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A 1171 : 2000

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,建設大臣が改正した日本工

業規格である。これによって JIS A 1172 : 1978,JIS A 1173 : 1978 及び JIS A 1174 : 1978 はこの規格に統合

廃止され,JIS A 1171 : 1978 は改正され,この規格に置き換えられる。


日本工業規格

JIS

 A 1171

: 2000

ポリマーセメントモルタルの試験方法

Test methods for polymer-modified mortar

1.

適用範囲  この規格は,ポリマーセメントモルタルの試験方法について規定する。

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用することによって,この規格の規定の一部を構成する。

これらの引用規格は,その最新版を適用する。

JIS A 1128

  フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法−空気室圧力方法

JIS A 1129

  モルタル及びコンクリートの長さ変化試験方法

JIS A 1404

  建築用セメント防水剤の試験方法

JIS A 5308

  レディーミクストコンクリート

JIS A 6203

  セメント混和用ポリマーディスパージョン及び再乳化形粉末樹脂

JIS A 6204

  コンクリート用化学混和剤

JIS A 6205

  鉄筋コンクリート用防せい剤

JIS K 5664

  タールエポキシ樹脂塗料

JIS K 8123

  塩化カルシウム(試薬)

JIS R 5201

  セメントの物理試験方法

JIS R 6252

  研磨紙

JIS Z 8401

  数値の丸め方

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

a)

セメント混和用ポリマー  セメントモルタル及びコンクリートの改質を目的にそれらに混和して用い

るセメント混和用ポリマーディスパージョン及びセメント混和用再乳化形粉末樹脂の総称。

b)

セメント混和用ポリマーディスパージョン(以下,ディスパージョンという。)  水の中にポリマーの

微粒子が分散している系。次の 2 種類に区分される。

1)

セメント混和用ゴムラテックス  合成ゴム系,天然ゴム系,ゴムアスファルト系などのゴムラテッ

クスに安定剤,消泡剤などを加えて,よく分散させ均質にしたもの。以下,ゴムラテックスという。

2)

セメント混和用樹脂エマルション  エチレン酢酸ビニル系,アクリル酸エステル系,樹脂アスファ

ルト系などの樹脂エマルションに安定剤,消泡剤などを加えて,よく分散させ均質にしたもの。以

下,樹脂エマルションという。

c)

セメント混和用再乳化形粉末樹脂(以下,粉末樹脂という。)  ゴムラテックス及び樹脂エマルション

に安定剤などを加えたものを乾燥して得られる,再乳化可能な粉末状樹脂。

d)

ポリマーセメントモルタル  結合材にセメントとセメント混和用ポリマーを用いたモルタル。

e)

ポリマーセメント比  ポリマーセメントモルタル及びコンクリートにおけるセメントに対するディス


2

A 1171 : 2000

パージョン及び粉末樹脂の全固形分の質量比。

f)

全固形分  ディスパージョンにおいては不揮発分,粉末樹脂においては揮発分以外の成分。

4.

試験の一般条件

4.1

数値の丸め方  数値の丸め方は,JIS Z 8401 による。

4.2

試験室の状態  試験室の状態は,特に規定がない限り,温度 20±2℃,相対湿度 60%以上とする。

この温度及び相対湿度以外は,その値を記録しておく。

5.

ポリマーセメントモルタルの調製方法

5.1

試験用機械器具  機械練りに用いる練混ぜ機は,JIS R 5201 の 8.1(2)(機械練り用練混ぜ機),機械

練りに用いるさじ及び手練りに用いる鉢及びさじは,JIS R 5201 の 8.1(3)(手練り用練混ぜ器具)に規定

するものとする。

5.2

材料の準備

a)

試験に用いるすべての材料は,あらかじめ試験室内に入れ,室温と等しくなるようにする。

b)

セメントは,防湿容器に密閉して準備する。

備考  セメントの風化による塊がある場合は,使用しない。

c)

細骨材は,粒度及び含水状態がバッチごとに変化しないように準備する。

d)

セメント混和用ポリマーは,全固形分が変化しないように,密閉容器に入れて準備する。

e)

練混ぜに用いる水は,JIS A 5308 

附属書 9(規定)(レディーミクストコンクリートの練混ぜに用い

る水)に規定するものとする。

f)

