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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

A 1324-1995 

建築材料の透湿性測定方法 

Measuring method of water vapor permeance for building materials 

1. 適用範囲 この規格は,主として建築物に使用する材料の透湿性測定方法について規定する。 

備考1. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS K 8125 塩化カルシウム(水分測定用)(試薬) 

JIS Z 8806 湿度測定方法 

2. この規格の中で { } を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって参

考として併記したものである。 

3. 従来単位の試験機又は計測器を用いて測定する場合の国際単位系 (SI) による数値への換算

は,次による。 

1Pa=7.501×10-3mmHg 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。 

(1) 透湿係数 材料の両側の水蒸気圧差を一定に保ったときに,材料を単位時間当たりに透過する水蒸気

の質量(以下,透湿量という。)を材料の両表面間の単位水蒸気圧差当たり,材料単位面積当たりに換

算した値 

(2) 透湿率(湿気伝導率) 単位厚さ当たりの透湿係数 

(3) 透湿抵抗 透湿係数の逆数 

(4) 湿気伝達抵抗 材料表面と接する空気の透湿抵抗 

3. 測定方法の種類 測定方法の種類は,表1のとおりとする。 

表1 測定方法の種類 

種類 

概要 

適用できる材料 

透湿試験箱法 

(ボックス法) 

1箱法 

(1ボックス法) 

一定温湿度条件に保たれた恒温恒湿室内に置かれた,透湿

量測定用の断湿された箱(以下,透湿試験箱という。)の一

面に試料を取り付け,箱内に塩飽和水溶液を入れ,箱内外

に水蒸気圧差を付け,試料を通過する水蒸気量を塩飽和水

溶液の質量変化から求め,そのときの箱内外の温湿度から

透湿性を求める方法。 

主として,カップ法で測定する

材料に比べて透湿係数が大きい

材料,原則として透湿係数が

200ng/ (m2・s・Pa) {0.1g/ (m2・h・

mmHg)} 以上の材料に適用。 

2箱法 

(2ボックス法) 

