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A 1963

:2015

(1)

目  次

ページ

序文  

1

1

  適用範囲  

1

2

  引用規格  

2

3

  原理 

2

4

  試薬など  

3

4.1

  試薬  

3

4.2

  ホルムアルデヒドジニトロフェニルヒドラゾン(DNPH-ホルムアルデヒド誘導体)の調製  

3

4.3

  DNPH-ホルムアルデヒド標準液の調製  

4

4.4

  DNPH コーティング溶液の調製  

4

4.5

  コーティングフィルタの調製  

4

5

  装置 

4

5.1

  パッシブサンプラ  

4

5.2

  高速液体クロマトグラフ  

5

6

  サンプリング  

5

7

  手順 

6

7.1

  抽出及びサンプル調製  

6

7.2

  検量線  

6

7.3

  HPLC 分析  

6

7.4

  サンプル濃度の定量  

7

7.5

  保管  

7

7.6

  抽出効率の測定  

8

8

  計算 

8

8.1

  コーティングフィルタ中の DNPH-ホルムアルデヒド量  

8

8.2

  空気中のホルムアルデヒド濃度  

8

9

  方法の精度及び不確かさ  

8

10

  品質保証/品質管理  

9

11

  試験報告書  

9

附属書 A(参考)パッシブサンプラの例  

10

附属書 JA(参考)パッシブサンプラの性能試験に関する器具, 

    校正ガスの調製,試験条件,試験方法  

12

附属書 JB(参考)参考文献  

18

附属書 JC(参考)JIS と対応国際規格との対比表  

19

附属書 JD(参考)技術上重要な改正に関する新旧対照表  

21


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:2015

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,国土交通大臣が改正した日本

工業規格である。

これによって,JIS A 1963:2005 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。


日本工業規格

JIS

 A

1963

:2015

室内空気中のホルムアルデヒドの定量−

パッシブサンプリング

Indoor air-Determination of formaldehyde-Diffusive sampling method

序文 

この規格は,2011 年に第 2 版として発行された ISO 16000-4 を基とし,我が国における測定・分析の実

状に鑑みて,より実効性の高いものとするために,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,

附属書 JC に示す。また,技術上重要な改正に関する新旧対照表を附

属書 JD に示す。

汚染物質であるホルムアルデヒドは,アレルギー反応やその他の健康上の問題を引き起こす可能性があ

る刺激物である。

炭素原子 1 個,

酸素原子 1 個及び水素原子 2 個からなる最も単純なカルボニル化合物で,

単分子状態では無色で刺激臭のある反応性ガスである。尿素樹脂(ユリア樹脂)

,接着剤,断熱発泡体など

の製造に用いられている。パーティクルボードや壁断熱材が,室内空気中ホルムアルデヒドの主な放散源

である。

この規格は,JIS A 1961 に規定されているホルムアルデヒドのサンプリング方法に基づく,室内空気測

定に用いられるものである。JIS A 1960 には,室内空気汚染物質の測定に関する一般要求事項,及び個別

汚染物質又は汚染物質群のサンプリングに際して遵守すべき重要な条件が示されている。参照方法である

ポンプサンプリング法については,JIS A 1962 に規定している。ほかの,特定の汚染物質又は汚染物質群

の,測定方法(サンプリング及び分析)及びサンプリング通則については,他の JIS A 1960 番台の規格に

おいて規定されており,JIS A 1966JIS A 1967 など,揮発性有機化合物(VOC)測定についての規格(

属書 JB の参考文献  [1]∼[7]参照。)がある。

適用範囲 

この規格は,パッシブサンプラ

1)

/溶媒抽出/高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用いた,室内空気中

のホルムアルデヒド定量方法について規定する。

この試験方法は,

24∼72 時間のサンプリング時間で,0.001∼1.0 mg/m

3

24 時間の場合 0.003∼1.0 mg/m

3

72 時間の場合 0.001∼0.33 mg/m

3

の濃度範囲の測定に適用可能である。この方法は,気流速度の下限が 0.02

m/s で,通常の室内空気における相対湿度条件での測定に適している。

注記 1  測定感度及び精度が保証されたサンプラであれば,短時間(24 時間より短いサンプリング,

以下“短時間サンプリング”という。

)に適用してもよい。

ここでは,クロマトグラフ法を用いることによって,他のカルボニル化合物の存在に起因するものを含

め,潜在的な影響は排除される。このサンプリング方法では時間加重平均値が得られる。

注記 2  この規格では,使用する吸着剤(DNPH-ホルムアルデヒド誘導体)及びサンプラの自作につ


2

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:2015

いて記載しているが,品質及び性能が確認されたものであれば市販品を用いてもよい。市販

品には,種々の構造,形状のものがあるが,吸着剤は全て DNPH-ホルムアルデヒド誘導体が

用いられている。ただし,この規格において特定の製品を推奨するものではないことから,

具体的な記載はしていない。

注記 3  この規格では,IUPAC 命名法に基づく化学物質名称に替えて慣用名を用いている場合がある。

例えば,

“メタナール”の替わりに“ホルムアルデヒド”が用いられている。

注記 4  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 16000-4:2011

,Indoor air−Part 4: Determination of formaldehyde−Diffusive sampling method

(MOD)

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“修正している”

ことを示す。

1)

  英語名ではディフューシブサンプラ(diffusive sampler)とパッシブサンプラ(passive sampler)

とを用いている場合があるが,ここではパッシブサンプラに統一した。

警告  この規格の使用者は,一般的な化学実験操作に精通していることが望ましい。また,この規格

に基づくことによって,全ての安全上の問題に対処できるものではない。適切な安全衛生習慣

の確立及び各国の規定条件遵守は,この規格の使用者の責任である。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS A 1961

  室内空気中のホルムアルデヒドのサンプリング方法

注記  対応国際規格:ISO 16000-2:2004,Indoor air−Part 2: Sampling strategy for formaldehyde(MOD)

JIS A 1962

  室内及び試験チャンバー内空気中のホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物の定量

−ポンプサンプリング

注記  対応国際規格:ISO 16000-3:2011,Indoor air−Part 3: Determination of formaldehyde and other

carbonyl compounds in indoor air and test chamber air−Active sampling method(MOD)

JIS K 8180

  塩酸(試薬)

JIS K 8295

  グリセリン(試薬)

JIS K 8480

  2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(試薬)

JIS K 8872

  ホルムアルデヒド液(試薬)

JIS K 9005

  りん酸(試薬)

JIS Q 17025

  試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項

注記  対応国際規格:ISO/IEC 17025:2005,General requirements for the competence of testing and

calibration laboratories(IDT)

EN 13528-2

,Ambient air quality−Diffusive samplers for the determination of concentrations of gases and

vapours−Requirements and test methods−Part 2: Specific requirements and test methods

原理 

パッシブサンプラは所定の時間,空気中に暴露する。サンプリング速度はホルムアルデヒドの拡散係数

に依存し,パッシブサンプラの拡散長に反比例し,開口部の断面積に比例する。このサンプリング速度は


3

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サンプラの拡散取込み速度として知られており,標準空気中で事前に決められる。

ホルムアルデヒド蒸気は拡散によってサンプラの中へ移動し,2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)

及びりん酸でコーティングされたシリカゲル含浸セルロース紙などに捕集される。

生成する安定なヒドラゾンは,アセトニトリルによって抽出可能であり,その溶液は,紫外線(UV)吸

収検出器を装備した高速液体クロマトグラフ(HPLC)法で分析される。

パッシブサンプラは,個人暴露サンプリングにも使用され,この場合は被検者の衣類に装着される。

試薬など 

4.1 

試薬 

分析には,等級の分かっている試薬だけを用いる。

a)  2,4-

ジニトロフェニルヒドラジン  JIS K 8480 に規定するもので,使用前に少なくとも 2 回紫外線吸

光度測定用又は高速液体クロマトグラフ用のアセトニトリルで再結晶する。

b)

アセトニトリル  紫外線吸光度測定用又は高速液体クロマトグラフ用(各々の溶剤は使用前に試験す

ること)と同等のもの

c)

濃塩酸  JIS K 8180 に規定する特級で 36.5 %∼38 %(wt/wt),密度 1.19 kg/L

d)

窒素  高純度窒素

e)

水  高速液体クロマトグラフ用(蒸留水)と同等のもの

f)

ホルムアルデヒド  JIS K 8872 に規定する 37 %溶液(wt/wt)

g)

エタノール  高速液体クロマトグラフ用と同等のもの

h)

メタノール  高速液体クロマトグラフ用と同等のもの

i)

りん酸  JIS K 9005 に規定する特級で 85 %(wt/wt),密度 1.69 kg/L

j)

グリセリン  JIS K 8295 に規定するもので 99 %(wt/wt),密度 1.26 kg/L

警告 2,4-ジニトロフェニルヒドラジンは乾燥状態では爆発性があり,極めて注意深く取り扱う必要

がある。また,毒性があり(LD50,ラット=654 mg/kg)

,幾つかの試験では突然変異性が示さ

れ,目及び皮膚に刺激性がある。

4.2 

ホルムアルデヒドジニトロフェニルヒドラゾン(DNPH-ホルムアルデヒド誘導体)の調製 

500 mL のフラスコに 2,4-ジニトロフェニルヒドラジン

2)

 2 g をはかりとり,濃塩酸 10 mL をかき混ぜな

がら加える。これに 95 %エタノール 200 mL を加え,生成した黄色の沈殿物を溶かす。

不溶ヒドラジン塩酸塩(DNPH−HCl)をろ過して除く。ろ液に 37 %ホルムアルデヒドを 0.8 mL 加える。

生成した黄色の沈殿物をろ過捕集し,DNPH−HCl を,冷エタノール 5 mL で洗浄する。沈殿物は,熱エタ

ノールから二度再結晶を行った後,風乾する。DNPH-ホルムアルデヒド誘導体の融点は 166  ℃である。

融点測定(166  ℃)又は HPLC 分析(純度>99 %質量分率)によって,DNPH-ホルムアルデヒド誘導体

の純度を確認する。純度が満足しない場合は,エタノール中で誘導体を再結晶化を行い,純度が許容レベ

ル(例えば,99 %質量分率)を満足するまで,純度確認と再結晶化を繰り返す。DNPH-ホルムアルデヒド

誘導体は冷蔵(4  ℃)

・遮光保管するのがよい

3)

。また,少なくとも 6 か月間安定であることが望ましい。

2)

  品質が確認された DNPH-ホルムアルデヒド誘導体であれば,市販品を用いてもよい。標準とし

て用いるための DNPH-ホルムアルデヒド誘導体が,純結晶体及びアセトニトリル溶液(単独又

は混合溶液)として市販されている。

3)