既調合の液体材料は,濃度が変化しないように,密閉容器に入れて準備する。

g)

既調合の粉体材料は,防湿容器に密閉して準備する。

5.3

材料の計量  各材料は,ポリマーセメントモルタルの所定の配合に基づき,感量 1g のはかりを用い

て,質量で別々に計量する(

1

)

。ただし,水は,所定量が採取できる容積計量器で計量してもよい。

(

1

)

ポリマーセメントモルタルの所定配合は,通常,セメント細骨材比,ポリマーセメント比及び

水セメント比によって表されるので,1回の練混ぜに必要な各材料の質量は,これらの値から,

細骨材の含水率,セメント混和用ポリマーの全固形分などを考慮して算出する。

5.4

ポリマーセメントモルタルの練混ぜ

a)

ポリマーセメントモルタルの練混ぜは,機械練り又は手練りとする。練混ぜに用いる機械器具は,あ

らかじめ試験室に準備しておく。

b)

ポリマーセメントモルタルの 1 回の練混ぜ量は,0.85∼1.20とする。

c)

ポリマーセメントモルタルを機械練り又は手練りによって調製する方法は,5.4.1 及び 5.4.2 による。

ただし,ディスパージョンを所定量含んだ既調合の液体材料や,セメント,粉末樹脂などからなる既

調合の粉体材料を用いてポリマーセメントモルタルを調製する場合には,製造業者の指定する方法に

よってもよい。その場合,練混ぜ手順・方法を記録しておく。

5.4.1

機械練りによる方法

a)

ディスパージョンを混入する場合  計量したセメント及び細骨材を練り鉢に入れ,練混ぜ機を始動さ

せて 2 分間練り混ぜる。練混ぜを中断し,計量したディスパージョン及び水を入れ,直ちに 1 分間練

り混ぜる。30 秒間練混ぜを休止し,その間に,パドルに付いたモルタルをさじでかき落とし,さらに,

練り鉢に付着したモルタルをさじでかき落として 3 回練り混ぜてから練り鉢の中央に集める。休止が


3

A 1171 : 2000

終わったら,再び練混ぜ機を始動させて 2 分間練り混ぜる。練混ぜが終わったら,練り鉢を練混ぜ機

から取り外し,さじで 10 回かき混ぜる。

b)

粉末樹脂を混入する場合  計量したセメント,粉末樹脂及び細骨材を練り鉢に入れ,練混ぜ機を始動

させて 2 分間練り混ぜる。練混ぜを中断し,計量した水を入れ,直ちに 1 分間練り混ぜる。30 秒間練

混ぜを休止し,その間に,パドルに付いたモルタルをさじでかき落とし,さらに,練り鉢に付着した

モルタルをさじでかき落として 3 回練り混ぜてから練り鉢の中央に集める。休止が終わったら,再び

練混ぜ機を始動させて 2 分間練り混ぜる。練混ぜが終わったら,練り鉢を練混ぜ機から取り外し,さ

じで 10 回かき混ぜる。

備考  機械練りによるポリマーセメントモルタルの練混ぜは,低速(自転速度:毎分 140±5 回転,公

転速度:毎分 62±5 回転)で行う。

5.4.2

手練りによる方法

a)

ディスパージョンを混入する場合  計量したセメント及び細骨材を鉢に入れて,さじで 2 分間練り混

ぜ,さらに,計量したディスパージョン及び水を加えて,直ちに 3 分間よく練り混ぜる。

b)

粉末樹脂を混入する場合  計量したセメント,細骨材及び粉末樹脂を鉢に入れて,さじで 2 分間練り

混ぜ,さらに,計量した水を加えて,直ちに 3 分間よく練り混ぜる。

6.

