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A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

(1)

目  次

ページ

序文  

1

1  適用範囲  

1

2  用語及び定義  

2

3  記号及び略称  

8

4  原則 

8

4.1  一般  

8

4.2  物質の同定  

9

4.3  試料のタイプ  

9

4.4  範囲  

9

4.5  検出限界  

9

4.6  アスベストの検出における PLM の限界  

9

5  試料採取  

10

5.1  要件  

10

5.2  手順  

11

6  試料の調製  

14

6.1  全般  

14

6.2  灰化による有機材の除去  

14

6.3  酸処理による可溶性成分の除去  

14

6.4  沈殿性及び浮揚性  

15

6.5  質量測定による低減手順の組合せ 

15

7  PLM による分析  

15

7.1  要件  

15

7.2  PLM による定性分析  

19

8  SEM による分析  

31

8.1  全般  

31

8.2  要件  

31

8.3  校正  

31

8.4  試料の調製  

31

8.5  SEM による定性分析  

32

9  透過電子顕微鏡による分析  

33

9.1  一般  

33

9.2  要件  

33

9.3  校正  

34

9.4  試料の調製  

35

9.5  TEM による定性分析  

35


A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)  目次

(2)

ページ

10  試験報告書  

36

附属書 A(規定)市販のアスベスト含有材の種類  

38

附属書 B(規定)干渉色チャート  

42

附属書 C(規定)分散染色チャート  

43

附属書 D(規定)PLM 及び分散染色による市販材中のアスベストの同定  

45

附属書 E(規定)SEM による市販材中のアスベストの同定  

54

附属書 F(規定)TEM による市販材中のアスベストの同定  

60

附属書 G(参考)試料採取記録の例  

69

附属書 H(参考)分析報告書の例  

70

参考文献  

71


A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

(3)

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本

工業規格である。これによって,JIS A 1481-1:2014 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

JIS A 1481 の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS A 1481-1  第 1 部:市販バルク材からの試料採取及び定性的判定方法 
JIS A 1481-2  第 2 部:試料採取及びアスベスト含有の有無を判定するための定性分析方法 
JIS A 1481-3  第 3 部:アスベスト含有率の X 線回折定量分析方法

JIS A 1481-4  第 4 部:質量法及び顕微鏡法によるアスベストの定量分析方法


日本工業規格

JIS

 A

1481-1

:2016

(ISO 22262-1

:2012

)

建材製品中のアスベスト含有率測定方法−

第 1 部:市販バルク材からの試料採取及び

定性的判定方法

Air quality-Bulk materials-Part 1: Sampling and qualitative determination

of asbestos in commercial bulk materials

序文 

この規格は,2012 年に第 1 版として発行された ISO 22262-1 を基に,技術的内容及び構成を変更するこ

となく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。

適用範囲 

この規格は,市販のバルク材の試料採取方法及び市販のバルク材中のアスベスト同定方法について規定

する。この規格は,適切な試料の前処理手順を規定し,偏光顕微鏡及び分散染色によるアスベストの同定

手順について規定する。

また,アスベスト繊維をアスファルト,セメント及びプラスチック製品のようなマトリックス材から分

離するための簡便法を規定する。アスベストの同定には,走査電子顕微鏡(SEM)又は透過電子顕微鏡

(TEM)とエネルギー分散 X 線分析(EDXA)とを用いて行うこともできる。共通の分析上の問題,分析

の際に遭遇する障害及び他のタイプの繊維に関する情報も提供する。

この規格は,特殊なタイプのアスベスト含有製品及び市販の鉱物に含まれるアスベストの定性的同定に

適用可能である。この規格は,同定のためにアスベスト繊維をマトリックス材から容易に分離できるよう

な耐火材,断熱材及びその他の製品又は鉱物類の分析に適用可能である。

注記 1  市販のバルク材とは,この規格が適用可能な対象物を指し,4.3 に規定している。

注記 2  この規格は,偏光顕微鏡法及び明記されたその他の分析手順(参考文献[16]∼[19])に習熟し

た顕微鏡を使用する技術者向けに作成されている。そのため,基礎的な分析技法の指示書と

して提供することは意図していない。

注記 3  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 22262-1:2012,Air quality−Bulk materials−Part 1: Sampling and qualitative determination of

asbestos in commercial bulk materials(IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“一致している”

ことを示す。


2

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。

2.1 

アクロマート(achromat)

色収差が二つの波長に対して補正され,また球面収差及びその他の口径に依存した欠陥が別のもう一つ

の波長(通常約 550 nm)に対して最小化されたような顕微鏡対物レンズ。

例  波長の一つが約 500 nm,もう一つが約 600 nm を上回る。

注記  この用語は,像面湾曲収差の曲率補正の程度を意味するものではない。コマ収差及び非点収差

は色収差補正範囲内の波長について最小化されている。

ISO 10934-1:2002 の 2.6

[3]

2.2 

針状(acicular)

長さに比べ断面積が小さい,極めて細長い結晶に見られる,針に似た形状。

ISO 13794:1999 の 2.1

[4]

2.3 

アルファ屈折率,α(alpha refractive index)

繊維が示す最低屈折率。

2.4 

角せん石(amphibole)

岩石を造る鉄苦土質けい酸塩鉱物グループで,結晶形態及び組成が近縁密接な関係にある,次の名目上

の組成式であるもの。

A

0-1

B

2

C

5

T

8

O

22

(OH, F, Cl)

2

ここに,

A:カリウム,ナトリウム 
B:二価鉄,マンガン,マグネシウム,カルシウム,ナトリウム 
C:アルミニウム,クロム,チタン,三価鉄,マグネシウム,二価鉄

T:けい素,アルミニウム,クロム,三価鉄,チタン

注記  角せん石の種類によっては,上記の元素が部分的にリチウム,鉛,又は亜鉛に置換される場合

もある。角せん石の特徴は,けい素対酸素の比が 4:11 の Si-O 四面体が交差結合した二重鎖を

成す柱状又は繊維状のプリズム状結晶で,結晶面に平行で約 56°と 124°との角度で交差する

2 方向に良好なプリズム形のへき開を示すことである。

ISO 13794:1999 の 2.2

[4]

2.5 

角せん石アスベスト(amphibole asbestos)

アスベスト様形態の晶癖をもつ角せん石。

ISO 13794:1999 の 2.3

[4]

2.6 

アナライザ(analyser)

偏光又はその他の照明光が観察対象に与える光学特性の影響を調べるために対物レンズの後方に取り付

けて使用する偏光板。


3

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

注記  これは通常,対物レンズと一次結像面との間に配置される。

ISO 10934-1:2002 の 2.117.1

[3]

2.7 

異方性(anisotropy)

異なった軸に沿って異なった特性を示す状態又は性質。

例  異方性透明粒子は,入射光の振動方向に従って異なった屈折率を示すことがある。

2.8 

アスベスト様形態(asbestiform)

鉱物の繊維形態の特殊なタイプで,繊維及び単繊維が高い抗張力及び柔軟性をもつ。

ISO 13794:1999 の 2.6

[4]

2.9 

アスベスト(asbestos)

破砕又は加工したときに,長く,細く,かつ,柔軟で強い繊維に容易に分かれるようなアスベスト様形

態の晶癖をもつ,蛇紋石及び角せん石族に属する,けい酸塩鉱物のグループに用いられる用語。

注記 1  最も一般的なアスベスト種の CAS(Chemical Abstract Service)の登録番号には,クリソタイ

ル(12001-29-5)

,クロシドライト(12001-28-4)

,グリュネライト系アスベスト(アモサイト)

(12172-73-5),アンソフィライト・アスベスト(77536-67-5),トレモライト・アスベスト

(77536-68-6)及びアクチノライト・アスベスト(77536-66-4)がある。

ISO 13794:1999 の 2.7

[4]

注記 2  リヒテライト,ウィンチャイトのような他のアスベスト様形態の角せん石の一群(参考文献

[20])もバーミキュライト,タルクのような幾つかの製品中に見いだされる。

2.10 

アスペクト比(aspect ratio)

粒子の長さ対幅の比。

ISO 13794:1999 の 2.10

[4]

2.11 

ベルトランレンズ(Bertrand lens)

対物レンズの後焦点面の画像を一次結像面まで送る中間レンズ。

注記  ベルトランレンズは,偏光顕微鏡においてコノスコープ観察のために,また特に位相差及びモ

ジュレーションコントラスト顕微鏡における顕微鏡照明系の調整のために,使われる。

ISO 10934-1:2002 の 2.87.2

[3]

2.12 

複屈折(birefringence)

複数の屈折に起因する屈折率の最大差の定量的表現。

ISO 10934-1:2002 の 2.16

[3]

2.13 

カメラ長(camera length)

レンズ操作をしない状態において,試料とその電子回折像との間の距離に等しい投影長さ。

ISO 13794:1999 の 2.12

[4]


4

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

2.14 

クリソタイル(chrysotile)

次の名目組成をもつ蛇紋石群に属する繊維状鉱物。

Mg

3

Si

2

O

5

(OH)

4

注記  天然のクリソタイルは,この名目上の組成式とほとんど違わないものが大部分である。一部の

種類のクリソタイルでは,けい素が若干 Al

3+

に置換されている場合がある。マグネシウムが若

干,Al

3+

,Fe

2+

,Fe

3+

,Ni

2+

,Mn

2+

,Co

2+

に置換されている現象が見られる場合もある。クリソ

タイルは,最も普及している種類のアスベストである。

ISO 13794:1999 の 2.13

[4]

2.15 

へき開(cleavage)

ある結晶がその結晶軸方向の一つに沿って割れること。

ISO 13794:1999 の 2.14

[4]

2.16 

へき開片(cleavage fragment)

へき開面によって仕切られた結晶片。

注記  非アスベスト様形態角せん石の破砕によって,通常,繊維という定義に当てはまる細長い砕片

が生じるが,それが 30:1 を超えるアスペクト比をもつことはまれである。

2.17 

クロスポーラ,直交ニコル(crossed polars)

偏光板同士(ポラライザ及びアナライザ)の偏光方向が互いに直角を成す状態。

ISO 10934-1:2002 の 2.117.2

[3]

2.18 

面間隔 dd-spacing)

結晶中で原子が造る,平行して隣接する同種の面と面との間の距離。

ISO 13794:1999 の 2.18

[4]

2.19 

分散(dispersion)

光の波長の違いによる屈折率の変化。

ISO 7348:1992 の 05.03.26

[1]

2.20 

分散染色(dispersion staining)

透明な物体を浸液に浸したとき,可視域の波長において,媒体の屈折率が物体と同じでも,光学分散が

物体より大幅に大きい場合に生じる効果。

注記  物体の縁部で屈折する光だけに認められる。これによって物体と周囲媒体との接触界面が発色

する。その特有の色は,物体及び浸液のそれぞれの屈折率が等しくなる波長の判断基準である。

2.21 

電子回折(electron diffraction)

電子顕微鏡を用いて試料の結晶構造を調べるために用いる技法。

ISO 13794:1999 の 2.19

[4]


5

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

2.22 

電子散乱能(electron scattering power)

物質の 1 枚の薄い層が特定の方向からきた電子を散乱させる大きさ。

ISO 13794:1999 の 2.20

[4]

2.23 

エネルギー分散 線分析,EDXA(energy dispersive X-ray analysis)

固体検出器及び多チャンネル分析装置の使用による,X 線のエネルギー及び強度の測定。

ISO 13794:1999 の 2.22

[4]

2.24 

ユーセントリック(eucentric)

観察対象領域が電子ビームと交差する傾斜軸上にあり,かつ,焦点面内にあるときの状態。

ISO 13794:1999 の 2.23

[4]

2.25 

消光(extinction)

クロスポーラ(又は直交ニコル)で観察したとき,異方性の結晶が暗く見える状態。

注記  消光は,結晶を通る光振動方向が,ポラライザ及びアナライザの振動方向と平行な場合に生じ

る。

ISO 10934-1:2002 の 2.51

[3]

2.26 

消光角(extinction angle)

繊維の長手方向が,ポラライザ及びアナライザの振動方向と平行となる方向と繊維が消光する方位との

角度。

2.27 

単繊維(fibril)

アスベストの単一繊維で,繊維特性及び外観を損なうことなく,長軸方向をそれ以上小さく分離できな

いもの。

ISO 13794:1999 の 2.25

[4]

2.28 

繊維(fibre)

平行又は階段状の側面をもつ伸長した粒子。

注記  ISO 22262-1 の目的に即して,繊維は 3 対 1 以上のアスペクト比をもつものと定義する。

ISO 13794:1999 の 2.26

[4]

2.29 

繊維束(fibre bundle)

平行な,より細い径の繊維が長さ方向に沿って集合してできた構造体。

注記  繊維束は,片方又は両方の端部で繊維の分岐が見られる場合がある。

ISO 13794:1999 の 2.27

[4]

2.30 

ガンマ屈折率,γ(gamma refractive index)

繊維が示す最高屈折率。


6

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

2.31 

晶癖(habit)

特徴的な異常形態を含む,鉱物の特徴的な結晶成長形態又はその組合せ。

ISO 13794:1999 の 2.30

[4]

2.32 

HEPA フィルタ(high-efficiency particulate air filter)

0.3 μm 粒子について,少なくとも 99.97 %有効であるようなフィルタ。

ISO 14952-1:2003 の 2.13

[6]

2.33 

等方性(isotropic)

あらゆる方位において同一の特性をもつ状態。

ISO 14686:2003 の 2.23

[5]

2.34 

ケーラー照明(Köhler illumination)

光源の像をコレクタ

(光源レンズ)

によってコンデンサレンズの前側焦点面内にある開口絞りに照射し,

視野絞りの像をコンデンサレンズを通して,試料面に照射する方法。

2.35 

ラムダゼロ,λ

0

(lamda zero)

浸液中の粒子が示す分散染色法の分散色に対応する合致波長。

注記  この波長で,粒子及び浸液は同一の屈折率をもつ。

2.36 

マトリックス(matrix)

繊維をその物質中に分散させて作った試験所試料中の物質。

2.37 

ミラー指数(Miller index)

結晶軸に関係して結晶面の方位を特定するために用いられる 3 個又は 4 個の整数のセット。

ISO 13794:1999 の 2.33

[4]

2.38 

多色性(pleochroism)

透過光線における選択的なスペクトル吸収の変化によって,異なる光伝ぱ(播)方向,又は異なる振動

に対し,光学的に異方性の媒体が異なる明度及び/又は色を示す特性。

2.39 

偏光(polarized light)

ある与えられた全ての瞬間に特定の方向の振動が部分的又は完全に抑制された光。

注記  振動のベクトルは線形,円形又はだ(楕)円形を示す。

ISO 10934-1:2002 の 2.88.1

[3]

2.40 

ポラライザ(polarizer)

対象物の前の光路に置かれる偏光板。

ISO 10934-1:2002 の 2.117.4

[3]


7

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

2.41 

ポーラ,偏光板(polar)

自然光から平面偏光した光を選別する装置。

ISO 10934-1:2002 の 2.117

[3]

2.42 

屈折率,RIn(refractive index)

真空中とある与えられた媒体中の光速(より厳密には,位相速度)との比。

ISO 10934-1:2002 の 2.124

[3]

2.43 

レターデーション(位相差)(retardation)

波長,長さ単位又は位相角で表現された二つの互いに直交した平面偏光波の光路長の差。

ISO 10934-1:2002 の 2.128

[3]

2.44 

制限視野電子回折(selected area electron diffraction)

試料の微小領域の小さい結晶構造を調べるための電子顕微鏡技術。

ISO 13794:1999 の 2.38

[4]

2.45 

蛇紋石(serpentine)

次の名目上の組成式をもつ一般的な造岩鉱物のグループ。

Mg

3

Si

2

O

5

(OH)

4

ISO 13794:1999 の 2.39

[4]

2.46 

伸長の符号(sign of elongation)

繊維の高屈折率及び低屈折率の方向についての符号。

注記  屈折率の高い方が繊維の長さ方向と平行な場合,繊維は正方向と表され,屈折率の低い方が繊

維の長さ方向と平行な場合,繊維は負方向と表される。

2.47 

屈折率の温度係数(temperature coefficient of refractive index)

温度による物質の屈折率の変化の測定値。

2.48 

双晶(twinning)

同じ種類の結晶が互いにある特定の位置関係で接合してできた結晶。その相対的方向はある特定の法則

に従っている。

ISO 13794:1999 の 2.41

[4]

2.49 

未開綿繊維(unopened fibre)

それを構成する単繊維又は繊維に分離されていない大きい直径のアスベスト繊維束。

ISO 13794:1999 の 2.42

[4]

2.50 

晶帯軸(zone-axis)


8

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

同一結晶帯に属する結晶面の交差端に平行な結晶の中心を通る線又は結晶学的方向。

ISO 13794:1999 の 2.43

[4]

記号及び略称 

この規格で用いる主な記号及び略称並びにそれらの意味は,次による。

dT

dn

温度変化 1  ℃ごとの浸液の RI の変化

25

D

n

ナトリウム D 線(589.3 nm)に対する,温度 25  ℃での液体の RI

α

異方性粒子の最低 RI

β

異方性粒子の中間 RI

γ

異方性粒子の最高 RI

λ

0

粒子の RI が,浸せきされている液体の RI に等しい時点での波長

ED

電子回折(electron diffraction)

EDXA

エネルギー分散 X 線分析(energy dispersive X-ray analysis)

FWHM

半価幅(full width, half maximum)

HEPA

高性能粒子除去(high-efficiency particle absolute)

MEC

セルロース混合エステル(mixed esters of cellulose)

PC

ポリカーボネート(polycarbonate)

PCOM

位相差顕微鏡法(phase contrast optical microscopy)

PLM

偏光顕微鏡法(polarized light microscopy)

RI

屈折率(refractive index)

SAED

制限視野電子回折(selected area electron diffraction)

SEM

走査電子顕微鏡法(scanning electron microscopy)

TEM

透過電子顕微鏡法(transmission electron microscopy)

原則 

4.1 

一般 

分析される材料から試料を採取するため,関連する安全規則に従い,適切な用具を使用する。次いで,

試験所へ輸送するために,試料を適切に包装し,表示する。

最初にバルク材の代表的な試料を,双眼実体顕微鏡(ステレオ双眼顕微鏡)