  窒素又はアルゴン環境下に保管することで,より長期間,誘導体の安定性が保たれる。


4

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4.3 DNPH-

ホルムアルデヒド標準液の調製 

100 mL の全量フラスコに DNPH-ホルムアルデヒド誘導体約 10 mg を正確にはかりとり,アセトニトリ

ルで 100 mL とする。

結晶が溶けるまでフラスコを振とうする。この DNPH-ホルムアルデヒド結晶をアセトニトリルで希釈し,

1∼140 μg/mL(ホルムアルデヒド濃度として 0.14∼20 μg/mL)の範囲で少なくとも 5 段階の標準液を調製

する。

全ての標準液は,密栓して冷蔵・遮光保管とし,使用に際しては室温に平衡化させる。

保管された標準液は,4 週間単位で置き替わるのが望ましい。

4.4 DNPH

コーティング溶液の調製 

4 M の塩酸から二度再結晶して得られた DNPH 塩酸塩 900 mg を 300 mL のフラスコに入れる。これに,

85 %りん酸 1.7 mL,20 %グリセリン・エタノール溶液 5 mL 及びアセトニトリル 180 mL を加える。

4.5 

コーティングフィルタの調製 

必要なサイズにカットして使用可能な,ロール状のコーティングされていないフィルタ(シリカゲル含

浸セルロール紙)が市販されている。

コーティングフィルタのサイズは,パッシブサンプラに応じた大きさとなる。例えば,20 mm×45 mm

のフィルタを必要とするサンプラに対しては,ピペットを用いてフィルタに DNPH コーティング溶液(4.4

参照)0.5 mL を添加する。

コーティングしたフィルタは,ガラス表面上に置き,85  ℃で 15 分間乾燥する。これと異なるフィルタ

サイズに対しては,サイズに応じてコーティング溶液の添加量を調整する。

コーティングフィルタを,パッシブサンプラ内に設置する。

別のコーティングフィルタ及び金属メッシュで封止し,汚染を防止する(箇条 参照)

コーティングフィルタは,冷蔵(4  ℃)

・遮光環境下で保管した場合,少なくとも 6 か月間安定である。

この規格によって調製及び保管されたコーティングフィルタのブランク値は,20 mm×20 mm のフィル

タ当たり,DNPH-ホルムアルデヒド誘導体 0.7  μg(ホルムアルデヒド量として 0.1  μg)以下であることが

望ましい。

注記  この規格では,サンプラ内で使用するコーティングフィルタの調製方法について規定している

が,調製済みフィルタ(シリカゲル含浸セルロース紙,粒状シリカゲルなど)を内包するサン

プラが市販されており,より低いブランクレベルで,より均一な品質であるといった利点があ

る。市販サンプラの構造等については,

附属書 及び附属書 JB の参考文献に記載がある。

装置 

通常の実験室装置は,次による。また,パッシブサンプラの例を

附属書 に,パッシブサンプラの性能

試験に関する器具,校正ガスの調製,試験条件及び試験方法を

附属書 JA に示す。

5.1 

パッシブサンプラ 

必要な性能を満たす,市販又は自作サンプラのいずれを用いてもよい(

図 A.1 参照)。また,短時間サン

プリングにも供することができる。

サンプリング速度は,想定される使用条件(空気中濃度について,72 時間サンプリングでは 0.001∼0.33

mg/m

3

,24 時間サンプリングでは,0.003∼1.0 mg/m

3

の範囲で,サンプリング速度は,相対湿度上限 80 %,

気流 0.02 m/s 以上)で有意な影響を受けてはならない。

注記 1  短時間サンプリングに適用する場合,拡散取込み速度,測定感度,精度等を確認する必要が


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ある。

サンプリングの間,サンプラを設置するためにスタンド又はクリップを用いても差し支えない。使用し

ないサンプラは,汚染防止用コーティングフィルタ及び金網メッシュで封止した気密保護容器に入れて冷

蔵保管しておく(7.5 参照)

このサンプラの場合,コーティングフィルタは,樹脂製の穴があいたスクリーン(拡散スクリーン)の

下に設置されている。サンプラは,穴を空気に暴露させるためにスライド式でカバーが開けられ,カバー

を戻すことによって閉じられる。

ほかの,選択の対象となるサンプラの構造を,

図 A.2 及び図 A.3 に示す。

パッシブサンプラは,空気に暴露される開口部及び適切な拡散長をもつものとする。

注記 2  パッシブサンプラの設計に関する指針及び性能試験の手順が EN 13528-2 に示されている。こ

こでは,サンプラの拡散取込み速度を決定するために,サンプラの使用条件に適した温度,

湿度,気流,暴露時間及びガス濃度について異なる条件での,標準ガスの発生を要求してい

る。空気中のホルムアルデヒドを測定するためのパッシブサンプラの性能検討例について,

参考文献に記載がある。

5.2 

高速液体クロマトグラフ 

HPLC は,1 台又は 2 台のポンプ,溶離液槽,溶離液ミキサー,逆相カラム,カラム槽,ポンプコント

ローラ及びデータ処理システムによって構成されたもの。カラムは,360 nm の波長においてモニタ可能な

UV 検出器に接続される。

当該装置及び手順を用いて,濃度 0.21  μg/mL の DNPH-ホルムアルデヒド誘導体(ホルムアルデヒド濃

度にして 0.03 μg/mL)が検出可能であることが望ましい。

サンプリング 

サンプリングの直前に,保護袋などの適切な気密保護容器から,パッシブサンプラを取り出す。

エリアモニタリングのためのサンプラは,JIS A 1961 に基づいて設置するのがよい。

ここでは,サンプラを高さ 0.75∼1.5 m,部屋の壁から少なくとも 1 m 離して設置する。

特定の目的をもった調査の場合以外は,例えば,窓・扉の近辺などの局所的に換気の影響を受ける領域,

コーティングされていないパーティクルボードなどのホルムアルデヒド放散源として知られる領域は,避

けることが望ましい。

個人暴露量サンプリングに用いる場合は,被検者の襟など,呼吸域であって障害となるもののない部位

に装着する。

サンプラを設置後すぐに,サンプラのカバーなどを開け,サンプリングを開始する。サンプリング開始

の日付及び時刻を記録する。

サンプリング終了後にサンプラを閉じる。保管する場合は,取扱いを容易にするために,金属メッシュ

で DNPH コーティングフィルタとともに封止された気密保護容器の中に入れる。サンプリング終了の日付

及び時刻を記録する。

注記 1  サンプリング後のサンプラの保管は,市販品の保管方法に従う。自作サンプラの場合は,汚

染防止用の DNPH コーティングフィルタの作製を含めて気密保護容器を準備することが望ま

しい。

サンプリングに供したサンプラと同一のものを用い,実際にサンプリングをする以外は,暴露したサン

プラと同じ操作手順をとったブランク(トラベルブランク)を用意することが望ましい。ブランクサンプ


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ルとして扱うことのできるサンプリング済みコーティングフィルタの非暴露部分を組み込むように設計さ

れたサンプラを用いてもよい。

ブランクサンプル及び暴露されたサンプラは,分析のために試験室へ運搬する。

注記 2  特定の条件下での環境大気のポンプサンプリング時に,オゾンが DNPH 及び DNPH-ホルムア

ルデヒド誘導体と反応し,負の干渉をすることが報告されている。この干渉はパッシブサン

プラでは観測されなかった。この干渉の起こる可能性についての情報が,JIS A 1962 に記載

されている。

手順 

7.1 

抽出及びサンプル調製 

コーティングフィルタからの DNPH-ホルムアルデヒド誘導体の抽出は,清浄な空気中で行う。ピンセッ

トを用いてサンプリング済みフィルタをサンプラから取り出す。

ブランク一体形のコーティングフィルタをもつサンプラの場合は,裁断し,フィルタの暴露部分と切り

離す。例えば,20 mm×45 mm のフィルタをサンプル部分とブランク部分に切り離した場合,各フィルタ

部分を 4 mL 抽出容器の中に入れる。

アセトニトリル 3 mL を各々の抽出容器に入れ,1 分間振とうし,DNPH-ホルムアルデヒド誘導体を抽出

する。各抽出容器からコーティングフィルタを取り除き,HPLC 分析に供するために密閉する。必要であ

れば分析の前に,抽出物をろ過してもよい。

フィルタの寸法に応じて抽出手順は異なるが,DNPH-ホルムアルデヒド誘導体の抽出効率は,95 %以上

とする。

DNPH-ホルムアルデヒド誘導体溶液は,冷蔵(4  ℃)保管とし,3 日以内に分析することが望ましい。

7.2 

検量線 

4.3

で調製した各標準液について,各々一定量(例えば,10 μL)をクロマトグラフに注入して分析する。

キャリーオーバー防止のため,最低濃度から開始する。注入方法は,再現可能なピーク高さ又はピーク面

積が得られるものでなければならない。ホルムアルデヒドの濃度(μg/mL)に対するピーク高さ又はピー

ク面積を測定して,検量線を作成する。

検量線の作成周期は,通常 1 か月である。2 組の検量線で確認ポイントを分析することによって,検量

線の妥当性を検証することができる。

7.3 HPLC

分析 

HPLC 装置を構成して,7.2 に基づいて検量線を作成する。一般的な操作事項は次によるが,構成した

HPLC 装置の特性などに応じて,より適切で精確な分析結果を得るために適宜変更してもよい。メタノー

ル:水=70:30 移動相を用いたオクタデシルシランカラム(粒径 5 μm,長さ 150 mm,内径 4.6 mm)が,

DNPH-ホルムアルデヒドと妨害する可能性のある化合物とを十分に分離できることが知られている。グラ

ジエント法又はイソクラティック法のどちらを用いてもよい。

メタノール及び水に代えて,JIS A 1962 に規定されている,アセトニトリル:水=60:40 イソクラティ

ック移動相を用いる方法も適切であることが知られている。具体的な事項は,次による。

−  カラム:C18 逆相カラム

−  移動相:アセトニトリル:水=60:40

−  検出器:UV 360 nm

−  流量:1 mL/min


7

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−  保持時間:∼7 分/ホルムアルデヒド。C18 カラム 2 本使用の場合,∼13 分/ホルムアルデヒド。

−  サンプル注入量:25 μL

分析前に,安定した条件を確保するため,検出器のベースラインを確認する。

アセトニトリル及び水を 6:4 の体積比で混合して HPLC 移動相を調製するか,又は HPLC 上で適切な

グラジエント条件を設定する。適切な器具及び方法

4)