フレッシュポリマーセメントモルタルの試験

6.1

フロー試験  フロー試験は,JIS R 5201 の 11.(フロー試験)による。

6.2

スランプ試験

6.2.1

試験用機械器具

a)

スランプコーンは,上端内径 50±0.5mm,下端内径 100±0.5mm 及び高さ 150±0.5mm の鋼製とし,

内面は機械仕上げとする。

なお,スランプコーンは,適当な位置に取っ手を付けて,総質量を約 2kg とする(

図 参照)。

b)

突き棒は,直径 9mm,長さ約 30cm の鋼製で,その先端は半球状とする。

図 1  スランプコーン(例)


4

A 1171 : 2000

6.2.2

試験方法

a)

スランプコーンを水平に設置した水密性鋼製平板の上に置き(

2

)

,ポリマーセメントモルタルをほぼ等

しい量の 2 層に分けて詰める。その各層は,突き棒でならした後,15 回一様に突く。この割合で突い

て材料の分離を生じるおそれのあるときは,分離を生じない程度に突き数を減らす。各層を突く際,

突き入れは,その先端がほぼ前層に達する程度とする。

(

2

)

スランプコーンの内面及び鋼製平板の表面は,あらかじめよく絞った湿布などでふいておく。

b)

スランプコーンにポリマーセメントモルタルを詰め始めてから,詰め終わるまでの時間は 3 分以内と

する。

c)

スランプコーンに詰めたポリマーセメントモルタルの上面をスランプコーンの上端に合わせてならし

た後,直ちにスランプコーンを静かに鉛直に引き上げる(

3

)

。次に,ポリマーセメントモルタルの頂部

の下がりを 1mm まで測り,これをスランプとする。スランプは,2 回の試験の平均値で表す。

(

3

)

スランプコーンを引き上げる時間は,2∼3秒程度とする。

備考  ポリマーセメントモルタルがスランプコーンの中心軸に対して著しく偏ったり,崩れたりして

形が不均等になった場合は,別のポリマーセメントモルタルによって新たに試験を行う。

6.3

単位容積質量試験

6.3.1

試験用機械器具

a)

容器は,内面を機械仕上げした金属製の円筒状で,水密性で十分強固なものとし,内径約 75mm,深

さ約 115mm,厚さ約 5mm,その容積は 20℃で 500±1cm

3

になるようにし,その質量は約 900g とする。

容器の容積は,これを満たすに必要な水の質量を正確に量って(

4

)

算出する。

(

4

)

水を容器に満たすには,わずかにあふれるまで入れた後,容器の上に磨きガラス板を載せて余

分な水を除く。このとき,ガラス板の裏側に空気の泡が入ってはならない。容器の容積は,容

器を満たすに必要な水の質量を水の密度(例えば,温度20℃のとき0.998 2g/cm

3

)で除して求め

る。

b)

はかりは,ひょう量 2.5kg 以上,感量 1g のものとする。

c)

へらは,軟鋼製で,長さ約 150mm,幅 25mm,厚さ 1mm とし,木の柄を付けたものを標準とする。

6.3.2

試験方法

a)

ポリマーセメントモルタルを容器の深さ約 1/3 まで入れ,その上面をへらでならした後,へらの面が

容器の内側面に直角になるようにして,へらをポリマーセメントモルタルの数か所に差し込む。容器

を手で回しながら,へらの柄で,容器の円周のほぼ 6 等分点を 1 回ずつ軽くたたく。次に,容器の深

さ約 2/3 までポリマーセメントモルタルを入れ,前記と同様な操作を繰り返す。最後に,容器に少し

あふれる程度にポリマーセメントモルタルを入れ,同様な操作を繰り返した後,へらの面を容器の上

縁に直角に当て,左右に動かしながら静かに手前に引いて,余分なポリマーセメントモルタルをかき

取る。次に,容器を 90 度回転させ,前記の操作を繰り返してポリマーセメントモルタルの表面を平ら

にならす。なお,へらの差し込みは,へらの先端が前層に達する程度とし,一連の操作は,約 3 分以

内に終えるようにする。

b)

ポリマーセメントモルタルを詰めた容器の外側についたポリマーセメントモルタルをきれいにふき取

った後,その質量を量り,容器の質量を差し引いて,ポリマーセメントモルタルの質量を算出する。

c)

単位容積質量は,次の式によって求める。単位容積質量は,2 回の試験の平均値で表す。

M

W/V

ここに,

M

:  単位容積質量 (kg/l)


5

A 1171 : 2000

 

W

:  ポリマーセメントモルタルの質量 (g)

 

V

:  容器の容積 (cm

3

)