(以下,双眼実体顕微鏡とい

う。

)を用いて調べる。典型的な繊維をピンセットで採取し,適切な浸液媒体に浸し,偏光顕微鏡検査用ス

ライド上に載せる。アスベスト繊維を,形態,色及び多色性に基づき同定し,更に,分散染色技法を用い

て,

α

(最低)及び γ(最高)の屈折率を定性的に評価する。市販のアスベスト(クリソタイル,アモサイ

ト,クロシドライト又はアンソフィライト)のうち一つが,単独又は複合的に検出される場合,0.1 %を超

えるアスベスト質量分率でアスベストが存在することを示唆するものとみなす。任意に,様々な質量分率

(又は含有率)範囲のうち一つにおいて,アスベスト質量分率(又は含有率)の目視の推定値を報告する。

トレモライト,アクチノライト及びリヒテライト/ウィンチャイトは同じ手順で同定されるが,これらは

鉱物製品の汚染として存在するのが普通であるため,これらの鉱物が検出されても,その質量分率に関す

る情報とはならない。任意に,SEM 又は TEM で繊維を同定してもよい。


9

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

4.2 

物質の同定 

この規格の規格群では,固体材料中のアスベストを同定するための幾つかの参考となる方法を規定して

いる。第 1 部であるこの規格では,アスベスト(クリソタイル,アモサイト,クロシドライト,トレモラ

イト,アクチノライト,アンソフィライト及びリヒテライト/ウィンチャイト)の存在を確かめるための

特定の市販製品の定性的分析方法を提供する。この規格の規格群のその他の部では,処理されない試料に

ついて PLM を使用することによって受け入れ難い割合の誤差が生じるような特定のタイプの市販製品の

分析方法,及び約 5 %を下回る低質量分率範囲のアスベストの定量分析方法を提供する。

4.3 

試料のタイプ 

この規格で規定する方法は,個々のアスベスト繊維が,表面及び新規の割面,又は化学的処理,酸抽出

若しくは灰化の後に,手作業でマトリックス材から分けられるような市販製品の試料採取及び分析に適用

できる。この規格は,耐火材,耐熱管及びボイラ断熱材,アスベストセメント,プラスタ,屋根材及びそ

の他の類似材料のようなアスベスト含有建材に一般的に適用可能である。また,この方法は,ある範囲内

のその他の工業用鉱物又は材料に含まれるアスベストの同定にも適用可能である。

4.4 

範囲 

熟達度試験の経験から,測定範囲は,試料に含まれるアスベスト繊維が低倍率の双眼実体顕微鏡を用い

て目視するために十分大きいような,適切に調製された試料に適用されたときは,0.1 %未満∼100 %であ

ることが分かっている。この範囲の下限は,適切な技法を用いることによって,更に下の方へ拡張できる。

4.5 

検出限界 

検出限界は,

調べたある量の試料中に 1 本の繊維又は 1 繊維束が検出及び同定されることと定義される。

達成され得る検出限界は,次の条件によって決まる。

a)  試料のマトリックスの性質 
b)  アスベスト繊維及び束のサイズ 
c)  適切な試料調製及びマトリックス低減の手順の使用

d)  試料の検査に費やされる全時間 
e)  用いられる分析方法:PLM,SEM 又は TEM

試料の性質に適合したマトリックス低減手順が用いられた場合,検出限界は 0.01 %よりかなり小さくな

り得る。

4.6 

アスベストの検出における PLM の限界 

PLM によってアスベストを検出し同定する能力は,光学顕微鏡の分解能及びときには試料の残余を占め

る他の材料のマスキング効果によって制限される。幅約 0.2  μm 未満のアスベスト繊維は,PLM による検

出は難しい。しかし,角せん石アスベストの全種類及びクリソタイルのほとんどの種類においては,質量

の大部分を占めるのはこの幅を超える繊維であり,そのために,アスベストは PLM によって確実に検出

され得る。したがって,マトリックス材が,存在するかもしれないアスベスト繊維を不明瞭にしない性質

のものであれば,PLM によって検出されなかったという結果はアスベストの質量分率が検出限界より低い

ことを示す。

ある市販のクリソタイル原鉱は,PLM による検出上の問題を提起する。米国カリフォルニア州コアリン

ガ(Coalinga)鉱床で産出されるクリソタイルは,約 30  μm を超える長さの単繊維を含んでおらず,これ

らを試料マトリックス中によく分散すると,クリソタイルの大部分は PLM で確実に検出及び同定できる

サイズより小さくなってしまう。コアリンガ産クリソタイルの応用範囲は,床タイル,天井材,乾式壁接

合コンパウンド,プラスタ,塗料,シーラント,接着剤,掘削泥,成形セメント建築製品,及びある種の


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A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

プラスチックのフィラーに限られる。この種類のクリソタイルは,高い質量分率で存在した場合でも,PLM

によって検出されないおそれが多分にある。コアリンガ産クリソタイルは,そのサイズ分布のために,ア

スベストが使用されたその他のほとんどの用途に不適当であったので,このものがその他のタイプの製品

中に発見される可能性は割り引いて考えてよい。もし PLM 検査でコアリンガ産クリソタイルの存在が疑

われた場合は,その試料を電子顕微鏡によって検査することが望ましい。

アスベスト繊維は,それが試料のマトリックスによって不明瞭にされるため,PLM によっては検出され

ないおそれがある。この規格で規定しているマトリックス低減方法は,そのような試料中のアスベスト検

出の失敗の可能性を最小限に止めるためのものである。

試料採取 

5.1 

要件 

5.1.1 

試料採取器具  試料採取される材料の性質にもよるが,試料採取用の適切な道具が必要である。断

熱材,耐火材など,材料が軟らかい場合,ナイフ又は外科用メスで十分である。他の状況においては,層

状材料の全ての層から試料採取するのに,せん(穿)孔器が使用される場合がある。アスベスト,セメン

トなど,材料が硬い場合には,プライヤー,ワイヤーカッター,ハンマー,のみ,又は回転ホールソーな

どの道具が必要になる場合がある。

5.1.2 HEPA 真空掃除機  アスベスト向けの HEPA 真空掃除機は,アスベスト含有粉じん又は粒子状物質

の分散を最小限にするために,試料を採取した後の試料採取場所周辺の清掃に必要である。

5.1.3 

試料採取に必要な材料及び補給品

5.1.3.1  湿潤剤  試料採取中の粉じん分散を抑えるため,湿潤剤が使用される場合がある。水又は少量の

界面活性剤を加えた水を,スプレーボトル又はブラシを用いて,試料採取前に表面に塗布してもよい。

警告  製品の同定を目的として試料が採取されている場合は,湿潤剤は,界面活性剤の添加によって,

また水溶性成分の溶解及び損失によって,試料の組成を変更することになるので,これを使用

しないものとする。

5.1.3.2  充塡材  試料採取後,損傷部分を塞ぐために多少の修復が必要な場合がある。状況に応じて,ス

プレー塗料,修正塗料,せっこうなどを使用するとよい。

5.1.3.3  試料容器  試料の包装用に,適切な防じん容器が必要である。“ジッパー”付きビニール袋,又

はねじ蓋付き瓶を使用するとよい。

5.1.3.4  ラベル  試料にはラベル表示が必要である。粘着性の紙ラベルを使用してもよい。屋外用には防

水性のマーカーを使用してもよい。

5.1.3.5  防じんマスク  空中浮遊アスベスト繊維に対する呼吸器官保護のためにフィルタを備えた防じ

んマスクを使用する。フィルタは,米国国立労働安全衛生研究所(NIOSH)P100 又は欧州規格 EN 143[9] P3

のいずれかに適合したものとする。その他のタイプの保護装置も保護が必要な状況によっては,使用する

ことができる。

5.1.3.6  照明  暗い場所では,試料採取用に懐中電灯又は適切な光源が必要である。 
5.1.3.7  プラスチックバッグ  緊密に密閉できるような,また試料採取の間に生じた廃棄物を寄せ集める

ために必要な,ラベルの付いた適切な大きさのプラスチックバッグ。廃棄物が入ったバッグは更に別の緊

密に密閉されたプラスチックバッグの中に収めるべきである。

5.1.3.8  洗浄用品  試料間の汚染を避けるため,試料採取道具の洗浄用に,使い捨て紙タオルなどの洗浄

材及び給水が必要である。


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A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

5.1.3.9  採取場所特定方法  各試料の採取場所を正確に特定する,何らかの手段を用いることが勧められ

るが,それは後で不一致が生じた場合にそれを解決するため,材料から再度試料採取する必要があるため

である。採取された試料が,例えば,修復箇所から採取されているなど,領域全体を代表するものでない

場合,場所特定手段は非常に重要である。正確な場所に対し,特定色のスプレー塗料を塗ったり,耐久性

のあるラベルを貼り付けたりする場合がある。

5.2 

手順 

5.2.1 

安全措置 

様々な場所において,アスベストの取扱いは規制されており,作業実施者及び近接する人々が過剰な濃

度の空中浮遊アスベストにばく(曝)露されることのないよう,法規などによって様々な手順が定められ

ている。分析用の材料試料の除去など,アスベストにさら(曝)される最小限の行為については,規制の

対象外となっている。

警告  アスベストを含むおそれのある材料の試料採取をする間は注意が必要であり,アスベストを含

むことが疑われる材料の試料採取を行うときには,空中浮遊アスベスト粒子を発生させたり吸

入したりすることを防止するための予防措置をとるべきである。この細分箇条の説明に従って

処理する場合,それは粉じんのレベルが法規で定められている安全限界[しきい(閾)値]内

で行われるものと考える。例外的なケースでは,空中浮遊粉じんの放出を防止するためによっ

て進んだ予防措置が必要な場合がある。

様々な材料が層状に表面に塗布されている場合がある。

各層の全てについて,

試料を採取するのがよい。

複数の層を貫通するためにせん(穿)孔器,ホールソーなどの道具を使用する場合,低回転で操作するの

がよい。これによって,粗い削りくずしか発生しないことが確保される。発生した粉じんを回収するため

の部分的な吸引,ろ過など,より複雑な安全措置を講じる必要があるため,高速で作動する装置を使用し

ないのがよい。

5.2.2 

試料量要件 

5.2.2.1  一般 

所定の分析方法では,必要な試料はほんの数ミリグラムであるが,材料の均一性を考慮すること,また

試料が検査対象材料を代表するのに十分なサイズであることを確認することが重要である。

検査において,

肉眼で見て材料が細かく分離され,かつ,均一なことが分かる場合,又は予備知識を基に,材料の性質が

それと認識される場合には,一般的に試料サイズとして約 1 cm

3

あれば,分析用に十分な材料となり得る。

しかし,吹付け耐火材のような材料には最小体積の 10 cm

3

が,また,緩く詰めたバーミキュライトのよう

な材料には 1 000 cm

3

相当の量が推奨される。

5.2.2.2  代表試料 

以前は,広範なアスベスト含有材が使用されていた。試料採取される材料の選定において,経験は非常

に貴重であり,試料採取対象の材料及び成分に関し,利用できる予備知識を存分に活用すると,試料採取

は容易になる。最も重要なのは,採取された試料が,アスベスト含有量に関し,製品の組成を代表するも

のであることである。アスベスト含有材の多くは,肉眼で検査すると一見均一に見える場合もあるが,顕

微鏡でないと見えないほどの粒形範囲では,かなり不均一なこともある。特に,凝集体の断片が他の成分

より大きい,テクスチャー・コーティングを施した材料などがこれに該当する。

配合手順及び品質管理手順の下で混合され製造される市販製品より,むしろ特に建築現場で混合される

類の材料の場合,アスベストが均一に分散されていないものがあり得る。試料を確実にその材料の代表と

するため,これらのタイプの材料については,より大きな試料を採取する必要がある。


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試料を一部保管することが推奨されるが,それは試料の追加検査が,疑問が生じる可能性がある場合,

それを解決する唯一の方法であることが多いためである。

不均一性の問題に加え,出処の異なる材料を用いた補修の可能性を考慮する必要がある。例えば,改築

及び補修のときに,アスベストを含まない天井材をつ(吊)り天井に取り付けたが,その他のアスベスト

含有部分は,単にこのような天井材が当時簡単に入手できたという理由による事例が挙げられる。補修及

び改築のときに,外観は同じでも成分が異なる材料を使用し,耐火材,断熱材,又は隔壁に補修損障を与

えてしまっている可能性がある。

分析結果は,実際に試験された試料だけに関連するということを認識することが重要である。採取され

た試料が代表的なものでなければ,その結果も材料を代表するものとはならない。

附属書 は,最も使用頻度の高いアスベスト含有材の一覧であるが,これは様々な種類の材料を同定す

るための指針を提供するものである。

5.2.2.3  試料数 

採取される試料の数は,材料の性質,その材料が均一又は不均一のいずれであるか,また検討対象領域

の大きさにも左右される。従前の経験を基に,均一であることが既に分かっている材料の場合,1 件の試

料採取で十分と思われるが,試料を複数採取することによって,その結果が材料を代表するという信頼性

が加わる。材料の不均一性が疑われる場合,試料を幾つか採取し,各試料の十分な大きさを確保する必要

がある。材料の一領域でアスベスト含有量の範囲を判断する場合,全ての試料を個別に分析するか,又は

分析試料が確実に材料の平均アスベスト含有率を表すものになるよう,係る試料を分析前に混合してもよ

い。

5.2.2.4  試料間の汚染防止策 

最も重要なのは,試料間の汚染防止策を確実に講じることである。試料採取に使用する道具は全て,初

回使用前及び試料採取後のそれぞれにおいて洗浄する。各試料について,新品で未使用の容器又はビニー

ル袋を使用し,各試料の袋を二重にする。

5.2.2.5  試料採取戦略 

試料採取場所の選定は,試料を採取する区域の種類及びアスベスト含有が疑われる製品の性質に左右さ

れる。

試料採取場所の選定は,法規に従って行うものとする。

試料採取対象材には,包装材又はシート材のように,均一であることが知られているものがある。試料

は,できるだけ目立たない場所で採取することが望ましい。表面をきずつけてもよい場所,容易に取り外

せるカバーの後ろなどから代表的な試料を採取することが望ましい。

警告  試料採取場所が,以前に異なった材料を用いて修理された部分ではないことを確認する。

試験対象の材料が,例えば,多層構造の配管断熱材,多層構造の床仕上げ材など,層状構造の場合,採

取される試料には当該材料の全ての層を含める。また,コーティング,接着剤など,いかなる被覆又は接

着剤層も対象に含める。現場においてこれらの層を分離しようとしてはならない。分析用の個々の層の分

離は,試験所内の管理された条件下で実施するのが最もよい。

試験対象製品が壁被覆又はその他の被覆の背後にある場合,

電源ソケット又は電灯のスイッチの凹部が,

材料の試料採取場所として適していることが多い。このような方法で採取場所にアクセスできない場合,

試料採取を可能にするため,仕上げ材又は被覆を切って開かなければならない。これらの開口部は,例え

ば,裾板の背後など,できるだけ外観を損ねない場所に作ることが望ましい。

5.2.2.6  試料の取扱い 


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A 1481-1

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試料を採取する前又はしている間にアスベスト含有材から空中浮遊アスベストが放出されるおそれがあ

る。そのため,封じ込め対策をする必要がある。もし材料が,試料採取の間にかなりの量の空中浮遊繊維

を放出するような場合は,試料採取は注意深く行い,噴霧器,水に浸したブラシ又はぬれたペーパータオ

ルを用いて試料採取場所を湿らせる。ぬれたペーパータオルは,試料採取が終わった後,汚染された面を

清掃するのに便利である。

動作中の電気機器の近辺で試料採取が行われているときは,水を用いないのがよい。

試料の取扱いは,次による。

a)  多くのタイプの均一な材料については,材料の外観を損なうことなく,また多量の空中浮遊繊維を放

出させることなく,少量の試料を採取できるのが普通である。

b)  材料が均一と思われる場合,うすい材料については 1 cm

2

より大きい面積の試料を採取し,数センチ

メートルの厚さをもつ材料については 1 cm

3

より大きい体積の試料を採取する。ペンチ又はできれば

鋭利な刃物を使って,切断しながら試料を切り取る。材料が均一でないと思われる場合は,その体積

の試料がその材料の代表として信頼できるよう,十分な量の試料を採取する。

c)  各試料を個別の防じん容器に入れる。

d)  試料採取場所及びその直近の周辺を拭き取り,湿らせた状態に保つか,又は試料採取地の周辺区域を

HEPA フィルタ付き電気掃除機で清掃する。

e)  必要に応じて,試料が採取された露出面を,修正塗料,接着剤又はその他の適切なシーリング材で密

封する。

f)  もし可能であれば,また施設管理者が同意したときは,試料を切り取った正確な場所に,恒久的な識

別マークを付ける。

5.2.2.7  試料のラベル表示 

油性マジックを使用するか,又は恒久的な粘着ラベルを貼り付けるか,いずれかの方法で採取した試料

の容器に,明瞭にラベル表示する。試料のラベルが,試料採取場所に付けてある識別マークの情報と一致

していることを確認する。

5.2.2.8  試料採取記録 

次の情報を含む,試料の採取記録を作成する。

a)  材料のタイプに関する適切な記述

例  耐熱材,平板,床タイル

b)  試料のラベルに関する全ての詳細事項

c)  試料採取場所に関する正確な記述 
d)  建物の特定 
e)  部屋の特定(該当する場合)

f)  部屋の中の試料採取位置 
g)  試料採取日 
h)  試料採取者の氏名

i)

試料が,別々に採取された試料の組合せによる混合物であるか否か

j)  試料が多重層からなる試料か否か。多重層の試料の場合,当該層それぞれについて,位置を記録しな

ければならない。

試料採取場所が,a)f)  の詳細によって適切に特定されない場合,次の項目を追加する。

k)  見取図を描く,写真を撮る(写真の番号を記録する。),又は試料採取場所を建物の図面上に記録する


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(描写による特定も記録に記述されるものとする。

l)

その他,当該試料について利用可能なその他の関連データ

適切な試料採取記録の様式の例を,

附属書 に示す。

5.2.2.9  分析過程管理 

試料採取及び分析の結果が,訴訟又は法的精査の対象となる可能性がある場合,試料採取者から分析者

による試料受領に至るまで,

個人間の試料の受渡し全てについて,

記録を作成することが最も重要である。

分析過程管理書式はこの目的で使用され,この書式に個々の受渡日,及び試料の所有を放棄又は受け入れ

た各個人の氏名が記録される。

5.2.2.10  保管及び輸送 

試料は防じん容器に収められ,試料容器にはアスベストの含有可能性を示すラベルを貼り付ける。権限

のない者が試料に近づかないよう注意しなければならない。試料の保管及び輸送時の気候条件について,

特別な要件はない。分析後の試料は,それを分析試験所に提出した個人が特定する任意の期間,保管庫で

保管されるものとする。

試料の調製 

6.1 

全般 

ときにはバルク材中のアスベストを同定できないことがあるが,その理由は,アスベストの質量分率が

低すぎるため,又はアスベストがあまりにも不均一に分布していることから存在するアスベストを確実に

検出するには大量の試料を検査しなければならないため,他の成分による干渉が生じることにある。これ

らのケースでは,アスベスト以外の成分の大部分を除去するため,顕微鏡検査の前に様々な化学的・物理

的調製方法を用いることによって,残存する少量の材料の中のアスベストの検出を容易にすることができ

る。

6.2 

灰化による有機材の除去 

クリソタイルは,大量のセルロースと混合されている場合,又はアスファルト,ポリ塩化ビニル(PVC)

