求める。式(2)のEλ Δλ は,表13に規定する数値を用いる。
()
∑
∑
=
500
2
300
500
2
300
e
λ
λ
λ
τ
τ
λ
λ
Δ
E
Δ
E
·································································· (2)
ここに,
τe: 日射透過率(%)
τ (λ): 分光透過率(%)
Eλ Δλ: 日射に対する重価係数
b) 日射反射率の測定 日射反射率は,JIS R 3106の4.3.1に規定する分光光度計を用いて測定する。試験
片は10°以下に傾けて取り付け,正反射光を積分球に捕らえるようにする。測定は,内貼り用フィル
ムの場合は試験片のガラス面を光源に向けて,外貼り用フィルムの場合は試験片のフィルム面を光源
に向けて行う。表13に規定する300〜2 500 nmの各波長の分光反射率[ρ (λ)]を測定し,日射の相対
分光分布(Eλ),波長間隔(Δλ)から得られる重価係数(Eλ Δλ)を乗じて加重平均する式(3)によって
日射反射率(ρe)を求める。式(3)のEλ Δλ は,表13に規定する数値を用いる。
()
∑
∑
=
500
2
300
500
2
300
e
λ
λ
λ
ρ
ρ
λ
λ
Δ
E
Δ
E
································································· (3)
ここに,
ρe: 日射反射率(%)
ρ (λ): 分光反射率(%)
Eλ Δλ: 日射に対する重価係数
c) 垂直放射率の測定 垂直放射率(εn)は,JIS R 3106の7.(常温の熱放射の放射率の算定)の方法に
よって室内側表面の値及び室外側表面の値を求める。
d) 修正放射率の算出 修正放射率は,c) によって求められる垂直放射率(εn)に表15に規定する係数
(ε/εn)を乗じることによって室内側表面の値(εi)及び室外側表面の値(εe)を求める。表15に示さ
れる以外の垂直放射率(εn)における係数(ε/εn)は,直線内挿又は外挿によって求める。
なお,簡易形の修正放射率計を用いて測定してもよいが,その場合は使用の都度,校正して用いる。
e) 遮蔽係数の算出 遮蔽係数は,a) によって求められる日射透過率(τe),b) によって求められる日射
反射率(ρe)及びd) によって求められる修正放射率の室内側表面の値(εi)及び室外側表面の値(εe)
を用いて,式(4)によって求める。
10
A 5759:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(
)
88
100
e
e
i
e
ρ
τ
τ
−
−
+
=
N
S
······························································ (4)
ここに,
S: 遮蔽係数
τe: 日射透過率(%)
Ni: 試験片に吸収される日射熱が室内へ伝達される割合
ρe: 日射反射率(%)
ただし,式(4)のNiは,式(5)による。
(
)(
)2.
12
5.6
9.3
3.6
9.3
3.6
e
i
i
i
+
+
+
+
=
ε
ε
ε
N
······················································ (5)
ここに,
Ni: 試験片に吸収される日射熱が室内へ伝達される割合
εi: 室内側表面の修正放射率
εe: 室外側表面の修正放射率
f)
日射熱取得率の算出 日射熱取得率は,式(6)によって求める。
S
88
.0
=
η
················································································· (6)
ここに,
η: 日射熱取得率
S: 遮蔽係数
6.6
熱貫流率の算出
熱貫流率は,6.5.2 d) で求めた修正放射率の室内側表面の値(εi)及び室外側表面の値(εe)を用い,熱
貫流率(U)を式(7)によって求める。
1.4
4.5
1
003
.0
3.