6.4

空気量試験  空気量試験は,JIS A 1128 による。ただし,空気量測定器の容器の容積は,500ml 以上

とする。

空気量は,2 回の試験の平均値で表す。

6.5

硬化時間試験

6.5.1

試験用機械器具  硬化時間試験には,JIS R 5201 の 8.1(試験用機械器具)に規定するビカー針装

置,始発用標準針(

φ

1mm

針)及びこれと同様に作製し,直径だけを 3.13±0.05mm とした針(以下,

φ

3mm

針という。

)を用いる。

6.5.2

試験方法

a)

硬化時間試験は,温度 20±2℃,相対湿度 90%以上に保たれた試験室内で行う。

b)

ポリマーセメントモルタルを容器に詰め,ビカー針装置を用いて

φ

3mm

針を針入させ,ポリマーセメ

ントモルタルの調製において練混ぜ水を加えた時点から

φ

3mm

針が針入しなくなるまでの時間を,

φ

3mm

針硬化時間として測定する。さらに,

φ

1mm

針を用い,この針が針入しなくなるまでの時間を,

φ

1mm

針硬化時間として測定する。

φ

1mm

針及び

φ

3mm

針硬化時間は,2 回の試験の平均値で表す。

7.

硬化したポリマーセメントモルタルの試験

7.1

供試体の作製

7.1.1

試験用機械器具  試験用機械器具は,次による。

a)

供試体成形用型枠は,次の 3 種類を用いる。

1)

寸法 40×40×160mm の供試体成形用型枠は,JIS R 5201 の 10.1(2)(モルタル供試体成形用型)に

規定するものとする。

2)

寸法 100×100×100mm の供試体成形用型枠は,内のり寸法 100×100×100mm の金属製とし,その

内面は磨き仕上げとする。

3)

寸法

φ

150

×40mm の供試体成形用型枠は,内のり寸法

φ

150

×40mm の金属製とし,その内面は磨き

仕上げとする。

b)

供試体成形用突き棒は,次の 2 種類を用いる。

1)

寸法 40×40×160mm 及び 100×100×100mm の供試体成形用型枠に用いる突き棒は,

図 に示す形

状及び寸法,質量 1 000±5g の軟鋼製とし,その突き部分は立方体で磨き仕上げ,その握り部分は

滑止め仕上げとする。

2)

寸法

φ

150

×40mm の供試体成形用型枠に用いる突き棒は,JIS R 5201 の 11.1(1)(フローテーブル,

フローコーン及び突き棒)に規定するものとする。


6

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図 2  突き棒(例)

7.1.2

供試体の形状,寸法及び個数  試験に用いる供試体の形状,寸法及び個数は,表 による。

表 1  供試体の形状,寸法及び個数

試験項目

供試体の形状及び寸法  mm

供試体の個数

曲げ強さ及び圧縮強さ 40×40×160 3

接着強さ

モルタル製基板の上に 40×40×10 の

形状にポリマーセメントモルタルを

充てん(填)し,成形したもの

5

吸水率 40×40×160 3

透水量

φ

150

×40 3

長さ変化率 40×40×160 3

中性化深さ 100×100×100 3

塩化物イオン浸透深さ 100×100×100 3

接着耐久性

接着強さ試験用供試体に同じ 5

凍結融解に対する抵抗性

40

×40×160 3

透湿度

φ

68

×10 3

7.1.3

供試体の成形及び養生

a)

成形  供試体の成形は,次による。

1)

接着強さ試験用及び透湿度試験用供試体を除いて,ポリマーセメントモルタルは,型枠に 2 層に詰

める。ポリマーセメントモルタルを型枠の高さの約 1/2 まで詰め,突き棒を用いて,その先端がポ

リマーセメントモルタル中に約 4mm 入る程度に,全面にわたって突く。次に,ポリマーセメント

モルタルを型枠の上端まで詰め,前記と同様に突き棒を用いて突き,最後に残りのポリマーセメン

トモルタルによって約 5mm の盛り上げをして,湿気箱(

5

)

に入れる。突き数は,各層 15 回を標準と

するが,15 回突いて材料の分離が生じる見込みがあるときは,約 10 回ずつ突くものとする。ただ

し,突き棒は,7.1.1 b)1)及び 2)に従って,型枠の形状及び寸法に応じたものを用いる。

接着強さ試験用及び透湿度試験用供試体については,それぞれ 7.3.2 と 7.11.2 に従って成形する。

(

5

)