などの有機マトリックス中によく分散されている場合,その検出が困難なことが多い。また,くもの巣,

羊毛など,他の有機繊維にもクリソタイルに似た光学特性をもつものがある。試料を 485  ℃で約 10 時間

灰化すると,

クリソタイルの光学特性にほとんど影響を及ぼすことなく有機成分を除去することができる。

アモサイト及びクロシドライトの色及び光学特性は,この灰化処理による酸化によって,幾らかの第一鉄

イオン[Fe(II)]が第二鉄イオン[Fe(III)]に転化する結果として,変化するが,繊維の多くはなお PLM で

同定可能な場合が多い。トレモライト,アクチノライト,アンソフィライト及びリヒテライト/ウィンチ

ャイトの光学特性は,この処理を施されてもほとんど影響を受けない。熱処理は,どの種類のアスベスト

の組成にもこれ以外の影響を及ぼすことはなく,これらは全て,処理後に電子顕微鏡で同定可能である。

6.3 

酸処理による可溶性成分の除去 

カルサイト,せっこうなどのマトリックス成分は,アスベスト繊維の表面を覆うことが多いため,それ

らの光学特性を確実に検査することはできない。また,これらの成分は,試料の質量の大部分を占めるこ

とが多い。2 mol/L の塩酸中で試料を約 15 分かくはん(撹拌)すると,多くのマトリックス成分が除去さ

れ,これによってアスベストを同定及び定量化する可能性が向上する。酸処理は,クリソタイルの屈折率

を僅かに低下させるため,PLM によるクリソタイルの同定の場合,この点を考慮しなければならない。

60  ℃を超える温度の酸の中でクリソタイルを加熱してはならない。この酸処理方法は,他のどの種類のア

スベストの光学特性にも影響しない。


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6.4 

沈殿性及び浮揚性 

材料によっては,沈殿性及び浮揚性によって水懸濁で分離可能な,大きなサイズの砂利又は砂を含むも

のがある。バーミキュライト,パーライトなどの成分の大部分は,浮揚性によって分離可能である。水中

の砂又は小さな固体の砂利は,ほとんどのアスベストよりもはるかに速く沈殿し,試料の中にはアスベス

トを含む小片を大部分の砂又は砂利から分離できるものもある。

6.5 

質量測定による低減手順の組合せ 

6.26.4 に規定した手順を,特定の試料について,適宜,組み合わせてもよい。

一般的には,これらの手順を,記載された順に,続けて用いることを推奨する。

7 PLM による分析 
7.1 

要件 

7.1.1 

試料の初見観察用双眼実体顕微鏡  約 10 倍∼40 倍の範囲で連続的に倍率を変えられる顕微鏡であ

れば,検査が容易になる。

7.1.2 

偏光顕微鏡  繊維同定用として,ケーラー(又はケーラー形)照明が可能な偏光顕微鏡が必要とな

る。次の光学用附属品が必要である。

a)  青色の“昼光”フィルタが付いた光源。 
b)  焦点合わせできるコンデンサで,使用する対物レンズの開口数以上の開口数(NA)をもち,調整可能

な開口絞りを備えたもの。

c)  クロスヘアー(十字線)付き焦点板を備えた倍率 10 倍又は 12 倍の視度補正付接眼レンズ。 
d)  4 倍,10 倍,40 倍,又は同等の倍率で,光学的ゆが(歪)みの少ない対物レンズ。

e)  ポラライザ及び挿脱可能なアナライザについて,振動方向が互いに 90°になるよう調整可能で,また,

視度調整付き接眼レンズのクロスヘアー(十字線)に方向調整できるもの。

f)  ポラライザ及びアナライザの振動方向に対し,45°の角度で附属の検板を挿入できる,ポラライザと

アナライザとの間のスロット。

g)  取外し可能な位相板で,約 530 nm のレターデーション(位相差)(以下,レターデーションという。),

並びに遅相軸及び進相軸の方向が表示されているもの。

h)  倍率 10 倍若しくは 40 倍,又は機能的にこれらと同等であることが立証された分散染色用対物レンズ

MDHS 77[11])

i)

対物レンズの後焦点面の観察が可能な,ベルトランレンズ又は心出し望遠鏡。

j)  各対物レンズについて,顕微鏡の光軸に対し回転の中心を合わせられる,水平回転型の標本回転ステ

ージ。

7.1.3 

集じんフード  アスベストが含まれると疑われるバルク材の処理及び取扱いは,分析者及び試験所

環境がいずれも空中浮遊アスベスト繊維にさらされないよう,適切な集じんフードの中で行われなければ

ならない。

7.1.4 

試料の調製 

7.1.4.1  屈折液(浸液)  市販のアスベスト含有製品は,クリソタイル,アモサイト若しくはクロシドラ

イト,又はこれら 3 種のアスベストの混合物しか含んでいないものが大部分である。これら 3 種のアスベ

ストの同定は,RI が 1.550,1.680 及び 1.700 の液体を用いて実施可能である。これらの液体の RI 値は,

温度が 25  ℃の状態で波長 589.3 nm(ナトリウム D 線)の光に対し特定される。

トレモライト,

アクチノライト,

アンソフィライト及びリヒテライト/ウィンチャイトを同定する場合,


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A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

1.605∼1.660 の範囲で 0.005 間隔の屈折液(浸液)(以下,RI 液という。)が必要である。

校正済みの適切な RI 液は市販されており,

RI の範囲が 0.005 間隔で 1.500∼1.700 の液体のセットがあれ

ば,十分な範囲で識別可能である。

市販の RI 液を調達できない場合,

表 に記載された一般的な化学試薬を用いて,この規格で十分利用で

きる液体のセットを調製できる(参考文献[16],[21])

表 1RI 液調製用試薬 

試薬名

25

D

dT

dn 

グリセロール・トリアセテート

1.427 7

−0.000 48

けい皮酸エチル

1.557 4

−0.000 48

ブロモベンゼン

1.557 0

−0.000 54

ヨードベンゼン

1.617 3

−0.000 54

1-クロロナフタレン

1.630 4

−0.000 44

1-ブロモナフタレン

1.658 0

−0.000 45

1-ヨードナフタレン

1.700 4

−0.000 44

ジ-ヨードメタン

1.739 0

−0.000 70

市場で入手できる RI 媒体,及びこの表に規定した試薬は,該当す

る用法注意に従って使用する。

表 は,RI 液のセットを調製するために必要な試薬の混合比を示す。クリソタイル,アモサイト及びク

ロシドライトを同定するための三つの主要な RI 液を

表 の中で太字で示した(1.550,1.680 及び 1.700)。

トレモライト,アクチノライト又はアンソフィライトは,RI 液 1.605 及び 1.630 を用いた場合だけ同定で

きる。これらも

表 の中で太字で示した。トレモライト,アクチノライト又はアンソフィライトでは,鉄

の濃度が高くなっているため屈折率が高いものに遭遇することがあるが,そのときは,屈折率を評価する

ために,

表 の中の他の RI 液を使ってもよい。

表 2RI 液の調製に必要な混合物及び単一化合物 

液の

25

D

液 1

容積比率

液 1

%

液 2

容積比率

液 2

%

dT

dn 

1.545

けい皮酸エチル

90.44

グリセロール・トリアセテート

9.56

−0.000 48

1.550 

けい皮酸エチル 

94.30 

グリセロール・トリアセテート

5.70 

0.000 48 

1.555

けい皮酸エチル

98.15

グリセロール・トリアセテート

1.85

−0.000 48

1.560

ブロモベンゼン

95.03

ヨードベンゼン

4.97

−0.000 54

1.605 

ヨードベンゼン 

79.60 

ブロモベンゼン 

20.40 

0.000 54 

1.610

ヨードベンゼン

87.89

ブロモベンゼン

12.11

−0.000 54

1.615

ヨードベンゼン

96.19

ブロモベンゼン

3.81

−0.000 54

1.620

1-クロロナフタレン

85.83

ブロモベンゼン

14.17

−0.000 45

1.625

1-クロロナフタレン

92.64

ブロモベンゼン

7.36

−0.000 45

1.630 

1-クロロナフタレン 

100 

0.000 44 

1.635

1-ブロモナフタレン

78.99

ブロモベンゼン

21.01

−0.000 47

1.640

1-ブロモナフタレン

84.05

ブロモベンゼン

15.95

−0.000 46

1.645

1-ブロモナフタレン

89.11

ブロモベンゼン

10.89

−0.000 46

1.650

1-ブロモナフタレン

94.18

ブロモベンゼン

5.82

−0.000 46

1.655

1-ブロモナフタレン

99.24

ブロモベンゼン

0.76

−0.000 45


17

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

表 2RI 液の調製に必要な混合物及び単一化合物(続き) 

液の

25

D

液 1

容積比率

液 1

%

液 2

容積比率

液 2

%

dT

dn 

1.660

1-ブロモナフタレン

90.48

1-ヨードナフタレン

9.52

−0.000 45

1.680 

1-ヨードナフタレン 

54.31 

1-ブロモナフタレン 

45.69 

0.000 44 

1.700 

1-ヨードナフタレン 

100 

0.000 44 

7.1.4.2  アスベスト参照標準試料  アスベスト参照標準試料が必要である。適切な標準試料のセットとし

ては,米国国立標準技術研究所(以下,NIST という。

)から入手できる SRM 1866

1)

(クリソタイル,クロ

シドライト及びアモサイト)及び SRM 1867

1)

(トレモライト,アクチノライト及びアンソフィライト)

を参照。),並びに英国健康安全局(以下,HSE という。)から入手できるアスベスト標準試料[クリソタ

イル(カナダ及びジンバブエ)

,クロシドライト,アモサイト,トレモライト,アクチノライト及びアンソ

フィライト]

2)

がある(

表 を参照。)。SRM 1867 のトレモライト及びアクチノライトは,特にトレモライ

トとアクチノライトとの定性的識別に役立つ。国際鉱物学協会(以下,IMA という。

(参考文献[23],[24])

は,質量分率比マグネシウム/(マグネシウム+鉄)が 0.9 未満のものをアクチノライトと定義し,0.9 を

超えるものをトレモライトと定義した。SRM 1867 アクチノライトの値は 0.84,また SRM 1867 トレモライ

トの値は 0.94 であり,IMA による境界をちょうど下回る組成と上回る組成とを代表する参照試料となって

いる。IMA によるトレモライトとアクチノライトとの境界は単に,鉄とマグネシウムとの質量分率が交互

に変動する,組成の連続体の内部での決まりに過ぎないという点を認識しておくことが重要である。

1)

 NIST から市販されている適切な製品の例。この情報はこの文書の利用者の便宜を図って提供す

るものであり,この規格がこれらの製品を推奨しているのではない。

2)

 HSE から市販されている適切な製品の例。参考文献[22]を参照されたい。この情報はこの文書

の利用者の便宜を図って提供するものであり,この規格がこれらの製品を推奨しているのでは

ない。

表 3SRM 1866 及び SRM 1867 の参照アスベスト試料の光学特性 

特性

クリソタイル

アモサイト

クロシドライト

アンソフィライト

トレモライト

アクチノライト

灰色−茶色

明るい茶色

多色性

なし

非常に弱い

α−青色, 
γ−灰色

なし

なし

なし

複屈折

低い

中度

低い

中度

中度

中度

伸長の

符号

消光

平行

平行

平行

平行

16.6°

15.9°

γ

1.556

1.701

a)

1.636

1.634

1.639

α

1.549

1.679

a)

1.615

1.606

1.613

a)

  クロシドライトについて,分析証明書は次のように記載している。“可視光の範囲内における強い吸収の結果,

分析者にとって有用でないような変則的な分散特性が生じたので,リーベックせん(閃)石については,屈折

率の認証値は報告しない。


18

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

表 4HSE の参照アスベスト試料の光学特性 

特性

クリソタイル

(カナダ)

クリソタイル

(ジンバブエ)

アモサイト クロシドライト アンソフィライト トレモライト  アクチノライト

灰色−茶色

うすい緑

多色性

なし

なし

非常に弱い

α−青色, 
γ−灰色

なし

なし

γ−緑色,
α−灰色

複屈折

低い

低い

中度

低い

中度

中度

中度

伸長の 
符号

消光

平行

平行

平行

平行

平行

平行

平行

γ

1.552

1.552

1.692

1.696

1.624

1.632

1.652

α

1.544

1.544

1.676

1.688

1.608

1.616

1.644

注記 HSE の参照アスベスト試料のデータには,“全ての天然鉱物の例にもれず,参照試料も他の鉱物を微量含んでい

る。特にアンソフィライト・アスベスト試料は,リボン状の形態と一般的に低い屈折率であるタルクの繊維種
を含んでいる。

”と注記されている。

NIST 又は HSE の標準アスベスト試料のいずれをも入手できない試験所においては,国際がん連合(以

下,UICC という。

)のアスベスト標準参照試料(参考文献[25])を使うことができる(

表 を参照。)。こ

れらの試料は,国際的に広く供給されており,現在も入手可能である。

しかし,UICC 試料は動物試験で使用するために調製されたものなので,これらは微細な繊維まで粉砕

されている。また,UICC 試料はトレモライト又はアクチノライトのいずれも含まない。

表 5UICC 参照アスベスト試料の光学特性 

特性

クリソタイル

(カナダ)

クリソタイル

(ジンバブエ)

アモサイト

クロシドライト

アンソフィライト

灰色−茶色

多色性

なし

なし

非常に弱い

α−青色, 
γ−灰色

なし

複屈折

低い

低い

中度

低い

中度

伸長の符号

消光

平行

平行

平行

平行

平行

γ

1.545∼1.560

1.553

1.701

1.702

1.620

α

1.545∼1.557

1.546

1.679

1.694

1.605

注記 1 UICC カナダ・クリソタイル試料にはある幅の屈折率が引用されている。この試料は幾つかの異なった鉱山

からのクリソタイルをブレンドして調製された。概略指定範囲内の屈折率をもち,複屈折(γ−α)が約 0.01

であるような繊維が存在する。

注記 2  アンソフィライトもタルクの繊維種を含む。

7.1.4.3  試料粉砕装置  試料を PLM 検査用に適切なサイズに粉砕するため,めのう製の乳鉢及び乳棒が

必要である。

7.1.4.4  顕微鏡スライド  75 mm×25 mm の寸法のもの。 
7.1.4.5  顕微鏡カバーガラス  22 mm×22 mm の寸法のもの。カバーガラスの厚さは,対物レンズによっ

て指定される厚さに合わせる。市販の対物レンズには,0.17 mm の厚さが必要な場合が多い。

7.1.4.6  温度計  アスベスト繊維の正確な屈折率を記録するためには,観察中に顕微鏡スライド・プレパ

ラートの温度を測定するための温度計が必要である。


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A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

7.1.4.7  アルコールバーナー又はガスバーナー  有機繊維とアスベスト繊維との識別に,実験用バーナー

が役立つ場合がある。

7.1.4.8  汎用実験用品  次の用品及び装置,又はこれらの同等品を用いる。 
a)  試料検査用の,約 15 cm×15 cm のグラシン紙シート 
b)  外科用メス・ホルダー及び使い捨ての外科用メス替刃

c)  ピンセット,針,へらなどの試料採取用具 
d)  蒸留水 
e)  試薬グレードの濃塩酸

f)  るつぼ,シリカ陶器又はうわ(釉)薬を塗った陶器,蓋付きのもの 
g)  ペトリ皿 
h)  使い捨てピペット

i)

直径 25 mm 又は 47 mm のガラス製ろ過器

j)  孔径 0.4 µm,直径 25 mm 又は 47 mm のポリカーボネート・フィルタ 
7.1.4.9  マッフル炉(任意)  試料を灰化し,干渉する有機成分を除去するため,最高 500  ℃までの温度

範囲,温度安定性が±10  ℃のマッフル炉が推奨される。

7.1.4.10  マグネチックスターラー(任意)  酸可溶性の干渉成分を除去するための,ガラス又はプラスチ

ック被覆磁石のかくはん(撹拌)棒付きマグネチックスターラー。

7.2 PLM による定性分析 
7.2.1 

校正 

分析者が PLM の光学部品を十分に理解し,

また調整手順についても精通していることが不可欠である。

いかなる分析においても,事前に PLM の調整を確認しなければならない。顕微鏡の設計は様々で,製造

業者が提供する調整説明書に従うことが望ましい。調整の重要な点を a)e)  まで列記する。

a)  光源及びコンデンサは,視野絞りが焦点面に結像するよう,調整しなければならない(ケーラー照明

又はケーラー形照明)

b)  回転ステージの回転中心は,各対物レンズについて PLM の光軸に合わせなければならない。これは,

回転ステージが回転している間,視野の中心にある粒子が視野の中心に維持されるために必要である。

この状態は多くの場合,一つの対物レンズについて回転中心を合わせた後,他の対物レンズの軸が回

転ステージの回転中心に合うよう,光軸と直角方向の調整を行うことで達成される。

c)  ポラライザ及びアナライザの振動方向は,互いに 90°でなければならない。

d)  ポラライザ及びアナライザの振動方向は,接眼レンズのクロスヘアー(十字線)と正確に一致してい

なければならない。

これは,消光角がゼロであることが知られている,十分に形成された複屈折結晶を利用すれば完遂

できる。代替法として,結晶を正確にマウントした,基準線のある定方位板が市販されている。顕微

鏡に自由に回転できる接眼レンズが付いている場合,例えば,粘着テープを用いて,クロスヘアー(十

字線)のある接眼レンズの位置を固定する。

e)  回転ステージに十字動ステージが取り付けられている場合,回転ステージの 0°の位置が,ポラライ

ザ及びアナライザの振動方向に平行な十字動ステージの横方向の動きに呼応するよう,十字動ステー

ジの方向を調整することが望ましい。

PLM の初期設定時に,ポラライザの振動方向,及び 530 nm 位相板の振動方向の方位を測定しなければ

ならない。ポラライザの振動方向は,ポラライザが光路に入り,アナライザが光路から外された状態でク


20

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

ロシドライトのプレパラート標本を観察することによって測定できる。こうした条件において,濃青色の

多色性が示された時点での,クロシドライト繊維の長方向が,ポラライザの振動方向である。530 nm 位相

板の振動方向の配位は,アモサイト,クリソタイルなど,既知の基準物質の繊維を検査し,位相板挿入時

の干渉色の変化を観察することによって測定できる。クリソタイル又はアモサイトの遅相軸は,繊維の長

方向に平行である。繊維と位相板とのレターデーションが相加になるとき,繊維と位相板との遅相軸は平

行である。干渉色チャートを

附属書 に示す。

アスベスト同定用の RI 液を使用する前に,証明済みの液体を購入した場合でも,基準ガラス試料又は屈

折計を用いて液体の屈折率を確認することが望ましい。蓋が固く締められていれば,これらの液体の屈折

率は,最低 2 年間は安定に保たれる。RI 液によっては,光が当たると劣化するものがあるため,暗色の瓶

に入れ,なるべく暗所で保管することが望ましい。

7.2.2 

試料の調製 

耐火材,断熱材,アスベスト・セメント製品など多くの試料について,双眼実体顕微鏡検査中にピンセ

ットで摘出可能な繊維が観察されると予想される。典型的な疑わしいアスベスト繊維を顕微鏡スライドに

載せ,その疑わしいアスベストの種類に適した RI 液を滴下する。適切な RI 液を用いても疑わしいアスベ

ストの種類を確認できない場合,

他の種類のアスベストに適した RI 液を用いる顕微鏡スライド上の試料か

ら繊維を追加して載せる。

7.2.3 

試料の分析 

7.2.3.1  分析順序 

確実かつ再現可能な結果を示すための分析技法について規定してきた。検出及び同定に関し同等性を立

証可能であれば,代替手法を用いてもよい。アスベスト繊維の同定は,次の分析順序を基本とすることが

望ましい。

a)  試料の種類及び必要な試料処理(該当する場合)を評価するため,試験所試料全体について予備的な

目視検査を行う。可能な場合,この段階で,PLM による直接検査用に代表的な試験部分を採取する。

b)  繊維を剝離又は分離するために必要な試料処理を行う。 
c)  存在が疑われる繊維の種類を区分するため,双眼実体顕微鏡を用いて詳細かつ徹底的な探索を行う。 
d)  代表的な繊維を適切な RI 液に浸し,顕微鏡スライドに載せる。

e)  様々な繊維成分を,PLM を用いて同定する。

この手順でアスベストが検出されない場合,数ミリグラムの無作為な予備試料を用いて追加顕微鏡スラ

イドを調製し,PLM を用いて微細アスベスト繊維を探索する。

7.2.3.2  予備検査 

存在する材料又は製品の種類について記述し,目視可能な繊維の有無を立証するため,試料全体を肉眼

で検査する。マトリックス材の性質によって,試料処理に対する要件が示唆される場合があるため,この

点には注意が必要である。双眼実体顕微鏡を用いて試料を検査する。可能な限り,何種類の繊維が存在す

るか,初期段階で判断する。試料の外観,色,様相,及び観察された繊維の種類を記録する。不均一又は

層状の試料の場合,試料の個々の層又は各部分について記述を要する場合がある。試料の調製及び分析の

実施の有無は,初期目視検査の出来によって左右される。また,試料の外観に関する適切な記述は,アス

ベストの有無,又は試料のどの部分にアスベストが存在するかを立証する上で重要である。

7.2.3.3  試料の処理 

試験所試料の初期試料処理は,どんなものでも,その目的はマトリックス材からの繊維の剝離,及び繊

維に付着している微粒子の除去である

(いずれも視覚的効果を不明瞭にし,

同定を阻害する要因である。


21

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:2016 (ISO 22262-1:2012)

