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A 1903

:2015

(1)

目  次

ページ

1

  適用範囲  

1

2

  引用規格  

1

3

  用語及び定義  

1

4

  記号及び単位  

3

5

  原理 

3

6

  器具 

3

6.1

  一般  

3

6.2

  小形容器  

3

6.3

  温度制御装置  

4

6.4

  拡散サンプラー  

4

6.5

  オーブン  

4

6.6

  分析装置  

4

7

  試験条件  

4

7.1

  一般  

4

7.2

  温度及び相対湿度  

4

7.3

  拡散距離  

5

8

  試験条件の検証  

5

8.1

  試験条件のモニタリング  

5

8.2

  小形容器の気密性  

5

8.3

  回収率及びシンク効果  

5

9

  小形容器の準備  

5

10

  試験片の準備  

5

11

  測定方法  

5

11.1

  バックグラウンド捕集量及びトラベルブランク  

5

11.2

  小形容器濃度を測定する時間  

5

11.3

  試験片の保存  

5

11.4

  捕集  

5

12

  分析方法  

6

13

  フラックス発生量の算出方法  

6

14

  報告書  

6

附属書 A(参考)対象 VOC のガイドライン値  

8

附属書 B(参考)技術上重要な改正に関する新旧対照表  

9


A 1903

:2015

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本

工業規格である。

これによって,JIS A 1903:2008 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。


日本工業規格

JIS

 A

1903

:2015

建築材料の揮発性有機化合物(VOC)の

フラックス発生量測定法−パッシブ法

Determination of the emission of volatile organic compounds (VOC) by

building products-Passive method

適用範囲 

この規格は,密封形容器,捕集剤などを用いてパッシブサンプリングを行い,建築材料から空気中へ放

散する揮発性有機化合物(以下,VOC という。

)のフラックス発生量を簡易に測定する方法について規定

する。

なお,この規格は建築用ボード類,壁紙,床材,断熱材及びそれらの施工に用いる接着剤,塗料などに

適用する。

居住環境における,厚生労働省の示す室内汚染物質濃度のガイドライン値を,

附属書 に示す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS A 1901

  建築材料の揮発性有機化合物(VOC)

,ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物放散

測定方法−小形チャンバー法

JIS A 1902-1

  建築材料の揮発性有機化合物(VOC)

,ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物放

散量測定におけるサンプル採取,試験片作製及び試験条件−第 1 部:ボード類,壁紙及び床材

JIS A 1902-2

  建築材料の揮発性有機化合物(VOC)

,ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物放

散量測定におけるサンプル採取,試験片作製及び試験条件−第 2 部:接着剤

JIS A 1902-3

  建築材料の揮発性有機化合物(VOC)

,ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物放

散量測定におけるサンプル採取,試験片作製及び試験条件−第 3 部:塗料及び建築用仕上塗材

JIS A 1902-4

  建築材料の揮発性有機化合物(VOC)

,ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物放

散量測定におけるサンプル採取,試験片作製及び試験条件−第 4 部:断熱材

JIS A 1969

  室内空気中の揮発性有機化合物(VOC)の吸着捕集・溶媒抽出・キャピラリーガスクロ

マトグラフィーによるサンプリング及び分析−パッシブサンプリング

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS A 1901 によるほか,次による。

3.1 

拡散サンプラー(diffusion sampler)

JIS A 1969

の箇条 4(原理)で規定する拡散原理を用いた,VOC を測定するための捕集管など。


2

A 1903

:2015

3.2 

試験開始(test start)

試験片を設置し,最初に拡散サンプラーを設置した時点。

3.3 

経過時間(time)

試験開始からの時間。

3.4 

捕集時間(sampling period)

拡散サンプラーによって捕集を行った時間。

3.5 

小形容器(micro cell)

建築材料から放散される VOC を測定するための密封容器。

3.6 

捕集量(collection amount)

捕集時間中に拡散サンプラーに捕集された特定の VOC の量。

3.7 

バックグラウンド捕集量(background amount)

試験片を設置しないで捕集時間と同じ時間測定を行ったときの,拡散サンプラーの VOC 捕集量。

3.8 

トラベルブランク(travel blank)