を用いて移動相のろ過及び脱気を行う。必要な場合,

移動相のガスを更に除去するため,定圧(350 kPa)制御装置又は内径 0.25 mm×長さ 15∼30 cm の PTFE

チューブは,検出器の後に配置する。

移動相を 1.0 mL/min の流量で HPLC に一定時間(20∼30 分程度)送液した後,分析を開始する。

使用する装置に応じた適切な分析条件(注入量,バルブ切替時機,分析時間など)にて,分析を行う。1

回の分析につき,DNPH-ホルムアルデヒド誘導体を全て溶出させ,安定したベースラインが得られた後,

次のサンプル分析を開始する。

注記  数回分析した後の,カラムのビルドアップ(例えば,設定流量と溶媒組成における,分析の実

行からの圧力増加よって示される。

)は,分離カラム容量と等量の 100 %アセトニトリル溶液を

流すことで除去することができる。プレカラムが用いられている場合,同様の保護措置を行う

ことができる。

分析対象の濃度が,検量線の直線範囲を超える場合は,サンプル溶液を移動相で希釈するか又は HPLC

への注入量を少なくする。先に実行した分析によって把握されている保持時間と相違がある(±10 %)場

合は,正しい溶出時間となるよう,移動相のアセトニトリルの比率を増加又は減少させてもよい。溶媒の

変更が必要な場合は,常にサンプルを実行する前に再度検量線を作成する。

試験者は,個別の分析ニーズに応じて,クロマトグラフィー条件を最適化するために,HPLC システム

を用いて試し分析を行うことが推奨される。

HPLC 装置として,マニュアルインジェクション方式,又は注入,スタート及びデータ取得が自動化さ

れたシステムの,いずれを用いてもよい。

JIS A 1962

の 4.2(オゾンの干渉)に基づき,クロマトグラムからオゾンの影響について確認する。

4)

  移動相のろ過に用いる器具としては,例えば,ガラス製 0.22  μm ポリエステルメンブレンフィ

ルター及びテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)製の吸引ろ過装置がある。また,脱気の方法

として,例えば,次のものがある。

− 100

mL/min のヘリウムガスによる 10∼15 分パージ

− 60 ℃加熱(5∼10 分間)

−  超音波処理(5∼10 分間)

7.4 

サンプル濃度の定量 

7.1

でコーティングフィルタから抽出した,サンプル及びブランク溶液について,7.2 の標準溶液と同じ

方法で分析する。ピーク高さ又はピーク面積を測定し,検量線から DNPH-ホルムアルデヒド誘導体の溶液

濃度を定量する。

注記  サンプリングの現場に持ち込んだブランク(トラベルブランク)は,持ち込んでいないブラン

クと比較して,DNPH-ホルムアルデヒド誘導体の含有量が高い可能性がある。

7.5 

保管 

調製済みコーティングフィルタを気密保護容器中に密封し,使用する前まで冷凍庫内(−18  ℃)で保管

した場合の有効期間は,少なくとも 6 か月である。

暴露後に生成した被検成分である DNPH-ホルムアルデヒド誘導体は,抽出及び分析の前に冷蔵庫内で保


8

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管した場合,少なくとも 2 週間は安定であることが望ましい。

7.6 

抽出効率の測定 

抽出及びサンプル調製について 7.1 と異なる手順をとる場合,既知量の DNPH-ホルムアルデヒド誘導体

をサンプラに添加し,抽出効率を測定することが望ましい。

抽出効率は,安定した既知濃度のホルムアルデヒド雰囲気中にサンプラを暴露して求められる。少なく

とも,測定濃度範囲の上限及び下限の 2 濃度水準でサンプラ暴露試験を行い,抽出効率を算出することが

望ましい。ポンプ法との同時測定を行い,ポンプ法の測定値を基に抽出効率を求めるとよい。

適切な暴露時間,及び EN 13528-2 によって確認されたサンプラの拡散取込み速度に基づき,コーティン

グ材中の DNPH-ホルムアルデヒド誘導体の量を計算する。サンプラを分析し,DNPH-ホルムアルデヒドの

抽出効率を求める。この方法による抽出効率が,少なくとも 85 %以上であることが望ましい。

計算 

8.1 

コーティングフィルタ中の DNPH-ホルムアルデヒド量 

暴露サンプラ又はブランクサンプラのコーティングフィルタから抽出して得られた溶液量に,検量線か

ら読み取った溶液中の濃度を乗じることによって,コーティング材中の DNPH-ホルムアルデヒド誘導体の

質量を計算する。

8.2 

空気中のホルムアルデヒド濃度 

次の式によって,空気中のホルムアルデヒド質量濃度を計算する。

100

10

143

.

0

)

(

6

blank

d

t

u

m

m

×

×

×

×

=

ρ

ここに,

ρ: 空気中のホルムアルデヒド濃度(μg/m

3

m: 暴露したサンプラ中の DNPH-ホルムアルデヒド誘導体の質

量(μg)

m

blank

ブランクサンプラ中の DNPH-ホルムアルデヒド誘導体の質
量(μg)

u: サンプラの拡散取込み速度(cm

3

/min)

t: 暴露時間(min)

d: 抽出効率(%)

0.143: ホルムアルデヒド分子量を DNPH-ホルムアルデヒド誘導体

分子量で除した値

注記  測定結果を ppb,ppm などの体積分率で表すことは,望ましくない。ただし,その必要のある

規格使用者のために,結果を体積分率(ppb)で表す計算式を次に示す。

100

2

.

273

3

.

101

4

.

22

d

T

P

M

'

×

×

×

×

=

ρ

ρ

ここに,

ρ'

空気中のホルムアルデヒド濃度(体積分率,

ppb

T

サンプリング時の平均温度

K

必要に応じて,

通常温度

296 K

を用いる。

M

ホルムアルデヒド分子量(

30.03 g/mol

P

サンプリング時の平均大気圧(

kPa

,必要に応じて,通常の

大気圧

101.3 kPa

を用いる。

方法の精度及び不確かさ 

繰返し測定の試験所内精度は,相対標準偏差として表した場合

10 %

以下であることが望ましい。


9

A 1963

:2015

注記 1

同時に

6

個のサンプラを暴露するフィールド試験を行ったところ,

3

部屋の室内環境中のホ

ルムアルデヒド濃度は,

0.027

1.1 mg/m

3

であり,測定の繰返し精度は相対標準偏差で表し

た場合

1

9 %

であった(

附属書 JB の参考文献

[9]

参照。

注記 2

住宅の寝室における繰返し測定の結果,濃度は

0.007

0.01 mg/m

3

であり,得られた相対標準

偏差は

6.2

8.7 %

であった(

附属書 JB の参考文献

[10]

[11]

参照。

注記 3

部屋にそれぞれ

2

か所の位置設定で

4

個のサンプラを置き,ホルムアルデヒドの濃度を測定

したところ

0.007

0.048 mg/m

3

であり,

10.9 %

であった

1

か所を除き,相対標準偏差は

0.8

8.3 %

であった(

附属書 JB の参考文献

[12]

参照。

注記 4

パッシブサンプリングの結果と,同時に別途行ったサンプリング方法(ポンプサンプリング)

を比較したところ,よい一致を示すことが報告されている(

附属書 JB の参考文献

[8]

[12]

参照。

10 

品質保証/品質管理 

使用者は JIS Q 17025 の要求事項を満たさなければならない。

調査ごと又はサンプラのロットごとにその一部としてトラベルブランク及び繰返しサンプリングを行わ

なければならない。これらは使用するサンプラ総数の

10 %

相当分以上,小規模の調査であっても最低一つ

は実施することが望ましい。

次のことも推奨される。

a)

内部の品質管理のために,定期的に(大規模な調査期間中には少なくとも

1

回)サンプリング速度を

確認することが望ましい。確認は,実験室の標準空気中に暴露させるなどの方法(例えば,ポンプサ

ンプリング)での比較によって行われるのがよい。

b)

対外的な品質保証のために,定期的に(大規模な調査期間中には少なくとも

1

回)サンプリング速度

を確認することが望ましい。確認は,十分な経験をもつ機関が運営する研究室又は共同比較実験(同

一サンプラ,複数試験所の参加)によって行われるのがよい。

11 

試験報告書 

試験報告書には少なくとも次の項目を加える。

a)

試料内容の明確な識別

b)

この規格を適用した旨

c)

サンプリングの場所及び時間並びに暴露時間

d)

必要な場合は,気圧及び気温

e)

試験結果(

μg/m

3

f)

測定中に観察された特記事項

g)

この規格若しくは参照した規格に含まれない操作,又は任意とみなされる操作


10

A 1963

:2015

附属書 A

(参考)

パッシブサンプラの例

A.1 

パッシブサンプラ 

A.1.1 

一般 

パッシブサンプラはサンプリングにポンプを用いない,いわゆる,分子の拡散原理に基づいたサンプラ

である。パッシブサンプラの形態はバッジ形とチューブ形とに大別される。サンプラに使用される捕集剤

には,亜硫酸水素ナトリウム,トリエタノールアミン,

2,4-

ジニトロフェニルヒドラジン(

2,4-DNPH

)な

どを,フィルタやシリカゲル(粒状)に含浸させた種々のものが報告されている。また,捕集剤から溶出

されたホルムアルデヒドの分析には吸光光度法,高速液体クロマトグラフ法,ガスクロマトグラフ−質量

分析法などが用いられている。本体では

2,4-DNPH

を含浸した捕集剤(シリカゲルフィルタ又はシリカゲ

ル)をセット又は充塡したバッジ形又はチューブ形が規定されている。

A.1.2 

バッジ形(角形)パッシブサンプラ 

図 A.1 にサンプラの構造例を示す。サンプラは,本体(ポリプロピレン製),捕集剤(

DNPH

コーティン

グフィルタとブランク部分とから構成)

,スクリーン及びスライドカバーから構成されている。大きさは長

6 cm

,幅

3.5 cm

,厚さ

0.5 cm

,重さは約

5 g

である。

A.1.3 

バッジ形(丸形)パッシブサンプラ 

図 A.2 に構造例を示す。サンプラは,本体(ナイロン製),スクリーン(四ふっ化エチレン製),捕集剤

DNPH

コーティングシリカゲル)

,クリップ(金属製)から構成されている。大きさは長さ

70 mm

,幅

42 mm

,厚さ

12 mm

,重さは

17 g

である。

A.1.4 

チューブ形サンプラ 

図 A.3 に構造例を示す。サンプラはポリエチレン製の多孔質チューブから構成されている。大きさは全

9 cm

,直径

1.2 cm

,重さは

2 g

である。

図 A.1−バッジ形(角形)サンプラの例(附属書 JB の参考文献[9]参照) 


11

A 1963

:2015

単位  mm

図 A.2−バッジ形(丸形)サンプラの例 

図 A.3−チューブ形サンプラの例 


12

A 1963

:2015

附属書 JA

(参考)

