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A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

(1)

目  次

ページ

序文  

1

1

  適用範囲  

1

2

  引用規格  

2

3

  用語及び定義  

2

4

  略語 

6

5

  分析要件の決定  

6

6

  範囲 

7

7

  定量限界  

8

8

  原理 

8

9

  安全上の予防措置  

8

10

  器具  

8

11

  試薬  

10

12

  試料量及び均一性  

10

12.1

  試料量  

10

12.2

  代表試料  

10

13

  マトリックス質量低減法  

10

13.1

  全般  

10

13.2

  データの記録  

11

13.3

  代表的なサブ試料の選択及び前処理  

12

13.4

  灰化による有機物質の除去  

14

13.5

  酸処理及び沈降分離手順  

15

14

  マトリックス質量低減後の最終残さ中のアスベストを定量する手順  

18

14.1

  全般  

18

14.2

  ろ紙上の残さを調べて適切な手順を選ぶ  

18

15

  バーミキュライト中のアスベスト様形態の角せん石の定量  

25

15.1

  全般  

25

15.2

  分析に必要な試料の量  

25

15.3

  サブ試料の前処理  

26

15.4

  角せん石の分離及び角せん石の質量分率の測定  

27

16

  タルク中のアスベストの定量  

29

16.1

  全般  

29

16.2

  タルク中のクリソタイルの定量  

29

16.3

  タルク中の角せん石の定量  

29

17

  法的規制値の遵守の判定  

29

17.1

  全般  

29


A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)  目次

(2)

ページ

17.2

  質量測定  

30

17.3

  質量測定及び目視評価の組合せ  

30

17.4

  ポイントカウンティングと組み合わせた質量測定  

30

17.5

  SEM 又は TEM による定量的な繊維計数 

32

18

  試験報告書  

32

附属書 A(規定)市販のアスベスト含有材料のタイプ及び最適な分析手順  

33

附属書 B(規定)密度液による角せん石の分離に必要な遠心分離時間  

43

附属書 C(参考)試験報告書の例  

45

参考文献  

46


A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

(3)

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本

工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

JIS A 1481

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS

A

1481-1

  第 1 部:市販バルク材からの試料採取及び定性的判定方法

JIS

A

1481-2

  第 2 部:試料採取及びアスベスト含有の有無を判定するための定性分析方法

JIS

A

1481-3

  第 3 部:アスベスト含有率の X 線回折定量分析方法

JIS

A

1481-4

  第 4 部:質量法及び顕微鏡法によるアスベストの定量分析方法


   

日本工業規格

JIS

 A

1481-4

:2016

(ISO 22262-2

:2014

)

建材製品中のアスベスト含有率測定方法−

第 4 部:質量法及び顕微鏡法による

アスベストの定量分析方法

Air quality-Bulk materials-Part 4: Quantitative determination

of asbestos by gravimetric and microscopical methods

序文 

この規格は,2014 年に第 1 版として発行された ISO 22262-2 を基に,技術的内容及び構成を変更するこ

となく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。

適用範囲 

この規格は,およそ 5 %未満のアスベスト質量分率を定量する手順,並びにバーミキュライト,その他

の工業用鉱物及びこれらの鉱物を含有する市販製品の中のアスベストを定量する手順を規定する。

この規格は,次の定量分析に適用可能である。

a)  JIS A 1481-1

によるアスベストの質量分率の推定が,当該材料の規制適合状態を信頼性高く判断する

には不十分な精度とみなされるか,又はアスベストの不含有を証明するためには更なる証拠を得る必

要があると考えられる材料。

b)

弾力性床タイル,アスファルト質材料,屋根用フェルト及びアスベストが有機マトリックスに含まれ

ているその他の材料。

c)

壁用及び天井用のせっこうプラスター(混入骨材の有無を問わない。

d)

金属製品(例えば,ウォラストナイト,ドロマイト,カルサイト,タルク,バーミキュライト,及び

これらの鉱物を含んでいる市販製品。

この規格は,主として,アスベストが同定され,質量分率がおよそ 5 %未満と推定される試料に適用す

ることを意図している。また,この規格は,顕微鏡検査ができないか,又はできたとしても信頼性に欠け

るような低濃度のアスベストがマトリックス材料に添加された試料の分析にも適用される。

附属書 に,

アスベストを含有する可能性のある各種の材料の最適な分析方法を示す。

この規格は,基本的な顕微鏡技術及び分析手法を説明することが目的ではない。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 22262-2:2014

,Air quality−Bulk materials−Part 2: Quantitative determination of asbestos by

gravimetric and microscopical methods(IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“一致している”こ

とを示す。


2

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

   

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。

は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS A 1481-1

  建材製品中のアスベスト含有率測定方法−第 1 部:市販バルク材からの試料採取及び定

性的判定方法

注記  対応国際規格:ISO 22262-1,Air quality−Bulk materials−Part 1: Sampling and qualitative

determination of asbestos in commercial bulk materials(IDT)

ISO 13794:1999

,Ambient air−Determination of asbestos fibres−Indirect-transfer transmission electron

microscopy method

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。

3.1 

針状(acicular)

長さに比べ断面積が小さい極めて細長い結晶に見られる,針に似た形状。

ISO 13794:1999 の 2.1

3.2 

角せん石(amphibole)

岩石を造る鉄苦土質けい酸塩鉱物グループで,結晶形態及び組成が近縁密接な関係にある,次の名目上

の組成式であるもの。

A

0-1

B

2

C

5

T

8

O

22

(OH,F,Cl)

2

ここに,

A:カリウム,ナトリウム 
B:二価鉄,マンガン,マグネシウム,カルシウム,ナトリウム 
C:アルミニウム,クロム,チタン,三価鉄,マグネシウム,二価鉄

T:けい素,アルミニウム,クロム,三価鉄,チタン

注記  角せん石の種類によっては,上記の元素が部分的にリチウム,鉛,又は亜鉛に置換される場合

もある。角せん石の特徴は,けい素対酸素の比が 4:11 の Si-O 四面体が交差結合した二重鎖を

成す柱状又は繊維状のプリズム状結晶で,結晶面に平行で約 56°と 124°との角度で交差する

2 方向に良好なプリズム形のへき開を示すことである。

ISO 13794:1999 の 2.2

3.3 

角せん石アスベスト(amphibole asbestos)

アスベスト様形態の晶癖をもつ角せん石。

ISO 13794:1999 の 2.3

3.4 

異方性(anisotropy)

異なった軸に沿って異なった特性を示す状態又は性質。

例  異方性透明粒子は,入射光の振動方向に従って異なった屈折率を示すことがある。


3

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

3.5 

アスベスト様形態(asbestiform)

鉱物の繊維形態の特殊なタイプで,繊維及び単繊維が高い抗張力及び柔軟性をもつ。

ISO 13794:1999 の 2.6

3.6 

アスベスト(asbestos)

破砕又は加工したときに,長く,細く,かつ,柔軟で強い繊維に容易に分かれるようなアスベスト様形

態の晶癖をもつ,蛇紋石及び角せん石族に属する,けい酸塩鉱物のグループに用いられる用語。

注記  最も一般的なアスベスト種の CAS(Chemical Abstract Service)の登録番号には,クリソタイル

(12001-29-5),クロシドライト(12001-28-4),グリュネライト系アスベスト(アモサイト)

(12172-73-5),アンソフィライト・アスベスト(77536-67-5),トレモライト・アスベスト

(77536-68-6)及びアクチノライト・アスベスト(77536-66-4)がある。リヒテライト,ウィン

チャイトのような他のアスベスト様形態の角せん石の一群(参考文献[11])もバーミキュライ

ト,タルクのような幾つかの製品中に見い出される。

ISO 13794:1999 の 2.7

3.7 

アスベストポイント(asbestos point)

ポイントカウンティングにおいて,1 カウント点と 1 本のアスベスト繊維とが一致する場所。

3.8 

アスペクト比(aspect ratio)

粒子の長さ対幅の比。

ISO 13794:1999 の 2.10

3.9 

複屈折(birefringence)

複屈折が生じているときの二つの屈折率の最大差。

3.10 

クリソタイル(chrysotile)

次の名目組成をもつ蛇紋石群に属する繊維状鉱物。

Mg

3

Si

2

O

5

(OH)

4

注記  天然のクリソタイルは,この名目上の組成式とほとんど違わないものが大部分である。一部の

種類のクリソタイルでは,けい素が若干 Al

3

に置換されている場合がある。マグネシウムが若

干,Al

3

,Fe

2

,Fe

3

,Ni

2

,Mn

2

,Co

2

に置換されている現象がみられる場合もある。クリ

ソタイルは,最も普及している種類のアスベストである。

ISO 13794:1999 の 2.13

3.11 

へき開(cleavage)

ある結晶がその結晶軸方向の一つに沿って割れる状態。

ISO 13794:1999 の 2.14

3.12 

へき開片(cleavage fragment)


4

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

   

へき開面によって仕切られた結晶片。

注記  非アスベスト様形態角せん石の破砕によって,通常,繊維という定義に当てはまる細長い砕片

が生じるが,それが 30:1 を超えるアスペクト比をもつことはまれである。

ISO 13794:1999 の 2.15

3.13 

クロスポーラ,直交ニコル(crossed polars)

偏光板同士(ポラライザ及びアナライザ)の偏光方向が互いに直角をなす状態。

ISO 10934-1:2002 の 2.117.2

[28]

3.14 

分散(dispersion)

光の波長の違いによる屈折率の変化。

ISO 7348:1992 の 05.03.26

[31]

3.15 

分散染色(dispersion staining)

透明な物体を浸液に浸したときに生じる効果。可視域のある波長において,浸液の屈折率が物体と同じ

でも,浸液の光学分散が物体より大幅に大きい場合に生じる。

注記  物体の縁部で屈折する光だけに認められる。これによって物体と浸液との接触界面が発色する。

その特有の色は,物体及び浸液のそれぞれの屈折率が等しくなる波長の判断基準である。

3.16 

空のポイント(empty point)

ポイントカウンティングにおいて,そのポイントがいかなる粒子又は繊維とも一致しないところ。

3.17 

エネルギー分散 線分析(energy dispersive X-ray analysis)

固体検出器及び多チャンネル分析装置の使用による X 線のエネルギー及び強度の測定。

ISO 13794:1999 の 2.22

3.18 

単繊維(fibril)

アスベストの単一繊維で,繊維特性及び外観を損なうことなく,長軸方向をそれ以上小さく分離できな

いもの。

ISO 13794:1999 の 2.25

3.19 

繊維(fibre)

平行又は階段状の側面をもつ伸長した粒子。

注記  この規格の目的に即して,繊維は 3 対 1 以上のアスペクト比をもつものと定義する。

ISO 13794:1999 の 2.26

3.20 

繊維束(fibre bundle)

平行な,より細い径の繊維が長さ方向に沿って集合してできた構造体。

注記  繊維束は,片方又は両方の端部で繊維の分岐がみられる場合がある。

ISO 13794:1999 の 2.27


5

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

3.21 

晶癖(habit)

特徴的な異常形態を含む,鉱物の特徴的な結晶成長形態又はその組合せ。

ISO 13794:1999 の 2.30

3.22 

マトリックス質量低減法(gravimetric matrix reduction)

ある材料の構成成分を選択的に溶解又は他の方法で分離して,その材料中に存在していたアスベストを

残さ(渣)中に濃縮して残す手順。

3.23 

等方性(isotropic)

あらゆる方位において同一の特性をもつ状態。

ISO 14686:2003 の 2.23

[32]

3.24 

マトリックス(matrix)

繊維が分散しているバルク材試料中の物質。

3.25 

空でないポイント(non-empty point)

ポイントカウンティングにおいて,そのポイントが粒子又はアスベスト繊維のいずれかと一致するとこ

ろ。

3.26 

ポイント(point)

ポイントカウンティングにおいて,ある位置が粒子又はアスベスト繊維によって占められているか,又

は占められていないかについて記録する際の,試料上の位置。

3.27 

ポイントカウンティング(point counting)

それぞれの位置(ポイント)が粒子又はアスベスト繊維によって占められているかどうかを,試料上の

無作為の位置を調べて確かめ,それぞれのタイプの事象を計数する手順。

3.28 

偏光(polarized light)

ある与えられた全ての瞬間に特定の方向の振動が部分的又は完全に抑制された光。

注記  振動のベクトルは線形,円形又はだ(楕)円形を示す。

ISO 10934-1:2002 の 2.88.1

[28]

3.29 

ポラライザ(polarizer)

対象物の前の光路に置かれる偏光板。

ISO 10934-1:2002 の 2.117.4

[28]

3.30 

ポーラ,偏光板(polar)

自然光から平面偏光した光を選別する装置。

ISO 10934-1:2002 の 2.117

[28]


6

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

   

3.31 

屈折率,n(refractive index)

真空中とある与えられた媒体中の光速(より厳密には,位相速度)との比。

ISO 10934-1:2002 の 2.124

[28]

3.32 

蛇紋石(serpentine)

次の名目上の組成式をもつ一般的な造岩鉱物のグループ。

Mg

3

Si

2

O

5

(OH)

4

ISO 13794:1999 の 2.39

3.33 

双晶(twinning)

同じ種類の結晶が互いにある特定の位置関係で接合してできた結晶。その相対的方向はある特定の法則

に従っている。

ISO 13794:1999 の 2.41

3.34 

未開綿繊維(unopened fibre)

それを構成する単繊維又は繊維に分離されていない大きい直径のアスベスト繊維束。

ISO 13794:1999 の 2.42

略語 

ED

電子回折(electron diffraction)

EDXA

エネルギー分散 X 線分析(energy dispersive X-ray analysis)

MEC

セルロース混合エステル(mixed esters of cellulose)

PC

ポリカーボネート(polycarbonate)

PLM

偏光顕微鏡法(polarized light microscopy)

RI

屈折率(refractive index)

SAED

制限視野電子回折(selected area electron diffraction)

SEM

走査電子顕微鏡(scanning electron microscope)

TEM

透過電子顕微鏡(transmission electron microscope)

分析要件の決定 

アスベスト含有材料の定義について該当する規制限度,識別されたアスベストの種類及び試料が製品と

して認識できるか否かによっては,JIS A 1481-1 を用いて得られた質量分率の推定を超えるアスベストの

定量は必要ない場合もある。アスベスト含有材の一般的な法的定義は,一つ又はそれ以上の種類の規制さ

れたアスベストについて,

“アスベストが多少でも存在”から,質量分率で 0.1 %を超え,0.5 %を超え及び

1 %を超えるまで,様々である。JIS A 1481-1 を用いて分析された多くのバルク試料については,経験豊富

な分析者ならば,アスベスト含有率がこれらの濃度限界をはるかに超えていれば直感的にすぐ分かる。こ

のようなタイプの試料の場合,経験豊富な分析者は,アスベスト含有率がこれらの規制限界よりもずっと

低いと自信をもって決定することもできるであろう。このようなタイプの試料においては,より正確な定

量は必要ない。これよりも正確で大幅に費用のかかる方法でアスベストの質量分率を決定しても,アスベ


7

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

スト含有材料の規制上の位置付けも,その処理に関するいかなる後の決定も変わらないためである。

附属

書 は,ほとんどのアスベスト含有材料,それらの材料に用いられるアスベストの種類,及び存在する可

能性のあるアスベストの質量分率の範囲を表にしたものである。

附属書 はまた,一般に,JIS A 1481-1

を用いて得られたアスベストの質量分率の推定が,当該材料の規制状況を決定するために十分であるかど

うか,又はこの規格によるアスベストの定量が必要かどうかを示している。分析者は,特定のクラスの製

品においてあり得るアスベスト質量分率に関する指針として,また,信頼性の高い結果を得るための最適

な分析手順を知るために

附属書 を用いることが望ましい。

商用に製造されたアスベスト含有材料には,機能をもたせる目的で意図的に 0.1 %未満の濃度のアスベ

ストを混入させたことはない。したがって,製造された製品中に一つ又は複数の種類の商用アスベスト(ク

リソタイル,アモサイト,クロシドライト又はアンソフィライト)が検出されたとすれば,その製品にア

スベストが 0.1 %を超える濃度で存在するという仮定が成り立つ。したがって,ある調査対象区域におい

てアスベスト含有材料の法的定義が“アスベストが多少でも存在”又は 0.1 %超のいずれかの場合,対象

とする製品中に商用アスベストの一つ以上の種類が検出された場合は,自動的にその材料に適用される規

制が決定される。法的定義が 0.5 %又は 1 %のいずれかで,アスベスト含有率はおよそ 5 %未満であると推

定されていれば,その材料の規制上の位置付けを保証するためには,より正確な定量分析が必要である。

ある材料中にトレモライト,アクチノライト又はリヒテライトせん(閃)石/ウィンチャイトせん(閃)

