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日本工業規格

JIS

 A

1304

-1994

建築構造部分の耐火試験方法

Method of fire resistance test for structural parts of buildings

1.

適用範囲  この規格は,建築物の壁,柱,はり,床(天井を含む。),屋根などの構造部分の耐火試験

方法について規定する。

備考1.  6.に規定する載荷加熱試験,7.に規定する注水試験又は8.に規定する衝撃試験は,必要に応じ

て行う。

2.

この試験に合格した構造は,次に示す区分によって表示する。

加熱試験の級別

30

分加熱

1

時間加熱

2

時間加熱

3

時間加熱

4

時間加熱

載荷加熱試験 L

その他の試験の有無

注水試験 W

衝撃試験 S

記号例:2 時間加熱 WS−2 時間加熱試験に合格し,注水試験と衝撃試験に合格したもの。

3.

この規格の引用規格を,次に示す。

JIS C 1602

  熱電対

4.

この規格の中で  {  }  を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,

参考値である。

2.

試験体

2.1

試験体は,その構造を実際のものと同一に製作し,部分によって耐火力に差がある場合は,耐火上

弱点と思われる部分を含ませる。

2.2

試験体内部に中空部がある場合には,壁及び床においては周囲及び裏面側を,柱及びはりにおいて

は両端部を密閉するように試験体を造らなければならない。

参考  鋼管にコンクリートを充てんしたような構造の場合は,充てん物の水分が高圧蒸気となって試

験体が爆発するおそれがあるから,安全のために鋼管に孔をあけた試験体とすること。


2

A 1304-1994

2.3

試験体の試験面の標準の大きさは,表 1 のとおりとする。

表 1

大きさ cm

構造部分

A B C

断面

高さ 240,幅 180 以上

高さ 180,幅 90

高さ 90,幅 90

屋根

長さ 240,幅 180 以上

長さ 180,幅 90

厚さは実際のものと同一とする。

高さ 240 以上

高さ 150

はり

長さ 240 以上

長さ 150

断面は実際のものと同一とする。ただ
し,鋼材に対する被覆材の厚さを変え
ることなく,その辺の長さ又は径を

40cm

以上とすることができる。

2.4

鋼構造の柱・はりの試験体は,2.3 の規定によるほか,その鋼材の断面は

表 のとおりとする。ただ

し,実際の構造の鋼材断面がこれより小さい場合は,その断面による。

表 2

構造部分

鋼材断面積 cm

2

寸法 cm

柱 120 以下

1

辺又は径約 30

はり 100 以下

せい      約 40

2.5

注水試験用及び衝撃試験用試験体については,防火上・構造上差異がないと認められる場合,壁の

試験体をもって,床・柱・はりの試験体の代替とすることができる。

2.6

試験体は,風通のよい室内でおおむね

表 の期間乾燥させる。ただし,人工乾燥によって前記以上

の乾燥状態とした場合又は気乾状態であることを適当な試験方法で確かめた場合は,この期間を短縮する

ことができる。

また,金属,ガラス製品などは乾燥の必要がない。

表 3

区分

コンクリート,モルタル塗など湿式工法によるもの

2

か月

3

か月

石綿スレート張など乾式工法によるもの

1

か月

1

か月

3.

加熱炉

3.1

加熱炉は,4.に示す温度の時間的変化を試験面の全面にほぼ一様に与えられるようなものとする。

3.2

加熱炉の熱源は,都市ガス,プロパン,重油その他適当な燃料とし,その炎は直接試験体に十分に

達し得るものとする。

3.3

試験体取付用枠は,耐熱性のものとし,試験面を所定の位置に保持できるような構造のものとする。

3.4

壁は,鉛直位置で片面から,柱は同じく四周から,はり,床及び屋根は水平位置で下方から加熱す

る。

3.5

載荷加熱試験用加熱炉には,加熱中に規定の荷重を試験体に載荷することができる装置を附属させ

る。


3

A 1304-1994

4.

