日本工業規格
JIS
A
1162
-1973
気ほうコンクリートの長さ変化
試験方法
Testing Methods for Volume Change of Cellular Concrete
1.
適用範囲
1.1
この規格は,常圧養生した気ほうコンクリート(以下気ほうコンクリートという。
)の長さ変化につ
いて規定する。
なお,高圧養生した気ほうコンクリートについては JIS A 5416(オートクレーブ養生した軽量気
ほう
泡コン
クリート製品)による。
1.2
ここでいう気ほうコンクリート(
1
)
とは,セメントペースト中に微細な気ほう(
2
)
をセメントペースト
に対する容積比で 25%以上均等に含ませて作ったもので,かさ比重(
3
)
が 1.2 以下の常圧養生したコンクリ
ートをいう。
注(
1
)
気ほうコンクリートには,骨材などを含むものもある。
(
2
)
気ほうはコンクリートペーストに発ぽう剤もしくは起ほう剤を混ぜるか,または,あらかじめ
用意した安定なほうまつ(泡沫)を用いるなどして作る。
(
3
)
かさ比重は,JIS A 1161(気ほうコンクリートのかさ比重,含水率,吸水率および圧縮強度試験
方法)の 6.2 によって求めた絶乾かさ比重をいう。
1.3
長さ変化は,以下の規定によって試験した場合の供試体の有効長の変化の割合から算出した変化率
で表わす(9.
長さ変化率の求め方参照)。
2.
試験用器具
2.1
型わく 型わくは,JIS A 1125〔モルタルおよびコンクリートの長さ変化試験方法(コンパレーター
方法)
〕の 2.1 に規定する内のり寸法 4×4×16cm のものとする。ただし,必要に応じて(
4
)
内のり寸法 10×
10
×40cm としてもよい。
注(
4
)
あらい骨材を含む試料やコンクリートとの比較を目的とした試料などについて試験する場合。
2.2
標線用乳色ガラス 乳色ガラスは,供試体に埋め込み,長さ変化測定用標線を刻線するもので,大
きさは約 10mm 方形とし,標線を刻線する面は,平滑なものでなければならない。
2.3
刻線器および長さ変化測定器 標線の刻線および長さ変化の測定に用いる刻線器および長さ変化測
定器は,JIS A 1125 の 2.3 および 2.4 に規定するものを用いる。
3.
供試体の寸法および個数
3.1
供試体の寸法 断面 4×4cm,長さ 16cm とする。ただし,必要に応じて断面 10×10cm,長さ 40cm
としてもよい。
2
A 1162-1973
3.2
供試体の個数 1 試料につき 3 個とする。
4.
型わくの組立ておよび乳色ガラスの取り付け
4.1
型わくの組立て わく板の合せ目には漏水を防ぐため,油土または堅いグリースなどを薄くはさみ
つけ,内面には鉱物性の油などを塗って組み立てる。
4.2
乳色ガラスの取り付け 成形時に供試体に埋め込む場合の乳色ガラスは,型わくの一方の内側面の
中心線上に 2 個の乳色ガラスの中心間距離が約 140mm になるようにグリースなどを用いて側板に軽く押
しつけて止めておく。ただし,10×10×40cm 形状の供試体では,乳色ガラスの中心間距離が約 340mm に
なるようにする。
脱型時に乳色ガラスが供試体からはずれた場合は,直ちにセメントペーストを用いて乳色ガラスを元の
位置に埋め込む。
5.
試料の打ち込み方,養生および脱型
5.1
打ち込み方 試料は硬化後の高さが型わくの高さよりやや高くなるように打ち込む。この際,試料
中に粗大な空げきが残らないようにする。
5.2
養生および脱型 打ち込んだ試料は,水分の発散を防いだ状態で,かつ,温度 20±3℃の室内で養生
する。
余盛りは適当な時期に削り去り,供試体の上面は平らになるようにする。脱型は成形後 48 時間内外とす
る。
余盛りを削り去る時期は,打ち込んでから 24 時間内外がよい。
6.