石が検出されても,

それによってアスベスト含有率に関するいかなる仮定もすることはできない。

それは,

これらの鉱物は,一般に,意図的に製品に混入されていないからである。むしろこれらは一般に,製品製

造に用いられる幾つかの構成物質の随伴鉱物として生じる。これらの角せん石の非アスベスト様形態のも

のは一般に規制を受けないため,これらの角せん石のアスベスト様形態と非アスベスト様形態とを区別す

ることも必要である。これらの角せん石鉱物はしばしば工業用鉱物の中にその二つの形態の混合物として

存在する。

アスベストを含有する可能性のある全てのタイプの材料に対してただ一つの分析手順を規定することは

不可能である。なぜならば,アスベストが含有したマトリックスの種類は極めて多様であるからである。

ある種の材料は,マトリックス質量低減処理になじむが,なじまない場合もある。

JIS A 1481-1

の方法で得られる定量のための必要条件を,

表 に要約して示す。

表 1−バルク・試料中のアスベストを定量するための必要条件のまとめ 

材料のタイプ

法的規制値

“いずれかの

アスベストが存在”

質量分率

0.1 %超

質量分率

0.5 %超

質量分率

1 %超

商 用 に 製 造 さ れ
た製品

商用アスベスト種が少しでも検出されれば,更
なる定量は必要ない。

質量分率 5 %未満でアスベストが検出された
場合,その材料の規制上の位置付けの対象を決

めるために更に正確な定量が必要である。

その他の材料

いずれかのア スベス

トが検出されれば,更

なる定量は必要ない。

質量分率 5 %未満のアスベストが検出された場合,その材料の規制上の

位置付けの対象を決めるために更に正確な定量が必要である。

範囲 

この規格の範囲は,PLM,SEM 又は TEM による分析のために適切に調製された試料に適用する場合,

対象範囲は 0.001 %未満∼5 %である。しかし,アスベストの濃度の上限はない。この範囲の下限は,質量


8

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

   

法によって除去できる非アスベスト成分の割合及び検査可能な残りの材料の量によって決まる。

定量限界 

この規格の定量限界は,調べられた量の試料の中に 1 本の繊維又は一つの繊維束が検出又は識別される

ことと定義される。達成できる定量限界は,次の条件によって決まる。

a)

試料のマトリックスの性質

b)

アスベスト繊維及び繊維束の大きさ

c)

適切な試料調製及びマトリックス低減(質量)手順の利用

d)

試料の検査に要する時間

e)

用いる分析方法(PLM,SEM 又は TEM)

試料の性質に合わせて選んだ適切なマトリックス低減手順を用いれば,検出下限は 0.001 %を下回るこ

ともある。

原理 

質量既知の材料を,有機物質を除去するために炉の中で 450±10  ℃の温度まで加熱する。試料の性質に

よって,加熱して得られた焼却残さは,酸可溶性成分を溶かすために,塩酸又は硫酸のいずれかで処理す

る。必要な場合には,次に骨材の破片及び粒子を分離するために水中沈殿処理を行う。角せん石の微妙な

定量においては,ある種の材料は,酸液に分散して還流(リフラックス)する処理及びそれに続く水酸化

ナトリウム液に分散して還流する処理を必要とすることがある。代わりの方法として,角せん石を遠心分

離によって,より密度の低いその他の多くの成分から密度液中で分離することができる。これらの処理で

得た残さ中のアスベストの割合を PLM,SEM 又は TEM のうち適切な方法で定量する。

安全上の予防措置 

アスベストの取扱いは,多くの管轄区域において規制されており,法規はしばしば,作業実施者及び近

くにいる人々が過剰な濃度の空気中浮遊アスベストにばく(曝)露されないように,様々な手順を定めて

いる。

アスベストを含有している可能性のある材料の試料採取をする際には注意が必要である。また,アスベ

スト含有が疑われる材料をサンプリングする場合,空中浮遊アスベスト粒子の発生及び吸入を回避するた

めの安全措置を講じることが望ましい。この箇条の取扱注意事項に従えば,繊維が大量に放出されること

はないと仮定してもよい。例外的事例においては,空中浮遊繊維の放出を防止するため,更に広範な安全

措置が必要な場合がある。

手順の中には,有害危険化学物質の使用について示しているものがある。これらの化学物質は,安全要

件に従って取り扱うことが望ましい。

材料によっては,

灰化によって有毒ガスが放出される可能性がある。

したがって,マッフル炉は適切に換気することが望ましい。

10 

器具 

この規格で用いる主な器具を,次に示す。

10.1 

防じん(塵)フード  アスベスト含有が疑われるバルク材料の取扱いは,適切な除じん(塵)フー

ド中で行い,分析者及び実験室環境が空気中のアスベスト繊維にばく露されないようにしなければならな

い。


9

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

10.2 

試料破砕装置  試料を PLM 検査に適した大きさまで破砕するために用いるめのう製乳鉢,乳棒,

又は破砕器。

10.3 

化学天びん(秤)  読取り限度が 0.000 1 g 以下の化学天びん。

10.4 

マッフル炉  最高温度 800  ℃,温度安定性が±10  ℃のマッフル炉。妨害する有機物を除去するた

めの,試料の灰化に用いる。

10.5 

スライドウォーマ(ホットプレート)  試料の乾燥及び顕微鏡スライドガラスの準備に用いる乾燥

機(加熱器)

。代わりにオーブンを使ってもよい。

10.6 

ガラス製ろ過装置(直径 47 mm)  容量 250 mL のガラスろ過板付きのガラスろ過器及び真空吸引

ろ過瓶。

10.7 

ガラス製ろ過装置(直径 25 mm)  容量 15 mL のガラスろ過板付きのガラスろ過器及び真空吸引ろ

過瓶。

10.8 

真空吸引ろ過瓶  容量 1 000 mL の真空吸引ろ過瓶。

10.9 

水流アスピレータ  水流アスピレータ,その他のろ過用真空装置。

10.10 

マグネチックスターラー  酸可溶性の干渉成分を除去するための,ガラス又はプラスチックで被

覆された回転子を備えたマグネチックスターラー。

10.11 

ガラス製加熱還流冷却装置  試料を酸及びアルカリで逐次,加熱・還流冷却処理(還流)するた

めに,縦形の水冷式ほうけい酸ガラス製還流冷却器を備えた 250 mL の丸底フラスコ及びマントルヒータ

で構成されるほうけい酸ガラス製還流装置が必要である。

10.12 

遠心分離機  試料を酸及びアルカリで逐次,還流を行う間に不溶性残さを分離するために,又は密

度液を用いた遠心分離法によって角せん石を分離するために,卓上型の遠心分離機が必要である。

10.13 

ガラス製遠心分離管  容量 15 mL。

10.14 

シンクフロート(密度計)又は密度瓶  密度液の密度測定に用いる 23  ℃での密度が 2 750±5 kg/m

3

(2.75±0.005 g/cm

3

)であるシンクフロート標準。代わりに 10 mL 密度瓶を用いてもよい。

注記  シンクフロート標準(Sink-Float Standard)は Cargille Laboratories, Inc.  が販売している製品の商

品名である。この情報は,この規格の使用者の便宜のため提供するものであり,この製品を推

奨しているのではない。同じ結果が得られる場合は,これと同等の他の製品を用いてもよい。

10.15 

顕微鏡分析用装置  マトリックス質量低減法の手順で生じる残さの分析のために用いる,JIS A 

1481-1

に詳細を規定した適切な顕微鏡装置。

10.16 

汎用実験用品  次の用品及び装置,又はこれらの同等品を用いる。

10.16.1 

グラシン紙シート  試料検査用の約 15 cm×15 cm のもの。

10.16.2 

単回使用手術用メス 

10.16.3 

ピンセット,針,へらなどの試料採取用具 

10.16.4 

三角フラスコ  250 mL のもの。

10.16.5 

るつぼ  シリカ製又はうわ(釉)薬をかけた磁器製で蓋付きのもの。

10.16.6 

ペトリ皿 

10.16.7 

ピペット並びに使い捨てピペットチップ  0∼1 000 μL 及び 0∼10 μL のもの。

10.16.8 

使い捨てピペット 

10.16.9 

使い捨てプラスチック製ビーカー  50 mL 及び 1 000 mL のもの。

10.16.10 

ほうけい酸ガラス棒  直径 5 mm,長さ約 20 cm のもの。

10.16.11 PC

ろ紙  孔径 0.4 µm,直径 47 mm 及び 25 mm のもの。


10

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

   

10.16.12 MEC

ろ紙(セルロースエステル混合メンブレンフィルター)  孔径 0.45 µm,直径 47 mm 及び

25 mm のもの。

10.16.13 JIS 

A 1481-1

で規定する顕微鏡分析実験装置及び用品 

11 

試薬 

この規格で用いる主な試薬を,次に示す。

11.1

孔径 0.22 μm の MEC ろ紙によってろ過された蒸留水又は純水

11.2

試薬用の濃塩酸

11.3

試薬用の濃硫酸

11.4

試薬用の氷酢酸

11.5

試薬用のペレット状水酸化ナトリウム

11.6

試薬用のジメチルホルムアミド

11.7

変性エタノール

11.8

密度約 2 950 kg/m

3

のメタタングステン酸リチウム溶液

12 

試料量及び均一性 

12.1 

試料量 

分析に先立ち,材料の均一性を検討し,また,試料が検査される材料を代表するとみなせる十分な大き

さであることを確実にする必要がある。肉眼又は双眼実体顕微鏡による観察によって,材料が細かく分割

されており,均一であることが分かった場合,又は既知の情報から,材料の性質が均一であると認められ

る場合は,一般に,約 5 cm

3

の試料量で分析に十分である。

12.2 

代表試料 

以前は,広範なアスベスト含有材料が使用されていた。試料採取される材料の選定において,経験は非

常に貴重であり,試料採取対象の材料又は成分に関し,利用できる予備知識を存分に活用すると,試料採

取は容易になる。意味ある定量のために最も重要なことは,採取された試料が,アスベスト含有量に関し

て,製品の組成を代表するものであることである。アスベスト含有材料の多くは,肉眼で検査すると一見

均一に見える場合もあるが,顕微鏡サイズの範囲では,かなり不均一なこともある。骨材の破片が材料の

他の成分よりかなり大きい吹付け装飾仕上げ塗装のような材料では特に不均一なことがある。

配合手順及び品質管理手順の下で混合され製造される市販製品より,むしろ特に建築現場で混合される

類の材料の場合,アスベストが均一に分散されていないものがあり得る。報告されたアスベスト質量分率

が確実にその材料を代表するものであるようにするために,このような種類の材料については,より多く

の試料を分析しなければならない。アスベストが,製品に意図的に加えられたのでなく,自然由来の不純

物として存在する場合は,試料量の要件をより考慮することが重要である。

試料を一部保管することが推奨されるが,それは試料の追加検査が,生じる可能性がある疑問又は不一

致を解決する唯一の方法であることが多いためである。

13 

マトリックス質量低減法 

13.1 

全般 

マトリックス質量低減法の目的は,

分析される試料からできるだけ多くの非アスベスト成分を除去して,

存在する何らかのアスベストが処理後の最終残さ中で,より高い質量分率を示すようにすることである。


11

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

利用できる最も簡単な方法としては,灰化して有機成分を除去する,酸に溶かして可溶成分を除去する,

沈降分離して大きな骨材粒子を分離するなどの方法がある。分析の目的が角せん石群だけを定量すること

にある場合は,酸及びアルカリ中で順次還流(リフラックス)すれば,効果的にある種のけい酸塩鉱物を

除去し,角せん石群を変化しない形で得ることができる。角せん石群は,密度分離によっても他の成分か

ら分離することができる。分析されている試料の性質に従って,いずれか一つの方法,又は複数の方法の

組合せを,順次用いることができる。

13.2 

データの記録 

分析データの記録に適した書式の例を

図 に示す。試料の性質及び特定のタイプのマトリックス試料に

必要な質量法の組合せによっては,書式を修正してもよい。


12

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

   

バルク試料の分析:灰化及び酸抽出の質量濃縮 

試料:  

試料番号:   

るつぼ番号:   

日付:   

分析者:   

当初質量 

コメント 

発泡:

るつぼの質量

るつぼ及び試料の質量

試料の質量

灰化 

るつぼ及び灰の質量

灰の質量

灰化中の質量減

有機物及び水のパーセント

酸処理 

報告 

アスベスト(残さ中の%)

ろ紙の質量

ろ紙及び試料の質量

残さの質量

酸処理中の質量減

酸に溶ける物質のパーセント

全残さのパーセント

PLM

試験 

残さ中のアスベストのタイプ

残さ中のアスベストのパーセント

試料中のアスベストのパーセント

残さ中の他の成分の記述

 

TEM

SEM 試験 

残さ中のアスベストのタイプ

残さ中のアスベストのパーセント

試料中のアスベストのパーセント

残さ中の他の成分の記述

 

図 1−質量測定及び分析データの記録書式の例 

13.3 

代表的なサブ試料の選択及び前処理 

13.3.1 

全般 

分析の前に,試料が乾燥していることを確かめる。分析に用いるバルク材料の量は任意である。しかし,

次のことを確認するために,JIS A 1481-1 における以前の分析の結果を考慮することが大切である。


13

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

a)

サブ試料の大きさは,そのサブ試料が材料全体を代表していることを保証するのに十分である。

b)

提案された全ての分離ステップを経た後の残さの量は,十分な精度でひょう(秤)量されるのに十分

な程度大きい(約 1 %の精度が望ましい。

c)

サブ試料には,元の試料の表面又は中にあった可能性がある塗料は含まれていない。

注記 1  この規格の方法を用いた場合,バルク材料から,それがほとんど全て有機成分から成るか,

又はそれらが微量の不溶成分を含むせっこう若しくは石灰である場合を除いて,元の試料に

対して 2 %未満の量の残さが得られることはほとんどない。

注記 2  最初の質量を多くすれば,元の材料の中のアスベストの不均一な分布の影響を薄めることが

できる。これらの不均一な分散は,元の材料の中のアスベストの質量分率が低い場合,及び

とりわけ存在するアスベストが自然由来の汚染物質である場合は,概してより重大な問題に

なる。

サブ試料の妥当な質量及び必要となる前処理は,試料の性質によって決まる。

13.3.2 

骨材を含まないしっくい 

これらの材料は主としてせっこう,炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムから成り,場合によってはで

んぷんを含むが,これらがアスベストを含む場合,それは通常,均一に分散されている。質量約 0.1 g 以上

のサブ試料を使用する。最高 1 g までのサブ試料は十分に分析できる。乳鉢及び乳棒を使ってサブ試料を

すり潰す。

13.3.3 

骨材を含むしっくい 

これらのしっくいは主としてせっこう,炭酸カルシウム,水酸化カルシウム,大きな石の骨材及び砂か

ら成り,しばしば動物の毛

1)

 又はジュート繊維,場合によっては低質量分率のクリソタイルを含む。大き

な石の骨材が存在しないようであれば,質量約 0.5 g 以上のサブ試料を使用する。大きな石の骨材(寸法が

2∼5 mm)がある場合は,最小サブ試料量としておよそ 5 g が必要である。乳鉢及び乳棒を使ってサブ試

料を軽くすり潰して粒子状及び破片状の骨材を破砕し,次の灰化及び化学的処理が効果的に行われるよう

にする。沈降分離によって非アスベスト成分の大部分を分離することがこのタイプの試料において非常に

重要な特徴であるから,粒子の大きさを絶対に必要である以上に小さくしないことが大切である。粉砕さ

れた形で受け取った試料からサブ試料を採取する場合は,円すい(錐)四分法を用いることが望ましい。

1)