加熱等級  加熱温度は,表 及び付図 の標準曲線によるものとし,加熱等級は加熱時間 30 分,1 時

間,2 時間,3 時間及び 4 時間のものを,それぞれ 30 分加熱,1 時間加熱,2 時間加熱,3 時間加熱及び 4

時間加熱という。

表 4

経過時間

(min)  5 10 15 20

25

30

35

40

45 50 55 60

加熱温度  (℃)  540 705 760 795

820

840

860

880

895 905 915 925

経過時間

(min)  65 70 75 80

85

90

95

100

110

120

130

140

加熱温度  (℃)

935

945

955

965

975

980

985

990

1 000

1 010

1 015

1 025

経過時間

(min)  150 160 170 180

190

200

210

220

230 240

加熱温度  (℃)

1 030

1 040

1 045

1 050

1 060

1 065

1 070

1 080

1 085

1 095

5.

加熱試験

5.1

試験面以外の部分は,火炎を遮断するように耐火れんがその他の材料で覆い,更にこれらの間がす

いていて試験面以外の部分が加熱されるおそれがある場合は,石綿その他のものを充てんするなど,適当

に処理して加熱する。

5.2

通気性,空げき,継目などのある構造では,試験体の加熱側の炉内気圧が大気圧より大となるよう

な加熱方法をとる。

このため,試験面にマノメータ類を取り付け,少なくとも加熱面の約

2

1

が大気圧より高い炉内気圧を受

けていることを確かめるものとする。

5.3

加熱温度は,

JIS C 1602

に規定する 0.75 級以上の性能をもつ径 1mm の CA 熱電対によって測定する。

5.4

加熱温度を測定する熱電対の熱接点は,

付図 のように壁・床・屋根にあっては試験面の中心及び

中心端部との中間に,また,柱・はりにあっては対称的に,

表 に示す個数以上を標準として設置する。

加熱温度測定用熱電対は,内径約 1cm の先端を封じた石英,鉄又は磁性保護管に入れ,その熱接点をそ

れぞれ試験面から約 3cm 離した位置で 10cm 以上試験面に平行するように置く。

表 5

構造部分

試験体の大きさ

はり

壁・床・屋根

A 12

(8)

個 9

(7)

個 9

(5)

B, C

  8 (6)

個 6

(5)

個 5

(3)

備考  括弧内は最小値

5.5

加熱は,5.4 に規定した熱電対の示す温度を 4.に規定した標準曲線に沿わせるようにして,予定した

加熱等級の加熱時間に達するまで行う。ただし,特に必要ある場合には,予定した加熱等級の加熱時間を

超えて加熱することができる。

5.6

加熱温度の測定は,30 分までは 2 分以内ごとに,30 分以後は 5 分以内ごとに行う。炉内平均温度の

標準曲線に対する許容誤差は,加熱時間温度面積で加熱時間 1 時間までは±10%,2 時間までは±7.5%,2

時間を超えるものは±5%とする。ただし,その許容誤差以上の高温で 5.10 の規定に合格した場合は,こ

の限りでない。


4

A 1304-1994

5.7

試験体には作製に際し,構造耐力上主要な鋼材表面に JIS C 1602 に規定する 0.75 級以上の性能をも

つ径 0.65mm の CA 熱電対を,壁・床・屋根にあっては試験面の中心及び中心端部との中間に,また,柱・

はりにあっては対称的に,

表 に示す個数以上取り付けておき,試験時の鋼材温度を測定する。

表 6

構造部分

試験体の大きさ

はり

壁・床・屋根

A 9

(6)

個 6

(5)

個 5

(4)

B, C

6 (4)

個 4

(3)

個 3

(2)