砕きにくい試料は,

(必要に応じて道具を使い)破壊した上で,新たに粉砕された端部を双眼実体顕微鏡で

検査し,突出している繊維を観察する必要がある。試料に硬い大きな破片が含まれる場合,試料の粉砕を

要する場合がある。繊維を検査用に剝離するため,硬い材料の表面及び端部を薄く削り取る必要がある場

合がある。試料の処理に用いる通常手順は,完全に文書化することが望ましい。特定の試料について,こ

の手順から逸脱する場合も,全て記録することが望ましい。

一般に断熱材,アスベスト板などに用いられる結合剤,床タイルなどに用いられる充塡剤として利用さ

れている,炭酸カルシウム(石灰石)

,硫酸カルシウム(せっこう)及びけい酸カルシウムの除去には,希

酢酸又は低温の希塩酸を用いるとよい。炭酸カルシウム・マグネシウム(ドロマイト)の除去には,低温

の濃塩酸が必要となる。小さな分取物に,十分な量の酸を数分間,又は発泡が収まるまで加えることが望

ましい。繊維の剝離を補助するため,かくはん(撹拌)又は超音波処理を用いてもよい。その後,試料を

ろ過し,水で繰り返し洗浄する。酸が残っていると,繊維が劣化し,光学特性に影響を及ぼし,小さな塩

の結晶が生じる場合がある。乾燥時間を短縮するため,エタノール又はその他の揮発性溶液で試料を洗浄

してもよい。

プラスチック,アスファルト,レジン,ゴムなど,有機マトリックス製品については,長時間の溶剤処

理でマトリックスの除去が必要なことがある。特定の種類の試料に対して効果的な溶剤は,個別試験,又

はマトリックスの種類に関する先見によって確立することができる。有機マトリックスは,マッフル炉で

485  ℃にて処理し,除去することもできる。しかし,一部のアスベスト繊維では,加熱によって光学特性

が変わってしまう場合がある。

7.2.3.4  双眼実体顕微鏡検査 

採取した試料,又は試料処理を施した試料は,双眼実体顕微鏡を用いて検査するのがよい。アスベスト

含有材の多くは,双眼実体顕微鏡の倍率の範囲内でアスベスト繊維を検出可能である。その他の種類のア

スベスト含有材については,双眼実体顕微鏡によるアスベスト繊維検出が不可能な場合もある。狙いは,

小さな繊維束,又は個々の繊維を検出し,また外観に基づき,繊維の種類を暫定的に指定することである。

通常,これは試料をグラシン紙に載せ,又は適切な容器に入れ,針又はピンセットを用いて,マトリック

スから異なる繊維成分を分離することで可能となる。その後,この繊維の外観について記録する。この段

階で,微量のアスベストを検出する上で,試料の検査における配慮及び用心が重要である。さらに,代表

的な繊維又は繊維束を選別し,PLM 検査用にマウントする。

層状の試料の外観について記述し,互いに異なる各層を個別の対象物として記録する。一部の管轄区域

では,明確に異なる層について個別に分析及び報告するよう要求している。その他の不均一な試料は,外

観上の異なる層全てについて,詳細な目視検査を要する場合がある。

一般的に,アスベストは繊維の細かさが知られており,それが最も表れるのは,緊密に密着した微小繊

維束が,探針又はピンセットで圧力を加えた際に,長方向に沿って分かれるという点である。分析者は,

独特の表面光沢,柔軟性及び引張強度といった特性をすぐに理解することができる。この段階における,

疑わしいアスベスト繊維に関する最初の暫定的な同定は,PLM,SEM 又は TEM によるその後の検査によ

って,確認又は誤りが証明されることになる。

7.2.3.5 PLM 検査用試料の調製 

双眼実体顕微鏡による評価に基づく暫定的な同定は,最適な RI の固定用浸液の選定に利用される。選定

された繊維は,乾燥し,比較的他の粒子状物質の影響がないものでなければならない。代表的な繊維又は

繊維束を選別し,清浄な顕微鏡スライドに載せて RI 液を滴下し,気泡を閉じ込めないように,清浄な顕微

鏡カバーガラスを慎重に被せる。選定する液の RI は,クリソタイルが疑わしい場合は 1.550,アモサイト


22

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

が疑わしい場合は 1.680,クロシドライトが疑わしい場合は 1.700,トレモライト又はアンソフィライトが

疑わしい場合は 1.605,アクチノライト又はリヒテライト/ウィンチャイトが疑わしい場合は 1.630 が望ま

しい。

双眼実体顕微鏡でバルク試料中に繊維が認められなかった場合,又は PLM でアスベスト繊維が同定さ

れなかった場合,

(必要に応じて)適切なバルク試料の処理を行った後,ピンセット又は探針を用いて,予

備試料をランダムに抽出するのがよい。PLM 検査用に,適切な RI 液を用いて,少なくとも二つの顕微鏡

スライド・プレパラートを用意するのがよい。大きな凝集体は,均一な粒子分布を得るため,ピンセット

若しくは針でか(掻)き裂き,又は二つの顕微鏡スライド間で慎重にせん(剪)断するのがよい。大きな

粒子又は繊維束を選択すると,顕微鏡カバーガラスが傾いてしまう場合があり,これは避けた方がよい。

試料の分布量は,ここの繊維の外観及び特性が,その他の粒子によって不明瞭になってしまわないように

するのがよい。

7.2.3.6 PLM 及び分散染色によるアスベストの同定 

単一のアスベスト繊維を同定する場合,所定の観察条件下で次の特性を観察する必要がある。

a)  形態:あらゆる照明条件における観察

b)  色及び多色性:オープンポーラ(単ニコル)における観察 
c)  複屈折:クロスポーラ(又は直交ニコル)における観察 
d)  消光特性:クロスポーラ(又は直交ニコル)における観察

注記  消光特性は,クロスポーラ(又は直交ニコル)を用い,530 nm 波長板を挿入することによっ

ても観察することができる。これらの条件では,繊維の干渉色が背景色と合致するとき,そ

の繊維は消光位置にある。

e)  伸長の符号:クロスポーラ(又は直交ニコル)及び 530 nm 位相板の挿入による観察 
f)  屈折率:ポラライザだけを挿入した分散染色用対物レンズを用いた評価

上記の順序による観察で,論理的順序で形態特性及び光学特性の評価が容易に行われる。ケーラー照明

を得られるよう顕微鏡を調整し,回転ステージを中央に合わせ,コンデンサの下にポラライザを挿入する

(通常は,東西方向に調整される。

。この条件下で,選択した繊維の形態及び色を観察する。回転ステー

ジを回転させ,繊維が多色性であるかどうか観察する。クロスポーラ(又は直交ニコル)を得られるよう

アナライザを挿入し,回転ステージを回転させ複屈折を観察し,消光角が繊維の長方向と平行であるか,

又は傾いているか観察する。クロスポーラ(又は直交ニコル)の状態を維持したまま,530 nm の位相板を

挿入し,回転ステージを回転させ伸長の符号を判定する。最後に,分散染色条件下で繊維を検査し,平行

及び垂直の振動方向に対する屈折率を評価する。これは,繊維と RI 液との界面における,分散色の観察に

よって可能となる。アナライザ及び 530 nm 位相板を光路から外し,照度を上げ,中心遮蔽板付き分散染

色用対物レンズを後焦点面に挿入する。視野が暗くなるまで,コンデンサの開口絞りを調整する。ベルト

ランレンズ又は心出し望遠鏡のいずれかを用いて,対物レンズの後焦点面を観察し,レンズの中心遮蔽板

によって光線の中心が隠れるようにコンデンサの位置を調整する。

直消光を示す繊維の場合,ポラライザの振動方向に平行,及びポラライザの方向に垂直な繊維によって

分散染色された色を記録する。繊維が斜消光を示す場合,最大消光角を示す繊維を探す必要がある。これ

は該当する繊維についてスライドをスキャンする,又はカバースリップの上部を針で触れ繊維の軸を中心

に繊維を回転させることによって実現可能である。この方向に限り,単斜晶系繊維は γ 及び α の屈折率を

示す。そのような繊維の位置が特定された場合,両方の消光位での繊維によって分散染色された色を記録

する。


23

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

実際には,目的の特性が全て観察されるという前提で,他の手順を用いてもよい。例えば,試料中のア

スベスト以外の繊維が圧倒的に多いために,用意したマウント上で疑わしいアスベスト繊維の位置特定が

困難な場合,クロスポーラ(又は直交ニコル)の状態で顕微鏡による試料の走査を行い,アスベスト繊維

を検出するのが望ましい。また,伸長の符号についても,分散染色によって観察される色の解釈によって

観察できる。

繊維の形態及び光学特性に関する所見を記録する。基準となる標準アスベストの特性に対し,分析用に

選択した(又は適切な RI 液に浸せきした)繊維に関し記録された所見とを比較し,これに基づいて同定を

行う。

市販のクリソタイル,

アモサイト及びクロシドライトの組成及び光学特性は有意に異なっておらず,

したがって,通常は,試料繊維の光学特性と,標準アスベストの光学特性とが密接に一致するはずである。

所見が確定的でない場合,又は双眼実体顕微鏡若しくは PLM において,複数の種類の繊維が認められた

場合,代表的な繊維を更に分析する必要が生じる。トレモライト,アクチノライト及びアンソフィライト

の場合,出処によって鉄含有率が大幅に変動することがあり,鉄含有率が高いほど屈折率も高くなる。こ

の変動性の例は,SRM 1867 及び HSE の一連の参照標準に基づくトレモライト,アクチノライト及びアン

ソフィライトの試料を比較すると分かり,

附属書 に示すとおりである。

7.2.3.7  アスベストの同定 
7.2.3.7.1  
形態 

形態に関する詳細な説明,すなわちアスベストの特徴は次のとおりである。この形態は双眼実体顕微鏡

検査で見られる大きな繊維,及び PLM で繊維の種類を同定するための試験所試料から選択される繊維に

特徴的なものである。

光学顕微鏡下において,

アスベスト様形態をもつ晶癖は,

一般的に次のような特徴によって認識される。

a) 5

µm より長い繊維のアスペクト比が 20:1 又はそれ以上であるような繊維の存在

b)  長さ方向に極めて細い微小繊維に分かれやすく,概して幅が 0.5 µm 未満 
c)  加えて,考察されている繊維タイプについて次の特徴のいずれかが観察される場合,その繊維がアス

ベスト様形態であることの付加的確認となる。

1)  束の状態で産する平行繊維 
2)  繊維束の端部でほつれが見られる

3)  細い針状の繊維 
4)  個々の繊維がもつれた固まり 
5)  屈曲が見られる繊維

実際には,クリソタイル,クロシドライト又はアモサイトが市販製品中で同定されれば,その繊維がア

スベスト様形態であること,またこれらの繊維が上記の説明に適合するという推定は十分に可能である。

この推定が可能な理由は,これら 3 種のアスベストは,意図的に製品へ組み入れられるよう,特定の特性

をもつ繊維を得るために採掘及び処理されたという点である。ごく一部の市販製品にアンソフィライト・

アスベストが使用された例もあるが,商業的に採掘及び使用されたものは極めて少量である。我が国であ

る種の表面材又は耐火材に使われていたトレモライト・アスベストが発見されている。しかし,角せん石

系のトレモライト,

アクチノライト,

及びリヒテライト/ウィンチャイトは概して商業的には使用されず,

ある製品にこれらのアスベストが存在しても,主成分のうち一つ又は複数の自然発生的な混入の結果であ

る可能性の方が高い。したがって,その角せん石系アスベストがアスベスト様形態又は非アスベスト様形

態のいずれであるかに関する推定はできない。アンソフィライトは他の鉱物製品からの汚染物質のことが

あり,そうした状況において,それがアスベスト様形態又は非アスベスト様形態のいずれであるかに関す


24

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

る推定はできない。一部の試料において,これらの角せん石系アスベストは異なる形態の混合物として存

在する場合があり,またそのような試料の規制上の位置付けに関する定量分析については,この規格の適

用範囲を超えて,繊維のサイズ分布の詳細な調査を要する場合がある。

一般に,この規格において,トレモライト,アクチノライト,アンソフィライト又はリヒテライト/ウ

ィンチャイトの,アスベスト様形態又は非アスベスト様形態いずれかの類似物の存在は,通常は特定可能

である。もし,5 µm より長い角せん石繊維の大部分が 5:1 以下のアスペクト比をもつ場合,またその繊

維が c)  中の特性のいずれをも示さない場合,最大アスペクト比の減少につれて増大する確かさで,その

角せん石繊維はおそらく非アスベスト様形態であると結論することができる。もし,20:1 を超える範囲

のアスペクト比をもつ 5 µm より長い角せん石繊維が観察される場合,アスペクト比の増大とともに増大

する確かさで,角せん石系アスベストがおそらく存在すると結論することができる。

注記  この記載は,分析者が非アスベスト様形態とアスベスト様形態の角せん石の群を識別するため

の分析のガイダンスとして書かれている。これは,2.9 で示したアスベストの定義又はいかなる

国の法規を無視してよいということを意図したものではない。

ある試料が,なおアスベスト様形態及び非アスベスト様形態の類似物の識別に関して曖昧さを示すこと

を認めることは必要であり,またそのような曖昧さが観察されたときは,結果の一部として報告するもの

とする。

7.2.3.7.2  色及び多色性 

色及び多色性は,オープンポーラ(単ニコル)を用いて観察される。多色性はクロシドライトを同定す

る際の特徴的な性質である。クロシドライトは吸収性が強く,繊維がポラライザの振動方向と平行な場合

には濃い青を示し,繊維がポラライザの振動方向に対し垂直になると,うすい青又は灰色に変化する。こ

れは,

図 D.13 及び図 D.14 に示している。アモサイトの多色性は加熱後に生じ,又はこの鉱物の鉄/マグネ

シウム比によっては,非加熱の繊維でも生じることがある。クリソタイルでは色の変化がほとんど見られ

ず,オープンポーラ(単ニコル)における多色性もない。鉄濃度によるが,アクチノライトは,繊維がポ

ラライザの振動方向と平行な場合には緑色を示し,繊維がポラライザの振動方向に対し垂直になると灰色

又は黄色に変化する。HSE アクチノライト参照試料の多色性は,

図 D.43 及び図 D.44 に示している。

7.2.3.7.3  複屈折 

複数の屈折率をもつ粒子が,クロスポーラ(又は直交ニコル)下でポラライザの振動面に対して,その

粒子の振動面が 45°になった状態で観察されるとき,暗い背面に対する干渉色が観察される。アスベスト

の場合,この干渉色は繊維の太さ,複屈折及び繊維の軸付近における微小繊維の方向性の乱雑度によって

決まる。

クロスポーラ(又は直交ニコル)において,ポラライザの振動方向に対し,45°の位置に合わせたアス

ベスト繊維は明確に見えるはずである。クリソタイルは低い複屈折をもち,細い繊維では灰色を示し,太

い繊維では白又はさらに上位の一次(さらには二次)色を示す。クロシドライトは低い複屈折と,可視光

範囲内の強い吸収によって引き起こされる異常干渉色を示す。アモサイトの複屈折は中程度で,細い繊維

での干渉色は白で,太い繊維ではより上位の一次色又は二次色を示す。トレモライト,アクチノライト及

びアンソフィライト及びリヒテライト/ウィンチャイトは等しく中程度の複屈折を示す。例えば,くさび

形断面など,太さが様々な繊維の場合,伸長方向に沿って平行な色帯を示し,断面が細くなるにつれて低

次の干渉色を示す。見本を

附属書 に示す。

等方性の材料では複屈折はなく,したがって,干渉色も生じない。クロスポーラ(又は直交ニコル)に

おいては,人工ガラス繊維など等方性の材料はほぼ不可視であるが,材料の屈折率と浸液の屈折率との差


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:2016 (ISO 22262-1:2012)

次第では,530 nm の位相板を置いた場合,又はかすかにクロスポーラ(又は直交ニコル)を外れた場合に

容易に見えることが多い。干渉色は天然有機繊維とアスベストとを識別する際に利用でき,天然有機繊維

は繊維の伸長方向に沿って不均一な干渉を示し,かつ,消光も不完全な場合がある。

7.2.3.7.4  消光角 

顕微鏡の回転ステージを 360°回転させるにつれて,クロスポーラ(又は直交ニコル)に見られるアス

ベスト繊維が,90°の位置 4 か所それぞれについて視野から見えなくなり,又は“消光”する一方で,消

光位間の 45°の位置において,干渉色が見えるはずである。アスベストを含め,繊維の多くは,ポラライ

ザ又はアナライザの振動方向と平行になったときに,完全な消光が見られるのが一般的である。クリソタ

イル,アモサイト,クロシドライト及びアンソフィライトではそれぞれ,繊維がポラライザ又はアナライ

ザの振動方向と平行になったときに,直消光が見られる。トレモライト,アクチノライト及びリヒテライ

ト/ウィンチャイトは直消光又は斜消光を示す場合があるが,

繊維の方向及び繊維の結晶性に左右される。

これらの角せん石のうち,明らかにアスベスト様形態を示す繊維は全ての軸方向で直消光を示す場合があ

る。アスペクト比の高い他の繊維は斜消光を示す場合があり,スライドのカバーガラスに針で触れ繊維を

回転させると,最大消光角が判断可能となる。トレモライト及び鉄含有率の低い一部のアクチノライトの

繊維で直消光しか示さないものは,アンソフィライトと容易に識別できない。しかし,試料中のトレモラ

イト又はアクチノライトの繊維が全て,直消光を示すとは考えにくく,あるものが斜消光を示すことは,

その他の光学特性が類似していれば,直消光を示す繊維も同じトレモライト又はアクチノライトであると

仮定できる。こうした場合,アンソフィライトと,トレモライト又はアクチノライトとを確実に識別する

には,SEM 又は TEM によって繊維の組成を検査する以外にない。

7.2.3.7.5  伸長の符号 

伸長の符号は,繊維の長さと光学特性との関係を表すものである。アスベスト繊維の場合,二つの有効

な振動方向は長軸と平行であり,また長軸に垂直である。高い屈折率の振動方向が長軸と平行な場合,繊

維は伸長の符号は正であると表される。低い屈折率の振動方向が長軸と平行な場合,繊維の伸長の符号は

負であると表される。伸長の符号は,クロスポーラ(又は直交ニコル)に 530 nm の位相板をポラライザ

及びアナライザの振動方向に対し 45°で挿入した状態で,クロスポーラ(又は直交ニコル)において灰色

又は白の一次干渉色を示していた繊維の色を観察することで判定できる。北東−南西方向における遅相軸

(通常は表示されている。

)の位相板の場合,観察される色は次のとおりである。

伸長の符号  正の繊維  青緑(北東−南西方向の繊維)

だいだい(橙)黄色(北西−南東方向の繊維)

伸長の符号  負の繊維  だいだい(橙)黄色(北東−南西方向の繊維)

青緑(北西−南東方向の繊維)

クロシドライトは,唯一,負の伸長の符号をもつアスベストである。しかし,約 300  ℃以上で加熱する

と,クロシドライトの伸長の符号が正に転じる場合がある。そのような場合でも,繊維の熱履歴は色の変

化で示されるのが普通である。

7.2.3.7.6  屈折率 

アスベスト繊維の屈折率は,分離した清浄な繊維を,屈折率が分かっている液(RI 液)に浸して据え付

け,ポラライザの振動方向に対し平行又は垂直のいずれかの方向に配置することによって評価される。繊

維の屈折率が浸せき液の屈折率に比べ高い,低い,又は等しいかを判定するための観察を 1 回又は複数回

行う。

注記  屈折率の測定に従来の鉱物学的方法(参考文献[16]∼[18])を用いることができるが,これらの


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A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