  国内では,すさなどが使用されている。

13.3.4 

骨材を含む及び含まないセメント 

ポルトランドセメントしっくいは,手順の後ろの部分で重大な問題を起こすので,サブ試料の量は 1 g

未満に抑えなければならない。これらの材料は極めて固い。粒子状及び破片状の骨材を分離するために材

料を摩砕する。

13.3.5 

床タイル 

清浄なメスを使って材料の薄い層を削り落とす。シート面に対して垂直に切り込んで,もしあれば,接

着剤を避け,また,上表面上のシーリング材又は破片を避けて,材料の全横断面から削り取りを行う。こ

れによって,もしその材料が層状構造をもっている場合,試料が材料中の全ての層を代表していることが

保証される。最小のサブ試料量として削り取り分およそ 0.3 g を使用する。

13.3.6 

骨材を含まないアスファルト材料 

アスファルト材料の全厚さを代表するサブ試料を選ぶ。最小サブ試料量としておよそ 0.5 g がよい。

13.3.7 

骨材を含むアスファルト材料 

これらの材料中に存在するアスベストは,アスファルト成分中に含まれているから,分析で得られるア


14

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

   

スベストの質量分率報告値はサブ試料中のアスファルトと骨材との定量比によって決定的に左右される。

骨材の大きさが約 1 cm 以下である場合は,質量約 10 g 以上のサブ試料を使用する。アスベストの定量は

アスファルト成分の質量だけに基づいて行ってもよい。これは,灰化の間に観察される質量減少から得る

ことができる。この場合,サブ試料の量はより少なくしてもよい。しかし,この手法が妥当であるかどう

かは適用される法的規制限度についての正確な表現に従って決まる。

注記  必要なサブ試料の質量を計算する際の目安として,この種の材料は普通およそ 5 %のアスファ

ルトを含んでいることを考慮する。

13.3.8 

コーキング,マスチック,パテ,下地及び破れ目地コンパウンド 

これらの材料は品質管理の下で製造された工場生産品で,均一な品質のものと考えてよい。マスチック

を除いて,最小サブ試料量としておよそ 0.3 g がよい。できれば,マスチックについてはより多くのサブ試

料を使用するほうがよい。なぜならば,それらがアスベストを含んでいない場合,灰化後の残さ量が不十

分でひょう量できないことがあるためである。

13.3.9 

セルロース材 

質量約 0.5 g 以上のサブ試料を使用する。

13.3.10 

テクスチャー・コート 

質量約 0.5 g 以上のサブ試料を使用する。テクスチャー・コートは,しばしば厚いペイント塗装で被覆さ

れているので,分析用に十分な材料を得ることが難しい場合が多い。

13.4 

灰化による有機物質の除去 

13.4.1 

全般 

以前の経験から,材料中の有機物の含有量が僅かであって分析に影響しないことが分かっている場合は

灰化のステップを省略してもよい。この場合,サブ試料をひょう量してすぐに酸溶解ステップにまわす。

材料によってはでんぷんが含まれていることがあるが,

これは最後の残さのろ過を妨げるおそれがある。

したがって,事前に性質が分かっていない試料は灰化することが望ましい。

450  ℃の温度で 4 時間以上,試料を灰化することによって,クリソタイルの光学的特性にほとんど影響

を与えることなく,多くの材料から有機成分を除去することができる。アモサイト及びクロシドライトの

色,光学的特性はこの酸化処理によって変化するが,しばしば繊維の多くはなお PLM によって識別でき

る。トレモライト,アクチノライト,アンソフィライト及びリヒテライト/ウィンチャイトの光学的特性

はこの処理によってほとんど影響を受けない。熱処理はアスベスト種のいずれの組成にも影響を与えず,

それらは全てこの処理の後に電子顕微鏡によって識別できる。

マッフル炉の温度を通常の作業では,450  ℃に設定する。マトリックスによっては,有機材料を除去す

るために最高 10 時間までの長めの加熱期間を要することがある。必要であれば,マッフル炉の温度を

485  ℃まで上げてもよい。しかし,この温度を超え,とりわけ 500  ℃を超えてはならない。500  ℃を超え

るとクリソタイルが分解し始めるためである。

ポリ塩化ビニル又はアスファルト材料を含む試料がマッフル炉内で処理されるときに放出される有毒な

煙霧へのばく露を防止するために適切な予防措置を講じる。

13.4.2 

手順 

うわ薬をかけた磁気製又は石英ガラス製るつぼに耐熱性マーカで表示を付け,ひょう量する。バルク材

料のサブ試料をるつぼに入れ,再びひょう量して,サブ試料の質量を得る。るつぼにるつぼ蓋をかぶせて,

450  ℃±10  ℃のマッフル炉内に少なくとも 4 時間入れておく。マッフル炉からるつぼを取り出し,室温ま

で放冷する。るつぼ蓋を外し,るつぼを内容物とともにひょう量する。るつぼの内容物を調べて有機物質


15

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

の除去が不十分であると分かった場合は,るつぼをマッフル炉に戻し,更に処理を続ける。

13.5 

酸処理及び沈降分離手順 

13.5.1 

全般 

方解石,せっこう及びミネラルウールのようなマトリックス成分は塩酸に溶ける。これらの成分は,ま

た,しばしば試料体の大きな部分を構成する。試料を 2 mol/L 塩酸の中で 15 分間かき混ぜることによって

マトリックス構成成分の多くが除去され,その結果,アスベストの同定及び定量の精度が改善される。酸

処理はクリソタイルの屈折率を僅かに下げるので,PLM によってクリソタイルを識別する際にはこのこと

を考慮する必要がある。この酸処理は他のいずれのアスベスト種の光学的特性にも影響を与えることはな

い。

注記  酢酸又はぎ酸のような他の酸は,せっこう及び方解石を効果的に溶かすが,鉱物綿又はドロマ

イトのようなその他の鉱物の除去には有効ではない。

酸処理の後,ある材料では大きなサイズの骨材又は砂が残るが,それは沈降分離又は浮上分離によって

分離できる。焼成したバーミキュライト又は膨張したパーライトのような構成成分の大部分は浮上分離に

よって分離できる。砂又は骨材の破片は水性懸濁液(サスペンション)からほとんどのアスベストよりは

るかに迅速に沈降するので,ある種の試料では砂又は骨材の大部分をアスベストを含む部分から分離でき

る。

酸に溶ける成分を含む試料は,不溶性骨材を含む含まないにかかわらず,13.5.2 の手順で適宜処理でき

る。弾性床タイルは,ドロマイトが主成分として存在することがしばしばあって濃塩酸を使う必要がある

ため,特殊なケースとなる。弾性床タイルのための手順を,13.5.3 に規定する。

13.5.2 

可溶性成分を含み,不溶性骨材を含むか又は含まない,試料を酸処理するための手順 

13.5.2.1 

酸溶解性及び水溶性の成分を溶かす 

るつぼ内の灰化された内容物を 200 mL のエルレンマイヤー

(三角)

フラスコに移す。

2 mol/L 塩酸 100 mL

及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で被覆した磁気かくはん(撹拌)子を加える。このフラスコを

電磁式かくはん(撹拌)器に 15 分間載せる。

注記  全ての酸可溶性物質が溶解されるよう,余分な酸を使い切る。

13.5.2.2 PC

ろ紙をひょう量し,ろ過装置を組み立てる 

直径 47 mm,孔径 0.4 μm の PC ろ紙をひょう量し,それを表示付きペトリ皿の中に置く。直径 47 mm の

真空ろ過装置を組み立て,あらかじめひょう量した直径 47 mm,孔径(ポアサイズ)0.4 µm の PC ろ紙を

取り付ける。直径 25 mm の真空ろ過装置を組み立て,その後の分析の仕方に合わせて,PLM ポイントカ

ウンティング(カウント)用に公称孔隙率(ポロシティ)0.45 μm の MEC ろ紙,SEM 又は TEM 試験用に

孔径 0.4 μm の PC ろ紙及び 5 µm の MEC バックアップ拡散ろ紙のいずれかを取り付ける。

分析しているサブ試料がポルトランドセメントを含んでいる場合は,最後の残さのろ過が極めて遅くな

ることがある。ポルトランドセメントの存在が分かっているときは,孔径 0.8 μm の PC ろ紙を使用する。

13.5.2.3 

沈降,浮上及び懸濁している粒子の分離 

このステップは極めて重要であり,ある程度の手先の器用さが要求される。目的は液中に懸濁している

アスベストをそのままに保ち,砂及び骨材のような重い成分は沈殿させ,膨張したパーライト又は焼成し

たバーミキュライトのような軽い成分は浮かせることにある。

沈降,

浮上及び懸濁している粒子の分離は,

次による。

a)

浮上パーライト又はバーミキュライトのないことが分かり,かつ,大きな骨材粒子の沈殿のないこと

も分かった場合は,直接 13.5.2.4 に進む。


16

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

   

b)

浮上パーライト又はバーミキュライトがある場合,更に先に進む前に,浮いている成分が三角フラス

コ(エルレンマイヤー・フラスコ)の口のところまで上がってくるまで蒸留水を加える。清浄なスパ

チュラを使って水面から浮上成分をできる限り取り除き,それをあらかじめひょう量してあったプラ

スチック製ペトリ皿の中に置く。ペトリ皿をスライドウォーマの上に置いてその物質を乾燥させる。

c)

ステップ b)  が必要であった場合,

フラスコを数分間静置し,

上澄み液のおよそ 50 %を清浄な 1 000 mL

フラスコに注ぎ込む。ステップ b)  が必要でなかった場合は,直接 d)  に進む。

d)

沈降した粒子を再び懸濁させるために,フラスコを回すようにして中の液を振り混ぜる。大きいほう

の粒子が沈降するまで間をおいて,それから上澄み液のほとんどをビーカーに注ぎ入れる。蒸留水 150

mL を三角フラスコに加え,沈降及び上澄み液の取出しを繰り返す。追加の蒸留水 150 mL を使って上

の操作をもう一度繰り返す。

e)

蒸留水の入った洗浄瓶を使って,沈降した物質を三角フラスコから 100 mm ペトリ皿に洗い出す。

(ペ

トリ皿から余分の)水を 1 000 mL ビーカーに移し入れた後,ペトリ皿をスライドウォーマの上に置い

て沈降物を乾燥させる。少量のエタノールで(ペトリ皿上の)沈降物を洗い,

(余分の)エタノールを

1 000 mL ビーカーに移し入れることによって,乾燥を促進してもよい。

f)

蒸留水をビーカーに,体積が既知の値(700 mL あれば通常は十分)になるまで加える。

13.5.2.4 

ポイントカウンティング,SEM 又は TEM 試験に使うための MEC 又は PC ろ紙を準備する 

1 000 mL ビーカー(目に見える大きな骨材破片がない場合は三角フラスコ)中の微粒子を,かき混ぜな

がら,また,懸濁液にピペットで空気を吹き込みながら,完全に分散させる。分取液を採取して 25 mm の

MEC 又は PC ろ紙を通してろ過する。ろ紙上の微粒子量は企図された分析に適合した量のものでなければ

ならない。一般に,分取液として 0.5∼4 mL の間の量が PLM ポイントカウンティングに適していることが

分かっているが,SEM 又は TEM 試験に適した微粒子の検体を得るためには,通常これより少なめの分取

液をとる必要がある。ろ過の前に,蒸留水を使って各分取液を 5 mL より多めの量にして,ろ紙上に均一

な微粒子のろ過残さが得られるようにする。四つの分取液から,少なくとも 4 枚の(ろ過済みの)ろ紙を

調製する。ろ紙をそれぞれ表示付きペトリ皿の中に置き,スライドウォーマ上でろ紙を乾燥させる。

13.5.2.5 

懸濁液の残りのろ過 

懸濁液のバランスを孔径 0.4 μm 又は 0.8 μm の PC ろ紙を通してろ過する。ろ過装置から PC ろ紙を取り

外し,それを表示付きペトリ皿の中に置く。ペトリ皿をスライドウォーマ上で乾燥させる。

13.5.2.6 

分離された部分をひょう量する 

沈降物質と,ろ過残さが付着した PC ろ紙とをひょう量する前に,双眼実体顕微鏡を用いてそれらを子

細に調べる。ピンセットを用いて,沈降物質中の目に見える極めて大きな繊維束を拾い出して,あらかじ

めひょう量しておいた容器(アルミニウムはくで作った小さな容器で十分である。

)の中に入れる。ろ過残

さ中に大きな粒子があると,それはろ過残さのサブサンプリングとしての代表的性格を損なうことになる

ので,大きな非アスベスト物質を拾い出して,それを沈降物質のほうに移し,また,大きなアスベスト繊

維があればそれを,沈降物質から拾い出した繊維を入れた容器に加える。沈降物質をあらかじめひょう量

しておいた 50 mm プラスチック製ペトリ皿に移す。浮上物質(該当する場合)

,沈降物質,手で拾い出し

た繊維,及び最終ろ過残さが付着したろ紙をひょう量する。箇条 14 に進む。

13.5.3 

弾性床タイル用の手順 

13.5.3.1 

残灰(灰化残さ)を濃塩酸で処理する 

直径 47 mm,孔径 0.4 μm の PC ろ紙をひょう量し,それを表示付きペトリ皿の中に置く。真空ろ過フラ

スコ及びアスピレータを使って直径 47 mm のろ過装置を組み立てる。PC ろ紙をろ過器(吸引ロート)に


17

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

取り付ける。

残灰をるつぼからめのう乳鉢に移し,新しい蒸留水 0.5 mL を加え,物質を摩砕して分散させる。2 mL

の濃塩酸をゆっくり加える。方解石,ドロマイト及びアンケライトは二酸化炭素を発生しながら溶ける。

方解石は極めて早く溶けるが,ドロマイト又はアンケライトはゆっくり溶ける。ガスの発生が遅いように

見える場合は,より早く溶けるように,引き続き乳鉢の中の物質をときどき摩砕する。ドロマイト及びア

ンケライトの完全な溶解には,15 分以上が必要であるが,残灰を濃塩酸に 20 分以上さらすことは避ける。

ガスの発生が見られなくなったら,直ちにこの懸濁液を,新しく蒸留してろ過した 10 ml の水で薄める。

13.5.3.2 

懸濁液をろ過する 

ろ過装置を吸引し,懸濁液をろ過器(ろ過貯留器の吸引ロート)に注ぎ入れ,また,新しい蒸留水約 50

mL を使って乳鉢及び乳棒を洗い,その水をろ過器に注ぎ入れる。その水を完全にろ過する。乳鉢,乳棒

及びろ過瓶をおよそ 10 mL の蒸留水で洗い,そのままその水を完全にろ過する。水洗い作業をもう一回行

って,確実に残さが全て(ろ紙に)移され,塩酸が全て洗い流されるようにする。

13.5.3.3 PC

ろ紙を乾燥しひょう量する 

PC ろ紙を取外し表示付きペトリ皿に移す。セルロース製下敷きを皿の底に置いて,PC ろ紙が乾燥して

ペトリ皿に付着するのを防ぐ。ろ過装置は直ちに洗って,残った微量のクリソタイルが装置内に乾いて付

着しないようにする。

加熱灯又はスライドウォーマを使って PC ろ紙を乾燥する。PC ろ紙は乾燥中に丸まることがある。ろ残

の付いた PC ろ紙を室温まで放冷し,ひょう量する。

13.5.4 

角せん石繊維に関する材料の試験 

13.5.4.1 

全般 

バーミキュライト,ウォラストナイト,アタパルジャイト及びセピオライトは,酸及びアルカリ中で順

次還流することによって溶解できる材料のグループの代表である

[24]

。塩酸又は硫酸のいずれかの中で煮沸

することによってマグネシウム及びカルシウムのようなカチオンが除かれて,シリカゲルの残さが残る。

この残さを水酸化ナトリウム中で煮沸すると,シリカゲルが溶けて,角せん石鉱物がほとんど変化しない

で残る。

ウォラストナイトの分析の場合は,塩酸を使う必要がある。

注記  バーミキュライト及びバーミキュライト含有材料の中の角せん石の質量分率の定型的測定は,

箇条 15 に規定する方法が適している。

13.5.4.2 

代表的なサブ試料を選ぶ 

磁器又はシリカ製るつぼをひょう量する。最大およそ 2 g の材料を選び,それをるつぼに入れ,再びひ

ょう量する。

13.5.4.3 

サブ試料を熱処理する 

るつぼをマッフル炉に入れ,600±10  ℃で少なくとも 10 時間保持する。るつぼをマッフル炉から取り出

し,室温まで放冷する。

13.5.4.4 

熱処理したサブ試料を酸に入れて還流する 

るつぼの内容物を,還流装置(還流冷却器,丸底フラスコ及び電熱器)の一部である 250 mL 丸底フ

ラスコに移す。2 mol/L 硫酸又は 2 mol/L 塩酸のいずれかを 80 mL 加え,その懸濁液を 1 時間煮沸する。煮

沸中の激しい突沸を抑えるため,素焼きの磁器片をフラスコに入れる。フラスコを室温まで放冷する。

13.5.4.5 

遠心分離して残さを洗う 

フラスコの内容物を遠心分離管に移し,少なくとも 2 800 rpm の速度で 10 分間遠心分離する。遠心分離


18

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

   