パッシブサンプラの性能試験に関する器具,

校正ガスの調製,試験条件,試験方法

JA.1

器具

既知濃度のホルムアルデヒドガスを調製,混合,送出するための動的システム。

JA.1.1

暴露チャンバー  パッシブサンプラの拡散取込み速度(

Diffusion uptake rate

,再現性試験,妨害ガ

ス試験などの性能試験を行う際に必要なチャンバーである。チャンバーの材質は,ガラス,ポリテトラフ

ルオロエチレン(

PTFE

)又はステンレス製などの不活性材料が望ましい。内容積は試験対象サンプラが

20

個以上設置できる容積が必要である。チャンバーにはガスの入り口と出口とを備え,かつ,チャンバー

内のガス濃度が測定できるようなサンプリング口を複数個を設ける。温度,湿度などを調節できる機器が

接続できるようにする。

図 JA.1 にチャンバーの一例を示す。

JA.1.2

制御設備  暴露チャンバーを通り抜ける空気の流量,ホルムアルデヒドガス濃度,妨害物質濃度,

温度,湿度などを制御し,それらのパラメータを測定し,変化させるための設備。

JA.1.3

測定機器  捕集したホルムアルデヒドを分析するための機器。気流,温度,湿度などを測定するた

めの機器。

1

ボンベ又は空気清浄装置

2

減圧器

3

流量計(ニードルバルブ付)

4

加湿器

5

ガス発生装置

6

混合容器

7

ファン

8

温・湿度計

9

風速計

10  パッシブサンプラ 
11  インナーチャンバー 
12  アウターチャンバー

13  恒温槽 
14  オーバフロー 
15  ポンプサンプリング用サンプラ 
16  ポンプ 
17  ガスメータ

a)

  参考文献  柳沢幸雄,西村肇ら,大気汚染学会誌,第 15 巻,第 8 号,pp.316∼323(1980)

図 JA.1−暴露チャンバーの例

a)


13

A 1963

:2015

JA.2 

基準測定法 

調製したホルムアルデヒドガスの暴露チャンバー内濃度を確認するための測定法。暴露チャンバー内の

ホルムアルデヒド濃度は JIS A 1962 によって求める。

JA.3 

ホルムアルデヒド校正ガスの調製 

JA.3.1 

概要 

JA.1

に記載した器具を用いて,一般的な濃度範囲,温度,湿度などにおいて,ホルムアルデヒドガスを

調製する。暴露チャンバーを通り抜ける流量は,全ての試験対象サンプラと基準測定法のサンプリング流

量を合計したものを,上回るようにする。同時に濃度の平衡状態を保持する。

注記

ホルムアルデヒド校正ガスの調製は,温度が

5

℃を下回り,相対湿度が

80 %

を上回る状態で

は実現が困難と考えられているため,こうした範囲の外側で試験する場合(範囲外の使用がサ

ンプラの用途から見て適切な場合に限る。

,そのための設備も試験用設備の一部とする。

JA.3.2 

ホルムアルデヒド校正ガスの調製 

ホルムアルデヒドガスはパーミエーションチューブ法,ディフュージョンチューブ法,ボンベガス法な

どによって調製する。

注記

現在,ホルムアルデヒド標準ガスの発生方法は確立されていない。一般的にはパーミエーショ

ンチューブ法,ディフュージョンチューブ法,ボンベガスなどを用いてガスを発生しているが,

濃度保証が取れない。よって,これら発生ガス濃度は基準測定法(JIS A 1962)で濃度を決定

する必要がある。

JA.3.3 

暴露チャンバーの入り口濃度及び出口濃度の測定 

基準測定法を用いて暴露チャンバーの入り口濃度と出口濃度とを算出する。このとき,チャンバー内の

全てのサンプラがサンプリングしている状態で行う。入り口濃度と出口濃度とに

5 %

を超える差がある場

合は,濃度差が

5 %

以下になるように各部を点検する。濃度差が

5 %

以下になれば,次の実験に備える。

JA.4 

試験条件 

JA.4.1 

拡散取込み速度の算出又は評価のための試験条件 

暴露チャンバーは JA.1.1,ホルムアルデヒドガスの調製は JA.3.2 に従う。試験対象サンプラは

1

セット

6

個)以上,基準測定法は

1

台。試験条件は次に示すような条件が望ましい。

試験濃度範囲は我が国の場合,厚生労働省の室内ガイドライン値が存在するので,これを参考にすると

よい。

注記

例えば,ガイドライン値の

50 %

50 μg/m

3

100 %

100 μg/m

3

150 %

150 μg/m

3

200 %

200 μg/m

3

300 %

300 μg/m

3

)の

5

段階程度の濃度範囲を選定し,試験する。

暴露時間は

24

72

時間程度が考えられる。サンプラの向きは製造業者の指定とおりとする。また,気流

0.02

2 m/s

の範囲,温度は(

25

±

2

)℃,相対湿度は(

50

±

5

%

。ただし,濃度,温度,その他の変動

パラメータについて示した範囲は,あくまでも参考である。試験対象サンプラの指定使用範囲が参考範囲

より,広いか,狭いかが分かっている場合,試験範囲には,そうした指定範囲に合わせて調整を加えなけ

ればならない。

JA.4.2 

屋外試験条件 

サンプラの試験場所は単数又は複数の適切な場所を選定する。

考慮すべき事項は使用場所

(都市,

地方)

地勢(土壌被覆,林野化)

,環境条件(気温,湿度,風速)

,化学物質の干渉などである。こうした変動要


14

A 1963

:2015

素の起こり得る範囲内で,少なくとも

2

回の試験を行う。

各試験は,少なくとも

1

セット(

6

個)のサンプラで,

1

週間暴露(週変化を捉える)させる。サンプラ

は同じ空気を捕集できるように配置する。同時に

6

個のトラベルブランクをとる。

注記

屋外試験はサンプラを野外で使用した場合,使用に起因して増大する誤差のうち,実験室試験

では捉えられない誤差要因を明らかにすることである。

JA.5 

試験方法 

JA.5.1 

概要 

一定タイプの拡散サンプラが,ある環境要素の影響を受けないことが試験前に分かっている場合は,影

響を及ぼす可能性のある要素に限り試験を行う。

注記

拡散取込み速度(

ng/ppb

min

又は

mL/min

)は大気圧に左右されないことが知られているため,

大気圧試験を行う必要はない。

JA.5.2 

抽出効率 

JA.5.2.1 

標準液添加法 

JA.5.2.1.1 

手順 

既知濃度の分析対象物質(例えば,

DNPH-

ホルムアルデヒド溶液)をサンプラ内の捕集剤に添加する。

添加量は中間暴露時間に相当する荷重(ガイドラインの

1/2

付近濃度で

48

時間暴露相当量,

10  μg

程度)

を負荷する。サンプル数は

1

セット(

6

個)とする。適切な溶剤(例えば,アセトニトリル)で抽出後,

各抽出液について

3

回分析する。

JA.5.2.1.2 

計算 

試料に標準液を添加し,定量操作を行った後,回収した平均質量を求める。この平均質量を添加質量で

除することによって,抽出効率を算出する。抽出効率は

95 %

以上とする。

JA.5.2.2 

相平衡法 

JA.5.2.2.1 

手順 

一定濃度を含有する抽出溶剤を,一定量共栓試験管に

2

セット準備する。一方の共栓試験管にサンプラ

から取り出した捕集剤を入れ,少なくとも

30

分以上,平衡状態を保った後,分析する。

JA.5.2.2.2 

計算 

捕集剤を添加した溶液の濃度を,捕集剤を添加していない濃度で除して,抽出効率を算出する。抽出効

率は

95 %

以上が望ましい。

JA.5.3 

拡散取込み速度の算出試験 

温度(

25

±

2

)℃,湿度(

50

±

5

%

,気流

0.1 m/s

の条件下で,ホルムアルデヒド濃度として,

0.04

0.08

0.12

0.16

及び

0.24 ppm

付近のガスを調製する。各々のガス濃度について,チャンバー内に試験対象サン

プラを

1

セット(

6

個)つるし,

24

時間暴露する。同時にチャンバー内濃度を基準測定法で

24

時間サンプ

リング(サンプリング流量はマスフローメータを用いて毎分

100 mL

に合わせる)した後,定量する。試

験結果は,

表 JA.1 に従って整理する。表中の暴露濃度と暴露時間との積を横軸,捕集量を縦軸にとり,両

者の相関を計算する。このとき,得られた一次回帰式の傾きが拡散取込み速度(

Diffusion uptake rate

又は

Sampling rate

μg/ppm

hr

)に相当する。また,式

(JA.1)

によって,

mL/min

で表示する拡散取込み速度へ

の換算が可能である。

P

T

M

u'

3

.

101

298

5

.

24

mL/min

W

×

×

×

=

  (JA.1)


15

A 1963

:2015

ここに,

u'

拡散取込み速度(

ng/ppm

min

24.5

298 K

101.3 kPa

におけるモル体積(

L

T

サンプリングした空気の温度(

K

M

W

ホルムアルデヒドの分子量

P

サンプリングした空気の圧力(

kPa

ここで,

T

25

℃,

P

1

気圧(

101.3 kPa

M

W

30.01

とし,式

(JA.1)

を変形すると式

(JA.2)

となる。

{

}

P

T

3

.

101

298

min)

(ppm

/

ng

817

.

0

min

/

mL

×

×

×

=

{

}

P

T

3

.

101

298

min)

(ppb

/

ng

817

min

/

mL

×

×

×

=

{

}

P

T

3

.

101

298

h)

(ppb

/

ng

6

.

13

min

/

mL

×

×

×

=

  (JA.2)

表 JA.1−拡散取込み速度の算出試験例 

濃度

(ppm)

暴露時間

(h)

濃度×時間

(ppm・h)

サンプラに捕集された

HCHO 捕集量(μg)

0.042 
0.088 
0.137 
0.170 
0.250

24 
24 
24 
24 
24

1.01 
2.11 
3.29 
4.08 
6.00

1.141 
2.282 
3.423 
4.564 
6.846

一方,パッシブサンプラと一定流量(

100 mL/min

)でサンプリングするポンプ法との同時測定結果から,

計算で拡散取込み速度を求める方法もある。例えば,毎分

100 mL

24

時間サンプリングしたときに,サ

ンプラに捕集されたホルムアルデヒド(

HCHO

)の質量を

HPLC

分析によって求める(例えば,分析結果

100  μg

。同時にパッシブサンプラに捕集された

HCHO

の質量も

HPLC

分析で求める(例えば,分析結果

12 μg

。これらの結果から,比例計算で拡散取込み速度が算出できる。

100(mL/min)

100(μg)

x(mL/min)