16
9.4
1
1
i
e
+
+
+
+
=
ε
ε
U
··············································· (7)
ここに,
U: 熱貫流率(W/m2・K)
εi: 室内側表面の修正放射率
εe: 室外側表面の修正放射率
6.7
紫外線透過率試験
6.7.1
試験片
試験片は,6.4.1によって作製する。試験片の個数は,1枚とする。
なお,6.4に使用した試験片をそのまま用いてもよい。その場合,6.1.1の試験環境に24時間以上再び静
置しなくてよい。
6.7.2
試験方法
紫外線透過率は,JIS R 3106の4.3.1に規定する分光光度計を用いて測定する。測定は,内貼り用フィル
ムの場合は試験片のガラス面を光源に向けて,外貼り用フィルムの場合は試験片のフィルム面を光源に向
けて行う。表14に規定する300〜380 nmの各波長の分光透過率[τ (λ)]を測定し,紫外線の相対分光分布
(Uλ),波長間隔(Δλ)から得られる重価係数(Uλ Δλ)を乗じて加重平均する式(8)によって紫外線透過率
(τUV)を求める。式(8)中のUλ Δλ は,表14に規定する数値を用いる。
()
∑
∑
=
380
300
380
300
UV
λ
λ
λ
τ
τ
λ
λ
Δ
U
Δ
U
································································ (8)
ここに,
τUV: 紫外線透過率(%)
τ (λ): 分光透過率(%)
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Uλ Δλ: 紫外線に対する重価係数
6.8
引張強さ及び伸び試験
6.8.1
試験片
試験片は,フィルムから幅25 mm,長さ150 mmを切り取ったものとし,6.1.1の試験環境に24時間以
上静置する。試験片の個数は,3枚とする。
6.8.2
試験装置
試験装置は,JIS B 7721に規定する引張試験機とする。
なお,試験機の容量は,測定値がその15〜85 %の範囲に入るものとする。
6.8.3
試験方法
引張試験機のつかみ間隔を100 mm又は試験片の標線間隔を50 mmとする。試験片から剝離フィルムを
剝がし,これを引張試験機にかけ,毎分300±30 mmの速度で引っ張り,試験片が切断するまでの荷重及
び伸びを測定する。このとき,つかみの部分又は標線間以外で切れた場合は,再び測定する。
引張強さは式(9),伸びは式(10)によって算出し,試験片3枚の測定値の平均値を求める。
P
T=
····················································································· (9)
ここに,
T: 引張強さ(N)
P: 切断するまでの最大荷重(N)
100
0
0×
−
=ll
l
E
········································································ (10)
ここに,
E: 伸び(%)
l0: つかみ間隔又は標線間隔(mm)
l: 切断時のつかみ間隔又は標線間隔(mm)
6.9
粘着力試験
6.9.1
試験片
試験片は,幅25 mm×長さ250 mmに切り取ったフィルムの幅方向の中心を,幅50 mm×長さ125 mm
の厚さの呼び3ミリの板ガラスの幅方向の中心に,端部を重ねて貼り付け,6.1.1の試験環境に24時間以
上静置する。フィルムの貼付けは,剝離フィルムを剝がし,その一端を板ガラスの端にそろえ,フィルム
の上からJIS Z 0237に規定する圧着ローラを用いて毎分約300 mmの速さで1往復させて圧着する。この
とき,フィルム及び板ガラスの間に気泡が入らないようにする。また,フィルムの遊びの部分の粘着剤面
には,剝がした剝離フィルムなどを貼る。試験片の個数は,3枚とする。試験に用いる板ガラスは,あら
かじめ水洗いし,ペーパータオルなどで水滴を拭き取り,アルコールで脱脂したものを使用する。
6.9.2
試験装置
試験装置は,6.8.2のものを用いる。
6.9.3
試験方法
日射調整フィルム,低放射フィルム,衝撃破壊対応ガラス飛散防止フィルム及び層間変位破壊対応ガラ
ス飛散防止フィルムの場合は,180度引き剝がし試験,ガラス貫通防止フィルムの場合は,90度引き剝が
し試験とし,次による。
a) 180度引き剝がし試験 試験片の遊び部分を180度に折り返し,約25 mm剝がした後,フィルム(遊
び部分)を上部チャックに,板ガラスは下部チャックに挟む。次に,引張速度毎分300±30 mmで引
き剝がし,20 mm間隔で4点の荷重を測定する。粘着力は,4点の測定荷重の平均値とする。試験結
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果は,3枚の試験片の平均値とする。
b) 90度引き剝がし試験 試験片の遊び部分を90度折り返し,約25 mm剝がした後,フィルム(遊び部
分)を上部チャックに,板ガラスは引張試験機の下部つかみに水平に取り付けたジグに挿入する。次