湿気箱内は,温度20±2℃,相対湿度90%以上が望ましい。また,湿気箱の代わりに,この温度

及び湿度条件が得られる恒温恒湿室でもよい。ただし,その場合には,供試体を覆うなどして,

供試体表面からの水の蒸発を防ぐ。

2)

ポリマーセメントモルタルを詰めてから 1 時間以降の適当な時期に,供試体を傷めないように注意

して,型枠の上の盛り上げを削り取り,押し付けないで軽くなでて,その上面を平滑にする。

参考  適当な時期は,一般に,セメント混和用ポリマーの種類,セメントの種類及びポリマーセメン


7

A 1171 : 2000

トモルタルの配合によって異なるが,1∼5 時間程度である。

備考1.  型枠は,接合部にグリースなどを薄く付けて組み立てる。型枠の内面には,シリコーンワッ

クス,シリコーングリースなどの適当な離型剤を塗布する。

2.

練混ぜ,型詰め,表面仕上げ及び脱型は,常に試験室内で行い,日光の直射を避け,乾燥及

び空気の流通を防ぐ。

b)

養生  供試体は,成形後,温度 20±2℃,相対湿度 90%以上で 48 時間経過した後,脱型してから,温

度 20±2℃の水中で 5 日間養生し,さらに,温度 20±2℃,相対湿度 60±10%で 21 日間養生する。た

だし,長さ変化率試験用供試体は,7.6 によって養生する。

7.2

曲げ強さ及び圧縮強さ試験

7.2.1

試験用機械器具  曲げ強さ試験機及び圧縮強さ試験機は,JIS R 5201 の 10.1(4)(圧縮強さ試験機)

及び(5)(曲げ強さ試験機)に規定するもの又はそれらと同等の性能をもつものとする。

7.2.2

試験の準備  供試体は,所定の養生を終わった直後の状態(

6

)

で試験ができるように準備しなければ

ならない。

(

6

)

ポリマーセメントモルタルの強さが供試体の乾燥状態などによって変化する場合もあるので,

養生を終わった直後の状態で試験を行う必要がある。

7.2.3

曲げ強さ試験  曲げ強さ試験は,支点間の距離を 100mm とし,供試体を成形したときの側面の中

央に,毎秒 50±10N の荷重速度で載荷して行い,最大荷重を求める。次の式によって曲げ強さを計算し,

小数点以下 1 けたに丸める。曲げ強さは,3 個の供試体の平均値で表す。

σ

b

P×0.002 34

ここに,

σ

b

:  曲げ強さ (N/mm

2

)

 

P

:  最大荷重 (N)

7.2.4

圧縮強さ試験  圧縮強さ試験は,曲げ強さ試験を行った一組 3 個の供試体の折片 6 個について,曲

げ強さ試験の直後に行う。供試体を成形したときの両側面を加圧面とし,荷重用加圧板を用いて,供試体

中央部に毎秒 800±50N の荷重速度で載荷して最大荷重を求める。次の式によって圧縮強さを計算し,小

数点以下 1 けたに丸める。圧縮強さは,6 個の供試体折片の平均値で表す。

σ

c

P/1 600

ここに,

σ

c

:  圧縮強さ (N/mm

2

)

 

P

:  最大荷重 (N)

7.3

接着強さ試験

7.3.1

基板の作製  JIS R 5201 の 10.4(供試体の作り方)に規定する方法によって調製したモルタルを,

鋼製型枠を用いて寸法 70×70×20mm に成形後(

7

)

,温度 20±2℃,相対湿度 90%以上で 48 時間経過したの

ち脱型してから,温度 20±2℃の水中で 5 日間養生し,さらに,温度 20±2℃,相対湿度 60±10%で 7 日

間以上養生する。その後,JIS R 6252 に規定する 150 番研磨紙を用いて,モルタル打込み時の底面を研磨

してから清掃し,基板とする。

(

7

)

