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A 1217:2009  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 試験装置及び器具 ············································································································· 2 

4.1 圧密試験機 ··················································································································· 2 

4.2 供試体作製器具 ············································································································· 3 

4.3 その他の器具 ················································································································ 4 

5 供試体の作製 ··················································································································· 5 

5.1 供試体の形状及び寸法 ···································································································· 5 

5.2 供試体の成形 ················································································································ 5 

6 試験方法························································································································· 6 

6.1 準備 ···························································································································· 6 

6.2 載荷及び測定 ················································································································ 6 

6.3 解体 ···························································································································· 7 

7 計算······························································································································· 7 

7.1 供試体の初期状態 ·········································································································· 7 

7.2 圧密量−時間の関係 ······································································································· 7 

7.3 圧密量と圧力との関係 ··································································································· 11 

8 報告······························································································································ 13 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人地盤工学

会(JGS)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会

の審議を経て,国土交通大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS A 1217:2000は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

A 1217:2009 

土の段階載荷による圧密試験方法 

Test method for one-dimensional consolidation properties of soils using 

incremental loading 

序文 

この規格は,1960年に制定され,その後6回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は2000年に

行われたが,その後供試体の成形方法,JIS Z 8301に基づく表記,用語の変更などに対応するために改正

した。 

なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。 