12(μg)

x

12 mL/min

すなわち,拡散取込み速度は

12 mL/min

となる。

JA.5.4 

気流及びサンプラの向きが及ぼす影響試験 

試験対象サンプラ

6

個をホルムアルデヒド校正ガスの中に設置する。気流とサンプラの向きを変えて暴

露実験を行う。具体的には気流は

0.02

2 m/s

までの範囲(例えば,

0.02 m/s

0.1 m/s

2 m/s

)で変化させ

る。一方,サンプラの向きは気流に対する抵抗が最大及び最小の向きに設定する。

JA.5.5 

環境試験条件がサンプラの性能(拡散取込み速度など)に及ぼす影響試験 

JA.5.5.1 

手順 

2

セット(

1

セットは

6

個のサンプラ)のサンプラを準備する。試験条件は,次のとおりである。温度,

湿度,濃度,暴露時間,サンプラの向き,干渉物質の有無。試験は

1

セットについては,低い測定値が出

るように試験条件を設定する。他のセットは測定値が高く出るように試験条件を設定する。

なお,

基準測定法でホルムアルデヒド校正ガス濃度を同時測定する。

表 JA.2 に試験条件を示す。ただし,

この条件はあくまでも参考である。

注記

代表的なサンプラの場合,取込み速度の低下が見られるのは,濃度,暴露時間,相対湿度,温

度,干渉物質濃度が増大したときである。


16

A 1963

:2015

表 JA.2−環境試験条件の拡散取込み速度などに及ぼす影響試験 

試験項目

試験条件

最大値(B)

最小値(A)

濃度範囲(μg/m

3

暴露時間(h) 
相対湿度(%)

温度(℃)

気流(m/s) 
干渉物質

100

72

80±5 
30±2

2

50 
24

25±5 
10±2

0.02

JA.5.5.2 

計算 

各暴露条件につき,

1

セット(

6

個)のサンプラを供して試験を行い,拡散取込み速度の公称値を用いて,

各々の測定濃度(

C

)を次のとおり計算する。この計算で得られた計算値とホルムアルデヒド校正ガス濃

度とが±

10 %

以内であれば,拡散パラメータの影響がないと考えてよい。

t

u

d

m

m

ρ

×

×

=

b

d

  (JA.3)

ここに,

ρ

測定濃度(

ng/L

,すなわち,

μg/m

3

m

d

サンプル中のホルムアルデヒド質量(

ng

m

b

ブランク中のホルムアルデヒド質量(

ng

d

抽出効率

u

拡散取込み速度(

mL/min

t

暴露時間(

min

注記

最大値及び最小値で試験した場合の計算値(公称値を用いて求めた濃度)が,ホルムアルデヒ

ド校正ガス濃度と比較して±

10 %

以内であれば,この条件下において拡散取込み速度は環境パ

ラメータの影響はないと考えてよい。

JA.5.6 

保管試験 

JA.5.6.1 

手順 

2

セット(

1

セットは

6

個のサンプラ)のサンプラを準備する。これに JA.5.2.1 と同濃度の標準液を添加

する。これに蒸留水をマイクロシリンジで添加する(湿度

80 %

,気温

25

℃で暴露させたと等量の水を添

加)

1

セット目は

1

日以内に分析する。

2

セット目は室温に

2

週間放置後,分析する。ブランクについて

も同様に操作を行い,分析する。

一方,サンプラを湿度

80 %

,気温

2

℃で暴露させた後,標準液を添加する。これらの試料について,

1

日以内に分析するものと,室温に

2

週間放置した試料について分析し,放置時間の影響を検討する。

JA.5.6.2 

計算 

一対の試験ごとに,

2

セットの試験結果の平均値を算出する。ブランク試験については,保管したブラ

ンクサンプルの標準偏差も算出する。一対ごとの平均値を比較(差の検定)し,保管の影響を検討する。

JA.5.7 

保管寿命試験 

JA.5.7.1 

手順 

試験対象サンプラは,製造業者が指定した最大保管温度で保管しなければならない。指定保管寿命の公

称末日から

3

か月以内に,サンプラは JA.5.5 に基づき試験を行う。具体的には,試験対象サンプラと使用

期限内サンプラを

2

セット(

1

セットは

6

個のサンプラ)準備し,

表 JA.2 の条件で試験を行う。

JA.5.7.2 

計算 

各対象サンプラの平均値を算出し,平均値の比較(差の検定)から保管寿命を検討する。同時にブラン


17

A 1963

:2015

ク試験も実施する。

JA.5.8 

サンプラの破過試験 

3

セット(

1

セットは

6

個のサンプラ)のサンプラを準備する。ガイドライン値の

3

倍濃度(

300 μg/m

3

の雰囲気中に

24

時間,

72

時間,及び

168

時間(

7

日)暴露させる。サンプラを分析し,測定値に異常がな

いか否かを検討し,サンプラの破過を判定する。

JA.5.9 

ブランク測定 

未使用サンプラを

6

個分析し,平均値及び標準偏差を算出する。

JA.5.10 

屋外試験 

JA.4.2

に従って暴露する。平均値及標準偏差を算出する。

JA.5.11 

パッシブサンプラを用いた室内実測例 

チューブ形サンプラを室内に

10

個つるすフィールド実験を行ったところ,変動係数で

3.1 %

であった。

一方,チューブ形サンプラとポンプ法(

DNPH

HPLC

)との同時測定を行った結果,

図 JA.2 に示すよう

に高い相関が認められている。

図 JA.2−パッシブサンプラを用いた室内測定例 


18

A 1963

:2015

附属書 JB

(参考) 
参考文献

[1]

ISO 12219-1

Interior air of road vehicles

Part 1: Whole vehicle test chamber

Specification and method for

the determination of volatile organic compounds in cabin interiors

[2]

ISO 12219-2

Interior air of road vehicles

Part 2: Screening method for the determination of the emissions of

volatile organic compounds from vehicle interior parts and materials

Bag method

[3]

ISO 12219-3

Interior air of road vehicles

Part 3: Screening method for the determination of the emissions of

volatile organic compounds from vehicle interior parts and materials

Micro-scale chamber method

[4]

ISO 12219-4

Interior air of road vehicles

Part 4: Method for the determination of the emissions of volatile

organic compounds from vehicle interior parts and materials

Small chamber method

[5]

ISO 12219-5

Interior air of road vehicles

Part 5: Screening method for the determination of the emissions of

volatile organic compounds from vehicle interior parts and materials

Static chamber method

[6]

JIS A 1966

  室内空気中の揮発性有機化合物(

VOC

)の吸着捕集・加熱脱離・キャピラリーガスクロ

マトグラフィーよるサンプリング及び分析−ポンプサンプリング

[7]

JIS A 1967

  室内空気中の揮発性有機化合物(

VOC

)の吸着捕集・加熱脱離・キャピラリーガスクロ

マトグラフィーによるサンプリング及び分析−パッシブサンプリング

[8]

MDHS 78

:1994

Formaldehyde in air

Laboratory method using a diffusive sampler, solvent desorption and

high performance liquid chromatography. Available (viewed 2011-11-18) at:

http://www.hse.gov.uk/pubns/mdhs/pdfs/mdhs78.pdf

[9]  Levin J., Lindahl R. and Andersson K. (1988). High performance liquid chromatographic determination of

formaldehyde in air in the ppb to ppm range using diffusive sampling and hydrazone formation. Environmental

Technology Letters 9, 1423-1430.

[10] Berry R. et al (1996). Indoor air quality in homes; the Building Research Establishment Indoor Environment

Study. Reports BR 299 and BR 300, Buliding Research Establishment, Watford, UK.

[11] Brown V. M., Crump D. R., Gavin M. A. and Gardiner D. (1991). Aldehydes in the non-industrial indoor

environment. Proceedings of the International Symposium, on Clean Air at Work, Luxembourg, 1991. Royal

Society of Chemistry, Special Publication No.108, p 365-367.

[12] Gavin M.A., Crump D.R. and Brown V.M. (1995). Appropriate sampling strategies for the measurement of

formaldehyde in indoor air. Environ. Technol. 16, 579-586.

[13] Shigehisa UCHIYAMA, Shuji HASEGAWA (1999). A Reactive and Sensitive Diffusion Sampler for the

Determination of Aldehydes and Ketones in Ambient Air. Atmospheric Environment. 33(1999) 1999-2005.

[14]

駒井奥太郎,箭内慎吾,山縣文夫(

2000

,分子拡散型サンプラを用いた

HCHO

測定法の検討,室内

環境学会誌,

3

No.2

110-111.


19

A 1963

:2015

附属書 JC

(参考)

JIS

と対応国際規格との対比表

JIS A 1963:2015

  室内空気中のホルムアルデヒドの定量−パッシブサンプリン

ISO 16000-4:2011

, Indoor air − Part 4: Determination of formaldehyde − Diffusive

sampling method

(I)JIS の規定

(II) 
国際

規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条ごとの評
価及びその内容

(V)JIS と国際規格
と の 技 術 的 差 異 の

理 由 及 び 今 後 の 対

箇条番号

及び題名

内容

箇条

番号

内容

箇条ごと

の評価

技術的差異の内容

2  引用規格

4.1  試薬 a)

2,4-ジニトロフェニルヒドラジ

b)  アセトニトリル 
c)  濃塩酸 
d)  窒素 
e)  水 
f)  ホルムアルデヒド 
g)  エタノール 
h)  メタノール 
i)  りん酸 
j)  グリセリン

 4.1∼4.10

試薬について規

変更

ISO

規格では試薬の規定に当たって,他

の規格を引用していない。試薬に関する

JIS

を引用することで,規格の活用性を

向上させることとした。

ISO

へ今後時期をみ

て,試薬の品質など
を 規 定 す る よ う 提

案する。

4.5  コー テ
ィングフィ

ルタの調製

調製方法 
市販の調製済みフィルタについて,

タイプを例示した。

 4.14  市販の調製済み

フィルタについ

て,例示がない。

追加

この規格で,試験者自らが作製するフィ
ルタは,シリカゲル含浸セルロースを材

料としている。市販の調製済みフィルタ

には,このほかに粒状シリカゲルタイプ
もあることから,その旨追記した。

ISO

規格改正時に,

改正提案する。

6  サンプリ
ング

サンプリングの条件を規定。

パッシブサンプラの取付け高さを
0.75∼1.5 m とした。

 6

試料空気の採取

において,床面

か ら の 高 さ を
1.5 m と規定。

変更

室内濃度指針値及び建築物における衛

生的環境の確保に関する法律に合わせ

て,試料空気採取高さを,座ったときの
呼吸域高さとした。

ISO

規格改正時に,

改正提案する。

19

A

 1

963


20
15


20

A 1963

:2015

(I)JIS の規定

(II) 
国際

規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条ごとの評
価及びその内容

(V)JIS と国際規格
と の 技 術 的 差 異 の

理 由 及 び 今 後 の 対

箇条番号

及び題名

内容

箇条

番号

内容

箇条ごと

の評価

技術的差異の内容

7.3 HPLC
分析

HPLC の分析手順を変更した。   7.3

HPLC の分析手
順が,具体的か
つ詳細。

変更

マニュアルインジェクションを想定し

た具体的な手順を割愛し,より汎用性の
高い記述とした。

ISO

規格改正時に,

再度改正提案する。

7.6  抽出 効
率の測定

サンプラの抽出効率の測定方法を

規定。

 7.4

追加

抽出効率の測定に際して,ポンプ法によ

る検証を推奨する旨追記した。

ISO

規格改正時に,

改正提案する。

8  計算

室内空気中のホルムアルデヒド濃

度計算方法を規定。 
通常温度を 296 K(23  ℃)とした。

 8

通常温度は,298 
K(25  ℃)。

変更

一般に,ISO 規格においては 23  ℃が基

本的な温度とされているため,変更し
た。

ISO

規格改正時に,

改正提案する。

9  方法の精
度及び不確

かさ

繰返し測定の精度について,例を記

載。

 9

追加

我が国の住宅における測定データを,参

考として(文献資料からの引用)追加し

た。

ISO

規格改正時に,

改正提案する。

附属書 JB 
(参考)