拡散サンプラー自体の汚染及び開閉・輸送時における汚染を考慮するために,捕集を除く全ての操作を

行った拡散サンプラーの VOC の質量。

3.9 

試験面積(test surface area)

試験片の表面の小形容器で覆われた面積。

3.10 

回収率(recovery)

単位時間中に拡散サンプラーで捕集した対象 VOC の総量を,単位時間中に小形容器で放散した既知の

対象 VOC の理論量で除した値。

3.11 

フラックス発生量(flux)

捕集された VOC の質量を捕集時間及び試験面積によって除した値。この規格では単位面積当たりのフ

ラックス発生量 J

a

を適用する。その他の異なる必要条件に基づくフラックス発生量も定義することができ

る。例えば,単位長さ当たりのフラックス発生量 J

l

が挙げられる。

3.12 

等価拡散距離(equivalent diffusion length)

試験片から拡散サンプラーまでの距離。建材からの三次元形状を考慮した等価距離となる。


3

A 1903

:2015

記号及び単位 

この規格で用いる記号及び単位は,次による。

A

:試験面積(m

2

J

a

:単位面積当たりのフラックス発生量[μg/(m

2

・h)]

J

l

:単位長さ当たりのフラックス発生量[μg/(m・h)]

M

b,t

  :経過時間 における拡散サンプラーによる VOC のバックグラウンド捕集量(μg)

M

t

:経過時間 における拡散サンプラーによる VOC の捕集量(μg)

t

:経過時間(h)

原理 

この試験は,拡散サンプラーを装着した小形容器を試験片の上に設置し,試験片から放散する VOC の

捕集を行い,その値を捕集時間及び試験面積で除し,試験対象となる建築材料の VOC のフラックス発生

量を静的状態で測定する方法である。

器具 

6.1 

一般 

建築材料から放散される VOC のフラックス発生量の測定に用いる主な器具は,次による。

−  小形容器

−  拡散サンプラー

−  温度制御装置

−  オーブン

−  分析装置

6.2 

小形容器 

小形容器は,次による。

a) 

形状  小形容器は,ステンレス鋼又はガラスで作られたものとする。図 に小形容器の一例を示す。

なお,台形状容器の寸法(縦 59 mm×横 97.5 mm×高さ 56 mm)は目安であり,試験面積は 0.005 758

m

2

,容積は 300 mL(±5 %)となる。気密性を確保するためにシートを装着する場合は,実際に有効

な面積を試験面積とする。サンプラー差込み口に上部から拡散サンプラーを差し込み,建材から放散

される VOC を捕集する。気密性を保つため保持器具を使用してもよい。通常,全ての部品が取外し

可能で,洗浄・加熱処理が容易な構造とする。

なお,形状,拡散サンプラーと試験片との位置によって拡散距離が変わると,測定値に大きな影響

を及ぼすことがある。


4

A 1903

:2015

単位  mm

図 1−小形容器の例 

b) 

気密性  小形容器は,容器の外の空気と換気することが極力少ないように気密状態とする。気密性を

確保するためにシートを装着する場合は,低放散性及び低吸着性のもので,測定対象とする VOC の

バックグラウンド捕集量への影響が小さいものを使用する。

6.3 

温度制御装置 

温度の制御は,小形容器を必要温度に制御した恒温槽などの試験場所に置く方法による。恒温槽内の空

気中の VOC の濃度が高いことがあるため,活性炭などを設置し,バックグラウンド濃度を低下させるよ

うにする。

6.4 

拡散サンプラー 

捕集は,小形容器内に設置した拡散サンプラーで行う。

6.5 

オーブン 

小形容器内に付着した VOC を揮発させるために,オーブンを使用する。

6.6 

分析装置 

VOC の分析には,水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフ(GC/FID),又は質量分析計付きガス