適用範囲 

この規格は,土を一次元的に,かつ,段階載荷によって排水を許しながら圧密し,圧縮性及び圧密速度

に関する定数を求める方法について規定する。この規格は,細粒分を主体とした透水性の低い飽和土に適

用できる。 

なお,細粒分を主体とした飽和度の低い土の圧縮性を求める場合にも,この規格を準用することができ

る。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS A 1202 土粒子の密度試験方法 

JIS A 1203 土の含水比試験方法 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

3.1 

圧密 

細粒分を主体とした透水性の低い土が静的荷重を受け,間げき(隙)水を徐々に排出して密度を増加す

ること。 

3.2 

段階載荷 

荷重の大きさを段階的に順次増加していく載荷方法で,各段階の荷重をほぼ瞬間的に与えて所定の時間

一定に保つ。 

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3.3 

載荷段階 

段階載荷における圧力段階。 

3.4 

荷重増分比 

ある段階の圧密圧力増分の前段階における圧密圧力に対する比。 

3.5 

圧密圧力 

土を圧密するために与える圧力で,供試体上端面に与える荷重を供試体断面積で除した圧力。 

3.6 

理論圧密度 

圧密理論によって定義される圧密度合を表す指標。 

3.7 

一次圧密 

実際の圧密量と時間関係のうち,理論圧密度100 %までに対応する部分。 

3.8 

圧密降伏応力 

土が可逆的な体積変化を示す領域から,非可逆的な体積変化を示す領域に移行する境界の圧密圧力。 

3.9 

過圧密 

現在受けている圧密圧力が,その土の圧密降伏応力より低い状態。 

3.10 

正規圧密 

現在受けている圧密圧力が,その土の圧密降伏応力を超えている状態。 

試験装置及び器具 

4.1 

圧密試験機 

圧密試験機は,次のとおりとする。 

a) 圧密容器 圧密容器は,次のものから構成され,圧密圧力によって変形しない十分な剛性をもつもの。

圧密容器の例を,図1に示す。 

background image

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図1−圧密容器の例 

1) 圧密リング 圧密リングは,内面の滑らかなリングで,内径6 cm,高さ2 cmを標準とする。ステ

ンレス鋼などのさびない材質で,土との摩擦の少ないものを用いる。また,最大圧密圧力時の内径

変化は,0.05 %以下のもの。 

なお,供試体の土質特性によっては,圧密リングは,5.1に基づいて異なる寸法のものを使用する。 

注記 圧密リングとガイドリングとが一体化した構造のものでもよい。 

2) ガイドリング ガイドリングは,圧密リングと同じ内径で,高さが加圧板の外周の高さと同程度の

もの。 

3) 加圧板 加圧板は,中心に載荷点がある剛な円板で,多孔板をもち,ガイドリング及び圧密リング

内を滑らかに動くもの。 

なお,加圧板の直径は,圧密リングよりも0.2 mm程度小さく,外周面は滑らかで,外周の高さ

は10 mm〜15 mmとする。 

4) 底坂 底板は,圧密リングを固定する剛板で,多孔板をもつもの。 

5) 多孔板 多孔板は,十分な剛性をもち,透水係数が1×10−6 m/s以上で,土粒子が入らない程度に

間げきが小さいもの。 

なお,多孔板は,供試体の断面積の85 %以上の面積をもつものとする。多孔板に土粒子の侵入

が懸念される場合は,圧縮性の小さな親水性の透水性薄膜をフィルターとして用いる。また,試験

前に多孔板に目詰まりがないことを確認する。 

b) 水浸容器 水浸容器は,圧密容器内の供試体を水浸状態に保持できるもの。 

c) 載荷装置 載荷装置は,圧密容器を水平に支持し,規定の荷重を供試体に衝撃及び偏心なしに短時間

に加えることができ,供試体に規定の圧密圧力を段階的に加えることができる重錘レバー式又は空気

圧式で,各載荷段階の圧力変動を100 kN/m2未満では±1 kN/m2,100 kN/m2以上では±1 %の範囲内

で保持できるもの。 

なお,重錘レバー式の場合は,レバーの傾きを調整できる機構をもつものとする。 

d) 変位計 変位計は,予想される供試体の総圧密量が10 mm未満の場合は0.002 mmまで,10 mm以上

の場合は0.01 mmまで測定できるものを標準とする。ダイヤルゲージ又はこれと同等以上の性能をも

つ電気式変位計を用いる。 

4.2 

供試体作製器具 

供試体作製器具は,次のとおりとする。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) トリマー トリマーは,試料を圧密リング内径よりも少し大きい円盤状に成形でき,かつ,成形した

試料にカッターリングを垂直に圧入できるもの。トリマーの例を,図2に示す。 

単位 mm 

図2−トリマーの例 

b) カッターリング カッターリングは,圧密リングと同じ内径をもつ内面が滑らかなリングで,その一

端は鋭利な刃となっており,他の一端には圧密リングを取り付けられるもの。カッターリングの例を,

図3に示す。 

図3−カッターリングの例 

c) 供試体押込み円板 供試体押込み円板の直径は,圧密リングよりも0.3 mm程度小さいもの(図4参

照)。 

  

図4−供試体押込み円板の例 

d) ワイヤソー ワイヤソーは,ワイヤの直径が0.2 mm程度のもの。 

e) 直ナイフ 直ナイフは,鋼製で片刃の付いたもの。 

4.3 

その他の器具 

a) はかり はかりは,0.01 gまではかることができるもの。 

b) ノギス ノギスは,0.05 mmまで測定できるもの。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) 含水比測定器具 含水比測定器具は,JIS A 1203に規定するもの。 

d) 時計 時計は,秒読みのできるもの。 

e) 最高最低温度計 最高最低温度計は,最小目盛1 ℃以下のもの。 

f) 