鋼製型枠にモルタルを1層で詰める。その場合,型枠から5mm 程度盛り上げて詰め,型枠を振

動させて,モルタルを締め固める。締固め終了後に,余分なモルタルを取り除く。

7.3.2

供試体の作製  基板の研磨した面の中央部に,図 に示すように,内のり寸法 40×40×10mm の金

属製又はプラスチック製型枠を置き,水湿しを行った後,6.3.1 c)によるへらを用いて,塗り付けるように

ポリマーセメントモルタルを充てん(填)して成形する。成形後,7.1.3 b)と同様に養生して,供試体とす

る。


8

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図 3  供試体作製用型枠

7.3.3

試験方法  供試体を水平に置き,供試体の表面に接着剤を塗り,図 に示す上部引張用ジグを静か

に載せ,軽くすりつけるようにして接着し,周りにはみ出した接着剤をていねいに取り除く。上部引張用

ジグを接着した供試体を,試験室内に 24 時間静置した後,

図 に示す下部引張用ジグ及び図 に示す鋼製

当て板を用いて,毎分 1 500∼2 000N の荷重速度で,供試体の鉛直方向に載荷して最大荷重を求める。試

験後,各供試体の破壊状況を記録する。次の式によって接着強さを計算し,小数点以下 1 けたに丸める接

着強さは,5 個の供試体の平均値で表す。

600

1

T

a

=

σ

ここに,

σ

a

:  接着強さ (N/mm

2

)

 

T

:  最大荷重 (N)

参考  接着剤は,供試体に浸透しない高粘度のもので,例えば,無溶剤形の二液性エポキシ樹脂接着

剤などがよい。

図 4  接着強さ試験用供試体及び上部引張用ジグ 


9

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図 5  接着強さ試験装置 

図 6  鋼製当て板


10

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7.4

吸水率試験  供試体を温度 80±2℃で 48 時間乾燥し,デシケーター内で冷却してから質量を量る。

次に,供試体を温度 20±2℃の静水中に浸せきし,48 時間経過したのち取り出し,供試体の各面を湿布で

手早くふき,直ちに質量を量る。供試体の質量は,0.1g まで量る。次の式によって吸水率を計算し,小数

点以下 1 けたに丸める。吸水率は,3 個の供試体の平均値で表す。

100

0

0

1

×

=

W

W

W

W

a

ここに,

W

a

:  吸水率 (%)

 

W

0

:  乾燥後の質量 (g)

 

W

1

:  吸水後の質量 (g)

7.5

透水量試験  供試体を温度 80±2℃で 48 時間乾燥し,デシケーター内で冷却してから,その両面の

中央部径 5cm 以上を軽くブラシをかけて表皮部を除き,質量を量る。次に,JIS A 1404 の 11.5 によって,

供試体に 100kPa の水圧を 1 時間加えた後,質量を量る。供試体の質量は,0.1g まで量る。次の式によって

透水量を計算し,整数値に丸める。透水量は,3 個の供試体の平均値で表す。

W

p

w

1

w

0

ここに,

W

p

透水量 (g)

w

0

乾燥後の質量 (g)

w

1

透水後の質量 (g)