参考文献[1]∼[14]

Bibliography 参 考 文 献 [1] ∼

[12]

追加

我が国における調査研究レポートなど,
参照すべき文献[13],[14]を追記した。

ISO

規格改正時に,

改正提案する。

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 16000-4:2011,MOD

注記 1  箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

−  追加  国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。

−  変更  国際規格の規定内容を変更している。

注記 2  JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

−  MOD  国際規格を修正している。

20

A

 1

963


20
15


21

A 1963

:2015

附属書 JD

(参考)

技術上重要な改正に関する新旧対照表

現行規格(JIS A 1963:2015)

旧規格(JIS A 1963:2005)

改正理由

箇条番号

及び題名

内容

箇条番号

及び題名

内容

1  適 用 範

この方法は,気流速度の下限が 0.02 m/s で,

“通常の室

内空気における相対湿度条件での測定”に適している。

注記 2  この規格では,使用する吸着剤(DNPH-

ホルムアルデヒド誘導体)及びサンプラ
の自作について記載しているが,品質及

び性能が確認されたものであれば市販品

を用いてもよい。市販品には,種々の構
造,形状のものがあるが,吸着剤は全て
DNPH-ホルムアルデヒド誘導体が用いら
れている。ただし,この規格において特
定の製品を推奨するものではないことか

ら,具体的な記載はしていない。

1.  適用範

この方法は,気流速度の下限が 0.02 m/s で,

“相対湿度

の上限が 80 %までの測定”に適している。

この規格では,使用する試薬(DNPH-ホルムアルデヒ

ド誘導体)及びサンプラは自作を前提としているが,
品質及び性能が確認されたものであれば市販品を用い

てもよい。

ISO 16000-4:2011

への整合。

注記 3  この規格では,IUPAC 命名法に基づく化

学物質名称に替えて慣用名を用いている
場合がある。例えば,

“メタナール”の替

わりに“ホルムアルデヒド”が用いられ

ている。

3  原理

ホルムアルデヒド蒸気は拡散によってサンプラの中へ
移動し,2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)及

びりん酸でコーティングされた“シリカゲル含浸セル

ロース紙など”に捕集される。

3.  原理

ホルムアルデヒド蒸気は拡散によってサンプラの中へ
移動し,2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)及

びりん酸でコーティングされた“捕集剤”に捕集され

る。

ISO 16000-4:2011

への整合。

4.1  試薬

− 4.1

試薬

アセトニトリル及び水は高速液体クロマトグラフ用と
する。次の試薬が必要とされる。

ISO 16000-4:2011

への整合。

d)

窒素  高純度窒素

21

A

 1

963


20
15


22

A 1963

:2015

現行規格(JIS A 1963:2015)

旧規格(JIS A 1963:2005)

改正理由

箇条番号
及び題名

内容

箇条番号
及び題名

内容

4.2  ホ ル
ム ア ル デ

ヒ ド ジ ニ
ト ロ フ ェ

ニ ル ヒ ド

ラ ゾ ン
( DNPH-

ホ ル ム ア

ル デ ヒ ド
誘導体)の

調製

500 mL のフラスコに 2,4-ジニトロフェニルヒドラジン

2)

”2 g をはかりとり,濃塩酸 10 mL をかき混ぜなが

ら加える。

4.2  ホ ル
ム ア ル デ

ヒ ド ヒ ド
ラ ゾ ン

( DNPH-

ホ ル ム ア
ル デ ヒ ド

誘導体)の

調製

500 mL のフラスコに 2,4-ジニトロフェニルヒドラジン
2 g をはかりとり,濃塩酸 10 mL をかき混ぜながら加
える。

注の追加。

融点測定(166  ℃)又は HPLC 分析(純度>99 %質量

分率)によって,DNPH-ホルムアルデヒド誘導体の純

度を確認する。純度が満足しない場合は,エタノール
中で誘導体を再結晶化を行い,純度が許容レベル(例

えば,99 %質量分率)を満足するまで,純度確認と再

結晶化を繰り返す。DNPH-ホルムアルデヒド誘導体は
冷蔵(4  ℃)

・遮光保管するのがよい

3)

。また,少なく

とも 6 か月間安定であることが望ましい。

ISO 16000-4:2011

への整合。

2)

  品質が確認された DNPH-ホルムアルデヒド

誘導体であれば,市販品を用いてもよい。

標準として用いるための DNPH-ホルムアル

デヒド誘導体が,純結晶体及びアセトニト
リル溶液(単独又は混合溶液)として市販

されている。

備考  品質が確認されたホルムアルデヒドヒドラ

ゾンであれば,市販品を用いてもよい。

JIS Z 8301

へ の 準 拠 及 び

ISO 16000-4:2011

への整合。

3)

  窒素又はアルゴン環境下に保管すること

で,より長期間,誘導体の安定性が保たれ

る。

4.3 
DNPH- ホ
ル ム ア ル

デ ヒ ド 標

準 液 の 調

全ての標準液は,密栓して冷蔵・遮光保管とし,使用

に際しては室温に平衡化させる。 
保管された標準液は,4 週間単位で置き替わるのが望

ましい。

4.3 
DNPH- ホ
ル ム ア ル

デ ヒ ド 標

準 液 の 調

ISO 16000-4:2011

への整合。

22

A

 1

963


20
15


23

A 1963

:2015

現行規格(JIS A 1963:2015)

旧規格(JIS A 1963:2005)

改正理由

箇条番号
及び題名

内容

箇条番号
及び題名

内容

4.5  コ ー
テ ィ ン グ

フ ィ ル タ
の調製

必要なサイズにカットして使用可能な,ロール状のコ

ーティングされていないフィルタ(シリカゲル含浸セ

ルロール紙)が市販されている。

4.5.1  コー
テ ィ ン グ

フ ィ ル タ
の調製

ISO 16000-4:2011

への整合。

コーティングフィルタを,パッシブサンプラ内に設置

する。

別のコーティングフィルタ及び金属メッシュで封止
し,汚染を防止する(箇条 参照)

コーティングフィルタは,冷蔵(4  ℃)

・遮光環境下で

保管した場合,少なくとも 6 か月間安定である。

この規格によって調製及び保管されたコーティングフ

ィルタのブランク値は,20 mm×20 mm のフィルタ当

たり,DNPH-ホルムアルデヒド誘導体 0.7  μg(ホルム
アルデヒド量として 0.1  μg)以下であることが望まし

い。

備考  この規格によって調製及び保管されたコー

ティングフィルタのブランク値は,20 mm

×20 mm のフィルタ当たり,DNPH-ホルム
アルデヒド誘導体 0.7 μg(ホルムアルデヒド

量として 0.1  μg)以下であることが望まし

い。

備考は ISO 16000-4:2011 に
整 合 さ せ て 本 文 に 移 動 し

た。 

注記  この規格では,サンプラ内で使用するコー

ティングフィルタの調製方法について規定

しているが,調製済みフィルタ(シリカゲ
ル含浸セルロース紙,粒状シリカゲルなど)

を内包するサンプラが市販されており,よ

り低いブランクレベルで,より均一な品質
であるといった利点がある。市販サンプラ

の構造等については,

附属書 及び附属書

JB

の参考文献に記載がある。

23

A

 1

963


20
15


24

A 1963

:2015

現行規格(JIS A 1963:2015)

旧規格(JIS A 1963:2005)

改正理由

箇条番号
及び題名

内容

箇条番号
及び題名

内容

− 4.5.2

コー

テ ィ ン グ

シ リ カ ゲ
ル(粒状)

の調製

1 L のフラスコにアセトニトリル 75 mL,85 %りん酸
0.9 mL,精製 DNPH(2,4-ジニトロフェニルヒドラジ
ン:JIS K 8480:1994 に規定されるもので,使用前に少
なくとも 2 回紫外線吸光度測定用又は高速液体クロマ
トグラフ用のアセトニトリルで再結晶する)450 mg を
入れ,超音波分散を 5 分間行い,DNPH を溶かす。つ
いで,シリカゲル 60 g,アセトニトリル 250 mL を上
記フラスコに加え,超音波分散を 5 分間行い,DNPH
をシリカゲルに均一に分散させる。ついで,1 L のナ
ス形フラスコに上記溶液を移し,これをエバポレータ
にセットする。40∼50  ℃,減圧下(0.08∼0.09 MPa)
で脱溶媒と乾燥を行う。コーティングを行ったシリカ
ゲルはガラス製遮光瓶に移し,さらにアルミラミネー
ト製袋に入れ,脱気後,ヒートシールを行う。その後,
冷蔵庫(5  ℃以下)で保管する。一連の操作は窒素雰
囲気中で行うことが望ましい。

備考 1.  使用するシリカゲルの洗浄方法は,次に

よる。

500 mL のビーカーに 60 g のシリカゲル

(粒径 105∼210  μm,表面積 350∼450 
cm

2

/g)とアセトニトリル 250 mL を入れ,

アルミニウムはく(箔)で覆いながら超
音波洗浄を 15 分間行う。次いで,窒素雰
囲気中で吸引ろ過を行う。その後,アセ
トニトリル 100 mL をロートに注ぎ洗浄を
行う。再び吸引ろ過を行う。この操作を
計 3 回行い,洗浄を完了する。洗浄した
シリカゲルは遮光ビンに入れ,シールを
行った後,保管する。

2.