シリコンオイル又はシリコングリース 圧密リング及びカッターリングの内面に塗布し,供試体との

摩擦を軽減するもの。 

供試体の作製 

5.1 

供試体の形状及び寸法 

供試体は,直径6 cm,高さ2 cmを標準とする。それ以外の寸法の供試体を用いる場合は,供試体の直

径を高さの2.5倍以上にする。 

注記1 透水性の比較的高い試料の圧密係数を求める場合は,供試体の高さを2 cmより大きくするこ

とが望ましい。また,透水性の特に低い粘土の場合で,一次圧密が24時間以内に終わらない

場合は,供試体の高さを2 cmより小さくすることが望ましい。 

注記2 供試体の高さは,試料の最大粒径の10倍以上にすることが望ましい。 

5.2 

供試体の成形 

供試体の成形は,次のとおり行う。 

なお,供試体の成形は,含水比を変化させないように手際よく行い,また,試料に乱れを与えないよう

に十分注意しなければならない。 

a) 圧密リングの質量mR(g),高さH0(cm)及び内径D(cm)をはかる。 

b) 必要な供試体高さよりも5 mm〜10 mm大きい試料をトリマーの回転板上に置き,ワイヤソーを用い

て試料を供試体の直径よりも3 mm〜5 mm大きな円盤状に成形する。 

c) トリマー上の試料の上面に圧密リングを装着したカッターリングを置き,刃先が当たる部分の試料を

ワイヤソーでカッターリングの内径よりも1 mm〜2 mm大きく削り,トリマーの上板を軽く押し,試

料にカッターリングを2 mm〜3 mm押し込む。この操作を繰り返して,試料をカッターリング内にす

き間なく入れる。 

注記1 圧密リングとカッターリングとの内面にシリコンオイル又はシリコングリースを薄く塗

り,供試体との摩擦を軽減するとよい。 

注記2 サンプリングチューブの内径が圧密リングの内径と一致する場合は,サンプリングチュー

ブから直接圧密リングに試料を押し込んでもよい。 

注記3 試料が十分に硬い場合には,トリマー上で試料を供試体の直径よりも0.01 mm〜0.10 mm

大きく削り,これを圧密リングに直接押し込んでもよい。 

注記4 ワイヤソーによる試料の成形が難しい場合はナイフなどを用いてもよい。 

d) 供試体押込み円板を用いてカッターリング内の試料を圧密リング内に移した後,カッターリングを外

し,圧密リングから出ている部分をワイヤソーで切り落とし,両端面を直ナイフで平面に仕上げる。

れき(礫)又は貝殻を取り除いてできた小さなくぼみは,削りくずで埋める。 

e) 圧密リングに供試体を入れた状態の質量mT(g)をはかる。 

f) 

削りくずから代表的な試料を取り,JIS A 1203によって初期含水比w0(%)を求める。 

なお,この初期含水比は,試験終了を待たずに試験結果を整理する場合,及び試験後に求める供試

体の初期含水比を確認するために用いる。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

試験方法 

6.1 

準備 

準備は,次による。 

a) 供試体が入った圧密リングを圧密容器の底板の上に置き,ガイドリングを圧密リングに取り付ける。

加圧板を供試体上面に置いて,圧密容器を組み立てる。 

なお,多孔板は気乾状態のものを用いる。透水性薄膜を用いる場合は,供試体の上下端面に乾いた

状態ではり付ける。 

b) 圧密容器を空の水浸容器に入れて載荷装置に設置し,変位計を取り付ける。 

なお,圧密容器を載荷装置に設置する際に,載荷点が供試体の中心軸を通るよう注意する。変位計

は供試体端面に垂直に,供試体中心軸に近く設置する。また,載荷前又は載荷中に試料を吸水膨張さ

せないように注意する必要がある。 

6.2 

載荷及び測定 

荷重の載荷及び圧密量の測定は,次による。 

なお,除荷,再載荷過程のデータが必要な場合にも,これを準用する。 

a) 圧密圧力p(kN/m2)の荷重増分比を1とする。載荷段階の数は8,pの範囲は10 kN/m2〜1 600 kN/m2

を標準とする。 

なお,土の硬さ又は試験の目的に応じて,第1載荷段階の圧密圧力及び載荷段階の数を決定する。

場合によっては,上記の範囲外の圧密圧力を加えてもよい。また,圧密降伏応力pc(kN/m2)を求め

るためには,通常pcの前後各3載荷段階以上の圧密圧力で載荷することとする。 

b) 圧密圧力は,衝撃を与えないように短時間に載荷する。一つの載荷段階で24時間圧密した後,次の載

荷段階に移る。圧密圧力は2秒,又は0.05t50のいずれか小さい方の時間内に規定の圧力になるように

載荷する。t50はその段階の理論圧密度50 %に当たる時間である。 

なお,24時間を経過しても一次圧密が終了しない場合は,一次圧密終了が確認できるまで圧密時間

を延長する。ただし,過圧密領域で,短時間に圧密の終了が確認できた場合は,24時間を経過する前

に次の段階に移ってもよい。 

c) 各載荷段階の載荷直前の変位計の読みdi(mm)を記録する。 

d) 変位計の読みd(mm)は,圧密量−時間の関係を滑らかな曲線で描くことのできるような経過時間ご

とに記録する。 

なお,変位計の読みを測定するときの経過時間は,次の例を参考にする。 

3 s,6 s,9 s,12 s,18 s,30 s,42 s,1 min,1.5 min,2 min,3 min,5 min,7 min,10 min,15 min,

20 min,30 min,40 min,1 h,1.5 h,2 h,3 h,6 h,12 h,24 h 

e) 圧密降伏応力を超えたとみなせる時点で,水浸容器に水を満たして供試体を水浸させる。それまでの

間は圧密容器を湿った布で覆うなど供試体を乾燥させないようにする。 

なお,飽和度の低い試料にこの規格を準用する場合は,供試体を水浸させない。ただし,供試体を

乾燥させないような処理が必要である。 

注記1 膨張するおそれのない試料では,第1載荷段階の圧密圧力を載荷後,供試体を水浸させて

もよい。 

f) 