に,引張速度毎分300±30 mmで引き剝がし,20 mm間隔で4点の荷重を測定する。粘着力は,180
度引き剝がし試験と同様に求める。
6.10
耐候性試験
6.10.1
試験片
試験片は,幅50 mm×長さ250 mmに切り取ったフィルムを,幅50 mm×長さ125 mmの厚さの呼び3
ミリの板ガラスに幅方向の一方の端部を重ねて貼り付け,6.1.1の試験環境に4日以上静置する。フィルム
の貼付けは,6.9.1と同様に行う。フィルムの遊びの部分の粘着剤面に,剝がした剝離フィルムを貼り,更
にアルミニウムはく(箔)などで保護する。試験片の個数は,3枚とする。ただし,板ガラスは,あらか
じめ水洗いし,ペーパータオルなどで水滴を拭き取り,アルコールで脱脂したものとする。
なお,遮蔽係数及び熱貫流率の測定に用いる試験片は,6.5の測定方法に用いる機器に適した寸法で別に
作製してもよい。試験片の個数は,3枚とする。
6.10.2
試験方法
試験方法は,JIS B 7753に規定するサンシャインカーボンアーク灯式の耐候性試験機を用いて,表11に
示す試験条件で,耐候性試験を行う。試験時間は,表9による。
なお,内貼り用フィルムの場合は試験片のガラス面を光源に向けて,外貼り用フィルムの場合は試験片
のフィルム面を光源に向けて試験するものとする。規定の試験時間後,試験片を6.1.1の試験環境に24時
間以上静置する。この試験片について次の試験を行う。
a) 目視によって,フィルムの膨れ,ひび割れ,端の剝がれなど異常の有無を調べる。
b) 遮蔽係数は,6.5.2 e) によって求める。試験結果は,3枚の試験片の平均値とする。
c) 熱貫流率は,6.6によって求める。試験結果は,3枚の試験片の平均値とする。
d) 粘着力は,試験片のフィルムを板ガラスの中心部で幅25 mm×長さ250 mmに切断し,6.9によって求
める。
表11−サンシャインカーボンアーク灯式の耐候性試験条件
項目
条件
光源
サンシャインカーボンアーク灯1灯
光フィルター
分光透過率 275 nmで2 %以下
400 nmで90 %以上
電源電圧
交流 200±20 V
照射時の条件
平均放電電圧電流
ブラックパネル温度計の示す温度a)
相対湿度
試験片表面の放射照度
50±1 V,60±1.2 A
63±3 ℃
(50±5)%
255±25.5 W/m2(300〜700 nmにおいて)
水の噴射
120分照射中に,18分間水噴射を行う。
試験片への光照射条件
内貼り用フィルムの場合は,ガラス面を光源に向けて取り付
け,外貼り用フィルムの場合は,フィルム面を光源に向けて取
り付ける(図1及び図2参照)。
13
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表11−サンシャインカーボンアーク灯式の耐候性試験条件(続き)
項目
条件
水噴射の方法
内貼り用フィルムの場合は,光照射面であるガラス面に噴射
し,外貼り用フィルムの場合は,光照射面であるフィルム面に
噴射する。
注a) ブラックパネル温度計は,図3に示すように,その塗装面を直接光源に向けて取り付ける。
図1−試験片への光照射方法の例
(内貼り用フィルムの場合)
図2−試験片への光照射方法の例
(外貼り用フィルムの場合)
図3−ブラックパネル温度計の例
14
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6.11
ショットバッグ試験
6.11.1
試験片
試験片は,幅840 mm×長さ1 906 mmに切り取ったフィルムを,幅864 mm×長さ1 930 mmの厚さの呼
び5ミリの板ガラスに中心を合わせて貼り付け,6.1.1の試験環境に4日以上静置する。フィルムの貼付け
は,板ガラスを水などを用いて洗浄後スキージーなどで,板ガラスとフィルムとの間に気泡,水泡などが
入らないように圧着して行う。試験片の個数は,4枚とする。
6.11.2
試験装置
試験装置は,図4に示す試験台及び図5に示す衝撃体から構成し,次による。
a) 試験台 試験台の主要部分は溝形鋼で,床面にボルトで固定し,かつ,衝撃のときの動揺及びひずみ
を防止するため,背後に支え棒を取り付ける。
試験片を四辺で固定するための木製の締め具は,図6に示す構造とし,試験片との接触部にはクロ
ロプレンゴム(ショア硬度30〜50)を用いる。
b) 衝撃体 衝撃体は,革袋又はゴム袋の中央にボルト(長さ330±12 mm)を挿入し,鉛散弾1) を充塡
した後,袋の上下をボルト締めしたもので,その質量は45±0.1 kgとする。
なお,衝撃体の表面全体を包むように,厚さ0.15 mm,幅12 mmのポリエステル繊維強化粘着テー
プなどを隙間なく巻き付ける。
注1) 直径2.5±0.1 mmのチルド鉛散弾
6.11.3
試験方法
試験は計4枚行い,試験片4枚のうち,2枚はフィルム面側への加撃,別の2枚はガラス面側への加撃
を行う。木製の締め具を用いて試験片を図6のように試験台枠の四辺に固定する。木製の締め具は,ゴム
の厚さが25 %以上潰れないように締め付ける。また,試験片四辺のかかり寸法は10 mmとする。衝撃体
が試験片表面から13 mm以内で,試験片の中心から50 mm以上離れないようにして支点から衝撃体と試
