A 1514
:2015
(1)
目 次
ページ
序文
1
1
適用範囲
1
2
引用規格
1
3
用語及び定義
1
4
試験体及び取付パネル
1
5
試験装置
2
6
試験手順
3
6.1
取付パネルの取付方法
3
6.2
試験体の養生
3
6.3
温湿度条件
3
6.4
気流条件
4
6.5
温度測定位置
4
6.6
相対湿度測定位置
4
7
結果の算出及び記録
5
7.1
温度低下率の算出
5
7.2
恒温恒湿室側試験体表面温度と低温室空気温度との相関グラフの作成
5
7.3
結露観察結果の記録
5
8
報告
6
附属書 A(参考)技術上重要な改正に関する新旧対照表
7
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(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般財団法人建材
試験センター(JTCCM)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規
格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規
格である。これによって,JIS A 1514:1993 は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格
JIS
A
1514
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建具の結露防止性能試験方法
Test method of dew condensation for windows and doorsets
序文
この規格は,1982 年に制定され,その後 2 回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は 1993 年に
行われたが,寸法,装置及び試験方法を最新の状況に対応するために改正した。また,技術上重要な改正
に関する新旧対照表を
附属書 A に示す。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,JIS A 0005 に規定する 1 種開口部構成材及び 2 種開口部構成材(以下,建具という。
)の結
露防止性能試験方法について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。
)を適用する。
JIS A 0005
建築用開口部構成材の標準モデュール呼び寸法
JIS A 0202
断熱用語
JIS A 4710
建具の断熱性試験方法
JIS Z 8704
温度測定方法−電気的方法
JIS Z 8806
湿度−測定方法
3
用語及び定義
用語及び定義は,JIS A 0202 による。
4
試験体及び取付パネル
試験体及び取付パネルは,次による。
a)
試験体 試験体は,取付パネルに取り付ける。取付位置は,ビル用サッシなどで数種の納まりが予定
されているものについては,通常,
図 1 による。また,住宅用サッシなどで標準納まりの明確なもの
はそれに従う。
b)
取付パネル 取付パネルの大きさは,試験装置の開口と同一とし,厚さは,最低厚さを 100 mm とす
るか又は試験体の最大厚さのうち厚い方とする。取付パネルの心材となる材料は,熱伝導率が 0.04
W/(m
・K) 以下のもので,経時的に安定しているものとする。取付パネルの剛性を上げるために両側に
合板,プラスチックシートなどを貼り付けることができる。実際に施工される壁納まりが明確な場合
2
A 1514
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は,それを取付パネルとしてもよい。
なお,建具枠見込寸法が 100 mm を超えるものについては,室内側見込寸法が約 50 mm になるよう
に取付パネルの仕上がり厚さを調整する。また,木造住宅に用いられる外付サッシなどのように室内
側見込寸法が特に大きくなるものについては,仕上がりの厚さは約 150 mm とする。
c)
吸放湿性のある材料が含まれる試験体 木材など,吸放湿性のある材料が含まれる試験体は,空気温