管から上澄み液を傾しゃ(瀉)し,ろ過した蒸留水に遠心分離物を分散する。この懸濁液を再び遠心分離

する。この洗浄手順をもう一度繰り返す。

13.5.4.6 

残さを水酸化ナトリウムに入れて還流する 

遠心分離物を還流装置の 250 mL フラスコに移し,およそ 80 mL の 4 mol/L 水酸化ナトリウム水溶液を加

える。懸濁液を 1 時間還流する。

13.5.4.7 

最終残さを分離する 

フラスコの内容物を遠心分離管に移し,

10 分間遠心分離する。遠心分離物を 13.5.4.5 の要領で 2 回洗う。

エタノールを使って遠心分離物を,あらかじめひょう量したポリスチレン製ペトリ皿に移す。ペトリ皿を

60  ℃のスライドウォーマの上に置いてエタノールを蒸発させる。遠心分離物が入ったペトリ皿をひょう量

して最終残さの質量を得る。

13.5.4.8 

最終残さ中の角せん石を識別し定量する 

JIS A 1481-1

に規定された手順を用いて,もし最終残さ中にアスベストがあれば,それを識別する。角

せん石が検出された場合は,箇条 14 に記載するように,PLM,SEM 又は TEM のいずれかによって定量で

きる。

14 

マトリックス質量低減後の最終残さ中のアスベストを定量する手順 

14.1 

全般 

定量的質量分析手順を適用した後,通常,最終残さ中のアスベストを定量する必要がある。この残さは

一般に PC ろ紙の表面上に微粒子物質の厚い層の形を成している。ある試料調製方法では,最終残さから

PLM ポイントカウンティングに適した微粒状物質を載せたろ紙が調製されたこともある。質量低減法の手

順で得られた最終残さ中のアスベストは,14.2 に示す方法のいずれか一つによって定量される。どれが妥

当な手順であるかは,材料の性質によって決まることを理解しておく必要がある。この規格の箇条に規定

する手順は,効率的な方法で法的規制値と比較するための十分に信頼できるアスベスト質量分率値を求め

るために作成したものである。

14.2 

ろ紙上の残さを調べて適切な手順を選ぶ 

双眼実体顕微鏡を用いて PC ろ紙上のろ過残さを調べる。ときどき大きな繊維束を発見できることがあ

る。それは残さから選び取って PLM によって識別できる(その際,塩酸に触れることによって屈折率が

低下する場合があることを考慮する。

。可能であれば,繊維を選び,JIS A 1481-1 に規定する方法を用い

てそれらを識別する。もし,繊維に関する追加の情報が求められる場合は,JIS A 1481-1 に規定したよう

な SEM 又は TEM 法を用いてもよい。最終残さの性質及び適用される法的規制値を勘案して,存在する何

らかのアスベストを定量するために,14.2.114.2.4 のうちの一つを選ぶ。

14.2.1 

質量濃縮法 

ある種の材料は,灰化だけ,又は灰化と酸処理の組合せの後,最終残さがほとんど完全にアスベストか

ら成るような組成をもっている。これらのタイプの材料に対しては,JIS A 1481-1 の中の手順を用いて,

アスベストを識別する必要があるだけで,元の試料中のアスベストの質量分率は質量測定データだけから

計算できる。あるケースでは,最終残さが元の試料の僅かな割合にしかならないので,たとえ残さが 100 %

アスベストであったとしても,その質量分率が,適用される法的規制値を超えることはない。この状態に

なれば,アスベストの質量分率が特定の法的規制値より低いとして報告できるので,これ以上作業を進め

る必要があるかどうか判断することが望ましい。残さ中のアスベストのこれ以上の定量,又はアスベスト

がないことの確認は,14.2.214.2.4 のいずれかによって行う。


19

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

14.2.2 PLM

SEM 又は TEM 観察による目視での推定 

他の材料のマトリックス中のアスベスト繊維の質量分率の目視での推定は,常にアスベストの割合の過

大評価をもたらすことが証明されている。幾つかのケースで,質量法の適用後に残さの質量分率を考慮に

入れることによって,残さの目視での推定に基づいて,残さ中のアスベストの割合は僅かであること,及

び規制値を超過し得ないことは,直観的に自明である。規制値の遵守を証明する目的のための目視での推

定は,PLM,SEM 又は TEM を使って行うことができる。目視での推定はアスベストの質量分率の過大推

定をもたらすことが分かっているため,規制値が超過されたことを証明するために目視での推定を行って

はならない。この目的のため,目視での推定が適切でないその他の状況では,14.2.3 に規定するポイント

カウンティング手順又は 14.2.4 に規定する質量分率計算手順を使用する。

注記  床タイルの特殊なケースにおいて,PLM によって残さ中にアスベストが確実に識別された場

合,必要に応じて,分析を終了してもよい。なぜならば,そのような残さは一般にほとんど完

全にクリソタイルでできているからである。床タイル中にクリソタイルが識別された場合,そ

れは一般に法的規制値を超えたかなり多くの質量分率で存在することになる。しかし,酸化チ

タンのような顔料による干渉によって,また,カリフォルニア州コアリンガ鉱床産のクリソタ

イルが成分である可能性によって,PLM を用いる手順は,アスベストが存在しないことを確証

する上で,又は残さ中のアスベストの質量分率を決定する上で,信頼性に欠ける。クリソタイ

ルを定量する,又はアスベストが存在しないことを確認するために,14.2.214.2.4 に規定する

手順を用いて,SEM 又は TEM によって残さを調べることが必要である。

14.2.2.1 SEM

又は TEM 試料を調製する 

残さ中に検出されたアスベストの識別以外の追加の分析ステップが必要である場合及び不要である場合

がある。残さの質量が,それが 100 %アスベストであると仮定して,アスベスト質量分率の法的規制値未

満であることを示している場合,そのアスベストの質量分率が法的規制値を超えるおそれはないため,更

に作業を続ける必要性があるかを考慮することが望ましい。残さ中のアスベスト量の目視での推定が,材

料の法的なステータスを確定するのに十分に正確であり得る状況に対しては,ドロップ・マウント(液滴

滴下試料)を用いる SEM 又は TEM の手順が最終残さ中のアスベストを識別しその質量分率を推定するた

めの最適の方法である。これはまた,アスベストが存在しないことを証明するための最適な手順である。

SEM 又は TEM 用のドロップ・マウントは,幾らかの残さをエタノール中に分散してその残さ入り液滴を,
SEM 観察用の試料スタブ(挿入板)上,又は TEM 観察用炭素被覆グリッド上に載せた炭素及びベリリウ

ム小板上に滴下(ドロップ)し,その液滴の水分を蒸発させて作製する。

ろ過残さの付いた PC ろ紙およそ 1 cm

2

を切り取り,これを使い捨てのプラスチック製ビーカーに移す。

残さはしばしば容易にろ紙から剝がれる。5 mL のエタノールを加え,超音波浴中で 1 分間処理して残さの

ほとんどを剝がし,懸濁液を作る。使い捨てチップの付いたマイクロピペットを用いて懸濁液の 3 µL を採

取し,加熱灯の下に置いた SEM スタブ上又は炭素被覆グリッド上に載せる。加熱灯を点灯し,残さの液

滴をスタブ又はグリッド上で蒸発乾燥させる。それが乾いたら,試料をラベル付きペトリ皿に移す。

14.2.2.2 

アスベストの割合を推定する 

SEM 又は TEM の中の試料を調べる。SEM 中の全試料を考慮に入れながら,又は TEM 試料上の幾つか

の代表的なグリッド開口部の検査によって,アスベストの割合を推定する。もし,その検査がアスベスト

の存在の確認を目的にしたものである場合は,適用される法的規制値に関わるこの測定を信頼できるもの

にするために十分な量の微粒物質を調べるようにする。

注記  特に弾性床タイルについては,この手順で得られる最終残さが 70∼95 %のクリソタイルと酸化


20

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

   

チタン顔料粒子とで構成されている例がしばしば見受けられる。他のタイプの床タイルでは,

クリソタイルが全残さに対してより低い比率で,又は角せん石若しくはその他のタイプの鉱物

繊維又は粒子が低い質量分率で認められる。ある種のまれに見られる床タイルはトレモライト

及び/又はアンソフィライトを主要な比率で含んでいる。床タイルから得られた残さは,クリ

ソタイルのほかに,非アスベスト様形態のトレモライト,アンソフィライト,タルク,アンチ

ゴライト,カオリナイト,酸化鉄,硫酸バリウム,うんも(雲母)

,石英,その他の鉱物種を含

んでいる。

14.2.2.3 

元の材料中のアスベストの質量分率を計算する 

元のサブ試料中のアスベストの質量分率を,次の式を用いて,計算する。

W

P

R

C

×

=

ここに,

C: 元のサブ試料中のアスベストの質量分率(%)

R: 灰化及び酸処理後の残さの質量(g)

W: 元のサブ試料の質量(g)

P: TEM 又は SEM 検査から得られた残さ中のアスベストの

質量分率(%)

14.2.3 PLM

又は SEM によるポイントカウンティング 

通常のポイントカウンティングでは,顕微鏡スライド上の異なった粒子種によって占められた相対投影

面積を測定する。異なった粒子種の積算された相対体積は通常のポイントカウンティングから計算できる

が,それは粒子が全て同じ厚さである場合に限られる。様々な粒子種の密度が分かっていれば,異なった

粒子種の相対質量は計算できる。しかし,通常のポイントカウンティングでは,広い範囲で異なった厚さ

と異なった密度をもつ粒子の混合物の中のアスベストの測定に適用された場合,正しい結果にならない。

また,結果は,試料の調製の程度によっても違ってくる。通常のポイントカウンティングによる質量分率

面積の測定はアスベスト,その他の粒子の相対質量分率の計算には適していない。

この手順には,低密度物質を除去し最終残さ中の粒子サイズの範囲を制限するという総合的な効果があ

る。ポイントカウンティングを対数正規分布に従う粒子径及び繊維径をもつ場合に適用したときのコンピ

ューター・モデリングの研究の結果,集計された粒子又は繊維種の体積の大部分は最大の直径をもつ少数

の粒子によって占められていることが分かった。実際に,この規格による処理の後,対数分布で表された

粒子の体積,すなわち質量の大部分は,検出又は観察された最大粒子径のおよそ 10 %より大きい粒子だけ

を計数すれば求められる。

これらの知見に基づき,

この規格で用いる質量ポイントカウンティング手順は,

14.2.3.4

に規定するポイントカウンティング基準を用いている。

14.2.3.1 

ポイントカウンティング用の標本を調製する 

14.2.3.1.1 PLM

ポイントカウンティング用のスライドの調製 

ポイントカウンティング用の顕微鏡スライドは,MEC ろ紙を透明化することによって又は PC ろ紙上に

集められた残さを調製する。実際には,ポイントカウンティングには MEC ろ紙を使う方がより好適であ

ることが分かっている。なぜならば,PC ろ紙から除去された物質を再分散することは時によって困難であ

るからである。ろ紙上の残さがかなりの量のクリソタイルを含んでいる場合は特にそうである。ポイント

カウンティング用の顕微鏡スライドを次の a)  又は b)  に従って調製する。

ポイントカウンティングに用いる屈折液は,質量のかなりの部分を占めて存在する全ての粒子種が見え

るように(すなわち,粒子種の屈折率が液体の屈折率とよく合致することのないように)選択しなければ

ならない。

クリソタイル,

アモサイト又はクロシドライトを含有する試料の大部分については,

屈折率 1.605


21

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

の液体が適していることが知られているが,

主要な粒子種がこの液体中で確実に観察されない場合もある。

a)

ジメチルホルムアミド 35 %,氷酢酸 15 %,及び蒸留水 50 %の混合液 100 µL を清浄な顕微鏡スライド

に載せる。一枚の MEC ろ紙の端を静かに下げて液体に触れさせ,その下に気泡ができないように,

それを液体の上に載せる。ペーパータオルの端を用いて,スライドから余分の液体を吸い取る。他の

MEC ろ紙についてもこの手順を繰り返す。スライドを 65∼70  ℃の温度のスライドウォーマの上に 10

分間載せておく。スライドをスライドウォーマから外す。各ろ紙にグリセロールトリアセテート 30 µL

を載せ,カバーガラスをかぶせる。これでスライドは,ポイントカウンティングの準備ができたこと

になる。

質量の大きな割合を占めている全ての粒子種が,ポイントカウンティングに用いる照明条件下で目

に見える必要がある。目に見えない屈折率をもつ主要な粒子種があることが分かったときは,別のス

ライド調製法を用いなければならない。

b)

多くの場合,ろ過残さはピンセットを使ってろ紙を曲げれば剝がすことができる。質量低減手順で得

た PC ろ紙上の残さをすり潰す必要はない。なぜならば,灰化,酸による溶解及びその後のろ過の間

にマトリックス材から繊維が分離し,PC ろ紙上には比較的一様で均質なろ過残さが残っており,もし

大きな粒子があったとしても,それらは浮上分離,沈降分離及び手による大きな粒子又は大きな繊維

束の除去によって,既に除去されているはずだからである。次に,ろ過残さの代表サブ試料をピンセ

ットを用いて剝ぎとり,それを清浄な 75 mm×25 mm の顕微鏡スライドに載せる。場合によっては,

残さに自己付着性がない場合もあるが,その場合は,代表部分をろ紙から切り取り,次にメスの刃の

端を用いてろ紙から残さを削り取り,スライドガラスに載せる必要がある。残さのサブ試料をスライ

ドガラスに載せた後,屈折液を 1 滴それに落とす。もう 1 枚のスライドガラスを用いて,それを最初

のスライドに重ねてから 90°回転させて保持し,二つのスライドを共に屈折液に触れさせる。二つの

スライドを軽く押し合わせ,急速なせん断運動で前後に擦り合わせる。そして,2 番目のスライドの

縁を用いてスライドの中央に液を戻す。このプロセスを数回繰り返す。通常,この手順によって粒子

が均一に分散されるので,次に,第 1 のスライドに 22 mm×22 mm のカバーガラスをかぶせる。粒子

密度が高すぎる場合,屈折液を更に加えた後,このプロセスを繰り返し,懸濁液の一部を除去して更

なるスライドの調製に用いることができる。練習によって,許容できる粒子密度のスライドを作るた

めに必要な残さの量を確実に判断できるようになる。試料によっては,粒子及び繊維が分散後に再集

合する傾向があるが,これはポイントカウンティングの手順に影響を及ぼすことはなさそうである。

調製するスライドの数は達成されたマトリックス低減の程度及び測定されるアスベストの質量分率に

左右される。少なくとも二つのスライドを用いる。

14.2.3.1.2 SEM

ポイントカウンティング用の PC ろ紙の調製 

メスを用いて PC ろ紙約 1 cm

2

を切り取り,両面接着テープを用いてそれを SEM スタブに載せる。切り

取り作業中にろ紙の上の微粒子を乱さないよう注意する。ろ紙の端に黒鉛ペイントを塗布する。溶剤を揮

発させて炭素の被膜をろ紙面に付ける。

14.2.3.2 PLM

ポイントカウンティング用の顕微鏡の調整 

正しい条件で照明を使用し,粒子の見え方を確認することは,ポイントカウンティングを確実に行うた

めに極めて重要である。PLM ポイントカウンティング用の顕微鏡の調整は,次による。

a) PLM

を直交ポーラに調整し 530 nm 位相板(検板)を挿入する。

b)

総合倍率でおよそ 100 倍が可能な対物レンズを選択する。

c)