この規格によって調製及び保管されたコ
ー テ ィ ン グ シ リ カ ゲ ル の ブ ラ ン ク 値 は
250 mg 当たり DNPH-ホルムアルデヒド誘
導体 0.7  μg(ホルムアルデヒド量として
0.1 μg)以下であることが望ましい。

ISO 16000-4

に一致する項

目はない。

規格の新規制定時に日本独
自の規定として記述された

が,現在は意義が希薄であ

ることから,削除する。

24

A

 1

963


20
15


25

A 1963

:2015

現行規格(JIS A 1963:2015)

旧規格(JIS A 1963:2005)

改正理由

箇条番号
及び題名

内容

箇条番号
及び題名

内容

5.1  パ ッ
シ ブ サ ン

プラ

必要な性能を満たす市販又は自作サンプラのいずれを

用いてもよい(

図 A.1 参照)。また,短時間サンプリン

グにも供することができる。

5.1  パ ッ
シ ブ サ ン

プラ

必要な性能を満たすものであれば,市販品又は自作サ

ンプラを用いてもよい。パッシブサンプラは空気中に
暴露される開口部及び適切な拡散長をもつものとす
る。

ISO 16000-4:2011

への整合

(記載箇所の変更)

使用しないサンプラは,“汚染防止用コーティングフ

ィルタ及び金網メッシュで封止した気密保護容器に入

れて冷蔵保管しておく(7.5 参照)

使用しないサンプラは,“気密保護容器に保管してお

く。

ISO 16000-4:2011

への整合。 

このサンプラの場合,コーティングフィルタは,樹脂
製の穴があいたスクリーン(拡散スクリーン)の下に

設置されている。サンプラは,穴を空気に暴露させる

ためにスライド式でカバーが開けられ,カバーを戻す
ことによって閉じられる。

ほかの,選択の対象となるサンプラの構造を,

図 A.2

及び

図 A.3 に示す。

パッシブサンプラは,空気に暴露される開口部及び適
切な拡散長をもつものとする。

ISO 16000-4:2011

への整合。 

注記 2  パッシブサンプラの設計に関する指針及

び性能試験の手順が EN 13528-2 に示され
ている。ここでは,サンプラの拡散取込

み速度を決定するために,サンプラの使

用条件に適した温度,湿度,気流,暴露
時間及びガス濃度について異なる条件で

の,標準ガスの発生を要求している。空

気中のホルムアルデヒドを測定するため
のパッシブサンプラの性能検討例につい

て,参考文献に記載がある。

パッシブサンプラの設計に関する指針及び性能試験の

手順が prEN 13528-2 に示されている。ここでは,サン
プラの拡散取込み速度を決定するために,サンプラの

使用条件に適した温度,湿度,気流,暴露時間及びガ

ス濃度について異なる条件での,標準ガスの発生を要
求している。

空気中のホルムアルデヒドを測定するためのパッシブ

サンプラの性能検討例を参考文献に示す。

注記に変更。 

5.2  高 速
液 体 ク ロ
マ ト グ ラ

カラムは,

“360 nm”の波長においてモニタ可能な UV

検出器に接続される。

5.2  高 速
液 体 ク ロ
マ ト グ ラ

カラムは,

“345∼360 nm”の波長においてモニタ可能

な UV 検出器に接続されたもの。

ISO 16000-4:2011

への整合。

グラジェント法又はイソクラティック法のどちらを用

いてもよい。

ISO 16000-4:2011

への整合

(記載箇所の変更)

 

25

A

 1

963


20
15


26

A 1963

:2015

現行規格(JIS A 1963:2015)

旧規格(JIS A 1963:2005)

改正理由

箇条番号
及び題名

内容

箇条番号
及び題名

内容

6  サ ン プ
リング

サンプリング終了後にサンプラを閉じる。保管する場

合は,取扱いを容易にするために,金属メッシュで
DNPH コーティングフィルタとともに封止された気密
保護容器の中に入れる。サンプリング終了の日付及び

時刻を記録する。

6.  サンプ
リング

暴露終了後サンプラのカバーなどを閉じ,必要に応じ

金属スクリーンに包まれた DNPH コーティングフィル

タとともに気密保護容器の中に入れる。

ISO 16000-4:2011

への整合。

この DNPH コーテイングフィルタは容器中の空気に含
まれるホルムアルデヒドを吸着するため,試料の汚染

を防ぐことができる。サンプリング終了の日付と時刻

を記録する。

重複した記述であり,不要。 

7.1  抽 出
及 び サ ン

プル調製

ブランク一体形のコーティングフィルタをもつサンプ
ラの場合は,裁断し,フィルタの暴露部分と切り離す。

例えば,20 mm×45 mm のフィルタをサンプル部分と

ブランク部分に切り離した場合,各フィルタ部分を“4 
mL”抽出容器の中に入れる

7.1.1  コー
テ ィ ン グ

フィルタ

ブランク一体形のコーティングフィルタをもつサンプ
ラの場合は,裁断し,フィルタの暴露部分と切り離す。

例えば,20 mm×45 mm のフィルタをサンプル部分と

ブランク部分に切り離した場合,各フィルタ部分を

“例

えば 4 mL”抽出容器の中に入れる。

 
 
ISO 16000-4:2011

への整合。

“DNPH-ホルムアルデヒド誘導体溶液は,冷蔵(4  ℃)

保管とし”

,3 日以内に分析することが望ましい。

“DNPH-ホルムアルデヒド誘導体を含むアセトニト

リル溶液は”3 日以内に分析することが望ましい。

ISO 16000-4:2011

への整合。

− 7.1.2

コー

テ ィ ン グ
シ リ カ ゲ

ル(粒状)

コーティングシリカゲル(粒状)からの DNPH-ホルム

アルデヒド誘導体の抽出は,清浄な空気中で行う。例
えば,サンプラに注射筒(5∼10 mL)を接続し,これ

をシリンジラックに置く。注射筒に 5 mL のアセトニ

トリルを入れ,自然滴下(重力による)させるか,又
は静かに注射筒で押し流す。DNPH 誘導体と未反応の
DNPH を 5 mL の目盛付き試験管又は全量フラスコに
抽出後,アセトニトリルで標線に合わせる。トラベル
ブランクについても同様の操作を行う。必要であれば
HPLC 分析の前に,抽出物をろ過してもよい。

ISO 16000-4:2011

に一致す

る項目はない。 
規格の新規制定時に日本独

自の規定として記載された

が,現在は意義が希薄であ
ることから,削除した。

7.2  検 量

キャリーオーバー防止のため,最低濃度から開始する。 7.2  検 量

ISO 16000-4:2011

への整合。

検量線の作成周期は,通常 1 か月である。2 組の検量
線で確認ポイントを分析することによって,検量線の

妥当性を検証することができる。

26

A

 1

963


20
15


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A 1963

:2015

現行規格(JIS A 1963:2015)

旧規格(JIS A 1963:2005)

改正理由

箇条番号
及び題名

内容

箇条番号
及び題名

内容

7.3 HPLC
分析

HPLC 装置を構成して,7.2 に基づいて検量線を作成

する。一般的な操作事項は次によるが,構成した HPLC
装置の特性などに応じて,より適切で精確な分析結果
を得るために適宜変更してもよい。メタノール:水=
70:30 移動相を用いたオクタデシルシランカラム(粒
径 5 μm,長さ 150 mm,内径 4.6 mm)が,DNPH-ホル
ムアルデヒドと妨害する可能性のある化合物とを十分

に分離できることが知られている。グラジエント法又

はイソクラティック法のどちらを用いてもよい。

メタノール及び水に代えて,JIS A 1962 に規定され

ている,アセトニトリル:水=60:40 イソクラティッ

ク移動相を用いる方法も適切であることが知られてい
る。具体的な事項は,次による。

−  カラム:C18 逆相カラム

−  移動相:アセトニトリル:水=60:40 
−  検出器:UV 360 nm

−  流量:1 mL/min

−  保持時間:∼7 分/ホルムアルデヒド。C18 カラ

ム 2 本使用の場合,∼13 分/ホルムアルデヒド。

−  サンプル注入量:25 μL

分析前に,安定した条件を確保するため,検出器の

ベースラインを確認する。

アセトニトリル及び水を 6:4 の体積比で混合して

HPLC 移動相を調製するか,又は HPLC 上で適切なグ
ラジエント条件を設定する。適切な器具及び方法

4)

用いて移動相のろ過及び脱気を行う。必要な場合,移

動相のガスを更に除去するため,定圧(350 kPa)制御
装置又は内径 0.25 mm×長さ 15∼30 cm の PTFE チュ

ーブは,検出器の後に配置する。

移動相を 1.0 mL/ min の流量で HPLC に一定時間(20

∼30 分程度)送液した後,分析を開始する。

分析条件の変更を許容し,

規定に幅をもたせた。

ISO 16000-4:2011

への整合

(記載箇所の変更)

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
HPLC の操作手順について,
より汎用的な記載となるよ

う,ISO 16000-4:2011 の文面
を変更。

27

A

 1

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15


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A 1963

:2015

現行規格(JIS A 1963:2015)

旧規格(JIS A 1963:2005)

改正理由

箇条番号
及び題名

内容

箇条番号
及び題名

内容

使用する装置に応じた適切な分析条件(注入量,バ

ルブ切替時機,分析時間など)にて,分析を行う。1

回の分析につき,DNPH-ホルムアルデヒド誘導体を全
て溶出させ,安定したベースラインが得られた後,次

のサンプル分析を開始する。

注記  数回分析した後の,カラムのビルドアップ

(例えば,設定流量と溶媒組成における,

分 析 の 実 行 か ら の 圧 力 増 加 よ っ て 示 され

る。

)は,分離カラム容量と等量の 100 %ア

セトニトリル溶液を流すことで除去するこ

とができる。プレカラムが用いられている

場合,同様の保護措置を行うことができる。

分析対象の濃度が,検量線の直線範囲を超える場合は,

サンプル溶液を移動相で希釈するか又は HPLC への注

入量を少なくする。先に実行した分析によって把握さ
れている保持時間と相違がある(±10 %)場合は,正

しい溶出時間となるよう,移動相のアセトニトリルの

比率を増加又は減少させてもよい。溶媒の変更が必要
な場合は,常にサンプルを実行する前に再度検量線を

作成する。

試験者は,個別の分析ニーズに応じて,クロマトグ

ラフィー条件を最適化するために,HPLC システムを

用いて試し分析を行うことが推奨される。

HPLC 装置として,マニュアルインジェクション方

式,又は注入,スタート及びデータ取得が自動化され

たシステムの,いずれを用いてもよい。

JIS A 1962

の 4.2(オゾンの干渉)に基づき,クロマ

トグラムからオゾンの影響について確認する。

28

A

 1

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A 1963

:2015

現行規格(JIS A 1963:2015)

旧規格(JIS A 1963:2005)

改正理由

箇条番号
及び題名

内容

箇条番号
及び題名

内容

4)

  移動相のろ過に用いる器具としては,例え

ば,ガラス製 0.22 μm ポリエステルメンブレ

ンフィルター及びテトラフルオロエチレン
樹脂(PTFE)製の吸引ろ過装置がある。ま

た,脱気の方法として,例えば,次のもの

がある。 
− 100

mL/min のヘリウムガスによる 10∼

15 分パージ

− 60 ℃加熱(5∼10 分間) 
−  超音波処理(5∼10 分間)

7.4 
7.5 
8.1

コーティングフィルタ 7.3 

7.4 
8.1

コーティングフィルタ又はコーティングシリカゲル

(粒状)