第1載荷段階の載荷開始から最終載荷段階の測定終了に至る間の最高及び最低室温を記録する。 

注記2 試験は温度変化が±4 ℃以下になるように管理された室内で実施することが望ましい。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.3 

解体 

最終載荷段階の測定が終了した後,圧密容器から供試体全量を蒸発皿に取り出して(110±5) ℃で質量が

一定になるまで炉乾燥し,供試体の炉乾燥質量ms(g)をはかる。 

なお,飽和度の低い供試体の試験後の飽和度を求める場合には,供試体が吸水しないように除荷及び解

体し,供試体全量の湿潤質量を測定してから炉乾燥し,試験後の含水比を測定する。 

計算 

7.1 

供試体の初期状態 

初期状態の供試体の含水比w0(%),間げき比e0及び飽和度Sr0(%)は,次の式によって算出する。 

100

)

(

s

s

R

T

0

×

=

m

m

m

m

w

1

s

0

0

=H

H

e

w

0

s

0

0r

ρ

ρ

e

w

S=

4

/

2

s

s

s

s

s

D

m

A

m

H

π

ρ

ρ

=

=

ここに, 

w0: 初期含水比(%) 

e0: 初期間げき比 

Sr0: 初期飽和度(%) 

mT: 圧密前の供試体及び圧密リングの質量(g) 

mR: 圧密リングの質量(g) 

ms: 供試体の炉乾燥質量(g) 

H0: 供試体の初期高さ(cm) 

Hs: 供試体の実質高さ(cm) 

A: 供試体の断面積(cm2) 

D: 供試体の直径(cm) 

ρs: JIS A 1202によって求めた土粒子の密度(g/cm3) 

ρw: 水の密度(g/cm3) 

なお,e0の代わりに体積比f0を用いてよい。f0は次の式によって算出する。 

s

0

0

H

H

f=

ここに, 

f0: 初期体積比 

7.2 

圧密量−時間の関係 

7.2.1 

各載荷段階の圧密量と時間との関係 

各載荷段階の圧密量と時間との関係は,次の手順で整理する。 

a) 次の方法によって,理論圧密度0 %に当たる変位計の読みd0(mm),理論圧密度100 %に当たる変

位計の読みd100(mm),及び理論圧密度90 %に当たる時間t90(min)又は理論圧密度50 %に当たる

時間t50(min)を求める。 

なお,飽和度の低い試料にこの規格を準用する場合には,d0,d100,t90又はt50を求めない。 

注記 過圧密領域では,d0,d100,t90又はt50を強いて求める必要はない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1) √t法(図5参照) 

図5−√t法による整理の例 

1.1) 縦軸に変位計の読みd(mm)を算術目盛に,横軸に経過時間t(min)を平方根目盛にとってd−

√t曲線を描く。 

1.2) d−√t曲線の初期の部分に現れる直線部を延長してt=0に当たる点を初期補正点として,この点の

変位計の読みをd0(mm)とする。 

1.3) 初期補正点をとおり,1.2)で求めた直線の1.15倍の横距をもつ直線を描き,d−√t曲線との交点を

理論圧密度90 %の点とし,この点の変位計の読みd90(mm)及び時間t90(min)を求める。 

1.4) d100は,次の式によって算出する。 

0

0

90

100

)

(

9

10

d

d

d

d

+

=

ここに, 

d100: 各載荷段階の理論圧密度100 %に当たる変位計の読み

(mm) 

d90: 各載荷段階の理論圧密度90 %に当たる変位計の読み

(mm) 

d0: 各載荷段階の理論圧密度0 %に当たる変位計の読み

(mm) 

2) 曲線定規法 1)で整理したときに初期の直線部が求めにくい場合には,この方法によって整理する

(図6参照)。 

図6−曲線定規法による整理の例 

2.1) 縦軸に変位計の読みd(mm)を算術目盛に,横軸に経過時間t(min)を対数目盛にとってd−log 

t曲線を描く。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2.2) d−log t曲線を描いたものと同じ長さのlogサイクルに描いた曲線定規(図7参照)をd−log t曲