最大限に照明できるように照明システムを調整し,最大限のコントラストが得られるようにコンデン


22

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

   

サ開口絞りをできる限り絞る。

d)

少なくとも一方向にスケール目盛の付いたクロスヘア(十字線)を備えた接眼レンズを用いる。

e)

調整したスライドの一つを検査し,照明条件下に粒子種の全てが十分なコントラストがあるかどうか

を調べる。特に,等方性粒子種には注意を払う。全ての粒子種を容易に見ることができる場合は,ポ

イントカウンティングに進む。粒子種の一つでも不十分なコントラストを示した場合は,別の屈折液

を選び,PC ろ紙上の最終ろ過残さから新しいスライドを調製する。

14.2.3.3 SEM

ポイントカウンティング用の顕微鏡の条件 

ポイントカウンティングには倍率 100 を用いる。SEM のディスプレイ上にオーバーレイを,ディスプレ

イ面上にインデックスポイント(位置決め点)を 1 点又は無作為に決めた位置に数点を置くようにして,

張ることができる。

14.2.3.4 

ポイントカウンティング 

次のポイントカウンティング基準によって,結果が粒子及び繊維の統計的に有効な数に基づいており,

また,測定に含まれた粒子及び繊維の大きさが質量の大部分を占める粒子及び繊維の大きさであることを

保証することができる。

a)

全てのスライド又は SEM 標本を走査し,最大の粒子及び最大の繊維のおよその直径を推定する。

b)

ポイントカウンティングを実行し,次を記録する。

1)

粒子については,最初の走査で検出された最大の粒子の直径の 10 %を超える粒子に対するポイント

だけ。

2)

各種の繊維それぞれについては,最初の走査で検出された種の最大の繊維の幅の 20 %を超える幅を

もつ繊維に対するポイントだけ。

c)

十分な直径の粒子及び繊維が重なる部位にポイントが当たる場合,それぞれに対して 1 ポイントを記

録する。

d)

十分な直径の二つの繊維が重なる部位にポイントが当たる場合,2 ポイントとして記録する。

e)

十分な直径の二つの粒子が重なる部位にポイントが当たる場合,2 ポイントとして記録する。

f)

スプリット(縦に割けた)繊維の 1 セグメント(部分)にポイントが当たる場合,そのポイントの下

のセグメントの直径が b)  に規定する直径の最低 20 %という基準を満たす場合にだけ記録する。

g)

入手できる試料全てについて空でないポイントを分布させる。

h)

最低 20 アスベストポイントが記録されるまで,又は 13×P,26×P 若しくは 130×P のいずれかの空

でないポイントという適切な停止ポイントが記録されるまで,ポイントカウンティングを続ける。た

だし,P は,PC ろ紙上の最終残さの質量を元の試料質量の質量分率として表したものである。上記に

かかわらず,少なくとも二つのスライドを用い,少なくとも 100 の空でないポイントを計数する。

アスベスト同定のためのポイントカウンティングの統計的信頼度はアスベストポイントの数によっ

て決まるのであって,調べた空でないポイントの合計によって決まるのではない。したがって,質量

でアスベストが 0.1 %という規制値との比較に対しては,ポイントカウンティングは少なくとも 20 ア

スベストポイント,又は空でないポイント 13 000 相当のいずれかが達成されるまで続ける。質量でア

スベストが 0.5 %という規制値との比較に対しては,ポイントカウンティングは少なくとも 20 アスベ

ストポイント,又は空でないポイント 2 600 相当のいずれかが達成されるまで続ける。質量でアスベ

ストが 1 %という規制値との比較に対しては,ポイントカウンティングは少なくとも 20 アスベストポ

イント,又は空でないポイント 1 300 相当のいずれかが達成されるまで続ける。これらの規制値のい

ずれも,必要とされる空でないポイントの実際の数は,ポイントカウンティング中に得られるアスベ


23

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

ストポイントが 20 未満であると仮定して,

達成したマトリックス低減の程度によって決まる。

例えば,

マトリックス低減によって非アスベスト成分の質量の 90 %が除去され,最初の質量の 10 %の残さが

残ったとすると,20 アスベストポイント停止ルールに最初に遭遇しないものと仮定して,必要とされ

る空でないポイントの数は 10 分の 1 に減る。ポイントカウンティングは,得られた信頼限界から適法

と判断される場合は,20 アスベストポイントに到達する前に終了してもよい。

14.2.3.5 

結果の計算 

次の式によってアスベストの質量分率を計算する。

×

+

×

=

N

A

R

M

W

C

100

ここに,

W: 元のサブ試料の質量(g)

M: 手動で選んだアスベストの質量(g)

R: PC ろ紙上の最終残さの質量(g)

A: 計数されたアスベストポイント数

N: 計数された空でないポイントの数

両側 95 %信頼限界の上限値及び下限値も計算する。

14.2.4 PLM

SEM 又は TEM による繊維測定値からアスベストの質量分率を計算する 

14.2.4.1 

全般 

タルクのようなある種の物質は,化学的溶解法によってアスベストから選択的に除去することができな

い。存在するアスベストの種類によっては,そのアスベストを密度分離法によって分離できるが,タルク

の場合,この方法によっては完全に分離できないことが多い。最適な取組み方は,SEM 又は TEM いずれ

かの分析用の試料を調製し,繊維を数えてアスベストを定量し,質量分率を決定する方法である。この方

法は,微粒状の物質中のクリソタイルの定量にも用いられる。

14.2.4.2 

ろ過した蒸留水に物質を分散させる 

サブ試料 0.1 g 又は 1 g をひょう量し,エタノール 20 mL 中に分散させる。この懸濁液を 1 000 mL のガ

ラス製ビーカーに移し,ろ過した蒸留水で 800 mL まで薄める。

注記  タルクは,粒子の一部が疎水性のようであるため,水に分散させにくいことがある。エタノー

ルには,より容易に分散させることができる。

14.2.4.3 SEM

又は TEM 分析用のろ紙を調製する 

孔径 0.2 μm の PC ろ紙を,SEM 又は TEM 分析用のろ紙を調製するために用いる。ろ過する水性懸濁液

の量は,物質中の微粒子の質量分率又はアスベスト繊維の質量分率のいずれかによって決まる。分析用に

妥当な量の微粒子又は繊維が載った分析ろ紙を作るのに必要な水性懸濁液の量は予想できないことが多い

ので,通常は異なった一定分量のろ過に対応した幾つかの分析ろ紙を準備する必要がある。直径 25 mm の

ろ過装置(実効面積 199 mm

2

)を用いて 5 mL 未満の量の液体をろ過したときに,分析ろ紙上に微粒子の

均一なろ過残さができることは保証できない。したがって,5 mL 未満の量をろ過する必要がある場合は,

その一定分量を新しく蒸留された水で 5 mL を超える量まで薄める。

一定分量をろ過器(ろ過貯留器,吸引ロート)に注ぎ入れ,吸引ろ過する。一定分量の量がろ過器の容

量より多くて入りきらない場合は,ろ過器の中の液の深さが 5 cm 以下にならないように,残りの液を加え

て行く。この注意を怠ると,ろ過された微粒子に乱れが生じ,微粒子の不均一なろ過残さができる。

吸引を続けたまま,ろ過装置のクランプを外し,ろ過器を取り外す。清浄なピンセットを使って分析ろ

紙を取り出してペトリ皿に移す。ろ紙を乾燥させた後,ペトリ皿に蓋をする。

14.2.4.4 SEM

又は TEM 観察用の標本を調製する 


24

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

   

分析ろ紙の一部を SEM 標本スタブに載せて SEM 用の標本を調製する。真空蒸着器中でろ紙の表面を炭

素で被覆する。ISO 13794:1999 の手順を用いて PC ろ紙から TEM 標本を調製する。

14.2.4.5 

アスベスト質量を確定するための繊維計数 

マトリックス質量低減法で得た残さ中のアスベストの量は,適切に調製された残さの標本上のアスベス

ト繊維を計数して大きさを測定することによって定量することができる。次いで,計数の際に検知された

全ての繊維の量を合計し,含まれるアスベスト種の密度を算入することによって,アスベストの量を計算

する。しかし,信頼できる統計的精度で合計量を測定するためには,質量分率に最も寄与するところの大

きな繊維及び繊維束をより大きな統計的信頼性をもって計数できるような繊維計数戦略をとる必要がある。

質量分率を確実に推定するために計数しなければならない繊維及び繊維束の数は主として直径の分布の範

囲によって決まる。質量分率の測定は,より小さな繊維又は繊維束と比べて一般的に統計的に出現頻度の

低いような,大きな直径をもつ繊維及び繊維束によって大きく影響される。クリソタイルの単繊維の分散

に見られるように,直径の分布幅が狭い場合,質量分率は,繊維数濃度とおよそ同程度の精度で,測定す

ることができる。直径分布が広い場合,繊維数濃度を決定するための SEM 又は TEM 試験から計算された

質量分率は統計的に信頼できない。次に示す戦略は,質量分率に最も寄与するところの大きな繊維及び繊

維束によって大きな統計的意味を付与するために案出されたものである。

最初に,低倍率で標本を調べることによってグリッド上に検知できるアスベスト繊維又は繊維束の最大

幅を確定する。この大きな繊維又は繊維束の体積を計算する。SEM 又は TEM の倍率を,ディスプレイ又

は蛍光スクリーン上の 1 mm の幅が前に選んだ大きい構造の幅のおよそ 10 %に対応する値まで調整する。

この倍率で定常的な SEM 又は TEM の試験を実行し,記録された繊維又は繊維束の積算された体積が初め

に選んだ繊維又は繊維束の体積の少なくとも 10 倍に達した規定された区域の終点で試験を終了する。

SEM

上の視野の端,又は TEM 上のグリッドバーを横切るようなアスベスト繊維については,アスベストの質

量分率を計算する目的で,視野又はグリッド開口部の内側の繊維及び繊維束の目に見える部分だけを測定

する。

14.2.4.6 

アスベストの質量分率パーセントの計算 

次の式を用いてアスベスト繊維及び繊維束の質量分率を計算する。

(

)

=

=

×

×

×

×

×

×

×

×

=

n

j

j

j

j

L

W

T

F

E

S

A

D

G

M

1

2

13

10

ここに,

M

アスベストの質量分率(

%

G

幾何学的横断面形状計数

A

分析ろ紙の面積(

mm

2

D

アスベストの密度(

kg/m

3

S

懸濁液の体積(

mL

W

j

j

番目の構造体の幅(

μm

L

j

j

番目の構造体の長さ(

μm

E

検査される分析ろ紙の面積(

mm

2

F

ろ過される懸濁液の等体積量(

mL

T

元のサブ試料の質量(

g

上の式において,次を想定する。

a)

  G

の値はクリソタイルに対しては

0.785 4

,角せん石に対しては

0.5

とする。

b)

各アスベスト種に対する密度の値は,クリソタイル

2 550 kg/m

3

,クロシドライト

3 370 kg/m

3

,アモサ

イト

3 430 kg/m

3

アンソフィライト

3 000 kg/m

3

トレモライト

3 000 kg/m

3

アクチノライト

3 100 kg/m

3

リヒテライト/ウィンチャイト

3 050 kg/m

3

。アスベスト種の密度は組成によって変わるが,この計算


25

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

の目的のためにはこれらの数値は十分正確である。

15 

バーミキュライト中のアスベスト様形態の角せん石の定量 

15.1 

全般 

バーミキュライトの特性及びバーミキュライト含有製品が多岐にわたることから,定量分析に異なった

手法が必要である。したがって,バーミキュライト及びバーミキュライト含有製品の分析は,別途考慮す

る。

バーミキュライトの多くの鉱床は低質量分率の角せん石鉱物を含んでおり,これらの角せん石の断片の

中には規制を受ける角せん石系アスベスト種の範囲に入る化学組成をもっている可能性のあるものがある。

しかし,これらの角せん石の断片は通常,非アスベスト様晶癖で存在する。角せん石の中にはアスベスト

様の晶癖で存在し,従来のアスベストの定義に合致しているものがある。ある種のバーミキュライトは,

短くて外面的にはクリソタイルと同様の形態学的特徴を示すような巻紙状の小片を含んでいるが,クリソ

タイルはいかなる市販のバーミキュライト中にも検出されていない。クリソタイルと形態学的に類似で組

成的には同一であるリザーダイトの巻紙状の小片も

1

か所のバーミキュライト産地で検出されている。し

かし,いずれのタイプの巻紙状の小片も

TEM

法によってクリソタイルから区別できる。焼成したバーミ

キュライトでは,クリソタイルが焼成プロセス後も生き残る可能性は低いであろう。なぜならば,焼成に

用いられる温度はクリソタイルがフォルステライトに転化する温度を超えるからである。

この方法は,バーミキュライト精鉱,焼成バーミキュライト,ばら詰めバーミキュライト屋根裏断熱材,

バーミキュライトブロック断熱材及び様々なバーミキュライト含有材料(園芸用バーミキュライト,鉢植

え用土壌,園芸用徐放性肥料,バーミキュライト含有吹付け耐火材,バーミキュライト含有軽量コンクリ

ートなど)の中のアスベスト様形態の角せん石の質量分率の測定に使用できる。

15.2 

分析に必要な試料の量 

信頼できる再現可能な結果は,バーミキュライトの少量の試料の分析によっては得られないことを認識

することが最も重要である。バーミキュライトの中に存在する角せん石粒子は通常,バーミキュライトの

小片よりも数がかなり少ないため,小さな量の試料だけを分析した場合は,試料中に含まれる角せん石粒

子の数が少なすぎて,代表性を欠くことが多い。アスベスト様形態の角せん石繊維がバーミキュライト中

に存在する場合,繊維及び繊維束は通常,長さ数

µm

からバーミキュライト切片自体の大きさにまでわた

る幅広い範囲の大きさで存在する。

表 は,最初のサブ試料に用いるべきバーミキュライトの質量のおよその値を示している。バーミキュ

ライト含有製品については,その製品中のバーミキュライトの割合を目視で推定し,それに比例して

表 1

中の当初質量を増やすことが望ましい。

表 2−分析のためのバーミキュライトのサブ試料質量 

バーミキュライト剝離片の大きさ(mm)

分析のための推奨最低当初質量(g)

2 以下

2

2 を超え  5 以下 10

5 を超え 50

サブ試料は円すい(錐)四分法によって元の試料から得る。アルミニウムはくのシートなどの清浄な面

の上で,試料を円すい状に成形する。金属又は硬質プラスチックの,薄い平らなシートを用いて,この円


26

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

   