方法を用いるときは,この規格で規定されているより広い範囲の RI 液に接触させる必要があり,

またさらに,アスベスト繊維に対する γ 及び α インデックスを測定するために,多数のスライ

ドマウントを用意する必要もある。

昼光色補正フィルタ及びポラライザ以外の全てのフィルタを光路から取り外す。分散染色による色を観

察できるよう,屈折率が繊維のものに近い液に浸した繊維を観察するため,セントラルストップ式分散染

色用対物レンズを利用する。未知の試料を扱う場合,次に示す a)e)  までの所見を用いて,繊維の屈折率

と浸液の屈折率が十分に近接しているときの分散染色が見られるような,

適切な RI 液の選択に役立てるこ

とができる。

粒子と液との分散の差は,ある波長で屈折率が一致しても,その他の波長では全く異なったものになる

ことを意味する。これによって,白色光を用いて繊維を,それに RI が一致した液体中で,観察した場合に,

粒子又は液の界面に発色効果が生じる。実際には,黒い背景に対し,小さく明るい粒子とその色を観察す

るのが最も簡単である。この条件は,コンデンサの絞りによって作られる光の軸状ビームにおいて,対物

レンズの後焦点面に中心遮蔽板を置くことで達成される。粒子又は液の界面で観察される色は,液と繊維

それぞれの屈折率とが一致する正確な波長によって決まる。屈折率が一致する波長が 589.3 nm(ナトリウ

ム D 線)の場合,粒子又は液界面の色は,深い青又は赤紫である。セントラルストップ式分散染色の場合,

観察される色が示すのは,粒子の屈折率と浸液の屈折率との近接度,及び方向の相違である。

a)  繊維の屈折率 >>

液の屈折率:

b)  繊維の屈折率 >

液の屈折率:

赤紫,だいだい色又は黄色

c)  繊維の屈折率 =

液の屈折率:

深い青又は赤紫

d)  繊維の屈折率 <

液の屈折率:

青又は青緑

e)  繊維の屈折率 <<

液の屈折率:

繊維の方向がポラライザに対し平行又は垂直の場合,アスベスト繊維の屈折率の差によって,様々な色

が観察される。繊維の屈折率の特性評価には,支配的な色が用いられる。クリソタイル,アモサイト及び

クロシドライトの同定は,3 種類の高分散液を使用して,分散染色用対物レンズによって行うことができ,

液の屈折率は,クリソタイルの場合 1.550,アモサイトの場合 1.680,クロシドライトの場合 1.700 である。

実際には,アスベストの出処に応じた繊維組成の多様性によって,特にクリソタイルでは一定範囲での屈

折率が見られる場合がある。市販のアモサイト及びクロシドライトの屈折率は有意に異なってはいない。

この規格の目的上,その三つの RI 液は,あらゆる既知の主な市販原料に認められるクリソタイル,アモサ

イト及びクロシドライトにおいて観察に用いられる屈折率の範囲を,適切にカバーするものである。ボリ

ビア産のクロシドライトは例外で,その屈折率は別な産地のクロシドライトより低い。しかし,ボリビア

産のクロシドライトはほとんど市場に出回っていない。

ボリビア産のクロシドライトに遭遇したとしても,

繊維形態,負の伸長の符号,及び青又は灰色の多色性に基づき,容易に認識できる。

トレモライト,アクチノライト及びアンソフィライトの同定は大抵,屈折率が 1.605 から 1.630 の液を用

い,分散染色用対物レンズを利用して実施可能である。トレモライト又はアクチノライトは,一部の繊維

が斜消光を示せば存在が疑われるはずであり,消光位に平行して観察される γ 屈折率を用いて,その繊維

がトレモライト又はアクチノライトのいずれであるか定義するとよい。トレモライトとアクチノライトと

の区別が重要視される場合,γ 屈折率が 1.637 以下と推定されれば,その繊維をトレモライトとして区分し,

γ 屈折率が 1.637 を上回ると推定されれば,アクチノライトとして区分する。

タルク原料の中には,アンソフィライトと間違えられる可能性のある繊維を含むものがある。この繊維

には,アンソフィライト及びタルク双方の結晶構造の連晶がある。この繊維が示す屈折率は,アンソフィ


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ライトの屈折率より低く,タルクの屈折率とアンソフィライトの屈折率の中間にある。この種の繊維が存

在する場合,屈折率 1.615 の液中で試料を検査する。1.615 より高い γ 屈折率が観察されなければ,その繊

維をタルクとして区分する。1.615 に等しい又はこれを超える γ 屈折率をもつ繊維は,いずれもアンソフィ

ライトとして区分する。

リヒテライト/ウィンチャイト・アスベストの同定は,PLM だけでは難しい。リヒテライト/ウィンチ

ャイト・アスベストは,試料中にバーミキュライト又はタルクも含まれれば,存在が疑われる。PLM だけ

でリヒテライト/ウィンチャイト・アスベストを同定しようとすると,通常はアクチノライトとして区分

してしまう結果になり,そうした誤認は規制上の解釈に対し重要となる可能性がある。リヒテライト/ウ

ィンチャイト・アスベストの存在が疑われ,繊維がアクチノライトに似た特性を示す場合,SEM 又は TEM

のいずれかによって繊維を同定することが推奨される。

附属書 では,適切な RI 液中のクリソタイル,アモサイト,クロシドライト,トレモライト,アクチ

ノライト,アンソフィライト及びリヒテライト/ウィンチャイトの α 屈折率及び γ 屈折率に対する分散染

色チャートが示されている。クリソタイルは,出処に応じて示す屈折率の範囲が小さい。各種のアスベス

トについて,市販原料に由来する鉱物で観察される範囲を表す,α 及び γ の分散染色による色の許容範囲

が示されている。クリソタイルの場合,その低い複屈折を考慮して,ポラライザの振動方向に対する平行

及び垂直方向の λ

0

値の差が 100 nm を超えないことを立証することも重要である。クリソタイルの場合,

出処によって屈折率の幅があるものの,多くの研究によって,二つの屈折率がほぼ平行する形で変化する

ことが示されている。

図 D.1 及び図 D.2 は,1.550 の RI 液にマウントされ,530 nm の位相板を挿入したクロスポーラ(又は直

交ニコル)で観察された状態のクリソタイルの例を示している。微小繊維で波状の外観,及び北東方向の

青緑が,繊維を北西方向に回転させるとだいだい色に変化し,繊維の伸長の符号が正であることを示して

いる点に着目されたい。また

図 D.3 及び図 D.4 は,分散染色条件下でのクリソタイルが,ポラライザの振

動方向に平行な繊維は赤紫を呈し,

ポラライザの振動方向に垂直な繊維は青を呈している例を示している。

ただし,二つの方向において示されている色は,クリソタイルの出処,及び加熱又は酸処理によって変動

するという点を考慮しなければならない。しかし,いかなる変動でも α 及び γ 双方の屈折率に適用され,

またクリソタイルの出処にかかわらず両者の格差(複屈折)は,ほぼ一定に保たれる。

図 D.5 及び図 D.6 は,1.680 の屈折液にマウントされ,530 nm の位相板を挿入したクロスポーラ(又は

直交ニコル)で観察された状態のアモサイトの例を示す。細い繊維は北東方向で青緑を呈し,繊維を北西

方向に回転させるとだいだい色に変化し,繊維の伸長の符号が正であることを示している。アモサイトは

複屈折が大きいため,一部の太い繊維では,

附属書 の干渉色チャートと比較可能な,一次及び二次の干

渉色を示す。

図 D.7 及び図 D.8 は,分散染色条件下で観察されるアモサイトが,ポラライザの振動方向に

平行な繊維は金色を呈し,ポラライザの振動方向に垂直な繊維は青を呈する例を示している。加熱された

アモサイトを除き,出処が異なるアモサイトにおけるこの色の変化はごく僅かである。加熱されたアモサ

イトの挙動も,二つの繊維方向について

図 D.9 及び図 D.10 に例示している。加熱されたアモサイトはかな

り高い屈折率と,ポラライザの振動方向に対して平行及び垂直な繊維それぞれについて,濃い茶色及びう

すい茶色の多色性を示す。

図 D.11 及び図 D.12 は,1.700 の RI 液にマウントしたクロシドライトについて,530 nm の位相板を挿入

したクロスポーラ(又は直交ニコル)で観察された状態の例を示す。繊維は北東方向で黄色−だいだい色

を呈し,繊維を北西方向に回転させると青に変化し,繊維の伸長の符号が負であることを示している。ク

ロシドライトの複屈折は極めて低いため,ポラライザの振動方向に対する,平行及び垂直それぞれの繊維


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の,分散染色による色は大差ない。しかし,明るい方の青は平行方向のものであると認識でき,低い方の

屈折率が繊維の長さ方向と平行であることを示している(

図 D.13 及び図 D.14)。クロシドライトにおける

青−灰色の多色性も,

図 D.15 及び図 D.16 で示している。加熱したクロシドライトの挙動も,二つの繊維

方向について

図 D.17 及び図 D.18 で例示している。加熱したクロシドライトは,ポラライザの振動方向に

対する,平行及び垂直な繊維それぞれについて,濃い茶色及びうすい茶色の多色性を呈する。例示してい

るような加熱したクロシドライトの場合,伸長の符号は正となり,この条件においては,エネルギー分散

X 線分析が可能な電子顕微鏡によるクロシドライトとアモサイトとの識別が必要となる。

図 D.19 及び図 D.20 は,1.605 の RI 液にマウントした SRM 1867 のトレモライトについて,530 nm の位

相板を挿入したクロスポーラ(又は直交ニコル)で観察された状態の例を示す。薄い繊維は北東方向で青

緑を呈し,繊維を北西方向に回転させるとだいだい色に変化し,繊維の伸長の符号が正であることを示し

ている。トレモライトは複屈折が中程度であるため,一部の太い繊維が,

附属書 の干渉色チャートと比

較可能な一次及び二次の干渉色を示す可能性がある。また,

図 D.21 及び図 D.22 は,分散染色条件下で観

察される SRM 1867 のトレモライトが,ポラライザの振動方向に最も近い消光位に平行な繊維は黄色を呈

し,別な消光位置にある繊維は濃い青を呈している例を示している。

図 D.22 における繊維の濃い青及び消

光角の大きさは,この繊維がこの方向で α 屈折率を示していることを示唆する。

図 D.23∼図 D.26 は 1.625

の RI 液にマウントした SRM 1867 のトレモライトを示しているが,この屈折率は繊維の γ 屈折率及び α 屈

折率の中間である。

図 D.35∼図 D.38 は,1.605 の RI 液にマウントした HSE の参照トレモライトの例を示

す。この種のトレモライトは直消光を示す。

図 D.27 及び図 D.28 は,1.630 の RI 液にマウントし,530 nm の位相板を挿入したクロスポーラ(又は直

交ニコル)で観察された状態の,SRM 1867 のアクチノライトの例を示す。細い繊維は北東方向で青緑を

呈し,繊維を北西方向に回転させるとだいだい色に変化し,繊維の伸長の符号が正であることを示す。ア

クチノライトは複屈折が中程度であるため,一部の太い繊維が,

附属書 の干渉色チャートと比較可能な

一次及び二次の干渉色を示す可能性がある。また,

図 D.29 及び図 D.30 は,分散染色条件下で観察される

SRM 1867 のアクチノライトが,ポラライザの振動方向に最も近い消光位に平行な繊維は赤紫を呈し,別

な消光位にある繊維は,明るい青を呈している例を示す。

図 D.39∼図 D.44 は,1.640 の RI 液にマウント

した HSE の参照アクチノライトを示す。HSE のアクチノライトは SRM 1867 のアクチノライトより顕著に

アスベスト様形態であり,

図 D.43 及び図 D.44 が例示するように直消光及び多色性を示す。

図 D.31 及び図 D.32 は,1.605 の RI 液にマウントした SRM 1867 のアンソフィライトについて,530 nm

の位相板を挿入したクロスポーラ(又は直交ニコル)で観察された状態の例を示す。細い繊維は北東方向

で青緑を呈し,繊維を北西方向に回転させるとだいだい色に変化し,繊維の伸長の符号が正であることを

示す。アンソフィライトは複屈折が中程度であるため,一部の太い繊維が,

附属書 の干渉色チャートと

比較可能な一次及び二次の干渉色を示す可能性がある。また,

図 D.33 及び図 D.34 は,分散染色条件下で

観察されるアンソフィライトが,ポラライザの振動方向に平行な繊維は青−紫を呈し,ポラライザの振動

方向に垂直な繊維は明るい青を呈している例を示す。

図 D.33 は,紫の分散染色を呈する一部の繊維を示し

ている。これはその方向の屈折率が 1.630 より高く,γ 屈折率を示していることを示唆するものである。他

の繊維は青を呈し,これは特定の軸方向での屈折率が 1.630 より低いことを示唆する。これは繊維束にタ

ルクとの連晶が含まれるからだろう。その理由は,ポラライザの方向に平行な全ての繊維は γ 屈折率だけ

を示すからである。

図 D.45∼図 D.48 は,1.605 の RI 液にマウントした HSE の参照アンソフィライトの例

を示す。

図 D.49 及び図 D.50 は,1.630 の RI 液にマウントしたリヒテライト/ウィンチャイトについて,530 nm


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の位相板を挿入したクロスポーラ(又は直交ニコル)で観察された状態の例を示す。細い繊維は北東方向

で青緑を呈し,繊維を北西方向に回転させるとだいだい色に変化し,繊維の伸長の符号が正であることを

示している。複屈折が中程度であるため,一部の太い繊維が,

附属書 の干渉色チャートと比較可能な一

次及び二次の干渉色を示す。また,

図 D.51 及び図 D.52 は,分散染色条件下で観察されるリヒテライト/

ウィンチャイトが,ポラライザの振動方向に最も近い消光位に平行な繊維は紫を呈し,別な消光位にある

繊維は青を呈している例を示す。この試料は明らかにアスベスト様形態であるにもかかわらず,繊維は斜

消光を示している。

7.2.4 

干渉 

7.2.4.1  加熱されたアスベスト 

アスベストを加熱すると変化が生じる。したがって,試料調製のとき,アスベスト含有材を加熱する場

合は注意が必要である。300  ℃∼500  ℃の温度でクロシドライトを加熱する場合,たとえ短時間であって

も変色の原因となり,屈折率及び複屈折が共に増大することがある。クロシドライトの場合,加熱による

変化としては,伸長の符号が逆転し,色が灰色から黄色,更にだいだい色から茶色への変化,及び灰色の

発色段階で多色性が抑制されるが,

さらに加熱すれば再び現れるといったものがある。

アモサイトの場合,

伸長の符号は正のままであるが,色が黄色から濃い茶色へと変わり,多色性も見られる。このように,加

熱分解したクロシドライト及びアモサイトは,約 500  ℃の熱で加熱した後では,光学顕微鏡では互いに識

別不能となる。クリソタイルを約 600  ℃以上の熱で長時間加熱すると,屈折率が増大し,複屈折は減少し,

また場合によっては伸長の符号が負に転じ,繊維はうす茶色になる。熱によるアスベストの変性は,加熱

時間及び温度の双方によって左右される。長時間の高温加熱によってアスベストは完全分解されるが,入

念に試料採取すると,周辺部分又は装着時に分離された残骸中に,影響を受けなかった繊維が検出される

ことも多い。しかし,極限状態のものを同定に役立てるには,分析用電子顕微鏡検査が必要となると思わ

れる。オープンポーラ(単ニコル)における加熱アモサイト及び加熱クロシドライトの例は,

附属書 

示している。

7.2.4.2  溶脱クリソタイル 

酸性液にクリソタイルを浸すと,結晶構造からマグネシウムが溶脱する結果,屈折率が低下する可能性

がある。また,漸進的な溶解は,結果として複屈折が低下し最終的に繊維が等方性になる。この規格の手

順の一部で使用される鉱酸の作用に加え,溶脱は浸食性の強い水(低い質量分率の溶解カルシウム及びマ

グネシウムを含み,pH 値の低い水)にさら(曝)されたクリソタイルでも生じる場合がある。溶脱クリソ

タイルは,長期間雨にさら(曝)された後の屋根材などのクリソタイル・セメント製品の表面に見られる

ことがある。

7.2.4.3  アスベストに似た形態特性及び/又は光学特性をもつ繊維 

次のパラグラフで論じる繊維のほとんどは,分析用に供与される試料中でまれに見られるものである。

しかし,分析者は,PLM を用いてその存在及び特性の区別を認識する必要がある。クリソタイルに類似す

る繊維は 5 種類ある。一部の鉱物繊維には,外見上,角せん石に類似したものもある。

ポリエチレンは,それがアスベストの代用品として利用されるため,干渉する繊維の中で最も重要なも

のである。細かく刻んだポリエチレンはクリソタイルに似ている。1.550 の RI 液中では,分散染色による

色はクリソタイルの色と似ているが,熟練した分析者は,形態の違い又は繊維に対し垂直方向の屈折率が

低いために生じる,青の彩度減少を見てとるであろう。複屈折も,クリソタイルのものより大きい。ポリ

エチレンが疑われる場合,ホットプレート又は炎の中で繊維を溶解させればクリソタイルと容易に区別で

きる。


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皮革繊維は複屈折が低く,分散染色による色はクリソタイルに類似している。100 倍以下の倍率では,

形態もクリソタイルと似ているように見えるが,皮革繊維は,通常はっきり目に見える均一な微小繊維を

呈している。個々のクリソタイル微小繊維は,小さすぎて PLM では見えないが,均一な微小繊維束であ

れば見える。ほとんどの場合,クリソタイルと皮革との違いは,双眼実体顕微鏡検査で検出可能である。

皮革の存在が疑わしい場合,除去するため試料を 400  ℃で灰化し,残った灰を再検査してアスベストの同

定を行うとよい。試料の温度が 500  ℃を超えてしまわないよう注意する。

細断されたアラミド繊維は,クリソタイルに類似した形態である場合があるが,この繊維は高次の白い

干渉色を示す,極めて大きい複屈折によって認識できる。1.550 の RI 液にマウント(浸せき)したとき,

その屈折率はクリソタイルのそれと明らかに一致しない。

くもの巣,セルロース,羽毛など天然有機繊維の屈折率は,クリソタイルに近く,クロスポーラ(又は

直交ニコル)において同様の干渉色が見られる。小さな非繊維性材の試料では,これらの繊維の形態はク

リソタイルのものと容易に区別できる。しかし,大量の粒状物質を含む試料では,粒子に接していること

による不明瞭化によって,ごく一部分の繊維しか観察できず,結果として同定を誤ることがある。これら

の繊維は,試料の灰化,又は個々の繊維を炎にばく(曝)露することで除去できる。

タルク繊維は細いリボン状で,特徴的なひねり形態によって認識できる。繊維の長方向に平行な屈折率

について,タルク繊維の範囲は 1.589∼1.600 で,結果として,1.550 の屈折液に浸せきした場合,分散染

色による色はうすい黄色である。タルクのもう二つの屈折率は 1.539∼1.550,及び 1.589∼1.600 で,分散

染色用対物レンズを用いると,

1.550 の屈折液中において繊維が転がるのに伴って異なる向きで繊維に垂直

な青及びうすい黄色が観察される。この繊維は“巻かれた”形状であるため,方向性は様々である。リボ

ン状の形態を示さない真っすぐな繊維の γ 屈折率が 1.615 より低いことを実証することが重要であるが,

その目的は当該繊維がアンソフィライトである可能性を排除することである。

繊維状ブルーサイトは通常,真っすぐな白からうす茶色の繊維から成るが,アスベストほどの引張り強

度はない。これはもろ(脆)く,酸に溶けやすい。ブルーサイトの伸長の符号は負で,加熱すると逆転す

る。ブルーサイト繊維は,等方性に見えることがある。クリソタイルとは,屈折率で区別される。セント

ラルストップ式分散染色において,ブルーサイトは 1.550 の RI 液中で黄色又はうすい黄色を呈する。

外見上は,繊維状のウォラストナイトはトレモライトと間違われるおそれがある。繊維状ウォラストナ

イトは,針状の形態をもち,極めてもろ(脆)く,外観上は白で,ゆっくり酸に溶ける。100 g/L の塩酸で

短時間(例えば,15 分間)処理すると,繊維にはエッチングされた部分ができる。ウォラストナイトは必

ずゼロ以外の消光角を示す。

繊維にほぼ平行な屈折率は 1.628∼1.650 の範囲にある。

もう二つの屈折率は,

1.626∼1.640,及び 1.631∼1.653 の範囲で,これは繊維の幅方向に,繊維が転がるのに伴って異なる向き

で観察される。目立った特徴は,ポラライザの振動方向とほとんど平行な繊維の長さ方向の屈折率が,繊

維が転がるのに伴って異なる向きの幅方向で観察される二つの屈折率の中間にあるということである。ク

ロスポーラ(又は直交ニコル)及び挿入された 530 nm 位相板による多数の繊維の検査ではほとんどが正

の伸長の符号を示し,別な方位の繊維は負の伸長の符号を示すように見える。針を用いてカバースリップ

を静かに押さえることによって,繊維を回転させ,それが異なった軸方位に回るにつれて伸長の符号が正

から負に転じるのを見ることができる。

けい(珪)藻土は,繊維状の外観をもった針状の破片のように見えることがある。しかし,この繊維の

屈折率は約 1.42 と低く,分散染色によってアスベスト繊維と容易に区別することができる。また通常,こ

の物質を約 500 倍の倍率で検査すると特徴的な形態を認めることができる。


31

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

7.2.4.4  その他の試料成分の同定 

試験所が実施する通常の分析では,検査のため選択的に繊維を取り出し,非アスベスト材は大部分が無

視される。多くのアスベスト製品の組成は,製造中において比較的均一であり,こうした非アスベスト材

に関する知識を広げることによって,

多数の一般的な製品又は配合に対する認識に役立てることができる。

こうした理由から,分析者は

附属書 に示す情報に精通することが望ましい。

8 SEM による分析 
8.1 

全般 

SEM を用いてアスベスト繊維を含めた鉱物繊維を同定することに関連した詳細な手順は,ISO 14966

[7]