1箱法における恒温恒湿室の代わりに透湿試験箱を用いる

方法。二つの箱にはそれぞれ異なる種類の塩飽和水溶液を

入れ試料両面に水蒸気圧差をつける方法。 

カップ法 

吸湿剤を入れ試料を取り付けた透湿カップを恒温恒湿槽内

に静置し,カップ全体の質量変化とそのときの恒温恒湿槽

の温湿度から透湿性を求める方法。 

原則として,透湿係数が1 000ng/ 

(m2・s・Pa) {0.5g/ (m2・h・mmHg)} 

以下の材料に適用。 

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4. 試料 試料の寸法及び養生は,次のとおりとする。 

(1) 寸法及び個数 試料の寸法は300×300mmとし,厚さは原則として製品の厚さとする。ただし,試料

の最大厚さは50mmとする。 

(2) 養生 試料は,温度20±5℃,相対湿度 (50±10) %の雰囲気で恒量となるまで養生する。 

5. 測定方法 

5.1 

透湿試験箱法 

5.1.1 

測定装置 測定装置は,図1に示すように,恒温恒湿室,透湿試験箱,透湿試験箱内かくはん用フ

ァン,塩飽和水溶液皿,塩飽和水溶液皿質量測定用天びん,試料取付枠,温湿度測定器などによって構成

し,次のとおりとする。 

(1) 恒温恒湿室 気温制御は,20℃を標準として10〜30℃の範囲で任意に気温設定ができ,設定温度±

0.5℃の精度をもつものとする。湿度制御は,相対湿度30〜80%の範囲で任意に設定でき,1箱法の場

合は(設定相対湿度±3)%,2箱法の場合は(設定相対湿度±5)%の精度をもつものとする。 

(2) 透湿試験箱 内法寸法は,原則として横50cm以上,縦50cm以上,奥行50cm以上とする。 

内壁面は,金属板,ガラス板,硬質プラスチック板などの,水蒸気に対して非透過性のものであっ

て,かつ,測定条件において腐食などを生じないもの(以下,断湿材料という。)で構成し,その接合

部は透湿が無いように十分シールし,全体に使用上十分な強度をもつ構造とする。開口部の試料取付

枠と接する面は,すき間ができないように加工した上,防湿ゴムパッキンを付ける。箱内気温変動は

±0.1℃となるようにする。 

(3) 透湿試験箱内かくはん用ファン 試料面に沿ってできるだけ一様な気流分布となるようにかくはんす

るもので,気流速度は,試料面から5cm離れた面内の平均値が約0.5m/sとなるように調節する。 

(4) 塩飽和水溶液皿 溶液面積が試料面積と同等以上あって,塩飽和水溶液によって腐食しない材質のも

のとし,天びんによる質量測定が可能な構造とする。 

(5) 塩飽和水溶液皿質量測定用天びん 天びんは,質量を10mgの精度で計量できるものとする。 

(6) 試料取付枠 全体がゆがみの無い断湿材料で構成され,中央に試料取付用の開口部を設けており,そ

の周辺はシール可能な構造とする。開口部の寸法は,300×300mmの試料が納まり,かつ,シールが

できるすき間をもつものとする。 

(7) 温度計 試料両側空気の温度を0.1℃の精度で測定できるものとする。 

(8) 湿度計 試料両側空気の湿度を(相対湿度±2)%の精度で測定できるものとする。 

5.1.2 

測定方法 測定方法は,次のとおりとする。 

(1) 塩飽和水溶液皿の設置 測定に用いる塩類の種別は2箱法の場合,原則として,高湿側にNaCl,低湿

側にMgCl2・6H2Oを用いる。塩飽和水溶液は,蒸留水に塩結晶を飽和状態になるまで溶解して作り,

溶液皿に1〜2cmの深さまで入れて,透湿試験箱内に設置する。低湿側の溶液は,表面まで結晶共存

の状態のものとする。 

備考 相対湿度は,JIS Z 8806の9.2.3(3)(湿度の定点を利用する方法)に規定する塩飽和水溶液を用

いて調節し,高湿側にKNO3,KCl,低湿側にNaCl,Mg (NO3)2・6H2O,LiClなどから選んで用

いることができる。 

(2) 試料の取付け 試料の周辺は,アルミはくなどをエポキシ樹脂系接着剤ではった後,試料取付枠に取

り付けて接合部をシール(1)する。このとき,シール材は試料表面にはみ出さないようにし,試料面積

がそのまま透湿面積となるようにする。さらに,試料取付枠を透湿試験箱の開口部周辺のゴムパッキ

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ンに密着(2)するように締め金具などで締めて密封する。 

注(1) エポキシ樹脂系接着剤又は5.2.1(4)に規定するシール材を用いる。 

(2) 例えば,ブチルゴムを用いシリコングリースを塗って試料取付枠と密着させる。 

(3) 透湿試験箱の校正 透湿試験箱からの湿気漏えい(洩)量は,測定装置の特性としてあらかじめ校正

しておく。試料位置に金属板を設置して(4)の測定を行い,溶液皿の1時間当たりの質量変化を湿気漏

えい量とする。校正は,恒温恒湿室の温湿度条件ごとに行う。 

(4) 透湿量の測定 溶液皿の質量を適当な時間間隔で測定する。測定の間隔は,試料の透湿量の増加が0.02

〜2gの範囲になるような時間とする。この測定した溶液皿の質量とこの直前に測定した溶液皿の質量

との差から,1時間当たりに換算した質量の増加量を求める。1時間当たりの増加量に(3)で校正した

透湿試験箱の湿気漏えい量を加減して透湿量を求める。この透湿量を連続して5回以上測定し,連続

した5点以上の増加量の測定値が5%以内で一定になるまで測定を続ける。 

(5) 温湿度の測定 5.1.1(7)及び(8)に規定する精度の測定器を用いて,(4)に規定する測定区間平均温湿度を,

試料両表面の空気について測定し,水蒸気圧に換算した値を求める。 

図1 測定装置 

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5.1.3 

結果の算出 測定結果から最小二乗法によって単位時間当たりの透湿量を求めて,次の式から透湿

係数,透湿率及び透湿抵抗を算出する。 

)

(

2

PS

1

PS

2

1

P

Z

Z

G

A

P

P

Z

×

=

P

P

1

Z

W=

μ=WP×d 

ここに, 

WP: 透湿係数 [ng/ (m2・s・Pa)] {g/ (m2・h・mmHg)} 

ZP: 透湿抵抗 [(m2・s・Pa) /ng] {(m2・h・mmHg) /g} 

G: 透湿量 (ng/s) {g/h} 

A: 透湿面積 (m2) 