すいを先端から垂直に二つの部分に分ける。二つの部分のいずれか一つを円すい状に成型し,分けた部分

の一つが分析に適した質量になるまでこの手順を繰り返す。

15.3 

サブ試料の前処理 

15.3.1 

焼成バーミキュライト,ばら詰めバーミキュライト屋根裏断熱材及び園芸用バーミキュライト 

分析前,屋根裏から採取したバーミキュライト断熱材の試料は,他のタイプの断熱材,木材,セメント

片などの混入物質の手作業による除去を必要とするかもしれない。しかし,それ以外では,ばら詰めバー

ミキュライト屋根裏断熱材用又は園芸用に市場に出されている焼成バーミキュライトは,分析前に前処理

する必要はない。

この測定のために,まず既知の質量の焼成バーミキュライトをビーカーの中のろ過された蒸留水中に懸

濁させる。

要求されるビーカーのサイズ及び使用する水の量は,

バーミキュライトの粒径によって決まる。

この種の材料では通常そうであるようにバーミキュライトの切片の大きさが約

5 mm

より大きい場合は,

1 000  mL

ビーカーに

800 mL

の水を入れれば十分である。まず,スプーンを使って焼成バーミキュライト

のサブ試料の一部をビーカーに入れ,スプーンでバーミキュライトを水面下に押し込んで数回沈める。浮

き上がったバーミキュライトを除去して捨てる。この方法で,サブ試料の全ての部分を処理し終えるまで

バーミキュライトの洗浄を続ける。浮上したバーミキュライトの全ての小片を水面から注意深く除去し,

懸濁液を

1

分間放置して沈殿させる。上澄み液を

2

番目のビーカーに傾しゃ(瀉)する。エタノールを用

いて最初のビーカーの沈殿物をあらかじめひょう量しておいたペトリ皿に流し入れ,ペトリ皿をスライド

ウォーマに載せ,

60

℃の温度で沈殿物を乾燥させる。沈殿物が乾燥したら,ペトリ皿をひょう量して沈殿

物の質量を得る。15.4.2 に進む。

15.3.2 

バーミキュライトブロック断熱材 

バーミキュライトブロック断熱材は,アスファルト処理されている場合がある。アスファルトは,双眼

実体顕微鏡を使って試料を検査することによって検出できる。アスファルトが存在する場合は,サブ試料

をひょう量した上,それを石英ガラストレー,その他の灰化に適した蓋なし容器に移す。サブ試料を

450

±

10

℃の温度に設定されているマッフル炉の中に少なくとも

10

時間入れておく。残灰をひょう量し,元

の乾燥したサブ試料の割合としての質量分率を計算する。15.3.1 に規定する浮上分離法を使ってバーミキ

ュライトの大部分を分離する。沈殿物をひょう量して 15.4.2 に進む。

15.3.3 

バーミキュライト精鉱 

バーミキュライト精鉱の試料は,分析に先立って焼成させなければならない。マッフル炉の温度を

800

℃に設定し,石英ガラストレーを炉の中に入れる。焼成したバーミキュライトを回収するための大き

なガラス製又は金属製の容器を用意しておく。アルミニウムはくで作った容器で十分なことが分かってい

る。るつぼトングを使って,石英ガラストレーをマッフル炉から取り出す。石英ガラストレーは赤熱温度

にあるはずだからである。少量のバーミキュライトの試料を石英ガラストレーにまく。シリカトレーをマ

ッフル炉に戻し,焼成が完了するまで炉の扉を約

15

秒間にわたり閉めておく。シリカトレーをマッフル炉

から取り出して,焼成されたバーミキュライトを容器に移す。この手順を,分析のために十分なバーミキ

ュライトが焼成するまで,必要な回数繰り返す。焼成した材料をひょう量した上で,15.3.1 に規定する浮

上分離法を使ってバーミキュライトの大部分を分離する。沈殿物をひょう量し,バーミキュライトの粒径

に応じて 15.4.2 又は 15.4.3 に進む。

15.3.4 

バーミキュライト含有園芸用品 

バーミキュライトは,

鉢植え用土壌又はそれと同様の園芸用品の質量の僅かな部分を占めるにすぎない。

その他の構成成分は概して有機物であり,植物栄養素もある。質量のかなりの割合を水が占めていること


27

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

もある。水分が貯蔵条件によって変わるため,分析結果は概して乾燥質量で表される。容器(アルミニウ

ムはくで作った使い捨て容器が適している。

)をひょう量し,サブ試料をその容器に入れ,再びひょう量す

る。サブ試料を少なくとも

10

時間,

60

℃の温度でスライドウォーマに載せて,又はオーブンに入れて,

乾燥させ,再びひょう量する。試料から蒸発した水の質量を計算する。

サブ試料を石英ガラストレー,その他の適切な蓋なし容器に移して

450

℃で灰化させる。サブ試料を温

450

±

10

℃のマッフル炉の中に少なくとも

10

時間にわたって入れておく。残灰をひょう量し,元の乾

燥サブ試料に対するパーセンテージを計算する。15.3.1 に規定する浮上分離法を使ってバーミキュライト

の大部分を分離する。沈殿物をひょう量し,バーミキュライトの粒径に応じて 15.4.2 又は 15.4.3 に進む。

15.3.5 

バーミキュライト含有吹付け耐火被覆材 

バーミキュライトをベースにした断熱材及び耐火材はしばしば,せっこう,セルロース,ガラス繊維,

炭酸カルシウム及びおそらくはクリソタイルなどの他物質を

60 %

も含んでいる。耐火材がクリソタイルを

含んでいる場合,通常は JIS A 1481-1 に基づく分析によって十分にその規制上の位置付けを確立すること

ができる。アスベスト様形態の角せん石の定量が要求される場合は,次の質量法の手順を行う。

せっこう,炭酸カルシウムなどの成分は,

2 mol/L

塩酸による処理によって,バーミキュライトに影響を

与えることなしに除去することができる。まず,乳鉢及び乳棒を使って製品

3

4 g

を慎重に破砕し,約

0.5

cm

の大きさの破片にする。この破砕の目的は,セルローズなどの有機成分の灰化,及び塩酸による炭酸塩

及びせっこうの溶解を容易にすることを意図している。破砕した材料をあらかじめひょう量した磁器製る

つぼの中に入れ,再びひょう量してサブ試料の質量を得る。蓋をしたるつぼをマッフル炉に入れ,少なく

とも

10

時間,

450

℃で試料を灰化する。るつぼを蓋付きのままマッフル炉から取り出し,室温まで放冷す

る。蓋を外したるつぼをひょう量する。

灰化したサブ試料を

250 mL

の三角フラスコに移し,かくはん(撹拌)棒及び

2 mol/L

塩酸

100 mL

を加

える。水

50 mL

を追加する。フラスコをマグネットスターラ[磁気かくはん(撹拌)装置]に載せて

15

分間かくはん(撹拌)する。磁石をフラスコの外側近くに保持してかくはん(撹拌)子を引き付けつつ,

かくはん(撹拌)子を取り去ることができる位置まで上方に滑らせる。水面が三角フラスコ上端に達する

までフラスコに水を加える。浮上性の物質が表面に浮上するまで数分間待つ。へらを使って,できるだけ

多くの浮上物質を除去して捨てる。

あらかじめひょう量した直径

47 mm

,孔径

0.8 μm

PC

ろ紙付きのガラス製ろ過装置を組み立て,それ

をアスピレータに接続する。灰化後に酸処理したサブ試料を三角フラスコからろ過器(ろ過貯留器及び吸

引ロート)に移す。フラスコを水洗いして,その水をろ過器に注ぐ。ろ過が済んだら,水

20 mL

を加えて

ろ過された材料を洗い落とし,更にろ過が完了するまで待つ。水洗い作業をもう

2

回繰り返し行って,残

さから溶解性物質が完全に除去されるようにする。ろ紙及び残さをスライドウォーマ上で乾燥させる。ろ

紙及び残さをひょう量する。15.4.3 に進む。

15.4 

角せん石の分離及び角せん石の質量分率の測定 

15.4.1 

全般 

15.3

の手順から得られた沈殿物又は残さの中の角せん石の質量分率の測定のために,次の二つの方法が

利用できる。第

1

の方法として,バーミキュライトの粒径等級が,十分に大きいアスベスト様形態の角せ

ん石の繊維束が存在し得るほどに高い粒径等級である場合は,沈殿物又は残さの中からそうした繊維束を

手作業で拾い出してひょう量することができる。しかし,バーミキュライトの粒径等級が低い場合は,そ

れは実行不可能であるため,第

2

の方法として,密度液を用いた遠心分離による角せん石の更なる濃縮が

必要であり,それに続けて遠心分離物のポイントカウンティングも必要である。


28

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

   

15.4.2 

手作業による角せん石繊維束の分離及びひょう量 

分離した繊維状角せん石の破片を集め,あらかじめひょう量しておいたペトリ皿に入れ,全ての沈殿物

を検査し終えた後,ペトリ皿をひょう量して繊維状角せん石の質量を得る。繊維状角せん石の質量分率を

元のサブ試料の質量の割合として算出する。繊維状角せん石の代表的な破片を選び,JIS A 1481-1 の規定

された手順に従ってそれらを同定する。

15.4.3 

密度液を用いた遠心分離による角せん石の分離 

15.3

の手順から得られた残さ又は沈殿物を遠心管に移す。バーミキュライト含有吹付け耐火被覆材の試

料からの残さは通常,

15 mL

遠心管の中で処理するには多すぎるため,残さを二つの遠心管の間で分ける

か,又はより大きな遠心管を用いる必要がある。

実施しなければならない回数の分析を達成するために密度

2 750 kg/m

3

の液を十分な量を用意する。ろ過

した蒸留水を追加することによって,メタタングステン酸リチウム溶液の密度を

2 750  kg/m

3

に調整する。

密度の監視は,密度計を使用するのが最も便利である。ガラス製ビーカーの中に密度計を置き,そこに必

要量の密度液を加える。水を徐々に追加し,追加した都度よくかき混ぜ,これをシンクフロートが液中に

沈降し始めるまで続ける。さらに,水又はメタタングステン酸リチウムのいずれかを追加して密度を調整

することによって,密度計が液中で浮遊しつつゆっくりと液面方向に上昇する状態になるまでにする。

遠心管のそれぞれに密度調整後の密度液約

10 mL

を加える。直径

5 mm

のガラス棒を使い,遠心管の内

側及びガラス棒の間で残さの固体を浸せき(漬)することによって残さを液中に分散させる。液面をそれ

ぞれの遠心管の上端の約

2 cm

下の位置まで上昇させるために十分な密度液を加える。ガラス棒を使って液

中にまんべんなく固体を分散させる。

遠心分離に必要な時間は,使用する遠心分離機の寸法及び回転速度によって異なる。バーミキュライト

中の角せん石の質量の大部分は比較的大きな破片の形で存在するため,直径

5  μm

以上の全ての粒子の沈

殿のために十分な遠心分離機運転時間及び最低密度

3 000 kg/m

3

が用いられる。

附属書 は,異なった寸法

及び回転速度の遠心分離機別に必要遠心分離時間を計算するための情報を示している。遠心管を遠心分離

機の中の反対の位置に置き,算出された遠心分離時間だけ遠心分離機を最高速度で運転する。

附属書 

示された例の中の遠心分離機の寸法及び回転速度の場合は,

必要な運転時間は

5

分間である。

遠心分離後,

各遠心管を遠心分離機から取り外す。各遠心管の底には固体ペレットが残り,また,概して大量の浮上物

質が存在するはずである。ガラス棒を使って,浮いている破片を各遠心管の内側に押し付けて浸せきした

上,管底の固体ペレットを乱すことなしに,諸物質を密度液中に再分散させる。遠心管を更に

5

分間にわ

たり遠心させる。分散及び遠心分離をもう

1

回反復する。

小さいへらを使って各遠心管の上端からできるだけ多くの浮上物質を除去する。また,管底の粒子状物

質のペレットを乱さないよう注意しつつ,各遠心管からできるだけ多くの密度液を吸引する。遠心管上部

に付着している残余の浮上物質もあるはずである。そうした付着物質を,ペーパータオルで小さなへら又

はガラス棒を包んだものを使って,遠心管上部から除去する。付着物質の除去を容易にするため,水でペ

ーパータオルを湿らせる必要がある。

水中のペレットを分散させるために洗浄瓶の水を各遠心管内の微粒子ペレットに向けて噴出させる。少

なくとも

5 mL

の水の中で粒子を分散させる。次に,遠心管を遠心分離機にセットして

1

分間にわたり遠

心分離を行う。次に遠心管を遠心分離機から取り外し,管底の粒子状物質のペレットを乱さないよう注意

しつつ,液体を注ぎ出す。洗い及び遠心分離の作業をもう

2

回繰り返し行って,微量の密度液まで完全に

除去する。最後の遠心分離の後,各遠心管から液を注ぎ出した上,エタノール噴流を使って粒子状物質の

ペレットをあらかじめひょう量しておいた直径

50 mm

のプラスチック製ペトリ皿の中に流し込む。ペトリ


29

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

皿をスライドウォーマの上に置いてエタノールを蒸発させる。乾燥終了後,ペトリ皿及び内容物をひょう

量する。

JIS A 1481-1

で規定された手順に従って遠心分離物中のアスベスト様形態の角せん石を同定する。14.2.3

のポイントカウンティング手順によって遠心分離物中のアスベスト様形態の角せん石を定量する。

15.4.4 

バーミキュライトサブ試料中のアスベストの不存在の確認 

15.3.1

で得られた上澄み液の少なくとも

50 mL

分を直径

47 mm

,孔径

0.4 μm

PC

ろ紙に注いでろ過す

る。ろ紙が乾くのを待つ。14.2.2.1 に従って

SEM

又は

TEM

用のドロップ・マウント(液滴滴下試料)を

用意し,アスベストが存在する場合に,アスベストの質量分率が適用される規制値より低いことの確信を

得るために十分な量の粒子物質を測定する。

16 

タルク中のアスベストの定量 

16.1 

全般 

タルク鉱山によっては,クリソタイル又は角せん石のいずれかを不純物として含んでいる。タルクに随

伴して存在する可能性のある最も一般的な角せん石は,トレモライト及びアンソフィライトである。タル

クは酸不溶性であるため,箇条 13 に規定するマトリックス質量低減法は有効に適用できない。

16.2 

タルク中のクリソタイルの定量 

密度液を用いた遠心分離によってタルクからクリソタイルを分離することは理論的には可能であるが,

概して実際的な手法ではない。14.2.4 の方法を使った

TEM

によるクリソタイルの質量分率の定量が最適の

分析手順である。

16.3 

タルク中の角せん石の定量 

密度液を用いた遠心分離はタルクからの角せん石の分離を可能にする。それは,タルクの公表の密度値

域が

2 580

2 830 kg/m

3

であり,角せん石系アスベスト群の最低密度が

3 000 kg/m

3

だからである。したが

って,タルクからの角せん石の分離は,密度

2 850 kg/m

3

の密度液を使えば可能である。

まず

附属書 に従って,必要な遠心分離時間を計算する。次いで,15.4.3 に規定する遠心分離法を用い

て遠心分離を行う。さらに,JIS A 1481-1 で規定された手順に従って遠心分離物中のアスベスト様形態の

角せん石を同定する。14.2.3 で規定されたポイントカウンティング手順によって遠心分離物中のアスベス

ト様形態の角せん石を定量する。

注記

遠心分離時間によって,遠心分離物中に含まれる最小の粒子が決定される。遠心分離法を用い

る場合は,この制限を考慮されることを意図している。

測定に全ての繊維サイズを含めることが要求される場合は,14.2.4 の方法を使った

TEM

によるクリソタ

イルの質量分率の決定が最適の分析手順である。

17 

法的規制値の遵守の判定 

17.1 

全般 

規制の遵守は,測定された濃度の

95 %

信頼限界の上限値が法的規制値を下回っている場合に許容できる

とみなされる。反対に,測定された濃度の

95 %

信頼限界の下限値が当該法的規制値を上回っている場合は,

その規制に抵触しているとみなされる。したがって,法的規制値の遵守又は違反の判定を行うときは,常

に,測定されたアスベスト含有率の統計的信頼性及び正確性を検討することが望ましい。バルク材料にお

けるアスベストの質量分率測定の状況はしばしば非常に多様であり,試料の均一性が根本的に欠如してい

ることによるものもあれば,測定方法の誤差の結果であることもある。


30

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

   

各分析における検出限界は規制遵守の判定にとって適切なものであり,報告しなければならない。例え

ば,検出限界が

0.1 %

の方法によって

0.2 %

という測定値が得られたとき,それは,規制値が

0.1 %

の場合,

規制値が遵守されていないと判定するには疑問の余地がある数値である。しかし,この測定値は,規制値

1 %

の場合は,規制遵守の判定に十分に使える場合がある。

17.2 

質量測定 

最終残さがほとんど完全にアスベストだけから成る場合,計算したアスベスト質量分率は,質量測定の

精度だけで決まる。これは最適な状態である。なぜならば,最初のサブ試料が代表として十分大きければ,

特定の測定の信頼性は測定された質量の正確さだけで決まるからである。質量法の手順において起こる可

能性のある潜在的誤差の程度は,ひょう量そのものの潜在的誤差とともに,測定された質量分率が規制限

度にどれだけ近いかという観点からも検討しなければならない。

17.3 

質量測定及び目視評価の組合せ 

質量法マトリックス低減処理で得られた最終残さのサブ試料に対する質量パーセンテージは(それが全

てアスベストであるとした場合)