に記載されている。

8.2 

要件 

8.2.1 

走査電子顕微鏡  少なくとも 20 kV の加速電圧がかかるもの。

8.2.2 

エネルギー分散 線システム  SEM は,Mn Kα のピークにおいて 170 eV(FWHM)より良好な分

解能を達成可能な,エネルギー分散 X 線分析機能を備えたものでなければならない。SEM 及び固体(半

導体)X 線検出器の,個々の組合せによる性能は,幾つかの幾何学的因子によって左右される。X 線検出

器は,クロシドライトとアモサイトとの判別を可能にするために,クロシドライト中のナトリウムを検出

可能なものでなければならない。

8.2.3 

真空コーティング装置  SEM 用標本にカーボンを真空蒸着させるため,0.013 Pa より良好な真空状

態を発生可能な,真空コーティング装置を使用しなければならない。コーティング処理中に SEM 標本の

連続的な回転及び傾斜を可能にする試料のホルダが必要である。

8.3 

校正 

この手法の目的上,校正は,クリソタイル,アモサイト,クロシドライト,トレモライト,アクチノラ

イト,アンソフィライト及びリヒテライト/ウィンチャイトの参照試料に由来する EDXA スペクトルの取

得から成る。市販のクリソタイル,アモサイト,クロシドライト及びアンソフィライトの化学的組成に大

幅な違いはなく,未知の EDXA スペクトルとこれら 3 種の参照アスベスト試料に由来するものとを比較す

れば,この規格に対して十分な同定方法となる。ほとんどの目的について,トレモライトとアクチノライ

トとを識別する必要はなく,それはこれらの組成上の境界が慣例の問題であるからである。トレモライト

とアクチノライトとを識別する必要がある場合,SRM 1867 のトレモライト及びアクチノライトの試料が

特に有用であるが,それはこれらの試料の組成が,IMA によって定義される境界をちょうど下回るものと

上回るもののためである。用途によっては,マグネシウムが部分的にクリソタイルから溶脱する結果,化

学的組成がタルクのものに近くなる場合がある。クリソタイルと,タルク又はアンソフィライトとの識別

を容易にするには,既知のタルク・試料からも EDXA スペクトルを取得することが推奨される。タルクに

含まれるマグネシウム濃度の上限を定めるには,このスペクトルを使用する。SRM 1866 及び SRM 1867

の試料,HSE の参照アスベスト試料,ボリビア産のクロシドライト及びリヒテライト/ウィンチャイトに

ついて取得された EDXA スペクトルの例が,

附属書 に示されている。確実な同定を行うには,附属書 E

に提示のものと類似するアスベスト標準に由来する参照 EDXA スペクトルを,SEM 及び EDXA 検出器を

個別に組み合わせたものを用いて記録することが望ましいが,それは装置によって形状及び検出器の効率

性が異なるからである。

8.4 

試料の調製 

試験所試料又は 7.2.2 及び 7.2.3 で規定された手順に従って処理した後の残さ(渣)のいずれかから代表


32

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

的な繊維を選択する。これらの繊維をグラファイト製の SEM 試料台上に直接,又は SEM スタブ上の両面

粘着テープの上にマウントする。SEM スタブを真空コーティング装置内に置き,繊維の表面にカーボン薄

膜を蒸着させる。

8.5 SEM による定性分析 
8.5.1 EDXA 
スペクトルの取得 

付着した粒子の影響によってピーク高さが低減されることは同定結果を損なうことになるので,繊維の

清浄な部分から EDXA スペクトルを取得することは重要である。分析対象の繊維に隣接する粒子は EDXA

スペクトルにも影響を与えるおそれがあるので,この影響は最小限まで抑えるべきである。

8.5.2 

試料の分析 

未知の繊維を貼り付けた SEM 用スタブを,SEM 中での低倍率で検査し,他の粒子が付着していない繊

維部分から EDXA スペクトルを取得する。EDXA スペクトルを,参照スペクトルと比較する。

8.5.2.1  クリソタイル 

次に該当する場合,繊維をクリソタイルとして分類する。

a)  マグネシウム及びけい素のピークが明瞭で,マグネシウム/けい素のピーク高さ比が参照比率と同等で

ある。

b)  鉄,マンガン及びアルミニウムのピークがいずれも小さい。

注記  隣接した,又は付着した粒子の組成によっては,他のピークが見られる場合もある。

警告  アンソフィライト及びタルクは共に,この仕様に適合する EDXA スペクトルを与えるが,これ

らの鉱物に対するマグネシウム/けい素のピーク高さ比は,クリソタイルのものより低い。タル

ク又はアンソフィライトを,誤ってクリソタイルとして分類してしまわないよう,マグネシウ

ム/けい素のピーク高さ比を考慮に入れ,クリソタイル及びタルクの既知の試料を用いて EDXA

検出器を校正することが重要である。

8.5.2.2  アモサイト 

次に該当する場合,繊維をアモサイトとして区分する。

a)  マグネシウム,けい素及び鉄のピークが,その比率において参照アモサイトに適合している。 
b)  ナトリウム又はアルミニウムからの,統計的に有意なピークがない。

c)  マンガンのピークが,存在するとしても小さい。

注記  隣接した,又は付着した粒子の組成によっては,他のピークが見られる場合もある。

8.5.2.3  クロシドライト 

次に該当する場合,繊維をクロシドライトとして区分する。

a)  ナトリウム,けい素及び鉄のピークが,その比率において参照クロシドライトに適合している。 
b)  マグネシウムからのピークがいずれも小さく,アルミニウム又はマンガンのピークが見当たらない。

注記 1  隣接した,又は付着した粒子の組成によっては,他のピークが見られる場合もある。

注記 2  マグネシウムからの大きなピークがあれば,その繊維は苦土リーベックせん(閃)石である

可能性がある。ボリビア産クロシドライトが唯一知られた市販原料であるが,この種のクロ

シドライトは他の鉱物のきょう(夾)雑物として存在する場合がある。

8.5.2.4  トレモライト 

次に該当する場合,繊維をトレモライトとして区分する。

a)  マグネシウム,けい素,カルシウム及び鉄のピークが,その比率において参照トレモライトに適合し

ている。


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b)  ナトリウム又はアルミニウムからの,統計的に有意なピークがない。 
c)  マンガンのピークが,存在するとしても小さい。

注記  隣接した,又は付着した粒子の組成によっては,他のピークが見られる場合もある。

8.5.2.5  アクチノライト 

次に該当する場合,繊維をアクチノライトとして区分する。

a)  マグネシウム,けい素及び鉄のピークが,その比率において参照アクチノライトに適合している。 
b)  ナトリウム又はアルミニウムからの,統計的に有意なピークがない。 
c)  マンガンのピークが,存在するとしても小さい。

注記  隣接した,又は付着した粒子の組成によっては,他のピークが見られる場合もある。

8.5.2.6  アンソフィライト 

次に該当する場合,繊維をアンソフィライトとして区分する。

a)  繊維が真っすぐで,リボン状の構造の痕跡を全く示さない。 
b)  マグネシウム及びけい素のピークが,その比率において参照アンソフィライトに適合している。アン

ソフィライトの出処によっては鉄からのピークを示さないものもあるが,市販のアンソフィライトで

はおそらく鉄からのピークが観察される。

c)  ナトリウム又はアルミニウムからの,統計的に有意なピークがない。 
d)  マンガンのピークが,存在するとしても小さい。

注記  隣接した,又は付着した粒子の組成によっては,他のピークが見られる場合もある。

8.5.2.7  ナトリウム系−カルシウム系角せん石アスベスト(リヒテライト/ウィンチャイト) 

次に該当する場合,繊維をナトリウム系−カルシウム系角せん石系アスベストとして区分する。

a)  スペクトルはアクチノライト又はトレモライトのものと似ているが,カルシウムのピークが大幅に小

さくナトリウムのピークがある。K のピークが存在する場合もある。

b)  アルミニウムからの,統計的に有意なピークがない。

c)  マンガンのピークが,存在するとしても小さい。

注記  隣接した,又は付着した粒子の組成によっては,他のピークが見られる場合もある。

透過電子顕微鏡による分析 

9.1 

一般 

TEM を用いてアスベスト繊維を同定することに関する詳細な手順は,ISO 10312 [2]及び ISO 13794 [4]

に記載されている。TEM を用いた鉱物の検査に関する追加の情報は,参考文献[26]∼[29]に記載されてい

る。電子回折パターンの簡単な定量的測定技法が入手可能である(参考文献[30])

。角せん石繊維の決定的

同定のために時々必要とされる,

単結晶の電子回折パターンの詳細な説明は,

コンピュータープログラム,

例えば,XIDENT によって得られる(参考文献[31])

9.2 

要件 

9.2.1 

透過電子顕微鏡  80 kV∼120 kV の加速電位で作動する TEM が必要である。TEM は,直径 250 nm

未満の電子プローブを形成可能な,照射及び集光レンズシステムをもつものでなければならない。

9.2.2 

エネルギー分散 線分析装置  TEM は,Mn Kα のピークにおいて 170 eV(FWHM)より良好な分

解能を達成可能な,エネルギー分散 X 線分析機能を備えたものでなければならない。TEM 及び EDXA 装

置の個々の組合せにおける性能は,幾何学的因子の数によって左右されるため,TEM 及び X 線分析装置

の組合せにおいて必要な性能は,小径の繊維から取得し測定した X 線強度に関して,既知の電子ビーム直


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A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

径を用いて特定される。固体(半導体)X 線検出器は,低エネルギー領域における感度が最も低いため,

クロシドライト中のナトリウム測定が,主な性能基準である。重要なのは,電子顕微鏡と X 線分析装置と

の組合せによって,通常の分析条件下において,クロシドライト及びアモサイトから取得する,各スペク

トル同士の識別を可能にする,ナトリウムのピークが得られるものでなければならない点である。

9.2.3 

真空コーティング装置  カーボン・コーティングした標本用グリッドを利用できない場合,カーボ

ン蒸着したグリッド作成用に真空カーボン蒸着するため,0.013 Pa より良好な真空状態を発生可能な真空

蒸着装置を使用しなければならない。

9.2.4 

校正グリッド  クリソタイル,アモサイト,クロシドライト,トレモライト,アクチノライト,ア

ンソフィライト及びリヒテライト/ウィンチャイト及びタルクの分散から調製される TEM 標本グリッド

が,EDXA システムの校正に必要である。ナトリウムを検出しやすいよう,金又はニッケル製のグリッド

の使用が推奨される。ED パターン解釈用のカメラ定数の校正にはカーボン膜に蒸着させた,金,アルミ

ニウム又は塩化第一タリウム[Tl(I)]のいずれかの真空蒸着膜の付いた TEM 試料グリッドが必要である。

9.2.5 

使い捨てチップ式マイクロピペット  カーボン蒸着した TEM 標本用グリッドに,約 3 µL の容積を

移換え可能な,使い捨てチップ式マイクロピペット。

9.3 

校正 

9.3.1 EDXA システム 

この手法の目的上,校正は,クリソタイル,アモサイト,クロシドライト,トレモライト,アクチノラ

イト,アンソフィライト及びリヒテライト/ウィンチャイトの参照試料に由来する EDXA スペクトルの取

得による。市販のクリソタイル,アモサイト,クロシドライト及びアンソフィライトの化学的組成に大幅

な違いはなく,未知の EDXA スペクトルとこれら 3 種の参照アスベスト試料に由来するものとを比較すれ

ば,この規格に対して十分な同定方法となる。ほとんどの目的について,トレモライトとアクチノライト

とを識別する必要はなく,それはこれらの組成上の境界が慣例の問題であるからである。トレモライトと

アクチノライトとを識別する必要がある場合,SRM 1867 のトレモライトとアクチノライトとの試料が特

に有用であるが,それはこれらの試料の組成が,IMA によって定義される境界をちょうど下回るものと上

回るもののためである(参考文献[24])

。用途によっては,マグネシウムが部分的にクリソタイルから溶脱

する結果,化学的組成がタルクのものに近くなる場合がある。クリソタイルと,タルク又はアンソフィラ

イトの識別を容易にするには,既知のタルク・試料からも EDXA スペクトルを取得することが推奨される。

タルクに含まれるマグネシウム濃度の上限を定めるには,

このスペクトルを使用する。

SRM 1866 及び SRM

1867 の試料,HSE の参照アスベスト試料,ボリビア産のクロシドライト及びリヒテライト/ウィンチャイ

トについて取得された EDXA スペクトルの例が

附属書 に示されている。確実な同定を行うには,附属書

に提示のものと類似するアスベスト標準に由来する参照 EDXA スペクトルを,SEM 及び EDXA 検出器

を個別に組み合わせたものを用いて記録することが望ましいが,それは装置によって形状及び検出器の効

率が異なるからである。

9.3.2 ED パターン解釈用のカメラ定数 

電子回折パターン用の半径を基にしたカメラ定数 λ

L

,波長とカメラ長との積,を校正するために,金,

アルミニウム又は塩化第一タリウム[Tl(I)]のいずれかを使う。試料グリッドを,これらの材料の一つを

炭素フィルム上に真空蒸着した薄い多結晶膜を校正に使用する。最初の二つの回折リングに対する校正デ

ータを

表 に示す。ここで,

D

はリングの直径である。


35

A 1481-1

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表 6−半径を基にしたカメラ定数 

校正用材料

半径を基にしたカメラ定数,λL

第 1 回折リング

第 2 回折リング

0.117 74D

0.101 97D

アルミニウム

0.116 90D

0.101 24D

塩化第一タリウム

0.192 14D

0.135 86D

9.4 

試料の調製 

試料(9.3 を参照)から代表的な繊維を取り出し,乳棒付きのめのう製乳鉢に入れる。エタノールを約 1

mL 加え,エタノール内で十分に分散するまで,繊維を乳棒で,す(磨)り潰す。実験用のスタンド及び

クランプを準備し,カーボン・コーティングした TEM 標本用グリッドをピンセットの先端で支持する。

この場合,カーボン面を上に向ける。使い捨てチップ式のマイクロピペットを用いて,容量 3 µL のエタノ

ール分散物をグリッドに滴下し,乾燥するまで待つ。加熱ランプの下でグリッド保持すれば,乾燥は速く

なる。乾燥したら,TEM グリッドは検査準備完了である。

クロシドライト又はナトリウム性−カルシウム性角せん石が疑われるときは,銅グリッドが使われた場

合に Na Kα ピークが Cu LαX 線ピークによって部分的にオーバーラップされるのを防ぐために,炭素被覆

された金 TEM グリッドを推奨する。

9.5 TEM による定性分析 
9.5.1 EDXA 
スペクトルの取得 

付着した粒子の影響によってピーク高さがゆがむと同定精度が低下するおそれがあるので,EDXA スペ

クトルを繊維の清浄な部分から得ることは重要である。

9.5.2 

クリソタイル 

TEM で見られるクリソタイルの形態構造は特徴的で,熟練者であれば容易に認識できる。しかし,他に

も似たような外観の鉱物があり,大部分の試料について,形態観察だけでは不十分である。

次に該当する場合,繊維をクリソタイルとして分類する。

a)  マグネシウム及びけい素のピークが明瞭で,マグネシウム/けい素のピーク高さ比が参照比率に適合し

ている。

b)  鉄,マンガン及びアルミニウムのピークがいずれも小さい。

注記  隣接した,又は付着した粒子の組成によっては,他のピークが見られる場合もある。

警告  アンソフィライト及びタルクは共に,これらの仕様に適合する EDXA スペクトルを生じるが,

これらの鉱物に対するマグネシウム/けい素のピーク高さ比は,クリソタイルに対するものより

低い。タルク又はアンソフィライトを,誤ってクリソタイルとして分類してしまわないよう,

マグネシウム/けい素のピーク高さ比を考慮に入れ,クリソタイル及びタルクの既知の試料を用

いて EDXA 検出器を校正しておくことが重要である。

9.5.3 

アモサイト 

次に該当する場合,繊維をアモサイトとして分類する。

a)  マグネシウム,けい素及び鉄のピークが,その比率において参照アモサイトに適合している。 
b)  ナトリウム又はアルミニウムからの,統計的に有意なピークがない。 
c)  マンガンのピークが,存在するとしても小さい。

注記  隣接した,又は付着した粒子の組成によっては,他のピークが見られる場合もある。


36

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

9.5.4 

クロシドライト 

次に該当する場合,繊維をクロシドライトとして分類する。

a)  ナトリウム,けい素及び鉄のピークが,その比率において参照クロシドライトに適合している。 
b)  アルミニウムからの,統計的に有意なピークがない。 
c)  マグネシウムからのピークがいずれも小さく,マンガンのピークが見当たらない。

注記 1  隣接した,又は付着した粒子の組成によっては,他のピークが見られる場合もある。

注記 2  マグネシウムからの大きなピークがあれば,その繊維は苦土リーベックせん石である可能性

がある。ボリビア産クロシドライトが唯一知られた市販原料であるが,この種のクロシドラ

イトは他の鉱物のきょう(夾)雑物として存在する場合がある。

9.5.5 

トレモライト 

次に該当する場合,繊維をトレモライトとして分類する。

a)  マグネシウム,カルシウム及び鉄のピークが,その比率において参照トレモライトに適合している。 
b)  アルミニウムからの,統計的に有意なピークがない。 
c)  ナトリウム又はカリウムからのピークがいずれも小さい。

注記  隣接した,又は付着した粒子の組成によっては,他のピークが見られる場合もある。

9.5.6 

アクチノライト 

次に該当する場合,繊維をアクチノライトとして分類する。

a)  マグネシウム,けい素及び鉄のピークが,その比率において参照アクチノライトに適合している。 
b)  ナトリウム又はアルミニウムからの,統計的に有意なピークがない。 
c)  マンガンのピークが,存在するとしても小さい。

注記  隣接した,又は付着した粒子の組成によっては,他のピークが見られる場合もある。

9.5.7 

アンソフィライト 

次に該当する場合,繊維をアンソフィライトとして分類する。

a)  繊維が真っすぐで,リボン状の構造の痕跡を全く示さない。 
b)  マグネシウム及びけい素のピークが,その比率において参照アンソフィライトに適合している。アン