線上に当てて上下左右に平行移動し,d−log t曲線の初期部分を含み最も長い範囲で一致する曲線

を選ぶ。 

図7−曲線定規 

2.3) 曲線定規の理論圧密度0 %に当たる変位計の読みをd0(mm)とする。 

2.4) 2.2)で選んだ曲線からt50及びd100を求める。 

注記 曲線定規は,表1に示す理論解を用いて,縦軸に理論圧密度U(%),横軸に時間係数TV

の対数をとり,Uのスケールを変えて描いた理論圧密曲線群である。 

表1−UとTVとの理論解 

U(%) 

10 

20 

30 

40 

50 

60 

70 

80 

90 

95 

98 

TV 

0.008 

0.031 

0.071 

0.126 

0.197 

0.287 

0.403 

0.567 

0.848 

1.15 

1.50 

b) 縦軸に変位計の読みd(mm)を算術目盛に,横軸に経過時間t(min)を対数目盛にとって圧密量−時

間曲線(d−log t曲線)を描き,di,d0,d100,及びt90又はt50の位置を示す(図8参照)。 

図8−圧密量と時間との関係の例 

10 

A 1217:2009  

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7.2.2 

各載荷段階の圧密量,供試体高さ及び平均供試体高さ 

各載荷段階の圧密量∆H(cm),供試体高さH(cm)及び平均供試体高さH(cm)は,次の手順で求め

る。 

a) 各載荷段階の圧密量∆H(cm)は,次の式によって算出する。ただし,第1載荷段階の場合には,d0

を読みかえてdiとする。 

10i

f

d

d

H

=

ここに, 

∆H: 各載荷段階の圧密量(cm) 

df: 各載荷段階の最終の変位計の読み(mm) 

di: 各載荷段階の載荷直前の変位計の読み(mm) 

なお,各載荷段階の一次圧密量∆H1(cm)及び一次圧密比rを求める場合は,次の式によって算出

する。 

10

0

00

1

1

d

d

H

=

H

H

r

∆1

=

ここに, 

∆H1: 各載荷段階の一次圧密量(cm) 

r: 各載荷段階の一次圧密比 

b) 各載荷段階の圧密終了時の供試体高さH(cm)及び平均供試体高さH(cm)は,次の式によって算

出する。ただし,第1載荷段階の場合には,H' はH0とする。 

H

H'

H

=

2

H'

H

H

+

=

ここに, 

H: 各載荷段階の圧密終了時の供試体高さ(cm) 

H: 各載荷段階の平均供試体高さ(cm) 

H': 直前の載荷段階の圧密終了時の供試体高さ(cm) 

7.2.3 

各載荷段階の圧密係数 

a) 7.2.1で,t90又はt50を求めた場合には,各載荷段階の圧密係数cv(cm2/d)は,次の式によって算出す

る。 

90

2

v

440

1

2

848

.0

t

H

c =

 (√t法による場合) 

50

2

v

440

1

2

197

.0

t

H

c =

 (曲線定規法による場合) 

ここに, 

cv: 各載荷段階の圧密係数(cm2/d) 

t90: 各載荷段階の理論圧密度90 %に当たる時間(min) 

t50: 各載荷段階の理論圧密度50 %に当たる時間(min) 

注記 第1載荷段階のcvを強いて求める必要はない。 

b) 縦軸にcvを対数目盛に,横軸に次の式で求めた各載荷段階の平均圧密圧力p(kN/m2)を対数目盛に

とってlog cvとlogpとの関係を示す。ただし,第1載荷段階のpはp/2とする。 

p'

p

p

×

=

background image

11 

A 1217:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ここに, 

p: 各載荷段階の平均圧密圧力(kN/m2) 

p: 各載荷段階の圧密圧力(kN/m2) 

p': 直前の載荷段階の圧密圧力(kN/m2) 

7.3 

圧密量と圧力との関係 

7.3.1 

圧縮曲線,圧縮指数及び圧密降伏応力 

圧縮曲線,圧縮指数及び圧密降伏応力は,次の手順で求める。 

a) 各載荷段階の圧密終了時の間げき比eは,次の式によって算出する。 

1

s

=HH

e

ここに, 

e: 各載荷段階の圧密終了時の間げき比 

b) 縦軸にa)で求めた間げき比eを算術目盛に,横軸にその載荷段階の圧密圧力p(kN/m2)を対数目盛に

とって圧縮曲線を描く。 

なお,各載荷段階の圧縮曲線は,eの代わりに次の式によって算出する体積比fで描いてもよい。 

s

H

H

f=

ここに, 

f: 各載荷段階の圧密終了時の体積比 

c) 圧縮曲線の正規圧密領域の直線部に2点a,bをとり圧縮指数Ccは,次の式によって算出する(図9

参照)。 

)