度 20±3 ℃,相対湿度 (50±5) %の恒温恒湿室で 24 時間以上養生したものを用いる。
単位 mm
図 1−取付パネル及び試験体取付位置例
5
試験装置
5.1
試験装置 試験装置は図 2 に示すように,恒温恒湿室,低温室,温度測定機器,湿度測定機器など
から成る。
5.2
恒温恒湿室 恒温恒湿室は図 2 に示すように,試験体を挟んで低温室に隣接するものとし,温度 10
〜30 ℃,相対湿度 30〜70 %の範囲で制御可能なものとする。また,試験体近傍の空気温度分布が温度差
1
℃以下となるような構造とする。
5.3
低温室 低温室は,図 2 に示すように,試験体を挟んで恒温恒湿室に隣接するものとし,−10〜+
20
℃まで十分制御可能なものとする。また,低温室内の空気温度測定位置における空気温度分布が温度差
で 1 ℃以下となるような構造とする。
5.4
温度測定機器 温度測定機器は,JIS Z 8704 に規定する 熱電対を用いた B 級測定方式 用のもの
とする。
なお,熱電対は 0.1 ℃以内まで校正を施した素線の線径が 0.2 mm 以下の熱電対を用いてもよい。
5.5
湿度測定機器 恒温恒湿室の湿度測定機器は,JIS Z 8806 に規定するものとし,±2 %の精度をもつ
ものとする。
3
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図 2−試験装置のブロックダイヤグラム例
6
試験手順
6.1
取付パネルの取付方法
あらかじめ試験体を取り付けた取付パネルを
図 2 に示すように,低温室と恒温恒湿室との間の試験装置
開口へ低温室側仕切壁面と同一面で気密に取り付ける。
6.2
試験体の養生
試験体の養生は,次による。
a)
取付パネルを取り付けた後,恒温恒湿室及び低温室内の空気温度を約 20 ℃,恒温恒湿室内の相対湿
度を約 40 %に設定する。
b)
試験体各部の温度が恒温恒湿室及び低温室内の空気温度と平衡状態となった後,6.3 及び 6.4 に規定す
る温湿度及び気流条件で試験を行う。
6.3
温湿度条件
温湿度条件は,次による。ただし,受渡当事者間で温湿度条件を取り決めた場合は,この限りではない。
a)
低温室は,空気温度を 5 ℃から 5 ℃間隔で−10 ℃までの 4 条件とする。恒温恒湿室は,空気温度を
20
℃,相対湿度を約 40 %とする。
なお,試験体の結露状態が著しい場合又は少ない場合には,この温湿度条件の段階を省略又は延長
してもよい。
b)
低温室及び恒温恒湿室の空気温度及び試験体表面温度が定常状態となった後,恒温恒湿室の相対湿度
を 50 %に設定する。
なお,
定常状態とは,
30
分間隔の低温室と恒温恒湿室との空気温度差の測定値の変動が 1 %以内で,
かつ,低温室及び恒温恒湿室の空気温度及び試験体表面温度が一方向に変化しない状態とする。
c)
相対湿度約 40 %において結露が生じる試験体は,相対湿度を 40 %以下に制御し結露を防止する。こ
れによって結露水による表面温度測定不良を防ぎ,また,結露発生前の試験体表面の条件を同一にす
る。
d)
恒温恒湿室の相対湿度が (50±2) %に到達してから 1 時間後に,試験体室内側表面における結露性状
を目視によって観察する。
4
A 1514
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6.4
気流条件
気流条件は,次による。ただし,受渡当事者間で気流条件を取り決めた場合は,この限りではない。
a)
低温室側は,通常,強制対流とし,気流速度は JIS A 4710 の 6.2(校正方法)に準じて調整する。こ
の時の風速は 1.5 m/s 以上とする。
なお,JIS A 4710 によって表面熱伝達抵抗が校正された装置を用いる場合は,JIS A 4710 と同様の
気流条件とする。それ以外の場合は,JIS A 4710 に準じた方法で表面熱伝達抵抗を 0.05±0.01 m
2
・K/W
に調整する。
b)
恒温恒湿室側は自然対流とする。
6.5
温度測定位置
温度測定は,恒温恒湿室空気,低温室空気及び試験体表面温度について,次のとおり行う。
a)
空気温度の測定位置は,中央部 1 点とする。
b)
試験体表面温度の測定は,通常,