ソフィライトの出処によっては鉄からのピークを示さないものもあるが,市販のアンソフィライトで

は多くの場合,鉄からのピークが観察される。

c)  ナトリウム又はアルミニウムからの,統計的に有意なピークがない。 
d)  マンガンのピークが,存在するとしても小さい。

注記  隣接した,又は付着した粒子の組成によっては,他のピークが見られる場合もある。

9.5.8 

ナトリウム系−カルシウム系角せん石アスベスト(リヒテライト/ウィンチャイト) 

次に該当する場合,繊維をナトリウム系−カルシウム系角せん石系アスベストとして区分する。

a)  スペクトルはアクチノライト又はトレモライトのものと似ているが,カルシウムのピークが大幅に小

さくナトリウムのピークがある。カリウムのピークが存在する場合もある。

b)  アルミニウムからの,統計的に有意なピークがない。

c)  マンガンのピークが,存在するとしても小さい。

注記  隣接した,又は付着した粒子の組成によっては,他のピークが見られる場合もある。

10  試験報告書 

試験報告書は,次の情報を含むものでなければならない。適切な試験報告書の書式の例を,

附属書 


37

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

示す。

a)  この規格の番号(JIS A 1481-1

b)  位置を含む,試料の同定(分析者によって明らかにされている場合) 
c)  分析実施日 
d)  分析者に関する情報

e)  適用される標本全てに関する詳細 
f)  この規格で規定していない,使用した手順,又は任意的とみなされる手順 
g)  検出されたアスベストの種類

h)  アスベストの同定に用いた分析方法

次の i)k)  の項目は,試験所データに記録しなければならないが,試験報告書の一部として包括される

範囲は任意である。

i)

あらゆる任意的な手順を含む,報告対象アスベストの同定確認のために行った観察

j)  検出されたアスベスト種の推定質量分率は,次のように分ける。

1)  無検出

2)  検出 
3) 0.1 %∼5 % 
4) 5

%∼50 %

5) 50

%∼100 %

注記 1  アスベストの質量分率報告のための上記の区分は概数に過ぎない。これらは結果を説明す

る場合の目安として記載したものである。

“無検出”から 5 %までの範囲の結果に基づいて

重大な決定をする必要がある場合は,定量的方法による試料分析を行うのが妥当である(例

えば,JIS A 1481-4 によって)

注記 2  報告区分“検出”は,分析中に繊維が 1 本又は 2 本だけ検出された場合,この観察は試料

の意図しない汚染の結果であったおそれもあるので,分析者に結果報告の手段を提供する

ために設けたものである。

k)  検出された非アスベスト繊維の種類及びこれらの繊維とアスベスト繊維とを判別する根拠となった所


38

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

附属書 A

(規定)

市販のアスベスト含有材の種類

不燃性,化学的安定性及び高強度というアスベストの特性は,世界中の建築物及び産業部門においてこ

の鉱物が広範に使用されるという結果をもたらした。アスベスト・セメント製品,アスベストを含有する

軽量パネル,防火パネル,アスベスト充塡材,アスベスト布,アスベストボード,アスベストフォーム,

アスベスト含有耐火材,吸音材及び化粧せっこうボード(吹付けアスベスト)

,アスベスト含有組成物は,

左官作業及びパテ塗りに最も重要な用途である。加えて,保護コーティング,接着剤,プラスチック板及

びタイルなど,アスベスト繊維が低濃度で添加された様々な製品がしばしば存在する。

表 A.1 では,最も重要なアスベスト含有材を,用途の例及び典型的なアスベスト質量分率と併せて示し

ている。

例外的に,

引用されているものから外れた質量分率のアスベストが使用されている可能性もある。

注記  この附属書は,ISO 22262-1 における市販のアスベスト含有材の用途の例及び典型的なアスベ

スト質量分率を示したものであり,我が国の用途の例及びアスベスト質量分率とは異なる可能

性があることに注意する。

表 A.1−アスベスト含有材:用途の例及び典型的なアスベスト含有量 

製品

用途の例

典型的なアスベストの

タイプ及び質量分率

アスベスト・セメン

ト平板

屋根ふ(葺)き材

サイディング 
手すり部材

窓枠

階段 
間仕切壁

電路支持

屋根及びサイディング部門の小形スレート及びシ
ングル

クリソタイル  10 %∼12 % 
ときにはクリソタイルのほかに,5 %未満
のクロシドライト又はアモサイトを含有

する場合もある。

アスベスト・セメン

ト波板

屋根ふ(葺)き材

ペリメーター用断熱材

産業部門におけるサイディング

クリソタイル  10 %∼12 % 
ときにはまた,製造業者によっては,クリ

ソタイルに加えてクロシドライト 5 %未満
を含有する場合もある。

アスベスト・セメン
ト配管又はダクト

給水管及び排水管 
配給管

吸気・排気ダクト

ケーブルシャフト

クリソタイル  10 %∼15 % 
給水管は,クリソタイルのほかに 5 %未満

のクロシドライト又はアモサイトをも含

有する場合がある。

アスベスト・セメン
ト成形材

標準的な灰皿 
フラワーボックス

ガーデニング用品

彫刻

クリソタイル  10 %∼12 %


39

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

表 A.1−アスベスト含有材:用途の例及び典型的なアスベスト含有量(続き) 

製品

用途の例

典型的なアスベストの

タイプ及び質量分率

ア ス ベ ス ト を 含 む
軽 量 建 築 用 板 材 又

は耐火性パネル

耐火性が求められる壁の開口部シーリング 
排気ダクト,ケーブルダクト,及びケーブルシャ

フトの防火エンケースメント

耐火性が求められる壁における火の遮断(防火シ
ャッター,防火壁)

防火エンケースメント

排煙ダクト 
埋め込み式耐火ドア及び門

照明灯の下部構造(照明器具)

クリソタイル  15 %以下及び 
アモサイト  15 %以下

ア ス ベ ス ト を 含 む

軽 量 建 築 用 板 材 又
は耐火性パネル

火 災 危 険 性 の あ る 部 屋 の ラ イ ニ ン グ ( lining 
fire-hazard rooms) 
間仕切壁,間仕切壁表面,ドア

サニタリーユニット

支持材及びはり(梁)のエンケースメント 
防煙幕(smoke aprons) 
ファイヤーロック(fire locks)

クリソタイル  50 %未満,ときには

アモサイト  35 %未満。

ア ス ベ ス ト を 含 む

配 管 及 び ボ イ ラ 断

熱材

段ボール紙配管断熱 
85 %のマグネシアブロック及び配管断熱材 
けい酸カルシウムブロック及び配管断熱材

クリソタイル  30 %∼100 % 
全体で 15 %のアスベストのうち,クリソタ
イル,アモサイト,クロシドライト又はこ
れらのいずれか 2 種類以上の混合物。

アスベスト充塡材 
アスベスト布

耐火性が求められる軽量壁のシーリング又はシー

リ ン グ ス ト リ ッ プ ( seals or sealing strips on 
lightweight walls required to be fire resistant)(天井,
床,部品接合部,ウォールターミネーションで)

壁・天井内の配管及びダクトのフィードスルーの

シーリング 
換気ダクトフランジ間のシーリング

耐火ガラス,避難ドア,煙突用ドアのシーリング

熱供給システム,耐熱パイプ,耐熱バルブのシー
リング及び断熱

防火用毛布

耐熱布,耐熱手袋 
温水,蒸気,スプリンクラー配管用パイプクリッ

プのシーリング

ランプ芯 
ガス灯用マントル

主にクリソタイル(80 %∼100 %)

耐酸性用途にはクロシドライト。

アスベスト・ミルボ
ード

耐火性が求められる軽量壁のシーリングストリッ
プ(天井,床,部品接合部,ウォールターミネー

ションで)

照明灯の下部構造(照明器具) 
ラジエーター上部にある窓台の底部被覆

クリソタイル  80 %∼100 %

アスベスト発泡剤

可動目地の充塡(シーリング)

防火シャッター及び防火壁のシーリング

クリソタイル  50 %以下


40

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

表 A.1−アスベスト含有材:用途の例及び典型的なアスベスト含有量(続き) 

製品

用途の例

典型的なアスベストの

タイプ及び質量分率

吹付けアスベスト

鉄骨構造の外周の耐火被覆 
音楽ホール,劇場,教会,車庫,産業用家屋の天

井,壁の被覆(防音用)

耐火性が求められる壁に配されたケーブル,パイ
プ,ダクトフィードスルーの開口部のシーリング

換気ダクトのエンケース

クリソタイル,クロシドライト,又はアモ
サイト  40 %∼70 %,またミネラルウール

と 20 %のアモサイト又は最大 30 %のクリ

ソタイルのいずれかとの混合物。他の混合
物は,15 %のクリソタイルと,パーライト

とバーミキュライトのいずれか,及びせっ

こうとを含む。 
 
吹付けバーミキュライト被覆(クリソタイ

ルを含むものと含まないもの)は最大 2 %
のトレモライトを含むおそれがあり,中に

はアスベスト様形態である場合がある。

数パーセントのトレモライト・アスベスト
(日本)

吹 付 け 装 飾 仕 上 げ

塗装(テクスチャー

コート)

天井及び壁の下地に塗布する質感を与えるための

コーティング

最大 5 %までのクリソタイル 
ある成分はトレモライトを含んでいるこ

とがある。トレモライトのあるものはアス
ベスト様形態であることがある。

せ っ こ う ボ ー ド 接
合コンパウンド

せっこうボードの継目の平滑な目地材

クリソタイル  5 %未満。 
ある組成物は低質量分率のトレモライト

をも含むことがある。

ア ス ベ ス ト を 含 む

左 官 用 仕 上 塗 材 及
びパテ

プレキャストコンクリート部材のグラウティング

可動目地のシーリング 
壁及び天井のパイプ用フィードスルー

耐火ドアのドアケーシング

アンチドラミング被覆(自動車の保護) 
水中構造物の被覆

家壁用基板の被覆

クリソタイル 20 %未満

ア ス ベ ス ト 含 有 床

軟質シートの補強

クッションビニールフローリング材の下張りとし

ての耐腐食性支持層

クリソタイル  10 %∼20 % 
クロシドライト  80 %∼100 %

ア ス フ ァ ル ト 又 は
PVC アスベスト・床
タイル

補強材

35 %未満のクリソタイルを含むアスファ
ルトタイル,20 %未満のクリソタイルを含

む PVC タイル。

ゴ ム 引 き ア ス ベ ス

トシーリング材

パイプフランジ用ガスケット

クリソタイル  50 %∼90 %

アスベストを含む

摩擦材製品

ブレーキライニング

ブレーキバンド 
クラッチライニング

クリソタイル  10 %∼70 %

耐酸性容器

鉛蓄電池ボックス 
硫酸用ドラム

クロシドライト  10 %∼50 %

ろ材

エアフィルタ

液体フィルタ

殺菌及び無菌フィルタ 
浄化用フィルタ

塩素アルカリ電解プロセス用ダイヤフラム

グーチるつぼ用ろ(濾)材

クリソタイル,まれにアモサイト  95 %

グーチるつぼには 100 %トレモライト又は

アンソフィライト。


41

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

表 A.1−アスベスト含有材:用途の例及び典型的なアスベスト含有量(続き) 

製品

用途の例

典型的なアスベストの

タイプ及び質量分率

タルク 
( ア ス ベ ス ト 含 有

量 は 鉱 脈 に よ っ て

異なる。

電気ケーブル,ゴム製品用離型剤 
製菓業における離型剤

裁縫用チャコ

製紙 
医薬品,化粧品

クリソタイル及び/又はアクチノライト
/トレモライト

アクチノライト/トレモライトのあるも

のはアスベスト様形態である場合がある。

バ ー ミ キ ュ ラ イ ト

(剝離状)

屋根裏,及び壁の空洞断熱

耐火材

園芸用品

バーミキュライトの産地による。米国モン

タナ州からのバーミキュライトは最大 6 %

の角せん石タイプの混合物を含有するこ
とがあり,中にはアスベスト様形態である

場合がある。

工業用鉱物:

ウォラストナイト,

セピオライト,アタ
パルジャイト

磁器製造用

プラスチック製フィルタ

表面仕上げ材及び目地材 
天井材

掘削泥水(アタパルジャイト)

鉱物の産地による。数パーセントのトレモ

ライト又はアクチノライトを含有するこ

とがあり,中にはアスベスト様形態である
場合がある。

工業用鉱物:

カルサイト,ドロマ
イト及びせっこう

建築材の製造用

工業用途

鉱物の産地による。炭酸塩鉱物は数パーセ

ントのトレモライト又はアクチノライト
を含有することがあり,中にはアスベスト

様形態である場合がある。

工業用鉱物:

マイカ

セラミックの製造用

建築材の製造用

鉱物の産地による。トレモライト又はアク

チノライトを含有することがあり,中には

アスベスト様形態である場合がある。

アスファルト舗装

道路(road construction)

クリソタイル 
一般に 1 %か又はそれ以下。

壁 面 及 び 天 井 用 プ
ラスタ

骨材及び動物毛又はジュートのような繊維を混入
した又は混入しない内壁及び天井コーティング

クリソタイル。一般に,部分的な混入で不
均一。質量分率は,最大約 3 %まで様々。

掘削泥水

探鉱,岩石掘削

クリソタイル。しばしばクリソタイルは極

めて微細で短く,ときにはカリフォルニア

州コアリンガ産のものがある。100 %未満
のクリソタイルを含有することがある。

建築その他用途の 
化学製品

アスファルト,屋根ふ(葺)き及び被覆シート 
シーリング用パテ

ガラスパテ

アスファルト塗装 
充塡材及びシーリング剤

目地材

塗料 
接着剤

難燃材

下地床保護

クリソタイル 30

%未満

クリソタイル 2

%未満

クリソタイル 4

%未満

クリソタイル 30

%未満

クリソタイル 25

%未満

クリソタイル 5

%未満

クリソタイル 9

%未満

クリソタイル 4

%未満

クリソタイル 10

%未満

クリソタイル 4

%未満


42

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

附属書 B

(規定)

干渉色チャート

図 B.1−干渉色チャート 


43

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

附属書 C 
(規定)

分散染色チャート

図 C.11.550 RI 液中のクリソタイルに対するセントラルストップ式分散染色カラー 

図 C.21.680 RI 液中のアモサイトに対するセントラルストップ式分散染色カラー 

図 C.31.700 RI 液中のクロシドライトに対するセントラルストップ式分散染色カラー 


44

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

図 C.41.605 RI 液中のトレモライトに対するセントラルストップ式分散染色カラー 

図 C.51.630 RI 液中のアクチノライトに対するセントラルストップ式分散染色カラー 

図 C.61.605 RI 液中のアンソフィライトに対するセントラルストップ式分散染色カラー 

図 C.71.630 RI 液中のリヒテライト/ウィンチャイト・アスベストに対する 

セントラルストップ式分散染色カラー 


45

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

附属書 D 
(規定)

PLM

及び分散染色による市販材中のアスベストの同定

図 D.11.550 の RI 液,530 nm の位相板を挿入した

クロスポーラ(又は直交ニコル)における SRM 1866

クリソタイルの PLM 顕微鏡写真 

図 D.21.550 の RI 液,530 nm の位相板を挿入した

クロスポーラ(又は直交ニコル)における SRM 1866

クリソタイルの PLM 顕微鏡写真 

図 D.3−分散染色で観察した 1.550 の RI 液における

繊維長方向がポラライザ振動方向に対し平行な

SRM 1866 クリソタイル 

図 D.4−分散染色で観察した 1.550 の RI 液における

繊維長方向がポラライザ振動方向に対し垂直な

SRM 1866 クリソタイル 


46

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

図 D.51.680 の RI 液,530 nm の位相板を挿入した

クロスポーラ(又は直交ニコル)における SRM 1866

アモサイトの PLM 顕微鏡写真 

図 D.61.680 の RI 液,530 nm の位相板を挿入した

クロスポーラ(又は直交ニコル)における SRM 1866

アモサイトの PLM 顕微鏡写真 

図 D.7−分散染色で観察した 1.680 の RI 液における

繊維長方向がポラライザ振動方向に対し平行な

SRM 1866 アモサイト 

図 D.8−分散染色で観察した 1.680 の RI 液における

繊維長方向がポラライザ振動方向に対し垂直な

SRM 1866 アモサイト 

図 D.9−オープンポーラ(単ニコル)で観察した 1.680

の RI 液における繊維長方向がポラライザ振動方向

に対し平行な加熱アモサイト 

図 D.10−オープンポーラ(単ニコル)で観察した

1.680 の RI 液における繊維長方向がポラライザ振動

方向に対し垂直な加熱アモサイト 


47

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

図 D.111.700 の RI 液,530 nm の位相板を挿入し

たクロスポーラ(又は直交ニコル)における SRM 

1866 クロシドライトの PLM 顕微鏡写真 

図 D.121.700 の RI 液,530 nm の位相板を挿入し

たクロスポーラ(又は直交ニコル)における SRM 

1866 クロシドライトの PLM 顕微鏡写真 

図 D.131.700 の RI 液中の SRM 1866 クロシドライ

 

分散染色,繊維長方向はポラライザ振動方向に対し

平行 

図 D.141.700 の RI 液中の SRM 1866 クロシドライ

 