/

log(

a

b

b

a

c

p

p

e

e

C

=

ここに, 

Cc: 圧縮指数 

図9−Ccの求め方 

ただし,圧縮曲線をfで描いた場合には,Ccは次の式によって算出する。 

)

/

log(

a

b

b

a

c

p

p

f

f

C

=

なお,圧縮曲線に明りょう(瞭)な直線部分が認められない場合は,正規圧密領域の最もこう(勾)

配の大きい部分を直線近似して求める。 

さらに,目的に応じて必要な圧力範囲における圧縮曲線の平均こう配からCcを求める。その場合は,

対応する圧力範囲を併記する。 

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12 

A 1217:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

d) 圧密降伏応力pc(kN/m2)は,次の方法によって求める(図10参照)。ただし,pc(kN/m2)を求めに

くい場合は,pを算術目盛にとってe−p曲線又はf−p曲線を描き,それが上に凸な部分をもたなけれ

ばpcを求めなくてよい。 

図10−pcの求め方 

1) Cc'=0.1+0.25Ccのこう配をもつ直線と圧縮曲線の接点Aを求める。 

2) 点Aを通ってCc"=Cc'/2のこう配をもつ直線と圧縮曲線の正規圧密領域の最急こう配部を代表する

直線の延長との交点Bの横座標をpcとする。 

なお,間げき比0.1に相当する縦軸のスケールを横軸の対数目盛1サイクルの長さの0.1〜0.25に

とって圧縮曲線を描き,明りょうな最大曲率点が得られる場合には,次の方法でpcを求めてよい(図

11参照)。 

2.1) 圧縮曲線の最大曲率の点Aを求め,この点から水平線AB及び曲線の接線ACを引く。 

2.2) 二つの直線の二等分線ADと圧縮曲線の正規圧密領域の最急こう配部を代表する直線の延長との

交点Eの横座標をpcとする。 

図11−pcの求め方[7.3.1 d) 2) 2.1)及び2.2)による場合] 

7.3.2 

各載荷段階の体積圧縮係数 

a) 各載荷段階で生じる圧縮ひずみの増分∆ε(%)は,次の式によって算出する。 

13 

A 1217:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

100

×

=HH

ε

ここに, 

∆ε: 各載荷段階で生じる圧縮ひずみの増分(%) 

b) 各載荷段階の体積圧縮係数mv(m2/kN)は,次の式によって算出する。 

p

m

ε

∆100

/

v=

ここに, 

mv: 各載荷段階の体積圧縮係数(m2/kN) 

∆p: 各載荷段階の圧密圧力の増分(p−p')(kN/m2) 

c) 縦軸にmvを対数目盛に,横軸に平均圧密圧力p(kN/m2)を対数目盛にとってlog mvとlog pとの関

係を示す。 

報告 

試験結果には,次の事項を報告する。 

a) 供試体の直径(cm)及び初期高さ(cm) 

b) 供試体の初期状態の含水比(%),間げき比又は体積比及び飽和度(%) 

c) 各載荷段階の圧密量[変位計の読み(mm)と時間(min)の対数との関係を表す曲線] 

d) 圧縮曲線 

e) 圧縮指数 

f) 

圧密降伏応力(kN/m2) 

g) 体積圧縮係数(m2/kN)と平均圧密圧力(kN/m2)との関係 

h) 圧密係数(cm2/d)と平均圧密圧力(kN/m2)との関係及び圧密係数を求めた方法 

i) 

試験期間中の最高及び最低室温(℃) 

j) 

その他報告事項 

注記1 24時間圧密しない場合は,その載荷段階の圧密圧力及び載荷継続時間を報告することが望ま

しい。 

注記2 その他報告事項の例として,次の項目がある。 

1) 試料及び供試体の作製方法 

2) 供試体の状態,貝殻片及び粗大粒子の混入状態 

3) 一次圧密比 

関連規格:JIS Z 8301 規格票の様式及び作成方法