図 3 に示すように,試験体高さの中央で水平方向の枠,かまち(框),
ガラスなどの内外表面及び試験体上下部材中央部の内外表面とする。
なお,試験体の構造又は形状によって測定点は,増減できるものとし,構造上熱的弱点とされる位
置を測定することが望ましい。
6.6
相対湿度測定位置
恒温恒湿室の相対湿度は,試験体の中央で取付パネル面から約 300 mm 離れた位置で測定する。
図 3−試験体表面温度測定位置(例)
5
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7
結果の算出及び記録
7.1
温度低下率の算出
箇条 6 で求めた温度測定値を用いて各位置の温度低下率を次の式によって算出する。
なお,温度低下率は,四捨五入によって有効数字 2 桁で表示する。
C
H
x
H
x
θ
θ
θ
θ
−
−
=
P
ここに,
P
x
:
求める位置の温度低下率(−)
θ
H
:
恒温恒湿室空気温度(℃)
θ
C
:
低温室空気温度(℃)
θ
x
:
求める位置の表面温度(℃)
7.2
恒温恒湿室側試験体表面温度と低温室空気温度との相関グラフの作成
試験体の高さの中央で水平方向の各測定点については,それぞれの温度条件で求めた恒温恒湿室側表面
の平均温度低下率から
図 4 に示す恒温恒湿室側の試験体表面温度と低温室内の空気温度との相関グラフを
作成する。
また,温度低下率の最も大きい測定位置について,温度 20 ℃,相対湿度 50 %の露点温度 9.3 ℃に達す
る低温室内の空気温度を求め,グラフ上に示す。
図 4−恒温恒湿室側試験体表面温度と低温室空気温度との相関グラフ(例)
7.3
結露観察結果の記録
表 1 の様式に準じ,それぞれの測定条件ごとに結露観察結果を記録する。結露性状は,くもり,小水滴,
大水滴,流れ及び結氷の 5 種類とする。
なお,直径が約 1 mm 以上と判断できる水滴を大水滴とし,それよりも小さい水滴を小水滴とする。
6
A 1514
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表 1−結露観察結果(例)
8
報告
試験の結果は,次の項目について報告しなければならない。
a)
試験体の種別及び使用ガラスの種類
b)
試験体の形状,寸法(mm)及び断面図
c)
試験体の取付方法及び取付パネル構造
d)
試験条件
1)
恒温恒湿室及び低温室の空気温度(℃)
2)
恒温恒湿室の相対湿度(%)
3)
気流条件(表面熱伝達率,風向及び風速)
e)
試験体表面温度測定位置,温度測定値及び温度低下率
f)
恒温恒湿室側試験体表面温度と低温室空気温度との相関グラフ
g)
結露観察記録
h)
試験期間
i)
試験機関名及び試験実施者
j)
その他必要な事項
7
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附属書 A
(
参考)
技術上重要な改正に関する新旧対照表
現行規格(JIS A 1514:2015)
旧規格(JIS A 1514:1993)
改正理由
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
及び題名
内容
4
試験体及
び取付パネ
ル
− 2.(1)試験体
建具
試験体建具の内のりの標準寸法を規定。
試験体の寸法及びパネルの寸法につい
て標準が規定されていたが,実際に試験
を行う際には,必ずしも標準の寸法で実
施しているわけではないため,削除し
た。
4 b)
取付パ
ネル
取 付 パ ネ ル の 仕 様 を 関 連 規 格 で あ る JIS A
4710
に合わせた。また,取付パネルを実際の
壁納まりとしてもよい旨を追記した。
2.(3)
取付パ
ネル
取付パネルは,仕上がり厚さが約 150 mm から
約 200 mm を標準とし,熱抵抗の十分大きな材
料(
2
)
で構成し,3.に規定する試験装置開口に取
付可能なものとする。
取 付 パ ネ ル の 仕 様 を 関 連 規 格 で あ る
JIS A 4710
と統一した。また,取付パネ
ルを実際の壁納まりとしてもよい旨を
追記した。
5.1
試 験 装
置
低温室と恒温恒湿室との間の試験装置開口寸
法を削除した。
3.1
試 験 装
置