,アスベスト質量分率として取り得る最大値である。

PLM

SEM

又は

TEM

によって行われた表面的目視推定でさえ,特定の規制値の遵守又は違反を自信をもって決定するに十分な

情報を提供することができる可能性がある。特に,最終残さから調製された

SEM

試料又は

TEM

試料グリ

ッドの観察によって,アスベストが検出できないと示されることがある。経験によれば,質量法マトリッ

クス低減処理で得られる最終残さのような均一な材料においては,

0.001 %

という低いクリソタイル濃度で

も,最終残さから調製された単純なドロップマウント試料の

TEM

分析によってたやすく検出できること

が分かっている。多くの試料について,最終残さから調製された単純なドロップマウント

PLM

SEM

,又

TEM

検査によって,順守の程度を示すために十分な情報を提供できる。他のケースでは,このような

単純な手順で十分に信頼できる結果は得られない。

17.4 

ポイントカウンティングと組み合わせた質量測定 

質量法マトリックス低減処理で生じた最終残さの質量分率

%

は最大限可能なアスベスト質量分率を示す。

そして,14.2.3 で規定されたポイントカウンティング法が,最終残さ中のアスベストの割合を決定するた

めに用いられる。法的規制値と比較するために,計算されたアスベスト質量分率を,記録されたアスベス

トポイント数についての片側の

95 %

上側信頼限界値と比較する。

図 は,上側

95 %

信頼限界値が

0.1 %

満であるようなアスベストの平均質量分率の最大の計算値を示す。アスベストの質量分率測定値がこの規

制値内にあることを示すためには,測定値は

図 の網掛け部分の中に入っていなければならない。この中

に入っていない場合は,データポイントが網掛け部分に入るまで,更にポイントカウンティングを行う必

要がある。しかし,計算されたアスベスト質量分率が関連する規制限度に近すぎる場合(

0.8 %

を超える場

合,

0.4 %

を超える場合又は

0.08 %

を超える場合)

,規制値内にあることを科学的根拠に基づいて示すこと

は事実上不可能になる。規制値

1 %

については,座標上の数値に

10

を乗じ,

0.5 %

の規制値については,

座標上の数値に

5

を乗じる。それ以外は,手順は全く同一である。

測定したアスベスト質量分率が

0.1 %

の規制値に抵触していることを確認するためには,ポイントカウ

ンティングデータは,記録されたアスベストポイント数の片側

95 %

信頼限界の下限値と比較することが望

ましい。

図 は,

95 %

信頼限界の下限値が

0.1 %

を超える場合のアスベストの平均質量分率の最小の計算

値を示している。

図 の網掛け部分に測定値が入れば,

0.1 %

の規制値を遵守していないことが

95 %

の信

頼度で確認される。測定したアスベスト質量分率が規制限度に近すぎる場合は,遵守していないことを確

認できないおそれがある。


31

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

図 2−アスベストポイントの与えられた数において質量分率の 95 %信頼限界の上限値が 0.1 %未満の 

場合のアスベストの平均質量分率の最大の計算値 

図 3−アスベストポイントの与えられた数において質量分率の 95 %信頼限界の下限値が 0.1%を超える 

場合の平均アスベスト質量分率の最小の計算値 


32

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

   

17.5 SEM

又は TEM による定量的な繊維計数 

質量計数手順を用いた

SEM

又は

TEM

による繊維計数の定量測定の結果には統計的なばらつきが生じる

ことがある。質量分率の計算手順は,最大繊維の質量が総質量の約

10 %

以下になるまでカウントすること

が要求されるが,法的規制値の遵守の判定には,最大粒子のポアソン変動に対する最終結果の感度を考慮

する。

18 

試験報告書 

試験報告書は,次の項目のうち,少なくとも a)i)

を含むものでなければならない。適切な試験報告書

の書式の例を

附属書 に示す。

a)

この規格番号及び該当する箇条/項への参照

b)

位置を含む,試料の同定(分析者によって明らかにされている場合)

c)

分析実施日

d)

分析者に関する情報

e)

検出された

1

以上のアスベスト種及び各アスベスト種の質量分率パーセント

f)

各試料について個々に,用いた特定の手順に基づいた定量下限の推定値

g)

アスベストの識別に用いた分析方法

h)

この規格で定められていない使用した手順,又は任意的とみなされる手順

i)

全ての該当する試料調製法の要約

次の項目は,試験所データに記録しなければならないが,試験報告書の一部として含める範囲は任意と

する。

j)

質量濃縮法の手順の間に行った全ての質量測定及び観察の記録

k)

あらゆる任意手順を含む,報告対象アスベスト種の識別確認のために行った観察内容

l)

検出された非アスベスト繊維の種類,及びこれらの繊維とアスベスト繊維とを判別する根拠となった

観察内容


33

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

附属書 A

(規定)

市販のアスベスト含有材料のタイプ及び最適な分析手順

不燃性,化学的安定性及び高強度というアスベストの特性は,世界中の建築物及び産業部門においてこ

の鉱物が広範に使用されるという結果をもたらした。アスベスト・セメント製品,アスベストを含有する

軽量パネル,防火パネル,アスベスト充塡材,アスベスト布,アスベストボード,アスベストフォーム,

アスベスト含有耐火材,吸音材及び化粧せっこうボード(吹付けアスベスト)

,アスベスト含有組成物は,

左官作業及びパテ塗りに最も重要な用途である。加えて,例えば,保護コーティング,接着剤,プラスチ

ック板及びタイルなど,アスベスト繊維が低濃度で添加された様々な製品がしばしば存在する。

表 A.1 では,最も重要なアスベスト含有材を,用途の例及びこれらの材料中で観察された典型的なアス

ベスト質量分率と併せて示している。例外的に,引用されているものから外れた質量分率のアスベストが

使用されている可能性もある。

表 A.1 も,種類の異なる材料のそれぞれについて最適の分析手順を示している。

注記

この附属書は,ISO 22262-2 における市販のアスベスト含有材の用途の例及び典型的なアスベ

スト質量分率を示したものであり,我が国の用途の例及びアスベスト質量分率とは異なる可能

性があることに注意する。


34

A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

表 A.1−アスベスト含有材料の最適な分析手順 

製品

用途の例

典型的なアスベストの

タイプ及び質量分率

分析が準拠する

この規格群の 
該当する部分

最適な分析手順

アスベスト・セメ
ント平板

−  屋根ふ(葺)き材 
−  サイディング

−  手すり部材

−  窓枠 
−  階段

−  間仕切壁

−  電路支持 
−  屋根及びサイディング部門の小形スレ

ート及びシングル

クリソタイル 10∼12 % 
場合によってはクリソタイル

のほかに,5 %未満のクロシド

ライト又はアモサイトを含有
する場合もある。

JIS A 1481-1 

JIS A 1481-1

に従って得たアスベスト質量分率

の推定値で通常は十分である。なぜならば,こ

れらのタイプの材料中でアスベストは法的規

制限度を大幅に超える質量分率で存在するか,
又はアスベストが配合の中に含まれていない

かのいずれかであるからである。

アスベスト・セメ

ント波板

−  屋根ふ(葺)き材

−  ペリメーター用断熱材 
−  産業部門におけるサイディング

クリソタイル 10∼12 %

場合によってはまた,製造業者
によっては,クリソタイルに加

えてクロシドライト 5 %未満を

含有する場合もある。

JIS A 1481-1 

JIS A 1481-1

に従って得たアスベスト質量分率

の推定値で通常は十分である。なぜならば,こ
れらのタイプの材料中でアスベストは法的規

制限度を大幅に超える質量分率で存在するか,

又はアスベストが配合の中に含まれていない
かのいずれかであるからである。

アスベスト・セメ
ント配管又はダク

−  給水管及び排水管 
−  配給管

−  吸気・排気ダクト

−  ケーブルシャフト

クリソタイル 10∼15 % 
給水管は,クリソタイルのほか

に 5 %未満のクロシドライト又

はアモサイトをも含有する場
合がある。

JIS A 1481-1 

JIS A 1481-1

に従って得たアスベスト質量分率

の推定値で通常は十分である。なぜならば,こ

れらのタイプの材料中でアスベストは法的規

制限度を大幅に超える質量分率で存在するか,
又はアスベストが配合の中に含まれていない

かのいずれかであるからである。

アスベスト・セメ

ント成形材

−  標準的な灰皿

−  フラワーボックス 
−  ガーデニング用品

−  彫刻

クリソタイル 10∼12 %

JIS A 1481-1 

JIS A 1481-1

に従って得たアスベスト質量分率

の推定値で通常は十分である。なぜならば,こ
れらのタイプの材料中でアスベストは法的規

制限度を大幅に超える質量分率で存在するか,

又はアスベストが配合の中に含まれていない
かのいずれかであるからである。

 
 

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:2016 (ISO 22262-2:2014)

表 A.1−アスベスト含有材料の最適な分析手順(続き) 

製品

用途の例

典型的なアスベストの

タイプ及び質量分率

分析が準拠する

この規格群の 
該当する部分

最適な分析手順

アスベストを含む
軽量建築用板材又

は耐火性パネル

−  耐火性が求められる壁の開口部シーリ

ング

−  排気ダクト,ケーブルダクト,及びケー

ブルシャフトの防火エンケースメント

−  耐火性が求められる壁における火の遮

断(防火シャッター,防火壁)

−  防火エンケースメント 
−  排煙ダクト

−  埋め込み式耐火ドア及び門

−  照明灯の下部構造(照明器具)

クリソタイル約 15 %及びアモ
サイト約 15 %以下

JIS A 1481-1 

JIS A 1481-1

に従って得たアスベスト質量分率

の推定値で通常は十分である。なぜならば,こ

れらのタイプの材料中でアスベストは法的規

制限度を大幅に超える質量分率で存在するか,
又はアスベストが配合の中に含まれていない

かのいずれかであるからである。

アスベストを含む
軽量建築用板材又

は耐火性パネル

−  火 災 危 険 性 の あ る 部 屋 の ラ イ ニ ン グ

(lining fire-hazard rooms)

−  間仕切壁,間仕切壁表面,ドア

−  サニタリーユニット 
−  支持材及びはり(梁)のエンケースメン

−  防煙幕(smoke aprons)スモークエプロ

−  ファイヤーロック(fire locks)

クリソタイル 50 %以下,場合
によってはアモサイト 35 %以

下。

JIS A 1481-1 

JIS A 1481-1

に従って得たアスベスト質量分率

の推定値で通常は十分である。なぜならば,こ

れらのタイプの材料中でアスベストは法的規

制限度を大幅に超える質量分率で存在するか,
又はアスベストが配合の中に含まれていない

かのいずれかであるからである。

アスベストを含む

配管及びボイラ断

熱材

−  段ボール紙配管断熱

− 85 %のマグネシアブロック及び配管断

熱材

−  けい酸カルシウムブロック及び配管断

熱材

クリソタイル 30∼100 %

全体で 15 %のアスベストのう

ち,クリソタイル,アモサイト,
クロシドライト又はこれらの

いずれか 2 種類以上の混合物。

JIS A 1481-1 

JIS A 1481-1

に従って得たアスベスト質量分率

の推定値で通常は十分である。なぜならば,こ

れらのタイプの材料中でアスベストは法的規
制限度を大幅に超える質量分率で存在するか,

又はアスベストが配合の中に含まれていない

かのいずれかであるからである。

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:2016 (ISO 22262-2:2014)

表 A.1−アスベスト含有材料の最適な分析手順(続き) 

製品

用途の例

典型的なアスベストの

タイプ及び質量分率

分析が準拠する

この規格群の 
該当する部分

最適な分析手順

アスベスト充塡材
アスベスト布

−  耐火性が求められる軽量壁のシーリン

グ又はシーリングストリップ(seals or 
sealing strips on lightweight walls required 
to be fire resistant)(天井,床,部品接合
部,ウォールターミネーションで)

−  壁・天井内の配管及びダクトのフィード

スルーのシーリング

−  換気ダクトフランジ間のシーリング

−  耐火ガラス,避難ドア,煙突用ドアのシ

ーリング

−  熱供給システム,耐熱パイプ,耐熱バル

ブのシーリング及び断熱

−  防火用毛布 
−  耐熱布,耐熱手袋

−  温水,蒸気,スプリンクラー配管用パイ

プクリップのシーリング

−  ランプ芯

−  ガス灯用マントル

主にクリソタイル(80∼100 %)

耐酸性用途にはクロシドライ

ト。

JIS A 1481-1 

JIS A 1481-1

に従って得たアスベスト質量分率

の推定値で通常は十分である。なぜならば,こ

れらのタイプの材料中でアスベストは法的規

制限度を大幅に超える質量分率で存在するか,
又はアスベストが配合の中に含まれていない

かのいずれかであるからである。

アスベスト・ミル

ボード

−  耐火性が求められる軽量壁のシーリン

グストリップ(天井,床,部品接合部,
ウォールターミネーションで)

−  照明灯の下部構造(照明器具)

−  ラジエーター上部にある窓台の底部被

クリソタイル 80∼100 %

JIS A 1481-1 

JIS A 1481-1

に従って得たアスベスト質量分率

の推定値で通常は十分である。なぜならば,こ
れらのタイプの材料中でアスベストは法的規

制限度を大幅に超える質量分率で存在するか,

又はアスベストが配合の中に含まれていない
かのいずれかであるからである。

アスベスト発泡剤

−  可動目地の充塡(シーリング) 
−  防火シャッター及び防火壁のシーリン

クリソタイル約 50 %

JIS A 1481-1 

JIS A 1481-1

に従って得たアスベスト質量分率

の推定値で通常は十分である。なぜならば,こ

れらのタイプの材料中でアスベストは法的規

制限度を大幅に超える質量分率で存在するか,
又はアスベストが配合の中に含まれていない

かのいずれかであるからである。

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:2016 (ISO 22262-2:2014)

表 A.1−アスベスト含有材料の最適な分析手順(続き) 

製品

用途の例

典型的なアスベストの

タイプ及び質量分率

分析が準拠する

この規格群の 
該当する部分

最適な分析手順

吹付けアスベスト

−  鉄骨構造の外周の耐火被覆 
−  音楽ホール,劇場,教会,車庫,産業用

家屋の天井,壁の被覆(防音用)

−  耐火性が求められる壁に配されたケー

ブル,パイプ,ダクトフィードスルーの

開口部のシーリング

−  換気ダクトのエンケース

クリソタイル,クロシドライ
ト,又はアモサイト 40∼70 %,

またミネラルウールと 20 %の

アモサイト又は最大 30 %のク
リソタイルのいずれかとの混

合物。他の混合物は,15 %のク

リソタイルと,パーライトとバ
ーミキュライトのいずれか,及

びせっこうとを含む。

JIS A 1481-1 

JIS A 1481-1

に従って得たアスベスト質量分率

の推定値で通常は十分である。なぜならば,こ

れらのタイプの材料中でアスベストは法的規

制限度を大幅に超える質量分率で存在するか,
又はアスベストが配合の中に含まれていない

かのいずれかであるからである。

吹付け装飾仕上げ

塗装(テクスチャ
ーコート)

−  天井及び壁の下地に塗布する質感を与

えるためのコーティング

最大 5 %までのクリソタイル

ある成分はトレモライトを含
んでいることがある。

JIS A 1481-4 

(この規格)

灰化,2 mol/L 塩酸処理,及び浮揚性又は沈殿

性による砂利の分離が最適な手順である。定量
は PLM ポイントカウント,SEM 又は TEM の

いずれかで可能。

せっこうボード接

合コンパウンド

−  せっこうボードの継目の平滑な目地材

クリソタイル 5 %未満

ある組成物は低質量分率のト

レモライトをも含むことがあ
る。

JIS A 1481-4 

(この規格)

灰化及び 2 mol/L 塩酸処理が最適な手順であ

る。定量は PLM ポイントカウント,SEM 又は
TEM のいずれかで可能。アスベストの不在は
ドロップマウンティング技術を用いた残さの
TEM 検査によって最も効果的に示される。

アスベストを含む

左官用仕上塗材及
びパテ

−  プレキャストコンクリート部材のグラ

ウティング

−  可動目地のシーリング

−  壁及び天井のパイプ用フィードスルー

−  耐火ドアのドアケーシング 
−  アンチドラミング被覆(自動車の保護)

−  水中構造物の被覆

−  家壁用基板の被覆

クリソタイル 20 %以下

JIS A 1481-4 

(この規格)

灰化及び 2 mol/L 塩酸処理が最適な手順であ

る。通常,残さの PLM 検査で十分。場合によ
っては,PLM ポイントカウントが必要なこと

がある。アスベストの不在はドロップマウンテ

ィング技術を用いた残さの TEM 検査によって
最も効果的に示される。

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:2016 (ISO 22262-2:2014)

表 A.1−アスベスト含有材料の最適な分析手順(続き) 