分散染色,繊維長方向はポラライザ振動方向に対し

垂直 

図 D.15−オープンポーラ(単ニコル)における 1.700

の RI 液中の SRM 1866 クロシドライト 

繊維はポラライザ振動方向に対し平行 

図 D.16−オープンポーラ(単ニコル)における 1.700

の RI 液中の SRM 1866 クロシドライト 

繊維はポラライザ振動方向に対し垂直 


48

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

図 D.17−オープンポーラ(単ニコル)で観察した加

熱クロシドライト 

繊維長方向はポラライザ振動方向に対し平行 

図 D.18−オープンポーラ(単ニコル)で観察した加

熱クロシドライト 

繊維長方向はポラライザ振動方向に対し垂直 

図 D.191.605 の RI 液,530 nm の位相板を挿入し

たクロスポーラ(又は直交ニコル)における SRM 

1867 トレモライトの PLM 顕微鏡写真 

図 D.201.605 の RI 液,530 nm の位相板を挿入し

たクロスポーラ(又は直交ニコル)における SRM 

1867 トレモライトの PLM 顕微鏡写真 

図 D.21−分散染色で観察した 1.605 の RI 液におけ

る繊維が消光位の SRM 1867 トレモライト 

図 D.22−分散染色で観察した 1.605 の RI 液におけ

る繊維が消光位の SRM 1867 トレモライト 


49

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

図 D.231.625 の RI 液,530 nm の位相板を挿入し

たクロスポーラ(又は直交ニコル)における SRM 

1867 トレモライトの PLM 顕微鏡写真 

図 D.241.625 の RI 液,530 nm の位相板を挿入し

たクロスポーラ(又は直交ニコル)における SRM 

1867 トレモライトの PLM 顕微鏡写真 

図 D.25−分散染色で観察した 1.625 の RI 液におけ

る SRM 1867 トレモライト 

繊維は消光位 

図 D.26−分散染色で観察した 1.625 の RI 液におけ

る SRM 1867 トレモライト 

繊維は消光位 

図 D.271.630 の RI 液,530 nm の位相板を挿入し

たクロスポーラ(又は直交ニコル)における SRM 

1867 アクチノライトの PLM 顕微鏡写真 

図 D.281.630 の RI 液,530 nm の位相板を挿入し

たクロスポーラ(又は直交ニコル)における SRM 

1867 アクチノライトの PLM 顕微鏡写真 


50

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

図 D.29−分散染色で観察した 1.630 の RI 液におけ

る SRM 1867 アクチノライト 

紫色の繊維が消光位にある 

図 D.30−分散染色で観察した 1.630 の RI 液におけ

る SRM 1867 アクチノライト 

明るい青色の繊維が消光位にある 

図 D.311.605 の RI 液,530 nm の位相板を挿入し

たクロスポーラ(又は直交ニコル)における SRM 

1867 アンソフィライトの PLM 顕微鏡写真 

図 D.321.605 の RI 液,530 nm の位相板を挿入し

たクロスポーラ(又は直交ニコル)における SRM 

1867 アンソフィライトの PLM 顕微鏡写真 

図 D.33−分散染色で観察した 1.630 の RI 液におけ

る繊維長方向がポラライザ振動方向に対し平行な

SRM 1867 アンソフィライト 

図 D.34−分散染色で観察した 1.630 の RI 液におけ

る繊維長方向がポラライザ振動方向に対し垂直な

SRM 1867 アンソフィライト 


51

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

図 D.351.605 の RI 液,530 nm の位相板を挿入し

たクロスポーラ(又は直交ニコル)における HSE

トレモライトの PLM 顕微鏡写真 

図 D.361.605 の RI 液,530 nm の位相板を挿入し

たクロスポーラ(又は直交ニコル)における HSE

トレモライトの PLM 顕微鏡写真 

図 D.37−分散染色で観察した 1.605 の RI 液におけ

る繊維長方向がポラライザ振動方向に対し平行な

HSE トレモライト 

図 D.38−分散染色で観察した 1.605 の RI 液におけ

る繊維長方向がポラライザ振動方向に対し垂直な

HSE トレモライト 

図 D.391.640 の RI 液,530 nm の位相板を挿入し

たクロスポーラ(又は直交ニコル)における HSE

アクチノライトの PLM 顕微鏡写真 

図 D.401.640 の RI 液,530 nm の位相板を挿入し

たクロスポーラ(又は直交ニコル)における HSE

アクチノライトの PLM 顕微鏡写真 


52

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

図 D.41−分散染色で観察した 1.640 の RI 液におけ

る繊維長方向がポラライザ振動方向に対し平行な

HSE アクチノライト 

図 D.42−分散染色で観察した 1.640 の RI 液におけ

る繊維長方向がポラライザ振動方向に対し垂直な

HSE アクチノライト 

図 D.43−オープンポーラ(単ニコル)での 1.640 

RI 液における繊維がポラライザ振動方向に対し平

行な HSE アクチノライト 

図 D.44−オープンポーラ(単ニコル)での 1.640 

RI 液における繊維がポラライザ振動方向に対し垂

直な HSE アクチノライト 

図 D.451.605 の RI 液,530 nm の位相板を挿入し

たクロスポーラ(又は直交ニコル)における HSE

アンソフィライトの PLM 顕微鏡写真 

図 D.461.605 の RI 液,530 nm の位相板を挿入し

たクロスポーラ(又は直交ニコル)における HSE

アンソフィライトの PLM 顕微鏡写真 


53

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

図 D.47−分散染色で観察した 1.605 の RI 液におけ

る繊維長方向がポラライザ振動方向に対し平行な

HSE アンソフィライト 

図 D.48−分散染色で観察した 1.605 の RI 液におけ

る繊維長方向がポラライザ振動方向に対し垂直な

HSE アンソフィライト 

図 D.491.630 の RI 液,530 nm の位相板を挿入し

たクロスポーラ(又は直交ニコル)におけるリヒテ

ライト/ウィンチャイト・アスベストの PLM 顕微

鏡写真 

図 D.501.630 の RI 液,530 nm の位相板を挿入し

たクロスポーラ(又は直交ニコル)におけるリヒテ

ライト/ウィンチャイト・アスベストの PLM 顕微

鏡写真 

図 D.51−分散染色で観察した 1.630 の RI 液におけ

る繊維が消光位のリヒテライト/ウィンチャイ

ト・アスベスト 

図 D.52−分散染色で観察した 1.630 の RI 液におけ

る繊維が消光位のリヒテライト/ウィンチャイ

ト・アスベスト 


54

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

附属書 E

(規定)

SEM

による市販材中のアスベストの同定

図 E.1∼図 E.11 は,15 kV で作動させた SEM において,ベリリウム・ウィンドウを備えたシリコン半導

体検出器を用いて取得した EDXA スペクトルの例である。SEM 標本は,SRM 1866,SRM 1867 及び HSE

の参照アスベスト種に由来する代表的な繊維束を,SEM 標本スタブ上の粘着テープに載せることによって

調製された。標本は全て真空蒸着器でカーボン・コーティングを施した。

この規格を利用する前に,実際の加速電圧及び特定の X 線検出器を用いて,参照標準からの校正スペク

トルを取得する。

記号

N  カウント数

E  X 線エネルギー

図 E.1SRM 1866 クリソタイルから得られたエネルギー分散 線スペクトル 


55

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

記号

N  カウント数

E  X 線エネルギー

図 E.2SRM 1866 アモサイトから得られたエネルギー分散 線スペクトル 

記号

N  カウント数

E  X 線エネルギー

図 E.3SRM 1866 クロシドライトから得られたエネルギー分散 線スペクトル 


56

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

記号

N  カウント数

E  X 線エネルギー

図 E.4SRM 1867 トレモライトから得られたエネルギー分散 線スペクトル 

記号

N  カウント数

E  X 線エネルギー

図 E.5SRM 1867 アクチノライトから得られたエネルギー分散 線スペクトル 


57

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

記号

N  カウント数

E  X 線エネルギー

図 E.6SRM 1867 アンソフィライトから得られたエネルギー分散 線スペクトル 

記号

N  カウント数

E  X 線エネルギー

図 E.7HSE トレモライトから得られたエネルギー分散 線スペクトル 


58

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

記号

N  カウント数

E  X 線エネルギー

図 E.8HSE アクチノライトから得られたエネルギー分散 線スペクトル 

記号

N  カウント数

E  X 線エネルギー

図 E.9HSE アンソフィライトから得られたエネルギー分散 線スペクトル 


59

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

記号

N  カウント数

E  X 線エネルギー

図 E.10−ボリビア産クロシドライトから得られたエネルギー分散 線スペクトル 

記号

N  カウント数

E  X 線エネルギー

図 E.11−リヒテライト/ウィンチャイト・アスベストから得られたエネルギー分散 線スペクトル 


60

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

附属書 F

(規定)

TEM

による市販材中のアスベストの同定

F.1 

一般 

幾つかのタイプのバルク材中のアスベストの判定,

特に PLM 検査が曖昧な結果を与えるような場合に,

TEM 検査は通常,曖昧さを解消し明確な同定を可能にする。ほとんどの場合,EDXA スペクトルを採取す

ることによって,いずれの種類のアスベストの同定についても十分な証拠を得ることができる。しかし,

EDXA スペクトルだけではタルクとアンソフィライトとの判別を,十分な信頼性をもって行うことはでき

ない。なぜなら,これら二つの鉱物の化学組成が極めて類似しているからである。電子回折はタルクとア

ンソフィライトとの判別を,それぞれの異なった結晶構造に基づいて,可能にする。

F.2 EDXA による分析 

図 F.1∼図 F.11 は,80 kV で作動する TEM 上にて,ベリリウム・ウィンドウを備えたシリコン半導体検

出器を用いて取得した EDXA スペクトルの見本である。TEM 標本は,SRM 1866,SRM 1867 及び HSE の

参照アスベスト種から,マイクロピペット方式によって調製された。標本は全て,金製のグリッドを用い

て調製されたが,それは銅製のグリッドを使用した場合にナトリウムのピークと部分的に重複すると思わ

れる銅の Lα ピークによる,ナトリウムの Kα ピーク検出への干渉を避けるためである。

この規格を利用する前に,実際の加速電圧及び特定の X 線検出器を用いて,参照標準からの校正スペク

トルを取得する。

記号

N  カウント数

E  X 線エネルギー

図 F.1SRM 1866 クリソタイルから得られたエネルギー分散 線スペクトル 

金のピーク及び小さい銅のピークは,金製の標本グリッドに由来するものである。


61

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

記号

N  カウント数

E  X 線エネルギー

図 F.2SRM 1866 アモサイトから得られたエネルギー分散 線スペクトル 

金のピークは,金製の標本グリッドに由来するものである。

記号

N  カウント数

E  X 線エネルギー

図 F.3SRM 1866 クロシドライトから得られたエネルギー分散 線スペクトル 

金のピーク及び小さい銅のピークは,金製の標本グリッドに由来するものである。


62

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

記号

N  カウント数

E  X 線エネルギー

図 F.4SRM 1867 トレモライトから得られたエネルギー分散 線スペクトル 

金のピーク及び小さい銅のピークは,金製の標本グリッドに由来するものである。

記号

N  カウント数

E  X 線エネルギー

図 F.5SRM 1867 アクチノライトから得られたエネルギー分散 線スペクトル 

金のピークは,金製の標本グリッドに由来するものである。


63

A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

記号

N  カウント数

E  X 線エネルギー

図 F.6SRM 1867 アンソフィライトから得られたエネルギー分散 線スペクトル 

金のピークは,金製の標本グリッドに由来するものである。

記号

N  カウント数

E  X 線エネルギー

図 F.7HSE トレモライトから得られたエネルギー分散 線スペクトル 

金のピーク及び小さい銅のピークは,金製の標本グリッドに由来するものである。


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A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

記号

N  カウント数

E  X 線エネルギー

図 F.8HSE アクチノライトから得られたエネルギー分散 線スペクトル 

金のピークは,金製の標本グリッドに由来するものである。

記号

N  カウント数

E  X 線エネルギー

図 F.9HSE アンソフィライトから得られたエネルギー分散 線スペクトル 

金のピークは,金製の標本グリッドに由来するものである。


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A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

記号

N  カウント数

E  X 線エネルギー

図 F.10−ボリビア産クロシドライトから得られたエネルギー分散 線スペクトル 

金のピークは,金製の標本グリッドに由来するものである。

記号

N  カウント数

E  X 線エネルギー

図 F.11−リヒテライト/ウィンチャイト・アスベストから取られたエネルギー分散 線スペクトル 

金のピーク及び小さい銅のピークは,金製の標本グリッドに由来するものである。


66

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F.3 

電子回折 

ED 技法は,定性的にも定量的にも利用できる。定性的 ED は,様々な方向を向いた繊維から TEM の観

察スクリーン上に得た ED パターンの全般的な特性を詳細な測定なしに目視検査することによる。クリソ

タイルのような円筒対称性の繊維から得られた ED パターンは,繊維をその軸まわりに傾けても変化せず,

これらの鉱物のランダムな向きの繊維から得たパターンは定量的に解釈できる。円筒対称性のない繊維に

ついては,主結晶軸が入射電子ビームの向きと厳密に平行する向きである場合に得られた ED パターンだ

けが定量的に解釈できる。このタイプの ED パターンを晶帯軸 ED パターンという。晶帯軸 ED パターンを

定量的に解釈するためには,それを写真記録し,既知の鉱物の構造と一致するかどうかをチェックする必

要がある。晶帯軸 ED パターンの測定値を既知の鉱物構造から計算された対応データと比較するために,

コンピューター・プログラムを使うことができる。特定の向きの繊維の検査によって得られた晶帯軸 ED

パターンは鉱物繊維の明確な同定を可能にするほど十分に特異ではないが,繊維を別の角度まで傾けても

う一つの晶帯軸に対応する異なった ED パターンを記録できる場合がしばしばある。この二つの晶帯軸の

間の角度をチェックして疑わしい鉱物の構造との一致性を調べることもできるわけである。

ED パターンの目視検査を行うために,TEM のカメラ長を約 250 mm という低い値に設定し,ED パター

ンを双眼鏡で見る。この方法によれば,電子線照射によって起こり得る繊維の劣化は最小に抑えられる。

しかし,パターンは観察用スクリーンの傾斜角によってゆがみ得る。パターンを精確に測定できるように

したい場合は,ED パターンを記録するときに少なくとも 2 m のカメラ長を用いるべきである。目視によ

る評価又は記録をするための ED パターンを得ようとするときは,試料の高さはユーセントリック・ポイ

ント(試料を傾けても視野が移動しない点)に正しく調節し,イメージは制限視野絞りの面に合焦させる

ことが必要である。これがなされないと,ED パターンに制限視野の外部からくる幾つかの回折要素が入

るおそれがある。総じて,できるだけ小さい ED 絞りを用いることが必要である。

ED パターンを精確に測定するためには,内部校正標準を用いることが望ましい。金又はその他の適切

な校正用物質の薄い被覆を TEM 試料の下面に付ける。この被覆は真空蒸着,又はより簡便には,スパッ

タリングによって付ける。多結晶金フィルムは全ての ED パターン上に回折リングを生じ,これらのリン

グは必要な校正情報を与える。その代案として,ED パターンの層線の面間隔が,アスベスト繊維に対し

て期待されるような,約 0.53 nm であるかどうかを判定するために,校正された対物絞りを挿入すること

ができる(参照文献[30])

。これは,持ち上げられたスクリーンを双眼鏡で観察するときにも有効である。

ED パターンを形成するために,繊維のイメージを観察用スクリーンの中心に移動させ,試料の高さを

調節してユーセントリック位置に定め,また適切な制限視野絞りを電子ビームの中に挿入して繊維又はそ

の部分が照射された範囲の大きな部分を占めるようにする。絞り及び繊維部分のサイズは,検査しようと

する部分以外の小片が制限視野の外に出るように決める。ED パターンを双眼鏡で観察する。観察の間,

対物レンズの電流を,最も完全な ED パターンが得られるポイントに調節する。もしいまだに不完全な ED

パターンが得られる場合は,周辺の小片を制限視野の内側に移動させて ED パターンを最適化するよう試

みるか,又は隣接する小片からの干渉を除去することを試みる。

ED パターンは,アンソフィライト・アスベストから繊維状タルクを識別するために特に役立つ。これ

らは同様の EDXA スペクトルをもっている。タルクから得た ED パターンは,疑六方パターンで,ゴニオ

メーターを用いて繊維を傾斜させても変化しない。これに対しアンソフィライト・アスベストでは,ゴニ

オメーターを用いて繊維を傾斜させると,一連のスポットが層線に沿って現れたり消えたりする。ED パ

ターンはまた,マトリックスでしっかり被覆されていて EDXA では結論の出せないクリソタイルの判定に

も役立つ。

図 F.12 が示すように,層線の面間隔 0.53 nm と結び付いて 002,110 及び 130 の反射が検知さ


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れたことはクリソタイルの存在の確証となる。

試験所試料の分析では晶帯軸測定が必要とされることはまれである。しかし,繊維の晶帯軸 ED 分析を

試みる場合は,まず試料を適切なホルダーに載せる。最も便利なホルダーでは試料グリッドを完全に回転

させることも,グリッドを一つの軸について傾斜させることもできる。繊維のイメージが,繊維の長さ方

向がゴニオメーターの傾斜軸と一致した向きになったことを示すようになるまで試料を回転させ,また試

料の高さを,繊維がユーセントリック位置になるように調節する。繊維を,スポットが対称で二次元の配

列を示すような ED が現れるまで傾ける。晶帯軸配列の条件を認識できるようになるためには,オペレー

ター側がある程度の経験を積む必要がある。晶帯軸を得るための傾斜操作の間,回折強度の変化が観察さ

れる。強い反射のマトリックス中の幾つかの回折点に弱い反射が出現した場合は,双晶又は多重回折の可

能性がある。また,測定及び解釈のための回折スポットの選択にある程度注意を払うべきである。電子回

折及び多重回折に関する詳細な検討内容は,参考文献[26]∼[29]に記載されている。

図 F.12−クリソタイルの SAED パターン 

得られる晶帯軸パターンの全てに決定力があるわけではないと認識することが大切である。少なくとも

一方向の低い指数に対応する狭い間隔のパターンだけを記録すべきである。全ての面間隔

d

が約 0.3 nm よ

り小さいようなパターンには決定力がない。判定の指針として便利なのは,まず最低角度の反射が金の回

折パターンの最小のリング(111)の半径内にあること,反射と反射との間の距離が小さいパターンほど通

常は最も決定力があるということである。同じ組成をもつ異なった鉱物の区別をするために ED を用いる

とき,ED パターンが特定の鉱物の結晶構造と矛盾しないという結果は,その ED パターンが他の考えられ

得る鉱物と矛盾することが示されない限り,いずれかを特定する証明にはならないという認識が特に重要

である。

XIDENT のようなコンピューター・プログラム(参考文献[31])が個々の鉱物についての所与の ED パタ

ーンが結晶学的データと矛盾しないかどうかをテストするための便利な方法を提供する。XIDENT プログ

ラムは結晶方位の知識が必要とされないという点で有利である。全ての方位において可能な ED パターン

が計算され,観測された ED パターンと比較される。ある繊維の同定において,もし一つの ED パターン

から得られた結果について不明確さが解消されなくても,

その繊維の別の方位において得られる第二の ED

パターンを調べることができ,また,観測された二つの方位の間の傾き角を,疑わしい結晶構造から計算


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:2016 (ISO 22262-1:2012)

された理論的角度と比較することができる。

XIDENT プログラムを用いるためには,図 F.13 に示すように,

中心スポットに最も近く,晶帯軸パターンの 2 本の交差する線に沿った五つのスポットを選ぶ。これらの

スポットの中心スポットからの距離と図に示した四つの角度が分析に必要なデータを与える。通常,中心

スポットは露出過度になっているので,これらの測定の明確な原点とはなりにくい。必要な距離は,中心

スポットに対して相称的な位置にあり,望ましくは同様の距離だけ離れてペアをなすスポットを結んでそ

の距離を測定することによって得るのが最もよい。

図 F.13−晶帯軸 ED パターン中の面間隔及び角度の測定 


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附属書 G 
(参考)

試料採取記録の例

日付:

試料採取者:

建物及び場所:

部屋:

試料の同定:

サンプル採取場所:

参照:

図面番号:

図面内の位置:

スケッチ番号:

写真番号:

試料の詳細:

コメント:


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A 1481-1

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附属書 H 
(参考)

分析報告書の例

JIS A 1481-1 によるバルク材中のアスベストの分析

分析日

分析者

署名

注記:JIS A 1481-1 は,市販製品中のアスベストの定性的分析に言及している。 

この手法においては,分散染色と併用した偏光顕微鏡検査がアスベスト同定の既定手順である。試料の特

性によって,任意的に電子顕微鏡法のいずれかの使用がアスベストの同定用に必要になる場合は,その方法
が提示される。質量分率約 5 %未満の範囲におけるアスベストの質量分率の正確な定量がアスベスト含有材

の法規制上の位置付け決定のために必要である場合は,JIS A 1481 規格群の別のパートを利用すること。

試料

アスベスト

推定アスベスト

質量分率

非アスベスト

繊維

コメント

試料 20050411-1

配管被覆 
灰色段ボール紙

クリソタイル

5 %∼50 %

セルロース

ブルーサイト

妨害物質を除去するためにサ

ンプルは灰化。

試料 20050412-3 
配管被覆

白色繊維状材料

アモサイト

クリソタイル

5 %∼50 %

0.1 %∼5 %

なし

試料 20050412-4

はりを起点とする耐火材 
青色繊維状材料

クロシドライト

50 %∼100 %

なし

試料 20050413-1

配管被覆

灰色がかった白の繊維状
材料

無検出

0 %

ミネラルウール

試料 20050413-2 
せっこう

白色材料

トレモライト

0.1 %∼5 %

なし

試料 20050413-3

天井材 
灰色繊維状材料

クリソタイル

0.1 %∼5 %

ミネラルウール

セルロース

ク リ ソ タ イ ル は 微 細 す ぎ て
PLM では同定不可。TEM 方式
にてクリソタイルを同定。


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A 1481-1

:2016 (ISO 22262-1:2012)

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method

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[4]  ISO 13794:1999,

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Part 1: Vocabulary

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Mission et méthodologie

 [Location of asbestos−Location of materials and products

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preparation

[14] VDI 3866 Part 4:2002,

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