7.6

長さ変化率試験  長さ変化率試験は,JIS A 1129 による。ただし,7.1.3 b)の条件で,脱型後 5 日間

水中養生した後,直ちに,供試体の基長を測定する。次いで,供試体を温度 20±2℃,相対湿度 60±10%

で 28 日間養生した後に測長して,長さ変化率を計算し,小数点以下 3 けたに丸める。長さ変化率は,3 個

の供試体の平均値で表す。

7.7

中性化深さ試験  中性化深さ試験に用いる供試体については,養生終了 3 日前に供試体の両端部,

打込み面及び底面を JIS K 5664 に規定する 1 種又はこれと同程度の性能をもつエポキシ樹脂塗料で密封す

る。供試体を,温度 30±2℃,相対湿度 60±10%,二酸化炭素濃度 5.0%の二酸化炭素環境槽内に静置する。

静置開始時から 28 日経過した後に供試体を取り出し,さらに,温度 20±2℃,相対湿度 60±10%に 24 時

間静置した後に割裂して二分割する。その断面にフェノールフタレインの 1%アルコール溶液を噴霧し,

赤変しない部分を中性化域として,中性化した 1 側面 3 か所ずつ,計 6 か所で,供試体表面から赤変した

所までの深さをノギスを用いて 1mm まで測定する。測定した 6 か所の平均値を 1 個の供試体の中性化深

さとし,整数値に丸める。中性化深さは,3 個の供試体の平均値で表す。

7.8

塩化物イオン浸透深さ試験  塩化物イオン浸透深さ試験には,7.7 と同様に成形,養生及びエポキシ

樹脂塗料で密封した供試体を用いる。供試体を温度 20±2℃で JIS A 6205 

附属書 1(鉄筋の塩水浸せき

試験方法)の 3.2.1(塩分溶液)に規定する塩分溶液に浸せきし,28 日経過した後に取り出す。ただし,塩

分溶液の量は,浸せきする供試体の体積の 3 倍以上とし,供試体相互の間隔及び試験槽の底からの距離を

3cm

以上として,供試体を完全に浸せきする。塩分溶液に浸せき後の供試体を割裂して二分割し,その断

面に 0.1%フルオレセインナトリウム水溶液及び 0.1N 硝酸銀溶液を噴霧して,蛍光を発する部分を塩化物

イオン浸透域とし,塩化物イオンが浸透した 1 側面 3 か所ずつ,計 6 か所で,供試体表面から蛍光を発し

ない所までの深さをノギスを用いて 1mm まで測定する。測定した 6 か所の平均値を 1 個の供試体の塩化

物イオン浸透深さとし,整数値に丸める。塩化物イオン浸透深さは,3 個の供試体の平均値で表す。


11

A 1171 : 2000

7.9

接着耐久性試験  接着耐久性試験には,7.3.2 と同様に作製した供試体を用いる。ただし,供試体の

養生終了 3 日前に,

図 に示すように,基板の 4 側面及び上面,並びにポリマーセメントモルタルの 4 側

面を,JIS K 5664 に規定する 1 種又はこれと同程度の性能をもつエポキシ樹脂塗料で密封する。供試体を

温度 20±2℃の水中に 18 時間浸せきした後,直ちに温度−20±3℃の恒温器中で 3 時間冷却し,次いで,

温度 50±3℃の恒温器中で 3 時間加温する 1 サイクルを 24 時間とする温冷繰返し操作を 10 回繰り返す。

その後,試験室に 2 時間静置した後,基板に達するように,ポリマーセメントモルタルの周囲のエポキシ

樹脂塗料に切込みを入れ,7.3.3 によって接着強さ試験を行う。

図 7  接着耐久性試験用供試体

7.10

凍結融解に対する抵抗性試験  凍結融解に対する抵抗性試験として,JIS A 6204 の附属書 2(コンク

リートの凍結融解試験方法)に従って,供試体の凍結融解試験を 200 サイクル行い,凍結融解に対する抵

抗性を評価するために相対動弾性係数を計算し,整数値に丸める。凍結融解に対する抵抗性は,3 個の供

試体の相対動弾性係数の平均値で表す。

7.11

透湿度試験  透湿度試験は,供試体を通しての吸湿又は放湿による方法とし,次による。

7.11.1

試験用機械器具  試験用機械器具は,内径 68mm,外径 70mm,高さ 30mm で,上面に直径 56.5mm

の孔をもつ,防せい処理したアルミニウム製円筒,及び内径 70mm,外径 72mm,高さ 15mm の防せい処

理したアルミニウム製円筒容器を用いる。ただし,放湿による試験に用いる円筒容器には,注水口を設け

る。

7.11.2

供試体の作製  内のり寸法

φ

68

×10mm の金属製又はプラスチック製型枠の中に,6.3.1 c)によるへ

らを用いて,塗り付けるようにポリマーセメントモルタルを充てん(填)して成形する。成形後,7.1.3 b)

と同様に養生して,供試体とする。養生終了 3 日前に,

図 に示すように,供試体を円筒にエポキシ樹脂

系接着剤で接着し,円筒と供試体間のすき間を,JIS K 5664 に規定する 1 種又はこれと同程度の性能をも

つエポキシ樹脂塗料で密封する。

図 8  透湿度試験用供試体を取り付けた円筒容器


12

A 1171 : 2000

7.11.3

試験方法  試験方法は,次による。

a)

吸湿による試験  吸湿剤として,JIS K 8123 に規定する粒径 3mm 以下の塩化カルシウム 50g を円筒

容器に入れ,直ちに,供試体を取り付けた円筒を差し込み,周囲をアルミニウムテープで密封する。

供試体を取り付けた円筒容器を乾燥剤を入れたデシケーター内に 24 時間静置した後,温度 40±1℃,

相対湿度 90±2%の条件下に 240 時間静置して,その間,24 時間ごとに取り出して,デシケーター内

で 30 分間冷却してから,質量を 0.1mg まで測定する。

b)