クロマトグラフ(GC/MS)を使用する。分析装置は,JIS A 1969 の箇条 6(装置及び器具)に規定された

分析装置,又はこれらと同等以上の精度をもつ装置とする。

試験条件 

7.1 

一般 

試験は,大気圧に近い状態で行う。

7.2 

温度及び相対湿度 

小形容器を設置する雰囲気は,標準温度状態を 28  ℃とする。

なお,温度依存性を確認する場合は,28  ℃のほか適切な温度条件で測定を行うことが望ましい。

注記  温度及び相対湿度は,フラックス発生量に大きな影響を与える。しかし,この方法では相対湿

度の制御を行うことができない。よって,容器及び建材の温度が極力均一となるようにする。

相対湿度の影響を強く受ける建築材料に関しては,試験片の養生条件に気を付ける必要がある。


5

A 1903

:2015

7.3 

拡散距離 

試験片の位置と拡散サンプラーとの位置関係から,等価拡散距離を算出する。

試験条件の検証 

8.1 

試験条件のモニタリング 

温度は,温度制御装置を次に示す温度範囲内に制御し,連続的にモニタリングして記録する。

−  温度  ±0.5  ℃

8.2 

小形容器の気密性 

小形容器の気密性は,小形容器内に水を入れ測定時と同様に設置するなどの方法で漏れがないことを確

認する。定期的に加圧試験を行い気密性を確認する。

8.3 

回収率及びシンク効果 

回収率及びシンク効果は,対象 VOC を含む標準溶液を容量 3∼10 μL 程度のガラスキャピラリーで一定

量を分取し,小形容器内に設置して捕集を行った後,理論量と比較するか,又はパーミエーションチュー

ブなどを用いてフラックス量を一定で発生させて試験を行う。ここで測定する濃度は,建築材料の放散試

験のときに予測される数値と同程度であるものとする。VOC について 70∼120 %の平均回収率を確保でき

るものとする。回収率が低い VOC に関しては,重水素置換体などを用いて回収率補正を行ってもよい。

小形容器の準備 

試験を開始する前には,小形容器の解体・洗浄を行う。解体した小形容器を水で洗浄し,残存している

VOC などの化学物質を揮発させるためにオーブンで加熱処理を行う。加熱処理が終了した後,小形容器を

測定可能な温度まで冷却する。

10 

試験片の準備 

試験の準備終了後,サンプルを運搬用の包装から取り出し試験片を準備する。試験片を小形容器に設置

した時点を試験開始とする。試験片の準備に関しては,JIS A 1902-1JIS A 1902-4 を参照する。

11 

測定方法 

11.1 

バックグラウンド捕集量及びトラベルブランク 

新しく試験を開始する前に,小形容器と同様に洗浄したステンレス鋼板の上に空の小形容器を設置して

捕集時間と同じ時間拡散サンプラーを設置し,バックグラウンド捕集量を測定する。

なお,バックグラウンド捕集量及びトラベルブランクは,試験に影響を及ぼさない程度とする。

11.2 

小形容器濃度を測定する時間 

試験を開始した後に,事前に設定した時間に 11.4 によって捕集を行う。

11.3 

試験片の保存 

長期間の試験の場合,試験片を JIS A 1901 に規定されたチャンバーなどで養生を行うのが望ましい。通

常,JIS A 1901JIS A 1902-1JIS A 1902-4 に規定している条件で保存する。試験片は,空気が自由に接

触できるような状態にするとともに,他の試験片又は保存場所からの影響をなるべく受けないように注意

する。また,高温での保存は避ける。

11.4 

捕集 

同一試験片に関して,同時に 2 回の試験を行う。2 回の試験結果が著しく異なる場合は,再試験を行う。


6

A 1903

:2015

VOC の捕集には,活性炭などを用いた拡散サンプラーなどを使用し,トラベルブランクも測定する。また,

通常 24 時間平均値を採用する。

12 

分析方法 

VOC の分析は,JIS A 1969 の箇条 8(手順)による溶媒抽出法を用いて行うか,又は同等以上の精度が

確保できる場合は,加熱脱着法を用いてもよい。

13 

フラックス発生量の算出方法 

試験片の単位面積当たりのフラックス発生量 J

a

[μg/(m

2

・h)]は,次の式によって求める。

t

A

M

M

J

×

=

t

b,

t

a

ここに,

J

a

単位面積当たりのフラックス発生量[μg/(m

2

・h)]