基長の測定
6.1
供試体は脱型後ただちに刻線器で乳色ガラスに JIS A 1125 の 2.3 に従って標線を刻線し,JIS A 1125
の 9.3 によってその標線間の距離を測定する。この時の標線間の距離を基長 (L
0
)
とする。
6.2
供試体の測定に先立ち,標準尺によって顕微鏡間の距離を検定しなければならない。また,測定器
は測定前 3 時間以上,温度 20±3℃に保っておかなければならない。
7.
供試体の保存
7.1
6.1
により基長を測定したのち,供試体はただちに温度 20±3℃,湿度 70±3%に保った室内または
箱の中に保存する(
5
)
。
注(
5
)
箱の中で保存する場合の貯蔵箱は,密閉できるもので,内のり寸法は幅×奥行×高さが24×19
×12cm 程度のものとする。ただし,10×10×40cm の供試体の場合の内のり寸法は,50×44×
37cm
程度のものとする。
貯蔵箱中の湿度を 70±3%に保つために,箱中の底部にできるだけ大きい広口のさらを置き,
これに水 100g に対して硝酸ナトリウム 80g と塩化カルシウム 120g の割合で溶解した飽和溶液
をじゅうぶんに満たし,密閉し,箱中の温度を 20±3℃に保つようにする。
7.2
保存期間中,供試体は乳色ガラスを埋め込んだ面を側面とし,1 個ごとに 2 箇所で支持して水平に置
く。
各供試体相互の間隔は,これをいずれの場合でも 1cm 以上とし,各供試体を支持する箇所は供試体の両
端から約 3cm とする。ただし,10×10×40cm の供試体の場合は各供試体相互の間隔は 2.5cm 以上とし,
3
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各供試体を支持する箇所は,供試体の両端から約 8cm とする。いずれの場合も供試体を積み重ねてはなら
ない。
備考 恒温,恒湿室などの中で供試体を上下に重ねて保存する場合は,上下のたなの間隔は 30cm 以
上とする。
8.
測長方法
8.1
測定器の保存方法は 6.2 による。
8.2
長さ変化率を求めるに当たっての供試体の測長方法は,JIS A 1125 の 9.3 による。この場合の標線間
の距離を有効長 (L) とする。
9.
長さ変化率の求め方
9.1
長さ変化率は材齢 8 週の値をもってし,10×10×40cm 供試体については材齢 13 週をもって示す。
ただし必要に応じ,上記の 8 週または 13 週以外の材齢における値も示すものとする。
備考 この場合の測長方法は 8.により,その求め方は 9.2 による。
9.2
長さ変化率はつぎの式で計算し,小数点以下 2 けたまでの数字で表わす。結果は,3 個の供試体の平
均値で示す。
長さ変化率 (%)
100
0
0
×
L
L
L
−
=
10.
報告 試験結果の報告には,つぎの事項を記載する。
(1)
供試体の記号または種類,名称
(2)
供試体の寸法
(3)
長さ変化率
(4)
9.1
に規定した 8 週または 13 週以外で求めた長さ変化率についてはその材齢を明記する。
(5)
保存湿度
(6)
長さ変化率を求めたときの供試体の平均含水率(
6
)
(7)
供試体の表面にきれつなどの異状が現われたら,その旨併記する。
注(
6
)
JIS A 1161
(気ほうコンクリートのかさ比重,含水率,吸水率および圧縮強度試験方法)の6.3
によって求める。
4
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建築部会 キャスタブルコンクリート試験方法専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
狩 野 春 一
工学院大学
仕 入 豊 和
東京工業大学理工学部
重 倉 祐 光
東京理科大学
笠 井 芳 夫
日本大学
向 井 毅
明治大学工学部
金 子 勇次郎
建設省住宅局
原 野 律 郎
通商産業省化学工業局
西 村 一
工業技術院標準部
川 瀬 清 孝
建設省建築研究所
近 藤 基 樹
株式会社竹中工務店
加 賀 秀 治
大成建設株式会社
有 馬 啓 人
麻生フォームコンクリート株式会社
前 田 敏 夫
株式会社ヒーロー化学工業所
庄 川 選 男
日本サーモコン株式会社
(事務局)
田 村 尹 行
工業技術院標準部材料規格課
松 本 大 治
工業技術院標準部材料規格課