験片が接触する箇所までの距離が1 524 mmになるように径3 mmのワイヤでつるす。次に,衝撃体を試験
片の中心点から落下高さ300 mmの位置に保持した後,振り子式に自由落下させ,中心点を加撃する。
ガラスが破壊した場合,飛散したガラスの大きな破片10個の総質量,及びその10個のうち最大破片1
個の質量を測定し,5.4 h) 1) に規定する衝撃破壊対応ガラス飛散防止性能を満たすかどうかを調べる。
なお,試験片が破壊しない場合は,衝撃体の落下高さを450 mmとして試験し,それでも破壊しない場
合は,落下高さ450 mmの加撃を破壊するまで繰り返す。ただし,加撃は10回を限度とする。
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単位 mm
1 衝撃体つり金具
2 試験台枠
3 A−A断面(図6参照)
4 コンクリート壁など
5 衝撃体つりワイヤ
6 衝撃体(図5参照)
7 試験片
8 落下高さ
9 試験片の水平中心線
10 床面固定試験台(ボルトで緊結)
11 支え棒
(左:正面図 右:側面図)
図4−ショットバッグ試験装置
単位 mm
単位 mm
1 アイナット(ここにワイヤを掛けてつるす。)
2 つりひも(後で取り外す。)
3 クランプ 4 スリーブ
5 ボルト 6 ワッシャ
7 アイナット(ここにワイヤを掛けて引っ張る。)
8 革袋又はゴム袋(鉛散弾を充塡する。)
1 形鋼(試験台枠)
2 試験片(板ガラスの縁から12 mm離してフィルムを貼
り付ける。)
3 締め枠
4 クロロプレンゴム片
5 木材部
6 フィルム
7 金属製など挟み板
図5−衝撃体
図6−図4のA−A断面図
16
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6.12
層間変位試験
6.12.1
試験片
試験片は,幅910 mm×長さ1 215 mmに切り取ったフィルムを,幅914 mm×長さ1 219 mmの厚さの呼
び5ミリの板ガラスに中心を合わせて貼り付け,6.1.1の試験環境に4日以上静置する。フィルムの貼付け
は,板ガラスを水などを用いて洗浄後スキージーなどで,板ガラスとフィルムとの間に気泡,水泡などが
入らないように圧着して行う。試験片の個数は,4枚とする。
6.12.2
試験装置
試験装置は,図7に示すように,四隅をピンで接合する4本の鋼製フレームから構成されている。フレ
ームの両端には,試験片の隅角部に変位及び力を伝達するための幅50 mmの鋼製加圧板を備える。構造は,
上部水平フレームを水平に移動することによって,加圧板を介して試験片に面内せん断変形を加えること
のできるものとする。
なお,試験片を支持するための締め枠は,ゴム片などを裏打ちしたアングルを用い,各フレームにボル
トで固定できるものとする。
6.12.3
試験方法
締め枠を用いて試験片を試験装置の四辺に固定する。また,試験片の各隅角部には,局部破壊を防止す
るため,厚さ1 mmのアルミニウム製緩衝金具を用いて試験片とフレームとの隙間を埋める。試験片に,
図7に示す試験装置を用いて面内せん断変形を加える。加力サイクルは2段階とし,1サイクル目は変形
角0の状態から正方向の変形角が1/60 radになるまで加力した後,変形角が0になるまで減力する。さら
に,負方向の変形角が1/60 radになるまで加力した後,再び変形角が0になるまで減力する。次に,2サ
イクル目は変形角を±1/30 radとして1サイクル目と同様の加力及び減力を行う。
なお,加力及び減力の変形速度は,毎分1/20〜1/7 radとする。
試験終了時,試験片から飛散したガラスの総質量を測定する。ガラス飛散防止率は,式(11)を用いて求
める。
100
1
0
×
−
=
W
W
A
·····································································(11)
ここに,
A: ガラス飛散防止率(%)
W0: 試験前の試験片の質量(g)
W: 試験後の飛散したガラス質量(g)
この試験は,4枚の試験片について行い,ガラス飛散防止率は,その平均値とする。
17
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単位 mm
図7−層間変位試験装置
6.13
ガラス貫通防止性能試験
6.13.1
試験片
試験片は,幅900±5 mm×長さ1 100±5 mmに切り取ったフィルムを,幅及び長さが切り取ったフィル
ムと同寸法の厚さの呼び5ミリの板ガラスに貼り付け,6.1.1の試験環境に30日以上静置する。フィルム
の貼付けは,板ガラスを水などを用いて洗浄後スキージーなどで板ガラスとフィルムとの間に気泡,水泡
などが入らないように圧着して行う。試験片の個数は,3枚とする。
6.13.2
試験装置
試験装置は,次による。
a) 試験台
1) 試験台の枠は,山形鋼で構成する。その厚さは,12 mm以上とする。
2) 試験台は,試験片を水平かつ平行に保持する。
3) 試験片四辺のかかり寸法を,30±5 mmとする。
4) 鋼製受箱には,衝撃体が底に当たったときに,衝撃体にきずが付いたり,跳ね返ったりしないよう
に,衝撃吸収体を敷く。