P1, P2: 試料両側の空気の水蒸気圧 (Pa) {mmHg} 

ZPS1, ZPS2: 試料の両側表面の湿気伝達抵抗 [(m2・s・Pa) /ng] {(m2・

h・mmHg) /g} 

μ: 透湿率 [ng/ (m・s・Pa)] {g/ (m・h・mmHg)} 

d: 試料の厚さ (m) 

ZPS1,ZPS2は,次の(A)及び(B)の2方法のうちのいずれかであらかじめ求めておく。 

(A) 表面が均質でゆがみがなく,比較的透湿係数の大きい材料[4 000ng/ (m2・s・Pa) {2g/ (m2・h・mmHg)} 以

上]を選び,5.1.2の測定を行い,さらに,同一測定条件において同一材質の材料を2枚重ねた場合の

測定を行い,その結果から次の式によって算出する。 

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なお,I,IIはそれぞれ試料が1枚の場合と2枚の場合の測定値を表す。 

A

G

P

P

G

P

P

Z

Z

I

×

=

+

II

II

2

1

I

2

1

2

PS

1

PS

2

(B) 試料表面から5cm離れた位置で,図2に示す9か所の平均気流速度を,試料の両側について測定し,

表2から湿気伝達抵抗を求める。 

表2 

気流速度m/s 

0.1 

0.5 

1.0 

湿気伝達抵抗 (ZPS) ×10−6 (m2・s・Pa) /ng 

{(m2・h・mmHg) /g} 

39{0.08} 

24{0.05} 

19{0.04} 

図2 

5.2 

カップ法 

5.2.1 

測定用器具 測定用器具は,次のとおりとする。 

(1) 透湿カップ 透湿カップ(以下,カップという。)は,図3に示す形状及び寸法で試料を容易に入れる

ことができるものとする。その材質は,アルミニウム合金製又は次の条件を満たすものとする。 

(a) 水蒸気に対して非透過性のものであって,かつ,測定条件において腐食などを生じないもの。 

(b) 測定中に,変形しないような十分な剛性をもつもの。 

(2) 恒温恒湿槽 カップを一定の温度及び湿度に保つ恒温恒湿槽は,次の条件を満たすものとする。 

(a) 温度を15〜30℃の任意の設定温度で,設定温度に対して±0.5℃の条件で一定に保つことができるも

の。 

(b) 相対湿度を (50〜90±2) %の条件で,一定に保つことができるもの。 

(c) 一定の温度及び湿度に保たれた空気が,試料上を0.5〜2.5m/sの速度で循環できるもの。 

(3) 吸湿剤 吸湿剤は,JIS K 8125に規定する無水塩化カルシウムで,かつ,粒径3mm以下のもの。 

(4) シール材 シール材は,次の条件を満たすものを用いること。 

(a) 試料及びカップの内縁から容易にはく離せず,封かん操作が容易であること。 

(b) 室温で,もろくなく,吸水及び吸湿性がなく,酸化のおそれがないもの。 

(c) 測定条件のもとに露出して,軟化,はく離などがなく,測定期間中0.1g以上の質量変化がないこと。 

(5) 天びん 試料,吸湿剤及びカップを含んだ質量を0.1gの精度で測定できるもの。 

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図3 透湿カップ及び試料のセット状態 

5.2.2 

測定方法 測定方法は,次のとおりとする。 

(1) 測定状態 質量を測定するための測定場所の環境条件は,温度20±5℃,相対湿度 (50±10) %とする。 

(2) 試料の取付け 試料の取付けは,次の順序で行う。 

(a) 試料の表面には,あらかじめ透湿させる範囲が分かるように,内側 (250×250mm) に印を付けてお

く。 

(b) カップの底に吸湿剤を500±5g投入する。このとき,吸湿剤の表面が平らになるようにする。 

(c) 試料をカップに取り付ける。その際,試料はその材料の用途に応じた向きとする。 

(d) 周囲をアルミニウムテープでシールする。このとき,アルミニウムテープが透湿部分にはみ出さな

いように注意する。 

(e) 5.2.1(4)に規定するシール材を,試料の透湿範囲 (250×250mm) 以外の部分に塗布し,透湿範囲以外