なお,低温室と恒温恒湿室間の試験装置開口寸
法は,約 2 000×2 000 mm とする。
2 m
を超える装置及び試験体もあるた
め,寸法に関する規定は削除し,図も例
とした。
6.3
温 湿 度
条件
定常状態の定義を追加した。また,JIS どおり
の温湿度条件で運用されていないことが多い
ため,受渡当事者間の協議によって条件を決定
できる旨を追記した。
4.2
(測定条
件)(2)
温度測定時の温湿度設定条件は図 3 に示すよ
うに,恒温恒湿室内の空気温度を 20 ℃,相対
湿度を約 40 %(
3
)
とし,低温室内の空気温度を
5
℃から 5 ℃間隔で−10 ℃までの 4 段階(
4
)
と
する。温度測定は,恒温恒湿室及び低温室内の
空気温度が目標とする値で定常状態になり,試
験体表面温度が恒温恒湿室内の空気温度と十
分平衡したのを見極めた後に行う。
実情を反映させるため改正した。
6.4
気 流 条
件
低温室側は,通常,強制対流とし,気流速度は
JIS A 4710
の 6.2(校正方法)に準じて調整す
ることとし,この時の風速は 1.5 m/s 以上とし
た。
4.2
(測定条
件)(4)
恒温恒湿室及び低温室の試験体表面付近の気
流条件は,自然対流とする。
なお,必要に応じて JIS A 4710 に規定する方法
で気流速度を定め,低温室側を強制対流として
もよい。
JIS A 4710
との整合性を図り,かつ,実
情を反映させるための改正を行った。ま
た,JIS A 4710 で表面熱伝達率の校正を
行っていない装置を用いる場合,表面熱
伝達率はユルゲスの式から風速 3〜5
m/s
に相当する値とした。
7
A
1
514
:
20
15
8
A 1514
:2015
現行規格(JIS A 1514:2015)
旧規格(JIS A 1514:1993)
改正理由
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
及び題名
内容
−
−
図 3 温湿度
設定条件モ
デル d
次の温度条件の測定に入る準備として試験体
表面に結露がある場合には,恒温恒湿室内の相
対湿度及び低温室内の空気温度を調節して表
面を乾かす。
試験スケジュールを短くすることを目
的とし,試験体表面に結露がある場合の
表面を乾かす過程を省き,結露状態を確
認した後,温度を段階的に下げていくこ
ととした。
6.5
温 度 測
定位置
空気温度の測定位置を,中央部 1 点とした。 4.3
温 度 測
定位置
空気温度の測定位置を,同一面 9 点とする。 5.2 及び 5.3 において,恒温恒湿室及び
低温室の空気温度分布を規定している
ことから,試験の簡略化を目的とし,試
験時の空気温度測定位置は 9 点から中
央部 1 点に変更した。
−
−
図 4 空気温
湿度測定位
置
空気温度の測定位置を,同一面 9 点とする。
また,試験体からの距離の例を示している。
気流吹出し装置及びバッフルと干渉す
る場合も考えられるので,試験体からの
距離を削除した。
7.2
恒 温 恒
湿室側試験
体表面温度
と低温室空
気温度との
相関グラフ
の作成
自然対流から強制対流への補正方法を削除し
た。
5.2
恒 温 恒
湿室側試験
体表面温度
と低温室空
気温度との
相関グラフ
の作成
自然対流から強制対流への補正方法を規定。
強制対流が原則となるため自然対流か
ら強制対流への補正方法は削除した。
7.3
結 露 観
察結果の記
録
結露性状の種類を規定した。また,大水滴及び
小水滴の定義を本文に規定した。
5.3
結 露 観
察結果の記
録
表 2 に例として結露性状,大水滴及び小水滴に
ついて記載がある。
例として示されているだけで規定がな
かったため,新たに規定した。
8
報告
次の項目を追加規定した。
d) 3)
気流条件(表面熱伝達率,風向及び風速)
h)
試験期間
i)
試験機関名及び試験実施者
j)
その他必要な事項
6.
報告
現行規格に規定されているもののほかに,
次の二つの項目が規定されていた。
(3)
恒温恒湿室,低温室の寸法(mm)及び構
造
(6)
温湿度測定機器
測定方法の変更に伴い,報告事項を変更
した。また,報告事項として必要な項目
を追加規定した。
8
A
1
514
:
20
15