5) 衝撃体が試験片衝突時にクッション効果が生じないよう,鋼製受箱に通気口を設け空気を逃がす。
6) 開口部寸法は,幅840±2 mm,長さ1 040±2 mmとする。
7) 試験片を締め付ける枠の部分には幅30 mm,厚さ4 mm,硬さ40〜60 IRHD(JIS K 6253-2の試験方
法N法に規定)のゴムを用いる。
b) 衝撃体 衝撃体は,直径100±0.2 mm,質量4.11±0.06 kgの磨き仕上げされた鋼球で,その硬さはJIS
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Z 2245に規定するロックウェル硬さCスケール60〜65 HRCとする。
6.13.3
試験方法
試験台に試験片を取り付け,試験片周辺の締付け圧力はトルクレンチなどを用い,140±20 kN/m2とす
る。衝撃体を試験片のガラス面に落下させる。落下位置は,図8に示す試験片の中心から一辺130±20 mm
の正三角形の頂点a,b及びcの3点とし,頂点aからb,cの順番で落下させる。鋼球落下試験Aは,落
下高さを3 000±50 mmとする。鋼球落下試験Bは,落下高さを1 500±50 mmとし,それぞれ衝撃体が試
験片を貫通したかどうかを調べる。
なお,衝撃後5秒未満に衝撃体が試験片を通り抜けた場合は,貫通とする。
この試験は,3枚の試験片について行い,全ての試験結果が貫通しなかったかどうかを調べる。
単位 mm
1 鋼製締付枠 2 ゴム片 3 5 mm板ガラス 4 フィルム
5 衝撃吸収体 6 鋼製受箱 7 通気口
図8−試験台及び衝撃体の落下位置
7
検査
フィルムの検査は,形式検査2) と受渡検査3) とに区分し,検査項目は,それぞれ次の項目を箇条6に
よって試験したとき,箇条5に適合したものを合格とする。
なお,受渡検査の抜取検査の方式は,受渡当事者間の協定による。
a) 形式検査
1) 外観
2) 性能
3) 寸法(フィルムの厚さ)
b) 受渡検査
1) 外観
2) 寸法(フィルムの厚さ)
19
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注2) 形式検査とは,製品の品質が設計で示された全ての品質項目を満足するかどうかを判定す
るための検査。
3) 受渡検査とは,既に形式検査に合格したものと同じ設計・製造による製品の受渡しをする
場合,必要と認める特性を満足するものであるかどうかを判定するための検査。
8
表示
この規格の全ての要求事項を満たしたフィルムの包装容器には,次の事項を表示する。
a) この規格の規格名称又は規格番号
b) 4.1及び4.2に規定する記号
次の例に従って表示する。
例1 フィルムの用途が一つの場合(日射調整フィルム,内貼り用,可視光線透過率50 %,遮蔽係数
0.45)
SC-1-B
性能による区分
用途による区分
例2 複数の用途に対応するフィルムの場合(2種類)
SC-1-E / SF-A
ガラス貫通防止フィルム(内貼り用,鋼球落下試験A)
日射調整フィルム(内貼り用,可視光線透過率80 %,遮蔽係数0.65)
例3 複数の用途に対応するフィルムの場合(3種類)
SC-2-A / GI-2 / GD-2
層間変位破壊対応ガラス飛散防止フィルム(外貼り用)
衝撃破壊対応ガラス飛散防止フィルム(外貼り用)
日射調整フィルム(外貼り用,可視光線透過率20 %,遮蔽係数0.30)
例4 複数の用途に対応するフィルムの場合(4種類)
SC-1-D / LE-C / GI-1 / GD-1
層間変位破壊対応ガラス飛散防止フィルム(内貼り用)
衝撃破壊対応ガラス飛散防止フィルム(内貼り用)
低放射フィルム[内貼り用,可視光線透過率70 %,
熱貫流率4.0 W/(m2・K)]
日射調整フィルム(内貼り用,可視光線透過率70 %,
遮蔽係数0.58)
c) 品番
d) 寸法(厚さ,幅及び長さ)
e) 製造業者名又はその略号
f)
製造年月又はその略号
20
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表12−可視光線透過率を
計算するための重価係数
表13−日射透過率及び日射反射率を
計算するための重価係数
表14−紫外線透過率を
計算するための重価係数
波長
nm
重価係数
DλV(λ)Δλ×102
波長
nm
重価係数
EλΔλ
波長
nm
重価係数
EλΔλ
波長
nm
重価係数
UλΔλ
380
0.000 0
300
0.000 000
680
0.012 838
300
0.000 000
390
0.000 5
305
0.000 057
690
0.011 788
305
0.001 859
400
0.003 0
310
0.000 236
700
0.012 453
310
0.007 665
410
0.010 3
315
0.000 554
710
0.012 798
315
0.017 961
420
0.035 2
320
0.000 916
720
0.010 589
320
0.029 732
430
0.094 8
325
0.001 309
730
0.011 233
325
0.042 466
440
0.227 4
330