で透湿がないようにシールする。 

(f) 試料の透湿係数が小さい場合,又は試料に吸湿性がある場合には,カップに吸湿剤を入れないで同

じ方法によって試料を取り付ける。これをブランクカップとする。 

(3) 測定 測定は,次の順序で行う。 

(a) 試料を取り付けたカップを,原則として,温度23℃及び相対湿度50%に設定した恒温恒湿槽内に置

き,適当な時間間隔でカップを取り出して,カップの質量増加を測定し,試料の透湿量を求める。 

(b) ブランクカップを使用した場合は,その質量の増減を測定し,(a)で求めた透湿量から加減して補正

する。 

(c) (a)及び(b)の測定を適当な時間間隔で行う。測定の間隔は,試料の透湿量の増加が0.1〜10gの範囲

になるような時間とする。この測定したカップの質量とこの直前に測定したカップの質量との差か

ら,1時間当たりに換算した質量の増加量を求める。この増加量を連続して5回以上測定し,連続

した5点以上の増加量の測定値が5%以内で一定になるまで測定を続ける。 

また,カップに投入した吸湿剤が,初期の質量に対して約10%(約50g)の吸湿をした時点で測

定を終了する。 

(d) カップの質量増加が240時間で0.2g以下の場合,測定を終了する。このときの透湿係数は,2ng/ (m2・

s・Pa) {0.001g/ (m2・h・mmHg)} 以下とする。 

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5.2.3 

結果の算出 測定結果から最小二乗法によって単位時間当たりの透湿量を求めて,次の式から透湿

係数,透湿率及び透湿抵抗を算出する。 

G

A

P

P

Zp

×

−2

1

P

P

1

Z

W=

μ=WP×d 

ここに, WP: 透湿係数 [ng/ (m2・s・Pa)] {g/ (m2・h・mmHg)} 
 

ZP: 透湿抵抗[(m2・s・Pa) /ng] {(m2・h・mmHg) /g} 

G: 透湿量 (ng/s) {g/h} 

A: 透湿面積 (0.062 5m2) 

P1: 恒温恒湿装置内の空気の水蒸気圧 (Pa) {mmHg} 

P2: 透湿カップ内の空気の水蒸気圧 (0Pa) {0mmHg} 

μ: 透湿率 [ng/ (m・s・Pa)] {g/ (m・h・mmHg)} 

d: 試料の厚さ (m) 

6. 報告 次の項目について報告する。 

(1) 試料の名称,種類,寸法,厚さ及び密度 

(2) 測定方法 

(3) 測定条件(恒温恒湿槽内の温度及び湿度) 

(4) 試料個々の測定結果及びその平均 

(5) 測定年月日 

(6) 測定機関名及び測定実施者 

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JIS A 1324新規原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

土 屋 喬 雄 

東洋大学工学部 

○ 大 澤 徹 夫 

岐阜工業高等専門学校 

羽 生 洋 治 

建設省住宅局 

社 本 孝 夫 

建設省住宅局 

平 松 博 久 

通商産業省生活産業局 

高 木 譲 一 

通商産業省工業技術院標準部 

岡 路 正 博 

通商産業省工業技術院計量研究所 

○ 上 園 正 義 

財団法人建材試験センター 

十 倉   毅 

財団法人日本建築総合試験所 

今 仲 昭 喜 

住宅・都市整備公団 

山 田 耕 二 

住宅金融公庫 

吉 留 一 馬 

社団法人プレハブ建築協会 

永 田 邦 光 

社団法人全国建設業協会 

○ 寒河江 昭 夫 

鹿島建設株式会社技術研究所 

蒲 谷 正 道 

社団法人日本建材産業協会 

谷 澤 喝 二 

ウレタンフォーム工業会 

二 藤 一 世 

押出発泡ポリスチレン工業会 

徳 田 正 男 

高発泡ポリエチレン工業会(古河電気工業株式会社) 

江 川 利 雄 

日本フォームスチレン工業組合 

原   敬 夫 

日本繊維板工業会 

(関係者) 

○ 藤 本 哲 夫 

財団法人建材試験センター 

(事務局) 

関 根 茂 夫 

財団法人建材試験センター 

備考 ○印は小委員会委員