備考  括弧内は最小値

5.8

壁及び床は,加熱面の反対面の温度(継目その他の弱点部を含む。以下,裏面温度という。

)を測定

する。裏面温度の測定は,JIS C 1602 に規定する 0.75 級以上の性能をもつ径 0.65mm の CA 熱電対の熱接

点を 5 か所(B,C 試験体では 3 か所)以上配置し(

付図 参照),これを 10×10cm 以上,厚さ 1.5cm の

気乾状態のすぎ板で密着するように覆って測定する。

なお,予定した加熱等級の加熱時間を超えて加熱する場合には,上記のほかに熱接点を追加し,これを

各辺が 10cm 以上,厚さが 1cm の気乾状態の石綿板で密着するように覆って測定する。

5.9

鋼材の表面温度及び裏面温度は,加熱終了後も下降を示すまで測定する。温度の測定は,5 分以内ご

とに行う。

5.10

加熱試験の結果,試験体が次の条件に適合するものを合格とする。

(1)

加熱中,耐火上又は構造強度上有害と認められる変形・破壊・脱落などの変化を生じないこと。

備考  局部的な爆裂で表層のはく離にとどまるもの,及び積層材料で加熱側が一部爆裂,大き裂,は

く離,脱落などを生じても,裏面側材料又はしん材が,これらに該当しないものは合格とする。

(2)

加熱中,壁・床及び屋根は,火炎を通すようなき裂が入らないこと。

備考  裏面に達するき裂を認めた場合には,その部分に木綿の綿を当てて,これに着火がなければ合

格とする。

(3)

壁及び床は,5.8 に規定する裏面温度が 260℃を超えないこと。ただし,外壁で屋内から加熱した場合

の裏面温度についてはこの限りでない。

予定した加熱等級の加熱時間を超えて加熱した場合には,石綿板で覆った熱電対の示す温度が加熱

終了後下降を示すまでの時間を,予定した加熱等級の加熱時間に加えた時間において,すぎ板で覆っ

た熱電対の示す温度が,この条件に適合すること。

(4)  5.7

に規定する鋼材温度の最高及び平均が,

表 に示す温度を超えないこと。

予定した加熱等級の加熱時間を超えて加熱した場合には,加熱終了後下降を示すまでの時間を予定

した加熱等級の加熱時間に加えた時間において,この条件に適合すること。

表 7

単位  ℃

構造部分

構造種類

柱・はり

床・屋根 
壁(外壁の非耐力壁を除く。

鉄骨鉄筋コンクリート造

最高温度

500

以下

550

以下

鉄筋コンクリート造

鉄筋コンクリート製パネルなど

プレストレストコンクリート造

最高温度

400

以下

450

以下

鋼構造

最高温度

450

以下

500

以下

平均温度

350

以下

400

以下


5

A 1304-1994

(5)

構成材のいずれもが加熱中著しい発炎をせず,加熱終了後 10 分間以上火気が残存しないこと。

6.

載荷加熱試験

6.1

構造耐力上主要な構造部分の A 試験体による耐火試験については,5.10(4)によらないで,載荷加熱

試験を行うことによって,合否の判定を行うことができる。

6.2

長期許容応力度の 1.2 倍に相当する応力度が試験体に生じるように載荷しながら 5.の加熱試験を行

う。ただし,屋上として利用しない屋根にあっては,屋根面 1m

2

ごとに区分し,区分されたそれぞれの部

分の中央部に 637N {65kgf}  の集中荷重を加えるものとする。

6.3

載荷加熱試験の結果,主構造材が耐力上の破壊を示さず,かつ,5.10(4)を除く各項に適合するもの

を合格とする。この場合,破壊を示さないとは,試験体のたわみ,伸びなどの変形量の時間的変化が急変

せず,かつ,床については最大たわみ (cm) が,試験体の支点間距離 (cm) を 2 乗したものの

000

10

1

を超え

ず,また,屋根については最大たわみ (cm) が,試験体の支点間距離 (cm) を 2 乗したものの

000

6

1

を超え

ないことをいう。

7.