ISO 16000-4:2011

への整合。

7.4  サ ン
プ ル 濃 度

の定量

ピ ー ク 高 さ 又 は ピ ー ク 面 積 を 測 定 し , 検 量 線 か ら
DNPH-ホルムアルデヒド誘導体の“溶液濃度”を定量
する。

7.3  サ ン
プ ル 濃 度

の定量

ピ ー ク 高 さ 又 は ピ ー ク 面 積 を 測 定 し , 検 量 線 か ら
DNPH-ホルムアルデヒド誘導体の“含有量”を定量す
る。

ISO 16000-4:2011

への整合。

7.5  保管

調製済みコーティングフィルタを気密保護容器中に密

封し,使用する前まで“冷凍庫内(−18  ℃)

”で保管

した場合の有効期間は,少なくとも 6 か月である。

7.5  保管

調製済みコーティングフィルタ及びコーティングシリ

カゲル(粒状)を気密保護容器中に密封し,使用する
前まで“冷蔵庫内”で保存した場合の保存期間は,少

なくとも 6 か月である。

ISO 16000-4:2011

への整合。

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A

 1

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A 1963

:2015

現行規格(JIS A 1963:2015)

旧規格(JIS A 1963:2005)

改正理由

箇条番号
及び題名

内容

箇条番号
及び題名

内容

7.6  抽 出
効 率 の 測

抽出効率は,安定した既知濃度のホルムアルデヒド雰

囲気中にサンプラを暴露して求められる。少なくとも,

測定濃度範囲の上限及び下限の 2 濃度水準でサンプラ
暴露試験を行い,抽出効率を算出することが望ましい。

ポンプ法との同時測定を行い,ポンプ法の測定値を基
に抽出効率を求めるとよい。

7.4  抽 出
効 率 の 測

安定した既知濃度のホルムアルデヒド雰囲気中にサン

プラを暴露して抽出効率を求める場合は,ポンプ法と
の同時測定を行い,ポンプ法の測定値を基に抽出効率
を求めることが必要である。この場合,測定濃度範囲

の上限及び下限濃度においてサンプラ暴露試験を行

い,抽出効率を算出することが望ましい。

ISO 16000-4:2011

への整合。

規定の意味を要求から推奨

に変更。

適切な暴露時間,及び EN 13528-2 によって確認された

サンプラの拡散取込み速度に基づき,コーティング材

中の DNPH-ホルムアルデヒド誘導体の量を計算する。
サンプラを分析し,DNPH-ホルムアルデヒドの抽出効

率を求める。この方法による抽出効率が,少なくとも
85 %以上であることが望ましい。

暴露時間及びサンプラの取込み速度に基づき(prEN 

13528-1 Ambient air quality

−Diffusive samplers for the

determination of gases and vapors−Requirements and test 
methods, Part 1: General requirements によって実証され
ている)

,コーティングフィルタ又はコーティングシリ

カゲル(粒状)の DNPH-ホルムアルデヒド誘導体の量
を計算する。サンプラを分析し,DNPH-ホルムアルデ

ヒドの抽出効率を求める。この方法による抽出効率は

少なくとも 85 %以上とする。

規定の意味を要求から推奨

に変更。 

8.2  空 気
中 の ホ ル

ム ア ル デ

ヒド濃度

100

10

143

.

0

)

(

6

blank

d

t

u

m

m

×

×

×

×

=

ρ

ここに,

ρ:  空気中のホルムアルデヒド

濃度(μg/m

3

m:  暴 露 し た サ ン プ ラ 中 の

DNPH-ホルムアルデヒド誘
導体の質量(μg)

m

blank

:  ブ ラ ン ク サ ン プ ラ 中 の

DNPH-ホルムアルデヒド誘
導体の質量(μg)

u:  サンプラの拡散取込み速度

(cm

3

/min)

t:  暴露時間(min)

d:  抽出効率(%)

 0.143:  ホルムアルデヒド分子量を

DNPH-ホルムアルデヒド誘
導体分子量で除した値

8.2  空 気
中 の ホ ル

ム ア ル デ

ヒド濃度

(

)

t

u

m

m

C

×

×

×

=

6

blank

10

143

.

0

ここに,

C: 空気中のホルムアルデヒ

ド濃度(μg/m

3

m: 暴 露 し た サ ン プ ラ 中 の

DNPH-ホルムアルデヒド
誘導体の質量(μg)

m

blank

ブ ラ ン ク サ ン プ ラ 中 の
DNPH-ホルムアルデヒド
誘導体の質量(μg)

u: サ ン プ ラ の 取 込 み 速 度

(cm

3

/min)

t: 暴露時間(min)

 0.143: ホルムアルデヒド分子量

を DNPH-ホルムアルデヒ
ド誘導体分子量で除した

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ISO 16000-4:2011

への整合。

30

A

 1

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20
15


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A 1963

:2015

現行規格(JIS A 1963:2015)

旧規格(JIS A 1963:2005)

改正理由

箇条番号
及び題名

内容

箇条番号
及び題名

内容

注記  測定結果を ppb,ppm などの体積分率で表す

ことは,望ましくない。ただし,その必要

のある規格使用者のために,結果を体積分
率(ppb)で表す計算式を次に示す。

100

2

.

273

3

.

101

4

.

22

d

T

P

M

'

×

×

×

×

=

ρ

ρ

ここに,

ρ':  空気中のホルムアルデヒ

ド濃度(体積分率,ppb)

T:  サンプリング時の平均温

度(K,必要に応じて,通

常温度 296 K を用いる。

M:  ホルムアルデヒド分子量

(30.03 g/mol)

P:  サンプリング時の平均大

気圧(kPa,必要に応じて,

通常の大気圧 101.3 kPa を

用いる。

又は採取した空気中のホルムアルデヒドの濃度は

ppm で表してもよい。

t

u

m

m

C

×

×

×

=

1

3

blank

1

10

143

.

0

)

(

ここに,

C

1

空気中のホルムアルデヒ
ド濃度(ppm)

u

1

取込み速度(ng/ppm/min)

取込み速度における mL/min 及び ng/ppm/min の関係

は,次の式のとおりである。

P

T

M

u

u

w

3

.

101

298

5

.

24

1

×

×

×

=

ここに, 24.5:

298 K,101.3 kPa における
モル体積(L)

T: サンプリングした空気の

温度(K)

M

w

分子量

P: サンプリングした空気の

圧力(kPa)

ISO 16000-4:2011

への整合。

 
 
 
 
 
 
ISO 16000-4:2011

への整合。

 
ISO 16000-4

における,一般

的な通常温度に変更した。

31

A

 1

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A 1963

:2015

現行規格(JIS A 1963:2015)

旧規格(JIS A 1963:2005)

改正理由

箇条番号
及び題名

内容

箇条番号
及び題名

内容

9  方 法 の
精 度 及 び

不確かさ

注記 1  同時に 6 個のサンプラを暴露するフィー

ルド試験を行ったところ,3 部屋の室内環

境中のホルムアルデヒド濃度は,0.027∼
1.1 mg/m

3

であり,測定の繰返し精度は相

対標準偏差で表した場合 1∼9 %であった

附属書 JB の参考文献[9]参照。)。

注記 2  住宅の寝室における繰返し測定の結果,

濃度は 0.007∼0.01 mg/m

3

であり,得られ

た相対標準偏差は 6.2∼8.7 %であった(

属書 JB の参考文献[10],[11]参照。)。

注記 3  部屋にそれぞれ 2 か所の位置設定で 4 個

のサンプラを置き,ホルムアルデヒドの
濃 度 を 測 定 し た と こ ろ 0.007 ∼ 0.048 
mg/m

3

であり,10.9 %であった 1 か所を除

き,相対標準偏差は 0.8∼8.3 %であった

附属書 JB の参考文献[12]参照。)。

注記 4  パッシブサンプリングの結果と,同時に

別途行ったサンプリング方法(ポンプサ
ンプリング)を比較したところ,よい一

致を示すことが報告されている(

附属書

JB

の参考文献[8]∼[12]参照。

10.  方 法
の精度

測定例を次に示す。

a)

同時に六つのサンプラを暴露するフィールド試験

を行ったところ,三つの室内環境中のホルムアル
デヒド濃度は,0.027∼1.1 mg/m

3

であり,測定の繰

返し精度は相対標準偏差で表した場合 1∼9 %で

あった[1]。

b)  3

住宅の寝室における繰返し測定の結果,濃度は

0.007∼0.01 mg/m

3

であり,相対標準偏差は 6.2∼

8.7 %であった[2][3]。

c)

五つの部屋にそれぞれ二つの位置設定で 4 個のサ

ンプラを置き,ホルムアルデヒドの濃度を測定し

たところ 0.007∼0.048 mg/m

3

であり,10.9 %であ

った 1 か所を除き,相対標準偏差は 0.8∼8.3 %で

あった[4]。

d)  1

軒の住宅に 10 個のサンプラを暴露するフィール

ド試験を行ったところ,相対標準偏差は 3.1 であ

った[5]。

e)

パッシブサンプリングの結果と,同時に別途行っ
たサンプリング方法(ポンプサンプリング)を比

較したところ,よい一致を示すことが報告されて

いる[1]∼[7]。

ISO 16000-4:2011

への整合。

32

A

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A 1963

:2015

現行規格(JIS A 1963:2015)

旧規格(JIS A 1963:2005)

改正理由

箇条番号
及び題名

内容

箇条番号
及び題名

内容

10  品質保
証 / 品 質

管理

使用者は“JIS Q 17025”の要求事項を満たさなければ

ならない。

次のことも推奨される。

a)

内部の品質管理のために,定期的に(大規模な調

査期間中には少なくとも 1 回)サンプリング速度

を“確認することが望ましい”

。確認は,実験室の

標準空気中に暴露させるなどの方法(例えば,ポ

ンプサンプリング)での比較によって行われるの

がよい。

11.  品 質
管理

使用者は“JIS Q 17025 及び JIS Z 9900”の要求事項に

従わなければならない。

次のことも推奨される。

a)

内部の品質管理のために,定期的に(大規模な調

査期間中には少なくとも 1 回)サンプリング速度

を“確認する”

確認は,実験室の標準空気中に暴露させるなど

の方法(例えば,ポンプサンプリング)での比較

によって行われることが望ましい。

 
 
 
ISO 16000-4:2011

整合。

b)

対外的な品質保証のために,定期的に(大規模な

調査期間中には少なくとも 1 回)サンプリング速

度を確認することが望ましい。確認は,十分な経
験をもつ機関が運営する研究室又は共同比較実験

(同一サンプラ,複数試験所の参加)によって行

われるのがよい。

b)

対外的な品質保証のために,定期的に(大規模な

調査期間中には少なくとも 1 回)拡散取込み速度

を確認する。

確認は,経験豊かな機関の運営する研究室又は

共同比較実験(同一サンプラ,多数の試験所参加)

によって行うことが望ましい。

b)

の拡散取込み速度を a)

同じ用語にした。

11  試験報
告書

b)

この規格を適用した旨

e)

試験結果(μg/m

3

9.  試験報
告書

b)

参照した規格及び他の補足規格

e)

試験結果

ISO 16000-4:2011

への整合。

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