0.001 914
740
0.012 175
330
0.062 108
450
0.419 2
335
0.002 018
750
0.012 181
335
0.065 462
460
0.666 3
340
0.002 189
760
0.009 515
340
0.071 020
470
0.985 0
345
0.002 260
770
0.010 479
345
0.073 326
480
1.518 9
350
0.002 445
780
0.011 381
350
0.079 330
490
2.133 6
355
0.002 555
790
0.011 262
355
0.082 894
500
3.349 1
360
0.002 683
800
0.028 718
360
0.087 039
510
5.139 3
365
0.003 020
850
0.048 240
365
0.097 963
520
7.052 3
370
0.003 359
900
0.040 297
370
0.108 987
530
8.799 0
375
0.003 509
950
0.021 384
375
0.113 837
540
9.442 7
380
0.003 600
1 000
0.036 097
380
0.058 351
550
9.807 7
385
0.003 529
1 050
0.034 110
合計
1.000 000
560
9.430 6
390
0.003 551
1 100
0.018 861
570
8.689 1
395
0.004 294
1 150
0.013 228
580
7.899 4
400
0.007 812
1 200
0.022 551
590
6.330 6
410
0.011 638
1 250
0.023 376
600
5.354 2
420
0.011 877
1 300
0.017 756
610
4.249 1
430
0.011 347
1 350
0.003 743
620
3.150 2
440
0.013 246
1 400
0.000 741
630
2.081 2
450
0.015 343
1 450
0.003 792
640
1.381 0
460
0.016 166
1 500
0.009 693
650
0.807 0
470
0.016 178
1 550
0.013 693
660
0.461 2
480
0.016 402
1 600
0.012 203
670
0.248 5
490
0.015 794
1 650
0.010 615
680
0.125 5
500
0.015 801
1 700
0.007 256
690
0.053 6
510
0.015 973
1 750
0.007 183
700
0.027 6
520
0.015 357
1 800
0.002 157
710
0.014 6
530
0.015 867
1 850
0.000 398
720
0.005 7
540
0.015 827
1 900
0.000 082
730
0.003 5
550
0.015 844
1 950
0.001 087
740
0.002 1
560
0.015 590
2 000
0.003 024
750
0.000 8
570
0.015 256
2 050
0.003 988
760
0.000 1
580
0.014 745
2 100
0.004 229
770
0.000 0
590
0.014 330
2 150
0.004 142
780
0.000 0
600
0.014 663
2 200
0.003 690
合計
99.999 9
610
0.015 030
2 250
0.003 592
620
0.014 859
2 300
0.003 436
630
0.014 622
2 350
0.003 163
640
0.014 526
2 400
0.002 233
650
0.014 445
2 450
0.001 202
660
0.014 313
2 500
0.000 475
670
0.014 023
合計
0.999 999
21
A 5759:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表15−修正放射率を垂直放射率から計算するための係数
垂直放射率εn
係数ε / εn
0.03
1.22
0.05
1.18
0.1
1.14
0.2
1.10
0.3
1.06
0.4
1.03
0.5
1.00
0.6
0.98
0.7
0.96
0.8
0.95
0.89
0.94
22
A 5759:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(参考)
可視光線反射率の測定方法
A.1 一般
この附属書は,フィルムに貼り付けた窓ガラスの可視光線反射率の測定方法を補足するものである。
A.2 試験片
試験片は,6.4.1によって作製する。試験片の個数は,1枚とする。
なお,6.4に使用した試験片をそのまま用いてもよい。その場合,6.1.1の試験環境に24時間以上再び静
置しなくてよい。
A.3 試験方法