M

t

経過時間 における拡散サンプラーによる VOC の捕集量

(μg)

M

b,t

経過時間 における拡散サンプラーによる VOC のバックグラ
ウンド捕集量(μg)

A

試験面積(m

2

t

経過時間(h)

14 

報告書 

試験報告書には,JIS A 1901JIS A 1902-1JIS A 1902-4 の記載事項及びこの規格に基づいて試験した

旨のほか,次の内容を記載する。

a) 

試験機関 

−  試験機関の名称及び所在地

−  試験責任者名

b) 

製品の種類 

−  製品の種類(可能な場合は製品名)

−  サンプルの選択プロセス(抜取方式など)

−  製品の経緯(製造年月日,ロット番号,試験機関到着日,包装から取り出した日時及び試験片を準

備した日時)

c) 

結果 

−  1 日経過後の対象 VOC のフラックス発生量,2 回の試験の個々の測定値及び平均値

d) 

試験条件 

−  小形容器条件(温度)

−  試験面積

−  対象 VOC の捕集に関する情報(使用した拡散サンプラー,捕集時間の長さ及び回数)

e) 

測定機器 

−  使用した器具及び方法に関する情報(小形容器形状,等価拡散距離,温度制御装置,オーブン,分

析装置など)

f) 

品質管理・品質保証 

−  対象 VOC のバックグラウンド捕集量及びトラベルブランク値

−  対象 VOC のシンク効果を評価するための回収率データ


7

A 1903

:2015

−  温度の精度

−  品質保証の報告

g) 

追加事項  接着剤・塗料などの蒸散支配形建築材料,及び接着剤で接合されている製品に関しては,

次の内容も加えて記載する。

−  試験片の数

−  単位面積当たりの質量

−  厚み

−  試験の結果に影響を及ぼす可能性のあるその他の事項(乾燥条件,時間経過,保存,水分含有量,

表面加工など)

−  使用接着剤の種類  (原料及び不揮発分)

−  塗布量(g/m

2

−  塗布面積

−  塗布方法

−  養生条件

−  接着剤塗布と表面材料とをはり合わせるまでの時間(オープンタイム)

−  基材の種類


8

A 1903

:2015

附属書 A

(参考)

対象 VOC のガイドライン値

この附属書は,厚生労働省によって定められた室内空気汚染に関わるガイドラインに基づいて参考とし

て記載するものであり,規定の一部ではない。

A.1 

ガイドライン値 

このガイドライン値は現状において入手可能な科学的知見に基づき,人がその化学物質の示された濃度

以下のばく(曝)露を一生涯受けたとしても,健康への有害な影響を受けないであろうとの判断によって

設定された値である。これらは,今後集積される新たな知見及びそれらに基づく国際的な評価作業の進捗

に伴い,将来必要があれば変更されるものである。対象 VOC の例を,

表 A.1 に示す。

表 A.1−対象 VOC の例 

化学物質名 CAS-No.

ガイドライン値

μg/m

3

トルエン 108-88-3

260

キシレン

o-

キシレン 95-47-6

 870

m-

キシレン 108-38-3

p-

キシレン 106-42-3

p-

ジクロロベンゼン 106-46-7

240

エチルベンゼン 100-41-4

800

スチレン 100-42-5

220

テトラデカン 629-59-4

330


9

A 1903

:2015

附属書 B

(参考)

技術上重要な改正に関する新旧対照表

現行規格(JIS A 1903:2015)

旧規格(JIS A 1903:2008)

改正理由

箇条番号

及び題名

内容

箇条番号

及び題名

内容

3

用語及び

定義

JIS A 1901

を引用することとし,JIS A 1901

と重複する用語は,削除した。

3.1

用 語 及

び定義

この規格で用いる用語全てについて規定。

室内空気関係の JIS の中には同一の用語が異
なった定義で使用されている箇所があった

ため,用語の統一化を行った JIS を引用する

こととした。

9

A

 1

903


20
15