製品

用途の例

典型的なアスベストの

タイプ及び質量分率

分析が準拠する

この規格群の 
該当する部分

最適な分析手順

アスベスト含有床

−  軟質シートの補強 
−  クッションビニールフローリング材の

下張りとしての耐腐食性支持層

クリソタイル 10∼20 % 
クロシドライト 80∼100 %

JIS A 1481-1 

JIS A 1481-1

に従って得たアスベスト質量分率

の推定値で通常は十分である。なぜならば,こ

れらのタイプの材料中でアスベストは法的規

制限度を大幅に超える質量分率で存在するか,
又はアスベストが配合の中に含まれていない

かのいずれかであるからである。

アスファルト又は
PVC アスベスト・
床タイル

−  補強材 35

%以下のクリソタイルを含

むアスファルトタイル,20 %以
下のクリソタイルを含む PVC

タイル。

JIS A 1481-4 

(この規格)

床タイルによっては,破面にかなりのアスベス

トが観察され,JIS A 1481-1 に従って識別可能
で あ る 。 ほ と ん ど の 床 タ イ ル は 灰 化 及 び 濃

(11.3 mol/L)硫酸処理を行い,次にドロップ

マウント技術を用いて SEM 又は TEM 検査を
行うことで最も好適に分析できる。

ゴム引きアスベス
トシーリング材

−  パイプフランジ用ガスケット

クリソタイル 50∼90 %

JIS A 1481-1 

JIS A 1481-1

に従って得たアスベスト質量分率

の推定値で通常は十分である。なぜならば,こ

れらのタイプの材料中でアスベストは法的規

制限度を大幅に超える質量分率で存在するか,
又はアスベストが配合の中に含まれていない

かのいずれかであるからである。

アスベストを含む

摩擦材製品

−  ブレーキライニング

−  ブレーキバンド 
−  クラッチライニング

クリソタイル 10∼70 %

JIS A 1481-1 

JIS A 1481-1

に従って得たアスベスト質量分率

の推定値で通常は十分である。なぜならば,こ
れらのタイプの材料中でアスベストは法的規

制限度を大幅に超える質量分率で存在するか,

又はアスベストが配合の中に含まれていない
かのいずれかであるからである。

耐酸性容器

−  鉛蓄電池ボックス 
−  硫酸用ドラム

クロシドライト 10∼50 %

JIS A 1481-1 

しばしば破面にかなりのアスベストが観察さ
れ,JIS A 1481-1 に従って識別される。そうで

ない場合,サブ試料を灰化した後,JIS A 1481-1

に従って検査することが最適な手順である。

 
 

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:2016 (ISO 22262-2:2014)

表 A.1−アスベスト含有材料の最適な分析手順(続き) 

製品

応用例

アスベストが存在する場合の

代表的なアスベスト

のタイプ及び質量分率

分析が準拠する

この規格群の 
該当する部分

最適な分析手順

ろ材

−  エアフィルタ 
−  液体フィルタ

−  殺菌及び無菌フィルタ

−  浄化用フィルタ 
−  塩素アルカリ電解プロセス用ダイヤフ

ラム

クリソタイル 95 % 
まれにアモサイト

JIS A 1481-1 

JIS A 1481-1

に従って得たアスベスト質量分率

の推定値で通常は十分である。なぜならば,こ

れらのタイプの材料中でアスベストは法的規

制限度をかなり超える質量分率で存在するか,
又はアスベストが配合の中に含まれていない

かのいずれかであるからである。

タルク(アスベス

ト含有量は鉱脈に
よって異なる)

−  電気ケーブル,ゴム製品用離型剤

−  製菓業における離型剤 
−  裁縫用チャコ

−  製紙

−  医薬品,化粧品

クリソタイル及び/又はアク

チノライト,トレモライト

JIS A 1481-4 

(この規格)

タルクは,質量法マトリックス低減法になじま

ない。 
クリソタイルについては,TEM 用試料を未処

理の材料から調製し,次いで質量計数手順を行

うことが最適な手順である。 
角せん石については,密度液を用いて遠心分離

を行い,次いで分離物を顕微鏡法により評価す

ること,又は TEM 用試料を未処理の材料から
調製し,次いで質量計数手順を行うことが最適

な手順である。

バーミキュライト

(焼成状)

−  屋根裏,及び壁の空洞断熱

−  園芸用品

バーミキュライトの産地によ

る。米国モンタナ州からのバー

ミキュライトは最大 6 %の角せ
ん石タイプの混合物を含有す

ることがある。現在の採掘地か

らのバーミキュライトは検出
可能な角せん石を全く又は低

濃度でしか含んでいない。バー

ミキュライトの採掘地によっ
ては,バーミキュライト中に存

在する角せん石の一部がアス

ベスト様形態をもっているこ
とがある。

JIS A 1481-4 

(この規格)

水による浮上分離法によってバーミキュライ

トを除去する。手を用いて沈殿物からアスベス

ト様形態の角せん石を取り出し,それを JIS A 

1481-1

に従って同定し,ひょう量して質量分

率を得る。

粒径が小さすぎてアスベスト様形態の角せん
石を手で取り出すことが実行不可能な場合は,

密度液を用いた遠心分離法を使って角せん石

を分離する。 
代わりに,2 mol/L 塩酸及び 4 mol/L 水酸化ナ

トリウムで順次還流する方法を大部分のバー

ミキュライトの分解に利用してもよい。JIS A 

1481-1

に従い,PLM,SEM,又は TEM によっ

て残さを調べる。SEM 又は TEM 質量計数手順

によって更なる定量を行うこともできる。

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表 A.1−アスベスト含有材料の最適な分析手順(続き) 

製品

応用例

アスベストが存在する場合の

代表的なアスベスト

のタイプ及び質量分率

分析が準拠する

この規格群の 
該当する部分

最適な分析手順

バーミキュライト
精鉱

−  バーミキュライト焼成工場向け原料

角せん石 1 %よりも非常に少な
い。

JIS A 1481-4 

(この規格)

マッフル炉で 800  ℃の温度で焼成する。焼成
バーミキュライトと同様に分析する。

バーミキュライト

含有せっこう壁板

−  バーミキュライト濃縮物含有耐火壁板

角せん石 1 %よりも非常に少な

い。

JIS A 1481-4 

(この規格)

酸可溶性材料を 2 mol/L 塩酸での処理によって

溶解させる。次いで,マッフル炉で 800  ℃の

温度で焼成させる。残さを焼成バーミキュライ
トと同様に分析する。

バーミキュライト
含有園芸用品

−  鉢植え用土壌 
−  肥料

角せん石 1 %よりも非常に少な
い。

JIS A 1481-4 

(この規格)

有機物を灰化によって除去する。酸可溶性材料
は 2 mol/L 塩酸での処理によって溶解させる。

浮上したバーミキュライトがあれば除去する。

これらの処理の残さを PLM,SEM 又は TEM
によって検査する。代わりに,これらの処理の

残さを密度液を用いて遠心分離した上,アスベ

ス ト 様 形 態 の 角 せ ん 石 に つ き 遠 心 分 離 物 を
PLM,SEM 又は TEM によって検査してもよ
い。

バーミキュライト

含有吹付け耐火被

−  構造用鋼材及び床板への吹付け

初期に施工された耐火被覆は

約 15 %のクリソタイルと最高
で約 1 %までの角せん石を含ん

でいる。最近のものは,クリソ

タイルを全く含まず,また,概
してはるかに少ない角せん石

しか含んでいない。

JIS A 1481-4 

(この規格)

有機物を灰化によって除去する。せっこう及び

炭酸塩のような酸可溶性材料は 2 mol/L 塩酸で
の処理によって除去する。浮上したバーミキュ

ライトがあれば分離する。これらの処理の残さ

を密度液を用いて遠心分離した上,アスベスト
様形態の角せん石につき遠心分離物を PLM,
SEM 又は TEM によって検査する。

バーミキュライト

含有軽量コンクリ

ート

−  床板

角せん石 1 %よりも非常に少な

い。

JIS A 1481-4 

(この規格)

試料を 2 mol/L 塩酸によって処理する。浮上し

たバーミキュライトがあれば分離する。骨材の

大きな断片は選別して除く。これらの処理の残
さを,アスベスト様形態の角せん石につき,
PLM,SEM 又は TEM によって検査する。必要
ならば,密度液を用いた遠心分離によって,角
せん石を更に濃縮することができる。

 

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表 A.1−アスベスト含有材料の最適な分析手順(続き) 

製品

応用例

アスベストが存在する場合の

代表的なアスベスト

のタイプ及び質量分率

分析が準拠する

この規格群の 
該当する部分

最適な分析手順

工業用鉱物:ウォ
ラストナイト,セ

ピオライト,アタ

パルジャイト

−  磁器製造用 
−  プラスチック製フィルタ

−  表面仕上げ材及び目地材

−  天井材 
−  掘削泥水(アタパルジャイト)

鉱物の産地による。数パーセン
トのトレモライト又はアクチ

ノライトを含有することがあ

る。

JIS A 1481-4 

(この規格)

2 mol/L の酸及び 4 mol/L のアルカリ中で逐次
還流。JIS A 1481-1 に従って PLM,SEM 又は
TEM による残さの検査を行う。定量は SEM 又
は TEM 質量計数手順によって行うこともでき
る。

工業用鉱物:カル

サイト,ドロマイ

ト及びせっこう

−  建築材の製造用

−  工業用途

鉱物の産地による。炭酸塩鉱物

は数パーセントのトレモライ

ト又はアクチノライトを含有
することがある。

JIS A 1481-4 

(この規格)

多めの塩酸中で溶解。JIS A 1481-1 に従って,
PLM,SEM 又は TEM によって残さを検査す
る。定量は SEM 又は TEM 質量計数手順によ
って行うこともできる。

工業鉱物:マイカ

−  セラミックの製造用 
−  建築材の製造用

鉱物の産地による。トレモライ
ト又はアクチノライトを含有

することがある。

JIS A 1481-4 

(この規格)

うんも(雲母)を含む多くの工業用鉱物はいか
なる質量法マトリックス低減方法にもなじま

ない。未処理の材料から TEM 用試料を調製し

た後,SEM 又は TEM 質量計数手順を行うこと
が最適の手順である。

アスファルト舗装

−  道路(road construction)

クリソタイル

一般に 1 %か又はそれ以下。

JIS A 1481-4 

(この規格)

クリソタイルは,もしあれば,アスファルト成

分中にある。代表的な試料を灰化し,JIS A 

1481-1

に従い,残さを PLM,SEM,又は TEM

によって調べる。

代わりに,アスファルト成分のサブ試料を分割

し灰化する。PLM による定量的ポイントカウ
ンティング又は SEM 若しくは TEM による質

量計数が必要になり得る。アスベストが存在し

ないことはドロップマウント試料の SEM 又は
TEM 検査によって確認してもよい。

 

41

A

 1

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-4


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16
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262

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)


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A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

表 A.1−アスベスト含有材料の最適な分析手順(続き) 

製品

応用例

アスベストが存在する場合の

代表的なアスベスト

のタイプ及び質量分率

分析が準拠する

この規格群の 
該当する部分

最適な分析手順

壁面及び天井用プ
ラスタ

−  骨材及び動物毛又はジュートのような

繊維を混入した又は混入しない内壁及

び天井コーティング

クリソタイル。 
一般に,部分的な混入で不均

一。質量分率は,最大約 3 %ま

で様々。

JIS A 1481-4 

(この規格)

クリソタイルは,もし存在する場合,不均一で
あることが多い。骨材の大きさによって,約 3 
g 又はそれ以上のサブ試料から始める。サブ試
料を灰化し,2 mol/L の塩酸で処理し,沈降分
離によって骨材を分離する。ポイントカウンテ

ィ ン グ 法 に よ っ て 残 さ を 検 査 , 又 は 残 さ の
SEM 若しくは TEM 検査によってアスベストの
不在を確認する。

掘削泥水

−  探鉱,岩石掘削

クリソタイル。

しばしばクリソタイルは極め

て微細で短く,場合によっては
カリフォルニア州コアリンガ

産のものがある。100 %以下の

クリソタイルを含有すること
がある。

JIS A 1481-4 

(この規格)

水中で分散させ,ドロップマウント法によって
TEM 標本を調製する。クリソタイルが存在す
る場合,かなりの質量分率で存在する。

建築その他用途の
化学製品

−  アスファルト,屋根ふ(葺)き及び被覆

シート

−  シーリング用パテ

−  ガラスパテ 
−  アスファルト塗装

−  充塡材及びシーリング剤

−  目地材 
−  塗料

−  接着剤

−  難燃材 
−  下地床保護

最高 30 %のクリソタイル 
 
最高 2 %のクリソタイル

最高 4 %のクリソタイル 
最高 30 %のクリソタイル

最高 25 %のクリソタイル

最高 5 %のクリソタイル 
最高 9 %のクリソタイル

最高 4 %のクリソタイル

最高 10 %のクリソタイル 
最高 4 %のクリソタイル

JIS A 1481-4 

(この規格)

JIS A 1481-1

を使って十分な量のクリソタイル

を観察することができない場合は,試料を灰化

する。場合によっては,残灰はかなりの質量分

率のクリソタイルを含んでおり,ここで分析を
終えることもできる。灰にその他の成分が存在

する場合,塩酸を用いて更なるマトリックス低

減ができることもある。JIS A 1481-1 の手法を
用いて残さを検査する。アスベストの不在は
SEM 又は TEM によって残さを検査することに
よって確認できる。

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A

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-4


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 (ISO

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262

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)


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A 1481-4

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附属書 B

(規定)

密度液による角せん石の分離に必要な遠心分離時間

遠心分離する分散液量及び回転速度によって特定の粒径の角せん石粒子が遠心管の底に沈殿するのに必

要な遠心分離時間が決めることができる。粒子の沈殿に必要な時間は,次の式によって算出する。

(

)

×





×

×

×

×

×

=

S

R

d

b

a

t

ln

60

10

18

2

2

12

ω

η

ここに,

t

直径

d

の粒子が沈殿するまでの時間(分)

η

密度液の粘度計数(

Pa

s

a

粒子の密度(

kg/m

3

b

密度液の密度(

kg/m

3

ω

遠沈管の角速度(

rad/s

d

粒子の直径(

µm

R

遠沈管の外径(

cm

S

遠沈管の内径(

cm

図 B.1 のグラフは,次の値を使って粒子密度

3 000  kg/m

3

及び

3 400  kg/m

3

のそれぞれの場合に必要な遠

心分離時間をプロットしたものである。

液粘度=

0.009 Pa

s

液密度=

2 750 kg/m

3

角速度=

376.99 rad/s

遠沈管の外径=

14.5 cm

遠沈管の内径=

3.5 cm


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A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

図 B.1−分散液の密度 2 750 kg/m

3

での粒子の沈殿までに必要な遠心分離時間 

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A 1481-4

:2016 (ISO 22262-2:2014)

附属書 C 
(参考)

試験報告書の例

JIS A 1481-4

によるバルク材中のアスベスト分析 

分析日

分析者

署名

注記:

JIS A 1481-4

では,アスベスト向けバルク材料の定量分析に言及している。

試料

マトリックス

低減による残さ

(質量分率)

アスベスト

アスベスト質量分率

推定定量限界

(質量分率)

コメント

試料 20080811-1 
天井テクスチャ

パーライト入り白色しっくい

10.7

クリソタイル

0.20 0.01

マトリックス低減処理から得た残さのポイン

トカウンティングから計算された質量分率。
95 %信頼におけるアスベスト質量分率 0.1 %
未満

試料 20080812-4

毛・砂入りしっくい 
ベージュ色材料

5.6

クリソタイル

0.035 0.001

マトリックス低減処理から得た残さのポイン
トカウンティングから計算された質量分率。
95 %信頼におけるアスベスト質量分率 0.1 %
未満

試料 20080815-2 
しっくい

白色材料

0.12

未検出 0.003 未満 0.003

灰化及び酸処理から得た残さの SEM 検査にお
いてアスベストは検出されなかった。

試料 20080815-3

天井材

灰色繊維状材料

8.4

クリソタイル

1.5 %

0.001

クリソタイルは微細すぎて PLM による識別は

できない。TEM による質量的計数によってク

リソタイルを識別し定量する。

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:2016 (ISO 22262-2:2014)

   

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