可視光線反射率は,JIS R 3106の4.3.1に規定する分光光度計を用いて,次によって測定する。
a) 試験片を10°以下に傾けて取り付け,正反射光を積分球に捕らえるようにする。
b) 測定は,内貼り用フィルムの場合は試験片のガラス面を光源に向けて,外貼り用フィルムの場合は試
験片のフィルム面を光源に向けて行う。
c) 表12に規定する380〜780 nmの各波長の分光反射率[ρ (λ)]を測定し,CIE昼光D65の分光分布(Dλ),
CIE明順応標準比視感度の波長分布[V(λ)]及び波長間隔(Δλ)から得られる重価係数[DλV(λ)Δλ]
を乗じて加重平均する式(A.1)によって可視光線反射率(ρ v)を求める。式(A.1)のDλV(λ)Δλ は,表12
に規定する数値を用いる。
()
()
()
∑
∑
=
780
380
780
380
v
λ
λ
λ
λ
λ
ρ
ρ
λ
λ
Δ
V
D
Δ
V
D
························································· (A.1)
ここに,
ρ v: 可視光線反射率(%)
ρ (λ): 分光反射率(%)
DλV(λ)Δλ: 可視光線に対する重価係数
参考文献 JIS R 3108 建築用ガラスの落球による防犯性能試験方法
23
A 5759:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書B
(参考)
技術上重要な改正に関する新旧対照表
現行規格(JIS A 5759:2016)
旧規格(JIS A 5759:2008)
改正理由
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
及び題名
内容
4.1 用途によ
る区分
表1(用途による区分)
− 低放射フィルム(LE)を追加。
− ガラス飛散防止フィルムを,衝撃
破壊対応ガラス飛散防止フィルム
(GI-1及びGI-2)と層間変位破壊対
応ガラス飛散防止フィルム(GD-1
及びGD-2)とに区分。
− 日射調整フィルム及びガラス飛散
防止フィルムに,内貼り用フィル
ムに加えて外貼り用フィルム
(SC-2,GI-2及びGD-2)を規定。
4.1 用途によ
る区分
表1(用途による区分)
− 日射調整フィルム(SC),ガラス飛
散防止フィルム(GS)及びガラス
貫通防止フィルム(SF)の3種類
に区分。
− 内貼り用フィルムだけを規定。
近年の市場流通品の多様化に伴い,断熱性に優れた
製品が頻繁に使用されるようになったため,新たに
“低放射フィルム”を区分に追加した。
また,ガラス飛散防止フィルムは,ショットバッグ
試験によって性能を満たすことを確認したものを
“衝撃破壊対応ガラス飛散防止フィルム”,層間変位
試験によって性能を満たすことを確認したものを
“層間変位破壊対応ガラス飛散防止フィルム”とし
て,想定する破壊による区分を明確にした。
なお,フィルムは,内貼り用フィルムが一般だが,
施工上の理由などで使用できない場合には,外貼り
用フィルムが使用されている。今回の改正におい
て,外貼り用フィルムの規定を明確にするため,日
射調整フィルム及びガラス飛散防止フィルムには
“外貼り用”の区分を追加した。
4.2 性能によ
る区分
b) 低放射フィルム
表3(熱貫流率による区分)
− 低放射フィルムを可視光線透過率
と熱貫流率との組合せによって,A
〜Dの4種類に区分。
4.2 性能によ
る区分
低放射フィルムに関する規定はなし。
用途区分として,低放射フィルムを追加したため,
その性能による区分を追加した。
なお,旧規格では,日射調整フィルムの性能を熱貫
流率で規定していたが,この規格では採光性の選択
の目安となる可視光線透過率を加えて,熱貫流率と
の組合せによって,4種類に区分した。
2
A
5
7
5
9
:
2
0
1
6
24
A 5759:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
現行規格(JIS A 5759:2016)
旧規格(JIS A 5759:2008)
改正理由
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
及び題名
内容
5.4 性能
g) 耐候性
− 日射調整フィルムの遮蔽係数を,
“耐候性試験前の性能値に対し,そ
の変化が±0.10の範囲”,“記号C
及び記号Eの遮蔽係数は,0.85以
下”と規定。
− 低放射フィルムの熱貫流率を,
“耐候性試験前の性能値に対し,そ
の変化が±0.4 W/(m2・K) の範囲”,
“記号B及び記号Dの熱貫流率は,
4.8 W/(m2・K) 以下”と規定。
5.9 耐候性
日射調整フィルムの遮へい係数を,耐
候性試験前の性能値に対し,“その変
化が±0.20の範囲”,“記号Cの遮へい
係数は,0.92以下”と規定。
日射調整フィルムの性能が向上したため,耐候性試
験前の性能値に対する遮蔽係数の変化の範囲を旧
規格の±0.20から±0.10に変更した。さらに,耐候
性試験後においても日射調整フィルムとしての性
能を満たす必要があるため,記号C及び記号Eの
上限値を0.92から0.85に変更した。