放湿による試験  供試体を取り付けた円筒を円筒容器に差し込み,周囲をアルミニウムテープで密封

した後,注水口から蒸留水を約 20ml 入れ,注水口を密封する。供試体を取り付けた円筒容器を温度

20

±1℃,相対湿度 60±2%の条件下に 240 時間静置して,その間,24 時間ごとに取り出して,質量を

0.1mg

まで測定する。

c)

結果の計算  結果の計算は,次による。

1)

次の式によって透湿量を計算する。

Q

=│W

n

W

n

1

ここに,

Q

:透湿量 (g)

 

W

n

質量測定 回目における供試体を取り付けた円筒容器の質量 (g)

 

W

n

1

質量測定 n+1 回目における供試体を取り付けた円筒容器の質量 (g)

2)

透湿度は,透湿量の変化が連続する二つの測定間隔において,5%以内で一定になった時点で,次の

式によって計算し,小数点以下 1 けたに丸める。透湿度は,3 個の供試体の平均値で表す。

t

A

Q

M

i

=

ここに,

M

:  透湿度 (g/m

2

・d)

 

Q

i

:  最後に測定された透湿量 (g)

 

A

:  透湿面積 (0.002 5m

2

)

 

t

:  最後の質量測定とその 1 回前の質量測定との時間間隔 (d)

8.

報告  報告には,次の事項のうち,必要なものを記載する。

a)

セメントの種類,製造業者,化学成分及び物理的性質

b)

セメント混和用ポリマーの名称,種類,製造業者,ロット番号及び JIS A 6203 に規定する品質

c)

細骨材の産地,粒度,密度,吸水率及び含水率

d)

既調合の液体材料及び粉体材料を用いた場合は,それらの組成

e)

試験室の温度及び湿度

f)

ポリマーセメントモルタルの配合及び 1 回の練混ぜに用いた各材料の質量

g)

材料の練混ぜ手順・方法

h)

ポリマーセメントモルタルの練上がり温度

i)

供試体の養生方法及び材齢

j)

試験項目及び試験結果

k)

試験実施日

l)

試験実施者

m)

その他必要事項


13

A 1171 : 2000

JIS A 1171

  改正原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

大  濱  嘉  彦

日本大学工学部

(副委員長)

小  柳      洽

岐阜大学工学部

(幹事)

宮  川  豊  章

京都大学大学院工学研究科

(幹事)

出  村  克  宣

日本大学工学部

(委員)

笠  井  芳  夫

日本大学名誉教授

辻      幸  和

群馬大学工学部

河  野  広  隆

建設省土木研究所

阿  部  道  彦

建設省建築研究所

真  鍋      隆

通商産業省生活産業局

八  田      勲

工業技術院標準部

渡  辺  和  足

建設省大臣官房技術調査室

橋  本      進

財団法人日本規格協会

岸      賢  蔵

財団法人建材試験センター

豊  岡  光  男

住宅・都市整備公団

沢  出      稔

清水建設株式会社

中  川  裕  章

鹿島建設株式会社

安      伸  二

大成建設株式会社

関  野  一  男

太平洋セメント株式会社

榊  原  弘  幸

住友大阪セメント株式会社

小  俣  一  夫

日本建築仕上材工業会

野  中  正  規

クラリアントポリマー株式会社

毛  利      誠

日本エヌエスシー株式会社

尾  嶋  和  雄

株式会社イーテック

伊  部      博

株式会社小野田

能登谷  恭  一

日本化成株式会社

(事務局)

関  根  茂  夫

財団法人建材試験センター

○印を付してある委員は,小委員会委員を兼ねる。その他の小委員会委員は,次に示すとおりであ
る。

氏名

所属

(委員)

清  水  良  郁

工業技術院標準部

矢  崎  剛  吉

建設省大臣官房技術調査室

真  野  孝  次

財団法人建材試験センター

原  田      進

富士川建材工業株式会社

古  賀  優  夫

電気化学工業株式会社

相  澤  豊  治

日本シーカ株式会社

佐  藤  輝  行

昭和電工株式会社

楠      一  隆

住友化学工業株式会社

(協力委員)

渡  邊  一  雄

菊水化学工業株式会社

青  木  正  博

三菱化学 BASF 株式会社