注水試験  5.の試験方法によって 30 分(30 分加熱のものは 10 分)以上加熱した試験体に,速やかに

水平距離 5m,表面に対して 45 度の角度で,筒先口径 12.7mm,筒先圧力 137.2kPa {1.4kgf/cm

2

}

の注水を

試験面のほぼ中央に 2 分間行い,甚だしい破損・欠落のないものを合格とする。

備考  従来単位の試験機又は計測器を用いて試験する場合の国際単位系 (SI) による数値への換算は

次による。

1kgf

=9.80N

8.

衝撃試験  5.の試験方法によって 30 分(30 分加熱のものは 10 分)以上加熱した試験体の試験面を上

(床又は屋根の場合は下)にして水平に置き,これに

付図 に示す形状の重量 1kg,5kg 又は 10kg のなす

形おもりを,構造部分の種類に応じて

表 に示す高さから試験体の弱点部に落とす。その結果,耐火被覆

材の全厚にわたるはく離又は裏面に達する穴があかないものを合格とする。

表 8

加熱等級

30

分加熱

1

時間加熱

2

,3,4 時間加熱

項目

構造部分

床・屋根

柱・壁

柱・壁

柱・壁

おもりの質量

kg 1 1 5 5

10

10

落高

cm 200 100 200 100 200 100


6

A 1304-1994

9.

判定及び報告

9.1

5.

の加熱試験は,試験体の大きさ及びその組合せによって,

表 に示す回数を行い,各回とも合格し

なければならない。

表 9

構造部分

試験体の大きさと試験の回数

記号

試験体の大きさが A のもの 1 回と C のもの 1 回との組合せ AC

試験体の大きさが B のもの 2 回 BB

(

1

)

試験体の大きさが C のもの 3 回 CCC

試験体の大きさが A のもの 1 回と B のもの 1 回との組合せ AB

床・柱・はり・屋根

試験体の大きさが B のもの 3 回 BBB

(

1

)

両面の材料構成が対称でない壁にあっては,その両面について,それぞれこの回数を行
う。ただし,次に該当する構造部分については C 試験体だけで判定してはならない。

(a)

厚い空気層などを含んで総厚が大きいもの。

(b)

加熱による材料の伸長,収縮又はたわみなどの変化のため,すき間,き裂,はく落
などの防火上有害な変形を生じるおそれのあるもの。

9.2

6.

の載荷加熱試験,7.の注水試験及び 8.の衝撃試験は 2 回行い,それぞれ合格しなければならない。

9.3

試験結果の報告書には,構造種類の名称,使用材料の詳細(比重,含水率その他の品質を含む。

試験体の形状,寸法,加熱等級,熱源,加熱温度,裏面温度と鋼材温度及びその平均値とその測定位置,

最高値とこれに達した時間,防火上重要な観察事項,結果の判定とその理由,燃料消費量,試験年月日,

試験機関名及び試験担当者名を記載する。

付図 1


7

A 1304-1994

付図 2  (温度測定位置の標準例)


8

A 1304-1994

付図 3

建築部会  防火試験方法専門委員会  構成表(昭和 50 年 1 月 16 日改正のとき)

氏名

所属

(委員会長)

岸  谷  孝  一

東京大学工学部

斉  藤      光

千葉大学工学部

森  脇  哲  男

東京理科大学

阿  部      寛

農林省林業試験場

矢筈野  義  郎

自治省消防庁

木  原  滋  之

通商産業省生活産業局

市  橋  利  明

工業技術院標準部

今  泉  勝  吉

建設省建築研究所

斉  藤  文  春

建設省建築研究所

中  山      実

東京消防庁

高  野  孝  次

財団法人建材試験センター

正法院  陽  三

財団法人日本建築総合研究所

佐  藤      温

建設省住宅局

秋  田      実

東京都建築材料検査所

(事務局)

田  村  尹  行

工業技術院標準部材料規格課

松  本  大  治

工業技術院標準部材料規格課

小  林  秋  穂

工業技術院標準部材料規格課

(事務局)

牛  島  宏  育

工業技術院標準部材料規格課(平成 6 年 2 月 15 日改正のとき)

荒  井      淳

工業技術院標準部材料規格課(平成 6 年 2 月 15 日改正のとき)