新たに追加した低放射フィルムは,試験時間を日射
調整フィルムの内貼り用と同様に1 000時間とし,
耐候性試験後の熱貫流率の変化の範囲を,区分した
4.2 W/(m2・K) の約10 %となる±0.4の範囲とした。
さらに,低放射フィルムとしての性能を満たす必要
があるため,記号B及び記号Dの上限値を4.8
W/(m2・K) とした。
なお,外貼り用フィルムの寿命は,内貼り用フィル
ムの2分の1程度であることから,外貼り用フィル
ムの試験時間は内貼り用フィルムの試験時間の2
分の1とした。
表9(フィルムの耐候性)
− 日射調整フィルムの試験時間の外
貼り用を規定し,用途による区分
で新たに追加した低放射フィル
ム,衝撃破壊対応ガラス飛散防止
フィルム及び層間変位破壊対応ガ
ラス飛散防止フィルムについて試
験時間を新たに規定した。
表9(フィルムの耐候性)
− 日射調整フィルム,ガラス飛散防
止フィルム及びガラス貫通防止フ
ィルムについて内貼り用として規
定。
h) 衝撃破壊対応ガラス飛散防止性能
− 旧規格の5.10のa)(ショットバッ
グ試験による性能)の規定に加え
て,2) に“落下高さ450 mmの加
撃を合計10回繰り返してもガラス
が破壊しない”ことを規定。
5.10 ガラス
飛散防止性
能
a) ショットバッグ試験による性能
− 飛散したガラスの大きな破片10個
の総質量及び最大破片の1個の質
量で規定。
近年の板ガラスは,落下高さ300 mmの加撃では破
壊しない試験片が増加傾向にあり,僅かではあるが
落下高さ450 mmの加撃を繰り返しても破壊しない
ことがある。本来,ガラスが破壊された際に,その
ガラス片の飛散を抑えることがガラス飛散防止フ
ィルムの性能であるが,板ガラスが破壊されないこ
ともガラス飛散防止性能の一つと考え,落下高さ
450 mmの加撃を合計10回繰り返してもガラスが
破壊しないことを性能として規定した。
2
A
5
7
5
9
:
2
0
1
6
25
A 5759:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
現行規格(JIS A 5759:2016)
旧規格(JIS A 5759:2008)
改正理由
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
及び題名
内容
6.1.3 試験結
果の数値の
丸め方
数値を算出する全ての試験項目に対し
て数値の丸め方を規定し,表10に記載。
−
− 6.7(引張強さ及び伸び試験)及び
6.8(粘着力試験)についてだけ結
果の丸め幅を規定。
旧規格では,6.7(引張強さ及び伸び試験)及び6.8
(粘着力試験)についてだけ数値の丸め方を規定し
ていたが,今回の改正では,数値を算出する全ての
試験項目に対して丸め方を規定した。丸め方につい
ては,五捨五入が前提となるJIS Z 8401(数値の丸
め方)は引用せず,四捨五入による丸め方で規定し
た。
6.5 遮蔽係数
及び日射熱
取得率の算
出
e) 遮蔽係数の算出
− 遮蔽係数の算出式[式(4)]の分母
を88と規定。
6.4 遮へい係
数試験
− b) の遮蔽係数の算出式[式(2)]の
分母に厚さの呼び3ミリの板ガラ
スの日射透過率及び日射反射率か
ら求める計算式を規定。
算出式を簡略化するために,分母を厚さの呼び3ミ
リの板ガラスの標準的な日射熱取得率である
“88 %”を定数として用いた。
6.5.2 算出方
法
f) 日射熱取得率の算出
− 日射熱取得率の算出式[式(6)]を
新たに規定。
6.4.3 試験方
法
規定なし
遮蔽係数だけでなく,日射熱取得率も要求されるこ
とがあるため,今回の改正で算出方法を新たに規定
した。
6.10 耐候性
試験
6.10.2 試験
方法
表11(サンシャインカーボンアーク灯
式の耐候性試験条件)及び図2[試験片
への光照射方法の例(外貼り用フィル
ムの場合)]に外貼り用フィルムにおけ
る試験条件及び試験片への光照射の方
法の図を追加で規定。
6.9 耐候性試
験
外貼り用フィルムに対する規定なし
内貼り用フィルムは,試験片のガラス面を光源に向
けて試験を行うが,新たに規定した外貼り用フィル
ムは,実際の使用方法に合わせて,試験片のフィル
ム面を光源に向けて試験を行うことを明確に規定
した。
6.11 ショッ
トバッグ試
験
6.11.3 試験方
法
落下高さ300 mmの加撃で試験片が破
壊しない場合は,“試験片が落下高さ
450 mmの加撃を破壊するまで繰り返
す。ただし,加撃は10回を限度とする。”
ことを規定。
6.10 ガラス
飛散防止性
能試験
a) ショットバッグ試験
− 3.3) で,落下高さ300 mmの加撃で
試験片が破壊しない場合は,“落
下高さ450 mmの加撃を破壊する
まで繰り返す。”ことを規定。
旧規格では,落下高さ300 mmの加撃で試験片が破
壊しない場合は,落下高さ450 mmの加撃を破壊す
るまで繰り返すと規定していた。僅かではあるが,
落下高さ450 mmの加撃を繰り返しても破壊しない
場合があるため,加撃を10回行ってもガラスが破
壊しないことを性能として規定したことに対応し
て試験方法を改正した。
2
A
5
7
5
9
:
2
0
1
6